義輝記 蒼穹の章 その参
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【 白馬の戦い の件 】

 

《 曹操軍敗北まで 25日 》

 

? ?州 白馬 白馬城近辺 にて ?

 

顔良軍二万………白馬包囲中

 

北郷軍一万………白馬救援に到着

 

一方向を川に面し、三方しか攻めれない白馬城。 袁紹軍迫るを早くから覚悟していた曹孟徳が、強固に造らせた要害である。

 

しかし、二万の手勢を率い、勇名を轟かす猛将『顔良』が昼夜無く攻め立て、白馬城を落とし?州攻めの拠点に変えようと、奮戦していた。

 

顔良「皆さん! 頑張って下さい!! ここを落とせば、二日お休みできますから!! 」

 

そんな中、白馬太守劉延が、声を張り上げて守りを固める! 守備兵は千あまりの精兵だ。 

 

劉延「耐えよ!! 援軍は──必ず来るぞ!」

 

落城まで……時間の問題である。 

 

そんな中、北郷一刀が一万を率いて来援! 副将兼参謀たる朱里が斥候を放ち様子を伺った………。 

 

朱里「敵将は顔良! 兵は凡そ二万! 私達より倍の軍勢です!!」

 

星「ほぅ? また、張り合いがある奴が来てくれた者だ。 先陣は私が務めよ『いや! 私に任せてもらうぞ!!』 ──ん?」

 

愛紗「………水関では敵将『足利』に弄ばれ、他の戦いでも活躍が全くなく、ご主人様の心配ばかり……。 これでは、私は『嫉妬深いだけの女』とご主人様に飽きられてしまう!!」

 

星「何を今更……私も活躍する機会が少ないのだ! 主に見て頂けるこの好機そう易々……(ゴロッ!)…ムッ! 足下にメンマが……!」 

 

(星が喋る隙に……手に持っていたメンマの小瓶を落とす愛紗……)

 

愛紗「関羽隊! 我が先(ガッ!)───きゃあっ!!」ビタン!!

 

(横を駆け抜けようとした、愛紗の足を龍牙で引っ掛ける星……)

 

星「そう何時も…メンマで誤魔化される、この趙子竜ではないぞ?」

 

愛紗「痛ぅ〜!! そ、それなら───メンマを返せ!!」

 

星「可笑しな事を。 このメンマは、今ここに落ちていた物を拾ったのだ。 愛紗のメンマと、どこを見れば分かるのだ?」

 

愛紗「ぐぅ──!」

 

星「それに、お主の嗜好がメンマなら余計に好都合! 私もメンマ好きの友がそろそろ欲しいと思っていたのでな! 私と共に、一日中メンマの事を語り合おうではないかぁ!!!」バーン!

 

愛紗「くぅ───────!!」

 

一刀「星、愛紗! いい加減にしろ!! 早くしないと城が落ちるぞ!! ───朱里、作戦を頼む!!!」

 

愛紗「……………すいません……」

 

星「………申し訳ない………」ゴソゴソ

 

朱里「はい! では、左翼を愛紗さん! 右翼を星さん! 中央を一刀さんで進みます!!」

 

愛紗「ご主人様、危険です! 後ろで待機して下さい!」

 

一刀「いや! 皆を危険な目に合わせ、俺だけ安全な場所にいるわけにはいかない!! 俺が先に出る!!!」

 

朱里「いえ、一刀さんは大将です。本隊中央で指揮を取りつつ、ゆっくり進んで下さい! 

 

愛紗さんや星さんは、早めに進んで敵両翼の駆逐を!! 

 

それから、一刀さん! 危険な事になりますが……私に騎兵を千、指揮する許可をいただきたいのです。 そうすれば、この戦い……必ず勝てます!!」

 

一刀「うん! 朱里が言うんだ、間違えないんだろう! 朱里に騎馬千を預ける! 機会がきたら俺に断りなく、何時でも使ってくれ!」

 

朱里「はいっ!! ありがとうございます!!」

 

◆◇◆

 

【 また、一人……… の件 】

 

《 曹操軍敗北まで 25日 》

 

? ?州 白馬 白馬城近辺 にて ?

 

袁兵「伝令! 白馬城の反対方向より砂塵を確認! 曹操軍が近付いている模様です!!」

 

袁兵「牙門旗は『十字』! 北郷一刀率いる軍です!」

 

斗詩「早くも来ましたか! 皆さん、一部は白馬城を包囲、そのまま攻めて!! 残りは、私と共に北郷軍を攻め、北郷一刀を捕獲します! くれぐれも油断しないように!!!」

 

『おおぉぉぉ─────!!』

 

ーーーーーーーーーーーー

 

曹兵「袁紹軍! 突撃してきます!!」

 

一刀「愛紗、星! 頼む!!」

 

愛紗「関羽隊! 敵を押し返せ!」

 

星「任されましたぞ! 趙雲隊! 一刀殿のため奮起しろ!!」

 

ガシャン!! カンカン! ガキーン 

 

グシャッ! ザシュッ!

 

袁兵「どりゃ────!!」 ブン!!

 

曹兵「はぁっ!!」 キィーン!

 

怒濤の如く押し寄せる袁紹軍に、錐のように押し込む北郷軍両翼。

 

双方どちらも、軍を三隊に分け、正面からぶつかる!!

 

中央では、ゆっくりと進撃する一刀率いる本隊。 

 

兵の割数は曹操軍  3: 4 :3    

 

     袁紹軍  5:10: 5

 

袁紹軍は、兵数では優勢…しかし、団結力が弱く将も顔良一人だけ。

 

逆に曹操軍は、兵数こそ劣勢だが、一刀の周りを青州兵達で固め、左右両翼を名を知られる勇将二人が活躍する!!

 

   ーーーーーーーーーーーーーー

   ーーーーーーーーーーーーーー

 

朱里「今です! 騎馬隊各五百、左右に廻り込んで!!」

 

ドドドドドドッ!! ドドドドドドッ!! 

 

後ろで出番を待っていた騎馬隊が、左右に分かれ前に向かっていく!

 

   ーーーーーーーーーーーーーー

   ーーーーーーーーーーーーーー

   ーーーーーーーーーーーーーー

 

顔良「阻むとあれば……倒します! 退きなさい!!!」

 

ブーン!! ガッ! 

 

曹兵「ゴボッ!!」 ゴロゴロッ バタン! 

 

そんな中、本隊で戦う一刀の姿を見た顔良が、『金光鉄槌』を持ち兵をなぎ倒しながら、急いで近付く!

 

ダッダッダッダッ……ザッ! 

 

斗詩「───北郷さん! 袁家に降ってください! 姫……麗羽様が、貴方の到来される事を……一日千秋でお待ちしているのです!」

 

一刀「袁本初が、俺に何の用があるかは……知らない。 だけど…大切な仲間達が居る場所を……そして、こんな俺を信じて付いて来た人達を……裏切り離れる気など───毛頭無い!!!」

 

斗詩「それでは、力付くでも…………」グッ!

 

一刀「……無駄としても……抗わせてもらうさ………」カチャ

 

双方構えを取り、じりじりと近付く二人。 武の力は、反董卓連合で居合わせた仲ゆえ、戦い振りもそれぞれ見て実力を知っている。 

   

それに、戦場慣れしている顔良に比べ、実際に命のやり取りを行う場に数回踏み込んだだけの一刀では、精神疲労が………すでに違う。

 

対峙して余裕を持ち近づく顔良。 

 

緊張と戦場特有の匂いで、既に顔が青ざめる一刀。 

 

 

───勝敗は目に見えて──

 

───分かっていた───    

 

───はず──────

 

 

ズザザザァァァァァ───! 

 

ブゥゥーーン!!

 

斗詩「クッ!!」 ガキィーン!!

 

一刀「─────!!」 パッ!

 

そんな一触即発の中、割り込んできた将が一人!

 

愛紗「ご、ご主人様に………手を出すなぁー!!!」ゼェー ゼェー

 

急に、関羽が現れて、青竜偃月刀で切りかかる!! 顔良はかろじて武器で受け止め、自分に刃が届く事を防ぐが……驚きを隠せないままだ!

 

顔良「なっ!? なんで関羽、貴女が── 『愛紗だけではないぞ?』 ──!!」

 

星「 趙子竜 見参!! 」

 

顔良「 ─────!」

 

    ザッザッザッ

 

朱里「私の策に掛かりましたね? 顔良さん……」

 

顔良「いったい何が………えっ!? 左右両翼の兵の皆さんが……全員いない!!!」

 

愛紗「わ、我……『我々が敗走させたのだ!』─お、おい!!」

 

星「遠くから走って来たのだろう! そんな息も絶え絶えでは説明も満足に出来まい? だから、代わりに喋ったまでの事、感謝しろ!」

 

愛紗「お前も………同じくらいの距離………」ゼェー ゼェー

 

星「簡単な事。 私の胸は、愛紗より控えめだからだ!!」

 

愛紗「ばっ────///////////」ボン!

 

朱里「……………ふんっだぁ! 私は星さんより、もっ〜と控えめですけど、足なんてぇ遅いですよぉ〜〜だぁ!!」プンスカ!

 

一刀「朱里! お願いだから機嫌直して!? まだ、戦い終わっていないんだから!!」

 

朱里「あわわわ! しゅ、しゅいません!! 

 

コホン、顔良さんが一刀さんにぶつかる少し前に、騎馬隊を出します。

 

我が軍の両翼がぶつかり合う合間に、袁家両翼の後方を迂回し、後方からも攻めて潰走させ、顔良さん率いる本隊を、そのまま包囲に持ち込み、壊滅直前まで弱らせたのです!!」

 

顔良「………………私をどうするんですか?」

 

愛紗「無論! この場で首を落とす!!!」グィ!

 

星「待て! 一刀殿……どうされましょう? 貴方が、この軍の大将、如何様な裁きでも文句は言いますまい!」

 

一刀「俺は─────────」

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

顔良「………良いんですか? こんな事、私が言うのも変ですけど、敵将をそのまま放すなんて……変ですよ! 凄く変です!!」

 

星「ほぅ……お主は放たれるより、『主』の慰み者にされたいか?」

 

顔良「ーーーーーーー!」

 

愛紗、朱里「「ジィ──────」」

 

一刀「そんな事しないし、やらない! 星も適当な事を言わない! ……ただ、仲間を失う事が………つらいだろうなって……思ってさ…………」

 

朱里「それに、此処で捕縛してしまえば、顔良を奪還しに全力で、此方に向かってきます。 もし、斬首でもしたら……敵討ちのため一丸で攻めてくるのは間違いありません!

 

ならば、逆に命を救い、陣に送り返せば、敵兵は疑いの目を向け士気が下がり、我らに有利になる事でしょう!!」

 

愛紗「………そんな大事な事を、敵将たる顔良に話してしまい、どうするのですかぁ!? 」

 

顔良「……………………」

 

一刀「それでも……顔良さんは戻るよ。 袁本初のために……。 袁家のためではなく、『袁本初』個人のために………」

 

顔良「…………はぁ。 本当に……北郷さんは変わってます。 どうして姫や私の心が分かるのですか…………」

 

星「それが、我らの『主』が『主』である由縁よ!」

 

一刀「なんだよ、それは!? それに俺は、皆と同じ華琳の将だ! だがら『主』とか『ご主人様』の敬称は駄目だと、華琳や春蘭達に何回も叱られているんだろう? どうして付けるんだよ!?」

 

愛紗「……ですが、ご主人様が居なくなり、やむを得ず臣下の礼を取る事になったとなら分かります。 でも、我らのご主人様は、この通り健在の身! 

 

それなのに……その忠義を捨てさり、新たに仕える者に誠意を持って仕えよとは……ご主人様のお言葉とはいえ、納得できません!!」

 

朱里「その話は、今は関係ありません! そろそろ本隊の伝令か援軍が来るでしょう!! 逃げる気があれば、今しかありませんよ!?」

 

顔良「───ふぅ。 それでは、お言葉に甘えて引きます。 ですが……姫は諦めません! そして、私も……!!」

 

一刀「えっ!?」

 

愛紗「なっ!?」

 

星「ほぅ!? これは…面白い」

 

朱里「はわわわ!」

 

顔良「顔良隊、引きます!! 急いで下さい!!」

 

袁兵『ははぁ───!! 者共! 引けぇ、引けえぇぇぇーー!』

 

ザザザザザァァァァァーーーー!!

 

朱里「…………さて、まず目的は達成出来ました! これで、数日は余裕が出来ると思いますが…」

 

一刀「じゃあ! 俺達も延津に………『その前に、劉延さんに報告してから向かいましょう!』そうだな! 行こう!!」

 

愛紗「またか……またなのか!? ご主人様を慕う者が多いのは、ご主人様の魅力がそれだけ大きい表れなのだが……釈然としないのは私だけか!?」

 

星「仕方なかろう。 それだけ……花に魅力があれば、蝶は競い寄り集まる。 愛紗や私、朱里もその一人………更に集まる事を覚悟せねば……な」

 

◇◆◇

 

 

【 へそ曲がり来訪 の件 】

 

? 洛陽 宮廷内 颯馬私室 にて ?

 

颯馬「…………今度は、誰が来るんだ?」

 

数日前に漢女が跳び去り、ふと窓を開けて……外を眺めた。

 

数ヶ月前に、月様が天水城の部屋で祈らていたら……眩い光が外から溢れ、驚き出てみたら……俺が森の中に居たと聞いている。

 

まさか、また再び光が輝いたとかあったり…………

 

───────────!

 

うぉー! 本当に光った!? 

 

俺は驚き、窓を眺めると………誰も居ない………? 

 

そんなバカな、確かに窓から光が差し込んだんだ! っと思い、部屋の扉に向かおうとしたら─────

 

??「ドーン!!」 ガバッ!!

 

な、なんだぁ!? 腰に何か抱きついてきた!!

 

あまりの急な突進と抗えない程の力のため、俺は窓側に押し戻され…って、あ、危ない─!!!   

 

ド〜ン!!  グラッ グラリ───!

 

うおおぉぉぉ───いい! 

 

ま、窓、窓! 落ちる、落ちる!!

 

??「あわわわぁぁ!! そ、颯馬が落ちちゃう!! 政宗! 景綱! 綱元! 見てないで助けてよぉ〜〜!!!」

 

政宗「全く! 成美は、何をやっているのだ! 馬鹿者!!!」

 

景綱「…………久々の再会がこれとは、世話が焼ける………」

 

綱元「ははは………まぁ、早く助けてあげよう!」

 

 

…………………………………

 

 

はぁ………… 死ぬかと思った───

 

 

成美「颯馬ぁぁ! ごめんね! ごめんねぇ! 久し振りに会うから、ただ会うのもつまんないなぁと思って、脅かそうと──!!」

 

政宗「…………………」

 

颯馬「俺に会うのでしたら、正式に手続きをしたのですか?」

 

景綱「無論だ! 伊達家家中の者が、異国とは言え、礼を弁えず行動すれば名折れだぞ!? 一緒に来てくれた、貂蝉なる方の案内で入れたのだ!」

 

政宗「………………」トントントン

 

颯馬「それにしても………皆さん……元気そうで何より」

 

綱元「颯馬は、少し痩せた? 無理とか……してない?」

 

颯馬「まぁ……少しは…………」

 

政宗「おい!! 颯馬!!」ドン!

 

颯馬「はい! あっ……政宗殿!!」

 

政宗「何故、私を避ける!! 何か疚しい事でもあるのか!?」

 

颯馬「………………はい」

 

政宗「では、話してみろ!! 」

 

颯馬「………俺は、輝宗殿より御教授を受けました『伊達家お家芸』で、何度も危機を………乗り越える事が出来ました………」

 

政宗「そうか」

 

颯馬「はい! この事は今でも感謝しております。 ただ、俺の手練不足のため、せっかく手ほどきいただいた武術を……出来なくなる事態に陥ってしまい……誠に申し訳なく……………」

 

政宗「それが、どうしたのだ……?」

 

颯馬「………それ故、顔を合わせ辛くて……あっ、いえ………」

 

政宗「………この大馬鹿者!!!」

 

颯馬「────────!」ビクッ

 

政宗「お前の事情は、義輝公や凪殿から聞いた。 

 

………颯馬、お前は立派だったよ! 自分の身体を張って、多くの者を守り抜いたのだ! 父上も聞いたら、さぞ褒めて下さるだろう! 

 

だが、それなのに……颯馬自身が恥てどうするのだ! 

 

我が家の武術は、弱き者を守る事こそが要! だから、無刀で勝てる術理がある! お前は、それを体現したおのこだ! 誇りを持て!

 

それに、体術ばかりが我がお家芸と思われても……困る!! 

 

私達、伊達家も────この戦に参戦させてもらう!!」

 

 

俺は、政宗殿達が、どうして来られたのか……聞けなかった。 

 

今まで、胸に支えていた問題が……取れたのだから。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

景綱「やれやれ。 ………相変わらず素直ではないな。 義輝公に話を聞いたら顔が真っ青になって心配していたのに………」

 

綱元「私達も気懸かりだったから無理もないさ。 さて……新しい主君『董卓』様に挨拶を交わさなければ……」

 

成美「さーて、成美ちゃんの力、この三国志?の世界で、思う存分奮わせてもらうよぉ〜〜!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

後日、あの時の光は……貂蝉の頭に太陽光が当たり、反射したからだと聞いた。 『太○拳』とか言って、訳の分からない事をほざいていたが…………

 

最初、伊達家の者の来訪を、バレないように俺の部屋から反対側に現れる。 皆に挨拶を交わした後、貂蝉が自慢の頭を磨き、俺の部屋の前に移動。

 

俺が、窓に居るのを確認した後、光を放つ! 

 

慌てふためくところを四人で驚かそうという、算段だったそうだ。

 

ところが成美が抜け駆けをし、一人で突撃! そのおかげで、死の恐怖を再び味わう事になったが………………

 

 

◇◆◇

 

【 益州 の件 】

 

? 益州 成都 成都城 謁見の間 にて ?

 

 

劉焉「…………………………」

 

玉座に座るのは…益州州牧『劉焉』

 

白髪混じりの髪が、手入れがされずボサボサ。 冠も頭に申し訳ない程度に乗っている有様。 衣服も高価な絹で出来ているのが分かるのだが、皺だらけで威厳というものを、まるで感じさせない。

 

体型も日頃の運動不足がたたり、普通に歩くだけでも大変そうな具合である。 数段下に畏まる厳顔に比べ二倍以上の体重差がありそうだ。

 

★☆★  ★☆★  ★☆★  ★☆★

 

余談だが……同じ益州漢中郡を支配する張公祺(こうき)とは、頗る(すこぶる)仲が悪い。

 

理由は色々あるが、特に原因らしいのは……この話らしい。

 

劉焉がある時、自分の体型を気にして張公祺に相談をした。

 

『太り過ぎてみっともない! 簡単に痩せる方法はないか?』

 

五斗米道の張公祺だけあり、医学的見解で述べる。

 

『毎日の食生活を改善しましょう! 特にご飯は《水漬け》が宜しいかと(茶漬けでお茶をかけるが、水漬けは水だけかける)』

 

劉焉は、約束を守り貫き通した! だが……逆に体重は増加した!

 

『何という嘘付きめ!! 五斗米道なぞ役に立たぬ! ──皆、死んじゃえ〜〜★★』

 

『────いくら水漬けが痩せると言っても、お椀に何杯も、お代わりする者は御座いませんぞ!!!』

 

そんな確執があったそうだ…………

 

★☆★  ★☆★  ★☆★  ★☆★

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

数十年前に馬相と趙祇らが民衆蜂起を起こし、益州の乱が始まった。

 

当時『賢人』と噂された劉焉が州牧となる。 益州の乱を鎮めてくれるとの期待を込めた、当時の皇帝『霊帝』の指図であった。 

 

同族で、誉れ高い劉焉ならば、何とかしてくれるのではないかと…の期待が込められていた。

 

だか、劉焉は───その好意を逆手に取り、馬相と趙祇を利で取り込み、益州の地形を利用して、漢王朝の支配から離れる政策を取った。 

同族にも関わらず、血統の薄さにより皇帝になれなかった……憎しみと羨望による独立国家の成立である。

 

その後、邪魔になった馬相や趙祇、反乱を起こす豪族達を殺害し、自分の意見に賛同する者や慕う者達で形成した『東州兵』を周辺に置き、完全な独裁政治を造りあげたのだ!

 

あれから十数年………老いて、昔の頭の冴えも鈍くなり、部屋に引きこもる事が多くなった。 それに、馬相や趙祇達に影響を受けた『萌え』なる嗜好に嵌まった事も、要因の一つである。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

桔梗「劉焉様! これ以上税率を上げられては、民の暮らしに支障をきたします!! どうか、政務に目を向けてくだされ!!」

 

劉焉「嫌じゃ! 嫌じゃ!! 働くのは負けたも同然! そんな小言を言うなら、儂は、また部屋に引きこもるぞぉ!!!」

 

──スクッ!  

 

ズシズシズシズシ ズシズシ──

 

バタン!!

 

この後、劉焉は……厳顔の呼び掛けに応じる事なく、部屋に閉じこもった。 それでも、何度も呼び掛けると、衛兵より、退室するように促され……渋々立ち去らねばならなかった………。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

? 同じく成都城 通路 にて ?

 

桔梗「劉焉様!! ───クッ、儂の話も聞かなくなってしまったか? 十数年前の覇気ある劉焉様は、どうしてしまったのだ…!?」

 

紫苑「桔梗!」

 

桔梗「おぉっ───! 紫苑か! 久し振りじゃな!! 

 

──ん? 主もここに来たと言う事は………劉焉様に謁見し、言上しに参ったか?」

 

紫苑「えぇ………余りにも、私や周辺の領国内で、民からの陳情や怨嗟の声が上がってくるのでね。 一度、御尊顔を拝見しながら、御意見を申し上げようと思って、登城したのだけれど…………」

 

桔梗「──ここでは拙い。 場所を変えよう……」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

? 成都 市街地内 にて ?

 

厳顔と黄漢升は、二人連れ立って大きな酒屋に入る。

 

成都でも老舗(しにせ)になる酒屋『鳳舞庵』は、昼近くという事もあり、結構な客で混み合っていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

バサッ!!

 

桔梗「邪魔するぞ!!」

 

パタパタパタパタ──!!

 

酒屋店主「これは、これは…! 桔梗様……ようこそお越しで!!」

 

桔梗「主……部屋を借りたい! 久々に旧友に出会ったのでな! 二人で飲み比べをしたいのが……醜態を晒す訳にもいかぬ………」

 

酒屋店主「ははは! 何を仰います! 桔梗様の艶のある酔い姿なら更なる客が参るでしょうに!!」

 

桔梗「儂のような年寄りの姿を見て誰が喜ぼう!? それに、太守が酒浸りで酔っていたなんて、噂でもたてられたら困るではないか!」

 

酒屋店主「確かに…! それでは、どうぞ、お気軽に御利用下さい! 私も後ほど『名酒』をお持ちし、お伺いいたしますので!!」

 

桔梗「うむ! それにしても……流石は主! この山に囲まれた益州で『名酒』が入るとは珍しい! どこの産の物だ!?」

 

酒屋店主「聞いて驚きなさいますな。 なんと『洛陽』の出で御座います!! 」ニヤリ

 

桔梗「ほぅ…………! また、さぞかし美味い酒に違いない! では、何時もの酒と摘まめる物を頼む!!」

 

酒屋店主「承知いたしました!!」ペコッ

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

新キャラ続出で、ヘトヘトに参っている作者です。

 

大幅な目処を付けながら、物語を綴っていますが……実は、益州の分を忘れていました。 全くの白紙の状態………。

 

まぁ、とりあえず、キャラと颯馬の策だけ作り、接点だけ繋げようかな……と、考えていた次第です。 

 

劉焉が、ニートぽくなったのは、他の作品の皆様の劉焉が、いけいけの攻め方が多いので、あえて益州に引きこもらせました。 重要なキャラでもないし。 

 

続きの状態になりましたが……その後どうなるか、全くではないですが…………未定です。

 

 

さてさて、どう進行しますか…………

 

こんな話ですが、また、よろしければ読んで下さい。

 

 

 

説明
義輝記の続編です。 よろしければ読んで下さい。
5/10 一部修正しました。 
曹操の話だけ過去の話です。 分かるように修正しました。ご迷惑おかけします。
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コメント
禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! 男キャラで、どうでもいい奴が残念な性格です。 性格のいい奴を消すのは良心が痛むというか愛着湧くもので。 次回、やっと久秀を活躍させれます。(いた)
忘れちゃいけないが一刀は努力をしている一介の学生ただのガキであるという事、曹操並の孤独を感じてそうだな。出てくる男キャラが総じて残念で正当化の餌だったり一刀君の糧や色んな大義名分(実質は大義名分(笑)だが)の元でしかないのは恋姫世界の法則なのか?、嫌いじゃないが一刀の連合戦でのクズっぷりは忘れてませんぜww。次も楽しみ(禁玉⇒金球)
益州も早いとこ領国にしないと、赤壁の戦いが出せないという事情があります。 策は殆ど出来ているのに………書けないのが辛いですね。(いた)
雪風様 コメントありがとうございます! 結局、伊達家になりました。 義重ですと絡みが難しく、義光ですと大陸で鮭取れるか不明ですので。 秀吉等も考えましたが、只でさえバランスが崩れているのに、入れるのもどうかなと思いまして。(いた)
「益州と、伏龍が治める洛陽一帯・・今後の立場を決めておくか・・」by李恢・「伏龍勢・・侮れず・・しかし主君に忠をつくすのが家臣の役目」by黄権(雪風)
「梵天丸のお嬢達が異国へと旅たつか・・俺も向うの鬼と斬り合いたいものよ」by鬼佐竹・「政宗達が颯馬の支援に向かったか・・妾も行きたかったのじゃが・・鮭が恋しいのじゃ」by最上義光(雪風)
naku様 コメントありがとうございます! もしくは……執着心ですね。 いや、刷り込みというべきか。 間違いなく言えるのは、この外史でもモテるという事です。 主人公補正も若干付いています。(いた)
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