英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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その後ラインフォルト家を見て回っていたリィンはシャロンの提案によって、アリサの様子を見に行く事にし、テラスにいるアリサを見つけてアリサに近づいた。

 

〜RF本社ビル最上階・ラインフォルト家ペントハウス・テラス〜

 

「…………………」

「アリサ。」

アリサが外の夜景を見つめて考え込んでいるとリィンが声をかけたきた。

 

「ああ……貴方だったの。……ひょっとして心配させちゃった……?」

「ああ、ちょっとね。何となくノルドの時と同じような感じだったからさ。」

「そっか……はあ、情けないわね。家から独立しようとしてるのにこんな事で心が乱れるなんて。」

リィンの話を聞いたアリサはリィンに背を向けて溜息を吐いた後再び夜景を見つめた。

 

「……………………しかし凄いな……この夜景は。子供の頃からこんな光景をずっと目にしてきたのか。」

アリサの様子を見たリィンは無言でアリサの隣に近づいて話を変えた。

「まあ、そうね。お祖父様と、父様と、母様……父様が亡くなってからはシャロンが来てくれて……この夜景はいつも家族で見ていたものだわ。」

「家族との光景か……俺にとってのユミルの山々と同じようなものみたいだな。」

「ふふ、そうでしょうね。……でも、お祖父様はこの街からいなくなってしまって……今は私も、シャロンもいなくなって母様が一人きりで暮らしている……そう考えると……何だか胸が張り裂けそうなくらい切なくなってしまったの。……どうしてそこまでって。」

「そっか……やっぱりお母さんのことを怒っているわけじゃないんだな。」

辛そうな表情で語ったアリサの言葉に頷いたリィンはアリサを見つめた。

 

「ふふ……腹が立ってたのは確かだけど。でも……私だったら耐えられない。家族も、大切な人も、誰もいない状況で仕事にだけ没頭して生きて行くなんて……技師だった父が生きていた頃は決してあんな風じゃなかった。優秀なキャリアウーマンだけどユーモアがあって思いやりもある。そんなあったかい人だったの。でも―――父が亡くなって母はすっかり変わってしまった。取り憑かれたように仕事に没頭して影ではお祖父様の実験を奪ってRFグループの会長となって……でも、私が知る限り母が贅沢している所なんて見た事がないわ。会食以外だと、栄養バーで食事を済ませようとしてシャロンに窘められる……そんな人なの。だから怖いのよ―――”どうしてそこまでする?”って…………」

「………………」

辛そうな表情で語ったアリサの様子を見たリィンは静かな笑みを浮かべてアリサの頭を撫で

(あらあら♪)

(ふふふ、相変わらずのようですね。)

(ああいう所がリィン様の素敵な所なのでしょうけど……)

(同時にリィンの欠点でもあるわね。)

その様子を見守っていたベルフェゴールとリザイラは興味ありげな表情をし、メサイアとアイドスは苦笑していた。

 

「―――アリサはいい子だな。」

「………っ!?な、なによいきなりっ……?」

そしてリィンの言葉を聞いたアリサは顔を真っ赤にしてリィンを睨んだ。

「いつもいつも、そうやって人の事を気にかけているんだろう?たとえ相手に怒っていても思いやらずにはいられない……最初の頃の俺に対してもラウラやフィーの時も。妹のことだって俺をちゃんと窘めてくれたしな。ミリアムとエヴリーヌのことだって何気に気を配ってくれただろう?みんな感謝してると思う。―――多分、俺が一番だろうけど。」

リィンはアリサと出会ってからの今までの出来事を思い出しながら呟き

(えへへ……アリサのそんな優しいところが、私達精霊にとってとっても心地いいんだよ♪)

リィンの話を聞いたミルモは嬉しそうな表情で頷き

「あ…………〜〜〜っ〜〜〜……」

アリサは呆けた後真っ赤な顔でリィンから視線を逸らした。

 

「今、ルーレで起きている水面下の動きは確かに心配だ。アリサの故郷でもあるし、イリーナ会長も関係している可能性は高いだろう。だから……俺達Z組としても動きを探ってみないか?」

「え……で、でも実習の課題もあるしそんな事までする余裕は……」

リィンの提案を聞いたアリサは驚いた後戸惑いの表情でリィンを見つめた。

 

「依頼を片付けながらでいい。できる範囲で構わないだろう。―――俺だけじゃない。みんな同じ気持ちみたいだ。フィーも、エリオットも、マキアスも、ツーヤさんとセレーネも。クロウだって気にかけていた。だったら俺達は、俺達の判断で実習活動として行っていけばいい。これまでと同じように。」

「リィン……―――わかった。ありがとうは言わないわ。シャロンは口が堅いから聞き出せないとは思うけど……私は私で、ルーレにいる知り合いに心当たりがないか聞いてみるわ。この時間ならまだ通信で連絡しても大丈夫だと思うし。」

「ああ、そちらは頼むよ。明日の朝、依頼を受け取ったらみんなで方針を話し合おう。」

「うん、わかった。それじゃあ早速、通信で聞いてみるわね。」

リィンの言葉に頷いたアリサは出入り口に向かったが立ち止まった後、リィンの真正面に来てリィンと向かい合った。

 

「―――コホン、ひとつ忠告。あんな風に女の子の頭を軽々しく撫でるもんじゃないわ。貴族とか平民に関係なく、男子としてどうかと思うわよ。」

「え……ああ、確かにそうかもな。ごめん、何となく妹達によくやってたからというか。ってそうか、エリゼとエリスからも同じように突っ込まれてたな。うーん、でもやらなかったらそれはそれで『薄情です』なんて不機嫌になられたし……」

「はあ……本当にエリゼたちとは意見が合いそうだわ。……―――ん……」

真剣な表情で考え込む様子のリィンを見たアリサは冷や汗をかいて肩を落として溜息を吐いた後なんとリィンの唇に口付けをした!

「んんっ!?!!!!??」

「ん……ちゅ……れる…………」

リィンと舌を絡めるほどの深い口付けを終えたアリサは真っ赤になった顔でリィンから離れ

「そ、その……今のはさっき私の頭を撫でた”仕返し”よ。い、言っておくけど、”婚約者”の私やエリゼ達以外の女の子に絶対にあんな事をしたらダメよ!」

「あ、ああ……」

「そ、その……私を元気づけてくれた”お礼”にトリスタに帰ったら、いっぱい奉仕をしてあげるわね……それじゃあまた後でね!」

そしてアリサは真っ赤になった顔でテラスから出て行った。

 

(アリサの唇、相変わらず柔らかいよな……それにトリスタに帰ったらする”奉仕”ってやっぱり…………じゃなくて!?ちょっとは調子を取り戻してくれたようだな……)

アリサがテラスから去るとキスをされた際のアリサの唇の感覚や去り際に呟いたアリサの言葉を思い出したリィンは顔を真っ赤にして固まった後すぐに首を何度もブンブンと横に振って気を取り直した。するとリィンのARCUSに通信の音が鳴った。

 

 

説明
第238話
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コメント
感想ありがとうございます kanetosi様&本郷 刃様 リィンは相変わらずリア充野郎です(激怒) ジン様&FDP様 それ、洒落になっていないですよ……  THIS様 ロイドより罪深いですね!! 匿名希望様 そんな事をしたらラバーズの皆さんにタコ殴りにされますよww(sorano)
はいはい、斬首斬首(匿名希望)
閃の軌跡の青春シーン。ふははははははははは・・・リィン。爆発しろとはもう言わない。それ以上を意味する表現ってないのか!?リィン手本当に罪深い。(THIS)
多分、Uに入ったら、原作組も落としていくんだろうな・・・・(FDP)
どうせこれからもリィンはクレアやフィー、ラウラ、エマ、トワとかにもフラグを立てるんだから注意しても意味ないって^^;(ジン)
リア充リア充・・・間違えた、青春青春ww(本郷 刃)
リア充め......爆発しろぉぉぉ!....虚しいwあーあ、ゲームの世界に入り込めたらなぁ(現実逃避)(kanetosi)
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他エウシュリーキャラも登場 幻燐の姫将軍 空を仰ぎて雲高くキャラ特別出演 閃の軌跡 

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