超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 ルウィー編
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「ふぅ、これにて一見落着かしら?」

 

「手ごたえはあった。確実に仕留めれた」

 

巨大なクレーターにはロボットが仰向けに倒れており、見え隠れする回路が激しく火花を散らしており、二度と起きる気配を見せない。ブランは俺達の直ぐに近くに着地した。シェアエナジーをありったけ込めた必殺技の消費の所為か、足元がおぼつかない。

 

「大丈夫か、ブラン?」

 

「問題ねぇよ。それより…どうしてお前らがここにいるんだ?」

 

声を掛けると軽く流され、鋭い眼差しでブランはベールとノワールを睨んだ。二人はそれに合わせて目を細めた。

 

「その疑いの眼差しはやめてほしいですわ。私がここに来たのは宛先不明のメールで紅夜が苦しんでいる内容と画像が送られ、ある人にこの場所を教えてもらっただけですわ」

 

「私もベールと同じようなものよ。別にこの国で何が起きていたのかなんて来るまでは知らなかったわ。それと事件を隠蔽するのはいいけど、もう少しうまくやりなさい。世間の耳は地獄耳で下らない噂でもあっという間に広がるわよ」

 

「うるせぇ!後からしゃしゃり出てきたテメェ等に心配される程の問題じゃない!それに既に解決済みだ。何をしても私の国のシェアは渡さない!」

 

「ちょ、お前ら?力合わせて倒したんだから仲良く喜べよ…」

 

お互いに視線に稲妻を走り、お互いに火花を上げている三人を抑える。

ブランは戦斧を担いでぶっきら棒に視線を外した。

ノワールは呆れたように手を頭に突けてため息を放ち。

ベールは興味がないように顔を逸らして俺の方に向いた。既に肩から腹に走った裂傷は消えているが、生々しいしく散った鮮血は体にこびりついたままだ。それを見たベールは目を細めた。

 

「……相変わらず、無茶をしているようですわね」

 

「無茶する必要があれば、いくらでもするよ。手が届く可能性が少しでもあるのなら、諦めない」

 

ベールは悲しげな顔で手に装着していたランスを解除した。

無手になったベールは優しく俺の体を抱き締めた。

 

「ちょ、ベール!?」

 

「紅夜の体は硬いですわね。そして冷たい」

 

『(おっぱい!おっぱい!おっぱい!!)』

 

プロセッサユニットの上にベールの胸が押し付けられ、潰されるように形を変える。深くなった谷間に急いで目を逸らすが、両手で無理やり顔を合わせられる。直接見ないために出来るだけ天井を見るように視線を向ける。

 

「でも、紅夜は誰よりも優しくて温かい心を持っていると断言できますわ。だから、一人で無理をしないで、一言ぐらい相談してほしいですわ」

 

「ウン、コレカラハキヨツケルヨ……」

 

『(緑の女神の胸はゲイムギョウ界世界一ィィィィィ!!!)』

 

「…………最低」

 

腕を組んで此方を横目で睨んだノワールの辛辣な一言に冷や汗が流れる。

 

「むっ、こんなに心配しているのに私を見ないなんてお仕置きが必要ですわね?」

 

「マジスイマセン、勘弁してください!!」

 

許されるならこの場で必殺の土下座をしたいが、がっしりホールドされているので前に進むことも後ろに進むことも出来ない!ブランはこちらを見ようともしないし、都合よく応援が来てくれるなんて可能性は絶望的だ。小悪魔のような微笑をして、徐々に顔を近づけてくるベール。

 

「近いです」

 

「近づけているのですわ」

 

『(リア充なんて氏ねばいいのに)』

 

下らないことを喋っているデペアは全く役に立たない。もう流されるままになろうかなと諦めようとしたら、クレーターの方から金属と金属が擦り合う音が聞こえた。

 

「……嘘だろ」

 

一番最初に口を開いたのはブランだった。

((立ち上がる|・・・・・))ロボット。まるで時間が巻き戻っているように乖離した回路が繋がり、飛び散った装甲の欠片がロボットに集まっていき、傷一つない製造された直後の状態となったロボットは冷たい二つのカメラアイを光らせ無造作に両手を水平に構える。

 

《夢幻剣戟術式兵装『アフトゥ』》

《連射術式兵装『フサッグァ』》

 

右手にあらゆるものを両断する枯れた木のような剣を握り、左手に重厚な六つの銃口がある回転式機銃は俺達と距離を取っていたブランに向けられた。

 

抱擁の力が弱くなったベールから離れ、バックプロセッサユニットを最大出力で噴き出しブランの元に手を伸ばす。同時にガトリングガンの銃口が火を吹いた。間一髪、反応の遅れたブランの腰を掴んで炎の弾丸群から逃げる。

 

引き金を引いた状態でガトリングガンを薙ぎ払い。それに合わせて翼を前方に展開して防御するが、一瞬で衝撃が去った。次の瞬間には翼は切り裂かれた。

 

「−−−こいつ!」

 

横にバックプロセッサごと切り裂かれ、一気に飛翔能力が落ちる。

再構築は間に合わない。既に問答無用に振り払われる斬撃に腕に抱えていたブランを上空に放り投げた。

 

回避不能。防御不能。迫りくる刃に当たってしまえば上半身と下半身は間違いなく切り裂かれる。

血相を変えてこちらに手を伸ばしているノワールとベール。紙でも盾替わりになるのかなと黒曜日を刃の進路に置くが、あの剣の能力は視界に入っている者なら両断する能力だ。一刀両断に切り裂かれる。

迫りくるであろう痛みを我慢しようと歯を食い縛ろうとしたとき、真横に閃光が走った。紫の長太刀、ネプテューヌの獲物が薙ぐっていた腕の関節部に刺さり、迫りくる剣筋が遅くなり下に歪んだ。

 

「ーーぐぅ!」

 

絶好のチャンス。ギリギリ、間一髪のタイミングで奴の((剣の腹を蹴って|・・・・・・・))体の向きを下に逸らした。

地面に着地した直後にバックプロセッサを再構築、背後から撃たれるガトリングガンの掃射から逃れる為にその場を急いで離れる。体を反転させて逆さま状態のまま冥獄神化したことで銃剣となった二つの黒曜日を構え奴の頭部に狙いを定め引き金を引く。氷のような蒼と燃えるような紅の二つの弾丸を奴の弾丸を魔力の爆発と共に木端微塵に破壊した。

体制を整えて今度こそ無事に着地した。そして横に先行させたアイエフとコンパの後を追ったネプテューヌ、あと空中に放り投げたブランが肩を合わせて着地した。

 

「待たせたわね」

 

「マジでナイスだ。ネプテューヌ」

 

あともう少し遅かったら上半身と下半身が永遠にさよならをしていた。

 

「お前…」

 

「話はあとでお願いします。ネプテューヌ」

 

「ええ、分かっているわ。あいちゃんとコンパは空が指定した場所で待っているわ。勿論、ゲイムキャラもセット完了あとは誘き出すだけ」

 

ネプテューヌが新たに長太刀を形成して構える。既に頭の再生は完了している。

隣にはノワールとベールは到着して、怪我はないかと心配そうな顔をしていたので親指を立てて見せるとほっと溜息を吐いた。

 

「結局、予定通りという訳ですわね」

 

「封印するしかないってことよね」

 

「奴の再生能力が無限なのか有限なのか分からないし、仮にどちらであっても俺達の体力がもつか分からないからな!」

 

ロボットのブーストに光が発せられ、あっという間に距離が詰められた。

一斉にその場を離れ、振り下ろされた剣閃を躱す。奴の視界に入る全てを切り裂く魔剣から放たれる斬撃が砂煙を上げながら伸びていき、青と赤のブロックで積み重なっていた切り裂いた。

頬に流れた冷や汗を感じた時、既に殴るように横に振られた斬撃を降下することで躱す。

大丈夫だ。あいつの速さは目で追えて、体も動いてくれる。本当に罪遺物とやらに感謝するしかない。これでなければ俺は既にあの世の行きだったからな。

 

『……あいつの動き、破壊神に似ている』

 

「マジか?」

 

『万年単位の付き合いだよ?キャプテンとあいつは幾度もなく喧嘩してきていたから君の反応速度が高いのもそれ』

 

「…紅夜と空って仲悪い?」

 

『喧嘩するほど仲がいい』

 

なるほど。しかし、体が覚えているってどんだけだよ。剣が地面に突き刺さっている態勢から顔と握られているガトリングガンの砲口がこちらに向けられる。直ぐにバックプロセッサから構成される翼を前方に交差するように展開することで放たれる弾丸から身を守る。脆く薄い壁越しで幾度も殴られる衝撃に耐えながらデペアに質問をぶつけた。

 

「ぶっちゃけ弱点とかない!?」

 

『質問、今まで君たちの前であいつが一度でも慢心したことある?』

 

「……ないな」

 

不味くない?慢心しない強者ほど厄介な奴はいないぞ。

 

『慢心するゆとりがないほど壊れた奴らばかりの奴らに絡まれていたからね』

 

なにそれ恐い。

 

『玉砕波動術式展開『アッツュールバニパルの焔』』

 

大気が震えると同時に四人の悲鳴。同時に壁に大きな物が勢いよく叩きつけられたような轟音が響き渡る。防御に回していた翼を戻すと視界にはロボットと天井に向けて剣先が向けていた体制。

 

『紅夜!体だけを隠せ!!』

 

デペアの言葉に咄嗟に再度防御に仕えない程に薄い翼を前方を多いロボットの視界から姿を隠す。既に振り下ろしている。そして黒曜日を頭上目掛けて振り上げロボットの斬撃にカウンターを決めた。黒曜日の刃がロボットの刃に差し込んだ。

 

黒曜日の刃に全力で魔力を込めて強化する。紅く発光する刃は更に刃に差し込んでいき、体を回転しながら黒曜日を振るうとロボットの視界にある全てを切り裂く魔剣の刃の一部は天に向かって上がる。

 

「ナイス、デペア!!」

 

『ナイス、紅夜!!』

 

視界にある物を切り裂くのなら、視界から隠ればいい。自分の体を翼で隠すことによって魔剣の能力を制限してカウンターを決める。外形上通りに耐久力は低く、切断することが出来た。ロボットは流れるように切断された魔剣を捨て、ガトリングガンの銃口を向けてくるが翼を鞭のように変形させ奴を腰に巻きつけ後ろに思いっきりぶん投げる。ロボットは後ろに引き飛び俺は前へと押し出され膝を付いているネプテューヌ達の元に急いだ。

 

「お前ら大丈夫か!?」

 

「だ、大丈夫よ…」

 

口元に流れていた血を拭いネプテューヌは立ち上がる。ベールとノワールも怪我はあったが問題なく立ち上がる。しかし、ブランはよろよろと千鳥足で立ち上がった。肩で荒く呼吸をして顔色も悪く立っているだけで辛そうだった。

 

「回復魔法使える奴いるか?」

 

全員が首を振った。刀、剣、槍、ハンマーそして双剣双銃と魔法使いそうなスタイルじゃないよな。ベールは使う頻度は高いが回復魔法を使う姿を見たことないし。見ただけで苦しそうなブランをどうしようかと考えようとしたとき、ブランが唐突に口を開いた

 

「私は絶対に降りねぇ」

 

「けど」

 

剣を使えないようにしたとしても、あいつの実力は無知数だ。それも謎の技術で再生能力を有している故に何度倒してとしても、何度も立ち上がる。俺達の立場は優勢であるが、俺達の勝利方法はゲイムキャラの力を使っての封印のみしかない。しかも長く戦っていれば疲労もたまりこちらが徐々に不利になってしまう。ブランの気持ちも分かるが、そんな状態で戦えば只ではすまない。あっちは眼前の敵を粉砕することをプログラムされた兵器なのだから。

 

「あの時の奇襲もマジェコンヌの野郎も結局、私は自分の手で何も出来ていない…!」

 

振り絞るような声音でブランは呟いた。何も握っていない手が青くなるほど、顔を下げている所為でその表情は見えない。

 

「私は無力じゃない。私は女神。ここで背を向けるなら死んだ方がいい!!」

 

「………分かった」

 

俺はブランの頭に手を置いた。そしてネプテューヌ、ノワール、ベールと視線を向ける。

 

「協力してくれ、ブランが真っ直ぐ走れる道を走れるように」

 

「分かったわ」

 

「紅夜の頼みなら仕方ないですわね。非常事態ですし、手柄は考えないでおきますわ」

 

「………はぁ、本当にあなたは甘いわね。分かったわよ」

 

壁が崩れる音に俺を含めた全員が構える。砂煙から弾丸のように飛び出したロボットに応戦するように俺達は地を蹴る。

 

 

 

「いい加減にクライマックスを決めようか!!」

 

 

 

 

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その28
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