義輝記 雷雨の章 その壱
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【 何進と張譲の件 】

 

?洛陽王宮内にて?

 

何進「……また、ここに帰って来ちまったか… 」

 

何進は、兜を脱ぎ、頭を掻きつつ溜め息を一つ……ついた。

 

 

『大将軍』と言う将軍の最高位を持つ男が、皇帝以外に何を怖がる必要があるのだと思われるが、ここは世間とは隔絶した空間。

 

それ故に、世の常識が通用しない摩訶不思議なモノが居る場所。

 

男であって男では無く、然りとて女でも無い『宦官』なる生き物が跳梁跋扈する漢王朝内の伏魔殿。

 

…………………………『十常侍』と言う大妖怪が居る場所。 

 

 

何進「皇帝陛下が病に倒れられて十数年……。 十常侍の玉無しとの派閥争いも、どれくらい経つのやら…」

 

そう言って、少し考えたが時間の無駄だと悟り、思考を中止した。

 

 

『 何進は、元は街の肉屋のオヤジではあった。 

 

これは、諸兄姉も存じている事実。 して、何進の妹になる『何皇后』が霊帝劉宏に見初められ後宮入りし、外戚になる何進が大将軍になった事も……。

 

しかし、何皇后は罪深くも、霊帝のもう一人の妻である『王美人』、霊帝

の母『董太后』も毒殺したとの疑いがある事を知る人は少ない 』

 

何進「アイツが邪魔しなければ、十常侍共を…………!」

 

??「ほっほっ? どなたの邪魔がなければ、儂等をどうするのですかな?」

 

嫌らしい笑いを皺だらけの顔に張り付けた、十常侍筆頭『張譲』がいた。

 

頭は禿げ上がり、腰も些か曲がり気味の小柄の老宦官。 しかし、眼光は鋭く何進を見据えていた。 奇妙な迫力と共に…………。

 

何進「…チッ! 言わなくても分かるだろうに!」

 

張譲に判るように舌打ちをして、何進は立ち去る。 

 

霊帝に謁見するためにだが、張譲が両手を広げ何進の進行を阻む!

 

張譲「……陛下は、病篤かりき。 面会は不要ですぞ!」

 

何進「私は、陛下の義兄に当たる! 何故お前如きに、止められなければならない? 「何皇后様の命です」……!!」

 

『 くっ! だが、私は大将軍だ! そこを通らせてもらう! 』

 

何進は、張譲を強引に押しのけて、霊帝の部屋へ無理やり向かった……。

 

ーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

何進の姿が完全に消えた後、張譲は叫ぶ━━━━━━━!

 

張譲「……((((*゜▽゜*))))……くっ…くぅぅぅぅぅぅぅ! 快感☆☆!!」

 

自虐的思考が強い張譲は、思いっきり悶えて叫び声を上げる!

 

張譲「はっ! はっ! はっ…。 政敵に罵られるのが、此ほどの快感をもたらすとは………。 お主の考え、流石だのぉぉ、久秀! 」

 

久秀「お褒めいただき光栄ですわ、張譲様…」

 

いつの間にか、張譲の後ろに『松永久秀』が控えていた。

 

まだ、顔に赤みが残る張譲は、久秀と別れ仕事に向かう。

 

久秀「……あれが『何進』ね。 玩具にはムサイし、残すと邪魔。 塵芥なら直ぐに捨てないと、久秀の美意識に反するわ………フフフ」

 

◆◇◆

 

【 二人の皇女の件 】

      

?宮廷内皇帝の私室にて?         

 

           バン!!

 

何進「━━皇帝陛下! お身体の具合は……!」

 

そこには、何時も通りに玉座に座る霊帝。  目を瞑り眠っているかの如く。

 

運動不足で体が何進より丸くなり、威厳と言うものが、まるで感じられない。

 

だが、何進が近づくと、急に目を見開き声を上げた!

 

霊帝「おお! 何進よ! よくぞ戻ってきてくれた! お主の次のれべる…」

 

………………………………………

 

何進「………  (゜Д゜) 」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

何皇后「末期の『中二病』だそうよ………」 

 

何進「……具合は、どうなんだよ? 皇帝陛下は!? 」

 

素に戻りて話すは、妹であり霊帝の妻である何皇后。

 

何皇后「玉体に関しては些かも異常無し。 …あの精神異常を除けば……」

 

と、溜め息をついた。 

 

 

★★ 『中二病』……百年前程の竹簡に記載がある、謎の精神異常の病気。

 

一説には、項籍(項羽)が罹病して『西礎の覇王』を名乗ったとも云われる。

 

噂に拠れば、曹孟徳配下となった『天の御遣い』北郷一刀がその話を聞き及び『なんでこの時代に、そんなモノが…!』と絶句したとか… ★★

 

何進「……………」

 

何進は思う……二人の皇女の事を。 

 

妹の子である辯(べん)皇女、亡き王美人の子である協皇女。

 

母親の確執を知るが、二人は仲の良い姉妹であり、妹である協皇女は姉である辯皇女をよく支えていた。

 

何進としては、二人共皇帝陛下の実子であり、このまま辯皇女が皇帝に迎えられ、協皇女が家臣としてして傍にいてくれれば、此ほど有り難い事は無い。

 

現に、協皇女は自分を臣下に下るから、姉を皇帝に引き立て欲しいと、何進に

相談を持ち込んでいる。 自分の母親を暗殺した女の兄である自分へと…。

 

……だが、何皇后はそんな願いさえ一笑に付し、皇女暗殺を十常侍達と相談する始末。 十常侍の狙いは、協皇女の擁立だとハッキリ分かるのだが…。

 

    トタトタトタ……トタトタト

 

??「失礼します。 …さぁ、お姉様。 お父様にお会いしますよ」

 

??「失礼……」

 

容姿がよく似た二人の少女が入る。

 

髪は金色と銀色の違いはあるが、年の頃は十代、女性らしい柔らかさと気品が佇む少女達。 

 

金色の髪にウェーブが掛かっている少女が辯皇女 真名『金糸』

 

銀色の髪をストレートに肩まで伸ばした少女が協皇女 真名『銀糸』

 

協皇女は、姉の手を取り、笑顔で部屋へ案内する。

 

辯皇女は、無表情のまま、引き寄せられるに任せて入り込む。

 

何進「おぉ! お二人ともお元気で! 何進は嬉しいですぞ!!」

 

協皇女「何進叔父様! 黄巾賊討伐の無事成功、お祝い申し上げます!」

 

辯皇女「叔父上、祝着至極 」

 

何進「これはこれは…。誠にありがとうございます!」

 

何進は、二人に嬉しそうに頭を下げる。 

 

何皇后「『銀糸』、『金糸』を連れてどうしたのです?! あなたと違い、『金糸』は、皇帝になる玉体なのですよ!! 何かあったらどうするのです!」

 

銀糸「申し訳ありません………お義母様。 何進叔父様が、無事に遠征より御戻りになられたと聞いて……「口答えは許しません!」…はい 」

 

金糸「母上、銀糸無罪! 我、懇願!! 」

 

何皇后「金糸、母様を心配させないで。 あなたは、必ず皇帝になる方なのですから。 銀糸も理解していると思うけど、あなたと金糸は姉妹の前に主従になるのですよ! そこをよく弁えるように! 」

 

金糸「……是……………」

 

銀糸「……わかりました……」

 

その後、二人は皇帝に顔を見せ、部屋を退室して行った……………。

 

何進「…………俺も用件は済んだし、戻って仕事でもやるかね… 」

 

何皇后「兄さんも、十常侍達と対立しないで頂戴…。 十常侍達の推薦なければ私達は、この地位はなかったのよ。 それに、金糸の皇帝擁立に力を借りなければならないし……」

 

何進「………………………………」

 

何進は、無言で退室する。 勿論、仕事なんか言い訳に過ぎない。

 

皇女達の様子を心配して、足を早々に動かし向かった。

 

◆◇◆

 

【 暗雲より見える光の件 】

 

?宮廷内渡り廊下にて?

 

 ………… 

 

金糸達の部屋に向かう途中、何か聞こえた。

 

「…………━━━ 」

 

今度は、少し理解できた。 少女の泣き声だ………。

 

「──── (>.<)! ──── (>o<)! 」

 

金糸達が住む部屋の渡り廊下の左右は、広い庭になっている。 

 

不審者が直ぐに見つかるようにと、隠れ場所になるような物を置かない配慮をしていたんだが………。

 

今は亡き皇帝陛下の妻、『王美人』様が、日陰が欲しいとの要望のために、大人が一抱えする大きな木が三本、植え付けてある。 

 

     サワサワサワ サワサワサワ

 

おぉ──、良い風だ。

 

…ここは、仕事を怠けて昼寝するには、最適な場所だからなぁ。 

 

ん? 大将軍がそんな事で、仕事が捗るのか…と?

 

馬鹿を言われても困る。 仕事中に俺が居ると他の者が緊張して、逆に捗らなくなるからな。 偶に抜け出して、ここで英気を養うのだ! 

 

部下への気遣い、己の体調管理、漢王朝の大将軍たる者、このような細心の注意を払い、仕事を行っているのだ。 勿論、その分の仕事は部下達に丸投げ!

 

俺がそのような心労を負っているのだ! その分の苦労をして貰おう!!

 

………と、俺の事は置いといて、あの二人が心配だ!

 

俺は、もう一本の木に隠れて様子を見守る。 傍目から見ると危ない奴だと思われそうだが、ここは宮廷内だし、俺は大将軍だから問題無し!

 

その内の一本の根元に、二人の皇女が座っていた。

 

金糸の膝に銀糸が頭を乗せ、顔を伏せて泣いていた。 

 

金糸は優しく頭を撫でている。 

 

銀糸「ご免なさい! ご免なさい!! お姉様まで巻き込んでしまって─!」

 

金糸「銀糸絶対無問題……。 母上是最悪! 金糸激怒!」 グッ!!

 

銀糸「お姉様───! 義母様を怒らないで下さい!」 グスグス

 

金糸「………銀糸。 『仁過弱、義過固、礼過諂、知過嘘、信過損』也 」

 

銀糸「………………はい、わかりました…」

 

金糸「……我、銀糸守護。………永久」

 

銀糸「 ……お姉様!  (≧Д≦) 」           

 

       

 (o´∀`)b ┃   ( ^-^)/(T-T )

 

 

……全く、親があーなのに、何でこんな良い子が出来るのかねぇ……

 

少し後から、俺は偶然を装い出て行き声をかけた。 慰めなんかしねぇよ…

 

果心より教えてもらった大道芸を披露したのさ……下手くそだがな。

 

それでも、あの二人は驚いたり笑ってくれたりして、喜んでくれたぜ!

 

◆◇◆

 

【 久秀の計略の件 】

 

?張譲屋敷地下室にて?

 

張譲「ふっ! ふっ! ふぅぅぅーー☆☆☆☆!」

 

久秀「あら、張譲? もう満足したの?」

 

フルフルフル! フルフルフル!

 

久秀「そぉう……。 流石、私が二番目に気に入った玩具だけあるわ、ね!」

 

バシィーン  「ふぅぅーーー!」

 

張譲は今、正座中、変わっているのは、正座している下が、三角の木材が五本程敷き詰められ、張譲の膝の上に一抱え程の石が二つ乗る。

 

その上、鞭打ちまでされて……………。

 

夜の主『松永久秀』の命による『石抱き鞭打ち』の拷問を受けて、本日も絶賛快感中である。 ……普通の人は、絶対しないけど。

 

久秀「………張譲、あなたに命を下します!」

 

久秀の顔が、暗闇に覆われ愛くるしい口元だけが見える。

 

 

張譲は、年甲斐も無く興奮していた。

 

我が主が、とうとう、この老いぼれに命を下してくれる! 

 

今までは、あの『人を辞めた日』より、快感を与えてくれた主が、とうとう、我を信用して命を下してくれる! 如何なる命も実行してみせよう!

 

久秀「……漢王朝皇帝『劉宏』及び何皇后。 この世に不要な者故、天へ戻して差し上げなさい。 ………丁重に……ね…ウフッ」

 

久秀の口が、三日月の形になり、張譲を魅力した………!

 

張譲「 ふぅぅぅぅ━━━━━━━━━━━!!」

 

張譲は、口に詰め込まれていた布を取り出す事を忘れ叫んだ!!

 

夜の主の主命を果たす事『承諾した』と、いち早く伝えたかったために……。

 

◆◇◆

 

【 二人の軍師登場の件 】

 

?洛陽にて?

 

??「稟ちゃん……、風、疲れました〜」

 

??「それを言うなら私もですよ。 星と別れてからは大変でしたから…」

 

『軍師仕官希望中』の御二人は、陳留を経由して洛陽へ到着したんだが…。

 

風「此処まで来れば、雇ってくれるお仕事があると思ったのですがー?」

 

稟「………仕方がありません! 私の目に叶う所がないのですから!」

 

宝ャ「おいおい、境遇を弁えて考えろよ。 手持ちの路銀が残り少ないのに、そんな事言っていたら野垂れ死に間違い無しだぜ! 」

 

風「これ宝ャ、そんな事を言ってはいけません。 稟ちゃんには稟ちゃんなりの考えがあるのでしょうから〜!」

 

稟「…………………」

 

諸国を巡り、陳留にて曹孟徳に仕官を願ったんだが、軍師志望の試験は当分先。 その間に、洛陽に入って情報収集と路銀を蓄えようと考えるのも無理ないぜ……なぁ、風よ。

 

風「稟ちゃん、星ちゃんが紆余曲折の末、愛しの曹孟徳様の配下になったのは良きことではないですか。 風達も一緒に加われば……」

 

稟「……ですが、曹孟徳様には『王佐の才』の荀文若殿を筆頭にして『臥竜、鳳雛』の諸葛孔明、ホウ士元と錚々たる知謀の士がいるのに、私達が入っても働き場所がありません!」

 

宝ャ「あぁ! そうか! 愛しの曹孟徳様には、一番に見て貰いたいと屈折した感情が邪魔してだな………」

 

稟「風! あなたね…!」

 

風「風じゃあ無いですよー。 宝ャが言ったのです!」

 

洛陽に期待して来たものの、漢王朝の末期が近いか街の中は活気がねぇ。

 

どちらかと言えば、陳留の方が賑やかだね! 間違いなく!

 

だが、そんな寂れたといえど洛陽の道の傍で、そんな話をしていれば『とある御仁』に目を付けられのは、当然なんだよな……………。 

 

??「そこの二人、少し話をさせて貰いたいが……」

 

稟がチラリと見て対応しようとしている。 風! 寝てるな、起きろ!!

 

   コツン!  風「 痛〜! (>.<)」

 

稟「……………その、容貌。もしかして、漢王朝の大将軍何進様ですか?」

 

何進「俺の事が分かるのか? 服装も庶民が着る物を着ているのだか…」

 

風「此処は洛陽、天子様のお膝元。 庶民にしては丁寧な口調で態度、話に聞いた容貌とくれば大将軍様だなーと、普通に分かると思いますよー」

 

風(……ありがとうですよ、宝ャ)

 

何進「それなら話が早い。 まずは、俺の後に付いて来てくれ! 屋敷の中で話をしたい 」

 

稟「その言葉に『不定』の意志を示すと、反逆者として捕らえられて、結局は連れて行かれると言う事ですか? 」

 

風「でしたら、自分の意志で向かいますよー」

 

何進「理解が早くて、感謝する!」

 

ふぅー………。 全くコイツラは、俺が居なきゃ危なくてなんねぇ。

 

少し疲れたから、動かずにいるよ。 後は任せた…………!   

 

風「それじゃ、またなんかありましたら、起こしますからねー?」 

 

稟「……誰をです? 」

 

◆◇◆

 

【皇帝崩御、各国の件】

 

?幽州啄郡内の城内にて?

 

白蓮「……何、皇帝陛下が崩御された!?  分かった。至急慰問のため、洛陽に向かおう。 うむ、後の事は宜しく頼む! 」

 

知らせに来てくれた臣下に礼を済ませ、後の執務を任す。

 

私には、有名な臣下はいないが、皆実直な奴ばかり。 安心してこの国を任せて留守に出来る。 私は良き部下達を持って幸せだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

準備を整え、兵を連れて騎乗の人となり、洛陽に向かう。

 

ふと、道端を見ると大きな桑の木が見えた。 

 

ここから見ると車の蓋(かさ)のように見えて、とても立派だ。

 

白蓮「あれって、もしかして桃香の家じゃないか?」

 

ふと、学友の桃香を思い出した。 

 

『天の御遣い』と臣下を伴い、私の居城で客将になり、風評と名声を掴み飛び出して言った私の親友。

 

私は努力と才覚で力を付け、今の地位についている。 しかし、桃香は才覚も努力も私以下だったが、人を魅了する才能は私の全てを凌駕していた。 

 

…………天命があったかもな。 乱世を治めるべき『英雄』の天命が。

 

それなのに、桃香達は自分達の立場を忘れ、黄巾賊の首領張三姉妹を助けだそうした大罪で、曹孟徳預かりになったと聞いている。

 

そんな噂を聞いても、『桃香達は大丈夫だろうか?』と安否をふと考え、自分のお人好しに笑ってしまう。

 

部下達に言わせれば、桃香は鳥の『カッコウ』と同じ存在だと言う。

 

その名の鳥は、別種の鳥の巣に卵を生み雛を育てさせる、とんでもない鳥で、劉備達もそんな奴だと怒っている。 私もそう思う事は不定しない。

 

だけど、長い間親友をやっていたせいか、それでもアイツらを応援したくなってしまうのだ…。 私も桃香の才能に魅了されたのか分からないが、また会えたら言ってやろう。 『 元気にしてたか! 』と…………。

 

★☆★

 

?南皮 袁本初居城にて?

 

洛陽より『皇帝陛下崩御』の使者が到着しましたわ!

 

麗羽「…こ、皇帝陛下が…御崩御されてしまいましたかぁぁぁ──!」

 

ああぁ……っと、叫び声を上げつつ左手を額に当て、ヨロヨロとよろめき壁へ寄りかかる。 私の華麗かつ優雅な失望と悲しみの態度に驚く使者。

 

これで、宮廷内の私の立場は高く評価されるはず…ですわ!

 

……何を唖然として、こちらを見ているのでしょうか?! あの二人は!

 

猪々子「ボソッ(斗詩〜、アレって演技だって分かってるんだろう?)」

 

斗詩「ボソッ(わからないと思っている方が不思議だよねー?)」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

私は、使者が華琳さんのところにまだ行っていない事を知ると、使者が帰られた後に、早急に二人へ命じましたわ!

 

「 猪々子さん、斗詩さん! すぐに洛陽に出発する準備を! 」

 

早く洛陽に着いて、遅れてきた華琳さんを笑って差し上げるのです!

 

おーっほっほっほっほっ! 

 

★☆☆

 

?陳留城 華琳の私室にて?

 

桂花「華琳様! 洛陽より間者の報告が入りました!」

 

華琳「………皇帝陛下が崩御されたとでも?」

 

桂花「 ?! 何故それを! 」

 

一刀……貴方の予見、当たりみたいよ。 

 

一刀に近い内に起こる事象を教えるようにと、命を下した回答がこれ。

 

『天の御遣い』の力、何処まで先を見通しているのでしょうね……。

 

だが、我は『曹孟徳』! 天の意志に操られる者で在らず! 我は我の決めた事で、世を平らかにして安らかにする者也!!

 

華琳「今から洛陽に行く準備を! 兵は百、将は、私、桂花、春蘭、凪、真桜、沙和、一刀、劉玄徳、関雲長、張翼徳、張子竜、諸葛孔明 ホウ士元とします! 」

 

桂花「はっ!」

 

☆☆★

 

?南陽 袁公路居城 玉座にて?

 

七乃「お嬢様〜! 蜂蜜水お持ちしました!」

 

美羽「うむうむ、良きに計らえなのじゃ! ぬははははは!!」

 

七乃「あっ、そうそう。 先程皇帝陛下が崩御されたと、洛陽より遣いが来ましたから、直ぐ向かわれますよね?」

 

美羽「な、なんじゃとぉ! それなら、孫策にも早く連絡せい! 麗羽姉様より早く到着するのじゃ!」

 

七乃「わっかりました!」

 

☆★★

 

?長沙の城内 雪蓮の私室にて?

 

冥琳「雪蓮! 皇帝陛下が崩御されたそうだ!」

 

雪蓮「きたわね。 袁術ちゃんからも伝令が来るはずだから急ぎましょう!」

 

冥琳「今回は、蓮華様も?」

 

雪蓮「あの子にも、今、平原で騒いでいる『天の御遣い』達を見て貰いたいのよ。 董仲穎様にも、かなり借りが出来た状態だから、次代の孫家の当主の披露もしておきたいの…」

 

冥琳「……そんな早く逝くような事考えないで欲しい! …と言っても、私も人の事言えないな。 董仲穎の軍師が言った事が現実だったから……… 」

 

雪蓮「あの時程、颯馬に感謝の念を覚えた事は無いわよ! 冥琳ったら、殆ど信じてくれないし…。 それが『華陀』と言う医者に診察して貰えば…!」

 

祭「…………全くですぞ。 まさか、初期の不治の病が巣くっていたとは」

 

冥琳「祭殿!  いつの間に……?!」

 

祭「いや、部屋から皇帝陛下の話が聞こえて来ての。 ドアを開けっ放しにして、重大事項を話す当主と軍師を叱りに来たのだが……そうか、それで!」 

 

雪蓮「私や冥琳、いえ、孫家の者達は、全員颯馬に礼を言わないといけないわよ! 孫家の柱を、有能な臣下を、大事な家族を救ってくれたのだから…」

 

冥琳「……だが、『天の御遣い』を擁する曹孟徳や董仲穎は危険だ!」

 

祭「儂としては、どれだけ強いか興味が湧くがな………クククッ」

 

冥琳「祭殿、貴女も御覧になりましたでしょう? 張三姉妹の処刑を!」

 

雪蓮「ホン〜ト、不思議なモノだったけど、あの処刑した三人は身代わりよ? 「また、例の勘か?」 うん! その通り!」

 

祭「冥琳、儂もわかっていたぞ。 身代わりだと言う事だけはな…」

 

冥琳「祭殿は、どのように…。後学のため教えていただいても?」

 

祭「構わんぞ! 簡単な事でな、張三姉妹の気が途中で変わったのじゃ!」

 

冥琳「…参考までには致しましょう… (◎-◎;)」

 

雪蓮「…兎に角、ここで話をしても無駄! 準備をしっかりしてから、ね?」

 

冥琳「承知した!」  祭「任されよ!」

 

  ドタトタドタトタ、ドタトタドタトタ──…………

 

 

雪蓮「………颯馬……ありがとう……」

 

◆◇◆

 

【 颯馬の憂いの件 】

 

?天水城 大広間にて?

 

月「……………と、洛陽より使者が参りました!」

 

洛陽、劉宏皇帝崩御、その数日後に何皇后も後を追うように………か。

 

ここに董卓軍全将が集まり、月様より報告を伺った結果だ。

 

月様は慰問に出席するとの事で、配下の将も供に付いて行く。

 

供の付いて行く者は、詠、霞、俺、義輝、光秀、長慶、謙信、信長。

 

情報収集のため、三太夫、小太郎を潜り込ませる。

 

前に出会った『左慈』、『于吉』を警戒しての体制。

 

世界の破滅を願う輩なら、この国の頂点に当たる者を何らかの理由で、葬る可能性もあるとみた。 後は、自分の息の掛かった者にすり替える事も可。

 

勿論、天水にも残った者達で、支援及び厳戒体制で守っている。

 

颯馬「月様、何進大将軍から何か指示とかはありましたか?」

 

月「いえ……特に何も。 私も、この状態だからこそ御命令がくると…」

 

詠「…大将軍は、元庶民の出だから、力を借りれる所は少ないはずだし…」

 

俺は首を傾げる。 

 

史実の何進は、十常侍達と確執の上惨殺され、十常侍達も袁本初達により多数殺害された。 その近辺で兄の小帝が亡くなり献帝が即位する。

 

では、今の漢王朝内は、どうなっているのだ?

 

義輝「今は、洛陽や漢王朝内の様子を直に確認する良い機会じゃ! 」

 

光秀「そうです! 考えてばかりだと、重大な見落としや時期を逃してしまう事象が起きるかもしれません! 」

 

そうだな、取りあえず慰問をしてから、情報を探るようにしよう。

 

月様達と洛陽に向かう、何進大将軍の安否を気遣いながら…………。

 

◇◆◇

 

【 皇帝即位争いの件 】

 

?洛陽 宮廷内の部屋?

 

何進「…次の皇帝陛下は、亡き何皇后の血を引く『辯皇女』がよろしい!」

 

張譲「……いやいや、賢さと慎ましさをお持ちだった王美人の血を引かれる『協皇女』が相応しい!! 」

 

喧々囂々とやり合うそれぞれの擁立派。 

 

一見それらしく見えるが、心中では…………。

 

何進『この腐れ宦官め! 昨日はおめぇが、辯皇女で押してきたから賛成すれば、あっさり協皇女に乗り換えやがって! 俺が配下の意見を覆すのに、どれだけ掛かったのかわかるかぁ! コラァ───!!』

 

張譲『政敵の逆意見を述べるだけで、あの憎々しげに儂を蔑む何進を見ると、う〜〜ん、きぶ〜〜〜んは最高★★★★!!』

 

☆☆☆

 

上座に座る二人の皇女。

 

辯皇女「……………不毛…………」

 

協皇女「…わ、私は、姉上を押し……」

 

何進「今、協皇女が申したぞ! 辯皇女を皇帝にと───!」

 

張譲「あぁぁぁぁ〜? 聞こえんなぁぁぁ?!」

 

何進「おい! てめぇ! 皇女の言葉を聞こえんとはなんだぁ─!」

 

結局、周囲が止めて御開きとなる異常事態。

 

だけど、政務は十常侍が『代行』と言う事で務めているため支障は無かった。

 

★☆☆

 

?辯皇女 私室にて その日の夜?

 

銀糸「姉様、私達はどうなるのでしょうか……」

 

 

金糸「………」

 

 

銀糸「私としては、姉上に即位していただきたいのです! 私は姉上のように聡明で物事を客観的に見る事もできません! 姉上なら…!!」

 

 

金糸「……(フルフル) 我、言葉銀糸話相違。又、銀糸周囲暖、我周囲寒。 銀糸皇帝即位、我臣下降……」

 

訳[私は、銀糸のように言葉が違うから話せない。 それに、銀糸の周りは暖かく私の周りは冷たい。 銀糸が皇位へ私が臣下に下るから…]

 

 

銀糸「姉様…………」

 

 

金糸「故、銀糸否心配! 己信確固…我不往行…」

 

訳「だから、銀糸が心配することはない! 自分を信じて…私が居なくなっても……」

 

 

銀糸「嫌です…! そんなの嫌!! 」

 

 

金糸「……我……良妹義天授奉謝…否…天悵恨義妹取奪………!! 」

 

訳「………私に…良き義妹を与えてくれ天に感謝する…だが…義妹を取り上げようとする天を憎むぞ………!! 」

 

 

━━━━━━━━━━━━

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………………

 

金糸「……『天水』地、『天御遣人』降臨。 董仲穎配下入、轟天下名声!」

 

訳[………『天水』の地で、『天の御遣い』が降り立ち、董仲穎配下に加わり天下に名を轟かせたそうですよ!]

 

 

銀糸「私も話は聞いています。曹孟徳配下にも『天の御遣い』の名がありましたが………?」

 

 

金糸「我、『天水』降臨複数聴聞。 特『天城』名、軍略秀、武高手也」

 

訳[私が聞いたのは、『天水』で数人降り立ったと。 特に『天城』と言う者が軍略に秀でて、武も達人だと]

 

 

銀糸「そうなんですか? …もしかして、会えるのでしょうか? その天城という方に………」

 

 

金糸「……不明。 否、我強希望、対顔!!」

 

訳[…わからない。 いえ、私は会える事を強く望むます!!]

 

 

銀糸「姉上………そうですね。 私も望みましょう、その方に会えるように」

 

 

金糸『双五爪竜之天命、救是非…天遣人…』

 

訳『二人の皇族の天命、救えるか否か…天の御遣いよ……』

 

 

 

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最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

黄巾の乱が終われば、次はこれと言う事で始まりました漢王朝崩壊への序曲。

 

洛陽内の暗躍に巻き込まれる方々が、たくさん出てきますが、どうなるかは、作者も考えていません。 妄想の思いつくままに……。

 

 

オリジナルキャラで、辯皇女、協皇女が出ています。

 

辯皇女の言葉は、似非中国語ですので、雰囲気だけ味わって下さい。

 

本来は、四字熟語で会話するキャラを考えていたのですが、難しいため断念。

 

似たような事をやろうかなと思い、出来たのがこのキャラです。

 

賛否両論あると思いますが、宜しくお願いします。

 

また、宜しければ読んで下さい。

  

  

 

 

 

 

 

説明
義輝記の続編です。 この章より反董卓連合に入ります。
公孫賛も出ますが、普通の扱いです。 宜しければ読んで下さい。
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コメント
naku様 コメントありがとうございます!! 他の方の作品と違う物をと目指していた結果です。 白蓮の配下をどう動かすか悩むところ、とりあえず反董卓連合総大将の指図には従わせないようにはしますが…。 (いた)
雪風様 再度のコメントありがとうございます! 確かに、忘れないようにします! 泗水関、虎牢関の戦いに使用する策は、この外史独特の策を多数用意しますので。例えば竹簡とか…。(いた)
未来の第一大戦・・、泗水関・虎牢関・そして本拠地の留守居を受け持つ諸将の配置が第一の鍵だろう・・。そして主将(守将)・副将・軍師の任命お忘れなきよう・・・(雪風)
mokiti1976-2010様 コメントありがとうございます!! 戦極姫の『久秀』に絡むキャラを用意しましたら…この結果です。 多分この章で退場すると思いますが……。 (いた)
拷問を受けて快感に溺れる張譲が凄まじ過ぎる…。(mokiti1976-2010)
雪風様 コメントありがとうございます! まず反董卓連合の陣営は、原作と変わりない状態で行います。 まずは戦ってから真意を聞いて、友情を深めるのが原作でしたので。 (いた)
この先の未来にある第一の舞台(大戦)・・これを見据え諸勢力とどう対峙するかが第一の鍵だろう・・・。特に曹は警戒方針・孫は友好方針が良いかと。(雪風)
再コメントありがとうございます。 確かに考えれば実現可能な話です。 ですが天和達は送還済みとなってますから……残念です。(いた)
ふと思ったのですがもしも天和だけが白蓮のもとにいったらお互いの立場と中の人の相性の結果一大恐怖勢力になりそうな、正しく北の雄というか魔王。(禁玉⇒金球)
禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! 白蓮の資料収集して出てきた結果こんな人物に。他の作者さんみたいなキリッとした白蓮出したいな。 張譲は、同朋相反すで険悪になる可能性も…。(いた)
不思議ちゃんこと張譲と桂花は多分親友になれると思う、曹操陣営を考えるに愛紗の将来はきっと張譲では…いやまさかでも。白蓮の人格者ぶりと良い人さに吐血した、もっと恨めよ親友扱いするなよと思った私は正に大人になってしまったのだ…天才は99の努力と1の才能な努力の天才がオジサンは大好きです。劉備は才覚よりも運だけでわ、無責任だし。(禁玉⇒金球)
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