真・恋姫無双〜Re:道〜
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   第三章‐壱拾参話 『 一刀の選択 』

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ジャラン…

音が鳴る。それに合わせて敵兵が地面をのたうつ。首を斬られた者、手首や足首を斬られた者、或いは眼球を突き刺された者等様々だが、共通していることは防具に覆われていない所を狙われていること。そしてそれを一人の少女が行っていることだった。

「…敵を近づけんなし!」

武器を振るいながらも、白雪は指示を出す。彼女の戦い方と立華組の兵は相性が良い。と、いうのも彼女の武器…蛇腹剣の性質上まともに切り結ぶ様な戦い方をしない。まともにぶつかれば強度に難のある蛇腹剣では破壊される恐れもある。その為、極力防御より回避を選択するが、立華組の兵は敵の攻撃を受け止め押さえ込む事に特化している。つまりは集団での剣と盾の役割を区別していた。

そしてそれは一刀にも同じことが言えた。

別に多人数を相手に出来ないわけでは無いがそれでもやはり一対一の方がやりやすい事には代わりが無くそう言う意味ではやはり此方も剣と盾としての区別が出来ていた。

ただ、違うのは一刀は白雪と違い常に前に立つ必要があるくらいだが。

「くっそ、キリが無い!」

「…弱いのに数ばっか多いし」

白雪の言う通りだった。いくら盾が有効に働いても圧倒的に剣が足りていない。その一点においては流石に和輝を恨めしくも思ったりするのだが、短期間でこれだけ優秀な盾を育てたのだから文句も言えない。

とはいえ、このままチマチマと進んでも袁術が再び後退すれば手の出しようが無くなってしまう。そうなると何の為に鈴蘭や楓ちゃんが俺に任せたのか、その意味すら無くなってしまう。ならこの場で最善の一手は…、でもそれは。

「…おい、変態。何か考えがあるならなら教えろし」

「いや、あるにはあるけど、結構危ないよ?」

「…そんなの戦場なら何処でも一緒だし」

そうは言うけど、失敗すればそれこそ大変なことになる。

「…変態。お前は雪なんかより強いし」

「なんだよ、いきなり」

本当、どうしたんだ?突然に?

「…雪はお前みたいに真正面で戦えないし。一人じゃ戦えないし」

「そんな事は無いと思うけど?というか、何が言いたいんだ?」

「…お前と親分は何か考え方が似てるし。だから、“一刀”の後ろは雪が付いていってやるし」

あ〜、つまり、俺の考えてた事はとっくに分かってて、踏ん切りつかない俺に檄を飛ばしたかったのか。…なら素直に言えよ!回りくどいよ!どんだけ天邪鬼だよこいつ!

「分かった。なら、後ろは任せるよ」

「…任されてやるし」

多少不安に感じる所はあるが、当の本人は両手に蛇腹剣を持ってやる気満々だった。

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「あらら〜、孫策さんどうやら全部は押さえ切れなかったみたいですね」

「孫策も使えん奴なのじゃ。それより七乃、もう少し下がった方がいいのじゃないかえ?」

「いえいえ、多分大丈夫ですよ〜。どうやら抜けたのは丸十字と後から来た『黄』の旗の様ですし、見たところ先程より勢いはありませんからもう少し様子を見てからでも間に合いますよ」

「そうかえ?でもなにやら突っ込んで来てる気もするぞえ」

「……はい?」

袁術が何に気付いたのか張勲は最初分からなかった。だが、彼女の指差す所を見ると此方を目指して、一直線に突っ込んでくる人影が見えた。

「嘘!?まさか兵を置いてなんて!」

今から後退して間に合うか?いや、恐らく兵を纏めている間に踏み込まれる。大体、将が兵を置き去りにして向かってくるなど考えもしていなかったのだから。

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前に和輝と将棋を打った時に聞いたことがある。『穴熊』を相手にした時はじわじわとおびき出すか若しくは…

「『スズメ刺し』で一気に崩す、か」

『スズメ刺し』、飛び道具とも呼ばれる香、飛車、角を使った将棋の戦法の一つでありその特徴は火力を一点に集中させた突破力にある。その反面、集中させた火力の一点をずらされたりすれば意味は無くなってしまうのだが。今、袁術本陣が動く気配の無い今なら有効ではあった。只、心配があるとすれば駒が一枚足りないことだが。

目の前の敵は一刀が切り伏せ、一刀の討ち洩らしや左右の兵は白雪が両手の蛇腹剣で斬る。

香と飛車だけで何処まで行けるか分からないが、既に後戻りは出来ない。

「白雪!ついて来てるか?」

「…心配すんなし。雪はお前に合わせるだけだし」

振り返らずに言葉を交わす。今の所、大丈夫のようだ。しかし驚いた。こうして白雪と連携をとるのは初めてなのに不思議と動きやすい。と、言っても一刀自身は自分の思うがままに動いているだけなのだが、それに合わせる白雪が上手いのだ。きっとそれが白雪本来の戦い方なのだろう。そう考えるとさっきの言葉もあながち嘘では無いのかもしれない。

「見えた!あそこが本陣か!」

ようやく、目の前に『袁』の牙門旗が見えてきた時だった。

「…一刀、危ないし」

ゲシッ…

「へぶっ!」

いきなり後ろから蹴り飛ばされた。そして先程まで自分が立っていた所に大剣と人が落ちて来た。人はまだしも、剣は流石にやばかった。

「ううぅ…斗詩ぃ…」

なんか呟いてるけど、どうやら気を失っているようだ、防具からして多分袁紹の所の将か何かだろう。ってことは恋あたりとぶつかったのかな。

「…無視してさっさと袁術を討つし」

「ああ、そうだな」

とりあえず、邪魔されないうちに早く袁術の所へ行こう。でないと何の為に二人が孫策達を足止めしてくれているのか、その意味が無くなってしまう。

「袁術!」

「ぴーーー、七乃〜どうにかするのじゃ〜」

ようやく辿り着いた袁術本陣。しかしそこにいた少女に一瞬一刀は唖然としてしまう。

(これが袁術?まだ全然子供じゃないか)

自分の周りを思い返して見た目で判断出来ないのは分かっているつもりだが、この子に関しては多分見た目通りに只の子供にしか見えない。

「お嬢様に手出しはさせませんよ」

先程袁術が『七乃』と呼んだ側近の女性が間に割って入ってくるが、明らかに武人ではないだろう。というか今になって自分の周りがいかに常識離れしていたのか良く分かる。

「…お前じゃ雪にも勝てないし。大人しくしてるし」

「確かに私じゃ勝てませんけど、たった二人で敵陣深くまで侵入して帰られると思っているんですか〜?」

張勲の合図でたちどころに囲まれてしまう。

「どうやら、お二人共一度に沢山の兵は相手に出来ないようですし、お二人の兵も守備はともかく攻撃には向いていないようなので。ここで孤立させてしまえば後は数で押し切れますよね?」

「よく見てるなあ」

確かに言われた通りだ。一直線に駆け抜けるならともかく、こうして留まっている以上、囲まれれば此方が圧倒的に不利でしかない。この側近、思った以上に曲者だ。追い詰めたつもりが逆にそれを見越して此方が追い込まれてしまっている。

「あらら?流石に降参ですか〜?」

「白雪!?」

この状況に白雪は剣を仕舞い、何か取り出している。あれは、和輝のジッポか?

「…雪達は親分達に会うまではずっと三人で生きてきたし。だから戦う時もいつも三人一緒だったし。」

「?…でも今は違いますよね〜?」

「…違わないし」

そう言って白雪が細い筒状の物に火を点けてそれを後ろの逃げ道を塞いでいる兵達の中に投げ込む。次第にそこから煙が立ち上り始める。アレは発煙筒か?

「爆弾ですか?でも消してしまえば…」

「…もっと良いものだし」

 

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白雪の上げた煙は今は曹操軍と対峙している和輝達の所からも確認出来ていた。

「太ちゃん!煙が上がってるんさ!」

「分かってるッス!白妙、お願いするッス!」

太白に言われ白妙が斬馬刀の刃を寝かせて構える。

「させるか!」

それに気付いた楽進が止めに入ろうとするが、

「ふむ、それは此方も同じ事ですぞ!」

それを更に星が止めに入った。その間に太白は斬馬刀の腹の部分に乗る。

「行くんさー!」

そのまま白妙は斬馬刀を振り上げて太白を上空に飛ばし、太白は空中でトンファーを構える。

「だが、させん!空中ならば」

空中の太白に向かい夏侯淵が矢を放つ。

「『((空太刀・飛梅|からたち・とびうめ))』」

その矢を今度は和輝が払う。

「悪ぃがやらせねぇのはこっちも同じだよ」

「くっ」

「あそこッスね。『((破朱太亜雷降|ばすたあらいふる))』!」

 

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白雪が発煙筒を投げ込んだ辺りに太白の攻撃があ降り注ぐ。そこに置いてけぼりだった立華兵が雪崩れ込んでくる。

「…これで完全に追い込んだし」

「七乃〜」

「これはもう打つ手無しですね〜」

「とりあえずこれ以上はもう無意味だ。だから兵達に武器を捨てさせてくれないか?」

「…一刀。どうするつもりだし?」

一刀の言葉に白雪と同じ事を思ったのか張勲もポカンとしている。

「流石にこんな子供だとは思ってなくてさ。だからとりあえず捕虜にでもしておこうかなって。それで一応は鈴蘭に任された事は達成になるんじゃないかな?」

「…ならそれでもいいし。別に雪はどっちでもいいし」

「じゃあそう言う事で、兵に命令してもらえるかな?」

「それでお嬢様の命は助けてくれるですか?」

「うん。ただ二人共捕虜になってもらう事になるけど」

「……分かりました。では、兵士の皆さん。武器は捨てちゃって下さい」

張勲のなんとも軽い口調の命令で兵達は武器を手放してゆく。

「…お前達は袁術達を虎牢関まで連れて行くし」

立華組の数人が二人を連れて関へと戻っていくのを確認して、

「とりあえずすぐに楓ちゃん達に合流しに戻ろう」

「…それくらい分かってるし」

来た所を引き返して合流に向かう。

それにしても、さっきの太白の攻撃。確か曹操軍の方から飛んできたよな?和輝の奴何してるんだか。というより、キレたりしてないよな?そっちの方が心配なんだが。

ともかく、今は合流する為に一刀は急いだ。

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あとがき

 

狐燐「バスターライフルはチートっぽいよね?」

ツナ「便利の間違いです。チートって言ったら宝貝の方がチートですからね。地形が変わるくらいなら簡単に出来てしまうわけですし。」

狐燐「…まあ、否定はし辛いかな」

ツナ「まっ、EZ版しか使ってない辺りまだ有情ですよ」

狐燐「そうなるのかなぁ?」

ツナ「そうですよ。まあその話は置いておきましょう。とりあえずは二度目のアンケート実施です。対象キャラ、ドーン!」

 

一刀、和輝、楓、月、詠、恋、音々音、霞、鈴蘭、流琉、風、星、向日葵、太白、白妙、白雪、稲葉、楠、鬼灯、柊 (あとセキト?)

 

ツナ「今回と前回の弐話分の集計でキャラが決まりますのでよろしくです」

狐燐「ところでコラボはどうなってるの?」

ツナ「半分くらいですね。あまりネタバレしない程度にとかキャラ崩壊しない様に進めているつもりなので、慎重に書き進めていますよ」

狐燐「あっそ」

ツナ「うん。そう」

ツナ・狐「「では、また次回!!」」

説明
遅くなりました。今回も最後にアンケート実施です。

『Re:道』と書いて『リロード』ということで。

注:オリキャラでます。リメイク作品です
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コメント
naoさん>しかしそれ故に一点突破では強力なのがスズメ刺しなのですよ。単純なだけにね。 月ちゃんに一票入りまーす 月「はーい」(ツナまん)
兵を置いての突撃とか大胆すぎるだろw月に一票!(nao)
nakuさん>流石に戦場ではふざけませんよ。まあ一歩戦場から離れれば即変態呼ばわりしますけど 一刀「俺の存在意義って…」 白雪「…変態だし」(ツナまん)
nakuさん>白雪「…とりあえずなくの尻から蛇腹剣刺し込んで口まで貫通させてくるし」 やめたげて!? 今後の展開ですか?少なくともそんな三下みたいなことは無いですね(キッパリ(ツナまん)
禁玉⇒金球さん>まあ、子供を殺す度胸は一刀にはまだありませんからね。金づる?いえいえ、巻き込まれ要員ですww 月、鈴蘭、稲葉了解です(ツナまん)
kyogo2012さん・黒鉄 刃さん>アンケート前回と一緒ですね。分かりました。 まあ、何でもありなのは外史ですからww(論破完了)(ツナまん)
月、鈴蘭、稲葉でお願い致します。やっぱり捕虜に獲ったか戦場で指揮する以上は殺すか再起不能にするくらいが正論なのだが→解放条件に際して良い金づるに為るのではないかと考案いたします(禁玉⇒金球)
アンケートは前回と同じですね・・・・。(Kyogo2012)
前回と(アンケート)同じでよろしい?、ダメなら書きますけど。(黒鉄 刃)
もう、何でもありだな。外史っていうのは・・・・wwww(Kyogo2012)
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