英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク
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〜遊撃士協会・ボース支部〜

 

「ただいま〜、ルグラン爺さん。」

「おお、ご苦労じゃったな。どれ、全員戻って来たようだし先に今回の報酬を渡しておくか。」

ルグランは戻ってきたエステル達や、既に待機していたルーク達もそれぞれ報酬を渡した。

 

「ふむ、かなり凶暴だったらしいが問題なく退治できたようじゃな。」

「うーん、それなんだけど……。ちょっと気になることがあってね。」

「あ、俺達も同じだぜ。」

「レン達の方もよ。」

「?気になることじゃと?」

「ああ、実はな―――」

そしてルーク達がルグランに魔獣の様子がおかしかった事を説明し始めた。

 

〜同時刻・ボース市〜

 

「ご機嫌よう、ヤハトさん。」

一方その頃マリアンを伴って街を歩いていたメイベル市長は親しげな様子で市民に話しかけた。

「おお、市長じゃないかね。教会に礼拝に行くのかね?」

「いえ、マーケットの視察に行くつもりですの。礼拝はその後するつもりですわ。」

「メイベル様……先日も、そんな事を仰いながら視察の時間を予定よりも大幅に使って、結局教会にお行きになりませんでしたが。」

メイベル市長の答えを聞いたマリアンは呆れた表情で指摘した。

 

「もう、マリアンったら。段々とリラに似てきたわね。今日は絶対に寄りますわよ。」

「ふぉふぉ、仕事も結構じゃが日々の生活を大切にする事じゃ。あんたみたいに責任のある立場にいる人間ならば特にな。」

「ええ、肝に銘じておきます。それではわたくしたちはこれで失礼しますわ。」

「失礼します。」

そしてメイベル市長はマリアンを伴って、マーケットに入って行った。

「お父上が亡くなった後、すぐに市長に立候補した時はどうなるかと思ったが……。今ではすっかり一人前の市長の顔になったのう。ふむ、もう少し肩の力を抜いた方がいいと思うが。……なんじゃ、あれは?」

メイベル市長達を見送った市民は何かに気付いて空を見上げた。

 

〜遊撃士協会・ボース支部〜

 

「ふむ、魔獣が怯えたり、やたらと暴れておったか……。何とも気になる話だのう。」

「うん、何だか不気味よね。そういえばアガット。前にもボース地方で同じようなことがあったとか言ってたよね?」

「む、そうなのか?」

エステルの話を聞いたルグランはアガットに尋ねた。

 

「ああ……まあな。爺さんがボースに来る前の話さ。」

「あら。ルグランお爺さんって元々ボースにいた訳じゃないの?」

アガットの説明を聞いてある事を疑問に思ったレンは尋ね

「ボースに遊撃士協会支部ができたのは確か『百日戦役』が終わった頃で、ルグラン爺さんは元々王都の支部にいたんだ。」

「うむ。かつてのリベールの遊撃士協会はグランセルにしかなくてな……。各地方に支部が作られたのは戦争が終わってからなんじゃよ。」

疑問を思っているレンにルークとルグランがそれぞれ説明した。

 

「へえ〜、そうだったんだ。」

「それは初耳だな。」

「という事はもしかして、各地方に支部が作られたのは『百日戦役』が関係しているのかしら?」

「確かにタイミング的に考えたらまずそっちが思い当たるもんな。」

説明を聞いたエステルとバダックは意外そうな表情をし、アーシアとフレンはそれぞれ考え込んでいた。

 

「……その『百日戦役』の直前だ。魔獣の様子がやたらとおかしかったっていうのはな。」

「へ……?」

「なんじゃと……?」

アガットの説明を聞いたエステルとルグランが首を傾げたその時、辺りを響き渡らせる轟音がすると同時に地面が激しく揺れた!

 

「な、なんじゃあ!?」

「な、なに今の!?」

「外だ……確かめるぞ!」

轟音に驚いたルーク達はギルドを出た。

 

〜ボース市〜

 

「ああっ!?」

ルーク達が外を出ると、そこには巨大な竜がマーケットの屋根に乗っていた!

 

「はわわっ……」

「なんて大きさ……!」

「―――竜か。」

竜の存在にティータやシェラザードが驚いている中、クラトスは冷静な様子で呟き

「はい……古代竜です!昔からリベールのどこかに棲息していると伝えられていましたが……」

「いやはや、たまげたねぇ。」

「しかし何故竜がこんな事を……!」

不安そうな表情で答えたクローゼの話を聞いたオリビエは呆けた様子で竜を見つめ、ジンは厳しい表情で竜を睨んでいた。

「まさか……こいつも『結社』の仕業か!?」

「……まあ、否定はすまい。」

そしてアガットが声を上げたその時クーデター事件以降行方を眩ましていた銀髪の青年―――ロランス少尉が竜の傍にいた。

 

「あ……!」

「!!」

「てめぇは……!?」

「情報部の特務部隊隊長!」

ロランス少尉の姿を見たアーシア、エステル、アガット、ルークは表情を厳しくしてロランス少尉を睨み

「――――いえ、”剣帝”レオンハルトね。」

レンは冷静な様子で呟いてロランス少尉―――”剣帝”レオンハルトを見つめた。

 

「ほう?既に俺の正体までわかっているとはさすがは”殲滅天使”の姉と言った所か。」

「あんな”犯罪者”にまで成り下がった”ニセモノの妹”とレンを一緒にしないで。不愉快よ。」

「レンちゃん……………」

「…………………」

自分の問いかけに不愉快そうな表情で答えたレンの様子にティータは悲しそうな表情をし、レーヴェは目を伏せて黙り込んだ後気を取り直して名乗り出た。

 

「―――改めて名乗ろう。執行者No.U。『剣帝』レオンハルト。以後、そう呼ぶといいだろう。」

「なるほど……『獅子(レオン)の果敢(ハルト)』か。すると『獅子(レーヴェ)』というのはキミの愛称だったわけだね。」

「フン、この”獅子王”たる俺を前にして”獅子”を名乗るとはな。」

「あ、あんですって〜!?」

「貴方が『レーヴェ』……」

「なるほど。お前がヨシュアの話にあった最も警戒すべき”執行者”か。」

レオンハルト―――レーヴェの名乗りを聞いて察して呟いたオリビエの言葉を聞いたバダックは不愉快そうな表情をし、エステルは声を上げ、クローゼは不安そうな表情をし、クラトスは冷静な様子で呟いた。

「……いささか不本意だが、仲間内ではそう呼ぶ者は多いな。まあ、お前たちも好きなように呼ぶがいい。」

「……舐めやがって……」

ルーク達がレーヴェを睨んでいる中、竜は突如暴れ出し、炎を吐いたりしていた!

 

「ああっ!?」

「街を焼くつもり……!?」

「チッ、まさかここまでするとはな……!」

「竜を操って何をするつもりよ……!」

竜の行動にエステルやシェラザードは驚き、フレンとアーシアは厳しい表情でレーヴェを睨んでいた。

 

「……やれやれ。手間をかけさせてくれる。」

一方レーヴェは溜息を吐いた後、竜の背に乗った。

「ま、待てやコラ!」

「今回の実験は少しばかり変則的でな。正直、お前たちの手に負える事件ではない。王国軍にでも任せて大人しくしておくのだな。」

竜はレーヴェを呼び止めるアガットの声を無視するかのように、レーヴェを背に乗せて飛び去り

「クソがあああああああああああああ―――っ!!」

竜が飛び去る様子を睨んでアガットは叫んだ!

 

「ど、どうしよう……。このままだと逃がしちゃう!」

「だけどその前に、崩壊したマーケット内にいる市民達を助けるべきじゃねえか!?」

竜が飛び去った後エステルとルークは混乱していたが

「……俺はこれからあのデカブツを追跡する。お前らは軍が来るまで被害状況を確認してろや。」

「えっ……!?」

「アガット?」

アガットの指示に二人は驚いた。

 

「後でまた連絡する!」

そしてルーク達の返事も聞かず、アガットは竜が去って行った方向を走って追って行った!

「アガットさん!?」

「ちょ、ちょっと!?」

アガットの行動にティータとシェラザードは驚いた。

 

「き、君たち!いい所にいてくれた!」

その時、市民の一人がルーク達に近づいて来た。

「頼む、手を貸してくれ!瓦礫の下敷きになった人や逃げ遅れた人がいるんだ!」

「なに!?」

「あ、あんですって!?」

「―――まずは市民達の救助を行った方がいいと思うが?お前達遊撃士の本分は市民達を助ける事だと聞いている。」

市民の話を聞いたエステルとジンは血相を変え、クラトスは冷静な表情で指摘し

「言われなくてもわかっているわよ!」

クラトスの言葉に答えたエステルはルーク達と共に急いでマーケット内に入った。

 

「……まずは、役割分担を決めなくちゃ!シェラ姉、アーシアさん、レン!クローゼとティータと一緒に逃げ遅れている人たちを誘導して!」

「ええ、分かったわ!姫様、ティータちゃん、西口の方に向かうわよ!」

「はい!」

「わ、わかりましたっ!」

「私達は東口の方に向かうわよ、レンちゃん!」

「ええ!」

エステルの指示に答えたレン達はその場から去り

「ジンさん、ルーク兄、バダックさん、フレンさん、オリビエ、それとクラトスさん!あたしたちは瓦礫の撤去を手伝いましょ!人数が多いから二手に分かれるわよ!」

「おお!」

「承知!ルーク、フレン!お前達は俺と共に来い!」

「「ああ!」」

「フッ、了解だ。」

「いいだろう!」

そしてエステル達もそれぞれ行動を始めた。

 

「お願い!返事をしてちょうだい!」

「マリアン!返事をしろ!」

メイベルとリオンは瓦礫の下にいる人物に悲痛な表情で叫び

「くっ……駄目だ……」

「僕たちだけの力じゃ……」

市民達は必死に瓦礫をどけようとしていたが瓦礫はビクともせず

「チッ、こうなったら………―――シャル!昌術で瓦礫を何とかするぞ!―――ブラックホールの準備をしろ!」

(む、無茶ですよ、坊ちゃん!下手したら下にいる彼女まで巻き添えになりますし、第一今のこの状況で上級昌術を放てばこの建物が完全に崩壊してしまいます!)

その様子に気付いて舌打ちをしたリオンは剣に話しかけていた。

 

「メイベル市長!」

「き、君たちは……!」

「エ、エステルさん!」

そこにエステル達が近づき

「お前は………」

リオンに気付いたクラトスはリオンに視線を向けた。

 

「手伝いに来たわ!誰か下にいるのね!?」

「マ、マリアンが……。マリアンがわたくしをかばってこの瓦礫の下に……!」

「!!!」

「このくらいだったら1人で持ち上げられるだろう。ちょいとそこから離れてくれ。」

「あ、ああ……」

「た、頼みます。」

ジンの言葉に頷いた市民達は瓦礫から離れ、そしてジンは瓦礫の下に手を入れた。

「……フンッ!」

そしてジンは瓦礫を持ち上げた!

 

「マリアン!?」

「無事か!?」

瓦礫の下にいたマリアンを見つけたメイベルとリオンは声を上げ

「う……あ……メイベル様……私……想い出し…………エミ……オ………やっと……た………今度こそ…………一緒………」

所々傷を負って血を流しているマリアンはメイベル市長に視線を向けて呟いた後、リオンに気付き、リオンに視線を向けて優しげな微笑みを浮かべた後気絶し

「!!!馬鹿………な……!?」

(そ、そんな!?本物のマリアンだなんて!?一体どうなっているんですか!?)

マリアンが呟いた言葉を聞いたリオンは目を見開いた。

 

「おお、生きてるぞ!」

「ああ、マリアン!!」

「オリビエ!マリアンさんを運ぶのを手伝って!クラトスさん!マリアンさんの傷を回復してあげて!」

「フッ、任せておきたまえ。」

「いいだろう。」

そしてエステルはオリビエと協力して、マリアンを瓦礫から少し離れた場所に運び、クラトスは詠唱を開始し

「僕はまた……守れなかったというのか……」

リオンは顔を俯かせて呟いていたが

(坊ちゃん!諦めるのはまだ早いです!今はマリアンの傷を回復してあげる事が先決です!)

「!!ああ……!今、治してやるからな、マリアン!」

シャルティエの念話を聞いて顔を見上げた後レンズに光を集め始めているシャルティエを抜くと共に身につけているオーブメントのクオーツに指を走らせた。

 

「へっ!?い、一体何を……!?」

リオンの行動に気付いたエステルが戸惑ったその時

「受けてみよ。―――ヒールストリーム!!」

「ヒール!ティアラル!!」

クラトスの魔術が発動すると同時にシャルティエの柄に嵌められてあるレンズが光り、リオンの治癒アーツと共に発動してマリアンの傷を完全に回復した。

 

「おお、傷が……!」

「クラトスと同じように”魔術”を使っただと……!?」

「ま、まさか貴方がリオン・マグナスって人??」

傷が完治したマリアンの様子にオリビエは驚き、リオンの行動を見たジンとエステルが驚きの表情でリオンを見つめたその時

「―――おい。確か貴様がマリアンの今の主だったな?マリアンをベッドに運んだ後、この薬を呑ませておけ。」

リオンが懐から深い青色の液体が入った瓶――――エリクシールを取り出してメイベル市長に押し付け

「えっ!?あ、あの!貴方、もしかしてマリアンの事を知っているのですか!?」

リオンに薬を押し付けられたメイベル市長は驚いた後血相を変えてリオンを見つめて尋ねたが、リオンはエステル達に背を向け

「ちょ、ちょっと待ってよ!あたし達も貴方には聞きたい事があるのよ!」

そのままエステルの制止の声を無視してその場から走り去った。

 

その後エステル達は分担して市民達をボースマーケットからの避難や手当てをした後、報告の為にギルドに向かった…………

 

 

説明
第69話
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