真・恋姫†無双 外史 〜天の御遣い伝説(side呂布軍)〜 第五十回 拠点フェイズ:鳳統@・本屋街ところによって一時俄かパピオンにご注意を(中篇)
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??「ふむ、およそ2年ぶりといったところか。凄まじい復興の速さだな」

 

 

 

人々の活気に満ち溢れた城下町を屋根の上から眺めながら、とある女はそのような独り言を漏らしていた。

 

 

 

??「さて、あの女たらしの英雄殿はどうなったことやら。ふふ、まぁ、あの性質は死んでも治らんか」

 

 

 

白を基調にした振袖に、スカイブルーの長い髪を後ろで一つに束ねたその女は、

 

何か面白い光景でも思い浮かべてしまったのか、ニヤニヤと不敵な笑みを作りながら、屋根から屋根へと飛び移っていく。

 

 

 

??「とにかく、わざわざ成都までやって来たんだ。仕事よりもまずは、私の布教の成果を実感せねば始まらんな。近代稀にみる至高の

 

一品を提供する、例の店に寄ってからでも罰は当たるまい」

 

 

 

そのように独り言ちながらヨダレをたらしかけたその女は、かろうじて拭い、

 

移動速度を速め、一直線に『麻婆伯伯』へと向かっていった。

 

 

 

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【益州、成都・城下本屋街】

 

 

鳳統「あわわ〜大きな市場です〜」

 

 

 

鳳統は目の前に広がる、たくさんの書籍を並べる複数の書店の数々に驚嘆の声を漏らした。

 

 

 

北郷「ああ、この辺りはいろんな書店がひしめき合ってるからね。学問から教養、娯楽、専門書に至るまで、それぞれの書店が他の書店

 

より売ろうと自身の色を前面に出してお互い競い合って、そのおかげで人が書店間を梯子するようになるからさらに賑わって、人が人を

 

呼んで、結果これだけ書店が集まってもお互い潰しあいすることなく繁盛しているのさ」

 

 

鳳統「つまり、人々に本を購入するだけの余裕が生まれているということですね」

 

北郷「ああ、今年の春が予想以上に豊作だったからな」

 

 

 

去年の冬の見通しでは、今年の秋の収穫期で十分な食料高を確保できるとのことであったが、

 

今年の春の収穫高が予想以上に多く、結果、人々が食料以外のものに手を出す余裕が生まれたのであった。

 

 

 

鳳統「あ、あの〜・・・」

 

 

 

鳳統はうずうずといった様子で北郷の方を上目づかいに見上げてきた。

 

 

 

北郷「うん、思う存分見てきなよ」

 

 

 

当然鳳統の意図するところをくみ取った北郷は、フード越しにニッと微笑んで鳳統に行くよう促した。

 

 

 

鳳統「は、はいです!」

 

 

 

北郷のナチュラルスマイルを受けた鳳統は、ぱぁっと笑顔になると、てててと店を回り始めた。

 

北郷もまた、折角なので鳳統とはまた別の店をのぞいてみることにした。

 

 

 

北郷「(うーん、この前ねねに政務関係の本は選んでもらったし、娯楽本か教養本でも探すかな)」

 

 

 

北郷はそのようなことをつぶやきつつ、ブラブラしながらそれっぽいジャンルを扱っていそうな店へと足を運んだ。

 

まず向かったのは娯楽本を主に扱っている店である。

 

 

 

北郷「(おぉ、この世界にもやっぱり薄い本とかあるんだなぁ)」

 

 

 

などと呟きながら、試しに北郷は一つ二つ手にとってみた。

 

しかし、イマイチ北郷の琴線に触れるものは見つからず、今度は場所を変えて、教養本を主として扱う店へと向かった。

 

そして何か面白そうなものはと適当にブラブラと眺めていた北郷であったが、

 

しかしその時、北郷の目にどうしても看過するわけにはいかないものが飛び込んできた。

 

 

 

北郷「こ、これは・・・!!」

 

 

 

北郷の視線を奪ったその本のタイトルは『房中術指南書 中級』なるものであった。

 

その刹那、北郷はものすごい勢いで左右を確認し始めた。

 

怪しいことこの上ないこの行動の末、近くに人がおらず、注目される恐れがないと判断した北郷は、

 

これまたものすごい勢い、そしてスピードでその問題の一冊を手に取った。

 

表紙は無地であり、そこから内容を想像することはできないようになっているようである。

 

 

 

北郷「(初級と上級がなくてなぜ中級だけがとかそんなことは置いといて、なぜこんな本がこんな誰でもとれるような場所に堂々と置いて

 

あるんだ!もし子供が間違ってとったらどうするんだ!まったくけしからん、けしからんぞっ!!)」

 

 

 

と、未だ挙動不審に左右をきょろきょろ見ながら、誰に対して文句を言うでもなく呟く怪しいことこの上ないフードマン北郷。

 

 

 

北郷「(でも、もしかしたら名前がアレなだけで全然関係ない本かもしれないよな!これは一度有害図書か否か、確かめてみる必要がある

 

よな!君主として!そう、君主として!!未来ある子供たちに悪影響を与えまいとする崇高なる意思に基づく調査をせねばっ!!)」

 

 

 

などと言い訳がましい独り言を滔々と述べながら、北郷はページをめくった。

 

北郷の目に飛び込んできたのは、やはりというかいうか予定通りというか、タイトル通りそれっぽい挿絵であったのだが、

 

そこで北郷は天地がひっくり返ったかに思えるほどの衝撃的事実を発見してしまった。

 

 

 

北郷「なっ・・・よ、読めない・・・だと・・・!?ば、馬鹿な!!今までこの世界で言語に関して不自由したことは一度もなかったから

 

てっきり翻譯蒟蒻的な暗黙のルールがまかり通っているものとばかり思っていたのにっ!!これじゃあ指南を受けたくても受けられない

 

じゃないかっ!!なぜだ、オレがいったい何をしたっていうんだぁああああっっ!!」

 

 

 

あまりの理不尽な?事実を突き付けられ、もはや周りのことなど気にせず思わず叫んでしまっていた不審成都領主であったが、

 

 

 

北郷「(いや待て、落ち着け北郷一刀。こんな時こそ天が人に与え賜うたイマジネーションをフル稼働させてこの挿絵からだけでも・・・

 

いや、さすがにちょっと厳しいか・・・でもこれを・・・いや、これはないか・・・いや、うーん・・・)」

 

 

 

と、天などという存在に会ったこともない自称天の御遣いが、天が人に与え云々と嘯きながら、

 

あきらめ悪く煩悩まみれの益体もないことに思考を巡らして再びぶつぶつとつぶやき始めた。

 

しかしその時、

 

 

 

鳳統「ご主人様?どうかされたのですか?」

 

 

 

北郷の情緒不安定な振る舞いは、さすがに別の店に行っていた鳳統のところにも聞こえており、心配になった鳳統がやってきたのだ。

 

そしてその刹那、北郷の反応はあり得ないほどの速度を実現させた。

 

鳳統が声をかけたその瞬間、即座に手にしていた有害図書をもとにあった場所に戻し、

 

代わりに隣にあった『新麺碼通読 巻三』なるものをつかんだのであった。

 

その時間僅か零コンマ2秒。

 

 

 

北郷「いや!こんな本買う人なんているのかなって思ってさ!ははは!」

 

 

 

北郷の苦し紛れの説明に鳳統は不思議そうな顔をしていたが、鳳統は特段それ以上追及しようとも思わなかったため、

 

北郷は辛くも窮地を脱することに成功したのであった。

 

一方鳳統は目的を果たしたようで、両手で購入したであろう本を大事そうに抱えている。

 

 

 

北郷(おぉ、百科事典並みに重量感たっぷりのハードカバー、さすが軍―――ん?いや、よく見ると薄い本が何冊も重なってるのか?)

 

 

 

鳳統がとても大事そう(というよりむしろ隠しているようにも見える)に抱えていることからも、

 

北郷はその内容に非常に興味を抱いてしまい、本人に聞いてみることにした。

 

 

 

北郷「雛里はどんな本を買ったんだ?」

 

鳳統「あわわ!え、えーと、あのー・・・」

 

 

 

鳳統は北郷に尋ねられるや否やビクンと一度震え上がったかと思うと、モゴモゴと答えに窮してしまった。

 

 

 

北郷「あれ?悪い、聞いたらマズかったか?別に言いたくなかったら無理して言わなくても―――」

 

 

 

しかし、その北郷の言葉は逆に鳳統を追い詰める形となってしまったようで、

 

 

 

鳳統「ぃ、ぃぇ・・・その・・・攻めたり・・・・・・受けたり・・・・・・・・・ぁゎゎ・・・」

 

 

 

鳳統は目をぐるぐる回しながら、湯気が出そうなほど顔を真っ赤にさせ、蚊の鳴くような小さな声でその内容の一部を答えた。

 

 

 

北郷「へぇ、(攻めたり受けたり、兵術書か何かかな?)うん、文量じゃなく薄くても内容を重視、しかも複数冊購入することで量をも

 

カバーするとは、さすがだな!」

 

 

鳳統「あわわっ!?ふみゅぅ〜〜〜・・・」

 

 

 

北郷が真面目に誤解していることに気づかない鳳統は、それでも北郷の発言はまさに図星であったため、

 

ボッという音とともに沸騰してしまい、両手で帽子のつばをぎゅっと握って完全に俯いてしまった。

 

あれ、褒められるのが恥ずかしいのかな?などと思いながら、

 

北郷はなんとか鳳統を通常状態に戻す方法はないものかと一瞬考え、そして、鳳統の頭にポンと手を置くと、

 

 

 

北郷「そうだ!今度オレにもそういうジャンル―――ええと、系統の本について教えてくれよ!やっぱオレも男としてそういう攻めたり

 

受けたりっていう知識とか持っといた方ができる奴って感じがするし!」

 

 

鳳統「あわわ!!??え、ええええええ――――――!?」

 

 

 

北郷は、自分が好きなものを人に教えるという喜びなら、鳳統の恥ずかしさも紛れるのではと思っての発言であったが、

 

鳳統はかなり驚いているというか混乱していた。

 

 

 

北郷「いやほら、ねねとかも詳しいんだろうけど、こういうのっていろんな人から聞いた方がいろんな考えがあるってわかっていいだろ?

 

けっこう好みとかで個性出ると思うし。だから法正とかにも聞きたいんだけど、なかなか機会が見つからないしな」

 

 

鳳統「ね、ねねちゃんも詳しいんですk―――あわわ!?ほ、ほほほほほほほほ法正さん!?」

 

 

 

北郷の口から法正という言葉が発せられたのを聞いた瞬間、鳳統は声を震わせわななきながら混乱の度合いを一気に加速させた。

 

 

 

北郷「うん、だって法正って、この道の専門家だろ?っていうか一番詳しそうだし、是非とも詳しく話を聞きたいもんなんだけどなぁ」

 

 

 

その瞬間、

 

 

 

鳳統「あわわあわわあわわあわわあわわあわわあわあわあわわわわああわわあわああわわわあわわわああわあわわあわわあわわ―――」

 

 

 

鳳統が壊れた。

 

 

 

北郷「だから、雛里からも是非詳しい話―――って、ひ、雛里?お、おーい・・・」

 

鳳統「あ、あわわ!?わ、わかれまちた!こ、今度ねねちゃんと法正さんもよよ呼んで、みみ皆さんとい、いい一緒に語らみゃぴゃ!?」

 

 

 

北郷の呼びかけに、なんとか我に返った鳳統は、未だ口を戦慄かせ、

 

噛み噛みながら蒸気をモクモクと立ち込めさせている真っ赤な顔で北郷の申し出を了承した。

 

この後、鳳統は自身が色々とんでもなく恥ずかしい誤解をしていたことに気づき、

 

部屋からしばらく出てこなくなるという軽い事件が発生することになるのだが、それはまだ先の話である。

 

 

 

北郷「それじゃあ買い物も済んだし、せっかくだからこのまま部屋まで送るよ」

 

鳳統「あ、ありがとうございます」

 

 

 

再び差し出された北郷の手を、鳳統は恐る恐るといった様子でつかむ。

 

鳳統の用事も済み、双方認識の異なる約束も交わし、

 

後は陳宮に仕事をさぼっていることがばれていないことを祈るだけの北郷であったが、しかしその時、事件が起こった。

 

 

 

店主「ぬ、盗人だ!誰かあいつを捕まえてくれ!!」

 

 

 

どうやら別の店が泥棒の被害にあったらしく、何事かと見てみると、唐草模様の手拭いで頬被りをした、

 

いかにも私が盗人ですと主張している人物が大量の本を抱えて道を駆け抜けていた。

 

そのまま、北郷たちの方へ走って来る。

 

 

 

盗人「邪魔だ邪魔だ!どきやがれっ!」

 

鳳統「御主人様・・・!」

 

北郷「ああ、雛里、ちょっと下がっててくれ」

 

 

 

北郷は手で横に立っていた鳳統を後ろにいざなった。

 

手元にはいつもの愛刀はない。

 

 

 

盗人「どけって言ってんだろがっ!」

 

 

 

すると、北郷の反抗的な姿勢を見た盗人は、懐から幅広の中華包丁を取り出した。

 

 

 

北郷「くっ・・・」

 

 

 

北郷は盗人が刃物を所持していたのを確認すると、こめかみあたりに嫌な汗を感じつつ、重心を落として臨戦態勢に入った。

 

そして、盗人は形振り構わず突っ込んで切りかかってきた。

 

周囲のやじ馬たちから悲鳴が漏れる。

 

しかしそのような喧騒の中、北郷は一瞬の静寂を感じていた。

 

それほどの集中状態。

 

まさに日頃、張遼や高順、魏延や厳顔といった猛将たちから激しくしごかれた結果生まれたものであった。

 

そして、盗人が振るった包丁を、身を横に退いてかわすと、北郷は足を突き出し、盗人の足をひっかけ転ばせた。

 

勢いに任せて突っ込んできていた盗人は、当然踏ん張ること叶わず、そのままの勢いで見事なヘッドスライディングを決めた。

 

盗人の手から包丁が転がり落ち、腕から、盗んだ本がばらまかれる。

 

その無地の表紙と本の薄さから、先ほど北郷が手にしていた有害図書のシリーズと思われた。

 

 

 

北郷(あーあ、っていうかいちにーさん・・・8冊だと?あのシリーズ初級中級上級だけじゃなかったのか・・・)

 

盗人「っぶ、へ、へべぇっ!!」

 

 

 

鼻を思い切り地面ですったせいか、頬被りがはずれ、中から熊髭のおっさんの顔があらわになった。

 

そして、真っ赤になった鼻を押さえつつ逆上した盗人は、今度は懐から、なんと弓を取り出してきた。

 

 

 

北郷「なっ!?やばっ―――!」

 

 

 

北郷が警戒の声を上げる間もなく、盗人は躊躇なく矢を放った。

 

 

 

盗人「死ねえぇぇぇっっ!!」

 

 

 

そして、盗人の叫びと共に放たれた矢は、興奮していたせいか、北郷の方から大きく外れ、運悪く鳳統の方へと飛んで行った。

 

 

 

鳳統「あわっ!?」

北郷「雛里!!」

 

 

 

気づいた時にはもう体が動いていた、というのは北郷の後日談。

 

矢が放たれたその刹那、北郷は鳳統と矢の間に盾になるように入り込み、鳳統を抱くようにして守ったのであった。

 

その勢いで、かぶっていたフードが脱げる。

 

 

 

鳳統「ご、御主人様!!」

 

 

 

普段から狩りなどで弓を使っているのか、その威力は本物であった。

 

結果、盗人の放った矢は、無情にも北郷の背中に刺さった。

 

 

 

―――その場の誰もがそう思った。

 

 

 

しかし、カキンッという矢じりがなにか固いものにぶつかる音がしたかと思うと、矢が北郷に命中する前に叩き落された。

 

そして少し遅れて、矢が撃ち落とされた原因であろう石つぶてが転がる。

 

 

 

盗人「な、何だ!?」

 

??「はーはっはっはっは!はーはっはっはっは!」

 

 

 

盗人の動揺の声にこたえたのは、どこからともなく聞こえてきた謎の高笑いであった。

 

 

 

盗人「くそっ、誰だか知らねぇが邪魔しやがって・・・何なんだ・・・いったい何なんだ!?」

 

??「何だかんだと聞かれたら、答えてあげるが世の情け!」

 

 

 

なぜかどこぞのお決まりの定型句による掛け合いが行われたのち、

 

チャ〜ンチャ〜ンチャ〜ンチャ〜ンチャンチャンチャ〜ンチャ〜ンチャ〜〜〜ンと、

 

脳内にヒーローソング風の軽快な音楽が流れ込んでくる錯覚に北郷は襲われていた。

 

 

 

??「可憐な花に誘われて、美々しき蝶が今、舞い降りる!我が名は華蝶仮面!混乱の都に美と愛をもたらす、正義の化身なり!」

 

北郷「(パ、パピオン!?)」

 

 

 

北郷は謎の声がする方を見てまず思い浮かんだ感想がそれであった。

 

謎の声の主は、近くにあった家の屋根の上で、腕を組んで胸を張り、堂々と立っている。

 

白を基調にした振袖を身に着け、アゲハチョウを模したパピオンマスクを顔に装着したその人物は、

 

いかにも胡散臭い、怪しさを前面に出した異質な存在であった。

 

 

 

盗人「何だてめぇ!ふざけた仮面つけやがって!降りてきやがれこの野郎!」

 

華蝶「ふん、この美々しき仮面を理解できぬとは、無粋な輩だ」

 

 

 

盗人の罵声を鼻で笑って一蹴すると、トウッというヒーローっぽい掛け声と共に、

 

華蝶仮面と名乗る謎のパピオンマスクが、言われた通り屋根から飛び降りてきた。

 

 

 

華蝶「か弱き華を散らさんとする無粋な悪の蓮華よ。この美と正義の使者、華蝶仮面が成敗してくれる!」

 

盗人「舐めやがってこの変態野郎!てめぇが死―――!」

 

 

 

いちいち芝居がかった話し方をする華蝶仮面にイライラが爆発し、襲撃せんと動き出そうとした盗人であったが、

 

しかし、それ以上盗人は動くことはおろか、華蝶仮面に罵声を浴びせることさえできなかった。

 

華蝶仮面が盗人に突き付けたのは、あまりにも場違いな、本格的な直刀槍であった。

 

その鋭い刃が、盗人の眼前にさらされている。

 

 

 

華蝶「さあ、神妙にお縄に着くがいい!」

 

 

 

そのまま、盗人は何もできず、ついに観念したのか、その場にうなだれてしまった。

 

すると、

 

 

 

張遼「なんやなんやッ!何の騒ぎやッ!?」

 

 

 

今週の警邏担当である張遼隊が(成都では基本、武将たちが週替わりで城下の警邏を担当することになっている)、騒ぎを聞きつけたのか、

 

あるいは誰かが通報したのか、とにかく民衆が騒めく中でも十分聞こえるような大きな声で現場へと駆けつけてきた。

 

さらに、

 

 

 

民A「あれ?あの人ってもしかして領主様じゃ・・・」

 

民B「え?そんなまさか・・・」

 

 

 

何人かの民衆がフードの脱げた北郷のことに気づき始めていた。

 

 

 

北郷「(霞か。それにフードが脱げて何人かは気づいちゃったかもしれないか・・・まずいな、これじゃサボってることが―――いやいや

 

サボってるわけじゃないしッ!)雛里、ここに残ってたら色々ややこしそうだ。霞も来てくれたことだし、後のことは任せてとりあえず

 

この場を離れるぞ!」

 

 

鳳統「え・・・?ですが、霞さんに現場の詳しい状況などを説明―――」

 

北郷「イクゾッ!」

 

鳳統「あわわ!?」

 

 

 

すると、北郷は鳳統の小さな手をつかむと、一目散に移動を開始した。

 

この北郷の君主としてあるまじき、後ろめたい私情を挟みまくった判断によって、

 

二人は張遼が現場にたどり着く前に、気づかれることなくその場から離れることに成功したのであった。

 

 

 

【第五十回 拠点フェイズ:鳳統@・本屋街ところによって一時俄かパピオンにご注意を(中篇) 終】

 

 

 

-3ページ-

 

 

 

あとがき

 

 

第五十回終了しましたがいかがだったでしょうか。

 

雛里ちゃんといえばどうも今回のようなネタが真っ先に思いついてしまうのですが、

 

実際一刀君ちんきゅー法正君を交えて(誤解したまま)語り合わせたらどうなるのか、

 

それはそれで楽しそうな気はするんですけど、間違いなくカオスな状況になるでしょうね 笑

 

まぁ実現させるには私の知識が甚だしく不足してるので今の段階では話が成立しないわけなのですが 笑

 

 

ところで、実はパピオンさん2年前にも成都を訪れているのですが、

 

もし2年前の話の段階でお気づきの方いらっしゃったあなたはエスパーといえるでしょう 笑

 

(一応伏線っぽいのはあったんですけどね、、、汗)

 

もちろんこれで退場ではないので後篇でも絡みに期待です。

 

 

さて、気づけば節目の五十回突破となったわけですが、

 

ひそかに目標としている百回突破は、単純計算でもあと2年ほどもかかるという、、、

 

ネタ的にはだらだら進行しているので大丈夫そうですが、果たして蒸発せず続くのか、

 

そして何より今までお読みいただいている方々に最後までお話をお見せできるのか、、、笑

 

それでも気長に待つぜという方もそうでない方も今後ともどうもよろしくお願いします。

 

 

それではまた次回お会いしましょう!

 

説明
みなさんどうもお久しぶりです!初めましてな方はどうも初めまして!

最近0時投稿が出来ていない遅刻魔stsでございます。

今回も前回に引き続き雛里ちゃんの拠点です。「中篇」なので次回まで続きます。

前回の流れ上誰が見ても本屋デートな予感ですが、パピオンとはいったい、、、!


それでは我が拙稿の極み、とくと御覧あれ・・・

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コメント
黒乃真白様  この世界では一刀君は普通の書物なら普通に読んでいます。にもかかわらずこの指南書は読めないから馬鹿なと頭を抱えているのです。あえて何語か想像するなら理解不能な俗語で書かれているとかでしょう(sts)
はぁ?どういうこと?一刀は呉ルートでは二週間で簡単な読み書きできた上にここでは2年も経ってるのに読めないって何語で書かれてるの指南書・・・(黒乃真白)
>naku様  成都に限らず痴女が蔓延るのが恋姫世界のステータスですねw(sts)
>くつろぎすと様  自業自得とはいえ辛すぎますねw(sts)
エロ本を大量に盗んで挙句捕まるとか……おっさん…ナム(ー人ー)(くつろぎすと)
>D8様  弓矢やきっと懐に入るようなコンパクトサイズだったか、或は盗人の懐というのは掏ったものを何でも収納できるよう須らく四次元空間になっているに違いありません 汗(sts)
>神木ヒカリ様  キョドるから怪しまれる。でも公務中に堂々とされても困りますけどねw(sts)
>白黒様  言われてみれば確かに基本薄い本しかないですよねwまぁ一刀君はそのことを知らなかったということでw(sts)
>nao様  まったくもってw(sts)
カチョウカメンってダレナンダー・・・?さり気にメンマ本を持っていくとは流石だぜ一刀さん!!懐にどうやって弓と矢なんてもっていた・・!(D8)
一刀よ堂々としていれば返ってばれないぞ。(神木ヒカリ)
一刀w歴史書以外はほぼ薄い本だよ。むしろ曹操が超大手サークルをつくってるし。そして通常営業の雛里と一刀からのアンジャッシュ臭w(白黒)
けしからん、けしからんぞって本当にけしからんのは一刀だろw(nao)
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