英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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全ての課題を終えたリィン達が依頼者に依頼された品物を渡して外に出ると既に日が暮れかけていた。

 

〜夕方・ルーレ市〜

 

「もう夕方か……けっこう時間がかかったね。」

「はあ、無理もないだろう。かなり大掛かりだったからな。」

「街中を歩いた上、鉱山の中も歩き回りましたものね……」

「今までの特別実習で一番歩き回ったかもしれないね……」

エリオットの言葉を聞いたマキアスとセレーネは疲れた表情で答え、セレーネの言葉を聞いたツーヤは苦笑した。

 

「ふふん、一通り依頼は片付けられたしいいんじゃない。これで母様より一足先に戻ることができそうだわ。」

「はは、そうだな。」

「ノリノリだね。」

自慢げに胸を張っているアリサを見たリィンは苦笑し、フィーはジト目になった。

 

「ん……?」

少し歩いて何かに気付いたクロウはある場所をジッと見つめ

「どうしたの?」

「いや、あっちの方が何かザワついてねぇか?」

「あ。」

「な、なんだ?」

「これは下層の広場からか?」

「行ってみましょう!」

その後下層で睨みあっている領邦軍と鉄道憲兵隊を見つけたリィン達は下層に急行したが領邦軍がエスカレーターを封鎖していた為、回り道をして下層に向かった。

 

「っ……!」

「まずいね。」

「ええ……」

下層に降りたアリサは状況を見ると息を呑み、フィーの言葉にツーヤは重々しい様子を纏って頷いた。

 

「―――ルーレ市の治安維持は我々ノルティア領邦軍の役割だ!貴公ら余所者がこれ以上、大きな顔をしないでもらおうかっ!」

「……お言葉だが、我々は正規の手続きを踏んで任務を遂行している。それに鉄道網が発達し、人、ミラ、情報の流れが膨大になった現在……広域的な治安維持を行えるのは我々”鉄道憲兵隊”だけだろう。」

「―――そちらの方こそ邪魔しないでもらおうか!」

領邦軍の隊長に睨まれた鉄道憲兵隊員達はそれぞれ反論した。

 

「こいつら……」

「隊長……!もう我慢できません!」

鉄道憲兵隊員達の反論を聞いた兵士達は鉄道憲兵隊を睨み、兵士の一人は悔しそうな表情で隊長を見つめ

「―――まあ、そう逸るな。いかに宰相直属の部隊とて、戦力集中でさえなければ烏合の衆だ。」

隊長は落ち着いた様子で答えた後ある方向に向いて合図をするとなんと装甲車が街中に現れた!

 

「うわあっ……!?」

「そ、装甲車!?」

街中に現れた戦車を見た市民達が混乱している中、戦車は砲口を鉄道憲兵隊に向け、上層に護衛のメンフィルの親衛隊長や隊員と共にいるレンは下層の様子を見守っていた。

「レン様、いかがなさいますか?ご命令とあらば、ホテルに待機している一個小隊がすぐに駆けつけてこられますが。」

「―――今は待機でいいわ。ただし領邦軍が砲撃を開始すれば、レンが”パテル=マテル”と一緒に介入するからいつでも動けるようにしておいて。」

「御意。」

「さて……どうなるかしらね?」

護衛の兵士に指示を出したレンは小悪魔な笑みを浮かべて下層を見下ろしていた。

 

「しょ、正気か!?」

「これだけの大都市の中でそんなものを持ち出すとは!」

一方領邦軍の凶行に鉄道憲兵隊は信じられない表情で声を上げ

「笑止ッ!武は邦(くに)を守るためにあるもの!先日現れたというテロリストにも我らならば後手に回ったりはせぬ!市民の諸君、どうか安心して欲しい!謎のテロリストどもが跋扈する今、真の意味でルーレを守れるのは”ノルティア領邦軍”だけである!こやつらは所詮、地に足を付けぬ余所者!あまり信用せぬ方がよかろう!」

領邦軍の隊長は声を上げた後市民達に演説した。

「くっ……」

「……この焙り方は……」

その様子を見た鉄道憲兵隊は焦った様子で唇を噛みしめた。

 

「くっ……もっともらしい事を。」

「で、でも……いくらなんでも街中で装甲車なんてムチャだよ!」

「くっ、どうしたら……」

領邦軍と鉄道憲兵隊の様子を見守っていたマキアスは唇を噛みしめ、エリオットは不安そうな表情をし、アリサは考え込み

「―――どちらも正式な軍組織。学生に介入できる相手じゃない。だが、万が一衝突が起きたら全力で周りの人を避難させよう。」

考え込んでいたリィンは自分達ができる事を口にした。

 

「っ……わかった。」

「チッ、しゃあねえか。」

「できるとしたらそのくらいかもね。」

「ええ……せめてどちらかが退いてくれればよいのですが……」

リィンの判断にアリサ達と共に頷いたセレーネは不安そうな表情をした。

「……?―――!!……最悪、鉄道憲兵隊、領邦軍、メンフィル軍による三つ巴の戦いが起こる事も想定してください。」

周囲を見回した際、上層にいるレン達を見つけたツーヤは目を見開いた後重々しい様子を纏って呟いた。

「ええっ!?ど、どういう事、それ!?」

ツーヤの言葉を聞いたアリサは驚き

「―――上層を見て下さい。」

「上層……?――――あ。」

ツーヤが見つめている方向をつられるように上層を見たリィンはレン達に気付いた。

 

「あ、あの人って……!」

「―――”殲滅天使”。」

「そ、そう言えば今日の夕方くらいにRFの本社を訪ねるようなことを仰っていましたよね……?」

レンを見たエリオットは驚き、フィーは真剣な表情で呟き、ある事を思い出したセレーネは不安そうな表情をし

「あ、ああ……多分商談が終わった後の帰りだと思うけど……」

「後ろには3人ほどしか護衛はいないが、皇女なんだから最低でも1個小隊くらいは連れているだろうな。残りの連中はどっかに待機してんのか?」

「ああ………多分、ホテルか郊外に待機していると思うんだけど……」

セレーネの言葉にマキアスは戸惑いの表情で頷き、クロウの推測を聞いたリィンは真剣な表情で考え込んだ。

「レンさんの事ですから、衝突が始まれば”自分の身を守る為”を口実にして介入する可能性が高いと思います。下手をしたら先程カレイジャスで話に出て来た超巨大人形兵器―――”パテル=マテル”で領邦軍、鉄道憲兵隊全てを制圧させるかもしれません。カレイジャスの処女飛行も終えていますから”パテル=マテル”をルーレの遥か上空に待機させ、レンさんの指示に応じてすぐに駆けつけられるようにしてあるかもしれませんし。」

「そ、そんな事になったら町が滅茶苦茶になるし、国際問題に発展するわよ……!?」

ツーヤの推測を聞いたアリサは表情を青褪めさせて答えた。

「―――今からでも遅くない。レン姫の所に向かって―――」

そしてリィンが提案したその時

「―――仰る通りです。」

聞き覚えのある女性の声が聞こえ、声を聞いたリィン達は声が聞こえた方向を見つめた。

 

 

説明
第235話
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コメント
感想ありがとうございます 本郷 刃様 レンちゃんですのでww 匿名希望様 確かにレンならやりかねないww(sorano)
レンが両軍の争いに介入すれば、メンフィルがルーレを自国領にできる切欠になっちゃうねw(匿名希望)
レンちゃんがパテマテと一緒に武装待機とか怖ぇ〜ww(本郷 刃)
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