機動戦士ガンダム異聞?旭日の旗の下に?序章2
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U.C.0079、1月13日 サイド5「ルウム」

 

 この日、ジオン軍とザフトは、残された全ての艦隊戦力をルウムに出撃させた。その戦力はグワジン級戦艦4隻、チベ級重巡洋艦26隻、ムサイ級軽巡洋艦51隻、ナスカ級高速戦闘艦30隻、ローラシア級フリゲート艦50隻で、更に後方にはパプワ、パゾク級補給艦が23隻ずつ付き従い、4000機近いモビルスーツと400機のガトル宇宙戦闘機を輸送していた。

 

 対する連邦はルウムに駐留する宇宙母艦「アガメムノン」以下、マゼラン級戦艦10隻、サラミス級巡洋艦20隻、他にフリゲート艦、輸送艦などの兵力を有するハルバートン准将麾下の第8艦隊、そしてアルテミスから出撃したレビル中将麾下の宇宙軍本隊が合流し、ジオン、ザフト連合艦隊を倍する戦力を有していた。

 

 戦力比は2:1…この数字に、誰もが連邦の勝利を予想した。

 

 そして、U.C.0079、1月15日。グリニッジ標準時22時40分、後に「ルウム戦役」と呼ばれる戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 序盤は連邦艦隊がその圧倒的な火力をもってジオン・ザフト艦隊に対し艦砲射撃を行い、先手を取ることに成功した。これはジオンとザフトの艦艇の主砲の殆どが連邦の艦艇よりも短く、連邦艦艇と張り合える艦艇がグワジン級しかなかったのである。更に戦力差も相まって、この会戦におけるジオン、ザフト両艦隊の被害は甚大だった。

 

 

 

 

第8艦隊旗艦「アガメムノン」艦橋

 

「どういう事だ?これは…」

 

 この時、艦橋で戦況を確認していたハルバートンはある疑問を抱いた。そう、ジオンとザフトは、虎の子のモビルスーツ戦力を投入していなかったのである。これまで連邦の劣勢は全てジオンとザフトのモビルスーツによるものだった。ガチンコの艦隊戦で連邦に敵わない事は奴らは知っている筈だ。なら何故…そう考えていたその時だった。

 

「司令!艦隊後方より多数の熱源!これは…敵のモビルスーツ隊です!」

 

「何!」

 

 この時、連邦軍は致命的なミスを犯した。そう、全てはジオン・ザフト連合艦隊総司令ドズル・ザビ中将の策であった。艦隊主力を囮として、連邦艦隊が主力に気を取られている間にがら空きの後方からモビルスーツ隊による奇襲を行う。そして、その策に一番早く気付いたハルバートンは空戦隊を迎撃に回すが、ジオンのMS「ザクU」とザフトの「ジン」に突破を許してしまう。これと同時にジオン軍はミノフスキー粒子を散布し、連邦艦隊の目と耳と網を塞いだことにより、連邦艦隊は劣勢に追い込まれたのである。

 

 

 

 

連邦艦隊総旗艦バーミンガム級超弩級戦艦「アナンケ」艦橋

 

「ミノフスキー粒子か…厄介なものを使ったな…」

 

 艦長椅子に座っていたレビルは、既に体勢が決した事を悟った。旗艦のアナンケも、動力をやられており、沈むのも時間の問題であった。

 

「将軍。最早これまでです。脱出を…」

 

 副官の言葉を静かに聞いたレビルは、「止むを得んか・・・」と呟くと、搭載艇のスペースランチで脱出、そのすぐ後に、アナンケは黒い三連星によって轟沈、脱出したレビルもまた、捕虜となったのである。

 

 

 

 

 ルウム戦役は、ジオンとザフトの圧倒的勝利で幕を下ろす。連邦宇宙軍は総兵力の8割を失い壊滅状態に陥った。しかも、レビルを捕虜にしたという戦果は大きく、ギレンは、連邦に対し休戦条約を申し込むことを決意する。これに対しプラント国防委員長パトリック・ザラを初めとする強硬派が猛反対するが、評議会議長シーゲル・クラインを初めとする穏健派が講和を支持した事により、プラント世論も講和に傾いた。

 

「我等選ばれたジオン国国民と同志プラントの前では、数で勝る連邦ですら烏合の衆に過ぎないのである!」

 

 ルウムでの勝利の後に行われたギレンの演説は国民の士気を高め、人々はこの戦争の勝利を確信していた。

 

 

 

だが、その確信は、最悪の結末で裏切られるのである。

 

 

 

 今まさに、南極条約が締結されようとしていたその時、思いもよらない情報が入る。ジオンの捕虜収容所にいたレビルが脱出し、アルテミスに帰還したのである。

 

「私はこの目で、ジオンとプラントの内情をつぶさに見てきた。我々も苦しいが、ジオンも、そしてプラントも苦しい。彼らに残された兵士は、あまりにも少ない」

 

 この演説は、レビルの帰還以上に、ジオン、プラント両国の内情を暴露されてしまったのである。結果、この条約は幾つかの戦時条約になってしまったのである。

 

 だが、この条約失敗から2週間後の2月14日、プラントは地球全域に核分裂を抑えるニューロンじゃマーを投下、後に「バレンタイン・クライシス」と呼ばれる惨劇であり、これにより地球は慢性的なエネルギー不足に見舞われるのである。

 

 そして、翌3月1日、ジオン、ザフト両軍は地球降下作戦を発動する。これにより戦場は宇宙から地上に移るのである。

 

 

 そんな中、中立の立場でありながら、大局を見極める一つの島国があった。

 

 

 

 その国の名は…「大日本帝国」

 

 

 

 時に、U.C.0079、皇紀2783年

 

 

 

 物語は、ここから始まる。

 

説明
プロローグの最後はルウムの戦いです。
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機動戦士ガンダム 機動戦士ガンダムSEED 紺碧の艦隊 クロスオーバー 

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