超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 プラネテューヌ編
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なんとなく空を見上げると群れを作った白鳥が空を飛んでいた。その先にある天を貫く勢いで立っているのはプラネテューヌの街並みを見下ろすことが出来る巨大な塔、プラネタワーだ。俺がいるのはプラネテューヌの大通りでいつもは賑やかなのだが、今日ばかりは誰もが黙って空に投影されたディスプレイを足を止めて見つめている。

 

『−−−ゲイムギョウ界に遍く生を受けし皆さん』

 

場面に凛々しき彼女の高い声が響いた、一斉に旗が青空に向かって上がった。

姿を現したのは編んだ髪を二つの分けた青空の様な双眸をした美しい女性。涼しげな表情で歩み出す女神はゆっくりと語り始めた。

 

『旧き時代に終わりを告げるこの日を、そして新しき時代へ第一歩を踏み出すこの日を皆さんと共に迎えられるこの日を喜びたいと思います』

 

「一週間前に練習したおかげでちゃんと覚えているな」

 

「椅子に縛って永遠と読ませたら流石に覚えるでしょ」

 

『……あれは拷問の一種だと思うよ』

 

あの時の病んだ瞳をしたネプテューヌには本気で同情した。他の女神もジャンケンに負けて良かったと心底から言っていた。やらなかった方が悪いと思うが、空はニッコリと笑ってエグイ事を平気する。空に依頼したイストワールも土下座する勢いで謝り、ネプテューヌの大好きなプリンを買ってきた程だったからな。因みにネプギアは空に滅茶苦茶怒ったが口で黙らされた。

 

『ご承知の通り、私達四女神は古の時代より争う宿命の敵でした』

 

「そんな時代を作った犯人が隣にいる件について」

 

「現状維持が一番難しいからそうやっただけ、勝手に争い始めたパターンもあったよ?」

 

そういう問題じゃないだろうとフードを被っている空に返すがはははと笑い返された。

 

『重厚なる黒の大地を治める女神、ブラックハート』

 

場面の向こうではコートを脱ぎ捨てて歩き始める露出が激しい正装姿のノワールの姿。奥には教会関係者がいて彼女が動き出すと一斉に立ち上がる。よく見ると女神候補生のユニや教祖であるケイの姿も見えた。

 

『雄大なる緑の大地を治める女神、グリーンハート』

 

「そういえば、紅夜はあそこに招待されていたんでしょ。なんで断ったの?」

 

「俺が行くのは場違いすぎるだろ?あいつら女神で俺は絶望の象徴であるブラッディハードだぞ?」

 

後のパーティーに行く約束はしたけどな。今日であいつ等と当分は会えないし。

今日は存分に笑い合って、楽しみたいな。

 

『夢見る白の大地を治める女神、ホワイトハート』

 

『紅夜、ボクは一人を除いて凄いことを発見した』

 

「一応、聞いておこうなんだ?」

 

『 歩けばおっぱいが揺れている』

 

言うな。気の所為かもしれないが一瞬、ブランがこっちを見たぞ。なんか額に青筋が浮かんでいたぞ。お前が怒らすことをして襲ってきたならダメージは全部、俺に受け持つことになるんだからな!?

 

『そして、私ーーー革新なる紫の大地を治める女神、パープルハート』

 

「ねぇ、僕が言うのもなんだけどそろそろ真剣にならない?」

 

『あんな露出の激しい服装をしているから悪いんだ!ボクは悪くない!!』

 

「はいはい、お前とのリンク切るぞ」

 

これ以上はあれなのだとギャクでこの良き日が終わってしまいそうなのでデペアとのリンクを切る。掌に浮き出ていた黒い宝玉は消えてデペアの声は聞こえなくなる。これで当分は黙るだろう。目を合わせた空と俺は同時にため息を付いた。

 

『四つの国が国力であるシェアエナジーを奪い合う歴史は過去の物となります』

 

「あれから一年か……」

 

「今でも君達に負けたのか悔しい」

 

フードの中では口を尖らせているのが見えるぐらいに不機嫌な空。それでも勝ったのだから大人しくこの世界とは関わらないと言った空はなんだかんだ優しいな。それによく聞けば、こいつは人間に殺されてしまった女神が可能性の中で、このゲイムギョウ界に人間でも女神でも再誕してほしいと言う目的だ。俺達は良く分からないが永遠の繁栄は絶対にありえない事らしく、いつかは文化と言うのは崩壊してしまうらしい。存在する物はいつか壊れるように。だから空は、それが長引く様にしてそれでも終焉になった時は旧神の鍵・儀典で世界そのものを転生させる荒技を何でも続けていたとのことだ。そして終わらせる為の鍵はブラッディハードの世界を憎む意志らしい。一応、空の力技で弱い意思を増幅させて可能だと言うことで、これはあまり重要とされていない。

 

『本日結ばれる友好条約は、私たちにとって掛け替えのない人の想いから学び決意したことです』

 

「呼ばれているよ紅夜」

 

「……おい、台詞を考えたのはお前とイストワール様だよな」

 

返事は陽気な口笛だった。カメラ視線のネプテューヌがどこか俺を見ている気がして、俺は深くため息を吐いた。勝てないなと。

 

『彼は、どんなに辛い状況でも私達を支え、どんなに強敵な存在でも勇敢に立ち向かい、どんなに傷つこうとも信じることも辞めず、どんなに悲惨な運命であろうとそれを壊す力がありました』

 

「〜〜〜〜〜!」

 

お願い辞めて、なんだかものすごい恥ずかしい。自分で自分を語るのも苦手だが、なんだが美化されているようなことを他人が語ってるのを見ると背中が痒くなる。

 

『私達はシェアを奪い合いことで、自国が幸福になるとばかり考えていましたが、それはきっと間違いであったのでしょう』

 

「これはちょっと間違っているけどね。誰かが幸福になる代わりに誰かに不幸を押し付けられる当然なことだけど」

 

「そんな世界にしないためにお前を倒したんだぞ」

 

深いため息を吐き空はフードの上から頭を掻いた。どうやら、意味を間違った捉えてしまった様だが、この質問が一度目じゃない。それに対して深く聞いたことも合ったが、理解できないのも罪で未知も罪だと言われ話をよく逸らされる。これは他人の口じゃなくて、自分の力で理解しないといけないようだ。

 

『守護女神である私たちは、国を守り発展すること以外に、ゲイムギョウ界そのものを守る存在なのです---彼は、私達に大切なことを気づかせてくれました』

 

「……ふんっ」

 

ぶっきら棒に顔を逸らす空。四女神は中央に集まると彼女の足元のパネルが発光して浮かび始める。空に浮かぶ彼女たちは同じ位置まで昇って停止する。そして、自身の意志で歩み始めてお互いに距離を詰めていく。

この一年、その間に新しい時代へと進むための準備として四大陸を空に修行を入れてもらいながら回った。誰もが好きな女神を大陸の生まれ関係なく信仰できる新しい形に喜んだ人がいた。

 

『これからは国を良い良い物にしていくことでシェアエナジーを増加させ、世界全体の発展に繋げていきます』

 

同時にそれを気に入らない人もいた。主に教会関係者の頭の固い人たちはそれを不純だと訴えたが、女神に対して硬い信仰を抱く彼らは女神の言葉に大体は黙ってくれた。しかし、腐敗した部分も調べるうちに分かり、信仰を利用した悪質な取引なども分かり、女神と共にそれを弾圧したりもした。改めて人の負の深さに驚いた。

 

『『『『私たちは過去を乗り越え、希望の光が溢れる世界を作ることを---ここに誓います』』』』

 

そして、今日は女神達は過去の呪縛を破壊して手と手を繋ぐ記念すべき日だ。

 

 

 

 

 

時は進んで真夜中、地上に咲く星空のように輝く街並みが辺り一面に広がっている。プラネタワーの巨大なテラスで開かれた友好条約を祝うパーティーの一角に俺達はいた。

 

「かんぱーい!!」

 

差し出されるそのグラスに四女神と俺は割れないように優しく当てた。カンッと心地のいい音を立ててグラスに満たされたジュースを口に運ぶ。因みに既に女神達は女神化を解いている。

 

「まずはお疲れ様、似合っていたぞネプテューヌ」

 

「えっへん、私にかかればこんなものだよ!」

 

ははは、お前がしたことはイストワールと空が考えたのを覚えただけだけどな。

女神集合に伴い、女神候補生達も全員、集合している。ただユニやネプギアはともかくとして、ロムちゃんらラムちゃんは小さすぎるから教祖であるミナさんが近くで色々お世話をしている。

 

「貴方のしたことって覚えただけでしょ?それに……」

 

「お願いノワール、思い出させないで」

 

珍しいネプテューヌのマジ顔にノワールは引いて小さく返事をする。目に光がない瞳がいきなり上目遣いしてきたら怖いだろうな、俺は少なくても怖い。

 

「サボらなければあんな目に合わずに済んだのに…」

 

「まあまあ、無事に終わりましたし今更過去を掘るのは辞めにしましょう」

 

因みに空は一緒に招待されたゼクス(女神の様に人間形態がある)の暴食を近くてクスクスと笑っている。それを対象にイストワールはマナーを守りなさいとお説教をしているが、どうやら料理に集中しすぎて聞く耳がないようだ。その近くにはアイエフやコンパの姿が合って苦笑している。

 

「うう、空ちゃんマジで鬼で悪魔で魔神の類だよ」

 

「それに関しては心底に同意する」

 

旅の中であいつに修行付けてもらったけど全く敵わない。ネプテューヌ達も一対一と一対複数で戦ったんだけど前者は同じ武器を使って圧勝、後者はコンビネーションの先を読んで尽く潰されて完勝された。俺はともかく、同じ武器を使って手も足も無かったネプテューヌ達は結構落ち込んだ。その後、ついでと空は女神が片付ける大事な書類を見たんだけど徹底的にダメだしされて、しかもそれが凄く正論であり更に落ち込んだ。ネプテューヌなんて二、三日は部屋から出なかったほどだ。

 

「あれよ、空だから仕方ないで済ますのが一番よ」

 

「そうですわね。モン〇ンで目を瞑ってフレーム回避とか生体TASですかあの人は…」

 

「入力スピードに耐え切れなくてコントローラーが故障していたわね」

 

「空ちゃんじゃないと絶対に無理だよね。あれ……」

 

俺も含めて全員は頷く。あれは別次元の生き物だ。あいつに勝てたのも奇跡が奇跡に合わさったのものだ。因みにそれを歳だと言った奴はニッコリと笑った空にパイルドライバーで沈められた……誰とは言わないが。

 

「それより紅夜は本当に何もいりませんの?」

 

「いや、お前のお蔭で新しい家を建ててもらったし、別に何もいらねェよ。空の話だと五年か十年くらいはこっちに戻ってこないし」

 

「女神としての面子もある。何か欲しがって貰わないと困る…」

 

「そう言って、アイエフもコンパも何も欲しがってないだろう?俺も同じだ」

 

空曰く、ブラッディハードはゲイムギョウ界に顕現しているだけでギョウカイ墓場又は冥獄界から無意識に負を巻き上げてしまう。それが原因でモンスターが勝手に生み出されてしまう可能性が非常に高いと言う事なので、俺は冥獄界に言って、ブラッディハードとしての力を完全に掌握しなければならない。女神の様に生まれたその時からその存在ではなく、ブラッディハードは後天的に生まれる者だからな。

 

「ま、あえて言うのならまだマジェコンヌが撒いたモンスター召喚ディスクがまだ残っている可能性があるから、それの処理をお願いな」

 

「それは女神として当然の仕事よ」

 

「私達が頑張らないとこぅちゃんの負担になるんだし、女神としてのお仕事頑張るよ!」

 

「ネプテューヌには合わないセリフだな」

 

はははと笑うとむっ口を尖らせたそれはネプテューヌだけじゃなくてノワール達もだ。ちょっと失言だったかな?でも頑張り過ぎても体調を崩したりでもしたら俺が怒るぞ。

 

「あれだあれ……人の負を否定するな女神達。俺からじゃなくてブラッディハードとしての言葉だ」

 

「……はぁ、そうね。何もかもが綺麗で済むのなら偽物はいらないわよね」

 

「でも、それを少しでも減らそうと私達は抗った。そして勝ち取った未来に私達は立っている」

 

その通りだとも、大きく離れる物は交わることはない。もしその矛盾を壊そうとすればどっちかが破綻しなければならないかもしれないけど、神である俺の中に神殺しの毒を吐くデペアがいるようにお互いに背中を合わせることは出来る。

 

「無理しない程度だな。俺の所為でお前らが無理してぶっ倒れたら俺が申し訳なくて心労でぶっ倒れるわ」

 

「一蓮托生、二人三脚……という訳ね」

 

「そういうことだ。お前らの速さに合わせて俺も合わせた歩くとするよ」

 

ほどほどが大事だ。頑張り過ぎても辛いし、怠けすぎたら迷惑が掛かる。女神としての重圧はこれからもお前らにとって大変な物になるだろうが、俺がいると言うことをアイエフやコンパがいることを忘れないでほしいな。

 

「それじゃ、俺はお前らの自慢の妹に挨拶してくるよ。当分は会えないしな」

 

「うん、行ってらっしゃい―!この後、ちょっと頼みごとからあるから付き合ってね!」

 

おーと返事をしてその場を離れる。まずはアイエフとコンパだな。

向かうと服から沢山食べたことが分かるほどにお腹を含まかせて満足げにうとうと眠たそうに眼を擦るゼクス。イストワールは最後まで話を聞いてくれなかったことに涙目になり、アイエフとコンパはそれを慰めていた。周囲を探すが、先ほどまでいた空の姿はない。よっ、手を上げて挨拶をするとアイエフとコンパは俺に気づいてため息を吐いた。

 

「……イストワール様は?」

 

「ダメね拗ねているわ」

 

背中からも感じるほどの負のオーラ。……うん、これはちょっと時間を置かないと話を聞いてくれなさそうだ。

 

「えっと、いきなりになるけど俺は明日行く。長い時間会えないけど必ず会いに行く」

 

「はいはい。そんな事言わなくても信じているから、行ってらっしゃい」

 

「勉強頑張って看護師になるです。こぅさんも鍛練頑張ってくださいです!」

 

了解。と軽くであるが遂に寝始めるゼクスとそんなだらしない兄の姿に負のオーラ全開のイストワールに背を向けて歩き出した。次は女神候補生達、ネプギア達だ。ネプテューヌ達の力を取り込んだ俺は女神の気配に鋭い、だから場所は直ぐに感知することが出来た。教会関係者の有名な人達に挨拶をしながら、人の川を潜っていくと正装姿のネプギア達がいた。女神候補生同士で話をしていた。

 

「お前ら楽しんでいるか?」

 

「お兄ちゃん!」

 

「お兄ちゃんだ……」

 

そうやって突っ込んできたロムちゃんとラムちゃんを受け止める。妙に好かれた。なんでこうなったかは分からない。一緒に遊んだり、誘拐されかけた時に助けた事ぐらいだけどな。

 

「ひ、久しぶりね紅夜!」

 

「ふふ、こんばんわ紅夜さん」

 

顔を紅潮させて露骨に目を逸らすユニと笑みを浮かべるネプギア。なんだか反応が妙に怪しい。

 

「一体、何を話していたんだ?」

 

「な、そんなのどうでもいいでしょ!少なくても紅夜には何にも関係ない話だわ!」

 

「紅夜の好みを聞いてきたの。ねっ、ロムちゃん」

 

「うん…お兄ちゃんの好きな物って、スポーツ…だね…」

 

「勝手に言うなぁぁ!!」

 

噴火する勢いで顔を更に真っ赤にするユニ。そんなに頭を掻いていると髪が乱れるぞ。

 

「お前ら、仲良しだな」

 

「うん、私達はもうお友達だよ」

 

ネプテューヌ達は守護女神戦争で仲違いが多かったが、最初から仲良くしているこいつらを見ていると何だか未来あるなぁとしみじみ痛感する。気になったのは脱力したユニとその様子にクスクスと笑うネプギアだった。

 

「さて、自前に聞いていると思うけど、俺は遠い所に行ってお前達とは数年会えなくなる」

 

「あ……そ、そうね。見てみなさいよアンタが帰ってきた時、転げ落ちる程に強くなって見せるわ。当然、女神化も完全にね!」

 

「私も強くなるよ。お姉ちゃんの役目に立ちたいから」

 

「えー、私はお兄ちゃんと遊びたいー……」

 

「私も絵本、また読んで欲しい……」

 

「ごめんな。帰ってきた時はこれでもかというほど遊んでやるから」

 

ブラッディハードの力を支配下にしないと、今じゃデペアの力を借りることが辛くなってきたし、俺は災害であり、その場にいるだけで良くないのを無意識の内に呼んでしまう。この世界のモンスターの配給はストップしたが、まだゲイムギョウ界に残っているモンスターはネプテューヌ達かこいつらに任せることになる。才能あるから、慢心さえしなければ大丈夫だと思うけど、まだ小さいロムちゃんやラムちゃんは心配だな。

 

「うぅ、分かったいい子してる……」

 

「早く帰ってきて……」

 

「分かった。任せろ……ネプギアもユニもまた会おうな」

 

納得してくれたロムちゃんやラムちゃん、頷くユニとネプギアに手を振りながらその場を離れる。後は冥獄界で師範をしてくれている空を探すが見当たらない。

 

「……ま、いいか」

 

冥獄界に行くためのディスクは既に渡されているし、これを使えば直ぐに転送される優れものだ。使い捨てだが、それもまたいい。悪用でもされたら最悪だからだな。後の用事はネプテューヌから呼ばれたやりたい事だがなんだろう?まさか、ここまで来てゲーム大会は辞めてくれよと思いながらネプテューヌ達の方に足を進めるとーーー。

 

「なんで、お前ら女神化してんの?」

 

神々しいプロセッサユニットを纏ったネプテューヌの姿。

敵でも来襲してきたかと混乱する。パーティー会場も同様に変身したネプテューヌ達の姿にざわつくが、そんなことを気にしないように唖然とする俺に近づいて手を取った。

 

「ちょ、お、おい!」

 

「行くわよ!」

 

どこに!?もう片手はベールが握りしめ一気に空に飛翔していく。晴れた夜空には満月が良く光って幻想的な雰囲気を出している。いや、そんなことはどうでもいい。握ってもらっている両手が命綱状態の俺はどうすればいいのだ!?

 

「思い出作りですわ」

 

「いや、一生の別れじゃないだから必要ないだろう」

 

「いえ、一時の別れにも必要な事です」

 

……へぇへぇ、そうですか。というか、そういうことは自前に一言くらい言ってくれよ寿命が縮む。ネプテューヌの隣にはブランが、ベールの隣にはノワールがお互いに手を結んだ。

 

「……俺も一緒に飛んでいいか?」

 

「勿論いいわよ」

 

ありがとと感謝の言葉を口にしてブラッディハード化する。紅の双翼を広げて宙に浮かび宙ぶらり状態だった俺は体制を整えてネプテューヌ達と並んだ。肌を刺す冷たい風と俺達を俯瞰する幻想的な満月、地上には幾多にも広がる光が、今日から始まる平和に希望を抱く心の光に見えた。

 

「明日から寂しくなるわね……ロムやラムがまたうるさくなるわ」

 

「ユニは帰ってきた時に驚かしてやるって気合が入っていたわね」

 

「紅夜、ネプギアは平気そうな顔をしていたかもしれないけど寂しがっていたから時には連絡をしてね」

 

「了解。一度行ったら終わるまで帰れないけど連絡ぐらいは出来る」

 

「皆さん、妹がいて羨ましいですわね」

 

お前にはチカがいるだろうがと呟く。因みにゲイムギョウ界と冥獄界は電波は繋がらないのが、空が手紙を送ってくれるらしい。何度も言うが、大袈裟なんだよ。一緒のお別れじゃないんだから。それにこの女神達を、このゲイムギョウ界に何かをしようとするほどの力を持つ奴なんて、それこそ空のように異世界からの来訪者くらいしか想像がつかない。

 

「紅夜、行きましょう!」

 

「ああ、そうだな。未来に!!」

 

 

 

 

明日を変えようとする革新なる心。

重厚に重なった黒鋼のような硬い心。

大地を連想させる雄大なる広き心。

子供の夢見る明るい未来を作ろうとする強い心。

 

ーーーそして、決して染めれぬ血潮の紅色をした優しき心。

 

その五つの閃光が夜の星空に虹を掛ける。

 

「これはまるで、流星のビヴロストだね」

 

人知らず丘の上でワインを片手に虹を見つめる者。恋に歪んだ者は女神としての可能性を信じることにした。人間と女神の関係は複雑であり、どちからの勝手な思い込みから一気に世界を崩壊させてしまうその歴史を見てしまっている。何度も見てしまった故に可能性を信じきれず理想を持ちながら夢を描くことは無かった愚かで可哀そうな翼のない天使はその情景に一人静かに涙を流す。

見ているのは過去と未来を繋ぎ、まだ見ぬ明日に光を伸ばす希望の橋。

その先にどれだけの絶望の闇が彼らを飲み込んでも、それを切り裂いてまた虹は掛かるだろう。

 

なぜなら、彼女たちは女神だから。

そして、それを守るのは未知なる魔神なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あァ、ヤットだ♪」

 

 

 

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超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神これにて完結とさせていただきます。

ここまで読んでくださってありがとうございます。

 

作者としてはとにかく長かった……。と思っています。

反省点としては

・主人公の性格が迷走気味

・誤字脱字

・描写の薄さ

      ……等々の次回に向けての改善が見えた気がします。

 

さて、これからこの続編。

モンスターのいなくなった平和なゲイムギョウ界に訪れる災厄。

ブラッディハードとなって苦悩する紅夜。

絶望と希望が円環を造るように廻る物語。

 

超次元ゲイムネプテューヌmk2 希望と絶望のウロボロス(リメイク版)を予定させていただいています。

既に伏線は所々にありますし、今から楽しみです。

今はプロット作りで大忙し、学生時代が終わり社会人となった身では中々時間が思うように取れませんが、絶対に投稿させていただきます!

 

それでは最後になりますが本当にここまで読んでいただきありがとうございます!

続編も頑張りますので応援をよろしくお願いします!!

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超次元ゲイムネプテューヌ 最終話 いままでありがとう、これからもよろしくお願いします 

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