紫閃の軌跡
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自由行動日……それぞれの思いを抱きつつ、その一日は始まり、一日が終わる。

 

第三学生寮の食事は基本的に当番制。貴族クラスの生徒が暮らす第一学生寮だとメイドさんが食事を作っていたりするそうだが、こちらはそうも言っていられない。なので、各自それぞれの得意分野での料理を振る舞うのだが、その中で一番得意としているのがルドガー。

 

何せ、あの『結社』の連中の胃袋管理を一手に引き受けているようなものであり、使徒の食事関係はルドガーに一任されている。その関係もあってか『使徒』としての仕事も見届け役に収まっている。これがあの盟主の配慮ということには些か納得できない……いつも妄言に近い言葉をぶつけられるルドガーにしてみれば、オリヴァルト皇子からのトールズ士官学院行きという話は天啓に近かった。

 

そもそも、何故ルドガーに話が通じていたのか……それは、“剣帝”レオンハルト・メルティヴェルスとの関わりであった。昨年、ちょっとした用事でパルムに足を運んだ際、

 

『ん?』

『おや?』

『……珍しい組み合わせだな。』

 

ルドガー、オリヴァルト皇子、レーヴェの三人がバッタリと出くわしたのだ。ルドガーは買い出しの関係で、オリヴァルト皇子は表敬訪問の一環で、レーヴェは王国軍の訓練の関係。その一期一会があって、ルドガーにもその話が来たのだ。

 

『というわけで、トールズ士官学院に行きます。』

『頼む旦那、それだけは考え直してくれ!!』

『―――“深淵”殿。』

『奇遇ね、“鋼”殿。』

『三十六計逃げるに如かず』

『あ、こらっ!!』

 

その話は盟主にしか話していないのに、なぜか“深淵”と“鋼”に伝わっていた。元凶は盟主しかありえなかった……いつか腹パンしたい。執行者現No.T“劫炎”のマクバーンには必死に止められたが、自らの貞操の危機を鑑みた場合……必死に逃げた。Sクラ30発ぶちかまして倒れないって、“鋼”に磨きが掛かってませんかねぇ!?……盟主から“深淵”と“鋼”に認識されないアイテムを貰い、逃げ切った。

そして、今に至る。

 

「だが、あの二人の事だ……絶対に探し出してくる。」

「苦労してるな…凜としていれば普通の美人なんだが…はい、緑茶。」

「美味しい……茶葉、よくあったな。」

「ユン師匠の伝手で。あと裏絡み。」

 

アスベルが出した緑茶に舌鼓を打つルドガー……自由行動日は、アスベルとルドガーはトリスタの外で情報収集に励んでいた。それが終わり、夕食後にアスベルの部屋で一服することにした。

 

「その一端は一昨年も経験しているが、そんなにひどいのか?」

「酷いときなんて、二人部屋のペア争いで名もなき山が十数個消えた……後始末が大変だったよ。」

 

『譲りなさいよ“鋼”!!』

『そちらこそ譲るべきです“深淵”!!』

『どうする、コレ?盟主には報告しておくけれど。』

『おい馬鹿やめろ。』

 

「………(それはひどい)」

 

魔術による『詭道』と武術による『王道』……その一端からすれば、自分の置かれている環境など優しいのだとアスベルは思った。すると、扉がノックされてアスベルは入室を促すと、そこにはリィンの姿があった。

 

「おや、リィン。どうかしたか?」

「ああ。何だか懐かしい香りがしたんだが……ひょっとして、それは緑茶か?」

「当たり。折角だからリィンも飲むか?」

「それじゃ、お言葉に甘えて。」

 

アスベル、ルドガー、リィンによるお茶会……話は、先月オリエンテーリングで行った建物―――旧校舎の話になった。どうやら、オリエンテーリングの時とは建物の構造が大きく変わっており、階層の終点で強力な魔物と対峙し、これを退けたそうだ。実戦経験が未だ乏しいエリオット、ノルドの槍術を扱うガイウス、そしてリィンの三人でだ。

 

「にしても、建物の構造自体が変わることなんてあるのか?」

「物理の概念からすればないんだろうが……それが通用しない代物はリィンだって体験してるだろ?」

「……あの空中都市のことか………あ、ラジオなんてあるんだ。」

 

寧ろ『そういった類』の説明以外に説明しようがない。ふと、リィンが棚の上に置かれた導力ラジオに気付く。

 

「まぁな。今のところは音楽ぐらいしか聞かないけれど……何か聞きたい番組でもあるのか?」

「実は、今日から新しい番組が始まるらしい。」

「へぇ〜………(あれ?何か忘れているような……)」

 

特に困ることでもないので、トリスタ放送の周波数に合わせる。そして、午後9時になり、ラジオから第一声が放たれた瞬間、

 

『リスナーの皆様、こんばんは。っと、はじめましてになりますね。パーソナリティーを務めるミスティです。』

「!?」

「へぇ、綺麗な声の人だな。」

「………(あ、そういえば……)」

 

その声を聞いて脊髄反射の如く身がビクッとなったルドガー、ラジオに聞き入るリィン、そしてルドガーの様子に気づいたアスベルがその事情をそれとなく察した。

 

『この番組は“アーベントタイム”……ゆうべの時間という番組です。ベタですが、何事も形から入るということで。この番組では季節の話題をお届けしていこうという趣旨です。リスナーの皆さんからのお手紙をたくさんお待ちしております。』

 

「(そうだった……何やってるんだよ“深淵”……)」

「(……もしもの時は、手伝うよ)」

「(その優しさが辛いわぁ……)」

 

その出来事の外側と内側では実際に受ける衝撃が違う……特に、彼女の被害を被っているルドガーにとっては、苦労という二文字が常に付きまとうようであった。

 

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プレイ自体はルーレ寄港まで終わりましたが……機甲兵でステゴロ展開は読めなんだ……というか、ゼロ・インパクトを機甲兵で再現しちゃうって……あ、そっか。アンゼリカだからか(何)一番驚いたのはニコラス部長。サバイバル能力パネェっす。

 

後は、四大名門も一枚岩ではないというところも感じました。まぁ、カイエン公爵は見た感じがそのままボイスに反映されたような感じで腹筋崩壊してました。アルバレア公爵は……うん……救いは無いね(断言)

説明
第9話 神羅の苦労性
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コメント
白の牙様 感想ありがとうございます……って、犠牲になった山の数が増えてるー!?(十数個→数十個) まぁ、後片付けはつつがなく行われました。 その勝者は……多分ルドガー(ぇ)(kelvin)
二人部屋を決めるだけの戦いで山数十個って、環境破壊しすぎでしょうお二人さん!?追伸、結局誰が勝ったんですか?(白の牙)
THIS様 だいたいカンパネルラとブルブランのせいです。あんなキャラの濃すぎる悪役を簡単に退場させるなんて面白くありませんしねwルドガーLOVEに舵を切った結果がこれですw(kelvin)
ジン様 Uの幕間を見てて、クロウとヴィータはカップリングというより割り切ったパートナーという感じがしました。面白いことはやる。ルドガーも追いかける。両方やってのけそうなのが私の書いているヴィータですね。(kelvin)
感想ありがとうございます。 ジン様 リィンの辺りはどうするか考え中ですが、現時点では中伝〜奧伝あたりということで進めてます。そうしないとアスベル2号状態になりかねないので。シオンの騎神は使います(断言)ただし、ちょっと設定弄ります。(kelvin)
あとはクロウ×ヴィータフラグが消えたことによって本編にどんな影響を与えるかですかね?なんかこのヴィータはクロウを導くくらいならルドガーのこと追ってそうだし^^;(ジン)
どんどん結社の使徒や執行者たちがギャグキャラになっていく・・・。もう止まらないぞWWとくに深淵と鋼が!!(THIS)
そう言えばリィンはもう終ノ太刀「暁」を使えるんですよね?あとはシオンの騎神どうするの?そしてなんかもうそろそろヴィータに捕捉されそうだなルドガー^^;(ジン)
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閃の軌跡 神様転生要素あり ご都合主義あり オリキャラ多数 

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