真・恋姫無双〜白き牙を持つ者 #133
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〜 第133話 †官渡の戦い9† 〜

 

 

「豊(とよ)〜豊はどこですの〜?」

 

麗羽(れいは)様が僕を呼んでいるようだ

僕は今この戦況を見ながらどうするべきか非常に悩んでいた

このまま何も言わずに逃げても問題は無い

それでいいのか僕は?最後まで一緒に・・・いやどうせなら

 

「麗羽様、僕はここにいます!」

 

あの人達を逃がすくらいの事はやってもいいだろう

 

 

 

「皆さん、聞いてください残念ながらこの戦いは僕達の負けです」

 

 

僕はその事を麗羽様・斗詩(とし)さん・猪々子(いーしぇ)さんに言った

麗羽様は顔をキョトンとさせ

斗詩さんはやっぱりか〜と顔を暗くし

猪々子さんも頭を掻きながらバツの悪そうな顔をしている

 

「豊、それは本当なのですね?」

 

「はい、麗羽様・・・補給部隊を破壊され

 残る資源も明日の一度が最後かと、撤退をなさり

 再度準備をすればまた侵攻はできると思いますが

 残念な事に、今回で無理ならば曹操(そうそう)軍を打ち破るには厳しいかと」

 

「そう・・・ですのね私の・・・いいえ、袁家は敗れたのですわね」

 

「麗羽さま・・・」

「姫・・・」

 

僕の言葉に麗羽様は目を瞑り天を仰いでいる

何かを決意して目を開き、僕を見た

 

「それで、私は潔く死ねばよろしいのですね豊?」

 

麗羽様がそんなことを言ったのだが僕は首を振り否定する

 

「いいえ、麗羽様は生きてください

 貴方さえ生きていれば袁家は存続できます

 どこかで再び再興してもいいですし、この際大陸を歩き見聞を広めるのも良いかと思います」

 

「私に生き恥を晒せと豊はおっしゃるのですね?」

 

「恥ではございません、生きる事が何より大事なのです

 その為の恥など捨ててください、この田豊が望むのは麗羽様が生きる事です」

 

僕はそういって麗羽様を強く見た

麗羽様は軽く目を丸くした後に微笑み僕を軽く抱きしめて

 

「私は今まで目が曇っていたようですわね・・・こんなにも良い家臣を持っていたと

 それは斗詩さんと猪々子さんもですわね」

 

「麗羽様、ありがとうございます」

「姫・・・へへっ照れくさいな」

 

暫く皆でちょっとしんみりとした雰囲気になったけど

気を引き締め直して、今後の作戦を伝える

 

「斗詩さんと猪々子さんは麗羽様を連れて、敵陣の薄い南東の方へ抜けてもらいます

 明日の開戦直後から櫓を二つだけ残して残りは全て解体し

 河を架ける為の橋に、今までよりも幅の広いものにします

 麗羽様にはこの時偽装させ、本陣にまだいるように細工をしますので」

 

「それでは豊はどうするのです?」

「そうですよ、逃げるなら皆一緒じゃないと意味無いんですよ」

「そうだぜ、豊も一緒にいこうぜ」

 

「皆さんの気持ちは嬉しいのですが、本陣に残り

 色々としておかないと下手したら追っ手がかかりますので」

 

「豊が居ないのでしたら、華々しく散るだけですわ!」

「麗羽様の言うとおりです!」

「最後まで足掻いて見せるぜアタイは!」

 

「駄目です!僕の事を思ってくれるのは嬉しいです

 しかし、家臣として・・・いえ、豊個人としてお願いします

 麗羽様は生きてください、斗詩さんと猪々子さんは麗羽様をお願いします」

 

僕の事を思って言ってくれる3人に対して額を地面につけ懇願する

その姿に慌てて3人が僕のそばに駆け寄ってくる

 

「豊分かりましたから!私の我儘はやめますから頭をあげなさい!」

 

「豊君、聞き分けなくてごめんなさいごめんなさい!」

 

「おい豊!そんな事やめてくれよ!」

 

3人がそんな事を言ってくれるのを嬉しく思いながら

僕は彼女達に見えない所で・・・作戦通り!と笑みを浮かべていた

 

この夜は仲良く4人で一緒の天幕で寝ることになった

その間、兵の皆さんは夜通しで作業をしている・・・ごめんね兵の皆さん

 

 

〜曹操視点〜

 

陽が昇るか昇らないかの時間に目を覚まし

私は向こう岸を見る、まだ暗くてよく見えない麗羽達の陣を

私達の見立てだとそろそろ資源が枯渇し、撤退するはずだと踏んでいるが

あの麗羽だから分からない・・・あの伝令があって2日後には霞(しあ)達も合流している

それでも向こうはまだ攻勢を緩めない、思った以上に向こうの軍師はやり手のようだ

是が非でも欲しくなるわね

そんな事を思いながら、私は朝の会議へと向かった

 

そして、今日も開戦する・・・

 

これまでと同じで消極的に来るかと思った私達は予想外の攻勢に焦りを見せる

そろそろ最後の徹底攻勢がくるのではないかと予想はしていたつもりだった

 

「くっ!伝令!南東側が薄いのを知られてるわ!

 後退しつつ左右から囲みなさい!」

 

「御意!」

 

まさか櫓を最低限に、櫓の材料を解体して全て橋にして最初から全力で来るとはね

陽が出てから櫓が少ないからおかしいとは思ったければ・・・大胆にきたわね

 

「華琳様!伝令です!南東側は抜けられた模様!」

 

「桂花(けいふぁ)転進して再度こちらへくるはずだわ迎撃体制をとりなさい!」

 

「霞達が抜けた奴らを迎え撃つために出たところ、そのまま南東へ去っていったようです!」

 

「稟(りん)念の為警戒態勢でいなさい!本体はまだ向こう岸にいるのだから!」

 

「伝令!敵陣引いていきます!」

 

「なんですって!?どういうことかしら?」

 

「ん〜?ここは、追う事はせずに様子見がよろしいかと〜」

 

「それがいいわね、橋だけは確保しておきなさい」

 

警戒して待機をしていたのだけれど、それからは特に動きが無いまま夕刻へとなった頃に

麗羽達、袁紹(えんしょう)軍からの使者がやってきて投降する事を伝えてきた

 

「桂花、麗羽はいたのかしら?」

 

「それが本陣の中にはいないそうです」

 

「顔良と文醜の二人はどこへいったのかしら?」

 

「そちらは霞が南東へ逃げた部隊にいたのを確認しています」

 

「噂の軍師は本陣にいたのでしょう?」

 

私が軍師について聞いた時、桂花が顔をしかめる

 

「桂花?」

 

再度尋ねると、稟が私に報告をする

 

「華琳様、噂の軍師田豊についてですが・・・いませんでした

 それどころか正確な姿を知ってる者がいないというべきでしょうか

 それらしい姿を見た事ある程度なのですが・・その報告がですね」

 

「稟はっきりといいなさい!」

 

「も、申し訳ありません!その姿は男であったそうです!

 袁紹殿に付き従う小間使いのような童子がいたそうです!」

 

「男ですって?!その童子はいたのかしら?」

 

「いえ、袁紹殿と同じでやはり姿が消えていたとの事です」

 

「はぁ〜・・・分かったわ・・・そういや使者も童子ではなかったかしら?」

 

「そうですね〜背のちっこい方でしたね〜」

 

「まさか・・・ね?」

 

 

何とか勝利を手にすることができたのだけれど

私の中ではなんとも消化不良的な感じの戦いになってしまった

だけど中原を支配する事ができた今、そんな事も言ってられない

まだまだ私の覇道は道半ばなのだから・・・

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〜あとがきっぽいもの〜

 

投稿が遅くなってすいません!

お盆時期や花火大会などが重なりばたんQな状態でした

本編もダラダラと官渡の戦いを書くわけにはいかないので

急ぎ足で消化させてもらいました

最初に妄想してた部分だと豊君突然の失踪⇒麗羽様ご乱心⇒やけっぱち特攻⇒そのまま逃走という形でした

流石にそれだと豊君がクズすぎるかな?と思ったので

あーだこーだと再妄想していたのですが、難産でしたorz

今月は最低でも後一回は更新したいと思っています

夏場で腐乱しつつある駄文ですが次回もよろしくお願いしますm(_ _)m

説明
この物語はオリ主メインの外史です
視点は基本オリ主となっています
その他にご都合主義・チート・独自ルートで書いています
苦手な人はご遠慮ください
大丈夫な人は駄文にお付き合いください、更新は夏場は不定期になります

急ぎ足ですがこの戦いも今回で終了です
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コメント
観珪さん>変われるといいですが、変わったら麗羽様じゃない気がしますw(tokkey)
麗羽さまもわがままさえなければ優秀な主君ですしねー これを機にいっきに生まれ変わりそうな予感(神余 雛)
タグ
駄文 真・恋姫無双 ご都合主義 オリ主ルート 

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