真・恋姫†無双 巡る外史と仮面の魔神 六十一話
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あれから何度も時間を越えた。

時に道路で、時にビルで、時に学校で怪人と戦った。

最近では桃香と一緒に不時着した島にも。

何度も変身しようとしたが、それはしないことにした。

下手すれば、姿を見て思い出すんじゃないか…そんな不安がある。

そして何よりも、自身の姿を化け物と言われたくなかったからだ。

 

リトは何度も戦い傷付いた。

その度に治るが、それでも疲労は取れない。

それに、戦う意味も分からなくなってきた。

他者の笑顔の為に戦うのが心情だったが、それでも最近疑問に思う。

 

“何故そこまでするのか。記憶のない彼女達を助けて意味があるのか”

 

そんなこと、誰にも言えない…そんなリトは今、最後の時間に来ていた。

 

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学園祭…といった所か。

屋台が並び、模擬店をしていたようだ。

だがそれは昼間での話。

リトは校舎の屋上で下のキャンプファイヤーを見ていた。

そこには、自分の中では懐かしい顔がずらりといる。

 

「懐かしい…のかしら?」

「…さあな。未練がましい俺がこうして見てればそうじゃないの?」

 

背後に貂蝉がいたが動じずに下を見続けるリト。

笑っている彼女達を見て、やっぱりリトは安心する。

―――ああ、やっぱり守って良かった。

そう思えるのだ。

例え、それが自分を知らない親しい者でも。

 

「っ!」

「…来たか」

 

キャンプファイヤーの影から感じる…いや、この校舎中の影からか。

数は十やそこらの数ではなく…四桁は下らないだろう。

変身しないでどこまで持つか…リトは仮面を取りだし、後ろから出てきたショッカー大首領とその他、大勢の怪人を見てそれを付ける。

これで終わる…そう信じて。

 

『これでラストだ…しまっていこうぜ』

 

 

 

 

「…………ねね、こっち!」

「は、はいなのです!」

 

恋は音々音を引っ張り走っていた。

どこもかしこも怪人のせいで生徒が走る中で二人は冷静な部類だった。

今までも何回も怪人が出てきたので慣れと言えばそう思えるが…それでも一部を除いて冷静だ。

まるでずっと前から知っているような…そんな感覚。

 

『―――おるああああああああああああああああああ!!!!』

 

そんな感覚と言えば、怪人にゴルディオンハンマーを振るう男…リトもそうだった。

最初に見た時からだが、あの姿を見ると何故か安心するのだ…仮面で顔が見えなくても、顔が分からなくてもそう思えるほどに。

 

「恋、ねね!こっちよ!」

「詠!」

 

遠くから詠の声がした。

見るとそこには詠と月、それに他の皆もいた。

桃香や華琳、蓮華、外部から海蓮、蓬等大勢。

校庭で集まり固まっている。

 

「詠!他の皆はどこに行ったのですか!?」

「もう逃げてるわ!後はボク達だけ…」

 

『――――があああああああ!!』

 

その時、音々音達の所にリトが転がってくる。

もう全身血だらけで、息も荒い彼を見て少し恐怖を感じ…同時に胸が痛む。

リトは息絶え絶えの様子で牙斬刀を杖代わりに立ち、再び怪人達の元へ走っていく。

一方の音々音達は動けないでいた。

恐怖ではない…ましてや、誰も動けない状態でもない。

ただ、リトから目を離せなかったのだ。

 

「ぶるあああああああああああああああああああ!!!!」

「「「イィイイイイイイ!!」」」

「が、学園長!?」

「う、うっそ…強!?」

 

戦闘員を薙ぎ倒しながら進む貂蝉に驚く翠と蒲公英。

当然服は破けており、所々傷が見えるが当の本人は平気そうに進み、音々音達の所へ来た。

 

「貴女達、早くここから逃げるわよん!」

「で、でもあの人が!」

「…彼は平気よ。さぁ、早く!」

「平気なわけないのです!あんなにボロボロになって…あんなに辛そうで…」

「そうですよ!それにあんなのに勝てるわけ…」

 

貂蝉に抗議する音々音と桃香…それに言葉に出さないが他の皆も目で訴える。

貂蝉はリトを見ながらも、彼女達を避難させようとした。

 

「…ダメよ。貴女達が逃げなきゃ、彼が傷付く事が無駄になるわ」

「しかし学園長!」

「このままじゃあの人が…■■が死ん…で…?」

 

蓮華は自分が言った事に違和感を覚えた。

自分は今何を言ったのか…何故知らないはずの彼を心配したのか。

それに自分はさっき名前を言ったはず…なのに、名前が出てこない。

いや、その名前を言ったが聞こえないのだ。

まるで音がそこだけ切り取られたように。

 

「!?孫権ちゃん…貴女…」

「知ってる…?私は…彼を…?」

「…アタシもなんか知ってるかもしれないわ。勘…というより、本能的に」

「奇遇ね、私もよ」

 

頭を押さえる蓮華を見て、雪蓮と華琳も同じ事を言う。

それどころか、他の皆も頷いていた。

特に、頭痛的な痛みを感じている麗羽は。

 

(どう言うこと…?リトちゃんが再創造したときには記憶はなくなってるはずなのに…?)

「ずっとずっと前から知ってる…そんな気がします」

「…………大切なものを貰ってた…」

「…でも、■■■■のことが思い出せないのです…」

 

知ってる筈だ…そんなことは分かっている。

でもそれを証明するものは自分達にない。

だけど、彼に傷ついて欲しくないのは確かだ。

月も恋も音々音も、周りも…そう気付いている。

なのに何故思い出せない…何故名前を呼べない?

こんなにも、近くにいるのに…

 

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「「「ガアアアアアアッッ!!」」」

『―――退け、鳥が!!』

 

リトは死人コウモリ率いるツバサ一族を相手にしていた。

相手は空を翔び、リトはそんな怪人達を踏み台にゲッターサイトで切り刻む。

だが途中、下からアポロガイストの銃弾が背中に当たり、地面に背中から落ちた。

当たったのが超合金Z製のマントで無事だが落ちた衝撃は防げない。

リトはなるべく早く立ち上がる…と同時に吸血マンモスが突進し、その牙が腹部に突き刺さる。

吐血したリトに構わず、勢いを殺さずに吸血マンモスはリトを壁まで押し込んだ。

普通は死ぬだろう、生身の体だ…誰だってそう思う。

 

「ブモ…!?」

『…おらぁ!!』

 

ただ、例外を除いて。

 

『っはぁ…!…くっそ…!』

 

リトはゲッタートマホークで吸血マンモスを真っ二つに切り捨てた後、刺さったままの牙を抜き、ありったけの晴れの炎で空いた腹の穴を塞ぐ。

アークルの力がなければ即死していた。

激痛は消えず、耐えることになるだろう。

だが死ぬよりましだ…リトはそう思って、ブレストリガーで散らばる戦闘員や怪人に銃弾を当てる。

威嚇のつもりか…いや、自分に注意を引き付ける為だろう。

せめて、その間に皆が逃げれるように。

そんな時、死角からガラガンダーとヤモリジンの攻撃が迫る。

 

「ガラアアア!!」

「ヒャアアアアア!!」

『ぐっ…!?』

 

しばらく攻撃を避けたリトだが、両方の手首を鞭で拘束される。

その締め付けは凄まじく、縛られている手首近くの骨が砕け始めていた。

これまた激痛…歯を食い縛り、耐えていると、目の前からシャドームーンが近付いて来る。

恐らくシャドーセイバーで斬るつもりだろう。

もう五秒もしないうちに来る…だがそう易々とやられる訳にはいかない。

 

『…あ゛あ゛あ゛ッッ!!』

「ッッ!?」

 

リトは両側のガラガンダーとヤモリジンを鞭ごと引っ張りシャドームーンの前に引き寄せた。

シャドームーンは二体を切り殺し、リトを斬ろうとするが、その前にリトの渾身の蹴りが当たる。

事前に雷の炎で硬化しておいた足だがそれでもシャドームーンの装甲は堅く、リトの足は折れた。

その代償に、シャドームーンは大きく吹き飛ばされている。

リトは大地の炎で骨を治し、再び走り出す。

体力なんて、もうほとんど無いのに…

 

そこからは同じ事の繰り返しだ。

敵を殴って拳が砕けた…すぐに治す。

敵を蹴って足が折れた…すぐに治す。

敵に攻撃され胸に穴が空いた…すぐに治す。

敵を頭突いて頭から血が出た…すぐに止まる。

それの繰り返し、それしかやっていなく感じた。

もう痛みも感じないほど、時間が過ぎたことも感じないほど戦い続けた。

それでも減らない怪人達に、もういいんじゃ無いかと、どこかでそう考えてしまう。

でも、それじゃあ駄目だ。

 

『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああ!!!』

 

立つこともやっと、拳に力が入っていない状態でも戦わなければならない。

他ならない、大切な思い出をくれた人達の為にも。

しかし、そんな気持ちが空回りしたのか…リトは急に立ち眩みを起こす。

出血のし過ぎだろう、傷を塞いだからと言っても血はどうにもならない。

リトはバランスを崩し、膝を付くと…正面から巨大な鉄球が衝突する。

後ろに下がったものの、肋は殆ど砕ける威力を出せるのは、鋼鉄参謀しかいない。

肋を治しながら、リトは息を荒くし脂汗をダラダラと流す。

 

『こ…こで、デルザー…かよ…。マジ…勘弁…』

「スティィィィィィルッッ!!」

 

再び鉄球を投げつけられ、リトは避けるがその先にはドクターケイトがいた。

ドクターケイトは自身の毒をリトに向かって放ち、リトは避けようとする。

だが体力の限界だろうか…もはや避ける気力がない。

だからリトはとっさにマントを外し、盾にするように毒を防いだ。

腐食するマントを放り投げ、距離を取ろうとするが、その前に隊長ブランクのナイフが両掌に刺さり、近くの壁に張り付けにされる。

 

『っっ!?…ぐぁ…やべっ…』

「ホネェェェェェェェェ!!」

 

力が出ずにもがいてみるが、全く動かない。

そんなことをしていると、ドクロ少佐が鎌を構えてやって来る。

ああ…首を刈るつもりなのだろう…

リトはもう思考を巡らすこともできない。

そしてもう…目が霞んできた。

 

 

――――――。

 

 

「あ…居た!」

 

小蓮が戦っていたリトに指差す。

…何度も考えた結果、貂蝉を含めた全員はリトを探していた。

本人から話して貰おう…そう考えたのだ。

だが今の状況ではそれは難しい。

数多くの怪人を相手に一人で戦うリトにそんなことはできない。

 

「襲われてる…!」

「た、たしゅけにゃいと!」

「学園長!」

「ぶるあああああああああああああああああああ!!」

 

貂蝉は叫び、リトの元に行こうとするが、その前に怪人の波に押されてしまう。

いくらなんでもこの数は押し返せない…そう思って音々音はリトの方を見ると、リトは張り付けにされていた。

しかも、ドクロ少佐に殺されようとしている。

目を大きく開き、声を出そうとするが…なにもでない。

名前を呼びたくても、それは音に現れない。

止めたいのに、それが出来ない。

 

「だ…め…」

 

横に首を振る、否定したいのに、それが出来ない。

自分に力が無いから、彼に伝える言葉が出てこないから…無力な自分を認めたくないから。

 

「ホネェェェェェェェェ!!」

 

ドクロ少佐の鎌がリトの頭上から降り下ろされかける。

あのままだと、彼は

 

死ぬ。

 

その事が分かると、音々音は叫びたくなった。

だが声は届かない…そして、

 

『…ようこそ、そしてお帰りなさい』

 

今、世界が白く変わった。

 

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XXX「はい、後書きコーナー!」

一刀「なんかコール違う」

 

XXX「気分で変えてみた」

一刀「前回からけっこう時間飛んだんだな」

XXX「OVA二弾と未公開的な所?まあ、そこは気にしない」

一刀「今いる所は三弾の夜か?」

XXX「まあね。キャンプファイアーしてる部分」

一刀「敵多くないか?四桁って…」

XXX「正直…リトを追い詰めたかったんだ…」

一刀「十分追い詰めてるよ!出血多量で死ぬよ!」

XXX「クウガの治癒力なめんなよ」

一刀「それと皆の記憶が…」

XXX「本能的に覚えてるね。内容はさっぱりだけど」

一刀「…どうでもいいけど、貂蝉頑張ってるな」

XXX「後で褒めたげて」

一刀「それと、最後の台詞って…」

XXX「はい、じかーい!!」

一刀「無視すんな!」

 

XXX「まぁ、次回でわかるって」

一刀「…次回、六十二話は」

XXX「三巡編 “復活”。あ、『ふっかつ』って読み方じゃないです」

一刀「…ああ」←察した

XXX「それと、この小説あと三話で終わらせる予定っす」

一刀「唐突!?」

 

ΣΟДΟ再見

 

説明
三巡編

お帰りなさい
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コメント
nakuさん ワオ…それは言わないであげて(XXX)
ヘイロンさん あ、すんません。学園長ですね、統一してませんでした(XXX)
リトが相変わらずクズいのぅ……あと、学園長と校長、どっちなんだ? 校長>小中高などそれぞれの学校の先生の監督役 学園長>学園内の校長たちを監督するひと、纏める人 みたいな感じで違ったと思うんだが(ヘイロン)
刃さん XXX「あ、やっべ」一刀「バカ作者め…」(XXX)
後書きが所々誤字ってる…(^_^;)『出血』とか『貂蝉』とか…(黒鉄 刃)
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