真・恋姫無双〜Re:道〜
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  第三章‐壱話 『 真の悪 』

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「はぁ…頭痛いわ」

最近大陸では二つの出来事が起こった。

一つは黄巾党の討伐。もう一つは洛陽での帝の失踪。

黄巾党の討伐は各地の諸侯や義勇軍の活躍もあり完全に鎮圧。中でも曹操という者が首領の張角を討ち取ったとされている。

そして、帝に関しては洛陽の十常侍達でさえも依然その行方を掴んではいなかった。それもそのはずで今、帝は・・・

 

 

「おお〜。これが御遣いの見ている景色か」

「あはは。そんな大袈裟な。ただの肩車ですよ」

帝、劉協は今、この天水で御遣いの一人、北郷一刀の肩の上に居た。というか単に一刀が護衛のついでに相手をしている感じではあるが。

「よお。詠ちょっと相談が―」

「ふんっ!」

(…ひょいっ)

「ぴぎゃっ」

詠を訪ねてきた和輝に手元の竹簡を投げつける詠だったが簡単にかわされ、代わりに後ろにいた李儒に直撃していた。

「ああ!ごめん!大丈夫?」

「ひゃい」

李儒は鼻を押さえながらもそう答える。

「なんか柊に恨みでもあんのか?」

「あんたが避けるからでしょ!」

ちなみに柊とは李儒の真名らしい。

「それよりボクになにか用?」

「ああ。ちょいと一芝居しねぇといけねぇからな。その話だ」

「…なら丁度いいわ。ボクもあんたに聞きたいことがあるし、一度全員集めとくわ」

「わかった」

芝居がなんの事かはともかく、和輝が何を考えているのか。それを知るいい機会だと詠は感じていた。

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数時間ほど経って広間には人が集められた。集まったのは董卓配下の将達と御遣い達、白妙、白雪それと太白達と共に天水までやってきた典偉と稲葉に帝の一件で協力してもらった趙雲に加え柊といった面々が揃っていた。ちなみに太白は帝の護衛に就いている。

「それで、何から話そうか?」

「そうね、あんたの言ってた芝居も気になるけど、いい機会だからあんたに聞きたいことがあるわ」

「なんだ?」

詠に先を促す。

「御遣いのあんたが賊を抱え込んだり『悪党』を騙ったりしている理由が知りたいの。場合によっては月の為にも此処を出て行ってもらうわ」

詠の最後の一言にざわめきが起こる。それもそうだろう。詠は御遣いを切り捨てるとそう言っているのだ。

「俺が極道だからって言ったら?」

「納得すると思う?」

「…まあ、飽く迄俺個人の事だがな。詠。お前は『悪』をどう捉えてる?」

「民に危害を加えたり、平和を乱す者」

「それじゃ半分だ、じゃあ正義は?」

「悪を倒す者」

「…零点だ」

「じゃあ、あんたはどう思ってるわけ?」

詠の問いに、煙管に火を点しながら答える。自身の『悪』についてを。

「カタギに手を挙げるのも平和を乱すのも罪じゃああるが悪とはすこし違う。本当の悪ってのはその罪を背負えるかどうかだ」

「じゃああんたにとっての正義は?」

「ほとんど言い訳だな。正義ってのはそもそも振りかざすモンじゃ無ぇ」

そこまで答えて一度煙管を吸い、そして吐き出す。

「じゃあ、あんたは何で『悪党』を騙ってるの?今の話だとあんたは民に危害を加えているわけでもないし、わざわざ『悪党』を名乗る必要は無いと思うんだけど?」

「そうでもねぇよ。さっき正義を言い訳と言っただろ?何に対しての言い訳か分かるか?」

「…何?」

「人殺しだよ。人を殺しておいてそれを正義と言って己を正当化する。だから俺は相手が誰であれ殺した分の罪を背負って『悪党』を名乗ってる。己の罪を背負う覚悟のある奴だけが真の悪党に成れる。悪を倒して正義を語るなんてのは背負う覚悟の無ぇ半端モンのするこった。俺はそう考えてる」

言い終わり、煙管を仕舞いこむ。

「まっ、俺にとっては『悪まで人』。それを人殺しとして罪を背負ってるだけだからな。押し付けるつもりは無ぇが、理解してくれりゃそれでいい。で、詠。納得は出来たか?」

全員が黙り込む中視線を詠に向けると、詠は溜息をついていた。

「分かったわ。少なくとも、あんたがあんたの思う『悪党』なのはよく分かった。ならボクはボクの思う正義であんたを信用するわ。」

「そうか」

詠にとっての正義が何なのかは大体想像がつく。だからこそこれ以上なにも言う必要も無い。

「それじゃ、本題に入るわ。和輝。あんたの言ってた芝居っての皆に説明して」

「おう。じゃあ簡単に説明するが、今此処には帝が居る。で、十常侍の連中はまだそれを掴んじゃいねぇ。」

「それなんだけど。どうしてまだ奴等はそのことに気付いていないんだ?」

和輝の話に一刀が疑問を投げかける。

「帝を連れ帰る際十常侍の手下と殺り合ったんだがそんときは?燕の賊と一緒だったからな、今頃は賊が拉致ったと思ってるはずだ」

「補足すると私が友に頼んでそう促すようにしてもらいました」

和輝の説明に柊が付け足す。

「それでその?燕殿は何処に?」

今度は鬼灯が此処にいない?燕に対しての疑問を出す。

「そっちは柊のダチへの手紙届けるついでに芝居の仕込みをやってもらってる」

「では、和輝さん。そのお芝居とは一体なんですか?」

「牛角んとこの黒山賊。そこと合流ついでに一度ぶつかる。端からみたら賊を討伐しているようにな。それが芝居だ」

「ちょっと待って下さい。その、私なんかが言うのもおかしいかもしれないですが。牛角さんと戦う必要があるんですか?」

口を挟んできたのは典偉だった。というのも彼女の邑は今牛角が陰ながら守ってくれている。だから口を出さずにはいられなかった。

「まあ、飽く迄芝居だ死合うつもりは無ぇ。だが芝居そのものには意味がある。」

「それは?」

「『賊を倒して帝を救い出した』となれば御嬢が帝と一緒にいても不自然じゃなくなる。そういう筋書きだ」

これで芝居についての説明も終わった。

「なら部隊の編成も考えないといけないわね。和輝、黒山賊はいつ頃来るの?」

「拠点を出るのと同時に?燕が連絡しに来る。それに合わせてくれりゃあいい」

「わかったわ。最後に何か言っとくことはある?」

「そうだな、抜けるんなら今の内だぞ?」

和輝の最後の一言に誰も何も言う事も無く、席を立つ者もいない。

「じゃあ此処にいる全員覚悟はいいわけね。なら、ねねそれと李儒は後でボクの所に来て。それから武官組は部隊調練と後で持っていく部隊編成の確認。後は―」

「詠ちゃん」

「何?月」

次々と指示を飛ばす詠に月が制止をかけた。

「まずは、皆さん自己紹介をしましょう?」

そう言って月は微笑んだ。

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あとがき

 

ついに洛陽編に突入です。そしてそろそろ和輝の信念のようなものを語ってもいい時期かと思い今回の流れになりました。ちなみにこの第三章、恐らく話数が結構いきそうな予感がしていて三章の途中にも拠点を挟んでいこうと思っています。…そろそろ『虎と狐』も進めないといけないんですがね(汗

 

では、また次回!!

説明
第三章 洛陽編突入!

『Re:道』と書いて『リロード』ということで

注:オリキャラでます。リメイク作品です
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コメント
天龍焔さん>月の笑顔は一刀の心を簡単に射抜くでしょうねw 応援団撤収ーー!(ツナまん)
nakuさん>おい!誰だ!応援団呼んだ奴!!w(ツナまん)
naoさん>そうですねw和輝の感覚で言えば、屑か外道か小者でしかないです(ツナまん)
じゃあほとんどの賊は悪党にもなれてない屑ですなw(nao)
kyogo2012さん>世の中こんな悪党がいてもいいじゃないかと思ったのですよ。…似合ってる、最高の褒め言葉です!(ツナまん)
ほぉー。これはまた、奇怪なことですね。真の悪党ね。ふむ。なんだろうか。よく似合う気がするのは私の気のせいでしょうか?(Kyogo2012)
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