IS 2体の魔神皇帝IFストーリー
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臨海学校2日目、今朝は珍しくラウラが寝坊してきた。

やはり千冬が何か言おうとするが一夏と海道がジト目で睨むと押し黙ってしまった。

 

「そういえばなんで箒が此処に?それにスーツも変わっているし」

 

「姉さんが此方にと言ったんだ」

 

鈴の言う通り箒は専用機を持っていないのだが専用機持ちに混ざっていた。

ISスーツも今までのものから専用機用なのか白い物に変わっていた。

 

「篠ノ之先生?」

 

「箒ちゃん使用の専用機がやっと出来たんだ。なにせいっくんも身を護る為に専用機を持ってたのに

 私の妹だから狙われるだろう箒ちゃんにはなかったからさ。急いで作ったの」

 

専用機持ちだけでなく他の生徒達もその理由に納得した。

それだけ束と一年生の生徒達が仲良くなっている証拠であろうか・・・。

 

「他の学年の人たちは不満を言ってましたけどね・・・」

 

引き攣った笑顔で山田先生が言うと視線は海道に集中する。

彼はなんと思っていないようだが不満を言っていた上級生達に灸を据えた事だけは事実だ。

 

「それでは!上を見よ!」

 

全員が上空を見ると銀色の突起物が落ちてきた。突起物は地面すれすれで停止した。

 

「IS用コンテナか・・・。変な形だな」

 

「ぶ〜・・・変じゃないもん」

 

海道がコンテナを変な形というと束は少しふてくされたようで頬を膨らませる。

 

「蛙かお前は」

 

「「「「「「「「だぁ!?」」」」」」」」

 

まがりにも女性を蛙と例えた海道に女性陣(異世界組みは除く)がずっこけた。

 

「いくらなんでもそれは酷いよかいくん!!」

 

「何処がだよ・・・」

 

やはり彼には全く理解が出来ないようなので束は溜め息をつくと箒を呼んでコンテナを開けた。

 

「之が箒ちゃんの専用機『紅椿』だよ。第3世代型を更に発展させてやっとこさ第4世代を完成させる事に成功したよ。

 あ、勿論この技術提供はとある国にしてるけど」

 

「「「「「第4世代!?」」」」」

 

「驚く所か?」

 

「あのな彗・・・此処は平行世界だぞ?」

 

「む・・・」

 

彗は第4世代と言う所を驚いているのに疑問を持つが海道が悟らせる。静香は苦笑いしている。

 

「た、束?技術提供はどの国に?」

 

「かいくんしか知らないよ?」

 

シャルロットは此処で何かに気がついたようだ。

 

「もしかして・・・フランス?」

 

「そうだが?」

 

あっさり肯定する海道に全員がやはり苦笑いした。

 

「っていうかいつのまに私の作ってたデータ盗んだの?」

 

「初対面の時にとり上げたカチューシャにデータの入ったマイクロチップがあったからコピーした。

 その情報を所々劣化させた上で擬似第4世代型第3世代を作れるようにしたって訳」

 

束はあの時か!?とガックリと膝をつき、千冬は衝撃のあまり真っ白になり、

一夏達は海道らしいの苦笑いするしかなかった。

 

「かいくん達のIS・・・もといマジンガー、ジークシリーズは世代がぶっ飛んでるから仕方ないか。

 それくらいの知識はあるよね」

 

「いや単なる思い付きでデータいじくったら上手く行っただけ」

 

「運が良かっただけかい!!」

 

束はハリセンで海道を叩こうとするが

 

「千冬ガード」

 

千冬を使ってガードされた。

 

(どこのガードベントなの・・・)

 

静香は某特撮仮面鏡騎士を思い出し、海道が紫の蛇に見えたとか。

束は千冬に謝ってから箒を紅椿に乗せてフォーマットとフィッティングを行なった。

 

「武装は箒ちゃんの特にな二刀流に合わせて刀を作ったよ。かいくんに超合金NZを少し分けてもらえたから

 形状変化を起こせるようになってる。

 一本は空裂(かられ)斬撃をカマイタチみたいにしたエネルギー攻撃が出来るよ。

 もう一本は雨月(あまつき)。刺突攻撃の際にエネルギーを打ち出すよ。

 形状は大太刀から小太刀、脇差クラスまで思いのまま。

 一応白式と同じく単一仕様能力も使えるよ。その名も絢爛舞踏(けんらんぶとう)!

 少量のエネルギーを増幅して一気に振る状態にしたりエネルギーのつきかけてる皆に

 触れるだけで即時エネルギー供給が可能だよ」

 

「もう少し抑えた方がよかったのでは?」

 

「でも私の妹ってだけでかなり狙われる危険性もあるから・・・ね?」

 

箒は紅椿の性能の高さが之だけでもわかったようで顔には少し恐怖が出ている。

海道はそれを見て最初に有った時より精神的にきっちりと成長しているのを感じ取った。

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「お、織斑先生!篠ノ之先生!!」

 

「如何した山田君」

 

山田先生が差し出した小型PCを2人は少しの間見ていると互いに顔を合わせて頷く。

 

「訓練は中止する!!専用機持ちは私について来い!残りは自室待機だ!!」

 

皆に驚きの表情が出るが直ぐに気持ちを切り替えて片づけを素早く済ませて自室に戻って行った。

専用機持ちは教員が使っている一室に入れられて次の指示を待っていた。

 

(海、この時期にあった事件ってまさか・・・)

 

(福音関連だろうが此処は平行世界だ。詳細は変わっているだろう)

 

(もしやピグマンが絡んでいるのか?)

 

(可能性は高いだろうな)

 

マジンガー、ジークシリーズ特有のフォトンリンクコネクションを使用してこっそり会話する異世界組み。

一夏達は何が起こったのか解らずに困惑した表情だ。

 

30分ほどすると千冬と束が一人の金髪の女性を連れてやってきた。

アメリカ軍の軍服を着ていたので海道以外が緊張した表情になる。

軍が絡んでいると成るとかなり厄介な事になっているだろうと予想したのだ。

女性は所々に包帯をまいているので怪我をしているのが直ぐにわかった。

しかし軽症で済んでいるようなので彗と静香は安心した。一夏達は心配そうに女性を見ている。

海道は包帯の巻き具合からして切り傷なのだろうと判断していた。

 

「千冬、同じ顔が二人いるけど・・・」

 

「それは後だ、ナタル。一応自己紹介をしておいてくれ」

 

ナタルといわれた女性は頷いて簡単な自己紹介をした。

 

「ナターシャ・ファイルスよ。アメリカの国家代表でもあるわ。気軽にナタルとでも呼んでね」

 

「織斑たちも各々自己紹介してくれ」

 

一夏達も自己紹介して行き、海道達は自分達が平行世界の人間であると話すと彼女はとても驚いていた。

 

「今回私がここに来たのは正体不明の敵を一緒に迎撃して欲しいからなの」

 

「正体不明の敵?もしかしてロボットの癖に獣みたいな動きをするやつらか?」

 

海道がナターシャに聞くと彼女は頷くと同時に適について話し始める。

 

「そんな感じね。あとなんだか顔が幾つかついていて腕も4本、それにかなりの大きさを持った奴

 も一体居たわ。流石に私の専用機『銀の福音』だけじゃ辛くて・・・。情けないけど今頼れるのが

 貴方達しかいないの。私は太平洋艦隊に所属する一隻の空母に乗っていたの。

 詳細は軍事機密になってて詳しく話すことはできないのだけど」

 

ナターシャはその後、どんな事をしていて奴等に襲われたのか話し出した。

 

「まず何で此処に来たのかその理由を話さないといけないわね。

 昨日から日本の許可を得て駿河湾沖で高速飛行テストを行う事になってたんだけどその正体不明の敵に襲われて

 空母は中破して今は横須賀に居るわ。そして私は奴等を迎撃する為に出撃しようとしたんだけど

 見ての通り負傷しちゃっているから援護してくれる仲間が必要だったの・・・」

 

「なるほど。確かにその傷では思いっきり戦えないな」

 

ラウラがナターシャの傷を見ながら頷く。軍人なだけあって小さな傷が命取りになるであろう事を心得ている。

海道は一冊の本を取り出してページをめくる。かなりの大きさを持った奴というのに心当たりがあったからだ。

 

「大きい奴ってのはコイツか?」

 

ナターシャが覗き込むと頷いて答えた。

 

「そう、コイツよ。でも・・・なんで貴方がこの敵の事を?」

 

「こいつ等は機械獣と言って元々俺達の世界に居た敵なんだ。その機械獣を作れる奴が

 一人この世界に来ていたのが解った。まずデータを表示する」

 

空中に画面が現れて機械獣のデータが表示される。

 

「コイツは地獄王ゴードン。武装はフィンガーショック、とその巨大な剣、そしてサイクロンファイヤーだな。

 昔姉貴が戦った最後の敵だ。他には何か居たか?」

 

「何体か・・・データを見せるわね」

 

ナターシャが海道に今現在わかっている敵のデータを見せる。

 

「ISが2機、機械獣がゴードンを含めて3機か・・・ゴードン以外は妖機械獣と戦闘獣か」

 

「戦闘獣?」

 

「人間の脳を乗せた機械獣とでも言えば良いか。それに強い再生能力も持ってるから厄介だぞ。

 まず妖機械獣から説明しちまおうか。この象みたいなやつだ。エレファンスγ3。

 耳から発射する光線はあらゆる物を水飴のようにドロドロにしちまう。

 鼻からはミサイル、胸からは貫通力の高い針を出して攻撃する。

 戦闘獣のほうは・・・たしか悪霊軍団のズガール。目から発射するビームは結構強力だ」

 

更に詳細なデータを提示する海道。それを元に作戦が立てられてゆく。

海道は念の為、旅館に残り、彗、一夏、箒、ナターシャを先陣とした隊。

ラウラ、シャルロット、セシリア、鈴、簪、静香はIS(静香はISではないが)の

スピードが先陣隊ほど早くないので少し遅れて合流し、ことに当たる事となった。

 

「戦闘獣は強力だからまず最初に倒せ。エレファンスγ3は空を飛べないから光線に気をつけて

 おけば後回しにして構わない。問題はゴードンだ。どんな行動をするかが解らない。気をつけてくれよ。

 そしてもう一つの問題が敵のISだ。どんな機能を持っているかわからないから静香を筆頭に

 戦闘をしないといけない」

 

「静香を筆頭?如何してなんだ?」

 

「静香のジーグはISじゃないからIS本体に対する電子攻撃が全く効かないからな。

 もし敵がそのような能力を持っているとしたら?」

 

「確かに私のジーグは適任だね。破瑠覇も生物だからそんな攻撃効かないし」

 

「俺はピグマンが居る可能性があるから此処に残る。敵は倒さなくて良い。

 撤退させるのが今の所最良の選択だ」

 

そして各々が出撃していく。海道は旅館の中からそれを見送った。

そしてそれを見ていた影が一つ。

 

「チッ!海道一夏は出撃していないだと・・・。私の動きを見破るか・・・。

 まだ期ではないということだな。的にすると此処まで厄介とはな。

 流石Drヘルが一番恐れているマジンガー操縦者・・・。おき見上げだけは置いて行かせて貰おう」

 

その影、ピグマンはアンドロイドらしき物をを3体起動させると旅館に向わせた。

一夏達は・・・

 

「彗の機体って海道のマジンカイザーSKLの兄弟機だったのか・・・」

 

「マジンカイザー・・・まさに魔神の中の魔神だ」

 

彗のカイザーの力強さを感じながら敵の居る海域付近までやって来た。

しかしゴードンの姿はなく、変わりに戦闘獣ズガール、エレファンスγ3、

敵ISが1機居た。どうやら敵IS一機とゴードンは別の場所に移動したらしい。

 

 

 

「フフフッ、来たわね。世界の敵、織斑一夏!」

 

「世界の敵だと!?」

 

ラファール・リヴァイブに乗った女は一夏を見ると世界の敵だと言う。

 

「そうよ。女尊男卑の邪魔になるから敵よ!私達のね!」

 

「ふざけんな!!」

 

「其処の貴方達もそう思うでしょ?男なんて世間に居てはいけないの。

 滅するべき者達なのよ」

 

女は箒や彗達にまで言葉を掛ける。

 

「下らん」

 

「あぁ全く下らん」

 

「そうね、私は男も居てこそ人間だって思ってるし」

 

完全に否定された上に彗は上から見下ろすような視線を女に向ける。

それがが癪に障ったのか女はズガールとエレファンスγ3にカイザーの相手をさせる。

 

「その女は頼んだぞ!マジィィィィン・ゴォォォォ!!!」

 

カイザーパイルダーが火を吹いてカイザーを加速させてゆく。

一夏達は女の相手をする事となった。

 

「私がまず攻撃するわ。それまで前に出ないで」

 

「「了解」」

 

銀の福音の『銀の鐘』による攻撃が行なわれる。エネルギーの翼から小さなエネルギー弾を

無数に発射し、女を攻撃する。

 

「甘いわね。砂糖の数千倍は甘いわ」

 

「箒!」

 

「解っている!!」

 

「甘いって言ってるでしょ?」

 

女は2人の攻撃を意図も簡単に受け止めると箒を弾き飛ばし、一夏を何度も殴る。

 

「男がISを使うなんて生意気なのよ!!私達の正義の前に死になさい!!」

 

「何処が正義だ馬鹿野郎!!」

 

一夏も女の顔を殴り返して脱出しようとするがガッチリつかまれていて脱出できない。

 

「一夏!!」

 

箒が空裂で女を攻撃し何とか一夏は脱出できた。

女は激昂し、箒を執拗に攻撃しだす。噛み付いたら離さない鼈(スッポン)の様に。

 

「私達に従わない女などこの世界には不要よ!!」

 

「させないわ!!」

 

ナターシャの攻撃で何とか2人は距離を取る事ができた。

 

「邪魔しないでくれる?悪を排除するんだから」

 

「悪ですって?少なくとも私には貴方の方が悪に見えるわよ」

 

「アッハハハハハハハ!!何を言ってるの?私達は絶対正義!!間違っている訳ないじゃない!!」

 

一夏達は之で敵との話し合いは無駄だと悟った。

 

「一夏ぁぁぁぁぁぁ!!」

 

シャルロット達が合流し、数だけは更に勝る事になったが敵のもう一機のISも戻って来た。

静香は彗の下に向ったようでエレファンスγ3が光子力ビームによって撃破されるのが見えた。

 

「あら。貴方まだてこずってたの?」

 

「何言ってるの?悪を排除しようって時に!!」

 

「まぁ男が悪だって言うのには賛成ね。ホント下らない愚劣で醜悪な生き物なんだから」

 

「其処の女達もそうよ!!私達に従わないのだから!!」

 

「ふ〜ん。そう。殺しちゃう?」

 

女は見下すように箒達を見る。そして瞬時加速で一夏に接近し、シールドピアスを突きつけた。

 

「貴方は邪魔よ。死になさい」

 

何回もパイルバンカーを突きつけられ、白式は傷ついていく。

箒達が助けようとするがもう一人が見事と言うまでに邪魔をする為に何も出来ない。

 

「グッ・・・くそっ・・・」

 

「白式は破壊する!ISは貴方みたいな穢れ者が使って良い物じゃないのよ!!」

 

SEが0になってしまった白式は待機状態に戻ってしまった。一夏は負傷の為動けず、白式を破壊されてしまった。

コアだけは意識を失う寸前で一夏が確保したが女達は満足したように一夏にトドメの一撃を差そうとする。

 

「一夏!!」

 

箒が何とか攻撃をかいくぐり、一夏を回収し、近くの小島に着地した。

彼の怪我は傷口は小さいのだが出血が酷い。どうやら深い位置まで攻撃が貫通していたようだ。

急いで治療をしなければ出血多量で命が危ない。

 

「撤退しましょう・・・」

 

「でも!!」

 

「今は織斑君の安全が第一よ!!」

 

到着したばかりのシャルロット達はとても悔しそうだったが、ゴードンが出てくる可能性もある状態で

負傷者を抱えて戦う事は危険極まりないので彗達にも連絡し、撤退する事にした。

 

「追いかけないの?」

 

「再出撃してくるでしょうね。そうしたら今度はボコボコにした後にあの男の前で女達を殺してくれるわ。

 アハハハハハハハハハッ!!!!」

 

女はトチ狂ったよう笑いもう一人も面白そうに笑っているのだった。

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一方少し時間は戻り旅館にいる海道は束が念の為に仕掛けておいたセンサーに何者かが引っかかったので

現場に向う。すると金色の紐のような物が伸びてきて近くにあった木を切断した。

 

「確か・・・ガミアQシリーズだったな・・・」

 

『その通り・・・ガミアQ1』

 

『ガミアQ2・・・海道一夏』

 

『ガミアQ3・・・貴様を殺す』

 

一斉に飛び掛ってくるが海道は慌てずに光子銃を抜いてガミアQ2を一発で破壊した。

ガミア達は彼の反射神経の鋭さに驚いている。

 

『ありえない・・・』

 

『人間如きがこの反応速度だと?』

 

「機械如きが何言ってやがる!!」

 

さらにガミアQ1のツインテールの付け根を打ち抜いて近くの草むらに隠れる海道。

ガミアQ3が草むらを髪の毛で切断するが其処には海道の姿は無い。

 

『何処に行った・・・?』

 

「此処だ!!」

 

先程の草むらの影から一発のビームが放たれ、ガミアQ1を破壊する。

海道は事前に襲撃があるだろうと確信し、先日の夜の内にいくつか塹壕を掘っておいたのだ。

 

『戦況は不利・・・任務続行する』

 

(データを持ち帰るくらいの機能を付けてねぇのかよ。あしゅらより頭悪いなピグマンの奴)

 

あしゅらならこうしているだろうと想像しながら海道はピグマンに呆れている。

ピグマンの戦闘能力の高さは彼も認めているが頭は少し駄目な様だ。

ガミアQ3は決死の覚悟かのか一気に距離をつめてきた。

 

『この距離ならば銃は使えまい!!』

 

「残念だったな!!」

 

牙斬刀をコートから取り出してガミアの胴体を真っ二つにした海道。

 

「俺は彗には及ばないが剣にも覚えがあるんでね。情報不足だったな」

 

ガミアは既に機能停止していて聞こえていないのだが海道はそう言うのだった。

ふと海のほうを見た彼は箒達が負傷している一夏を抱えて飛んできているのを見付けた。

 

「おい!織斑先生達よ!!織斑が負傷して全員戻って来た!!」

 

其れだけ言うと彼は海岸に向って走って行った。束は部屋で一夏が横になる為の布団の準備をし、

千冬は泣きそうになりながら皆の戻って来た海岸に走って行った。

清香はそんな千冬を見て何か起こったのか不安になり後をつけて行った。

 

「一夏・・・」

 

「僕達が不甲斐ないばかりに・・・」

 

「お前等のせいだけじゃない。敵を甘く見ていた全員の責任だ」

 

海道は落ち込む女性陣を励ましながら一夏の治療をする。

彼の傷は腹に小さな穴が開いている状態だ。しかし傷が深いので血が止まらない。

 

「クソッ・・・一か八か・・・」

 

海道は待機状態(ガントレット)のグレートを取り外して一夏の右腕に取り付けた。

すると一夏の傷口は見る見る塞がっていく。

 

(まさかな・・・・可能性はあるが・・・)

 

海道はその現象を見て何か思い当たる事があったようだが今は彼の傷が塞がった事を喜ぶことにした。

箒達も気が抜けたように座り込んでしまった。千冬も遅れてやって来た。

 

「一夏は!?」

 

「今治療が済んだ。それにしても白式は如何したんだ?」

 

箒達は苦虫を潰したような顔になり、苦しそうに話し始めた。

敵は女尊男卑を徹底しようとしている者達であり、男を悪としていること。

個人である程度その考えに差が有る事。どうやら一夏の白式の破壊を狙ってきていた事。

敵のIS操縦者は第2世代で第3世代に乗る国家代表と代表候補生達等を

相手に出来る腕の持ち主である事。

 

「おのれ・・・・・・」

 

千冬は怒りに燃えているが海道は何かを考えているようだがふと一夏を見て違和感を感じる。

 

「何で起きないんだ?」

 

「そういえば・・・」

 

傷が塞がっているのに彼は目を覚まさない。血が足りていないのかもしれないと思った千冬は

彼と血液型の同じ生徒達に協力を頼み、輸血を行なった。しかし彼は目を覚まさない。

束は一夏が目を覚まさない理由が解らずに困惑してしまっている。

 

「今は寝かせておいた方が良いかも・・・」

 

(まさかコイツが・・・?だが・・・いや否定しても始まらないか)

 

束が一夏をそっとしておこうと言う脇で海道は何らかの結論に到ったようだ。

 

「海、織斑が何でこの状態になっているか心当たりでもあるのか?」

 

「多分・・・」

 

珍しく弱い声で返す海道。確信が持てないので頭を抱えている。

 

「憶測でもいい。話してくれ」

 

海道は少しの間、考えていたが小さく溜め息をついてから話を始めた。

 

「多分織斑は俺の世界出身で俺と同じ生まれの可能性が出てきた」

 

「なっ!?」

 

「嘘ッ!?」

 

「海!?」

 

「海、如何いうことなの?」

 

千冬や箒達だけでなく彗や静香まで驚いている。しかし海道には何か確信があるようである。

 

「俺のお袋が俺を造った時・・・言い方が悪いのは無視してくれ。失敗した時の事を考えて何人か造ってたんだ」

 

彼は亡国企業に連れ去られてしまっていた母親の手によって造られた。

しかし彼の母は自分の子供でなくても惜しげなく愛情を注ぐので彼にとっては生まれは大きな問題ではない。

話が逸れた。実験の際、幾つかの予備のような物を作るのは当然だろう。

 

「失敗って・・・」

 

「新しい実験の時は予備を用意できるのなら用意するだろ。俺は本命だったらしいが。

 その実験の時にかなりの数が死んだみたいだけどな。お袋は反対していたが・・・。

 その時残ったのは俺以外は一人しか居なかった。その一人はあるとき時空の裂け目に落ちたらしい。

 何で時空の裂け目が出来たかって?同じ場所でそういう実験をしていたらしい」

 

「ということは織斑も魔神の血を受け継いでいたのか・・・」

 

「俺や彗みたいに濃くはないけどな。姉貴とどっこいどっこいだろ。だがお陰で今回命が助かったんだ」

 

にわかには信じがたい話だが箒やシャルロットは自然と受け入れることが出来ていた。

箒は彼から自分と出会う少し前当りからの記憶が無いと聞いていたし海道が下手な嘘を言う人間では

ないと解っていたからだ。シャルロットや鈴達、束、千冬も海道を信じた。

 

「しかし、何故一夏は目覚めない?」

 

「グレートと会話してるのかもな」

 

「コア人格とか?」

 

「マジンガーはISコアを使ってはいるがコア人格は無い。機体自体に意志がある」

 

「一体かいくんのせかいのお爺ちゃんと叔父さんってドンだけ凄いの・・・」

 

「それさえ終れば目を覚ますと思うぜ。で、これから如何する?」

 

海道は束が驚くのを無視して結論を言うと之からの事を問う。

鈴達は敵の女達の事を思い出して体から怒りのオーラのような物を立ち上らせる。

その強さは凄まじく、近くに居た動物達は皆逃げ出し、虫達すら土の下に隠れるか何処かに隠れる始末だ。

特に千冬に箒とシャルロットの怒りは凄まじい。束も相当腹が立っているようだ。

 

「ちーちゃん・・・・・・」

 

「解っている、打鉄を2機用意する・・・」

 

「さっすがぁ・・・」

 

この二人かなりのブラコンだったらしい。千冬は当然愛する弟を死に掛けさせた者達への純粋な怒りだ。

束ははじめて会ったときから異性としても弟分としても彼が好きだったので相当のものだ。

 

海道は世界最強(仮)と自称世界一の天才(仮)を怒らせた敵の末路を考えて自業自得だなと考えた。

かくいう彼も自分の兄弟分を傷つけられて大人しくしているほど人間が出来ていない。

彗や静香も同様で自分の弟分になるであろう一夏を殺そうとした者達を許すはずも無い。

箒達も当然ながら愛する異性をこのような目に合わせた者達に氷のように冷たく炎のように激しい怒りを向ける。

清香も何時から居たのか束と千冬に頼んで直接戦うわけではないがバックアップとして出撃する事になった。

 

この面子の怒りをみた鷹月は世界が終るんじゃないか?と錯覚したと後に話した。

 

「よし・・・行くか」

 

「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」

 

「テンション上げて行こう!!」

 

「さて如何料理してクレヨウカ・・・」

 

しかし海道を置き去りにして出撃して行った女性陣。彼は小さく溜め息をついてからその後をゆっくり追うのだった。

 

一夏は何かの遺跡の中らしい場所に居た。此処は海道のいた世界の月の遺跡だ。

 

「此処って・・・」

 

『力が欲しいか・・・?』

 

振り向くとグレートに似ているがグレートではない魔神が聳え立っていた。

 

「コイツは・・・」

 

『力が欲しいか?異世界に飛んだ我等の子孫よ?』

 

「成程、大体解った。俺は力が欲しい」

 

『戦い、敵を叩き潰す力か?』

 

「違う!!俺はみんなを護る!!そのための力が欲しい!!勿論一人だけで護るなんて馬鹿は言わない!!

 けど、俺は出来る限りの力でみんなを護る、そしてみんなには俺の背中を護って欲しいと思ってる」

 

『仲間を信じ戦い続けると言うか?』

 

一夏は力強く頷くと魔神は小さな光となり彼の胸の中に入って行った。

 

「そうか・・・お前は・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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彼は周囲が光に包まれる感じがすると次に見たのは旅館の天井だった。

彼は起き上がった後、海道の用意したコートを着て直ぐに海岸に向う。

かろうじて海道のスカルカイザーが見えた。そしてグレートマジンガーを起動するあの言葉を発する。

 

「マジィィィィィィィィィン・ゴォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」

 

そして一夏はグレートマジンガーとなる。異世界に偉大な勇者が真の操縦者と共に光臨した。

 

「スクランブル・ダァァァァァッシュ!!!」

 

勇者は翼を広げ、ゆっくりと飛行して待つ髑髏の魔神皇帝の下に急ぐ。

 

「グレートブースターーーー!!!」

 

グレートブースター(ZERO Vr)を装着し、海道と合流し先を急ぐ。

 

千冬達は女達と対峙したがゴードンが其処に現れ、女達二人はゴードンに乗り込んだ。

 

「あははははっ、之でも喰らいなさい」

 

「フィンガーショック!!」

 

「させないよ!!」

 

フィンガーショックで攻撃してきたゴードンだが、静香が全員を覆うように光子力バリアを張る。

ジーグだけでは出力不足だったが、彗のカイザーも使って展開しているのでバリアには傷一つ無い。

 

「でも之じゃあ僕たちも攻撃できない・・・」

 

「それが光子力バリアの難点なの。彗もこっちにエネルギーを回しているから光子力ビームと

 ルストトルネード、ギガントミサイルしか使えない・・・」

 

「しかも奴は装甲がとても厚い・・・カイザーとジーグ以外ではダメージが入るかどうかも怪しい」

 

「威勢よく挑んだのは良いけど・・・何とかしないと・・・」

 

束も必死になって手を考えている。すると鈴が海道が居ない事に気がついた。

 

「海の奴・・・わざと遅れたのか?」

 

「多分・・・」

 

抜け目なく自分達の尻拭いをする海道に罪悪感を感じた一同だった。

するとゴードンの顔に何かが命中したのかひっくり返った。それを見て静香はバリアを解除した。

 

「今のは・・・」

 

「多分トルネードクラッシャーパンチだ。アイツのロケットパンチ馬鹿に成らない位速くて威力が高いからな」

 

「サンダーブレーーク!!!」

 

稲妻がゴードンに命中するが余り効果が無いようだ。それ所かゴードンの剣に稲妻が吸収された。

 

「この剣はあらゆるエネルギーを吸収できるのよ!?そんなちゃちな静電気なんて」

 

女達は一夏と海道が近くに居る事を認識していないようだ。彗と清香は哀れむような目で女達を見る。

 

「コイツ等死んだな」

 

「あはは・・・否定できない・・・」

 

「?」

 

二人以外が頭に?を浮かべる。女達に怒りをぶつける事をすっかり忘れ去っているようだ。

 

「「ダブルマジンガーーーーキィィィィィィック!!」」

 

高速で接近してきた2人に気がつかずまた顔を蹴り飛ばされて吹っ飛ぶゴードン。

ゴードンの大きさは40Mはあるのだがいとも簡単に100M以上も飛んだので全員が驚く。

簪だけは目をキラキラさせていたが・・・。

 

「まだまだぁ!!」

 

一夏はグレートブースターを使って高速でゴードンに接近する。

海道もスカルカイザーのスピードを使い、4本ある腕のうちの左後ろの腕を切断する。

 

「コイツ等!!」

 

「サイクロンファイヤーーーー!!!」

 

ゴードンの周囲に爆炎を巻き込んだ竜巻が発生し2人に迫る。

 

「それを待ってたんだ!!光子力エンジン一番二番解放!!!」

 

サイクロンファイヤーを避けもせずに一夏はその場に留まった。

一方海道は腕を組んだまま余裕で回避し、一夏は竜巻の中に消える。

 

「一夏!!」

 

「魔神パワー、フルブースト!!!!」

 

「「ゑ?」」←彗と静香

 

「何が魔神パワーよ!!」

 

その次の瞬間、サイクロンファイヤーが弾け飛び中から偉大な勇者を超えた偉大な皇が現れた。

その名はグレートマジンカイザー。3体目の新たな人類の守護魔神、偉大な魔神皇帝だ。

 

「さて・・・誰が害悪だと?」

 

「お前達みたいに一人よがりの独善を人に押し付けるような人間の方が悪だ!! 吐き気がする!!

 まさに吐き気を催す邪悪だな!!」

 

「な、ならアンタ達は正義だとでも言うの!?」

 

「俺達が正義だと?俺達はそんな自惚れちゃ居ない」

 

「そして俺達は自分を正義だと語った記憶は無い!」

 

自分達が正義ではないと言い切る海道と一夏。彼等の正義が他人の正義ではない事を自覚しているからだろうか?

戸惑いもなくそういい切る2人に女達は言葉だけで圧倒される。

それが気に食わないのかフィンガーショックで攻撃してきた。

 

(BGM:魔神見参!)

 

「甘い!!」

 

「馬鹿か?」

 

「「ダブルライトニングバスターーー!!!」」

 

一夏はゴットサンダー、海道はトールハンマーブレイカーを使い、合体攻撃ダブルライトニングバスターを放つ。

フィンガーショックは呆気なくかき消されて以前海道が使ったダブルサンダーブレークとは更に次元の違う

稲妻がゴードンに襲い掛かる。その稲妻の余波は凄まじく、地球の半分が一瞬だけとはいえ稲妻に覆われたのだ。

(稲妻の範囲内こ航行していた航空機などに余波の稲妻は命中しなかった)

 

「うっそ〜・・・・」

 

「威力高すぎよ!!範囲も滅茶苦茶!!」

 

「私本当に運が良かったですわね・・・」

 

「「「「「・・・」」」」」

 

束は攻撃の凄まじさに驚き、鈴はその威力と範囲が桁違いな所に突っ込み、セシリアはもし自分が之と戦っていたら

と想像し、運が良かったと感じていた。

 

「私も混ぜてもらおう」

 

「私だって」

 

「フム。なら後ろは任せろ」

 

「戦闘獣ズガールが残っていたか・・・額部分にある顔を狙え。其処が弱点だ」

 

海道がズガールの弱点を教えると箒達は一夏達が思いっきり戦えるようにズガールを倒す為離れて行った。

女達のプライドは完全にズタズタされている。死に掛けていた男が復活し、別の男もやって来て

その2人にゴードンは圧倒されている。しかもたった4人で自分達を倒そうとしている現実を女達は認めたくなかった。

そんな事知ったことじゃない4人は手加減なしでゴードンを攻め立てる。

 

「破瑠覇!行くよ!!」

 

「グルォォォォォォォ!!」

 

破瑠覇はジーグと一体化し、白き鋼の神、鋼鉄神ジーグと化す。

 

「でやぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ジーグのパンチで頭部が完全に破壊された。

 

「ターボ」

 

「スマッシャー」

 

「「パァァァァンチ!!!」」

 

一夏と彗がターボスマッシャーパンチでゴードンの右腕2本をへし折る。

フィンガーバリアーが之で使えなくなる(使っていなかったが)。

 

「カイザーブレード!!」

 

「「カイザーソード!!」」

 

箒はカイザーブレード(胸)を、一夏はグレートマジンカイザーの放熱板を巨大な剣へと変形させ

海道はスカルカイザーの肩の突起を剣へ変形させて静香に持たせ、自身は牙斬刀を構える。

 

「や、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

「死にたくないわ!!助けて!!!」

 

「そんな事知ったことじゃない」

 

「他人を平気で殺してきたであろうお前達に」

 

「そんな台詞を言う資格なんてないわ!!」

 

女二人は助けを請うが海道、彗、静香はそれを無視する。一夏は少し複雑そうだがみんなを護る為に覚悟を決めたようだ。

 

「フォース!!」

 

「マジンガー!!!」

 

「ブレード!!!!」

 

「乱舞!!!!!」

 

剣風の嵐によりゴードンはボロボロになってゆく。

 

「トリプル!!」

 

「マジンガー!!!」

 

「ストリーム!!!!」

 

ルストトルネード、グレートトルネード、ルストストリームの合体攻撃がゴードンを錆付かせる。

更に攻撃は続く。

 

「ファイヤーブラスター!!!」

 

「グレートブラスター!!!」

 

「インフェルノ・・・ブラスターーーー!!!」

 

「トリプルストーーーーム!!!」

 

「「「「ファイナルダイナミックスペシャル!!!!!!」」」」

 

装甲は溶け落ち、フレームもほぼ全て溶解している。女達はもう自分達を守る術が無い。

 

「フォトンロープ!!」

 

「マグネットロープ!!」

 

彗と静香が女達をロープで捕縛し、待機状態のISを取り上げた。

箒達は戦闘獣に大分苦戦したようだが海道が事前に弱点を教えていたので一隻攻撃した隙をついて

千冬と箒がトドメをさした。

 

事件は之にて一旦終結した。

説明
こんな風に福音を扱う人は少ないでしょうけど・・・。
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コメント
肉豆腐太郎さん>千冬と束は怒り全開海道はドS全開で尋問に挑み・・・って感じを予定しております。(HIBIKI)
↓……(合掌)チーン……(肉豆腐太郎)
肉豆腐太郎さん>主に海道と束と千冬がメインで・・・(HIBIKI)
……?……あ、そう言うこと……(怖い笑い顔をしている一夏以外の人々を見て理解、一夏を安全な場所に避難させます)(肉豆腐太郎)
肉豆腐太郎さん>まぁ今はゴードンを倒した所で終わってますので・・・。女たちにとっては恐らくここからが本当の地獄でしょう。(HIBIKI)
↓ま、面白かったから良いと思うけど、もしやるならもっと精神的に痛めよう、自分の考えが間違いだったと気付かせるように……(肉豆腐太郎)
肉豆腐太郎さん>やりすぎでしたか?もっとド派手武装をぶっ放す様にしようと思ってたんですけど流石にやりすぎかと自重したんですけどね・・・。(HIBIKI)
海さん方!!?いくらなんでもやりすきでは!!?女たちが可愛そうです!!!(肉豆腐太郎)
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