TOS×恋姫無双 第一話 クラトス・アウリオンと三国志
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4000年前、四大英雄と呼ばれる者達が存在した。

 

かつてその者達はハーフエルフという種族への迫害を無くす為に、数々の尽力していた。

 

中でも、四大英雄の内の二人の姉弟は迫害を無くすために生涯を捧げてきた。

 

しかしそんな彼女らを、「人間」は無常にも裏切ってしまった。

 

その裏切った人間達に姉は殺され、その弟は変わってしまった。

 

ある四大英雄は、姉を殺され弟が変貌してしまった事をきっかけに、過ちと分かっていながらその悪行に同調し、ずっと見過ごしてきた。

 

彼はその弟の下を離れ、ある女性と出会った。

 

彼は彼女と結ばれた。無事に子供も授かり、世界など知らぬままこのままでいたい、そう思い続けた。

 

そんな彼をその弟が見逃すはずも無く、大きな組織を築きつつあったその弟の部下に妻は殺されてしまった。

 

彼は全てに絶望し、あらゆることに無気力になり、肉体的にも精神的にもボロボロになってその弟の下へと戻ってしまった。

 

だが、後に神子と呼ばれる救いの少女の護衛の任に就いた際に、彼は一人の少年と出会う。

 

その少年はどのような絶望的な状況になっても諦めなかった。

 

その姿は、姉を殺される前の弟を彷彿とさせる様だった。

 

彼が望んだ理想を掲げ、壁があればどんなに辛くとも打ち破っていった。

 

それが自分の息子だと知ったのはそう遠くなかった。

 

彼は自分の息子の望みに共鳴し、再び弟を止める決心をした。

 

その理想は叶い、世界は救われた。

 

彼はその後、弟のしてきた行いを償おうと、最果ての旅に出た。

 

彼こそが、四大英雄の一人。クラトス・アウリオンその人だ。

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「・・・」

 

クラトスは考えていた。

 

昔の自分、理想、四大英雄の仲間達、その事を振り返って今と照らし合わせていた。

 

自分の弱さが招いてしまった罪。

 

かつての自分達の悲願。

 

自分の妻と息子の絆。

 

思い返せば後悔が後を絶たなかった。

 

やり直したいと思ってはいても、時はもう戻らない、それが自然の摂理だった。

 

「(こんな事ばかりを考えていても仕方あるまい。)」

 

クラトスはそう思い、湧きだって来た後悔を忘れるために本を読もうかと思った。

 

クラトスは昔、まだ自分達が四大英雄として知られていなかった時期にある本を読んでいた。

 

はるか遠くの国が三国に分かれて争っていた話。

 

その国の一つは、悪政を敷いて腐敗した国を正す為、正義の為に生きた者達がいた。

 

その国の一つは、自分達の信じる覇道を歩み続けた者達がいた。

 

その国の一つは、混沌に陥った乱世を駆け抜け、家族の絆を結集し生きた者達がいた。

 

昔は只、単純に面白いから読んでいた。しかし今となってはなんだか過去の自分を映し出しているように思えて、より違った思いを馳せ、読めるようになっていた。

 

少し前からまた読み始めたこの小説もいよいよ終わりに近づいたのか、だんだん残りのページが少なくなっていた。

 

ようやく最後のページに差し掛かった-----

 

「む?」

 

が、そこからは読めなかった。

 

最後のページが、ない。クラトスは落としたのではないかと周辺を探し回るが。

 

「ない・・・か。そうなると何処へ-----

 

いったのだろうか、という言葉は続かなかった。

 

最後のページの無い本が急に光を放ち、その部屋一帯を包み込んでしまった。

 

そしてその光が輝きを失った頃には-----

 

クラトスは何処にもいなかった。

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「---っ、ここは一体・・・?」

 

先ほどいた場所とは全く違う空間にいた。

 

光が様々な場所で屈折し、まるでオーロラの中にいるような感覚だった。

 

クラトスは辺りを見回してみるが、どこも同じようなオーロラ色に包まれていた。

 

「あらん?誰かこの空間に入ったのかしらん?」

 

「っ!?」

 

人間の本能の成せる業なのか、クラトスは声のした方向から一瞬で間合いを取り剣を抜いた。

 

「誰だ!?」

 

「いやん、そんなに怖い声を出さないでよう。」

 

声のした方向を見ると、みにょん、という効果音が似合いそうに入れるのに何というか、入ってくるモノはバキバキバキィッという効果音が似合いそうな勢いで入ってくる。

 

これは危険を告げる本能なのか、クラトスの背筋がゾゾーッとしていた。

 

「・・・よいしょっと、あら?やだも〜、中々男前じゃないの〜。」

 

「近づくな!!」

 

「きゃあん!?」

 

きゃあん、と驚いた風に出す声は普通は女が出すような声である。

 

しかし今の声の主はどう見ても男であり、筋肉の塊だったでもあった。

 

「答えろ!ここは一体何だ?そして貴様も一体何だ!何者か、などという様な愚問は聞くまでもあるまい。貴様は何だ!」

 

クラトスは目の前に筋肉達磨が突然現れた事に衝撃を覚えたのか、少々パニックになっていた。

 

だが通常の人間ならどう考えても失神してしまう所だと思うが。

 

「ちょっとぉ。初対面の人に向かって失礼しちゃうじゃな〜い?」

 

「(貴様は本当にヒトなのか?)」

 

そう疑問に思うことはあったが、目の前の筋肉達磨の言うことももっともなのでクラトスはこの疑問を(無理やり)押しとどめた。何よりここが一体何なのかは今最も聞きたいことではある。

 

ちなみに最も聞きたいことその2は目の前の存在は何かということだが。

 

「なにか失礼なこと考えてそうな気が・・・もしかしてあたしに一目惚れ?いや〜ん照れちゃうわぁ!」

 

「・・・切る!」

 

「きゃん!怖い顔よ〜折角の男前が台無しじゃな〜い。」

 

貴様に褒められても嬉しくない!とはクラトス談。

 

「・・・じゃ本題に入るけど。」

 

しれっと本題に入られた。少し苛立ちを隠せなかった、とはクラトス談。

 

「あなたがどうしてここに呼ばれたのか、その理由から話しましょうか。そうねぇ、簡単に言うとあなたは・・・何だかあなたって呼びにくいわねぇ照れちゃうから(はぁと)お名前は?」

 

「・・・人に名前を尋ねる時は、まず自分から名乗ったらどうだ。」

 

息子の定番のセリフを使ってしまった・・・とはクラトス談。

 

「あらん、それもそうねぇ。あたしは貂蝉。しがない踊り子よ。」

 

「職業を偽るのは犯罪だと知らぬのか貴様?」

 

「いやねぇ、失礼しちゃう!」

 

このままでは自分が自分で無くなりそうだったので早く本題に戻れと促した。

 

「あらやだせっかちねぇ。けどそんなとこ、嫌いじゃないわよ?」

 

「続けろ。」

 

「・・・あなたは物語を創る身としてここに呼ばれた・・・何故かと言えばえぇと・・・面倒だからご主人様って呼ぶわね?」

 

もう無視しよう。そう決め込んだクラトスであった。

 

「その無言は肯定と取って良いわね?ご主人様は本を持っていたでしょ?最後のページがなくなっている本を。」

 

「・・・ああ。確かに私は持っている。」

 

「最後のページが破れているという事は、その本の中の登場人物は終わりを望んでいるのよ。」

 

「物語の完結を望んでいる・・・という事か?」

 

「その通りよぉ。ご主人様は選ばれたのよ。三国志を終わらせる人物として。」

 

「だが、何故私が選ばれたのだ?あの本は他にも読んでいた者がいたのだが?」

 

「それは多分ご主人様が物語の登場人物と同じような感情を抱いたからだと思うわ。」

 

「・・・!!」

 

確かにクラトスはこの本を読んでいくつかそのような感覚を感じた事はあった。

 

弱小勢力ながらも自分達の理想の為に力を尽くした劉備はかつての自分達のように。

 

その覇道を達成せんとする曹操はかつての自分達の悲願のように。

 

家族の結束で天下を握ろうとする孫権はかつて自分の理想だった家族のように。

 

自分だったら・・・という感情を湧き上がらせながら読んだ事も一度や二度ではなかった。

 

「それで?ご主人様は行くの?この無限の可能性を秘めた外史へと・・・。」

 

様々な思いを巡らせながらクラトスは答えた。

 

「・・・行こう。それが登場人物の望みならば。それがかつての自分の姿を見つめなおせるのならば。」

 

「分かったわ。じゃ、行きたい精力・・・じゃなくて勢力を選んで?」

 

「紙面でしか分からん冗談はやめろ。」

 

「劉備と共に正義の道を生きるか・・・

 

 曹操と共に覇道を歩むのか・・・

 

 孫策と共に乱世を駆け抜けるのか・・・

 

 誰と共に道を歩いていくのかはご主人様次第よ?」

 

 さて・・・貴方なら誰と歩みますか?

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後書き

 

いやいや、こんな感じでやらせていただきたいなと思います。

 

完全に発想はパクりましたが内容は完全オリジナルです。

 

今回はクラトスが主人公という訳なんですが・・・さて同じ感情を持ったクラトスが歩みだす道は誰となのか・・・この辺はリクエストにお答えします。(特に無ければ書きやすい方向で行きたいなぁと思います。)

 

ではではまた会う日まで・・・。

 

説明
TOXさんのテイルズ×恋姫無双のアイデアに衝撃を受けてこの作品を書き上げました。
本当はTOXさんがテイルズ×恋姫無双の作品を書き上げるまで待っているつもりでしたが・・・妄想が止まらずに遂に書き上げてしまいました・・・。すいませんですはい。知り合いが恋姫無双の小説を書いてるのを見たらつい・・・。
とりあえず個人的に好きなテイルズシリーズがTOSなんで、そのシリーズのキャラを登場させます。いっぱい出てくるとごちゃごちゃになってしまうのでなるべく少人数で出していきたいです。その他もろもろの追加設定があれば書いていきたいと思います。
では、テイルズ×恋姫無双スタートです・・・。
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コメント
魏で!!(明夏羽)
ぬこ様>皆さんやっぱりロイドは蜀ですねww自分も同じ意見ですが・・・。(K)
クラトスなら魏かなぁ・・・。ロイドは断然蜀っ!!クラトスは羽出せるから天の御使いって言っても違和感ないな。(ぬこ)
黒神様>最初はアビスでルークでもいいんじゃないかなぁと思いましたが、シンフォニアのほうが好きなので・・・ww蜀で親子タッグ組んでも良いし逆にあえて息子は蜀でパパさんは魏か呉のどっちかでも良いと思いました。(K)
いやー,クラトスが主人公であるとは驚きました。以前に自分が主人公候補で投票したのがまさかの主人公ですから。他の人が魏や呉を希望するのであれば,僕は蜀を希望します。己の罪を償いながらも桃香達と共に平和な国を作る為に戦う所を見たいですので。後,ロイドか親友のユアンが出てくるのも面白そうですので。新小説頑張ってください。(黒神)
nokakaki様>ゼロスですかぁ・・・拠点フェイズ時に突っ込んでみればギャグ風味になりますかね?シリアスなシーンでも割と良いこと言いそうですww(K)
クォーツ様>ロイドを出すとすればやっぱり蜀ですよね、ラタトスクのロイドならまだいけたかもしれませんが・・・。(K)
toto様>新勢力ですか!その発想は無かった・・・w(K)
ぜひ、クラトスは魏で。そして、実子であるロイドを蜀にお願いします。ロイドは弁舌苦手なので身の立証出来なくて魏か呉だと首刎ねられる率が高いから・・・(クォーツ)
よし・・ここは間をとって新勢力で(笑 続きまってまぁす^^(toto)
munimuni様>若干キャラ壊れましたが・・・少しくらいならいいかなぁと、後は出して欲しいキャラとかありましたらどうぞ(K)
ティリ様>やっぱりクラトスさんは良いお話無かった分家族愛っすかw続き考えます(K)
クラトスなら、呉で家族愛な話がいいかなぁ...書き易そうだしw  ついでにロイドを蜀、ミトスを魏に入れて三国を統一したりも見てみたいかも(ティリ)
タグ
恋姫無双 テイルズ TOS クラトス 

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