真・恋姫†無双 裏√SG 第10.5話
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星「すまん、待たせたな…」

 

翠「おっせーぞ、星!」

 

紫苑「まぁまぁ、その様子だと、璃々にこってり絞られたようね」

 

愛紗「自業自得だな」

 

鈴々「早くしよ!私もうお腹空いちゃった!」

 

星が席に着き、それぞれ事前に用意されていた酒を手に取る。

そして我々は酒の入った器を掲げ…

 

五虎将「カンパーイ!」

 

 

 

 

 

五虎将

 

 

 

 

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翠「んくんく…かーっ!零士!もう一杯!」

 

鈴々「私も同じやつ!」

 

零士「かしこまりました」

 

鈴々と翠は器に入っていた酒を一気飲みすると、早速お代わりしていた

 

私達は現在、長く懇意にしてきたここお食事処『晋』にて飲み会をしている。

面子は私、鈴々、星、翠、紫苑の蜀の五虎将と呼ばれる者達だ。

17年前の大戦から共に駆け抜け、平和を目指してきた同士。

今日は久しぶりにこの面子が揃ったということで、この店で飲もうという事になった

 

愛紗「ん?どうした星?お前にしては、あまり酒が進んでいないな」

 

星にしては珍しく、静かにちびちび酒を飲んでいた

 

星「あぁいや、ちょっと疲れ過ぎていてな。

鈴々や翠と同じ勢いで飲んだら、早々に潰れてしまう」

 

そういう星は確かに疲れ切った表情をしていた。

星は先ほどまで璃々が勤めている幼稚園で罰を受けていた。

星が面白がって子ども達に悪知恵を仕込んだ事がいけなかったのだろう。

内容までは知らないが、碌でもない事に決まっている

 

紫苑「あそこの子ども達は並大抵ではないから、璃々も苦労しているでしょうね」

 

愛紗「あぁ、余計なちょっかいは、身を滅ぼすだろうな」

 

今回の星が良い例だ

 

星「くっ…璃々め。紫苑より愛紗に似てきていないか?」

 

愛紗「ふふ、璃々は賢いから、人の良い所だけを学び、悪い所は見ないようにしてきたのだろう」

 

ただ、あの子は私達のように軍人にはならず、子ども達を導く仕事に就いた。

それはそれで喜ばしい事ではあったが、一人の武人としては少し惜しい気持ちもあった。

璃々は間違いなく、紫苑の技を受け継いでいたからな

 

愛紗「もし、あのまま軍人としての道を進んでいたら、どうなっていただろうな」

 

璃々は数年前まで力を付けるべく軍にいた事がある。

確かあの時は…そう、零士殿の息子である司馬昭隊に居たのだったな

 

紫苑「うーん…きっと璃々なら、間違いなく一騎当千級の武人になっていたでしょうね。

親の贔屓目無しでも、あの子には才能があって、努力も惜しまなかったから。

でも、それでも璃々は保母さんになった。ずっと夢にしていた事だから。

そしてその夢を叶えた。自分で選んだ道を胸を張って歩いている璃々を見ていると、とても誇らしく思えるわ」

 

そう呟く紫苑はとても満足気で、少し涙を溜めていた。

そういう私も、璃々は子どもの頃から見てきたから、あの子の成長を嬉しく思う。

そんなあの子が選んだ道なのだ。

私個人の勝手で『もし』を考える事は、きっと失礼なのだろう

 

 

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星「そういう愛紗の子は最近どうしている?」

 

鈴々と翠の飲み比べを、私は静かに飲みながら見ていると、星が不意にそんな事を尋ねてきた

 

愛紗「関平の事か?」

 

星「あぁ、私はここ最近、成都には居なかったからな。元気か?」

 

私には娘がいる。名は関平。ご主人様との間に出来た子で、今年15になる

 

愛紗「あぁ、言う事はよく聞いてくれるし、武術も政治の勉強にもかなり前向きに取り組んでいる。ただまぁ、相変わらずお父さんっ子だがな」

 

あの子はご主人様が帰ってくると、目に見えて上機嫌になる。

そして見つけるやいなや、まるで子犬のように戯れる

 

星「ふふ、愛紗によく似たのだな」

 

愛紗「それはどういう意味だ?」

 

星「いやなに、昔の愛紗も、同じように尻尾を振っていたからな」

 

愛紗「な!?そ、そんな事はない!」

 

あとニヤニヤするな!

 

星「だが、子どもの方が幾分か素直ではあるがな。

愛紗は素直になれず、遠くから餌を無言で要求する犬の様だったからな」

 

愛紗「誰が犬だ!それに、私は今も昔も素直だ!」

 

そういうと、この場の誰もが慈愛の目で見てきた。

やめろ!そんな春蘭を見るような目で見るんじゃない!

 

零士「こちら、特製カクテルのビーオネストでございます」

 

愛紗「む、頼んでないが…」

 

零士「はい、こちらは私めからのほんのご好意です」

 

愛紗「そ、そうか。では…」

 

あ、美味しい。飲み口はサッパリしていて、ほんのり甘いはずなのに酸味もある

 

 

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鈴々「零士ー!お代わりなのだー!」

 

零士「かしこまりました」

 

鈴々は大皿いっぱいに乗っていた焼きそばをペロリと食べ、お代わりしていた

 

愛紗「鈴々め。だいぶ酔っているな。口調が昔のものに戻っている」

 

鈴々は大酒飲みだが、酔うのも早い。

そして酔ってしまうと、あの時の『なのだ』口調に戻ってしまう

 

鈴々「ん?愛紗ー、いったい何の話をしているのだ?」

 

愛紗「いや、自分の子どもについてな。そういえば、鈴々の子は元気か?」

 

鈴々には今年7歳になる子どもがいる。名は…

 

鈴々「星彩?もちろん元気なのだ!よく食べてよく寝る子なのだ」

 

星彩は昔の鈴々によく似ている。瓜二つと言っても過言ではないほどだ。

鈴々の言う通り、よく食べてよく寝てよく動く。かなりのやんちゃっ子だ

 

鈴々「なんか星彩見てると、昔は私もあんなんだったのかなぁなーんて、思っちゃったりするんだよねー」

 

鈴々はしんみりと言うが、その姿が妙に色っぽいと言うか、急に大人になるなよ…

 

愛紗「星彩はお前にそっくりだぞ。コロコロと表情が変わる所なんて特にな」

 

鈴々「えー!?鈴々はあんなに子どもっぽくないのだ!」

 

今も時々子どもっぽいがな

 

愛紗「あぁ、お前も随分と大人になったものだな」

 

鈴々「当たり前なのだ!鈴々だってあの時に比べてバインバインになったのだ!」

 

鈴々は自分の胸を掴んで揉んで見せた。

いや、確かにそこも成長したが、そういう事を言いたかったわけじゃない。

もっとこう、内面的な意味だったんだがな

 

星「お前たち姉妹は揃いも揃って胸が大きくなったな。

あの時は小さかった鈴々も今では…まぁ、姉二人ほどでないにしろ育ったな。

これも主のおかげか?」

 

愛紗「星!お前は何を言っているんだ!?」

 

星「お前こそ、何を言っているんだ?というか、お前はいつまで経っても初心だな。

もうそんな歳でもないだろう」

 

紫苑「そうねぇ、子どももいるのだから、いつまでも初心だとちょっとねぇ」

 

鈴々「愛紗は相変わらずなのだ」

 

三人のため息に、私は顔が熱くなるのを感じた

 

愛紗「べ、別にいいだろ!迷惑かけているわけじゃないんだから」

 

星「迷惑ではないが、いい大人がそれではどうかと思うぞ」

 

雪蓮「はーい、煮魚の追加よー。なんか面白そうな事話してるわねー。

そういえば愛紗、蓮華と一緒に一刀襲ったって聞いたんだけど。

初心な癖にそういう事はしっかりするのね」

 

雪蓮殿が追加の料理を持ってそんな事を聞いてきたので、思わず酒を吹いてしまった

 

愛紗「な、なぜ知っている!?蓮華か?蓮華が言ったのか!?」

 

雪蓮「さぁ、どうだったかしら」

 

星「ほう?なにやら面白い事をしたみたいだな。これは問い詰めねばなるまいな」

 

紫苑「えぇ。私も最近、ご主人様とはご無沙汰だから、気になるわ」

 

星と紫苑がじりじりと詰め寄り、雪蓮殿はその様子をニヤニヤと見ていた。

クッ…雪蓮殿め。余計な事を…

 

 

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愛紗「はぁ…ところで、今日はずいぶん大人しいな、翠」

 

私は二人からようやく解放され一息つく。その時、一人珍しく静かな翠が気になった

 

翠「あぁいや、ちょっとな」

 

愛紗「ん?どうかしたのか?私でよければ聞くが」

 

翠「んー…なんか、あたしにも子ども居たらなぁって思ってさ」

 

愛紗「あ…」

 

翠の呟きに、私は言葉が出なくなってしまった。

この場にいる5人のうち、ご主人様の子を授かったのは私と鈴々だけだ。

星も翠も紫苑も、子どもには恵まれなかった

 

翠「ま、この悩みを抱えてんのはあたしだけじゃねぇし、子が出来たやつをどうこう言う気はねぇんだけどさ。今日はほら、璃々と鈴々を見て、あぁ、この二人も成長したんだなって思って。それでちょっと、羨ましくなったなんだ。あたしにも子どもが居たら、こうして子どもが育っていく事を嬉しく思うのかなって」

 

星「そうだな、璃々であれだけ嬉しく思ったのだ。自分の子なら、もっと嬉しいだろうな」

 

紫苑「そうねぇ…でも、まだあなた達は子を宿す機会を失ったわけじゃないと思うわ。

私は流石にもう無理だし、璃々がいるから良いけど、星ちゃんと翠ちゃんは諦めるにはまだ早いわよ」

 

翠「そ、そうかな?」

 

鈴々「私もそう思うな。私だって、ほんと最近できたようなものなんだし」

 

星「ふふ、私は最初から諦めてなどいなかったぞ。機会があれば襲うようにしているからな」

 

愛紗「そ、そうなのか?」

 

星「あぁ。零士殿は主がどこにいるかと言う情報を常に掴んでいるからな。

主が居なくなったら零士殿に聞けば一発さ」

 

その零士殿は厨房にて魚を切っている。刺身の準備をしているようだ

 

翠「ちなみに今、ご主人様はどこにいるんだ?」

 

零士「ん?今晩は確か霞ちゃんのところにいるはずだよ。明日は季衣ちゃんのとこかな」

 

愛紗「…ご主人様が一人で過ごす夜はないのか?」

 

零士「よっぽどの事がない限りないかなぁ。いやはや、英雄色を好むとは言うが…

一刀君の手広さにはホントに脱帽だねー。はいこれ、旬の魚の刺身の盛り合わせ。

醤油とわさびも置いとくね」

 

三国に嫁が居るという事も、考え物だな。あの零士殿まで苦笑いとは…

 

翠「お、美味そうだな。つか、なんで零士はご主人様の予定を把握してるんだ?」

 

零士「あぁ、だって僕、一刀君のマネージャーだから。

彼の許昌でのプライベートでの予定を組んだのは僕なんだ。

彼女や一刀君に任せると、偏りが出ちゃうかもしれないだろ?

そこへ僕に白羽の矢が立った。僕なら平等に組んでくれるだろうってね」

 

そう言って、零士殿は再び厨房へ戻っていった。

そうか、今後許昌にいる間は、零士殿を頼ることにしよう

 

 

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雪蓮「はぁ…やっと潰れたわね…零士、在庫どう?」

 

零士「いやぁ、ギリギリだったね。

もう少し遅かったら家から食材持ってこなきゃいけなかった。

なんにしても、明日は臨時休業になっちゃうな」

 

夜もだいぶ深くなる頃、鈴々と翠の大食らいがようやく落ちた。

二人は酒瓶を抱きしめながら眠っている

 

愛紗「すまんな、零士殿、雪蓮殿。ずいぶんと迷惑をかけてしまったな」

 

雪蓮「ほんとよー。店があなた達で貸切だったから良かったものの、今晩は私と零士と二人だけだからきつかったわ」

 

途中までは雪蓮殿の子の蓮鏡や咲夜殿の子の咲希も居たが、先に上がっていたからな

 

星「ところで、今日は何故二人だけなのだ?」

 

雪蓮「うちの旦那様がうっかりをしてねー」

 

零士「ちょっと、手紙を書き忘れて…」

 

零士殿が珍しく視線を逸らした。きっと、触れてはいけないことなのだろう

 

雪蓮「星、紫苑、まだ飲めるかしら?私も付き合っていいかしら?」

 

星「おぉ、雪蓮殿と飲むのは久しいな。どれ、まずは一献…」

 

雪蓮「おっとっと。いやぁ、悪いわね!」

 

紫苑「あら、相変わらず良い飲みっぷりね」

 

雪蓮殿がこちらへ混ざり、飲み始めた

 

愛紗「よ、良いのか零士殿?営業中ではなかったのか?」

 

零士「ん?いいんじゃないかな。もう営業時間過ぎてるし」

 

愛紗「え!?」

 

零士殿発言で、私はこの店に備え付けてあった時計を見た。時刻は2時を過ぎていた。

いや、だいぶ居座っていたとは思っていたが…

 

愛紗「い、いつの間に…零士殿!本当にすまなかった!まさかこんなに時間が過ぎているなんて…」

 

というか、私たちが居た所以外は綺麗に片付いていた。

もう、店を閉める準備は整っていたという事になる。

我々がいつまでもだらだらいたから、いつまで経っても終われなかったのでは…

 

零士「あは、いいって。どのみち明日は休みなんだし。それに、一刀君のお願いでもあったしね」

 

ご主人様のお願い?

 

零士「君たちは気づいてなかったみたいだけど、この店、8時以降から客が来なくなっただろ?あれね、一刀君のお願いで貸切にしたんだ。みんなが楽しめるように、それと僕らの事も気遣ってね」

 

だから、我々が入ったころから、客が居なくなったのか…

 

零士「君たち五虎将が揃うのも、ずいぶん久しぶりだったみたいだね。

7時間も飲み食いしっぱなしの喋りっぱなしだなんて、ホント驚いたよ。

きっと、これも見越して一刀君は貸し切ったんだろうね。

君の旦那さんは確かに嫁が多いけど、その嫁全員の事をしっかり考えているから凄いよね」

 

零士殿はつまみが乗った皿と酒瓶を持って、店の椅子に座って飲み始めた

 

星「おや?零士殿が飲むのも珍しいな」

 

零士「そうかい?雪蓮ちゃんが家に来てからは、よく飲むようになったけど」

 

雪蓮「えへへー、零士こっちきてー、私が注いであげるわ」

 

紫苑「ふふ、かつての小覇王も、好きな人の前では女の子なのね」

 

雪蓮殿は零士殿に抱き着き、とても安心した様子で酒を飲んでいた

 

愛紗「なぁ、零士殿」

 

零士「ん?どうかしたかい?」

 

零士殿は私の方に振り返り、私の目をまっすぐ見つめてきた。

左目は前髪で隠れて見えていないが、右目はしっかり私を捉えている。

全てを見透かすかのような、そんな目だ

 

愛紗「いつも、ご主人様を支えてくれて、ありがとう」

 

零士「ん?一刀君を支えているのは、君たちだろ。僕は何もしていない」

 

愛紗「いや、あなたには大恩がある。17年前も、そして今も。

やはり、同郷の方がいる事で、精神的に救われている気がしている。

ご主人様にとって、あなたの存在はかなり大きい」

 

ご主人様は、困ったことが起こると、まず零士殿に相談する事が多々ある。

ご主人様は零士殿の事を頼れる兄か父のような存在と言っていた。

それと同時に、あまり頼るのは良くないとも…

 

零士「そうかな?まぁでも、君が言うんだから、そうなのかもね。

多分大陸で一番長い時間を彼と過ごした君の言葉なんだから。

その感謝の言葉、謹んで受ける事にするよ」

 

そういうと、零士殿は再び酒を飲み始めた

 

きっと、零士殿にとっては、ご主人様に感謝される事はほんの些細な事。

彼にとって、助ける事は当たり前で、感謝されるような事はしていないと思っているから。

ご主人様と同じく、零士殿も器の大きなお方だ

 

愛紗「あぁ、これからもよろしく頼む」

 

私はそう呟き、零士殿が作ってくれた酒を一口含み、それを飲み干した。

そして星、紫苑、雪蓮殿、零士殿が飲んでいる席へといく事にした

 

星「ほう?愛紗も珍しいな。こちらに付き合うなんて」

 

愛紗「たまには、朝まで飲むのも悪くないだろう。ご主人様も、許してくれるみたいだしな。

さぁ、今度は雪蓮殿の話を聞かせてもらおうか」

 

こうして、私たちの飲み会は朝まで続き、後日皆で頭を痛める事になってしまった

 

 

 

 

 

説明
こんにちは!
Second Generations日常編、愛紗視点
月日が経った蜀の五虎将によるグダグダトーク
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コメント
考え中です。このまま真名無しにしようかなって思うくらい、いい名前が決まりません…(笑)(桐生キラ)
関平の真名は考え中ですか?(ohatiyo)
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真・恋姫†無双 愛紗 鈴々   紫苑 

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