東武鉄道唱歌・2014(東武線の巻)
[全6ページ]
-1ページ-

1.((雷門|かみなりもん))も程ちかき ((墨田|すみだ))の川に寄り添いて

 建てる((白亜|はくあ))の駅舎より 始まる道は東武線

 

2.浅草いでてその次は ((業平橋|なりひらばし))の((停車場|ていしゃじょう))

 右は新たな名所なる わが国いちの((晴空塔|せいくうとう))

 

3.間もなくとまる((曳舟|ひきふね))の ((由来|いわれ))といいしその水は

 今や姿も見えずして 名のみぞ駅にのこりたり

 

4.この駅よりは乗り換えて ((小村井|おむらい))((吾嬬|あずま))うちすぎて

 次の((亀戸|かめいど))((水神|すいじん))の その((御社|みやしろ))も程ちかし

 

5.はやも着きたる亀戸の ((社|やしろ))ぞここにおわすなり

 東の((宰府|さいふ))と呼ばれたる ((天満宮|てんまんぐう))はここぞかし

 

6.また曳舟に立ちかえり ((百花|ももはな))かおる((向島|むこうじま))

 すぎればはやも荒川の ほとりに近き((鐘ヶ淵|かねがふち))

 

7.瞬くの間に飛ぶがごと ((堀切|ほりきり))((牛田|うしだ))過ぎ去りて

 ゆけば程なく((北千住|きたせんじゅ)) 東武線路の((興|おこ))りの地

 

8.((小菅|こすげ))((五反野|ごたんの))((梅島|うめじま))も いつしかあとに立ち去りて

 大師に名高き((西新井|にしあらい)) すぎればすぐに((竹ノ塚|たけのつか))

 

9.((谷塚|やつか))のつぎの((草加|そうか))にて ((販|ひさ))ぐは草加((煎餅|せんべい))よ

 ((形屋|かたや))((晒屋|さらしや))並びしも 今や宅地の建てるまで

 

10.((松原|まつばら))((新田|しんでん))((蒲生|がもう))駅 連なる稲田昔にて

  今や市街のひらけたる ((新越谷|しんこしがや))に着きにけり

-2ページ-

11.((越谷|こしがや))いでて聞こえたる 声のあたりをながむれば

  ((雁|かり))((鴨|かも))((鷺|さぎ))や((鳩|はと))((雀|すずめ)) 群れいる様ぞおもしろや

 

12.見るも((一興|いっきょう))その次は かねて音にも聞きつらん

  ここぞ((武里|たけさと))((一ノ割|いちのわり)) ((呑龍上人|どんりゅうしょうにん))生まれの地

 

13.列車ははやも((春日部|かすかべ))の その((停車場|ていしゃば))に着きにけり

 ((岩槻|いわつき))((野田|のだ))に((船橋|ふなばし))も 行くはここにて乗り換えよ

 

14.((姫宮|ひめみや))すぎて((杉戸町|すぎとまち)) 東武動物公園は

  この駅おりて程ちかし 北は宿場の跡もあり

 

15.((和戸|わど))の駅へと着きねれば ((施餓鬼|せがき))をもって著名なる

  ((高野|たかの))の村の((松林|しょうりん))に 響くか鳥の((啼|な))く声よ

 

16.((米津|よねづ))が藩の置かれたる ((久喜|くき))駅すぎてその次は

  ((関東最古|かんとうさいこ))の((大社|たいしゃ))とぞ その名に聞きし((鷲宮|わしのみや))

 

17.((花崎|はなさき))((加須|かぞ))もうちすぎて はやも着きたる((羽生|はにゅう))駅

  さらに進みて((大利根|おおとね))を わたる向こうは((上毛野|かみつけの))

 

18.つぎは((茂林寺|もりんじ))((青竜山|せいりゅうざん)) ((分福茶釜|ぶんぶくちゃがま))の伝えあり

  鳥の((集|つど))いしその沼の 夏は((蛍|ほたる))の翔けるらん

 

19.今や((童|わらべ))の((息災|そくさい))を 願いし((行事|ぎょうじ))のはじまりは

  ((徳松|とくまつ))公のおさめたる 城の置かれし((館林|たてばやし))

 

20.((醤油|しょうゆ))((饂飩|うどん))に((麦落雁|むぎらくがん)) ((唐桟織|とうざんおり))も((販|ひさ))げたり

  東武線路はこの駅を わかれて進む三方面

-3ページ-

21.((渡瀬|わたらせ))((田島|たじま))うちすぎて 下ればはやも((佐野|さの))の((市|まち))

  朝日長者の((説話|せつわ))ある 弁天池やみてゆかん

 

22.さらに((堀米|ほりごめ))((吉水|よしみず))に ((田沼|たぬま))や((多田|ただ))もあとにして

  はやもつきたる((葛生|くずう))には 石灰岩の((石場|いしば))あり

 

23.また本線にたちかえり ((多々良|たたら))の沼を左にて

  ((県|あがた))((福居|ふくい))に((和泉|いずみ))駅 すぎればここぞ((足利市|あしかがし))

 

24.ここは歴史に名の高き ((足利氏|あしかがうじ))のゆかりの地

  ((儒学|じゅがく))を説きておしえたる その((学校|まなびや))ぞひらけたり

 

25.((山辺|やまべ))((韮川|にらがわ))すぎゆけば はやも((太田|おおた))につきにけり

  宿場のあとは昔にて いまやさかゆる重産業

 

26.((新田義貞|にったよしさだ))築きたる ((金山城|かなやまじょう))の城あとを

  右にながめてそのつぎは 三枚橋の((停車場|ていしゃじょう))

 

27.この地を((流|なが))る水のなか 大岩おきてその上に

  橋をかけたる((治良門|じろえん))の ほまれぞ駅にのこりたり

 

28.((藪塚|やぶづか))((阿佐美|あさみ))もうちすぎて つきたる駅は((新桐生|しんきりゅう))

  左に見ゆる((渡良瀬|わたらせ))の 流るるさまぞ美しや

 

29.西は京都の((西陣|にしじん))に つがえし東の織物は

  これぞ名高き((桐生織|きりゅうおり)) 土産にするも((興|きょう))なれや

 

30.((相老|あいおい))((長|ちょう))ずるその松は いまもこの地にたてるなり

  つぎは((赤城|あかぎ))の停車場 ((大間々|おおまま))あおぐ山おろし

-4ページ-

31.またも((復|お))ちゆく太田駅 乗り換え急ぎ本線を

  ((細谷|ほそや))((木崎|きざき))に((世良田|せらだ))駅 またたく間にぞ進みゆく

 

32.((境|さかい))((剛志|ごうし))もうちすぎて ゆけば((伊勢崎|いせさき))ステーション

  伊勢より分けて((祀|まつ))りたる ((宮居|みやい))ぞこの地の((由来|いわれ))なり

 

33.太田に戻り((竜舞|りゅうまい))を すぎたる次の((小泉|こいずみ))は

  利根の((渡船|とせん))のあるところ ((小泉城|こいずみじょう))のあと((何処|いずこ))

 

34.つぎは((篠塚|しのづか))((本中野|ほんなかの)) あたりはやがて((成島|なるしま))の

  また左には多々良沼 ながめて戻る館林

 

35.またたちかえる杉戸より 日光線に乗り換えて

  つぎの((幸手|さって))は雷電の ((田神|たがみ))まつりし社あり

 

36.((権現堂|ごんげんどう))のその水は むかしの利根の流れなり

  春は桜の名所にて 川面に花のうつるらん

 

37.その水のぼり着きたるは ここ((栗橋|くりはし))が宿場跡

  船渡せるも昔にて いまは鉄橋ひとすじに

 

38.((古河|こが))の渡しの近くなる ((新古河|しんこが))駅もあとにして

  ((柳生|やぎゅう))((板倉|いたくら))((藤岡|ふじおか))と その足取りも((軽|かる))らかに

 

39.((静和|しずわ))をすぎて((太平|おおひら))の 山のふもとをながむれば

  ここぞ((葡萄|ぶどう))の産地なる ((大平下|おおひらした))の里ぞかし

 

40.((神明宮|しんめいぐう))の((十千木|とおちぎ))は ((栃木|とちぎ))の街の((由来|いわれ))なり

  ここに開けし((停車場|ていしゃば))を おりて((蔵町|くらまち))見るもよし

-5ページ-

41.次なる駅は((新栃木|しんとちぎ)) ここよりさらに乗り換えて

  ((平川|ひらかわ))((大塚|おおつか))((壬生|みぶ))駅の あたりは古墳の数多し

 

42.((国谷|くにや))((安塚|やすづか))そのつぎは ここも遺跡の((西川田|にしかわだ))

  さらに進みて((江曽島|えそじま))を すぎればやがて((宇都宮|うつのみや))

 

43.((坂東|ばんどう))((三十三箇所|さんじゅうさんかしょ))の そのひとつなる((大谷寺|おおやじ))の

  ((傍|はた))より出づる石材は 世に名も高き((大谷石|おおやいし))

 

44.あとに名残は残れども 栃木に戻りその次は

  ((標茅ヶ原|しめじがはら))の((合戦場|かっせんば)) 宿場のあとぞ見てゆかん

 

45.((家中|いえなか))((金崎|かなさき))((楡木|にれぎ))駅 また飛ぶごとにすぎさりて

  ((籾|もみ))をこの地にたくわえし その((樅山|もみやま))に社あり

 

46.ここに((壬生氏|みぶし))の築きたる ((鹿沼|かぬま))の城はあともなく

  北駅すぎて黒川を わたりてなおも進みゆく

 

47.次は((板荷|いたが))に((下小代|しもごしろ)) ((明神|みょうじん))駅もうちすぎて

  ゆけば((会津|あいづ))の分かれ道 ((下今市|しもいまいち))の停車場

 

48.わたる((大谷|だいや))の川むこう 次なる駅の((大桑|おおくわ))の

  ((由来|いわれ))は昔さかえたる ((養蚕業|ようさんぎょう))の名残かや

 

49.流れ険しき((鬼怒川|きぬがわ))を 渡りし先の((高徳|たかとく))に

  ひらけし駅は((新|しん))をつけ ((新高徳|しんたかとく))と名乗りたり

 

50.((小佐越|こさごえ))すぎて((見|まみ))ゆるは いで湯の煙((遠近|おちこち))に

  たてるはここぞ鬼怒川の 世にも名高き((温泉場|おんせんば))

-6ページ-

51.さらに奥へと進まれば 花も咲きたる公園地

  ((新藤原|しんふじわら))のその先は ((川治|かわじ))((尾瀬|おぜ))にも至るべし

 

52.線路を西に乗り換えて 大谷に沿いて走りなば

  はやもみる間に止まりたる ((東武日光|とうぶにっこう))ステーション

 

53.天下の将軍((家康|いえやす))の みたま祀りし((東照宮|とうしょうぐう))

  そのたまえには((日暮|ひぐらし))の 陽明門も立てるなり

 

54.((傍立|そばだ))つ山は((二荒山|ふたらさん)) ふもとに控ゆる((輪王寺|りんのうじ))

  これら三つを合わすれば 日光((三社|さんじゃ))と人の言う

 

55.先の((帝|みかど))のやすまらる ところは((田母沢|たもざわ))((御用邸|ごようてい))

  緑もふかき((山間|やまあい))に 沢の流れもうつくしや

 

56.((華厳|けごん))の滝はわが国の ((三名瀑|さんめいばく))のひとつにて

  ((百雷谷|ひゃくらいたに))にひびきたり 秋は((紅葉|もみじ))もとりどりに

 

57.霧なす水の((霧降|きりふり))に ((芭蕉|ばしょう))たずねし((裏見|うらみ))滝

  ((竜頭|りゅうず))((湯滝|ゆたき))もあわすれば これぞ((日光五名瀑|にっこうごめいばく))

 

58.華厳の上にたたえたる ((中禅寺湖|ちゅうぜんじこ))のたもとより

  北へ進まば名に聞きし ((戦場ヶ原|せんじょうがはら))もほど近し

 

59.寺にやしろに((山水|さんすい))の ほかにこの地の名物は

  ((蕎麦|そば))に((蒟蒻|こんにゃく))((湯葉|ゆば))もまた まことに((旨|うま))きものぞかし

 

60.千住と久喜の間より 芽ぐみし時も昔にて

  やがて線路は這う((蔦|つた))の 別るごとくに延ぶるべし

 

61.今や列車は昼も((夜|よ))も ((関八州|かんはっしゅう))を((縦横|たてよこ))に

  やすむ間もなくはしりゆく 東武鉄道栄えあれ

説明
作詞:古淵工機
作曲:多梅稚

関東一の大私鉄たる東武鉄道。
信じられないかもしれませんが、東武鉄道にも鉄道唱歌はあったのです。
ただ、作られたのが開業当事ということで千住町(北千住)〜久喜間のみでした。

では、路線網が完成した現在、新たに東武鉄道唱歌を作ったら?
というのが今回のコンセプト。
第1回は野田線を除く東武本線系統を歌います。
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
1761 1725 3
タグ
鉄道 東武鉄道 鉄道唱歌 

古淵工機さんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。


携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com