恋姫無双SS魏√ 真・恋MIX 4話
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盗賊は春蘭、秋蘭、季衣の活躍であっという間に退治され、その後も数件の反乱を抑えた。

その成果を朝廷に認められ、俺は州牧となった。

「しかし、どこのものとも思えない俺なんかが州牧に任命されてもいいもんかね?」

俺は桂花に尋ねる。

「今の朝廷にはほとんど力はありません。私が手を回したのもありますが今のところの行動が従順と認められたのでしょう。」

「まぁ、その辺の事は桂花に任せるよ。大きな力を持った方がたくさんの人を助けられるのも確かだからね。」

「はい、一刀様こそ天下に号を掛けるにふさわしいお方です。その日まで私のすべてを投げ出しても尽くさせて頂きます。」

「ありがとう、桂花。俺も桂花に出来るだけのことをしてあげるよ。」

「一刀様・・・・・・・・・・・。」

良い雰囲気になったところに季衣が部屋に飛び込んでくる。

「にいちゃん、にいちゃん。」

思わず離れる二人。

そんな場の雰囲気を読まない季衣は構わず話し続ける。

「にいちゃんに頼みがあるんだ。」

「なんだい季衣?」

にこやかに返事をする一刀。

『何で、この子はこのタイミングで・・・・・意外と春蘭よりも強敵かしら・・・。』

怒りで震えながら見つめる桂花。

だがそんな桂花の想いも天真爛漫な季衣には届かない。

「ボクの友達にボクくらい強くてご飯を作るのがうまい子がいるんだけど城に呼んでも良い?」

「そうかぁ、季衣くらい強いのかぁ。名前はなんて言うの?」

「名前はねぇ・・・典韋っていうんだ。真名は流琉。」

『典韋っていうと・・・・・あの悪来典韋か・・・・でも季衣の友達なんだから女の子なんだろうなぁ』

「あぁ、良いよ。もしその子が良ければ季衣と一緒に働いて貰おう。でも、いくら友達だからって人の真名を勝手に伝えちゃダメじゃないか?」

「大丈夫だよ、にいちゃんなら流琉にすぐ真名を許されるって。」

「じゃぁ、さっそく手紙を書くよ。にいちゃん、ありがとうね。」

そう言うとあっという間に走り去っていった。

「嵐みたいだな。」

「ほんと、可愛いですねぇ。それより一刀様、続きを・・・・」

またもや一刀に寄り添おうとする桂花だがまた邪魔が入る。

「一刀様、兵の調練の状態を見て頂きたいと・・・・・・・桂花、また抜け駆けか!?」

今度は春蘭が部屋に入ってきて、寄り添う桂花を見て怒鳴る。

「うるさいわね、こちらは良い雰囲気なんだから空気読みなさい。ほんと、師弟揃って・・・。」

季衣は助けられた春蘭に懐いていて、師弟関係とまで成っていた。

「まぁまぁ、もうそんな時間か・・・・じゃぁ、春蘭行くよ。」

そうして部屋から出ようとしたところにさらに伝令の兵が入ってくる。

「北郷様。朝廷からの勅命の使者が来ています。」

「ふむ、それじゃぁそちらが先か。」

「多分、黄巾党についてでしょう。おおかた本拠を叩けとでも言うんじゃないのですか?」

一緒に聞いていた桂花が言う。

「どちらにしても黄巾党は叩かないといけないし。取りあえず聞いてみよう。」

そうして一刀は謁見の間に向かった。

使者からの詔は桂花の言ったとおり黄巾党に関することだった。

冀州の広宗に黄巾党が集結しつつあるということと、数が多いので官軍もいくつかの勢力で連合を組むということ。さらにそれに参加して欲しい言うことだった。

俺はさっそく軍議を開いた。

「さて、どう思う?」

「良い機会です、黄巾党を打ち倒して我らの強さを諸侯にも見せつけてやりましょう。」

春蘭は当然のように言い放つ。

「まぁ、脳筋ほど簡単には考えていませんが。概ね賛成ですね。」

相変わらず一刀以外には辛辣な対応をする桂花だった。

「すでにある程度情報は集めてあります。本拠の情報もすでに半月ほど前に手に入れてありますし・・・・。」

「一刀様が仰ったとおり、糧食の不自然な動きを捕らえていれば意外と簡単でした。」

そんな桂花の台詞に春蘭がかみつく。

「ならなんで我が軍だけで出陣しなかったのだ?先に倒してしまえばもっと名声は広がっただろうに。」

そんな春蘭の台詞に桂花、秋蘭はあきれたよう仕草を見せる。

「姉者、黄巾党の主力は20万とも言われているのだぞ。我が軍だけでは無理だ。」

「朝廷に報告という手も考えたのだけど、くだらない乱戦の先鋒を取らされる可能性があるのでやめたのよ。」

桂花がさらに説明を加える。

「その代わりにある程度の情報は裏から流しておいたのだけど・・・・・・ここまで時間が掛かるなんて相変わらず無能者の集まりね。」

「その分準備は念入りに出来たのだけれど・・・・」

ある程度意見が出きったと見て俺はまとめに入る。

「それじゃぁ、使者には了解したと言っておくよ。出陣は・・・1週間後としよう。」

「解りました。」

元気よく答える桂花だが春蘭は不満げに言う。

「ずいぶんゆっくりなのですね。迅速を信条とされる一刀様らしくもない。」

「何をすねているのよ。貴女がすねても可愛くないわよ。一刀様には考えがあって出発を遅らしているのよ。脳筋の貴女には理解出来ないでしょうけど。」

「何だと!」

さらに機嫌を悪くする春蘭に俺は優しく声を掛けた。

「遠征になるからね、後の憂いを断っておかないと。周辺の賊どもを一掃しておこう。」

「出発までは少し忙しくなるよ。春蘭には頑張って貰わないと。」

「はい!任せてください!」

『姉者は可愛いなぁ』

あっという間に機嫌の直る春蘭を微笑ましく見つめる秋蘭だった。

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帝の使者を帰してから四日が経った。

その間やったことは周囲の盗賊の退治と黄巾党の補給線を潰すことだった。

今日も春蘭は山賊退治に奔走していた。

「さて、今出ている春蘭の部隊が帰ってきたら遠征軍の編成をするよ。」

「はい。解りました。しかし・・・・。」

桂花が言葉を濁す。

「指揮系統が若干不安がありますね。」

兵の数は大分増えてきていた。だが、それを指揮する将軍が足りなくなっていた。

「春蘭、秋蘭の二人以外は親衛隊長の季衣くらいだからなぁ。後は啼かず飛ばずか。」

「まぁ、いざとなったら俺も前線に出るけど。もう少し将らしい将が欲しいかなぁ。」

「一刀様には出来るだけご負担を掛けたくありません。私の策で補って見せます。」

「桂花にも期待しているよ。」

「あ・・・・・・・。」

俺は軽く桂花を抱きしめる。目をつぶる桂花。その距離が0に近づいていく。

そのとき・・・・・

 

「大変です。街で許緒将軍が暴れていると・・・・・・。」

 

伝令の兵が司政室に飛び込んでくる。

「はぁ!?」

驚く俺とあきれる桂花、だんだん慣れてきたようだ・・・

急いで駆けつけるとそこは大変な状況になっていた。

家が2軒ほど半壊になり道が削られていた。

その回りには人だかりが出来ていて、その中心には二人の少女がいた。

片方はハンマーを振り回している季衣だ。

もう一人は季衣と同じくらいの歳の少女。その手には巨大なヨーヨーを持っている。

その時点で一刀には察しが付いた。彼女が典韋なのだと。

だが二人は親友だったはずなのになぜこんな所で戦闘になっているのかは全く理解出来なかった。

ヨーヨーを持った少女が叫ぶ。

「何でもっとちゃんと連絡してくれなかったの?」

季衣が返事をする。

「城にいるって手紙を書いたじゃないか。」

「季衣が城で働いているって、信用出来るわけないでしょ。大きな家のことだってお城だってこの間言っていたし。」

「そんなにボクのこと信用出来ないの?」

「だって、何にも言わずに村からでてっちゃうし・・・。」

「ボクが出て行くとき食材探しで流琉は居なかったじゃない。」

「誰かに伝言していけば良かったでしょ。」

「そんなこと・・・・・ボクが気が回る訳無いじゃん。」

『あーあ、開き直ったな季衣。これは収まりそうにないなぁ。』

横で聞いていた俺は周りの被害を確かめる。

いい加減収めないと酷くなる一方だ。

『春蘭が居てくれれば楽だったんだけどな・・・・』

巨大兵器の激突はなかなか迫力がある。このパワーを押さえつけるのは大変そうだ。

「まぁ、やってみるか。」

俺は軽く息を吐いて集中した後、二人が同時に得物を投げる瞬間を待って間に割って入った。

「あっ、一刀様。」

「あっ、兄ちゃん。」

叫ぶ桂花と季衣だが、俺はそれを気にせずにまず季衣のハンマーに近づいた。

そして迫り来るハンマーに向かって右手を出すと当たる瞬間に体を回転して軌道を変える。

その変えた軌道でヨーヨーを絡め取った。

「ふぅ、うまくいった。」

俺はほっとすると、得物が絡まってバランスを崩している少女達を、紐を引っ張るようにしてこちらに引き寄せる。

そして、前の方につんのめってくる少女達を左右の手で抱き留めた。

「こら、おいたはそれくらいにしなさい。」

「はれっ・・・・、にいちゃんごめん。」

あっという間に俺に抱き寄せられた季衣は驚きながらも素直に謝る。

「あれ・・・・・そんな・・・・・・。」

もう一人の少女は驚き焦っている。

俺は彼女を手から降ろすと話しかけた。

「典韋・・・・ちゃんかな。手荒なことをしてごめんね。」

「あっ、いえ、私こそ、周りが見えなくなっちゃってごめんなさい。」

「落ち着いたら仲直り出来るかな?」

「はい・・・・・・・季衣ごめんね。私驚いちゃって。」

「んーん、ボクこそ流琉が来てくれて嬉しかったんだけど・・・・・なんだか照れくさくって」

「よし、じゃぁ俺も自己紹介しておこうかな。ここの州牧の北郷一刀っていうんだ。天の御遣いって名の方が有名かな。」

「え、州牧様・・・・じゃぁ、季衣、お城で働いてるって本当なの?」

「うん。言ったでしょ。」

自慢げに言う季衣。典韋は目が丸くなっている。

「君の話は季衣から聞いているよ。典韋ちゃんが良ければ季衣と一緒にお城で働かないかい?」

「え、いいんですか?」

「ああ、先ほど力は見せて貰ったしね。あれなら充分通用するよ。」

「はい、お願いします。私の真名は流琉って言います。そちらで呼んでください。」

「ありがとう、流琉。俺は一刀で良いから。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・季衣は兄ちゃんって呼んでますよね・・・・私も同じように呼んでも良いですか?」

「ああ、構わないよ。よろしく、流琉。」

「はい、兄様。」

「ははは、なんだか照れくさいね。」

「うふ」

和やかな雰囲気が流れている中、1人気が気じゃない人物が周りで見ていた。

『なんだか少しずつ女の子が増えていくのね・・・・・嫌な予感がするわ・・・・。』

『戦力が充実するのは嬉しいけど・・・・・いいえ、一刀様のために戦力はいくらあっても良いのよ。喜ばなくっちゃ。』

1人微妙に納得のいかない桂花だった。

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次の日の夕方頃に春蘭が戻って来るというので俺たちは遠征の準備をし始めた。

執務室で俺は桂花に尋ねる。

「そう言えば例の件の調べは付いているのかな?」

「は、はい、黄巾党の首謀者、張角についてでしたね。」

俺は黄巾党の行動を見ていると不自然な点がいくつか思い当たった。

俺の記憶にある黄巾党は官軍も恐れるほどの戦力で天下を二分するほどの勢いだった筈だ。

だが、今戦っている黄巾党は、ちょっと弱すぎる。

しかも、行動に一貫性が無く、反乱を収めに行っても首謀者は大抵その地の山賊で黄巾党自体が踊らされている感が強いのだ。

『数だけは多いのだけどね・・・・・・・。』

「こちらにまとめてあります」

俺は桂花から書簡を受け取ると広げて眺めた。

軽く目を通して気が付いたのは、実際に張角が指揮を執って起こった戦闘がないこと。それは彼女の姉妹にとってもその限りではないこと。

それらの意味は、彼女たちに大陸を統べる意志のないことを示していた。

「ふむ、やっぱり。」

「何か解りました?」

「どうやら首謀者の張姉妹は祭り上げられているだけかもしれないな。」

「その意見には私も賛同します。ですが、これだけの騒動を起こしてしまったのだから、その責は負わないといけませんね。」

「いや・・・・・・・利用出来るかもしれないなと思って。」

「そ、それは危険です。」

「ふぅむ、成り行き次第かなぁ。ともかく、この騒動を収めないとね。」

そう言いながら書簡をチェックする一刀を見ながら、桂花はまた不安を感じていた。

『一刀様の周りに、また女の子が増えてしまう・・・・・・・・しかも今度は何万人もの男性を魅了した女ですって・・・・・。』

『一刀様の為には必要なのかしら・・・・・・。』

あまり考えると鬱になるので仕事に目を向ける桂花だった。

 

次の日春蘭が戻ってくると3人の少女を一刀の前に連れてきた。

「この者達、助けに行った街の自警団をしていましたが、見所があるので一刀様に引き合わせようかと。」

俺の前に来ると少女達は礼をした。

そして、何かぼそぼそと内緒話をしている。

「なに、天の御遣い様っていい男やなぁ。」

「そうなの、一目惚れしちゃいそうなの。」

「おい、州牧様の前だぞ。静かにしろ。」

そこで俺はわざと大きく咳払いをする。

「コホン!」

驚いて前を向く3人。俺は春蘭に尋ねる。

「3人とも結構出来るの?」

「はい、一刀様の力になることは私が保証します。」

「春蘭が認めたのなら大丈夫だね。俺が?州の州牧の北郷一刀。名前を聞かせてもらえるかな?」

「あ、はい。私どもから名乗らずに申し訳ありません。私は楽進、字は文謙、真名は凪と言います。」

「ウチは李典、字は曼成、真名は真桜っていうんや。よろしくたのみます。」

「はーい、私は于禁、字は文則なの。真名は沙和っていうの。よろしくお願いしますなの。」

「それじゃぁ、凪、真桜、沙和。よろしくね。」

「はい、北郷様。」「はいな」「はーい。」

「俺のことは一刀で良いよ。さて、君たちの任務だけど・・・・」

「取りあえず君たちには治安維持の任についてもらおうか。俺の担当だから直轄って形になるかな。」

「え、州牧様が治安維持なんかされてるん?」

驚く三人

「ウチも人手不足でね。そんな訳だからよろしく頼むよ。」

「今日は休んで良いよ。明日街を案内しよう。」

「はーい。」

それぞれ用意された部屋に戻っていく3人を見送りながら春蘭に話しかける。

「なかなか良い子達だね。ありがとう、春蘭。」

「はい、一刀様のお役に立てればと思って。」

「おいで、ご褒美を上げるよ。」

「はい!」

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そして次の日

三人を引き連れて俺は街に出た。

そして、町の様子を簡単に説明した。

「大体こんな感じかな。それじゃぁちょっと訓練場に寄っていこう。」

「はい?」

戸惑いながらも付いてくる三人

そして、訓練場に到着すると俺は三人に話しかけた。

「明日から遠征なんだ。聞いてるよね?」

「ええ、私たちも参加すると聞いています。」

凪が代表して答える。

「だから今日は訓練場には誰もいないんだ・・・・・・・・。」

そう言いながら壁に掛けられた木刀を取る。

訓練用に作らせた、中に鉄の芯の入った特注品だ。

「春蘭が認めた腕、ちょっと見せて貰おうかと思って。1人ずつ掛かっておいで。」

「なるほど、私たちの試験という訳ですか・・・・。」

「いや、試験と言うほどではないよ。試験なら春蘭が認めたという時点で合格してる。」

「ただ、俺の好奇心かな。各自得意技も知っておいた方がこれから役に立つだろうし。」

「解りました。では、私から行かせて貰います。」

凪が両手を肘を曲げるように前にだして構える。

いわゆるボクシングスタイルだ。

「へぇ、凪の得物はベアナックルなんだね。」

「べあなっくる?」

「あぁ、天界の言葉で素手って事だよ。」

「はい・・・・では行きます。」

凪は軽いフットワークからジャブとストレートを繰り出した。

「へぇ、速いねぇ。」

一刀はその拳を刀で受け流す。

「そんなっ、私の拳を受けても木刀が無事だなんて。」

彼女の拳は速くて重い。対する相手は普通リーチの長さで攻撃するか拳を避けて一撃を狙う。

なぜなら拳という打撃武器を剣などで受けると大抵折れたり曲がったりしてしまうからだ。

「なかなか威力が有るよ。鋼の芯の入った練習用の剣じゃなければちょっとやばかったかな。」

逆に言えば、その重さの剣で一刀が凪の拳を捌いていると言うことでもある。

「でも、やっぱり長い武器に対しては不利だよねぇ。」

一刀が言うと凪は無表情のまま動きを止めて集中を始める。

「私にはこれがありますから。」

「あ、凪ちゃんこんな所であれ使うきなのー。」

「うわ、やばいって。避難せなあかん。」

彼女の右手に気が集まっていくのが解る。

「へぇ、これが凪の本気か。」

俺はその様子を見て自分も集中を始める。

凪の右手の気が傍目から見ても解るほどに集まったとき彼女は一気にその右手を突き出した。

ブオーン

彼女の集めた気が弾となって俺に向かって突進してくる。

俺はその気弾を剣で受け止めた。

気弾はそのまま俺を1m程後退させる。

俺はそれを破裂させないように自分の気で相殺させる。

彼女の気は段々消えていった。

「凄いよ、凪。驚いた。こんな技があるならリーチは関係ないね。」

本気で気弾を撃ってしまったことに驚いて、近寄ってきた凪を抱きしめる。

「えっ、えっ」

男と接することに慣れていないのだろう、真っ赤になって照れる凪。

「春蘭が認めただけのことはあるね。」

「で、でも、一刀様もすばらしいです。私の気弾を相殺するなんて。」

「あれが精一杯だったね。弾いたり避けたりしたら訓練場が大変なことになっていただろうし。」

「あっ、済みません。」

「良いよ良いよ。なぜかウチの子達は本気になると色々破壊するから。でも出来ればあの技は敵にだけ撃つようにしてね。」

「はい、解りました。」

「そ、それで・・・・・・。」

「ん?」

「私はいつまで抱かれているのでしょうか?」

真っ赤な茹で蛸のように成っている凪を俺は腕から解放する。

「ごめんごめん。それじゃぁ次の子行こうか。」

そして3人の実力を見て、俺は安心する。

『大分戦力が充実したな。これで黄巾党退治も何とかなるだろう』

 

訓練場から帰りながらの三人の会話

「なぁなぁ、凪。大将の腕の中はどないだった?」

「いいなぁー凪ちゃん。沙和も抱きしめられたいのー。」

「そ、そんな・・・・・・・・。」

「抱きしめられたと言っても、多分一刀様は無意識で・・・・。私など女と意識してくれる筈はない。」

「そんなことないのー。凪ちゃんは可愛いんだから。」

「そうやなー、いずれ閨にも呼んでくれるかもしれんな。」

「ねや・・・・・・・・。」

またもや茹で蛸になる凪

「でもなー、ありゃきっと春蘭様も大将に抱かれてるで。」

「ほかにもいっぱい女の人がいそうなのー。」

「そっ、それは・・・・・一刀様は君主なのだから・・・・。」

「そやなぁー、ウチも末席に並べてくれれば良いしなぁー。」

「沙和もそうなのー。あの厚い胸で抱いて欲しいのー。」

「おっ、お前達。ふっ、不謹慎だぞ。」

「凪ちゃんならもう少し上の方を狙えるかもしれないの。」

「応援しとるでー。」

「そっ・・・・・・・・そんなぁ」

真っ赤になったままうつむく凪だが、抱きしめられたときに見せられた一刀様の笑顔を思い出すと胸が熱くなる。

「一刀様・・・・・・・」

恋する乙女のハートの中身は今完全に固定されていた。

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「こんな出陣間際に将が3人も増えるなんて。編成するほうの身にもなって欲しい物だわ。」

桂花は出陣してからも愚痴を言っていた。

「ごめんな桂花。少しでも桂花の編成が楽になるかと思って。しかし、ちょっと急すぎたか・・・。」

「いえいえ、一刀様は悪くはありません。雰囲気を読まない脳筋がよけいなことをするだけですから。」

相変わらずの辛辣な台詞で苛立ちを紛らわせようと春蘭に喧嘩を売る桂花だったが珍しく春蘭が相手にしない。

「言っておけ。私は一刀様にご褒美を頂いたからな。桂花ごときの台詞ではどうともならんな。」

「きーっ。なんてこと。」

「一刀さまぁ、私も出陣準備を頑張ったんですからご褒美くださいよぉ。」

「あぁ、後でな。」

「はーい。ではちゃっちゃと黄巾党を片づけちゃいましょう。」

そんな話をしているうちに、斥候が伝令を告げに来る。

「北郷様、前方で戦闘が起きているようです。」

「前方というと、今から我が軍が向かっている交通の要所の地点なの?」

「はい、我が軍より先にそこに到達した部隊が黄巾党と戦闘をしているようです。」

その地点は一見何でもない場所ではあるが、黄巾党が集合するにも、もしくは逃げ出すとしても基点となりうる要所だった。

「我ら以外にあの地点に気が付くとは。どこの部隊なのだろう?」

「はい、旗印を見るに劉と関の文字がありました。噂に聞く最近成り上がりの義勇兵を集めた劉備の率いる兵ではないかと。」

「へぇ、劉備なんだぁ。」

劉備と言えばいわゆる所の三國志の主人公である。

配下に関羽と張飛、超雲などを従え蜀の国を興す人物でとても有名だ。

「形勢はどうなの?」

「黄巾党の方がかなり数は多いですが今のところ互角のようです。」

「春蘭、援護に行ってあげて。」

「はい!・・・・よし、我が軍は劉備軍の援護に向かう。」

春蘭の参入によって一気に戦闘は終結した。

俺がその地点に付くと向こうから三人の少女がこちらに来た。

真ん中の少しホワンとした少女が話し出す。

「援軍ありがとうございました。お陰で楽に勝つことが出来ました。私は劉玄徳と言います。」

「俺は北郷一刀。無事に勝てて良かった。」

「私は関雲長。援軍感謝します。」

長い黒髪の少女が言う。

『やっぱり、みんな女の子なんだなぁ。しかも、みんな可愛い子だ。じゃぁ、そこの子が張飛なんだろうか。でもちょっとそんな感じには見えないな。』

関羽と言った子はかなり出来ることは容易に解る。おそらく春蘭より上だろう。しかし、もう一人の子はどう見ても武術が出来るようには感じられなかった。

「私は諸葛孔明です。劉備様の軍師をしています。」

「えっ!」

「はわわ、何か驚かれるようなことを言いました?」

「あっ、ごめん。そう言う訳ではないよ。孔明ちゃんだね。よろしく。」

ニコッと俺が微笑むと照れながら慌てて帽子を深く被る。

「はわわ・・・・よろしくお願いします。」

『三顧の礼ってまだの筈だけど・・・・・・やっぱり俺の知っている三國志とは大分ずれて居るんだなぁ。』

そこに小柄な少女が走ってくる。

「鈴々を置いていくななのだ。ん、そこのお兄ちゃん誰なのだ?」

「あぁ、俺は北郷だよ。君は?」

「鈴々は張飛なのだ。ふーん、お兄ちゃんが北郷かぁ。なんか格好良いのだ。結構強そうだし。」

「ありがとう、張飛ちゃん。張飛ちゃんも可愛いよ。」

「んーーーーー、照れるのだぁ。お兄ちゃんなかなか見る目があるのだ。」

「こら、鈴々。いい加減にしなさい。それではこの辺で失礼します。後ほど連合軍でお会いしましょう。」

関羽は張飛の首根っこを掴むと、そのまま連れて行く。

「ははは、それでは本当にありがとうございました。またお会いしましょうね。」

劉備は深々とお辞儀をすると諸葛亮と一緒に陣に戻っていった。

『どうやら他にも居るんだろうけど、みんな女の子なんだろうなぁ。』

俺はパラレルワールドなんだと言うことを今更ながらに実感した。

 

説明
前作の続きです
真・恋姫無双のSSではなくてあくまで恋姫無双の魏ルートSSです。
ただしキャラは真・恋のキャラ総出です。

無印恋姫無双は蜀ルートでした。
そして桃香の代わりが一刀でした。
このSSは魏ルートなので華琳の代わりが一刀です。
この外史には華琳出てきません。

その代わり一刀は華琳の代わりが出来るほど強化してあります。

一刀が格好良いと思って頂ければ作者は嬉しいです

ブログとは若干改変しています
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コメント
占いそのものは全土に広がってたので知らない人はほぼいないはずです(鳥羽莉)
凪のかわいらしさGJ(motomaru)
[乱]さん、あわわはここで顔を合わせていない事が後々重要ですのでw某赤壁で(とにー)
「あわわ」はどーした「あわわ」は。でもやっぱりデレ桂、(真桂花)ギロッ ヒィッガタガタブルブル(乱)
[吹風]さん、この話はあくまでも魏ルートなので劉備陣営は特に占いを受けていません。なのでそこまで天の御遣いに興味を持たないと思うのですが・・ (とにー)
意外に劉備陣営の反応が薄い?天の遣いに一番興味深々なのは彼女達と思うのですが…(吹風)
[YUJI]さん、ヤンデレっぽく成るかもしれませんねぇ。この先女の子増えまくりですし・・・(とにー)
[cheat]さん、失敬な、春蘭だってやるときはやりますよ。たまにですけど・・・ (とにー)
[フィル]さん、桂花も見えないところでは美味しくなっていますw (とにー)
[andou kiyohiko]さん、確かにこの話では愛紗的なポジションですね。春蘭がそうなるかと思ったけどお馬鹿すぎるみたいです。 (とにー)
[タンデム]さん、ありがとうございます。直しておきますね (とにー)
[アポリオン]さん、桂花は微妙にヤンデレ入ってるかもですねぇ。一刀危うし何ですけど・・・ (とにー)
[toto]さん 次は来週くらいに。 (とにー)
桂花が怖いくらいかわいいwww ジェラシーストームですね分かります。 (YUJI)
春蘭が人材発掘して来ただとぉぉぉぉ Σ(´д`ノ)ノ アシタノギハアラシダ 追伸:挑発に乗らない程のご褒美・・・・・気になりますな(cheat)
前半、桂花が凄く惜しい人になってますねwww(フィル)
桂花=愛紗=ヤンファ的なポジションですね、分かり(ry 続き楽しみにしてます!(atuantui)
続き楽しみにしてます^^ブログのほうも楽しみにしてます。(タンデム)
誤字報告です:1頁めの『後の憂いを立っておかないと』は、後の憂いを憂いを断つではないかと。(タンデム)
桂花が可愛すぎるw文もすごく楽しいです!今後も期待してます!(追伸)なんだか桂花がヤンデレっぽくなってるような・・・?wそして桂花がメインヒロイン?w(アポリオン)
続きですね^^自分はただ待つのみ。(toto)
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