英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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〜レーグニッツ家〜

 

「あ、あれっ!?こ、この人……!」

「先程のマキアスの話にあった姉君に非常に似ているが…………」

マキアスと共に写真に写っている女性を見たエリオットは驚いてラウラと共に幼い頃のマキアスやかつてのレーグニッツ知事と共に写っている女性を見比べた。

「――――フィオーラ・マーシルン。サフィナ義母さんの一人息子にして現ミレティア領主であり、あたしの義理の兄であるエリウッド・L・マーシルン公爵に行き倒れの所を助けられ、様々な経緯があって、エリウッド義兄さんに嫁いだ記憶喪失の女性です。」

「なっ!?」

「ど、どどどどど、どういう事だ!?な、なななな、何で死んだはずの姉さんが…………!」

ツーヤの説明を聞いたリィンは驚き、マキアスは混乱した様子でツーヤを見つめた。

「あたしも義母さんから話を聞いた程度しか知りませんが……何でも話によると、6年前エリウッド義兄さんが公務の帰りに行き倒れている彼女を見つけて、そのまま城に連れ帰って目覚めてから事情を聞いた所……”フィオーラ”という自分の名前以外の記憶は全て失っていたんです。」

「!?」

「6年前って…………」

「マキアスさんのお姉様が身を投げた年と一致していますよね……?」

ツーヤの話を聞いたマキアスは血相を変え、エリオットとセレーネは戸惑った。

 

「そしてその後、記憶喪失で身元も不明で途方にくれていた彼女をほおっておけないエリウッド義兄さんは彼女をメイドとして雇う事にしたんです。記憶喪失で身元がわからない事から、最初はどこかの国の刺客かと怪しまれていたフィオーラ義姉さんでしたが……気立てが良く、誰よりも働き者な性格ですから、周囲の方達も段々と彼女の事を信用し始め……―――2年後、互いに相思相愛の間柄になった二人はめでたく結婚したそうです。」

「……………………」

「ええっ!?こ、公爵と身元不明で記憶喪失の人が結婚!?というかツーヤの義理のお母さんって、確か皇族だよね!?ってことは皇族の妻に……!」

「…………他の皇族の方達や周囲の貴族たちの反対はなかったのか?」

ツーヤの説明を聞いたマキアスは口をパクパクさせ、エリオットは信じられない表情をし、ラウラは心配そうな表情で尋ねた。

 

「勿論あったそうです。ですがエリウッド義兄さんは勿論彼女を庇いましたし、直に彼女と会って彼女の人柄やエリウッド義兄さんと相思相愛である事を知ったシルヴァン陛下やリウイ陛下、そしてサフィナ義母さんがフィオーラ義姉さんがエリウッド義兄さんの妻になる事を認めましたから、結婚できたと聞いています。勿論、エリウッド義兄さんに妾などはいなく、妻は正妻であるフィオーラ義姉さん唯一人です。」

「まあ……!死んだはずのお姉様がお幸せになれてよかったですね、マキアスさん……!」

「あ、ああ……だけど投身自殺をした姉さんがどうやって異世界に……というか本当に本物の姉さんなのか?」

ツーヤの話を聞いて嬉しそうな表情をしているセレーネに言われたマキアスは戸惑いの表情でツーヤに尋ねた。

 

「本物かどうかは知りませんが……彼女が持っていた財布にはミラ札や硬貨が入っていたそうですから、少なくてもゼムリア大陸出身の方なのは確かです。」

「それだけでは亡くなったマキアスの姉君とは断定できんな……」

「せめて身分を証明できるものかマキアスのお姉さんしか持っていない物でもあればわかるんだけどな……マキアス、フィオーラさんは何か持っていなかったのか?例えばその婚約している貴族の男性からもらったアクセサリーとか。」

ツーヤの説明を聞いてラウラと共に考え込んでいたリィンはマキアスに尋ねたが

「確かに持っていたが……投身自殺をした事がわかった後に姉さんの机を調べたら”彼”から貰ったアクセサリーの類が全て残っていて、遺書には”彼”に返しておいてくれと書いてあったよ。」

マキアスは首を横に振って疲れた表情で溜息を吐いた。

 

「バリアハートで助けてくれた竜騎士軍団の団長って、皇族だから、その息子も皇族って事だよね?皇族の力でその人の事を調べなかったの?」

「どうでしょう?今、サフィナ義母さんに聞いてみますね。この通信器ならサフィナ義母さんがゼムリア大陸にいれば、繋がると思いますし。」

フィーに尋ねられたツーヤは首を傾げた後、”古代遺物(アーティファクト)”を元に作られた小型通信器を取り出した。

「それは一体……」

「もしかしてメンフィル帝国にしか存在しない技術とかで作られた通信器?」

見覚えのない通信器を見たリィンは不思議そうな表情をし、エリオットは尋ねた。

 

「ええ、そんな所です。」

エリオットの問いかけに苦笑しながら答えたツーヤは通信を始めた。

「………………あ、義母さんですか?ツーヤです。すみません、忙しい所を…………実はフィオーラ義姉さんに関して聞きたい事がありまして………………………………………………え?ほ、本当ですか、それはっ!?フィオーラ義姉さんにはその事実、知らせたんですか?…………………………そうですか…………わかりました。はい。―――失礼します。」

「ど、どうだったんだ?」

ツーヤが通信を終えると、ツーヤの様子から只事ではない事実があると察したマキアスは緊張した様子でツーヤに尋ねた。

 

「……先程義母さんに確認した所…………――――フィオーラ義姉さんは先程のマキアスさんの話に出て来た”姉さん”――――”フィオーラ・レーグニッツ”である事が後の調べでわかったそうです。」

「!!」

「ええっ!?じゃ、じゃあ本当に生きていたんだ……!し、しかもお、皇族の正妻になっているなんて………!」

「良かったな、マキアス……!」

ツーヤの答えを聞いたマキアスは目を見開いて驚き、エリオットは信じられない表情をし、リィンは嬉しそうな表情でマキアスを見つめた。

 

「けど、何で投身自殺したはずのマキアスのお姉さんが異世界に流れついているの?それが一番の疑問なんだけど。」

「それについては未だわかっていないとの事です。」

フィーの疑問を聞いたツーヤは真剣な表情で答え

「……まあ、何はともあれ姉君が生きて幸せになっていてよかったな、マキアス。」

ラウラは静かな笑みを浮かべてマキアスを見つめた。

 

「あ、ああ……!そ、それでツーヤ、さっきの話では姉さんは記憶喪失だと言っていたが……姉さんに僕や父さんの事とか、話したのか?」

ラウラの言葉に嬉しそうな表情で頷いたマキアスは期待した様子でツーヤを見つめたが

「ええ。ただ、フィオーラ義姉さんは自分の事を知っても他人のようにしか思えず、未だ記憶は戻っていないそうです。」

「そうか…………」

ツーヤの答えを聞いて疲れた表情で肩を落とした。

 

「しかし……身元がわかったのなら、何故マキアスやレーグニッツ知事に知らせなかったのだ?」

その時ある事を疑問に思ったラウラはツーヤに尋ね

「それは…………………」

「お姉様?どうされたのですか?」

ラウラの疑問を聞いてマキアスを見つめて複雑そうな表情をしているツーヤを見たセレーネは首を傾げた。

 

「……恐らく父さんの立場の関係で、知らせる訳にはいかなかったんだろうな。”革新派”の有力人物である父さんの姪がメンフィル帝国の皇族に嫁いでいる事実が知られたら、”革新派”が姉さんの立場を利用して、メンフィル帝国を味方につけようと考えるかもしれないし。」

「それは…………」

「マキアス…………」

複雑そうな表情で推測したマキアスの話を聞いたエリオットやリィンは仲間達と共にマキアスを心配そうな表情で見つめた。

「―――ありがとう、ツーヤ。自殺したはずの姉さんが生きて幸せでいる事を教えてくれて。それを知れただけでも、本当によかったよ…………」

「いえ。それでマキアスさん。申し訳ないのですがこの事実をレーグニッツ知事に話すのは……」

「わかっている。姉さんの事は父さんに黙っておく。」

「え……マキアスはそれでいいの?」

マキアスの言葉を聞いたエリオットは目を丸くして尋ねた。

 

「ああ。父さんの事を信じていない訳ではないけど、”革新派”が今の話を知ったら姉さんを利用するかもしれないしな。全てを忘れて幸せに生きている姉さんを利用しようとするなんて、間違っている。」

「マキアス…………」

「フム…………ツーヤ、何とかマキアスだけでもフィオーラ殿に会わせる事は無理なのか?そなたにとっては義理の兄夫婦になるのだから、可能だと思うのだが。」

マキアスの決意を知ったリィンは驚き、ラウラは尋ねた。

「そうですね……来月の夏休み期間中にある”特別実習”でミレティア領の中心都市である”ぺステ”も選ばれたそうですから、そちらに向かう班にマキアスさんがいれば会えるかもしれませんね。」

「へ…………」

「ちょ、ちょっと待って!?夏休みにも”特別実習”があるの!?初耳だよ!?」

「しかも今の話を聞く所、マキアスの姉君は異世界に流れ着いたという話……という事は……」

「わたし達、異世界に行けるの?」

ツーヤの答えを聞いたリィンは呆け、エリオットは驚き、考え込みながら呟いたラウラの言葉に続くようにフィーは目を丸くしてツーヤを見つめた。

 

「ええ。常任理事の一人であるリウイ陛下の提案によって”Z組”の皆さんに異世界を知ってもらうという名目で夏休み期間中に”特別実習”があり、場所は2箇所とも異世界”ディル・リフィーナ”のメンフィル帝国領内の都市です。ちなみに夏休みにある”特別実習”とは別に学院が始まってからも、通常通りエレボニア帝国領内で活動する”特別実習”がありますから、8月は2回”特別実習”があるんですよ。」

「えええええええええええええええええっ!?じゃ、じゃあ僕達、本当に異世界に行けるんだ……!」

「やったね。異世界がどんなとこか、前々から興味あったし。」

「しかも8月は”特別実習”が2回もあるのか。フフ、今から楽しみだな。」

ツーヤの説明を聞いたエリオットは驚き、フィーとラウラは静かな笑みを浮かべ

「お兄様、異世界ってこの世界よりも凄い所なんですか?」

「ど、どうなんだろうな……?」

セレーネに尋ねられたリィンは戸惑い

「……というか”特別実習”が夏休み期間中にあるって、今初めて知ったぞ。教官達はその事、勿論知っているんだよな?」

ある事に気付いたマキアスは表情を引き攣らせてツーヤに尋ねた。

 

「ええ、勿論知っていますよ。というか、あたしとプリネさんは何でまだ言わないんだろうって首を傾げていたんですよ。異世界に行く”特別実習”は8月4日からなんですし。」

「ええっ!?」

「8月4日!?今日が7月25日だから…………もう10日を切っているじゃないか!?」

「うわっ……!姉さんに帰省する日が遅れる事を伝えておかないと……!」

苦笑しながら答えたツーヤの話を聞いたリィンとマキアスは驚き、エリオットは慌て

「……サラとレーヴェ。どう考えてもわたし達が慌てふためくと思って、ギリギリまで黙っていたとしか考えられない。」

「フム……サラ教官はともかくレオンハルト教官がそのような事をするとはとても思えないんだがな……まあ、今の話はB班のメンバーに伝えておくべきだな。」

(お兄様達を教えている方って一体どんな方達なんでしょうか……?)

ジト目になって呟いたフィーの言葉を聞いたラウラは考え込み、セレーネは冷や汗をかいてリィン達を見つめていた。

 

その後後片付けを終えたリィン達はマキアスの実家を出て実習課題の消化を再開した。

 

 

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という訳でオリジナルの話を現在、考えています。勿論実習地はディル・リフィーナでリィン達――A班はミレティア領内にするつもりです。それと今まで使い魔が皇族しばりのリィンと契約する新たなる使い魔キャラを思いついてしまいました。まあ、実際に登場するかどうかは不明です。ちなみにそのキャラの登場作品は魔導功殻で、セオビット2号と言えばわかる人にはわかるかとww無論、もし本当に登場させる際は大人verにしますけどね!!(おのれ、リィン……!(大激怒))

説明
第112話
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コメント
感想ありがとうございます レシオン様 ディル・リフィーナはチートの塊ですものねww THIS様 そ、そこまで期待されると逆にプレッシャーが……!(汗) 八神はやて様 連帯責任を教える為に、恐らくみんなを巻き込んだかとww(sorano)
感想ありがとうございます ジン様 むしろレーヴェを売った代償がそれだけなら安いものですww 本郷 刃様 まあ、彼女の性格なら助けてくれるでしょうねww さすらいのハリマエ様 下手したら100は行っているかもしれませんね(汗)(sorano)
ジンさんそれあったってるかも?レーヴェの仕返しか・・・でも仕返しでみんなも巻き込むのはちょっといただけないなぁ・・・・soranoさんそこのところはどうなんですか?(八神 はやて)
マジですごいな。こりゃ・・・こいつらはかけがえのない経験を・・・。オリジナルの話しも凄く楽しみにしております!!(THIS)
ディル・リフィーナの世界観は、実力者は圧倒的ですからね。今現在、私が知っている中で最強候補は、セリカと名前と設定だけ出ていませんが空天狐ですからね。他にもいろいろと強い種族が多い世界ですからオリジナルの話楽しみにしています。新たなる使い魔キャラを支援します。(レシオン)
マーシルン家の家族総勢何十人構成なのか気になる(黄昏☆ハリマエ)
よっしゃぁ! Z組がディル=リフィーナ入り! 凄く嬉しいです! そしてフィオーラを助けたのは我らが特務支援課のあの子だと思う点についてww(本郷 刃)
あとはレーヴェが黙ってたのはリィンへの仕返しで他のメンバーはそれに巻き込まれた形だよね^^;(ジン)
あとはついでにシュバルツァー家の爵位のことの話もありそうですね♪ 次回の更新楽しみにしているので頑張って下さい応援します。(ジン)
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