真恋姫無双 舞い降りし剣姫 第四話
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〜鞘華視点〜

 

賊が向っている、その現実にこの場はパニックになっていた

 

「鞘華様」

私は静里の言葉も上の空

目の前状況にいらだっていた

 

(さっきは華陀のおかげで事なきを得た

 でも、今度はそうはいかないのは明白

 また、あの無力感をあじわうの?

 否、ならば私のすることはただひとつ)

 

華陀に治療をしてもらった人の前に行き

「貴方、賊の数は200人位で間違いないのね」

「ああ、その位だと思う」

「方角は」

「ここから北だ」

「あとどれくらいで来ると思う?」

「詳しくはわからねえが早ければ一刻ぐらいだろう」

 

今度は長老に問いかける

「長老、この村に戦える人はどの位?」

「この村には兵士はひとりもおらん」

「兵士じゃなくてもいいの!

 鍬や棒でももって戦える人なら何人いるの?」

「それなら300人位は」

 

「よし、乗り越えられる」

私の言葉にその場の全員が一瞬声を失う

 

「どうすれば乗り越えられるんだ」

縋るように一人の村人が聞いてくる

「単純、戦えばいいのよ!」

 

「無理だ」

「勝てるわけがない」

次々と否定の言葉が上がる

「大丈夫!

 数ならこちらが勝っている

 そして、実際に当たる時には賊一人に二人であたるようにすればいい」

 

「たしかに、それなら」

少し希望が見えてきたとの声が上がり始める

ここで、私は宣言する

 

「更に、〈天の御遣い〉である私が味方する」

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〜静里視点〜

 

鞘華様は〈天の御遣い〉ではないとおっしゃっていました

今の言葉は皆を鼓舞するためのものでしょう

ならば私がすべきことは

「鞘華様、

 賊は勢いに任せてやってくるでしょう

 それを一瞬でも止める必要があります」

私の言葉に一瞬驚いた顔をしましたがすぐに、微笑んで

「その役目は私が一人でするわ」

 

「解りました

 ならば村で戦える人は北に集まってください

 鍬や棒など武器になるものを忘れずに

 更に、皆さんは家屋などに隠れていたください

 そこでまず、鞘華様が一人で敵に向かっていきます

 一人で向って来れば賊の目は全て鞘華様に集中します

 その時、合図をしたら皆さんが突撃をする

 その際は鞘華様の言ったように賊一人に二人で掛かるように

 鞘華様、これでいかがです」

「文句なしよ、静里」

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〜鞘華視点〜

 

準備を終え、まもなく賊が向ってきた

 

「金目のものと、食料は全て奪え」

「男は殺せ

 女は攫って、楽しんだ後売り払え」

 

私はスカーフで髪を後ろに束ねる(ポニーテールにする)

そして、日本刀『朱雀』を抜き賊に向かってゆっくりと歩いて行く

 

「何だ、あの女

 お、いい女じゃねいか

 俺がもらった」

「誰がアンタみたいな屑にもらわれてやるもんか」

私は日本刀『朱雀』で賊の首を斬り落とした

 

初めて人を斬った

初めて人を殺した

 

村の人を守る為、賊を斬らなければ多くの人が賊の犠牲になる

そんな理由で賊を切り殺した

 

向ってくる賊を次々斬り捨てていく

その度に心が軋む

だがやめるわけにはいかない

 

賊は四方八方から向ってくる

だが、修行で修羅場を潜ってきた私には対処可能

 

ジャーン、ジャーン

 

銅鑼の音とともに隠れていた村に人達が突撃していった

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結果としては大勝利と言える

だがこちらにも、死傷者は出た

 

「ありがとうございます、御使い様」

長老の言葉にも私の心は晴れない

 

長老に少し疲れたといって長老の家の一室に入る

静里もすぐにやってきた

「静里、今のこの世の中ではこんな事が多発しているの」

「はい、賊に村が襲われる事は珍しくありません」

静里の言葉に私の心は固まる

「静里、私は〈天の御遣い〉になるわ」

 

「私の予想では間もなく大きな乱が来るわ

 その後は、戦乱の世となる

 私が〈天の御使い〉の名と行動でその戦乱の世を少しでも早く終わらせる

 そうして多くの人々を救いたい

 無論、全ての人を救える訳じゃない

 でも、一日戦乱が長引けば何百の人が苦しむ

 それを私は防ぎたい」

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〜静里視点〜

 

ついに見つけました

 

私の全てをささげるべき方を

 

一命を賭けて仕える主君を

 

「鞘華様、

 その大望を実現するためにこの徐庶元直、真名 静里の力いかようにもお使いください」

「ありがとう、

 そして、よろしくね、静里」

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〜鞘華視点〜

 

決意を語り、改めて絆を深めた私達は取り敢えず怪我人の治療のため広場に戻った

が、忘れていた

あの人のことを

 

「ゴッドヴェイドー、元気になあれ」

 

「治療に私達、要らないよね」

「ははは・・・」

 

その日は長老の家に泊めてもらえた

長老曰く

「御遣い様を泊める、あの世へのいい土産話ができました」

とのこと

こうして私の忙しい一日は終わった

眠りに落ちるとき願う

「明日は平穏な日でありますように」

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〜あとがき〜

 

これで一区切り付きました

 

原作の一刀は強制されて〈天の御遣い〉をなのっていますが

鞘華は自発的に名乗りました

 

この違い、読んでくれた方に伝わったかどうか、不安です

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
今回は予告通り少しシリアスで
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