旅する猫  〜1〜
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                      〜はじまり〜

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猫島には一匹の猫がいました

 

 

その島で猫は一匹でした

 

 

いつから、何時までわからないほどの時間を一匹で過ごしました…

 

 

 

南に近い猫島は緑豊で

 

気候も比較的穏やかな島でした

 

その島には、猫以外の肉食獣おらず

 

その猫でさえ、滅多に狩はせず

 

虫、魚等を食べていました

 

 

 

 

猫の友達は

 

美しい歌声の小鳥であり

 

少し間抜けな象であり

 

時々食べたくなる鼠であり

 

緑豊かな密林であり

 

珊瑚に囲まれた海であり

 

澄み渡る空でありました

 

 

 

 

ある日

 

空には灰色雲

 

木々がざわめき

 

海は荒れ果て

 

島には珍しい嵐です

 

 

 

 

猫は怯えました

 

猫は雨が嫌いです

 

水が嫌いです

 

玉ねぎも嫌いです

 

海老で腰を抜かします

 

チョコレートを食べると死にます

 

なので嵐も大嫌いです

 

 

猫は一晩中洞窟の中で縮こまっていました

 

やがて朝になり

 

嵐は過ぎ去り

 

少し表情を変えた猫島を変わらぬ太陽が照らしました

 

 

 

猫は少しワクワクしていました

 

山を駆け降り

 

海岸を目差しました

 

なぜなら……

 

 

嵐の後はご馳走が落ちているかもしれないのです

 

それは、お魚であったり

お肉であったりします

 

なので猫は嵐の後がちょっぴり好きです

 

 

 

いつものように猫が海岸を物色していると

 

とても大きなボートが打ち上げられておりました

 

 

猫は少し驚きましたが

興味の方が打ち勝ち、ボートに飛び乗りました

 

 

どうやら、無人のようです

 

 

 

ボートの中は猫にとっては広く

 

真夏の陽射しも避けれそうな家(ダンボール)までありました

 

猫は早速ダンボール……もとい〜

家に飛び込むと

ゴロゴロと、うたた寝を始めました

 

 

猫がうたた寝をしていると、小鳥達が唄い始めました

 

 

嵐が来たよ〜来たよ〜

 

海は荒く〜波は高く〜

 

起きて〜起きて〜

 

小さな、にゃ〜

 

最後の、にゃ〜

 

私達の可愛……

 

 

唄はそこで聞こえなくなりました……

 

 

 

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                         〜夢〜

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猫は夢の中に居ました

 

 

波に揺れるボートは揺り篭の様で

 

波の音はまるで子守唄の様で

 

猫は遠い記憶の母の夢を見たのでした

 

 

猫が目覚めたのは

 

陽も暮れ、様々な動物達が眠りにつき

 

猫にとっては目覚めの夜でした

 

 

 

猫は、

 

朝よりも

 

昼よりも

 

夜が好きです

 

 

しかし猫は、猫島では夜に寝ておりました

 

朝は小鳥に叩き起こされ

 

昼は象の背中で昼寝し

 

たまに落っこちたり

 

水浴びに巻き込まれたり

 

夜は鼠を食べてしまわないように寝ました

 

 

しかし猫は夜の方が夜目がきき

 

涼しい夜が好きでした

 

 

さて…

 

猫は家から出るとびっくりしました

 

ボートの回りは海

 

右も左も下も…

 

空は変わらず、美しい星空でしたが

 

猫島どころか、島一つ見当たりません

 

猫は急に縮みこんでしまいました

 

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                〜にゃ〜

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猫は猫島の半分を知っていました

 

というか、自分のテリトリーだと思っています

 

小さな頃は産まれた場所から殆ど動かなかったのですが

 

毎日、小鳥と散歩し

 

象の背中で昼寝し、起きたら、遠くまで連れて行かれたり

 

鼠を追い掛けうっかり、遠くまで来てしまったり

 

 

 

そんな時、猫は動けなくなります

 

「にゃ〜にゃ〜」と

 

心細い様な…

 

悲しい様な…

 

そんな声で鳴きます......

 

 

 

 

そんな時、小鳥と鼠は象を呼びに行きます

 

 

「にゃ〜が泣いているよ間抜けなにゃ〜が、また知らない場所に来てしまったよ〜」

 

 

象はやれやれ〜と迎えに行きます

 

この時、猫の鳴き声が あまりにも猫らしかったので

猫の名前は「にゃ〜」となりました

 

 

猫は「にゃ〜」とは余り鳴きません

 

「メェ〜」とか

「アオォ〜ン」とか

「クぅ〜くゥ〜」とか

 

いろいろあります...

 

 

 

........少し話しがそれましたが

 

猫はテリトリー外が苦手です

 

えぇ〜そりゃ〜苦手ですとも

 

うっかり出るとペタンと平伏し、動かなくなったり

 

抱っこしてもぶるぶる震えたり

 

悲しい声で訴えます

 

さて、「にゃ〜」も立派な猫なので見知らぬ海の上で震えたりしました

 

 

 

……どれくらい震えていたでしょうか?

 

 

朝日が出るか出ない頃

にゃーは、ボートに慣れてきました

 

猫にもよりますが

小さい頃から色々な場所に連れて行かれ慣れた、ニャーは新しい場所でも比較的動けます

 

そりゃ〜何度か象には迎えに来てもらったが

 

2〜3度も同じ場所に置いて行かれれば慣れます

(三分の二は自分の不注意)

 

 

 

ぐぅ〜〜〜〜っ〜〜

 

 

・・・・とりあえず

 

お腹が空いた、にゃ〜は船内を探しました

 

がさがさ

 

ゴソゴソ……

 

 

ゴロゴロ〜

 

「あったにゃーー!!」

 

 

にゃーは釣竿を手に入れた!

 

 

釣竿を手に、いざ!!ニャーは魚釣りをはじめました

 

 

一時間…

 

 

 

二時間………

 

 

 

 

 

 

三時間…………

 

 

 

「……釣れないにゃ〜」

 

 

にゃ〜は、ゴロゴロしはじめました

 

つり竿を持ち、

 

右へごろごろ〜

 

左へゴロゴロ〜〜

 

餌をつけてない〜つり竿がごろごろ〜

 

。。。。。釣れるわけがありませんね

 

 

 

ニャーが釣りを諦めようとした

 

その時……!!

 

 

グィ〜ググィ〜

 

 

「にゃーーー!!!」

 

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                           〜子鯨〜

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「いたーーーぃ!!!」

 

 

なんと、釣った?のは

にゃ〜の何倍も大きなクジラです

 

翡翠の瞳

声は幼く、体もほんのり線が柔らかそうな子鯨は

 

わんわん〜と泣きました

 

「いーたーいーよ〜とっーてーよ〜」

 

 

 

猫は我に返ると

慌てて、ヒレに引っ掛かっていた針をとりました

 

 

取れたとたん、子鯨は泣きやみ

笑顔で御礼をいいました

  

 

「助けてくれて、ありがとう〜」

 

落ち着いた、にゃ〜は安心したのかお腹が「ころころ〜ぐううう〜」

と鳴ってしまいました

 

それを聞いた、子鯨は助けてくれた御礼に沢山の魚介類をくれました

 

 

ついでに、近くの島にも連れて行ってくれました

 

なんでも、この子鯨は

「春島」に行く途中だったが

 

通り道の「ゴミ島」に行きたくなく

 

のんびり泳いでたら、仲間とはぐれたそうです

 

「海〜亀〜さ〜ん〜が〜言っ〜て〜た〜ん〜だ〜ゴ〜ミ〜島〜は〜危〜険だ〜よ〜って〜

 

 

にゃ〜はのんび〜りな子鯨に聞きました

 

「なんで危険なんにゃ〜?」

 

 

子鯨は海亀さんに聞いた話しをしてくれました。。。。。。

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                      〜海亀〜

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海亀はクラゲが好きです

 

ある日、一匹の海亀がゴミ島の近くを通りました

 

海亀はびっくりしました

 

なんと!!クラゲが沢山居るではないですか〜

 

海亀は喜んで食べました

 

「ん??少し変な食感だカメ〜」

 

そう言いながらも、何匹か食べた海亀

 

 

数日後………

 

その海亀は海岸に動かなくなって

 

打ち上げられておりました……

 

「そ〜し〜て〜ね〜お〜腹〜か〜ら〜は〜ね…………」

 

 

ゴミブクロ、レジブクロ………大量のビニール袋が出て来たそうです。。。

 

 

海亀には、海にぷかぷか浮かぶビニール袋が、クラゲに見えました

 

 

毎年、多くの海亀がゴミ島に打ち上げられます。。。。。。

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説明
世界は広く
色々な国があります

猫島に生まれた、一匹のにゃんこ

嵐の夜に島に流れ着いた物…

子鯨との出会い...


さぁ!
にゃーと旅に出よう!!
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 物語 環境問題 

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