ソードアート・オンライン アクチュアル・ファンタジー STORY18 再戦、青眼の悪魔
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STORY][ 再戦、青眼の悪魔

 

 

 

 

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キリト視点

プラントから脱出した俺とデュオは、教団の本部を目指して平原を進む。

出発前に確認したところ、教団本部は街の向こう側にあり、普通に向かおうとしたら半日かかるらしい。

そんなに時間をかけている暇はないため、俺たちはプラントと教団本部に挟まれる形で存在する密林を通ることにした。

 

デュオ「どうやら着いたみたいだぜ」

 

密林の前まで来ると、その巨大さがよくわかる。

太い木々が何本も立ち並ぶその森は、まさに前人未到の地といった感じだ。

樹齢百年は下らないであろうという大木が隅々まで生い茂り、木によって苔や蔓が絡み付いている。

 

キリト「ここを越えるのか・・・」

 

デュオ「地図を見る限り、直線で考えれば2〜3kmで抜けられるだろう」

 

キリト「とは言っても、これだけの森を超えるのは楽じゃないだろうな」

 

デュオ「その辺は我慢しろよ。道に迷うことはなさそうなんだし」

 

そう言って、デュオは木々の向こう側に目を向けた。

その視線の先には、巨大な石碑のような建造物が建っている。

建造物自体は直方体だが、やたらに高さと横の面積があるため、遠目では石の板にしか見えない。

 

デュオ「情報によれば、あれが教団の本部なんだろう?」

 

キリト「あの板切れといい、変なセンスしてるな」

 

デュオ「言えてる。板に思い入れでもあるのか?」

 

キリト「さあな」

 

苦笑交じりに笑って、俺たちは広大な森へと踏み込んだ。

俺たちは木々の間から見える建造物を目印に、獣道を辿って奥へと進む。

巨大な密林の中は妖しくも神秘的な雰囲気の空間となっていた。

生い茂る木々の葉が陽光をほとんど遮り、地表までは届くのは細い金色の帯だけ。

青く輝く美しい蝶が舞い、時折どこからともなく謎の泣き声が響く。

時折、鮫のような頭と獣の胴体を持つものや、モグラと熊を足して2で割ったようなモンスターが出現するが、教団の鎧騎士に比べればさほど脅威ではない。

襲い掛かってくるそいつらを蹴散らしながら、俺たちはさらに奥へと進む。

深い茂みを抜け、獣道を歩いていくと急に視界が開ける。

そこにあったのは、古い石材で造られた遺跡の広場だった。

その広場の奥に、唯一真新しい素材でできた黒い石碑が建っている。

例の板状建造物だ。

 

デュオ「またか・・・」

 

キリト「どうする?このままにしておいても、そこまで問題はなさそうだけど・・・」

 

デュオ「いや、もう遅いようだ・・・」

 

引き攣った顔でそう言った直後、デュオは剣に手を掛ける。

見ると、板状建造物に電撃が集まり始めていた。

それを見て俺も、相棒同様に剣に手を掛けたまま身構える。

やがて光の球体が完成し、巨大化していく。

帯電を続けるボールを睨んだまま、俺は口を開いた。

 

キリト「なあ、デュオ・・・」

 

デュオ「なんだ?」

 

キリト「俺の予想が正しければ、今回はあいつが出てくると思うんだが・・・」

 

デュオ「たぶん俺も同じ奴のこと考えてる」

 

キリト「なら、俺が言おうとしていることもわかるな?」

 

デュオ「あぁ」

 

俺の言わんとしていることに気付いているらしい相棒は、短く返してきた。

これまでの記憶から、今回は第三層のボス【ネリウス・ジ・イビルトレント】が出てくるものだと思われる。

だとすれば、解毒アイテムが少し心許ない。

と考えている間に、飛んで来た球体が俺たちの前で爆ぜた。

ライトエフェクトが収まり、俺たちが目を開けるとそこには予想もしなかった姿があった。

 

キリト「んなっ・・・!?」

 

デュオ「こいつが出たか・・・」

 

現れたのは、予想していた怪物じみた形相の大樹ではなかった。

目の前にいるのは、筋骨隆々で体色は青くねじれた太い角、それに山羊の顔。

数々のRPGでお馴染みの悪魔の姿であり、俺たちにとってはちょっとしたあまり良くない思い出のあるモンスター。

 

キリト&デュオ『グリームアイズ!!』

 

グリームアイズ「ゴアァァァァァァァ・・・!!」

 

唸り声を上げながら剣を振り上げたグリームアイズは、こちらに迫ってくる。

 

キリト「行くぜ、デュオ!」

 

デュオ「おう!」

 

その言葉を合図に、俺とデュオはそれぞれの剣を鞘から引き抜いた。

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デュオ視点

振り上げられていた斬馬刀が、こちらに向かって振り下ろされる。

 

デュオ「突っ込め、キリト!」

 

キリト「了解!」

 

キリトが走り出した直後、肉厚の刃がこちら目掛けて落ちてきた。

俺は、剣を横向きに構えてその斬撃を受け止める。

瞬間、耳をつんざくような金属音が森に木霊した。

受け止めた衝撃が痺れを伴って全身を駆け抜け、同時に関節と筋肉が軋む。

 

デュオ「ぐっ・・・この野郎!」

 

俺は悲鳴を上げる体に鞭を打ち、圧し掛かってくる斬馬刀を力任せに押し返す。

少しずつ押し戻された刃がやがて打ち上げられ、グリームアイズは大きく体勢を崩した。

 

デュオ「キリト!」

 

キリト「お・・・おおおおおおッ!!」

 

武器を打ち返されて大きく仰け反ったそのがら空きの胴に、キリトと二刀流が斬りかかる。

目にも留まらぬ速さで繰り出される剣撃は、血飛沫を飛び散らせながら、敵の肉体をズタズタに斬り裂いていく。

 

グリームアイズ「ゴァァァアアアアア・・・!!」

 

仰け反りから体勢を立て直したグリームアイズが、凶暴な唸り声と共に白いブレスを吹きかけてくる。

 

キリト「ぐっ・・・!」

 

デュオ「毒か・・・!?」

 

呼吸するだけで息苦しくなり、血管が疼くような痛みが伝わって手足の感覚も微妙に曖昧になってくる。

 

デュオ「キリト、俺がタゲ取るからその間に解毒しろ!」

 

キリト「わかった!」

 

再び振り下ろされる巨大な刃を、もう1度受け止める。

だが今度は毒の影響で踏ん張りが利かず、その場で転倒してしまった。

地面と剣の腹に挟まれる格好になった俺を押し潰そうと、グリームアイズが斬馬刀に力を込めてくる。

 

デュオ「ぐっ・・・!くそ・・・!」

 

必死に押し上げようとするが、感覚が麻痺してきていることもあって、斬馬刀はまったく動かない。

すると、グリームアイズは斬馬刀を押し付けたまま、ゆっくりと左拳を振り上げた。

次の瞬間、人の背丈程もある拳が振り下ろされる。

 

キリト「デュオ!」

 

しかしそのパンチは間一髪のところで割り込んだキリトに斬り払われ、俺をミンチにすることはなかった。

 

キリト「大丈夫か?」

 

デュオ「何とかな・・・」

 

キリト「今度は俺がタゲを取るから、お前も解毒と回復しろ」

 

デュオ「OK・・・」

 

そう言うと、キリトは剣を構えてグリームアイズに突っ込んでいく。

俺もすぐにアイテムポーチから解毒ポーションと回復用のハイポーションを取り出して、両方一気に飲み干す。

麻痺が舌まで来ていたので味はそこまでわからなかったが、緑茶と野菜ジュースと青汁を混ぜたような味だった気がした。

数秒後、カーソルから状態異常のアイコンが消え、HPも回復を始める。

毒が消えたことで痺れは取れ、HPが回復し始めると体の痛みが徐々に楽になっていく。

HPがイエローからグリーンに変わると同時に、俺は立ち上がり、キリトの隣まで走る。

 

デュオ「OKだ!」

 

その言葉を合図に、俺は振り下ろされた斬馬刀を横斬りで弾き返す。

弾かれた衝撃で、俺もグリームアイズも後方に仰け反った。

 

キリト「行けるか?」

 

デュオ「いつでも」

 

キリト「よし。なら、一気に決めるぞ!」

 

デュオ「おう!」

 

キリトが走り出したのを見て、俺も仰け反った体を強引に立て直して地面を蹴る。

迫り来る俺たちの姿に焦ったのかグリームアイズも、半ば無理矢理体勢を戻し、俺たちを迎え撃つために構えた。

水平に構えた斬馬刀が横薙ぎ振るわれ俺たちを両断しようと迫る。

身軽なキリトはそれをジャンプして躱し、俺はスライディングで刃の下をすり抜ける。

そして駆け抜けながら俺は右、キリトは左の脇腹に剣を突き立てた。

後ろに走り切ると剣が脇腹を引き裂き、そこから大量の血液が飛び散るが、それに構わず振り向き様にもう1度袈裟斬りを見舞う。

あとはもう、2人揃ってラッシュをかける。

絶叫しながら、ただ我武者羅に剣を振り回した。

 

キリト「うおおおおああああ・・・・・・・!!」

 

デュオ「てぃぃぃぃぃやぁぁぁぁ・・・!!」

 

俺たち2人の剣技は、ボスのHPを急速減少させていく。

そして

 

キリト&デュオ『倒れろぉぉぉぉ!!』

 

あの時と同じく、最後の一撃が全く同じタイミングでボスを直撃した。

 

グリームアイズ「ゴァァァアアアアア・・・!!」

 

天を振り仰いだ巨大な悪魔は口と鼻から盛大に噴気を洩らしながら咆哮し、膨大な青い光となって爆散した。

 

キリト「終わった・・・のか・・・?」

 

デュオ「ああ・・・勝ったな・・・」

 

戦いが終わったことで気が抜けた俺たちは、その場にへたり込む。

お互いの有様に、俺たちは顔を見合わせて笑った。

 

デュオ「SAOでもそうだったが、さすがに疲れるな・・・」

 

キリト「ああ、そうだな・・・」

 

呟きながら、キリトは両手を投げ出して倒れ込んだ。

真似するように俺も倒れ込んで、眼前に広がる空を仰ぎ見る。

疲弊していた俺たちは、しばらく無言のまま空を見ていた。

やがてポリゴン粒子が完全に消え去り、その後少しした時、不意にキリトが立ち上がった。

それを見た俺も上体を起こす。

 

デュオ「行くのか?」

 

キリト「あぁ、充分休めた」

 

デュオ「そうか。よし!じゃあ行こう。あと少しで目的地だ」

 

キリト「おう!」

 

俺たち2人は目的地である本部に向かうため、再び歩み出した。

そこで待ち受けるものがどんなものかも知らずに・・・

 

説明
テストその他が落ち着いたので、投稿を再開します。
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コメント
本郷 刃さんへ ありがとうございます。そうですね、次回は意外な展開になる予定なので期待していて下さい(やぎすけ)
テストなどお疲れ様でした! グリームアイズを見事に2人で打ち倒しましたか・・・いよいよ教団本部ですかね? 楽しみです(本郷 刃)
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