遊戯王GX HERO OF JUSTICE
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とある街の路地裏にて

そこにはビルの壁にめり込まれた不良たち約三十人と壁を背にデュエルディスクを構える不良たちのボスが一人いた。

 

「くそっ、いきなりなんなんだよ!?」

 

それは遡ること数分前、男は舎弟たちを連れて大通りの道をD・ホイールで爆走していた。いつもはセキュリティーの目を恐れて人気の少ない道を選ぶ彼だったが、今日は人が変わったかのようにそれまでとは全く別の考えで住宅街を走り抜けていた。

その理由は、ある一枚のカードにあることを彼は知らない。

 

『ナンバーズ確認デス!━━━様』

 

そんな男の元にキュルルル、と音をたてながら接近するロボットと黒一色の独特な服装の少年が姿を現す。

 

「貴様のナンバーズを、回収させてもらう……」

 

「誰だお前……何時の間に!?」

 

そう叫んだ男は懐からスタンガンを取り出し、電流が流れるようスイッチを入れた。しかし、何度スイッチに指を押しても電流が流れることは無かった。

 

「無駄だ。この『空間』ではデュエルに関すること以外できない」

 

「なんだと!?なに言ってやがる!!」

 

「スタンバイだ、オービタル7」

 

『カシコマリ!』

 

オービタル7と呼ばれたロボットが返事を返すと頭部辺りからデュエルディスクを少年目掛けて射出、少年の左腕に接続される。

 

「デュエルだ。貴様の闇をさらけ出してやる」

 

「デュエルだと!?」

 

「ナンバーズはデュエリストにしか取り憑かない」

 

徐々に周囲から光を集めつつある一夏がそう言う。

 

「そうか……こいつは『ナンバーズ』って言うのか!!こいつを手に入れて以来オレは御機嫌だぜ!!」

 

男はデッキケースから今朝拾った一枚の黒い縁で囲まれたカードを取り出してニヤリと黒い笑みを浮かべる。

 

「人の心に淀む影を照らす光━━人は俺をナンバーズ・ハンターと呼ぶ」

 

『デュエルモード・フォトン・チェンジ』

 

デュエルディスクからの無機質な機械音声と共に少年の服装は弾けるかのように黒から白へと変色していった。

 

「ナンバーズ・ハンター……!?」

 

「狩らせて貰おうか、貴様の魂ごと!!」

 

「チィッ!」

 

「「デュエル!!」」

 

少年LP4000

 

男LP4000

 

「先攻は貰うぜ!俺のターン!」

 

「俺はビッグ・ジョーズを召喚!」

 

ビッグ・ジョーズ ATK1800

 

「手札のシャーク・サッカーの効果発動!魚族のビッグ・ジョーズが召喚に成功したことにより特殊召喚する!」

 

シャーク・サッカー ATK200

 

「レベル3のビッグ・ジョーズとシャーク・サッカーでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 

男性の左手の甲に『17』の数字が浮かび上がる。

 

「来い!No.17 リバイス・ドラゴン!」

 

No.17 リバイス・ドラゴン ATK2000

 

「現れたか、ナンバーズ……」

 

「リバイス・ドラゴンの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使うことでこいつの攻撃力は500ポイントアップする!」

 

リバイス・ドラゴンの周囲を回っていた球体の一つをリバイス・ドラゴンが喰らうと、リバイス・ドラゴンの攻撃力が上昇した。

 

No.17 リバイス・ドラゴン ATK2000→2500

 

ORU2→1

 

「カードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

男性

手札三枚

モンスター No.17 リバイス・ドラゴン

魔法:罠 伏せ一枚

 

「俺のターン、ドロー。手札から速攻魔法《フォトン・リード》を発。これにより手札からレベル4以下の光属性モンスター、デイ・ブレーカーを特殊召喚する」

 

デイ・ブレーカー ATK1700

 

「特殊召喚されたデイ・ブレーカーの効果。手札から二体目のデイ・ブレーカーを特殊召喚し、さらに効果で三体目を特殊召喚」

 

デイ・ブレーカー×2 ATK1700

 

「レベル4のデイ・ブレーカー三体でオーバーレイ!三体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 

今度は少年の右手の甲から『10』の数字が浮かび上がる。

 

「現れろ!No.10 白輝士イルミネーター!」

 

No.10 白輝士イルミネーター ATK2400

 

「なっ!?お前もナンバーズを!?」

 

「イルミネーターの効果。オーバーレイ・ユニットを一つ使い、手札一枚を捨て、カードを一枚ドローする」

 

No.10 白輝士イルミネーター ORU3→2

 

男の驚愕に満ちた顔を無視して少年はプレイを続ける。イルミネーターの周囲を回っていた球体が巨大な剣に吸収される。少年は手札の一枚を墓地に送るとデッキから一枚カードを引き抜く。そして墓地から光が迸るとフィールドに大蛇が現れた。

 

ライト・サーペント ATK1200

 

「手札から墓地に送られたライト・サーペントはフィールドに特殊召喚される。そして俺はこのターン、まだ通常召喚を行っていない。よって手札からフォトン・パイレーツを召喚」

 

フォトン・パイレーツ ATK1000

 

「レベル3のライト・サーペントとフォトン・パイレーツでオーバーレイ!三体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 

今度は少年の左手の甲に『20』の数字が浮かび上がった。

 

「現れろ!No.20 蟻岩土ブリリアント!」

 

No.20 蟻岩土ブリリアント ATK1800

 

「に、二体のナンバーズ……しかも一ターンのうちに二度もエクシーズ召喚だと!?」

 

複数の展開がシンクロよりイマイチなエクシーズでそれを成し遂げた事に男は驚きを隠せない。

 

「蟻岩土ブリリアントの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使うことで俺の場のモンスター全ての攻撃力を300ポイントアップする」

 

No.10 白輝士イルミネーター ATK2400→2700

 

No.20 蟻岩土ブリリアント ATK1800→2100

ORU2→1

 

「バトル。白輝士イルミネーターでリバイス・ドラゴンを攻撃、シマーリング・ソード・スラッシュ!」

 

「させるか!トラップ発動!《エクシーズ・ミラー》。このカードは俺の場のエクシーズモンスターが攻撃対象になったとき、その攻撃を無効にし、その後俺の場のエクシーズモンスター一体につき相手に800ポイントのダメージを与える!」

 

リバイス・ドラゴンに向けて振り下ろされた大剣を突如現れた鏡のような盾が防ぎ、それによって起こった衝撃波が少年を襲った。

 

少年LP4000→3200

 

イルミネーターの攻撃が無効になった以上、攻撃力の劣るブリリアントでは追撃は出来ない。少年の攻撃はここまでだった。

 

「……カードを一枚伏せてターンエンド」

 

少年

手札無し

モンスター No.10 白輝士イルミネーター、No.20 蟻岩土ブリリアント

魔法:罠 伏せ一枚

 

「俺のターン、ドロー!ドリル・バーニカルを召喚!」

 

ドリル・バーニカル ATK300

 

「リバイス・ドラゴンの効果発動だ!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、攻撃力を500ポイントアップ!さらに装備魔法《エクシーズ・ユニット》を装備!これにより攻撃力は600ポイントアップ!」

 

No.17 リバイス・ドラゴン ATK2500→3600

ORU1→0

 

「手札から魔法カード《禁止薬物》を発動!これでこのターンリバイス・ドラゴンは二回の攻撃が可能となるぜ!」

 

どうやら男は一気にナンバーズを纏めて葬るつもりのようだ。

 

「バトル!リバイス・ドラゴンで先ずはイルミネーターを攻撃!バイス・ストリーム!!」

 

少年LP3200→2300

 

「続けてブリリアントを攻撃!セカンド・バイス・ストリーム!!」

 

少年LP2300→800

 

「最後にドリル・バーニカルでダイレクトアタック!」

 

少年LP800→500

 

「ドリル・バーニカルはダイレクトアタックしたとき攻撃力が1000ポイントアップする」

 

ドリル・バーニカル ATK300→1300

 

「ターンエンドだ。次のターンでテメェのナンバーズもいただきだ!ははははははははは!!」

 

男性

手札一枚

モンスター No.17 リバイス・ドラゴン、ドリル・バーニカル

魔法:罠 無し

 

「…………俺のターン」

 

ライフを三桁にまで削られても怯える様子すら見せない少年に男は苛立ちを覚える。が、男はそれ以上に勝利を確信していたが故に気を緩めていた。。なにせ攻撃力3600のリバイス・ドラゴンにダイレクトアタックが可能なドリル・バーニカルの二体がいるのだ。ドリル・バーニカルのダイレクトアタックで勝利が決まり、仮にドリル・バーニカルを破壊してもリバイスの攻撃で潰される。男の勝利は固い。

 

━━ただしその幻想は今よりほんの先の未来で打ち砕かれることを男は知らない━━

 

「俺は永続トラップ《リビングデッドの呼び声》を発動。この効果により墓地からNo.10 白輝士イルミネーターを特殊召喚」

 

No.10 白輝士イルミネーター ATK2400

 

「はっ!いまさらそんな雑魚で何が出来るってんだ。ええ?!」

 

「魔法カード《壷の中の魔導書》を発動。互いのプレイヤーはカードを三枚ドローする。さらに《強欲な壷》を発動し、二枚ドロー」

 

男の嘲笑を無視しつつ少年は着々とプレイングを進めていく。

 

「場にエクシーズモンスターが存在するとき、フォトン・スレイヤーは守備表示で特殊召喚できる」

 

フォトン・スレイヤー DEF1000

 

「攻撃力2000以上のモンスターが二体……俺はこのモンスターたちをリリース!」

 

少年の周辺に赤い十字架を模したパーツが展開される。それを掴むと少年は迷う事なく上空へカードごとぶん投げた。

 

「闇に輝く銀河よ、希望の光になりて我が僕に宿れ!光の化身、ここに降臨!現れろ!銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)!」

 

イルミネーターとスレイヤーを生け贄に、銀河の瞳を持ちし竜が姿を現した。それは、まさに光の結晶で編まれた竜と形容するに相応しき姿だった。闇を掻き消す神々しさと、あらゆるモノを焼き尽くす破滅の色という、相反する力を合わせ持つドラゴン。両翼から眩い閃光を迸らせるその雄々しき姿は、海馬瀬戸の青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)と比べても見劣りはしなかった。

 

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン) ATK3000

 

「最後にフォトン・ライダーを召喚」

 

フォトン・ライダー ATK1000

 

「魔法カード《地割れ》。攻撃力が最も低いドリル・バーニカルを破壊」

 

「チイッ!」

 

これでダイレクアタックによる敗北は防げた。しかしそれでもまだ足りない。

 

「バトルだ。銀河眼の光子竜でリバイス・ドラゴンを攻撃!」

 

「攻撃力の劣るモンスターで攻撃!?とんだプレイミスだな!」

 

リバイス・ドラゴンの攻撃力は3600。対してギャラクシーアイズは3000。リバイス・ドラゴンを倒すのにはまだ足りない。だが、少年の顔に笑みが浮かぶ。勝利を確信したものにだけ許される笑みが

 

「この瞬間、銀河眼の光子竜の効果が発動する!バトルする相手モンスターとこのモンスターをバトルフェイズ終了までゲームから除外する!」

 

「なにぃ!?」

 

男が二体のドラゴンを見ると丁度二体は光子となってどこかへ消えていったところだった。

 

「これでお前のモンスターはいなくなった……フォトン・ライダーでダイレクトアタック!」

 

男性LP4000→3000

 

「は、はははははは!!これでバトルフェイズは終了、リバイス・ドラゴンは攻撃力が元に戻った上にエクシーズ・ユニットも無いがそれでもテメェのライダーを破壊すれば俺の勝ちだ!」

 

高笑いする男を嘲笑うように、少年は笑みを濃くした。

 

「それはどうかな?」

 

「なに?」

 

「相手に戦闘ダメージを与えたとき、フォトン・ライダーの効果が発動する!このモンスターをリリースする事で墓地か除外ゾーンから、モンスター一体を特殊召喚する!」

 

「なっ!?てことは……!?」

 

「我が元に再び降臨せよ!銀河眼の光子竜!!」

 

銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン) ATK3000

 

「う、ああああ……」

 

銀河眼の攻撃力3000、男のライフも3000。まさにジャストキルであった。男は1ターンであの危機的状況を抜け出したことに恐怖心が現れる。

 

「トドメだ。銀河眼の光子竜でダイレクトアタック!破滅のフォトン・ストリーム!!」

 

「う、宇わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

男性LP3000→0

 

 

「No.17 リバイス・ドラゴン。回収完了」

 

デュエルが終わると少年の手には先程まで男が持っていたはずのナンバーズがあった。それを携帯電話でとある人物に報告すると帰ってきたのは新たな任務だった。

 

「……デュエルアカデミア?」

 

何でもここ最近、そこでアンティデュエルのような不正行為が幾度も行われている疑惑が噂されているらしい。しかも生徒や教師の中にナンバーズを持っている可能性があるとのことだった。

 

「了解。それでは━━」

 

少年は電話をきると昔近所のニート天災が作ったロボット、オービタル7に向き直る。

 

「帰るぞオービタル7」

 

『カシコマリ!』

 

オービタル7の腕が翼に変形すると少年は某機動戦士種のストライカーパックの如くそれを装着し、空を飛翔した。彼らが飛翔した後に残されていたのは壁にめり込んだ不良と魂が抜かれたように譫言を呟き続ける男性だけだった。

 

 

次回は十代のターン!!

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