リリカルHS 33話
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八月半ば。世間はお盆と言われる頃です。

この俺、東士希は、この時期が実は微妙に苦手だったりします。というのも…

 

幽霊1「いやぁ、最近の子は、えらい丈の短い…」

 

幽霊2「眼福ですなぁ…」

 

何故かこの時期、普段視えていないものが視えてしまうからです…

 

そして今年は、これが原因でとある厄介事に巻き込まれてしまいます。

ただ、厄介事というには失礼な、出会いと別れ、そんなちょっぴり切ない数日間のお話…

 

 

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八月中旬の某日。時刻は午前12時を回った頃。

喉の渇いた俺は近所のコンビニにジュースを買いにやって来ていた。その帰り道…

 

「あいっかわらず、この国の夏は暑いわね。フェイトはどこかしら?」

 

「もう!お母さんが適当に降りちゃうからわかんなくなったよ!リニス、ここどの辺かな?」

 

「それが分かれば、苦労はしませんよアリシア。この体には魔力なんて宿ってないんですから」

 

俺の目の前には、浴衣姿の三人の女性がいた。

紫色の髪の妙齢の女性と、猫耳チックなものを生やした優しそうな女性と、

そして金髪の幼女。普段の俺なら、目も合わさなかっただろう。

だが、今回は見てしまったのだ。彼女達が「フェイト」と言ったから。

そしてそれが失敗だった。俺が彼女達を見た瞬間、俺は金髪幼女と目が合ってしまったのだ

 

金髪「ねぇ、そこのお兄さん。今、目が合いましたよね?」

 

俺は冷静に目を逸らし、歩く足を止めなかった。関われば、間違いなく何かに巻き込まれる…

 

紫髪「待ちなさい。あなた、視えているのでしょう?」

 

俺の目の前に、紫髪の女性が立ちはだかった。俺は驚いてしまい、思わず止まってしまった

 

猫耳「わぉ、本当に視えているんですね。

死んで結構経ちますけど、視える人に会うのは初めてですね」

 

そして俺は三人に囲まれてしまった。いっそのこと、転移魔法使って逃げるか?

いやまて、ここはまずい。普通に生きている人間もいる。

チッ、深夜に出歩いてんじゃねぇよ!

 

士希「お前ら、こんな街中で話しかけるな!変な人って目で見られるだろ!」

 

俺は努めて小声で怒鳴る。

だが、俺が反応したのが嬉しかったのか、三人は満面の笑みでさらに詰め寄ってきた

 

猫耳「なら、私達に協力してくれませんか?」

 

金髪「ちょっと困ってるんだよねー」

 

紫髪「人を探しているのよ。協力してくれなかったら、化けて出るわよ」

 

もう既に化けて出てんだろ!

 

士希「わかったわかった。とりあえず、場所移すぞ。こんな街中で幽霊と話せねぇよ」

 

俺は多少強引にその場から移動した。

さっさとこいつらの用事とやらを解決して、さっさと帰ろう…

 

 

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やって来たのは公園。外灯と月明かりが辺りを照らし、深夜だと言うのに少し明るかった

 

アリシア「私はアリシアです。協力してくれてありがとうございます」

 

リニス「リニスです。生前はテスタロッサ家の使い魔をしていました」

 

プレシア「プレシアよ。アリシアの母で、リニスのマスター」

 

三人はそれぞれ自己紹介してくれた。

そしてその自己紹介の中で、気になったワードがあった

 

士希「テスタロッサ、ね。さっきも思ったが、お前ら、フェイトの関係者か?」

 

フェイトは確か、テスタロッサ・ハラオウンと名乗っていた。

さらには、こいつらはフェイトを探している様子だった。

フェイトのみなら、同名と言うことで無視できただろうが、

ミドルネームまで一緒となるも、もう無関係とは言えない

 

アリシア「フェイトを知っているの?」

 

金髪幼女、アリシアちゃんが話しかけて来た。

なるほど、アリシアちゃんとフェイトは姉妹か。よく似ている

 

士希「俺は彼女のクラスメイトだ。名前は…東士希だ」

 

幽霊相手に偽名を使う必要もないと判断し、俺は東性を名乗った

 

プレシア「東士希?私の知り合いに東零士という男がいるのだけれど、関係者かしら?」

 

とーーさーーん!!あんたどんだけ顔広いんだよ!

 

士希「東零士は俺の父だ。まぁそれはいいだろ。今はフェイトの話だろ?」

 

プレシア「それもそうね。フェイトは元気かしら?」

 

士希「あぁ、なのはと毎日イチャイチャしてますよ」

 

リニス「へぇ、学校でのフェイトはどんな感じですか?」

 

士希「常になのはと一緒にいるな。

まぁでも、優しい子だし、クラス内でも男女問わず人気はあるな」

 

プレシア「い、イジメとかないわよね?」

 

士希「いや、そういう話は聞かないな。あー、プレシアさん?

フェイトの母親だから心配ってのはわかりますが、彼女なら大丈夫ですよ」

 

プレシア「そう、それは良かっ…って!別に心配なんかしてないわよ!

それに、あの子は私の人形で、私の子なんかじゃ…」

 

アリシア「お母さん!素直になるって約束でしょ!」

 

リニス「そうですよプレシア。なんで死んでまで意地張るんですか」

 

プレシア「…ごめんなさい」

 

母親の割りには、なんだか弱いな

 

 

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士希「なるほど、だいたいの事情は把握した」

 

俺は三人から事情を聞いた。

三人の死んだ理由やフェイトがアリシアのクローンであること。

プレシアさんがフェイトに虐待行為をしていたことなど。

まさかフェイトにそんな過去があるとは思ってもいなかったので、少し驚いてしまった

 

アリシア「あの時のお母さんったら酷いんだよ?フェイトに意地悪ばーっかりして」

 

プレシア「私が死んで霊体になってすぐ、アリシアとリニスに正座させられて、

二時間近く説教食らったのよね。再会を喜ぶ暇もなくグチグチ、グチグチと…

フェイトの方が可愛らしいとさえ思ったわ…」

 

アリシアちゃんは死後もプレシアさんの様子を見ていた事もあり、

実際の精神年齢はかなり高いらしい。”ちゃん”ではなく、”さん”と呼ぶべきかな?

 

リニス「それで、7年前から謝ろうとしているんですが、

フェイトには私達の姿が視えないみたいで」

 

そりゃそうだろう。俺だって普段は視えねぇし

 

アリシア「物理干渉も出来ないし、手詰まりだったんだよねー。

それで、せめて見守ろうと、今年もやって来たら…」

 

士希「俺と出会ったと…」

 

世間が狭いんじゃない、俺がこういう体質なんだからだろう。

巻き込まれ体質だけは、父さんと似たくなかった…

 

リニス「もう最高にグッドタイミングですよ!しかもフェイトのご友人だし!」

 

プレシア「これはもう運命なのよ」

 

フェイトだけにってか?やかましいわ

 

 

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士希「んで、具体的に何して欲しいとかあるのか?」

 

さっさと片付けて、早く寝たい…

 

プレシア「そう言えば、考えてなかったわね」

 

リニス「今までは、どうやってフェイトとコンタクトを取るかに全力でしたからね」

 

アリシア「いざこうして手段を得ると、かえってどうして良いのかわからない…」

 

士希「………」

 

俺は無言でその場を立ち去ろうとした。しかし回り込まれてしまった

 

プレシア「どこ行く気よ?」

 

リニス「ふふ、逃がしませんよ!」

 

士希「せめて何か思いついてからにしてくれ!こちとら眠いんだよ!」

 

まったく、何時だと思ってやがる!

 

アリシア「あー、ならお邪魔してもいい?」

 

プレシア「それもそうね。あなた、帰っていいわよ。その間にあなたの家で策を考えるから」

 

士希「なんでうちなんだよ!?他所でやれ!」

 

リニス「迷惑はかけませんからー♪」

 

士希「おいおい、そう言って、俺から生気奪おうとかやめてくれよ」

 

プレシア「そんな事しないわよ。第一、そんな事したらペナルティで減給になるんだから。

せっかく建てた家のローンが払えなくなるわ」

 

リニス「私達幽霊業界も大変なんですよねー」

 

アリシア「ちなみに家は私が建てた!」

 

どうなってんだよ幽霊業界…

 

 

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士希「はぁ、物理干渉できないとは言え、暴れないでくれよ」

 

俺はしぶしぶ三人を家に入れた。

もうとにかく寝たかった。眠過ぎてまともに思考が働かない

 

アリシア「わぁ!すっごい広ーい!」

 

リニス「一介の学生が住むような部屋ではないですね」

 

プレシア「インテリも悪くないわ。今後の夏は、ここを拠点に行動しましょうか」

 

アリシア・リニス「賛成!」

 

士希「却下だ馬鹿野郎!」

 

なんで俺の部屋が幽霊の巣窟にならにゃいかんのだ

 

リニス「もう、ケチですねー士希。そんなんじゃハゲますよ」

 

士希「俺がハゲたら、そいつはストレスが原因だ!」

 

主にお前ら関係のストレスでな!

 

アリシア「ねぇ、エロ本はどこー?ベッドの下には無かったんだけど」

 

士希「ねぇよ!てかお子様がエロ本とか見ちゃいけません!」

 

アリシア「心外だなー。私、見た目はこれでも中身は二十歳越えてるよー?」

 

コ○ン君かよ!

 

プレシア「ふむ、カバーをすり替えてる訳でもない。あなた、男性として大丈夫?」

 

プレシアが帝王学の本を片手にやってきた

 

士希「なんで幽霊に心配されなきゃならねぇんだよ!

ていうか、物理干渉してんじゃねぇか!?どうなってんだよ!」

 

リニス「そう言えば、この家にあるものは触れますね。

あ、喉渇いたのでお茶貰いますね。ゴクゴク…」

 

士希「なんで飲めんの!?後なんでそんなに自由なの!?」

 

アリシア「なんかふっしぎー♪幽霊歴長いけど、今日は初体験ばかりだなぁ」

 

プレシア「士希が持つ霊力的な何かが、物理干渉を可能にさせているのかしら?

興味深いわね。久しぶりに研究者としての血が騒ぐわ。

あなた、ちょっと解剖されてみる気はないかしら?」

 

士希「このマッドサイエンティスト怖い!!」

 

 

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士希「じゃあ、俺寝るんで、静かにしてて下さいよ」

 

三人「はーい」

 

プレシアさん、リニスさん、アリシアちゃんはリビングで会議となった。

俺は寝室に行き、ベッドに横たわる。レーゲンが気持ち良さそうに寝ている隣に行き、

そして目を閉じた

 

うとうとと、心地よい眠気が意識を奪って行く。

時折、リビングから聞こえる声を子守唄代りにし…

 

アリシア「どうやってフェイトと話そうか?」

 

リニス「幽霊的には、何かしらびっくりして欲しいですよねー。ボーナスも出ますし」

 

プレシア「こう、後ろから抱きついて、耳にフーッてしてみる?」

 

アリシア「ひゃっ!とか言ってくれたら、それだけでご飯3杯はいけそう」

 

どんな会話してやがる!

 

リニス「あ、せっかく物理干渉できるんですから、ここに連れ込むのもアリですね」

 

プレシア「確かに。あの子、中学入ってから発育が良くなったのよね」

 

アリシア「ハ!見えないのを良いことに、後ろからフェイトのおっぱいを…」

 

リニス「アリシア、なんて恐ろしい事を…私は右のおっぱい、あなたは左のおっぱいですよ!」

 

士希「お前らバカだろ!?」

 

俺は思わず寝室を出て、リビングにいる3バカにツッコんだ

 

リニス「あら、盗み聞きとは、趣味が悪いですよ士希」

 

アリシア「乙女のガールズトークに口を挟むのは、マナー違反です!」

 

士希「テメェらのはガールズじゃねぇ!オッサントークだ!」

 

プレシア「オッサンとは失礼ね。子を想う母の愛情表現よ」

 

士希「行き過ぎた愛情表現だ!なんで俺の周りには変な奴しか集まんねぇんだよ!?」

 

レーゲン「少なくとも、一人で騒いでいるしきさんも、変な人の筆頭ですよ」

 

振り向くと、めっちゃ不機嫌なレーゲンがいた。し、しまった!起こしちまった!

 

士希「わ、悪いレーゲン、起こしちまったな」

 

レーゲン「もう、幽霊がいるわけでもないのに、誰と話してるんですか?

電話なら、もう少しボリューム下げてください。それでは…」

 

そう言って、レーゲンは寝室に戻って行った。レーゲン、幽霊っているんだよ?

本当なんだよ?俺の後ろで、俺を指差してニヤニヤしているたちの悪い幽霊がいるんですよ?

 

プレシア「ククッ…まぁ、なんというか不幸ね」

 

リニス「そ、そのうち良いことありますよ。ふふふ…」

 

アリシア「ご、ごめんなさいね。ぷっ…静かにするわ…」

 

悪いって気持ちがあるんなら、そのニヤニヤ顏はおかしい

 

 

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士希「お前ら、もう少し真剣に話し合えないのか?」

 

リニス「失礼ですね。私達はいたって真剣ですよ!」

 

アリシア「そうよ。私達は真剣にフェイトのおっぱいを揉みたいの!」

 

士希「その発想が既にバカなんだよ!」

 

この子の中にはオッサンが潜んでいる。

間違いなく、自称おっぱいマイスターであるはやてと同じタイプの人間だ

 

プレシア「なら、あなたは何かアイディアはないの?」

 

士希「あぁ?んなもん、せっかく物理干渉できんだから、手紙書くとかあるだろ?

紙とペンくらいはやるからさ」

 

プレシア「その発想はなかったわ」

 

士希「むしろこの発想くらいしかないわ!」

 

ダメだこいつら、早くなんとかして帰ってもらわないと…

 

リニス「でも手紙はナイスアイディアですね!早速書きましょう!」

 

アリシア「賛成!ということで、紙とペンください!」

 

士希「はいはい。今度こそ寝るから、静かに書いてくれよ」

 

プレシア「わかってるわ。でも、いいのかしら士希?」

 

士希「あぁ?なにが?」

 

プレシア「もう夜明けよ」

 

士希「………」

 

外はとても明るかった…

 

 

 

説明
こんにちは!
今回は夏っぽいお話その3!お盆のお話
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コメント
なんか幽霊業界でやっていきたいな(へたれ)
幽霊業界なんてあったのか……(ohatiyo)
タグ
リリカルなのは オリキャラ プレシア アリシア リニス 

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