咎を受けし御使いの最後の旅〜二人の御使いと二人の劉備〜
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 二人の劉備と二人の御使い〜咎を受けし御使いの最後の旅

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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((幾星霜|いくせいそう))

 

 

 

 

 

 

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 外から聞こえるのは小鳥のさえずりと僅かな木々の葉擦れ音。壮大な森に囲まれながら、開けた所に佇む、風景に同化しようとしない白塗りの一軒家。表札には北郷の文字があるが、そこに訪れる人間など居るはずもなく・・・ある意味が無い表札である。

 

 此処はまったくの手つかずの外史に管理者が手を加え、避暑地として作り上げた物を一刀が武力を持って奪った一角だ。

 

 その寝室の一つに彼、北郷一刀は眠っていた。いや、今しがた目を覚ました。

 

 

 for一刀side

 

 

 一刀「・・・ふぅ、また・・・あの時の夢か・・・」

 

 最近よく見るようになったあの頃の夢、あれから俺は十数年という年月の中、異世界と言う異世界を旅してきた。

 

 一刀「とは言え・・・本当は何年経ったかなんて覚えてすらいないんだけどな・・・」

 

 ???「マスター、おはようございます。」

 

 一刀「ああ、おはよう。“茶々丸”」

 

 彼女は((絡繰茶々丸|からくりちゃちゃまる))。俺の従者にして、((瀟洒|しょうしゃ))なメイド・・・は吸血鬼の方だった・・・相棒の一人だ。

 

 茶々丸「本日は((魘|うな))されていたようですが・・・またあの夢ですか?」

 

 一刀「ああ、そうだよ。あの時の夢だ。」

 

 彼女は結構な古参で、俺の過去を知る数少ない人物である。最初に断っておくが彼女はロボットだ。とは言え俺は彼女を人として扱っている。当然だろ?

 

 茶々丸「本日は貂蝉様達がお尋ねになってくる予定ですが・・・延期なさいますか?」

 

 一刀「いや・・・構わんよ。あいつらから連絡して来たってことは何かあるんだろ?俺はそれを待っていたんだ。」

 

 茶々丸「そうですか・・・では旅の支度を?」

 

 一刀「ああ・・・これでやっと・・・」

 

 茶々丸「・・・私達を捨てられますか?」

 

 一刀「な!?馬鹿言うな!!捨てる訳ないだろう!!」

 

 茶々丸「それを聞いて安心しました。私達はもはやマスター無しには生きてけませんので・・・」

 

 一刀「まったく・・・冗談きついぞ茶々丸。」

 

 茶々丸「すいません。私達はあの方々の話を聞いてますので・・・時々不安になるのです。」

 

 一刀「そんな薄情に見えるか?むしろ種馬精神まっしぐらだろ?と言うよりお仕置きが必要だよな?な??」

 

 茶々丸「マ、マスター、ちょっと怖いです。あ、あの・・・そのネジをどうなさるので??あ、今日はまだ大丈夫・・・あ・・・あああ・・・・・・あぁぁぁぁぁぁ/////////////////」

 

 俺は茶々丸の後頭部にネジを差しこみギリギリと乱雑に巻きまくる。

 

 茶々丸「はぁ、はぁ。マスター、今日は、一段と、激しい、ですね。」

 

 息も切れ切れな茶々丸に少しばかりの欲情を抱きながら貂蝉達の来訪を待ちながらモーニングコーヒーを啜る。

 

 一刀「そうだ茶々丸。天井は開けておけよ。あいつ・・・主に貂蝉は玄関から入るって事を知らないからな。」

 

 茶々丸「了解しました。」

 

 さっきまでの事はまるで在りませんでした、と言わんばかりの涼しい顔で部屋の入口の壁に埋め込まれたスイッチ(照明の物とは形状が異なる)を操作する。すると、天井が開き、綺麗な朝の空が一面に広がっていた。が・・・

 

 ???「ぶるぅあああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 嫌な叫びでその清々しい朝の空は雲が無いのに曇天に見えてきた。

 

 一刀「貂蝉か・・・」

 

 ピンポーン

 

 茶々丸「卑弥呼様ですね。行ってまいります。」

 

 一刀「よろしく。」

 

 茶々丸が部屋を後にしてすぐ

 

 ずどーーーーーーーーーーーーーーん!!!

 

 と言う音と共に、音に似合わず少量の土煙(部屋の中なのに土煙が上がるのはどうだろう)の中から筋骨隆々の大男、漢女の貂蝉が姿を現した。

 

 貂蝉「ご主人様ぁ、お久しぶりねぇぇん。12年ぶりかしらん?」

 

 一刀「久しぶりだな貂蝉。もうそんなになるのか?」

 

 貂蝉「いっぱい外史渡ると時間の感覚無くなるからねん。今のご主人様の肉体年齢は三十よん。渋いおじ様の感じがまたいいわん。それでいて幼さを残す顔立ち・・・どぅふふ、興奮して滾ってきちゃったん!」

 

 一刀「殺すぞ?」

 

 貂蝉「…………ごめんなさい。」

 

 俺の本気の殺気に貂蝉は自分のキャラを投げうって土下座してきた。

 

 そんなやり取りをしていると茶々丸が卑弥呼を連れて戻って来た。

 

 茶々丸「マスター、卑弥呼様をお連れしました。」

 

 卑弥呼「うむ、久しぶりだなご主人様よ。」

 

 一刀「ああ、久しぶり」

 

 卑弥呼「うむ・・・何やら渋さの中に幼さをm」

 

 一刀「卑弥呼、貂蝉と同じで土下座したくないならそれ以上しゃべるな。」

 

 卑弥呼「・・・ふむ、了解した。」

 

 一刀「で?こんな時期に何だってんだ?」

 

 俺は二人に訪問の理由を問いただす。

 

 卑弥呼「うむ、ご主人様の曹操の魂の転生した外史を見つけてきた。」

 

 一刀「本当か!」

 

 俺はいままで待ちに待っていたその情報に驚きを隠せなかった。

 

 貂蝉「でもねぇ・・・ちょぉっと、複雑な外史なのよん。」

 

 一刀「複雑?」

 

 卑弥呼「うむ・・・説明がちと長くなりそうだから・・・」

 

 茶々丸「コーヒーでよろしいでしょうか?卑弥呼様、貂蝉様。」

 

 卑弥呼「うむ、すまぬ。」

 貂蝉「お願いするわぁん。」

 

 一刀「すまんな、茶々丸。入れ終わったら準備を頼む。」

 

 茶々丸「了解です。マスター」

 

 しばらくして茶々丸がコーヒーを入れて戻って来た。俺の分はホットミルクだ。連続二杯はさすがに体に悪い。

 

 貂蝉「じゃ、説明するわねん。」

 

 

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 卑弥呼「まずはその外史で転生した魂を持っておるのは曹操、楽進、程cの三名だ。ま、特にご主人様に懸想しておった三人じゃな。」

 

 貂蝉「それでねん、そこにはもう北郷一刀って言う御使いは降り立っているのよん。」

 

 一刀「なるほど・・・そこでは俺は一刀ではいられないと言う事だな。」

 

 卑弥呼「そう言う事じゃな。」

 

 と、なると偽名が必要か・・・いや、こうなることは予想していた。故に俺は偽名も考えて在る。その名は・・・

 

 一刀「ならば俺はケ艾を名乗ろう。魏の忠臣にして文武両道をこなした一人だ。」

 

 貂蝉「ちょおっと待ってねん………大丈夫よぉん。そこにはケ艾は存在しないわぁん。」

 

 一刀「それは良かった。ならば字は士載で問題無いな。」

 

 貂蝉「ええ、無問題よぉん。」

 

 それから俺はその世界の事について詳しく聞いた。纏めるとこうだ。

 

 一つ、北郷一刀は既に存在する。(何処に所属してるかは不明)

 

 一つ、降り立つ場所は指定できない。(範囲指定して、ランダムな座標に落ちる)

 

 一つ、歴史の修正力は完全になくなっている。(ぶっちゃけ思いっきり変えちゃって!)

 

 一つ、記憶が戻るかどうかは俺次第。(出会う、触れる、既視感を与える等)

 

 一つ、協力者に左慈と于吉も同行するとのこと。(他の魂がどんなものか鑑定する役)

 

 一つ、その外史を何者かが狙っている事。(現在不明)

 

 以上だ。

 

 一刀「・・・何者かって分かって無いのか??」

 

 卑弥呼「うむ、本来我らが同行する筈の所に、左慈達を置いたのはその調査の為じゃ。」

 

 貂蝉「そうねん。私達が調査班。左慈ちゃん達が護衛班って所ねん。」

 

 一刀「そうか。」

 

 卑弥呼「まあ、基本介入はせんはずだから安心せい。」

 

 一刀「そうだな。それは助かる。常に俺は俺の力でやって行きたいからな。待機場所って言うか住む場所はしっかり用意するから安心してくれって伝えておいてよ。」

 

 貂蝉「どぅふふ。それは自分で伝えたほうがいいわよん。もう少しで来る筈だからん。」

 

 一刀「あ、あはは・・・顔合わせずらいなぁ・・・」

 

 最初の外史の事を教えてもらっているのでちょっと会いづらい。

 

 一刀「ま、仕方ないか・・・」

 

 茶々丸「マスター、服の準備が出来ました。どうぞこちらに。」

 

 一刀「ああ、じゃあ貂蝉、卑弥呼。ちょっと失礼するよ。」

 

 二人「「着替え!?手伝うぞ(わん)!!」」

 

 茶々丸「((約束された勝利の剣|エクスカリバー))の餌食になる恐れがありますが・・・」

 

 二人「「待っている(わん)」」

 

 三人のやり取りに苦笑しながら一刀は着替えに自分の部屋に戻って行った。

 

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 シュル・・・サッ・・・キュッ・・・カチャカチャ

 

 一刀「・・・これに袖を通す事になるとはな。」

 

 今俺は黒い服に袖を通している。

 

 一刀「・・・」

 

 バサッ

 

 夏にも関わらず、俺は真っ黒の外套を羽織る。

 

 その外套から声が響いてくる

 

 ???『カズト、旅の始まりですか?』

 

 一刀「ん?ああ、そうだよ。“セイバー”」

 

 ???「ほう・・・それは楽しみだな。」

 

 一刀「これが最後の旅になりそうだよ。“アーチャー”」

 

 声の主の名前は『セイバー』『アーチャー』である。ある外史で知り合い、彼らの因果を断ち切ったことで仲間になった。・・・バカップルである。

 

 二人「「その評価は無いんじゃないか!?」」

 

 一刀「違うの?腹ペコ王に主夫弓兵?」

 

 二人「「・・・相違ありません。」」

 

 本当にこの馬鹿夫婦は息ぴったりだな。羨ましい。

 

 一刀「・・・藍」

 

 藍「ここに。」

 

 彼女は八雲藍。古参の一人。三番目の世界で知り合ったのだが何故かついて来た。紫さんが恨めしい目で見てたけど・・・知らん。

 

 一刀「準備は?」

 

 藍「滞りなく。」

 

 一刀「ん、じゃあ入って。」

 

 藍「畏まりました。」

 

 そう言うと俺の外套の中に頭を突っ込んで入って行く。傍から見たら何してんのこいつら?な状況だが・・・

 

 この外套、実は異空間に繋がっており、内部は結構広い。北郷邸をそのまま模した武家屋敷と、紅魔館をそのままコピーした洋館の二軒の家があり、5棟の兵装倉庫を完備。ここ数十年でかき集めた、神具、宝具、兵器が所狭しと保管してある。広さはかなりあり、農地もしっかり完備している。管理は藍。妖精メイドも居たりする。数は20名ほど。

 

 一刀「大所帯だよな、意外と。」

 

 藍『それは一刀様の人徳が成される事かと』

 

 一刀「そっか・・・よし。準備OK。三人とも基本は待機だからそこんところよろしく。」

 

 三人『了解です』『応』『畏まりました』

 

 俺はそのままリビングに戻り、丁度左慈達が合流。そのまま旅立ちとなった。

 

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 外史の回廊

 

 

 左慈「ところで北郷。」

 

 一刀「なんだ?」

 

 左慈「お前、白い服じゃなくていいのか?」

 

 一刀「勘弁してくれ。この歳で真っ白い服は勘弁だ。」

 

 左慈「・・・黒で固めるのもどうかと思うがな。」

 

 一刀「ほっとけ。キリトからの餞別なんだよ。」

 

 左慈「・・・似た者同士が。」

 

 一刀「終いには泣くぞ!?」

 

 左慈「三十路の涙ほど気持ち悪い者は無いな。」

 

 一刀「・・・于吉に掘られてしまえ。」

 

 左慈「な!それは酷いんじゃないか!?」

 

 一刀「どっちが酷いんだよ!」

 

 二人「「あーだ!こーだ!そーだ!」」

 

 于吉「ああ、左慈とイチャイチャするなんて、なんて羨ましい・・・」

 

 二人「「イチャ付いてなんかいない!」」

 

 貂蝉「息ぴったりねん。これなら安心よん。」

 

 二人「「・・・もう・・・いい。」」

 

 貂蝉「じゃ、送るわよん。」

 

 そう言って貂蝉は後ろに手を回し、銅鏡を取り出した・・・ってどっから出した!?

 

 貂蝉「禁則事項よん♪」(ばちこ〜ん)

 

 おえ・・・

 

 卑弥呼「では送るぞい。貂蝉。」

 

 貂蝉「ええ、いくわん。」

 

 貂蝉「ぶるぅああああああああああああああ!!!」

 卑弥呼「ぬぅぅううううううううううううん!!!」

 

 そのまま俺と左慈、于吉は銅鏡から発せられた光に呑み込まれその光が光り輝く結晶、今回の外史へと吸い込まれていった。

 

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 あとがき

 

 さて・・・これからどうなるかな?

 

 一刀「それよりも良く無事だったな。」

 

 全力で逃げて来ました。

 

 一刀「そうか。大変だな。」

 

 君に言われると悲しいな。

 

 一刀「互いに生き延びようか。」

 

 そうだね・・・

 

 一刀「気を取り直して・・・結構な大所帯な設定だな。」

 

 そうですね。基本介入はしませんが・・・

 

 一刀「俺もかなりチートだな?」

 

 ですがこちらも基本氣のみで魔法、魔術、近代兵器、近未来兵器などは使用しません。

 

 一刀「一応する予定はあるんだな?」

 

 外史を狙ってる敵がいますからね。

 

 一刀「題名にあった二人の劉備。これはどう言う意味だ?」

 

 それに関してはもうちょっと先になりますね。

 

 一刀「副題にあるのに出番後回しとか・・・」

 

 良いじゃないですか、メインヒロインの華琳さんなんてめっちゃくちゃ後で出ますよ?

 

 一刀「おま、今華琳の噂したら!」

 

 あ・・・

 

 華琳「出番が無いの?ねえ・・・私の出番はまだないの??」

 

 ひっ!だ、大丈夫です!一刀と出会わなくても華琳sideを書いてますから!!

 

 華琳「・・・ならいいわ。」

 

 一刀「大変だな・・・」

 

 そ、それではまた次回お会いしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二人「「本当に次回があればいいけどね」」

 

 あれ!?

 

説明
豪華キャスト人である
では本編どうぞ
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コメント
M.N.F.さん<基本同行者です。参戦はかなり後になる上、ふつうの戦には”基本”出ません。(ユウヤ)
zerooneさん<まあ、ここで全員墜ちるとは限らないですがね?(ユウヤ)
前原悠さん<最高ですよね!(ユウヤ)
kyogo2012さん<え〜要らないですか?俺はそんなに嫌いじゃないですけどね〜(史実劉備の方は)(ユウヤ)
第5次の弓剣コンビが付いてるとかそれだけで過剰戦力なんですがそれは・・・。(M.N.F.)
それだけの広さがあれば全ての恋姫達を文字通りお持ち帰り出来るね(夜桜)
つまり腹ペコ騎士王がいるとエンゲル係数が桁違いに跳ね上がるということですね!?最高じゃないですか!?(前原 悠)
なんか、いろいろとヤヴァイ方向にいきそうだな。イイゾ!!モットヤレ!!!!!!御使いが二人なのはわかるけど、劉備が二人・・・・・ねぇ。両方いらないや。ケケケケケ(Kyogo2012)
タグ
咎旅 恋姫†無双 

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