リリカルHS 54話
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私と士希は海岸にやって来た。10月の夜の海岸に吹く風は、少し肌寒かった

 

士希「ん?なんだ、勢ぞろいだな」

 

海岸には先客がいた。レーゲンと、八神家一同や

 

はやて「みんなも、あの念話聞いて来たってとこ?」

 

ヴィータ「あぁ。海鳴市にいる魔力保有者全員にあの念話が来た。

なのはとフェイトはミッドに居て聞いてねぇが、

リンディ提督とアルフ、エイミィは聞こえたってよ。

あたしらが出りゃ十分と思って、待機してていいって言ったけどな」

 

レーゲン「おそらく、神器と思われます」

 

士希「おそらく?珍しくハッキリしないな」

 

リイン「あの念話が聞こえた時は、しっかり神器の力を感じたらしいのですが、

それっきり反応がないらしいのです」

 

反応がない?今までは、そんな事なかったよな?

 

シャマル「デートの最中だったのに、ごめんねはやてちゃん」

 

シグナム「デートだと!?」

 

はやて「ええよシャマル。それとシグナム、少し落ち着こうな」

 

シグナムは怒りを隠す事なく、剣を取り出して素振りを始めた。

もう付き合い出して、一ヶ月以上経つんやで、そろそろ慣れてほしいなぁ

 

ザフィーラ「(主、士希の様子はどうですか?)」

 

ザフィーラが念話で話しかけてきた。

あまり感情を出さんザフィーラやけど、その声音からは心配の色が感じとれた

 

はやて「(うん、だいぶ回復したと思うよ。この襲撃がなかったらさらに良かったかも)」

 

ザフィーラ「(そうですか。ありがとうございます)」

 

お礼を言いたいのはこっちやで。

ザフィーラがきっかけを作ってくれたおかげで、一歩進めた気がするんやで

 

 

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約束の時間、時刻としては8時半。

そろそろ来ると思い、全員が警戒し始めると、大規模結界が張られていった

 

「おーおー、揃いも揃って懐かしい顔ぶれがいっぱいだなぁ、オイ!」

 

結界が張られしばらくすると、上空から人が落下し、砂浜に着地した。

着地と同時に上がる砂煙。やがて砂煙が晴れると、そこには…

 

はやて「な、なんであんたが…」

 

士希「ふーん、お前だったのか」

 

アイ「よぉ!さっきぶりだな!はやて!士希!」

 

夕方のゲーセンで出会ったアイさんが、満面の笑みで立っていた

 

レーゲン「お知り合いですか?」

 

士希「…あぁ、さっき知り合った、ゲーム仲間だ」

 

アイ「いやぁ!さっきは楽しかったよなぁ!優雨もかなり楽しそうにしてたぜ!」

 

この人が、神器?

 

はやて「いったいあんた、何者なん?」

 

私は聞いてみる。するとアイさんはニヤッと口角を釣り上げた

 

ガイア「そうだな。なら改めて自己紹介だ!

あたしはガイア!そこのチンチクリンに封じられてた一人だよ!」

 

ガイアが名乗ると同時に服装が変わった。

さっきまではボーイッシュなジーパンルックやったんが、

今はザフィーラの騎士甲冑に似たものを着ている

 

士希「ガイアか。お前、なんで今さら勝負を仕掛けてきた?

つか、あの優雨ってやつも神器の一人か?」

 

士希はナイフを取り出し、それを構えてガイアに聞いた。

私らもセットアップし、それぞれ武器を構える

 

ガイア「あー、優雨は無関係だ。あたしがこの辺ブラブラしてる時に偶然会って、

それ以来の関係だ。つまりはただの一般人で友人。今じゃ時々お泊りするほどの仲だ!」

 

嘘は感じられへん。てか、この人が嘘をつけるようなタイプには見えへんだ

 

ガイア「そんで、なんで勝負を仕掛けたかと言うと、興味が湧いたからだ。

まさかゲーセンで夜天の主と神器の担い手に会うとは思わなかったよ!」

 

やっぱり、私らの事も知っとったんか

 

士希「まさかあれか?俺を殺して、自由になろうってか?」

 

ガイア「あはは!そりゃ見当違いだ!だってさ、今までも自由にやって来たんだぜ?

この辺のマンション借りて、金稼いで、飯食って、友達と遊んで…

今まではそこのチンチクリンに閉じ込められてたおかげで、カタッ苦しい生活してたが、

その束縛から解放されたんだ!順風満帆にセカンドライフを満喫してたよ!」

 

ガイアはとても楽しそうに語っていた。それが、私らをどんどん混乱させていく。

なら、いったい何が望みなんや?

 

ガイア「おい、そこの烈火の将!お前ならわかるよな?なんであたしが勝負に挑んだか?」

 

士希「……げっ!まさか…」

 

士希は何かに気付き、シグナムは思案していた。

やがて、シグナムは何かに気付いたかのようにハッとした

 

シグナム「あぁ、そういうことか。つまりお前は、ただ力比べに来た、そういことだな?」

 

ガイア「ビンゴ!流石、夜天の守護騎士でも一番の武闘派!」

 

ガイアがそういうと、シグナムは少し誇らしげに笑っていた。

いやシグナム?それ別に褒めてる気はせぇへんで?

 

はやて「つまりガイアは、士希の強さに気付いて、

面白そうやったから士希と勝負したくなったってこと?」

 

ガイア「ま、そんなとこだ。リアル格ゲーしようぜ!」

 

この場の真面目な空気が一気に白けた。そうやんな。神器やもんな。

今までも思い返してみれば、どいつもこいつも凄いはずやのに、

どこか妙にズレてる奴らばっかりやったな

 

レーゲン「なんだろ。シリアスって続かないものなのかな?」

 

ヴィータ「ま、ただのど突き合いなら、安心して見てられるな」

 

シャマル「あ、せっかくだからどっちが勝つか賭けてみない?」

 

リイン「では、リインは士希さんが勝つにプリンを賭けるです!」

 

シグナム「ふむ、では私はガイアが勝つに士希の命を賭けよう」

 

うちの人らは傍観モードに突入したようや。

てか、シグナムさん?それどっちにしても士希の命が無いに等しいで?

 

ガイア「あっはっは!ならあたしは、士希が勝ったら神器のマスターとして認めてやるよ!

んで、あたしが勝ったら士希は無条件で魔力供給する。これでどうだい?

何気に魔力確保ダルかったんだよ」

 

士希「それって……はぁ、まぁいいか。悪い奴じゃないし。いいぜ、その条件のんでやる」

 

ガイア「うし!ならせっかくギャラリーがいるんだ!ちょっと張り切るか!」

 

ガイアが地面に手を置くと、茶色い魔法陣が展開され、砂浜が徐々に盛り上がっていった

 

はやて「これ、もしかしてリング?」

 

砂浜は一つの形を形成した。

それが、プロレスやボクシングなんかで使われるリングのような物に見えた

 

ガイア「正解!大地は全て、あたしの思いのままにできるってね!

さぁ、士希!そんなオモチャはしまって、男なら拳で勝負しな!」

 

ガイアはシャドーボクシングでもするかのように、拳を突き出した。

それに対して士希は苦笑しながらも、ナイフを懐に片付けた

 

士希「オモチャて…つか、女と殴り合うとか、趣味じゃねぇんだけどなぁ」

 

ナイフで切るんはええんかい

 

ガイア「あぁ?あんたあの外史の住人なんだろ?

女とやり合うくらい、日常茶飯事だったんじゃないのか?」

 

外史?

 

士希「!?テメェ!どこでそれを!?」

 

士希はあからさまに焦っていた。外史?なんや、どっかで聞いた事はあるけど…

 

ガイア「ミネルバから聞いたんだが、言っちゃまずかったのか?」

 

士希はチラッと私を見て、疲れたかのようにため息をついた

 

士希「……いや、どのみち話すつもりでいたさ。

だが、とりあえずお前との一騎討ちが先だ。やってやるよ」

 

 

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士希はリングに上がり、準備運動でもするかのように体をほぐし始めた。

すると、途端にピリピリとした緊張感が、この場の空気を支配した

 

ザフィーラ「これは……主はやて、私の後ろに下がっていてください。

恐らく危険かと思われます」

 

ザフィーラの言葉に、私は素直に従った。私でもわかる。この二人の強さは次元が違う

 

シグナム「ほぅ…これは是非とも、私とも一手願いたいな」

 

ガイア「はは!なら後でやるかい?」

 

シグナムが納得するほどの強さなんや。

スポーツやら訓練やらを見る感覚でおるけど、大丈夫やんな?

 

レーゲン「はい始まりました!しきさんVSガイア!

時間無制限、一本勝負!実況は私レーゲンと…」

 

リイン「リインフォース・ツヴァイがお送りするです!

そして解説にはこの方!夜天の守護騎士、紅の鉄騎ことヴィータです!」

 

ヴィータ「おう。よろしくな!」

 

アカン…あの辺が遊び感覚やで、シリアスになり切れへん…

 

レーゲン「さてさて!早速ですがヴィータさん、この試合どう見ますか?」

 

ヴィータ「ぶっちゃけ、ちょっとわかんねぇんだよなぁ。士希もガイアも強い。

だけどあたしは、士希とガイアの本気を見たことない。

士希のやろー、いっつも手ぇ抜いてる感じだからなぁ」

 

ヴィータはリング上の二人を見て言った。士希側のコーナーにはザフィーラが、

ガイア側のコーナーにはシグナムがセコンドとして付いていた。

なんでシグナムそっち側やねん

 

シャマル「うふ!一回これやってみたかったのよね!」

 

シャマルは『Round 1』と荒々しく書かれたボードを持ってリングの上に立っていた。

察するに、ラウンドガールらしい

 

リイン「会場内が緊張感に包まれる中、いよいよ男と女の真剣勝負が始まろうとしています!」

 

士希が柔軟を終え、拳を構えると、この場のプレッシャーがさらに重くなった。

いよいよや

 

ガイア「いい試合にしようぜ、士希!」

 

士希「彼女の手前、カッコ悪いところは見せられないな」

 

士希はこっちを見て微笑んだ。夕方とは、逆の立場やな

 

レーゲン「さぁ!それではいきますよ皆さん!ゴングです!」

 

 

カァン!

 

 

レーゲンがゴングを鳴らし、試合は開始された

 

 

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ガイア「オオォォォ!!」

 

士希「ハァァァ!!」

 

士希とガイアはお互い声を上げ、拳を振りかざす。

魔力と、士希は氣も宿した拳がお互いの拳と激突する

 

 

バァァン!

 

 

とても拳同士が激突したとは思えやん爆音が鳴り、辺りに軽い衝撃波を生んだ

 

レーゲン「おーっとお二人!全力の右ストレートをぶつけ合った!

両者互角!どちらも一歩も引きません!」

 

リイン「す、凄い衝撃波です!二人を中心に地面に円ができてるです!」

 

士希とガイアは拳を合わせながら睨み合っていた。

ガイアは楽しそうに、士希は少し驚いたように

 

ガイア「ハッハー!!今ので骨が砕けないたぁ、やるじゃねぇか!」

 

士希「こちとら、これくらいの攻撃は日常的に受けてた時期があるんでな!」

 

士希とガイアはいったん距離を取り、構え直した。

すると二人とも、睨み合いながら様子を伺っているようやった

 

リイン「おや?動かなくなったです。いったいどうしたんでしょう?解説のヴィータ?」

 

ヴィータ「きっと、今の一撃でお互いの実力がわかったんだろう。

あいつらは今、頭ん中で戦ってる。どう攻め込んだら痛撃を与えられるか、

シミュレートしてるんだ」

 

ヴィータの解説を聞いて納得してしまう。

なんや遊びっぽい雰囲気やったけど、至って真面目なんやな

 

ガイア「さて、考えてもしゃあねぇ!あたしは攻めるよ!」

 

先に動いたのはガイアやった。ガイアは男に負けやんくらいの体格の良さを活かした、

リーチの長い右脚による上段蹴りを士希の頭に入れようとする

 

士希「クッ!」

 

士希はこれを腕でガードするも、その重さからか顔を歪ませていた

 

レーゲン「ガイアの鎌の様に鋭い蹴りを、しきさん寸でのところで受け止めた!

だがガイアの攻撃はまだ終わらない!ここでさらに追い打ちをかけるが如く、

蹴りによるラッシュが始まったぁ!!」

 

ガイア「オラオラオラオラ!!」

 

ガイアは上段蹴りを皮切りに、ムチのようにしなる足で士希を攻撃していった。

士希はこれに対処して行くが、ガードしている左腕に負荷が掛かっているように見えた

 

ガイア「吹っ飛べーー!!」

 

ガイアはラッシュのフィニッシュだと言わんばかりに、空中からの回し蹴りを入れようとした

 

士希「お前が吹っ飛べ」

 

 

ダァァン!

 

 

はやて「は?」

 

ガイアの空中回し蹴りが入る瞬間、轟音と共にガイアが吹っ飛ばされた。

いったい、何が起こったんや?

 

レーゲン「り、リインさん、見えましたか?」

 

リイン「い、いえ、リインには…解説のヴィータは?」

 

ヴィータ「あたしはかろうじてだな。ガイアの空中蹴りが当たる直前、

士希が身をかがめて右ストレートをガイアに直撃させていた。

その結果、ガイアが吹っ飛んだってところだ」

 

う、うそやろ?あんな攻め込まれてたのに、一瞬で吹っ飛ばしたんかいな

 

ザフィーラ「あれは”虎落とし”と呼ばれる技です。

どんな強者でも、無防備になる瞬間があります。それが攻撃をする時。

虎落としは、そんな敵の攻撃が当たる直前に渾身の一撃を与えるものです。

並の者であれば一発で再起不能になる、士希の得意技の一つです」

 

ザフィーラがさらに解説してくれた。

そう言えばザフィーラ、士希とよく訓練してるんやったな

 

シグナム「だが、相手は並ではない。だろ?ガイアよ」

 

ガイア「当たり前だろ!クゥー!今のは効いたぜ!アバラが何本か逝っちまってやがる!」

 

ガイアはお腹を抑えて立ち上がった

 

士希「チッ、あれで沈まねぇか。やるせねぇな」

 

士希は左腕を抑えながら言った。かなり腫れとるし、めっちゃ痛そうや

 

ガイア「ハッ!おあいこみたいだな!」

 

士希「これくらい、何てことないな」

 

再び仕切り直しとなる。お互い拳を構え、そして…

 

レーゲン「二人が拳を構えたかと思うと、今度は両者ラッシュの横行だ!

凄い乱打だ!!目で追えない!」

 

ヴィータ「しかし、士希は左腕を負傷してる分、かなり押され気味だな。

左を使う時の動作がワンテンポ遅い」

 

拳での打ち合いは、私の目でもほとんど追えへんだ。

せやけど、士希が押されてんのは私でもわかる。徐々に士希が対応できてへんように見えた

 

ガイア「オラ!いくよ!あたし式ライジングドラゴン!」

 

ガイアは渾身の左ストレートを士希に当てる。士希はこれをガードするもよろめき、

そこへガイアが低い姿勢からゆっくりとスムーズな動作で右拳によるアッパーをする態勢に入った

 

士希「チッ!」

 

士希はガードの反動から、上手く動けず、そして…

 

 

ボコォン!!

 

 

リイン「入ったー!!ガイアによる渾身のアッパーカットが、士希さんのお腹を直撃!

ガイア、そのまま士希さんを持ち上げるかのように吹っ飛ばしたー!まさに昇龍が如くです!」

 

はやて「士希!!」

 

私は吹っ飛ばされた士希に近寄る。士希はお腹を抑えながら、膝を着いて立ち上がった

 

ヴィータ「ガイアの一撃も見事だが、士希もやるな。

ガイアの攻撃が当たる直前に、防御魔法を集中させてインパクト部分だけを守った」

 

シグナム「あぁ。かつて聖王が得意とされていた、

セイクリッド・ディフェンダーの真似事をやってのけた。

弾いていない分あくまで真似事だが、あれはなかなかの高等技術だ。

戦闘中に一点集中なぞ、並大抵の精神力で出来るものではない」

 

ヴィータとシグナムの解説を聞いて、私は士希に向き直る。

確かに、見た目の割りにダメージは少ないのか、まだまだ余裕が感じられた

 

士希「げほっ…あー、そんな不安そうな顔するな。彼女の前で無様な姿晒さねぇよ」

 

士希はリング越しから頭を撫でてくれた。士希はそう言うけど、私は不安でしかない。

目の前で、ボロボロになっていくんやで…

 

はやて「なら、絶対勝ってな。もし負けたら許さんで」

 

私がそう言うと、士希は微笑み、一言「あぁ」と言って立ち上がった

 

ガイア「ちぇー、今のは決まったと思ったのにー」

 

士希「目の良さだけはピカイチなんでな。

さぁ、はやてが不安がってるし、次の一撃で落とすぜ」

 

士希は魔力と氣を全開にした。

その姿は、今までとは比べものにならんほどの威圧感を醸し出していた

 

シグナム「これほどとは…」

 

シャマル「息をする事さえ苦しい…」

 

あのシグナムも驚いていた。これが、士希の本気…

 

ザフィーラ「主の為に本気を出すか。士希らしい」

 

ザフィーラは少し嬉しそうに微笑んでいた。ザフィーラ、こんな顔するんや

 

ガイア「いいねぇ、その気迫!受けてたとうじゃない!!」

 

ガイアからも、膨大な魔力を発せられた。これが、最後の勝負や

 

レーゲン「さぁ、勝負もいよいよ大詰めか!?両雄、凄まじい気迫だ!」

 

リイン「私達に出来るのは見届けるだけです!一瞬たりとも目を離せない試合です!」

 

ヴィータ「士希かガイアか。どちらにしろ、いいもん見させて貰えるな」

 

士希とガイアはジリジリと近寄る。拳を構え、力を溜めつつ、ジリジリ、ジリジリと…

 

ガイア「いくぜ、士希!ワンパンチで大地にキスさせてやるよ!」

 

士希「いくぞ、ガイア。悪いが、勝つのは俺だ!」

 

垂れ流すだけやった二人の魔力が徐々に凝縮され、それを右腕に纏った。

ガイアの右腕は茶色いオーラを、士希の腕は黒いオーラを宿していた。

おそらく、開幕と同じように、右拳のみで決着をつけるのだろう

 

ガイア「ハァァァァ!!!」

 

士希「ウォォォォ!!!」

 

最後の一撃が放たれる。

この時、何故か二人の攻撃がゆっくりと、スローモーションでも見とるかのように映った。

お互い、全身全霊を掛けた一撃は轟音を奏で、重々しく、二人の顔面へとめり込んでいく。

一瞬の硬直、せやけど二人は互いの拳を押し付け合っている。

それがきっと、たった一瞬の出来事やのに、なぜか妙に長く感じた。そして…

 

 

バァァン!

 

 

二人してリングの端へと吹っ飛ばされた。士希もガイアも、仰向けになり起き上がらない

 

はやて「士希!立って!立つんや!」

 

私は声をかける。せやけど、先に立ち上がろうとしたんは…

 

ガイア「……ッ!」

 

ガイアやった。ガイアは弱々しく、膝を着いて立ち上がろうとしていた

 

はやて「士希!士希!!」

 

嫌や!士希に負けて欲しない!起きろ士希!無様な姿は見せたくないんやなかったんか!

 

ガイア「………あはは、こりゃ、まいっ…た……」

 

ガイアは立ち上がろうとしたが、そのまま倒れていった。そして私の目の前では…

 

士希「あーくそ…頭がぐわんぐわんする…」

 

士希がゆっくりと、頭を抑えながら立ち上がった

 

はやて「士希ー!!」

 

私は喜びのあまり、リングに登って士希を抱きしめた。

士希は私に抱きつかれると、態勢を崩して尻餅をついた

 

士希「お、おい。急に抱きつかれると危ないだろ」

 

はやて「えーやろ!お疲れさん、士希!かっこ良かったよ!」

 

士希「…そっか。頑張った甲斐があったな」

 

士希はゆっくりと抱きしめ返した。良かった。ホンマに良かった

 

 

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レーゲン「あっと…勝者、しきさん!!」

 

レーゲンのコールで、周りが拍手を始めた。

みんな、なんだかんだ心配やったんか、すぐに士希に駆け寄った

 

ガイア「かーっ…負けかよー」

 

振り向くと、ガイアも頭を抑えながらやって来た。もう立ち上がれるらしい

 

士希「…これで、俺をマスターとして認めてくれるんだろ?」

 

ガイア「あぁ!あんたなら、マスターとして十分だ!これからよろしく頼むぜ!」

 

ガイアは手を差し出した。それに気付いた士希は微笑を浮かべ、その手を取ろうとする

 

士希「ッ!?はやてーー!!」

 

士希がガイアの手を取ろうとする直前、士希は急に私の方に振り向き、

私をドンと突き飛ばした。私は突然の事で訳がわからずにいた。

なんで士希が私を?

そんな思いが頭を駆け巡った。

そして次に気付いたんは、士希の肩にポッカリと穴が開いていた事やった

 

 

 

説明
こんにちは
V.S.ガイア戦。
龍が如く5のCollisions of Our Soulsと龍が如く4のReceive and Bite Youという曲をBGMに書いてました(笑)
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コメント
乱入者か!新たな敵っていった所かな?(ohatiyo)
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