義輝記 蒼穹の章 その弐
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【 星に願いを の件 】 

 

? 益州 各地 にて ?

 

璃々「お星様、お星様──どうか、璃々のお願い聞いて下さーい!」

 

益州、楽成城城主 黄漢升の娘『璃々』が、窓際で夜空を見上げつつ願い事をしていた。 

 

母親たる黄漢升は、まだ仕事のため……部屋に戻ってきては居ない。

 

母一人子一人の身ゆえ、一人で留守を守るのも慣れた様子、寂しがる素振りなど見せてはいないようだ。 

 

瑠々「早くお母さんの仕事が楽になり、瑠々と遊べるようにして下さい!! 寂しい日が、早く無くなるようにして下さーい!!」

 

…………いや、心配させないように、装っていたようだ。

 

☆☆★

 

桔梗「焔耶よ! 今の盆暗州牧の政治、どう思っておる!」

 

焔耶「はい! 桔梗様! 劉焉を慕い流れて来た東州兵の横暴、税の追加、値上げのため、民衆の支持が極端に下がっており、このままでは、益州全体で反乱が続発する恐れがあります!」

 

桔梗「世の中、酒と喧嘩があれば、欲しい物など何も無いと思っていたが………わし自身の政治力が無いため、民を苦しめる事になるとは思いもしなかったわ!!」バン!

 

焔耶「………それは、ワタシも同じです。 桔梗様に従い足手まといにならぬよう己を鍛えましたが、政事に関して殆ど手を付けませんでした………!」ググッ

 

桔梗「何とか手を打ちたいが、わし等だけではどうにもならぬ! 何か手立てを考えださなければ────!!」

 

◇◆◇

 

【 華琳、白馬へ! の件 】

 

 

袁本初と曹孟徳……互いに相手を嫌悪しつつ、実は親友である事を認めている不思議な関係である。

 

学問所で同門の学友であり、色々な揉め事に顔を突っ込みあった仲であるが、自分達の求める物・外部の思惑が重なり合い、このような戦を引き起こされた!!

 

また、双方とも領地が拡大したため拠点を移し、袁本初が『冀州 ?』 曹孟徳が『豫州 許都』としていた。

 

★☆★  ★☆★  ★☆★  ★☆★

 

 

袁紹軍………兵力14万人 

 

将……《総大将 袁本初》 顔良、文醜、司馬懿 他

 

 

☆★☆  ☆★☆

 

 

曹操軍………兵力 5万人

 

将……《総大将 曹孟徳》 夏侯元譲、荀文若、許仲康、典韋、李曼成、于文則、北郷一刀、関雲長、諸葛孔明、趙子竜 他

 

許都留守居……兵力 3万人

 

将……《総大将》夏侯妙才、劉玄徳、?士元、張益徳 他

 

 

★☆★  ★☆★  ★☆★  ★☆★

 

? 豫州 許都 華琳居城 にて ?

 

華琳「麗羽の軍が、?州白馬を攻めていると報告が届いた!」

 

桂花「我が軍は、袁紹より軍勢が多いのですが、兵糧の都合が足らず、この人数だけしか集結出来ませんでした!!」

 

華琳「出来なかった事は、悔やんでも仕方ない! 出来た事を運用して勝利を得るのが兵法の妙! すぐさま出撃を開始する! 

 

だが、このまま突撃すれば、無様に包囲されて敗北するが道理。 一刀! 貴方に白馬救援を命じる! 将は、愛紗、星、朱里で一万で向かいなさい! 私達本隊は、延津に移動し麗羽の部隊を分断する!」

 

一刀「了解! 朱里、白馬の情報を至急集めて欲しい! 愛紗、星! 俺に力を貸してくれ!」

 

愛紗「勿論です! ご主人様!!」

 

星「 ( ̄ー+ ̄)フッ 何を今更! 行きましょうぞ! 一刀殿!!」

 

一刀「………ありがとう! それから、また筵を用意してくれ! 偽旗を作ろうと思うんだ! 他にも、適度に使用するつもりだ!!」

 

朱里「わかりました! 準備します!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

華琳「桂花! 旗を出来る限り用意しなさい! 真桜! 『兵器』の準備は出来ているかしら! 『準備万端や、大将!』 そう、それならそれも忘れずに用意しなさい!」

 

秋蘭「華琳様……許都は大事な本拠地! 必ず命に代えても守備し、お帰りをお待ちしております!!」

 

華琳「秋蘭! その忠義は誠に頼もしい! だけど、拠点は奪われても奪い返す事が出来る! 我が命がある限り! 

 

でも……貴女や皆の命を失えば、私は覇王たる道に自信と誇りを持って進めなくなる! 無理は絶対にしない事!!」

 

秋蘭「申し訳ありません……華琳様! その言葉、しかと承りました! ───────どうか、御武運を!!!」

 

華琳「各々、準備を固め、明朝──出発とする!!」

 

『はっ!』

 

◆◇◆

 

【 明命の予感 の件 】

 

? 江東 孫伯符居城 謁見の間 にて ?

 

雪蓮「────結果的には、母様の悲願が叶ったのだけど……何、この脱力感。 当てが外れたというか、調子を崩されたというか?」

 

冥琳「まぁ、仕方があるまい……堅実に足下を固めよう。 成り立ったばかりの国だからな、まだ反抗する者も多かろう! 明命、思春! 配下の者に揚州一帯の不穏分子を探るように手配せよ!」

 

明命、思春「「 御意! 」」

 

雪蓮「それと、?州白馬に、二人の内どちらか向かって貰いたいの! 袁紹と曹操の勝敗の結果を早急に知り、今後の予測を立てたい! だから、臣下の誰かに行って正確な情報を持ち帰ってもらいたいのよ!!」

 

思春「なら、私が『私が行きます!』……明命! お前は洛陽から戻ってきたばかりだろう? 無理はするな、私が………」

 

明命「いえ、思春殿! ここは私に行かせて下さい! 袁術や張勲を攫った人物が、もしや、あの者ですと……大変な事になります!! 

 

それに、青州黄巾賊が崇めていた『神の御遣い』の容貌に、似ている事も考えれば、そちらの方面に居る事かもしれません!! ならば、実際に相手を知った私が出向いた方が、都合がいいんです!!」

 

冥琳「明命や『常山の昇り竜』の異名を持つ趙子竜が、同時に戦い苦戦した曲者………孫呉が戦うとなれば将が少ない分、不利になりかねんか……分かった。 雪蓮! 明命に任せたいが…どうだろう?」

 

雪蓮「そんなに強いのなら、私が相手『 (-_-#) 』……したいけど、王だからねぇ〜。 明命! 改めて命じる! その曲者を調査しなさい! ……出来れば、袁術ちゃんと張勲救ってあげて……」

 

蓮華「何故、袁術達を──『救えば謝礼を貰えるし、恩を着せる事も出来る。 ただで救う義理は無いわよ?』 ──成る程! 」

 

穏「それじゃ〜こちらは、大船小船を準備して派手に攻め立てましょう!! 祭様! 水軍の準備を! 鐘、太鼓を沢山用意して下さいね〜!!」

 

祭「これも訓練の一環として、厳しく行うぞ!! 覚悟せよ!!」

 

穏「え〜! 厳しいのは嫌ですよぉ〜!!」

 

亞莎「祭様! よろしくお願いします!!」ペコ

 

祭「うむ! その姿勢が大事じゃ!! 穏も見習わなければならんぞ!!」

 

穏「は〜〜〜い」シブシブ

 

◇◆◇

 

【 新たな来訪者(予告) の件 】

 

? 洛陽 演習場 にて ?

 

あれから…………一月経過した

 

颯馬「お疲れ様でした! 首尾はどうでした?」

 

歳久「大丈夫です。 私達姉妹が向かって行ったのですから、問題なんてありません。 劉焉にも、最初の時点で話が滞りなく済んでいたものですから、事務的なやり取りで終わらせましたよ」

 

益州は、山に囲まれた土地柄ゆえ、行きの難易度がとても高い!

 

どれほどと言うと………『蜀の桟道』の凄さが、今も洛陽内に噂で流れ、『蜀道の難』と詩仙『李白』が後世に歌い、『蜀犬日に吠ゆ』の諺通り、日照時間が短く霧深い場所。 

 

(帰りは、長江を下れば荊州経由で戻ればいいので、行きだけ心配すれば問題は無い。 護衛の兵も優秀な者ばかりで固めているのだが)

 

そんな場所へ……麗しい姫武将達に『草履を献上する』役をさせるなんて、俺も非情な男だと……思い悩み心配したが……四人は、生き生きとした表情で、無事に戻り報告をしてくれた。

 

おかしいな……最初に使いに出した月様配下の文官が、えらく窶れた(やつれた)顔で、月様に報告していたんだけど………?

 

家久「心配する事なかったのに〜! でも、ありがとねぇ!」

 

義久「私達は〜幼い頃から『山坂達者』で鍛えているから、これくらいの行軍活動、案外平気なの〜! でも、颯馬君がそんなに心配してくれるなんて、もの凄く嬉しいわ〜!!」

 

義弘「戦いばかり続いたからね………。 偶には…気分転換したかったから、丁度良かったわよ!」

 

…………体力的に、俺を基準にしては駄目だと、日の本に居る頃から思っていたのに………心配が無駄になったか。 いや、無事に戻ってきてくれた事を喜ばなくては!!

 

益州訪問は幾つかの目的、思惑がある。 

 

壱、《 金策としての藁草履の献上 》 

 

先に月様の配下に交渉を成立させてもらう。 当然、月様にも目的を説明して許可を得ているが、この方法を聞いて月様は、目を丸くして驚き、詠は『そんな考えがあったなんて!』と驚嘆していた。

 

理由なんて……何でもいい。 狙いは『金採掘者に使用してもらう』のが目的。 これが他の採掘だと……実績が無いため出来るか分からない。

 

『金の採掘者』からしか、この方法を知らないためだ。

 

弐、《 益州の道筋調査 》 

 

益州攻略のための道筋を、実際に通って貰うため。 情報だけでは、分からない所もあるからだ。 後、数人の将に行って貰おうと考えている。

 

参、《 煽動、内応 》 

 

益州牧・劉焉の政事が、かなり民達に不満を持っているらしい。 何回か叛乱が起きたようだが、そのたびに劉焉の配下『東州兵』が鎮圧したと報告がきている。

 

まだ、叛乱の芽が絶えていなければ、俺達がその叛乱を後押し、内応を煽れればと画策していた。 そのため、機知に富んだ姫武将を何人か送り込み、見極めをお願いしたのだ。

 

本来は、俺が出向き内応工作に動くつもりだったが、この世界の名将と呼ばれるも者達は、大概『おなご』だ。『おのこ』である俺が行っても、警戒される恐れがある故に控えた事もある………。 

 

それに、曹孟徳……確か、真名を預けられたので……華琳か? 華琳と袁紹の戦いを推移して、行動を起こさねばならない! そのため、こちらを他の者に任せていられない事情もあった。

 

そんな時……俺の行動を嘲笑うが如き、漢女が動いたんだ……… 

 

★☆★  ★☆★  ★☆★  ★☆★

 

? 半刻前(一時間前) 颯馬の部屋 にて ?

 

ドドドドオォォォ━━━━━!!  バァン!!

 

うおぅぅ────! 敵襲かぁ! ──って、貂蝉!?

 

貂蝉「颯馬ちゃ〜ん!! たいへ〜んよぉぉ! 

 

あちらの世界から発生した『乙女達の祈り』を、私の『超漢女恋愛探知レーダー網』にかかったのぉぉぉよぉ〜ん!」

 

…俺の顔を見て、ほくそ笑む貂蝉! 嫌な予感が──俺の頭を過ぎる!! ……おい! まさか! まさか!? まさかなのか!?

 

貂蝉「この私がぁ! 今、直ぐにぃ! 迎えに行ってぇぇあげるわぁぁぁ─!! ぶぅぅるぅぅわあぁぁぁ━━━━━━!!」 

 

 ドオォォォ━━━ン!!     ───キラッ!

 

俺に分かるように話をしてからにしろおぉぉ━━!!! 貂蝉!!!

 

また、呼ぶ寄せる気か!! いい加減、日の本の政事が傾くぞぉ!!

 

それから───!! 人の部屋の窓から、出て行くなぁ!!! 

 

有らぬ疑いが持たれたら、どうするんだあぁぁぁ!!!!

 

★☆★  ★☆★  ★☆★  ★☆★

 

この出来事を、偶然目撃したと思われる、どこかの某軍師が、鼻血を大量に吹き出したまま倒れていた………と後日、報告をもらった………。

 

◆◇◆

 

【 颯馬の金策と意外な報せ の件 】

 

? 洛陽 演習場 にて ? 

 

さて、俺は兵士達に命じて大きな桶を用意していた。

 

大の大人が五人程抱えるぐらいの桶だ。 その中に益州で回収した履き潰しの草履を投入させる。 

 

一月前に見た新品の物が、黒々と汚れ悪臭を放っている。 形もボロボロで、中には原形が崩れきっている物まである!

 

様子を見に来た月様、詠、霞、華雄、ねね、恋、凪。 そして、益州まで赴いた島津姉妹に他の姫武将や武将達。

 

稟や風達、馬孟起殿達は、この場所には来ていない。 董卓軍の私的作業でもあるし、あまり大袈裟にしたくなかったから。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

義久「うわぁ〜、凄い汚れているわね……としちゃん?」

 

歳久「……採掘者は、暗い穴蔵に低い姿勢で入る危険な仕事です。 汚れている理由は、採掘者の勤勉なる労働、命を顧みず繰り返し採掘した誠実の現れ。 そのような言い方は失礼ですよ? よし姉…」

 

義久「ごめんなさいねぇ〜決して貶める為に、言ったわけではないのよぉ……『分かっています。 よし姉が、そんなこと思うはずがありません! だけど……言葉には注意して下さい!』 はぁ〜い!」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

霞「颯馬軍師は、どないするんやろなぁ? なんぼなんでもあないなもん、金策になりよっかわからへん!!」

 

謙信「私の治めていた国では、禁止事項にしていた有効な方法だ。 期待して見ていてくれ、霞!」

 

 

★☆☆

 

 

このような桶を十数個用意して、それぞれに草鞋と水を入れ、兵士達に棒で突かせる。 水をなるべく外に零さないように…………。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

鹿介「ふむふむ、なかなか興味深いやり方ですね。 この後は……」

 

義清「うむ、何となく分かるぞ! 謙信殿の所で世話になった際、聞いた事がある!」

 

ねね「ねねも、分からない訳ではありませんぞ!! その事を喋ると聡明な恋殿が、答えを発言する機会を無くしてしまうからで……!」

 

恋「ねね……恋、分からない………」

 

ねね「恋殿〜〜〜!?」

 

 

★★☆

 

 

トスッ トスットスッ トスッ トスットスッ

 

草鞋は、棒で突かれて形を崩す。 土汚れ等で汚れていた草鞋が、どんどん解れて水の中に汚れを流していく!!

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ドス ドスドスドス! ドスドスドスドスドス!!

 

信長「フーッハッハッハッ!! 役割が済んだ物を、このように壊すのは楽しいわぁ!! ほらぁ、ほらぁ! もっと、もっとだぁ!!」

 

信玄「………兵士達の手伝いをする事は止めませんが、あまり強く突くと、底が抜けますよ! それでは、颯馬の苦労を水の泡に変えるつもりですか!? 『うぐっ!?』 ……いくら身体が成長していても、これでは先が思いやられます……」

 

紹運「……全くだ。 加減を知らない者は、これだから困る!  私みたいに適度に……『紹運様〜! 水が零れていますよ〜!』 ……やっ! す、すまない! 忠告痛み入る、小太郎殿!」

 

宗茂「…………そうです。 もう少し力を込めて……そう、いいですね。 これなら仕事が早く終わりますよぉ?」

 

道雪「宗茂が兵士達に、こんな事まで優しく教える事が出来るなんて! ………本当に立派になりました!」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

左近「忠勝………お前は禁止!」

 

忠勝「左近殿!! 何ででござるか!? 拙者も手伝いでござるよぉ!!」

 

左近「お前が行うと桶の底が抜ける!!」

 

忠勝「───────!」

 

★★★

 

この後、解き解した草履を手洗いでジャブジャブと洗う。

 

いつの間にやら、見物していた将達も手伝い始めていた。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

義輝「う〜ん、久しいな……。 逃亡生活中は、よくわらわ自身で洗濯をしたものだが………」

 

家久「義輝様……………クスン」

 

義輝「よいよい! 今思えば……必要な事だったのじゃ。 人間的にも未熟なわらわにとっては……。 それに、あの出来事があったからこそ、其方達と共に、この大陸の平和を目指せる! 寧ろ感謝せねばならないのだろう? のぅ、長慶……」

 

長慶「…………その節は、義輝公に対し不徳の致すところ、どのような成敗も受けますので、何とぞ弟達にはご容赦を!!」

 

一存「ちょっと待てくれ! 義輝公に襲撃したのは久秀達配下の者達だ、姉さんは関係ない! それに、姉さんは三好家当主としてやり残している事が多くある! 罰を受けるのなら俺に──!!」

 

長慶「───馬鹿者! 何を横からほざくか! 黙っていろ!!」

 

一存「姉さんこそ、俺や颯馬抜きで勝手に決めるな!!」

 

義輝「………二人共、話を聞けい! だから、感謝しておるのだと申しておろう! 処罰など論外じゃ! それに、わらわは……颯馬と一緒になる気でのぅ……その際は『義姉様、義兄様』と呼ばせて貰うぞ!?」

 

長慶「─────────!!」

 

一存「なっ! 何ぃ───!!」

 

家久「うんうん、皆仲良くが一番だねぇ!! (……後で皆に知らせなきゃ!!)」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

光秀「………そうです! 編んである藁を解した後、こう水に汚れを落とすように………」

 

華雄「う、うむ。 どうも……このように洗う行為は苦手でな。 私が少し力を入れると……藁が千切れて粉々になってしまう……」

 

光秀「慣れですよ。 私も偶には自分自身の羽織った衣服を洗いますよ? もし、嫁いだ時は、私が家事を任せられると思いますから…」

 

華雄「ほぅ? 天城とか!?(ニヤニヤ)」

 

光秀「//////////」──ジャボン!

 

華雄「ははははっ! いや、結構な話じゃないか! あんないい男など大陸全土探してもいないぞ!? 良き婿を捕まえたじゃないか! 私は武で生きる! 女の幸せは、当分いらないな───!」

 

★☆★

 

将兵達で洗い終わった後に………ゆっくりと水を流す!

 

すると、底には…………泥と…ごみと…………煌めく『金』が!

 

ーーーーーーーーーーーー

 

凪「颯馬様! これは、どういう事なんですかぁ!?」

 

信廉「………金山の採掘で草履に付着した『金』です! えっと、所謂(いわゆる)『砂金』と言う物ですよ!!」

 

義弘「へえー、こういう方法もあるんだ?」

 

昌景「普通なら、履き潰した草履なぞ捨てるが道理。 処分するにも手間がかかる物じゃが、上手い所に目を付けたな。 

 

しかし、武田家には通じぬやり方ぞ? 金山での使用済みの草履一つでも外に出すなと、法度で定めてあるからな!」ニヤニヤ

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

この後、底に溜まった泥の中から『金』を採集。 結果的に手の平に乗る程の小袋三袋できた。

 

最後まで様子を見ていた月様と詠に近付き、三つの小袋を献上する。

 

颯馬「月様の力添えで金の採集が出来ました。 今回の採集分という事で……お納め下さい!!」

 

月「──えっ!? い、頂けません! これは天城様の政策から出た事により得た品物! 私は上に立つ者として命じただけですので、これを頂く訳には参りません……!」

 

詠「月……駄目よ。 これは、月が一度受け取らなくてはいけない公の政策。 受け取りを拒否すれば、颯馬が金を預かるため『賄賂の温床』を作る事になるわよ。 

 

月が受け取り、正式な手続きをした後に、褒美として下賜すればいいの。 そうすれば、颯馬も安心して次の戦の準備で使用出来るでしょう?」

 

月「そう……うん! 天城様! それでは、私が預かります! それから後、詠ちゃんや皆さんと相談の上で、褒美を決めさせて貰いますから!! 皆さん! お疲れ様でした!!!」

 

『ははぁ──────!!』

 

皆が、頭を下げて月様の言葉に返していると、その最中に三太夫が現れて緊急の報告を俺に申し出る!! 

 

三太夫「だ、旦那───! た、た、大変だぁ!!!」

 

三太夫と姜伯約に、官渡の周辺を当たってもらっていた。

 

袁本初と曹孟徳が、白馬で激突したと報告を受けたのが一月前。 

 

兵力差は、俺が知っている事より差が少ない。 知識で知っている兵力差は、一万対十万の十倍。 それが、最初の報告では、五万対十四万……約三倍まで縮まっている。 

 

史実でも数ヶ月以上掛かった戦いだ。 もしかすると、更に日数がかかる可能性がある! 俺は、そのように予測していたのだ。

 

 

それなのに─────この慌て具合は────?

 

     

      ゼェゼェ! ゼェゼェ!

 

 

三太夫「そ、曹操軍が────敗れた!!」

 

『──────────────!!』

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

この外史では、官渡の戦いで……華琳が負けます。 

 

じゃあ、勝者は麗羽? というと……違うんです。 

 

次回に、官渡の戦いの詳細となる予定です。

 

また、宜しければ読んで下さい!

 

説明
義輝記の続編です。 宜しければ読んで下さい!
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コメント
禁玉⇒金球様 再々コメントありがとうございます! なるほど、確かに必要な行為です、うん。 う〜ん、一応肝心な所は、隠しているつもりですが。 ついつい、かまって貰うと嬉しくなって軽くなります。 気をつけましょう!  (いた)
まさか不快などでは御座いません、『厳しくハードに接するオジサン』を『誰か』がやらなきゃならねぇ俺はその『誰か』なのさ。       ネタバレはもう少し控え目が嬉しいなー┃拷問部屋┃_・)チラッ(禁玉⇒金球)
禁玉⇒金球様 再コメントありがとうございます! 御不快でしたら、ごめんなさい。 小さい子には些か甘くて。 因みに『長阪の戦い』では、殿が星になります。(いた)
厳し過ぎるとは…原作でも思ってましたが甘やかされたこの小娘にはこれでも足りない位なのですが。華琳「死ぬ気で死ぬまで死んでも逃げろー!!」、新しい展開だ痺れるねぇ。(禁玉⇒金球)
化け物兵となれば、その二人ですね、うん。 曹操は死にません。 何時も追う役ばかりですので、偶には追いかけられてみろ……という事で、この展開になりました。(いた)
禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! あぁ………厳しい、厳し過ぎますよぉ……。 でも、正論ですので反対はしません。 お星さまが願いを叶えてくれるかは、当方も分かりません。 (いた)
曹操死す、いやまさかそんな。化け物兵といったら叔母様と大叔母様が真っ先に浮かぶ。(禁玉⇒金球)
お星さま「すみませーん只今大変混雑しておりまして私利私欲の他力本願な願いは抽選式の上完全予約制となっております」。小娘が…お前は既に十二分過ぎるほどに恵まれていると知れ、身分と出自故の不満不自由は権力者の子の義務と知るが良い子供だからは認めない、大人気ないって?甘えは許さん。(禁玉⇒金球)
mokiti1976-2010様 コメントありがとうございます! 九割正解です。 ただの『飾り』で再登場です。 裏で嗤う『あの人』が、どう策を繰り広げるか御期待を。 化け物兵……似たような者はいるかな?(いた)
勝者は袁紹じゃない…すると袁術か!?実は攫われた上に魔改造されてすげぇ強くなったとか、化け物兵を従えたとか…。(mokiti1976-2010)
おかしいな。 原作通りに行かせるつもりが、すっかりその道に爆進中。 生暖かい目で見守ってあげています。(いた)
naku様 コメントありがとうございます! 曹操が敗北確定です。 ちなみにに勝者は………袁紹じゃありません。 華雄が、どんどん男らしくなっていく。 一体どうなるのやら作者も考えていません。 (いた)
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