英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
[全1ページ]

 

〜マルーダ城・会議室〜

 

「か、”神を殺して”神の肉体を手に入れた人間、ですか……」

「し、しかも”世界の禁忌”って……」

「め、滅茶苦茶だ……」

「伝承で出てくる”竜殺し”ですらかすむ存在だな……」

「……どうしてその方は神を殺し、世界の敵となってまで不老不死になったのでしょうか……?」

”神殺し”の一般的な切笑みを聞いたエマとアリサは信じられない表情をし、マキアスは疲れた表情をし、ユーシスは真剣な表情になり、セレーネは不安そうな表情で呟いた。

 

「――――今のは一般的な”神殺し”の話です。ですが”真実”は違うんです。」

「え……」

「ど、どういう事だ?俺やエリゼはメンフィルの学校で今の話を習ったけど……」

プリネの言葉を聞いたエリゼは呆け、リィンは戸惑いの表情で尋ねた。そしてプリネとツーヤは”神殺し”の真実―――かつて女神と愛し合った青年がある事故で死ぬ事になり、青年に生きて欲しかった女神は自らの肉体を青年に差し出したが、事情を知らない他の者達から見れば青年は女神の肉体を奪った邪悪なる者とされ、”神殺し”として忌み嫌われ続け、全ての勢力からその命を狙われてその事から多くの人々が犠牲となり続け、”世界の禁忌”と呼ばれるようになったことを説明した。

 

「そんな……そんな話って……」

「あまりにも悲しすぎるわね……」

「世界中に命を狙われ、悠久の時を過ごす存在、か…………」

「一体何を思って悠久の時を生き続けているのでしょうね……」

(!?どういう事、今の話……!そんな話、初耳よ!?)

説明を聞き終えたエリオットとアリサは悲痛そうな表情をし、ガイウスは静かな表情で呟き、エマは複雑そうな表情で呟き、ベルフェゴールは血相を変えた。

 

「……しかし何故そんな事情をお前達が知っているのだ?」

「ふむ……もしかして本人と会って直に聞いたのか?」

「えっと……これには色々と理由がありまして。この件には”リベールの異変”やエステルさんも関係してくるんです。」

「?エステルが?」

「?何で”リベールの異変”や”ブレイサーロード”が関係してくるの?全然関連性がないように聞こえるけど。」

ユーシスとラウラの疑問に答えたツーヤの話を聞いたサラ教官とフィーは首を傾げて尋ねた。そしてプリネとツーヤはリベールの異変後に起こった”影の国”の話、”神殺し”セリカとセリカに肉体を与えた女神アストライアの想いが込められた神剣がある事情でエステルの手に渡り、神剣がエステルに見せた光景を見て二人を再会させると誓ったエステルの想いにより、”神殺し”セリカ、そして魂となって世界中を彷徨っていた女神アストライアも”影の国”に巻き込まれて再会し、”影の国”から脱出する際女神アストライアはセリカと真の再会を誓った後”影の国”に秘められている想念の力を使って自らを魂に戻した後エステルの身体に宿ってエステルの子供として転生する事を説明した。

 

「なっ!?じゃ、じゃあエステルさんって……!」

「め、女神の魂をその身に宿しているんですか……!?」

「…………………………」

話を聞き終えたマキアスとエマは信じられない表情をし、サラ教官は口をパクパクさせ

「道理で翼を生やしたりとかできる訳だね。」

「―――なるほどな。”黄金の百合”が言っているようにもはや”人外”としか言いようがないぞ……」

フィーは呆れた表情で呟き、ユーシスは疲れた表情で溜息を吐き

(古神アストライアの魂を宿しているって……た、確かにあの時”神気”を発していたけど……普通に考えてありえない事よ!?)

ベルフェゴールは信じられない表情で声を上げた。

 

「”影の国”の件は聞いていたけど、まさかそんなとんでもない展開があったとはね〜……」

「え……」

「サラ教官はプリネ達が言っていた話を知っているんですか!?」

苦笑しながら答えたサラ教官の言葉を聞いたエリオットは呆け、アリサは驚きの表情で尋ねた。

 

「話だけは聞いているわ。―――――なるほどね。要するにその件でエステルに恩ができた”嵐の剣神”、”紅の魔女”、”真銀の霊女”が遊撃士協会を手伝っている訳ね……」

「”嵐の剣神”……?一体何者なのだ……?」

「それに”紅の魔女”って異名の方も気になりますが……」

納得した様子で呟いたサラ教官の言葉が気になったラウラは眉を顰め、エマは戸惑いの表情でサラ教官を見つめた。

 

「――――”嵐の剣神”、”紅の魔女”、”真銀の霊女”。エステルの紹介でクロスベルにある遊撃士協会に”傭兵”という形で雇われる事になった凄腕の傭兵達よ。特に”嵐の剣神”は”クロスベル真の守護者”と称えられているA級正遊撃士――――”風の剣聖”すら足元にも及ばないそうよ。」

「ええっ!?か、”風の剣聖”と言えば……!」

「カシウス准将の弟弟子に当たる方ですね……」

サラ教官の説明を聞いたリィンは驚き、エリゼは目を丸くし

「……サラ。その”嵐の剣神”って、もしかしてわたし達が帝都であったセリカって名前の剣士の事?」

ある事に気付いたフィーはサラ教官を見つめて尋ねた。

 

「あ……!」

「そ、そう言えばあの時エステルさん達と一緒に一瞬で多くの人形兵器や魔獣達を切り伏せた凄い剣士の人がいたな……!」

「”セリカ”……?―――――!サラ教官、まさかその”嵐の剣神”というのは我々が帝都で出会った……!」

「まるで女性のような美しい容姿をしていらっしゃった剣士の方ですね。」

セリカの事を思い出したエリオットは声を上げ、マキアスは驚きの表情になり、ラウラは真剣な表情でサラ教官を見つめ、セレーネは静かな表情で呟いた。

「ええ。”嵐の剣神セリカ・シルフィル”。さっきの話にあった”神殺しセリカ・シルフィル”と同一人物なんでしょ?」

サラ教官は頷いた後プリネとツーヤを見つめた。

 

「はい。”紅の魔女”レシェンテさんはセリカ様に仕えている”使徒”の一人です。」

「”使徒”………?」

プリネが言った聞きなれない言葉にガイウスは首を傾げたのを見たプリネはツーヤと共に”使徒”の説明をした。

「フム……要するにその”使徒”とやらは飛行船で聞かせてもらった”神格者”と似たような存在なのだな?」

「ええ。―――ちなみにあたしを含めたA班の皆さんも帝都で既にセリカさんの”使徒”の一人に出会ってますよ?」

ラウラの推測に頷いたツーヤは苦笑した。

 

「え……」

「ぼ、僕達が……?」

「一体誰なの?」

ツーヤの言葉にエリオットとマキアスは呆け、フィーは首を傾げ

「―――エクリア様です。あの方は事情があってしばらくイリーナ皇妃に仕える事となっていますが、本来の主はセリカ様なのです。」

エリゼが静かな表情で答えた。

 

「なっ!?エクリア様が……!?」

「まあ……!フフ、世間というのは狭いですね。」

エリゼの答えを聞いたリィンは驚き、セレーネは目を丸くした後苦笑し

「つくづく思ったが”ブレイサーロード”は非常識の塊だな。」

「女神の魂を宿したり、そんな凄い存在に恩を売っていたりとか、とても僕達と同じ”人間”とは思えないぞ………」

「まさに”人外”だね。」

「アハハ……私達、一生に会えるかどうかわからない程の凄い方と出会っていたんですね……」

呆れた表情で呟いたユーシスの言葉にマキアスは疲れた表情で頷き、静かな口調で呟いたフィーの言葉に苦笑しながらエマは頷いた。

 

「しかし話を聞く限りプリネとツーヤは学院に来る前から相当の修羅場を経験しているようだな?」

「多分、命をかけた修羅場もわたしとも比べものにならないくらい経験しているね。」

「”リベールの異変”の解決の貢献をした事だけでも十分凄いのに、その”影の国”とかいう訳のわからない所にまで巻き込まれて帰って来れたんでしょう?」

「フフ、オレ達の為に二人の入学を頼んだオリヴァルト皇子につくづく感謝しないとな。」

「凄いです、お姉様!わたくしもお姉様のような凄いドラゴンになれるように頑張らないと!」

ラウラとフィーは興味ありげな表情で疲れた表情をしているアリサと共にプリネとツーヤを見つめ、ガイウスは静かな笑みを浮かべ、セレーネは尊敬の眼差しでツーヤを見つめ

「フフ、あたしは大した事はしていないよ。」

「ええ、私はエステルさん達と違って大した事はしていませんよ。少しだけ手伝っただけですから。」

仲間達に興味ありげな表情で見つめられている二人はそれぞれ苦笑していた。

 

説明
第143話
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
2524 2255 3
コメント
感想ありがとうございます 本郷 刃様 女神がメイドをやっているなんて誰も予想できないですよww kanetosi様 今のエステルは本気になればもはやリウイやセリカクラスかとww(強っ!) ジン様 いや、さすがにエステル程チートにはなりませんが(苦笑) hayato様 まあバレたらヤバイ真実が一杯ありますものねww (sorano)
誰もエステルの魂のキャパがおかしいことに気づいていないのだろうか…。気づかれたら気づかれたで色々バレそうだが。(hayato)
大丈夫!この小説の主人公であるリィンはもっとチートになるの確定してるから♪(ジン)
っていうか、この物語のエステルって本当に最強キャラ化してるよねぇw光闇本編タグに←付いてたのも頷けるほどのチートっぷりw(kanetosi)
まぁレシェンテに関しては彼女も女神の1柱なんですけどねww(本郷 刃)
タグ
他エウシュリーキャラも登場 幻燐の姫将軍 空を仰ぎて雲高くキャラ特別出演 閃の軌跡 

soranoさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。


携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com