恋姫英雄譚 鎮魂の修羅1
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一刀「・・・・・うっ、何が起きたんだ」

 

いきなり銅鏡が光ったと思ったら、何とも言えない浮遊感と共に意識が飛びそうになった

 

突然の眩い光に一瞬視力を失ったようで目を開けるのが辛い

 

それでもゆっくりと瞼を開けると

 

一刀「・・・・・な、なんだと」

 

そこは見渡す限りの荒野、そして遠くには岩山が点在していた

 

一刀「どういうことなんだよ・・・・・まさか、この鏡が!?」

 

自分の掌を確認するが、あの銅鏡はどこにもなかった

 

一刀「・・・・・待て、落ち着け、こうゆう時こそ平常心だ・・・・・とりあえず現状の確認だ」

 

まず、自分の身形、体を確認する

 

服装はフランチェスカの制服のまま、体に外傷は見当たらない、五体満足である

 

そして、辺りを見回すと

 

一刀「・・・・・ん、こいつは・・・・・」

 

後ろには、九州の道場から持って帰ってきたショルダーバッグがあった

 

急いで中を確認すると

 

一刀「・・・・・やっぱりな」

 

思った通り中には、北郷流無刀術の戦闘装束と祖父からもらった脇差、そして筆記用具一式が収められていた

 

一刀「どういうことなんだ、こんなものあったって役には・・・・・っ」

 

人の気配を感じ振り向くと遠くに三人ほどの人影がいた、その三人は間違いなくこっちに向かってきている

 

一刀「ちょうどいい、ここが何処なのか聞いてみよう」

 

そして、その三人と合流するが

 

アニキ「流星が降ってきたと思ったら随分といい拾い物だな・・・・・よう兄ちゃん、随分といい服着てんな」

 

チビ「ついでにその肩にしょっている妙な袋も置いていきな」

 

デク「い、命が欲しかったら、言うこと聞くんだな」

 

一刀「・・・・・いつの時代の追い剥ぎの台詞だ?」

 

その三人は、時代錯誤な服装をした見窄らしい奴らだった

 

アニキ「あ、何訳の分かんねえ事言ってんだ!?とっとと身包み全部置いてけって言ってんだ!」

 

一刀「・・・・・冗談なら許すが、本気ならえらい目に会うぞ」

 

目を吊り上げ、ドスの利いた声で迫る

 

アニキ「っ!?・・・・・こいつ、只者じゃねえ」

 

チビ「デク!ぬかるんじゃねえ!」

 

デク「が、頑張るんだな!」

 

三人は、腰の剣を抜く

 

一刀「っ!!?」

 

三人が剣を抜いた途端に一刀は目を見開く

 

アニキ「さあ、痛い目に会いたくなかったら「おい!!」・・・・・な、なんだよ・・・・・」

 

一刀「お前ら・・・・・人を斬っているのか・・・・・」

 

驚いた、抜いた剣が紛れもない真剣であった事もだが、その剣の刃毀れ具合、光り具合、刃の色、どう考えても動物を斬っている

 

しかも、犬や猫の大きさじゃなく、もっとでかい物をだ

 

チビ「はぁ?それがどうした?」

 

一刀「・・・・・どれくらい斬ったんだ?」

 

デク「い、いちいち覚えてないんだな」

 

一刀「・・・・・そうか」

 

ショルダーバックを地面に下ろし、無造作に三人組に向かっていく

 

アニキ「お、観念したみたいがっっ!!!」

 

いきなりヒゲのリーダー格の男がすっ飛んだ

 

チビ「あ、アニキ!!?今何が起こったんだ!!?」

 

デク「み、見えなかったんだな・・・・・」

 

一刀「おいお前ら、そこに座れ、今からお前らに人の道について教えてやる」

 

チビ「わ、訳分かんねえこといってんじゃねーーーー!!!」

 

デク「そ、そうなんだな!!」

 

二人一斉に両刃の剣を振るうが

 

ガキン!  バキン!

 

チビ「・・・・・は?」

 

デク「・・・・・へ?」

 

口を半開きにして唖然としているチビとデク、いきなり自分達の持っている剣の刀身が無くなったからだ

 

ドカッ! ドゴッ!

 

チビ「がっ!!!」

 

デク「ぶふぅ!!!」

 

次に見舞われた一撃により、二人は悶絶する

 

アニキ「ぐぅ!痛ってぇ〜〜〜!やりやがったなてめーーー!!!」

 

一刀「お前もここに座れ」

 

アニキ「うっせーーーーー!!!」

 

ぶち切れたリーダー格の男が剣を一刀に振り下ろすも

 

バシッ!

 

アニキ「なっ!!?」

 

その刃は、白刃取りで止められる

 

バキンッ!

 

アニキ「なにっ!!?」

 

そして、白刃取りしたまま大した力も込めず握力だけで折られてしまった

 

ドゴンッ!!

 

アニキ「ごフゥ!!!」

 

鳩尾からの強烈な痛みで、ヒゲの男は蹲った

 

アニキ「うぅ・・・・・お、俺達が悪かった・・・・・」

 

チビ「も、もうあんたには追い剥ぎはしない・・・・・」

 

デク「ゆ、許してほしいんだな・・・・・」

 

一刀「いいや、許さない」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

殺気を放ちながら、一刀は三人にゆっくり歩み寄る

 

アニキ「そ、そんな!!」

 

チビ「こ、殺さないでくれ!!」

 

デク「い、命ばかりはお助け!!」

 

一刀「勘違いすんな!!そこに直れ!!」

 

「「「・・・・・は?」」」

 

一刀「いいからそこに並んで正座するんだ!!!」

 

「「「は、はい〜〜〜〜〜!」」」

 

三人は、即座にその場で正座した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「いいかお前ら、もう一度言うぞ!!!人様から物を盗んだり、挙句の果てに命を取るなんてこと絶対にしちゃならないんだよ!!!」

 

アニキ「・・・・・・・・・・」

 

チビ「・・・・・・・・・・」

 

デブ「・・・・・・・・・・」

 

一刀「おまけに何だこの武器は!!!安物だが完全に真剣じゃないか!!!こんな物騒な物持ち歩くなんて、いったいどんな根性しているんだ!!!」

 

アニキ「あ、あの・・・・・旦那「なんだ!!!?」ひぃぃぃ・・・・・」

 

チビ「そ、それくらいの剣なら・・・・・どこにでも「誰が喋っていいって言ったんだ!!!」わぁぁぁぁ・・・・・」

 

デク「あ、足が痛いんだな「それがなんだ!!!?」うぅぅぅぅ・・・・・」

 

その後三人は、一刀からのお説教を一時間近く聞かされていた

 

地面は、当然石や砂利で出来ているため只でさえ痛く感覚が完全に麻痺してしまい、長時間のお説教で精神的には疲労困憊状態

 

これならいっそのことひと思いに殺してくれればどれだけ楽かと思っていたその時

 

ドドドドドドドドド!!!!

 

一刀「っ!?今度はなんだ?」

 

突然、巨大砂塵と共に足音が近づいてくる

 

来たのは

 

???「おい!!お前達怪我はないか!!?」

 

現れたのは、赤髪でなかなかのイケメンな青年だった

 

???「流星が落ちてきたのはこの辺のはずだが、変わった事はなかったか!?」

 

一刀「あ、あのすみません、どちら様でしょうか?」

 

???「ああ、すまない・・・・・俺は華佗、五斗米道(ゴットヴェイドー)の教えを受けた流れの医師さ」

 

一刀「華佗・・・・・え?それって医師は医師でも、大昔の中国の医師の名前じゃ・・・・・」

 

華佗「大昔?そっちこそ何を言っているんだ?・・・・・それより、この人達はどうしたんだ?見たところ長時間座りっぱなしで、足が悲鳴を上げているみたいだが」

 

一刀「実は、かくかくしかじかで説教をしているんです」

 

華佗「なに!!?それは許せないぞ!!」

 

アニキ「え?今ので分かったの?」

 

一刀「だからこうして、俺が人の道について教えてやっているんです」

 

華佗「偉い♪♪♪」

 

一刀「え!?」

 

華佗「今の時代、そんなことを口に出せる奴はなかなか居ないぞ♪君の名前を教えてくれないか♪」

 

一刀「あ、ああ・・・・・北郷一刀です」

 

華佗「姓が北、名が郷、字が一刀だな」

 

一刀「え?いや、姓が北郷で名が一刀です、字なんて物は無いけど」

 

華佗「字が無い?それは珍しいな」

 

一刀「別に珍しくもなんともないと思うけど、日本じゃ当たり前でしょ」

 

華佗「日本?それはどこの州の地名なんだ?」

 

一刀「州?さっきから何を言って・・・・・っておいお前ら!!まだ説教は終わってないぞ!!」

 

「「「びくっ!!!」」」

 

二人が会話に熱くなっている隙をついて逃げようとする三人だったが、甘かったようだ

 

華佗「そうだ!五斗米道(ゴットヴェイドー)の教えを受けて、この華佗がお前達を治療してやる!覚悟しろ!」

 

アニキ「だあああああもう面倒臭え!!こうなったら破れかぶれだ!!チビ、デク、行くぞ!!」

 

チビ「おうさ!!」

 

デク「や、やってやるんだな!」

 

華佗「俺は医者だ、殺しはしない、治療するのは、その身に巣食う病魔なり!はああああああああああ!」

 

一刀「っ!?これは!?」

 

腕に装備された手甲から一本の針を取り出す華佗、その瞬間全身の氣がその針に集中していく

 

ぴしゃーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!

 

アニキ「おぐう!!!?」

 

チビ「げはあ!!!?」

 

デク「ぶふううう!!?」

 

そして、一部の無駄のない動きで三人の間をすり抜ける

 

華佗「お前達の秘孔を突いた、これでお前達は半年以上は勃たない」

 

「「「ええええええええええええええ!!!!!????」」」

 

雄として牡として♂として、あまりに致命的かつ悲惨なこの現状

 

華佗「今回はこれで見逃してやる、だが次に悪事を働いていたら今度は一生勃たなくしてやるぞ!」

 

「「「ご、ごめんなさい!!!もうしませええええええええええん!!!」」」

 

股間を押さえながら、がに股のカッコ悪いポーズのまま三人は去っていった

 

一刀「・・・・・なかなかの氣ですね」

 

華佗「いや、いくらなんでもやり過ぎてしまったかもな・・・・・」

 

一刀「いや、ああいった奴らはあれくらいしないと懲りませんよ」

 

華佗「そう言ってもらえると、ありがたい・・・・・ところで北郷、さっきの話なんだがこの辺りに流星が落ちなかったか?」

 

一刀「流星?・・・・・いや、ちょっと待ってくれ、先にこっちが質問していいかな!?」

 

華佗「?・・・・・ああ、構わないが」

 

一刀「ここは、何処なんですか?」

 

華佗「どこって・・・・・ここは益州の巴東だが」

 

一刀「益州?・・・・・それって中国の地名ですよね」

 

華佗「中国?それは、どこの地名なんだ?」

 

一刀「地名?おいおい、本気で言ってるんですか!?」

 

華佗「本気もなにも、こっちもさっきから君が何を言っているのか分からないんだが・・・・・」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「・・・・・それじゃあ、今の王朝は」

 

華佗「ああ、漢王朝だ」

 

その後一刀と華佗は、近くの町へ向かいながら話し合っていた

 

一刀「(まさか、あの鏡でタイムスリップでもしたのか?)」

 

にわかには信じ難いことだが、周りの風景は日本のものでは決してありえないし、先ほどの追い剥ぎ達も時代に合わない服を着ていた

 

見れば見るほど、感じれば感じるほど、聞けば聞くほど今ある現状をまざまざと突きつけられる

 

華佗「なぁ、一刀は天の御遣いなのか?」

 

一刀「また訳の分からない単語が出てきたな、なんだそれ?」

 

華佗「国乱れ、人の心暗闇に染まりし時、天に一筋の流星切り裂く、流星天からの遣いを遣わし人々を安息に導きたもう・・・・・管輅という占い師の予言なんだ」

 

一刀「胡散臭い話だな・・・・・けどどうして、それが俺だと思うんだ?」

 

華佗「占いによるとこの巴東にその流星が落ちるとあった、その予言は見事的中してその流星が落ちた所に一刀がいたんだ・・・・・それに一刀の今までの言動、そして見慣れない服装、どう考えてもこの大陸に生まれた時からずっと住んでいる人間とは思えなくてな」

 

一刀「ああ、確かに俺はこの大陸の、この時代の人間じゃない」

 

華佗「時代?それはどういう意味だ?」

 

一刀「おそらく、俺は約2000年先の未来からこの時代にやってきたようなんだ・・・・・さっき華佗が言っていた流星、それと何か関係があるかもしれないけれど、少なくとも俺はその天の御遣いとやらじゃないはずだ」

 

華佗「そうか・・・・・一刀は天の御遣いではないのか・・・・・」

 

一刀「俺は、天なんて大層な肩書きを持つ人間じゃないよ・・・・・それと、さっきの華佗が使っていた五斗米道(ゴットヴェイドー)だっけ?あれって確か蜀の成都近郊の鶴鳴山で布教した道教教団だったような、陰陽太極図とかの・・・・・って、どうしたんだ?」

 

目を見開き、驚愕の表情をしている華佗に一刀はキョトンとする

 

華佗「・・・・・一刀・・・・・今、五斗米道(ゴットヴェイドー)を一発で発音しなかったか?・・・・・」

 

一刀「え?こんなの誰だって言えるだろう」

 

華佗「馬鹿を言うな!!!」

 

一刀「え!!?」

 

いきなりの華佗の怒声に一刀は軽く混乱する

 

華佗「俺も今まで多くの人々の病魔を癒してきたが、みんな五斗米道(ゴットヴェイドー)を五斗米道(ごとべいどう)としか言ってくれず、ずっと苦い思いをしてきたんだ!!だがそれを一刀は一発で吹き飛ばしてくれた!!ありがとう一刀!!」

 

一刀「い、いや・・・・・どういたしまして」

 

なんだか変に過剰反応する華佗なので、一刀も適当に合わせることにした

 

一刀「ということは、五斗米道(ゴットヴェイドー)は治療にも氣の運用ができるということだな」

 

華佗「ああ・・・・・本来であれば、さっきの三人のような使い方はするべきではないんだが・・・・・」

 

一刀「まぁあれは仕方がないだろ・・・・・それよりその五斗米道(ゴットヴェイドー)を教えてくれないか?」

 

華佗「あっはははははは♪無茶を言うな、五斗米道(ゴットヴェイドー)を習得するには、まず氣の使い手であることが大前提だ、見たところ一刀もかなり修練を積んでいるみたいだが、こればかりは誰にでも出来るというわけには行かない」

 

一刀「ふ〜〜〜ん・・・・・これでもか?」

 

ブオオオオオオオオオオオオオオ

 

次の瞬間、膨大な氣が一刀から溢れ出した

 

華佗「なっ!!?一刀は氣を扱えたのか!!?」

 

一刀「一応な、これでも足りないか?」

 

華佗「十分過ぎるさ!あとは氣の運用法と強弱さえ体得すれば習得したも同然だ!後で教えてやる!」

 

一刀「ありがとう、恩にきるよ」

 

今のでだいたい三割くらいだが、これならもっといけそうである

 

華佗「そろそろ町が見えてくる頃だな・・・・・それと、さっき一刀は字が無いと言っていたな、真名はどうなんだ?」

 

一刀「真名?また聞き慣れない単語が出てきたな」

 

華佗「これから町に行くんだ、それくらいの礼儀は知っておかないとな・・・・・真名というのは性、名、字の他に与えられるもう一つの名だ、その人の生き様や形を成した神聖なもので、たとえ知っていたとしてもその人の許可なしに呼んではいけない、人によっては勝手に呼べば即座に殺されてしまうこともあるから、呼ぶ時は注意するんだ」

 

一刀「そんな習慣聞いた事も無いが・・・・・ということは、華佗にも真名があるということか?」

 

華佗「いや、俺の両親は名と字はくれたんだが、真名をくれる直前で死んでしまったから俺には真名はないんだ」

 

一刀「え!?・・・・・すまない、聞いちゃ拙かったな・・・・・」

 

華佗「いやいい・・・・・俺と同じで他にも真名がない人間もいることを知ることができたからな」

 

一刀「俺が前居た所じゃ真名という習慣は無かったんだけどな・・・・・それにしてもよ良かったよ」

 

華佗「ん?何がだ?」

 

一刀「この時代に来て初めて会ったのが華佗だったことにだ、ここの習わしも教えてもらったし・・・・・もし華佗に会っていなかったらどうなっていたことか」

 

華佗「な〜〜〜に、俺もわざわざここまで来た甲斐があったぜ、一刀のような生きの良い奴に出会えたからな・・・・・おっとそろそろ見えてくる頃だが・・・・・」

 

一刀「(どんな町なんだ、大昔の中国ということは時代劇に出てくるようなものか、いやあれはあくまで現代人の想像の中の代物だしな)」

 

前方を見据え、未だ見ぬ町に思いを馳せる一刀だったが

 

一刀「ん?何だあれは?」

 

華佗「ああ、なんだか黒い煙みたいなのが上がっているな」

 

そう、前方から上がってくるのはモクモクと立ち上がる黒煙だった

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

華佗「・・・・・・・・・・」

 

一刀&華佗「「って!!!?火事!!!?」」

 

結論に達した二人はすぐさま駆け出した

 

華佗「っ!結構速いじゃないか一刀!」

 

一刀「そう言う華佗だって!学園じゃ俺と競争できる奴は一人も居なかったのに驚きだ!」

 

二人の速さは、オリンピックメダリストもびっくり仰天な程のものだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おらおらおら!!!金目のものは塵一つ残すな!!!食物は根こそぎ頂戴だ!!!」

 

「野郎は殺せ!!!女は全員真っ裸にしろ!!!」

 

「うわあああああああ!!!助けてくれえええええええ!!!」

 

「いやああああああああ!!!止めてええええええええ!!!」

 

盗賊の放った炎により焼き払われていく家屋、逃げ惑う人々

 

「そら!!そっちに行ったぞ!!」

 

「うへへへへ♪いい胸持ってんじゃねえか姉ちゃん♪」

 

「いや、近寄らないで・・・・・」

 

「大人しく殺されろや!!!」

 

ズバッ!!

 

「があああああ!!!痛えええええええええ!!!」

 

その惨状は文字通りの地獄、阿鼻叫喚の風景

 

一刀「うおおおおおおおおおお!!!」

 

ドカッ!!バキッ!!ドゴッ!!ズガッ!!ガキッ!!

 

「「「「「ごはあああああああああ!!!」」」

 

いきなりの打撃音と共に賊達は吹っ飛んだ

 

一刀「てめ〜ら〜〜〜〜、こんなことしてタダで済むと思っているのか!!!」

 

華佗「罪もない民達から金品を奪い、あまつさえ怪我人死人を増やすなど、お前達こそ大陸に蔓る最低最悪の病魔なり!!!」

 

「何だてめーらは!!!」

 

「訳わかんねーことほざいてんじゃねーぞ!!!」

 

「これでも喰らえ!!!」

 

賊は、一刀に矢を射る

 

ガシィッ!

 

「なっ!!?」

 

その矢は、一刀に素手で掴まれる

 

ドガアッ!!

 

「べふうっっっ!!!」

 

賊は、一刀の強烈な上段蹴りで吹っ飛ぶ

 

「こいつ!!」

 

「やっちまえ!!」

 

さらに二人の賊が剣を抜いて襲って来るが

 

バキンッ!  キインッ!

 

「なっ!!?」

 

「嘘だろ!!?」

 

一刀「そんな安物な鈍らを俺に向けるなんて、どうぞ壊して下さいと言っているようなもんだ!ふっ!」

 

ドカッ!! ドコンッ!!

 

「ごぐう!!!」

 

「ぎゃはっ!!!」

 

華佗「はあああああああ!!五斗米道ーーーーーーーーーー!!!」

 

ピシャーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!

 

「げふう!!!」

 

「うぐっ!!か、体が動かねえぇ・・・・・」

 

華佗「暫く大人しくしてるんだな・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、街を襲っていた賊達は一刀と華佗により縛り上げられ一箇所に集められた

 

華佗「はああああああああ!」

 

一刀「(こいつは、さっきの氣の運用とはまた違うな)」

 

華佗「違う・・・・・こいつらじゃない・・・・・こいつか?いや、こいつでもない・・・・・」

 

一刀「(なるほど、ああやって病気の根源を探っているのか)」

 

華佗「見えた!貴様ら病魔など!この鍼の一撃で蹴散らしてやる!はああああああああああ!我が身、我が鍼と一つなり!一鍼同体!全力全快!必察必治癒!病魔覆滅!げ・ん・き・に・なれえええええええええっ!」

 

ピシャーーーーーーーーーん!!!

 

華佗「病魔・・・・・退散・・・・・」

 

「うお!!?もう治っている!!?どうなっているんだ!!?」

 

一刀「(そして明らかになった病根に氣を打ち込んで消滅させる、あの針はその為にあるんだな)」

 

普通の人が見れば何をしているのか分からないであろうが、氣の使い手である一刀からすれば氣の動きが見えているためどんな事をしているのか分かる

 

華佗「よし、これで全員だな・・・・・だいたいこんな感じだが、分かったか?」

 

一刀「ああ、何回か見て氣をどう運用するのかだいぶ分かってきた」

 

華佗「それにしても、一刀もしっかり手加減しているな・・・・・あれはどんな武術なんだ」

 

一刀「俺の家に伝わる北郷流無刀術っていって、本来は人殺し専門の技なんだけど、俺は生殺与奪なんてごめんだからな」

 

華佗「・・・・・一刀は、俺の想像以上のやつだったよ♪」

 

一刀「よせよ♪」

 

とてもついさっき会ったばかりとは思えない仲の良さの二人だった

 

しかし

 

ズバッ!!

 

「ぐぎゃあ!!!」

 

一刀「なっ!!?」

 

華佗「なに!!?」

 

いきなりの叫び声に一刀も華佗も驚いて振り向くと町民達が次々と賊達を手にかけていた

 

一刀「おい!!何をしているんだ!!?止めろ!!」

 

「こいつめ!!!俺のダチをよくも!!!」

 

手には短刀、又は包丁を持ち次々と賊達を殺していく町民達

 

一刀「止めるんだ!!そんな事をしても意味はない!!」

 

「止めないで!!!こいつらは私の赤ちゃんを殺したのよ!!!仇を討たせて!!!」

 

一刀「こいつらは憲兵に突き出してしかるべき罰を与える!!それでいいだろう!!」

 

「憲兵なんて、何もしちゃくれないんだよ!!!」

 

「そうよ!!!あいつら私達を放って先に逃げ出したんだから!!!」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

「よせ!!!許しぐふう!!!!」

 

「殺さないでくれ!!!助けがああああああ!!!!」

 

一刀「華佗!!!黙っていないで止めてくれ!!!」

 

華佗「・・・・・・・・・・」

 

どうすればいいのか分からいのは華佗も同じだった、この人達の気持ちを考えると無暗に止める事も出来ない

 

「「「「「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!!!!」」」」」

 

一刀「止めろ!!!!止めてくれえええええええええええええええ!!!!!」

 

次々と賊達を殺していく町民達を止めようとするも、一刀の声に耳を傾ける者は誰一人いなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局その後、盗賊達は全て町民達によって皆殺しにされてしまった

 

そして、この街を見限った町民達はこの街を去っていった

 

街には人っ子一人居らずこの大陸にまた一つ、ゴーストタウンが出来てしまったのである

 

一刀「・・・・・華佗・・・・・こんな事が毎度毎度起きているっていうのか?・・・・・」

 

屍となった賊達の前に座り込み、一刀は涙を流しながら華佗に問う

 

華佗「ああ・・・・・官匪の横行、太守の暴政、おまけに飢饉の兆候も出て来ている・・・・・それによって非力な人々が群れをなし賊となって更に弱い人々を叩く、こういった大きな負の連鎖がこの大陸に起きようとしている・・・・・俺はさっき賊達を最低最悪の病魔と言ってしまったが、本当の病魔は今の朝廷にあるんだろうな・・・・・」

 

きっとこの街を去っていった人々の大半は、野垂れ死ぬか賊に落ちるだろう

 

そして、賊に落ちた人達は諸侯の軍によって殺されてしまう

 

一刀「・・・・・そんな事・・・・・させてたまるか・・・・・負の連鎖なんて・・・・・起こさせない・・・・・」

 

立ち上がった一刀は、屍となった賊の死体を持ち上げ運び出した

 

華佗「一刀?何をするんだ?」

 

一刀「彼らを街の外に弔う・・・・・」

 

華佗「・・・・・分かった、俺も手伝おう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

華佗「・・・・・よし、こんなところか・・・・・」

 

そして、二人は犠牲になった町民と賊達を全員埋め終わった

 

ご丁寧に簡単な墓標と花も添えられていた

 

一刀「・・・・・観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時」

 

華佗「?・・・・・なんだ、それは?」

 

突然墓標に向かい合掌し聞き慣れない言霊を唱えだした一刀に華佗は戸惑う

 

一刀「お経だよ、俺の国ではこうした宗教的信仰があって葬儀の時は死んだ人の魂が安らかに天へ行ってくれるように唱えるんだ・・・・・照見五蘊皆空 度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 ・・・・・」

 

華佗「・・・・・・・・・・」

 

一刀の般若心経は、華佗の耳にあまりに哀しく響いていたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも皆さん、seigouです

 

ここで皆さんにご報告があります

 

前作の北郷伝の華佗なんですが、漢字を華陀と全部間違えていました

 

それに気付いたのが一昨日で、急いで全て修正を施したというなんとも情けない事をやらかしてしまった作者であります

 

笑ってください、このダメダメっぷりを

 

さて、早いうちに投稿できてよかったと思っています

 

次回は武将参戦です

 

では、久しぶりの・・・・・待て!!!次回!!!

説明
哀愁の修羅
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コメント
平和主義で戦を否定する所にこの現実が来たらここの北郷相当辛くなるなぁ…前回の外史と同様のメンタルならすぐ潰れるぞ…(はこざき(仮))
あわわ・はわわ「一刀×華蛇!?華蛇×一刀!?」(心は永遠の中学二年生)
またあたらしい進み方ですね、ルートは華蛇かな? 続き楽しみです。(JDA)
クレクレさんへ、誤字報告ありがとうございます、部首の間違いって分かっていてもやってしまうんですよね(Seigou)
他の作者の方も間違えていますが、【性名】ではなく【姓名】が正しいのでは?(クレクレ)
私も投稿してる身ですが、コメントで何回か名前変換の指摘を受けて、間違えを直させてもらってます。 気を付けているのですが………。 次回も期待しております! (いた)
待ってましたぁぁぁーーーーーー!!!!!!次回も楽しみです。(ガリ眼鏡)
三国志の世界や時代に限らず、戦争のある時代、そして場所では現代においても似たようなことは起きていますからこれもまた1つの理ですね・・・(本郷 刃)
この時代の民や賊、憲兵達はこんなもんなんですよね。この一刀君の心が壊れないことを祈っています。次回を楽しみに待ってます。(一丸)
ぶっちゃけ、この一刀君はどのルートにも行けないですよね。ある意味恋姫のキャラのほとんどを拒絶してるようなものだし。ただ、三国史の世界で人を1人も殺さないないで生き抜いたっていうならそれはそれですごいかもしれないですね。(ハーデス)
下手すると一刀くんの心は早々に壊れてしまいそうな…漢王朝内部へと入る√になるのかな?外からの矯正だったとしても、どっちも面白そう。期待して待ってます!(ムカミ)
なんというか、蒼天航路の華佗と同じ無力感を味わうことになりそうです。たとえ百人救っても乱世がその万倍殺す、みたいな感じで。(h995)
腐った朝廷をどうにかせんと賊倒しても仕方ないしな^^;この村人の何割かは賊になるんだろうな〜(nao)
…予想はしていたが、医者√か…確かにそれなら人を救うことに邁進できるから一刀にとってはありがたいかもしれませんが…この先、この程度の殺し合いじゃすまないのに…。(Jack Tlam)
ふむ。まぁ、だれでもあることだな。人の名前なんて、特にね。ま、言う人は言うだろうね。しかし、強いな。素手の一刀が強いな。いいねぇ。これからもがんばって下さい(Kyogo2012)
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