英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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12月5日―――――

 

前日の休息日でしっかりと疲れを癒したリィン達は男爵邸の前で集合していた。

 

〜温泉郷ユミル〜

 

「さてと……それじゃあ出発だね。今回も騎神の力を借りていくんだよね?」

「ああ、”精霊の道”を使おう。騎神の霊力もそろそろ復活しているはずだ。」

「一日たっぷり休んだし大丈夫なはずよ。アンタたちも疲れなんか残してないでしょうね?」

「ん、バッチグー。」

「はい。温泉で疲れを癒す事もできましたから、むしろ身体が軽いくらいですわ。」

「うっ…………」

セリーヌの問いかけにフィーと共に答えたセレーネの答えを聞いた瞬間休息日に男湯でセレーネとした情事を思い出したリィンは思わず表情を引き攣らせた。

 

「おかげさまで万全だ。って、そういえばトヴァルさんたちは?」

「確か朝早くにお出かけになっていたようですが。」

トヴァルとクレア大尉がいない事に気付いたマキアスの問いかけにルシア夫人が答えたその時

「悪い、遅刻したみたいだな。」

トヴァルとクレア大尉が2人に近づいてきた。

 

「二人とも、どちらへ?」

「はい、郷の守りの最終確認を。昨日の時点で通信設備も整いましたから、念の為に動作を確認していました。」

「とりあえずは問題なく使えそうだな。今後は第四機甲師団や鉄道憲兵隊方面とも連絡していけるだろう。」

「そうですか……ちょっと安心しました。」

「後はメンフィル帝国が派遣する郷の防衛部隊が到着するまでに何もなければいいのですけどね……」

「そうだな……」

クレア大尉とトヴァルの話を聞いたエリオットは安堵の表情をし、セレーネの言葉にリィンは静かな表情で頷いた。

 

「ですが……トヴァルさんとも話し合ったのですが。やはり、このまま全員で別の地方に向かうのは若干の不安が残ります。郷の守備のためにも、何人かはこちらに残るべきでしょう。」

「あ……」

「確かに言えてるかも。」

「以前の”魔煌兵”の時のように、わたくし達が郷を離れている隙に再び襲撃があるかもしれませんわね……」

「騎神で向かうにしても大所帯だと目立ちますしね。少なくとも、トヴァルさんかクレア大尉のどちらかには残ってもらうべきかもしれません。」

クレア大尉の説明を聞いたリィン達はそれぞれ真剣な表情で考え込んだ。

 

「ああ、俺達も同じ考えだ。どうわけるかは考える必要がありそうだが……」

「ま、とりあえず渓谷の最奥地点までは一緒にいきましょ。それまでにメンバーの分け方を考えときなさい。」

「そうだな、さっそく出発しよう。それでは行ってきます、母さん。」

「ええ、いってらっしゃい。皆さんもどうかお気をつけて。無事に帰ってきてくれるのをここでお待ちしていますから。」

「はい……!」

「それじゃ、出発だね。」

その後リィン達は渓谷道のヴァリマールが待機している場所まで向かった。

 

〜ユミル渓谷道〜

 

「さてと、騎神の元に辿り着いたわけだが。」

「……まだ寝てる?」

「ああ、そうみたいだな。―――ヴァリマール!俺の声が聞こえるか!?」

「休眠状態ヨリ復帰―――再起動(リプート)完了。―――”起動者”及ビ”準契約者”タチノ波形ヲ感知。」

リィンの呼びかけに応えるかのように休眠していたヴァリマールは目覚めて報告した。

 

「ん、霊力は十分に戻っているみたいだわ。」

「はあ、やっぱりすごいなあ……」

「ハハ、さすがに俺は少しだけ慣れてきたが。さて、それじゃあ今回はどこに向かうんだ?」

「まず、プリネさん達以外のみんなの居場所をもう一度確認しておきましょう。ヴァリマール、ケルディック以外のみんなの現在の居場所はわかるか?」

「再建策スル―――”けるでぃっく”を除イタ残ル”準契約者”ハ北東”のるど”方面ニ3名――――南南東”れぐらむ”方面ニ3名―――イズレモ生体反応ニ異常ナシ。」

リィンの問いかけにヴァリマールは淡々と答えた。

 

「そうか……」

「………なんとかまだ無事みたいね。」

「あはは……僕が無事だったくらいだし。」

「とりあえず一安心。」

「はい……早く皆さんと合流したいですわね。」

「ああ、そうと決まれば急いで向かいたいところだな。どちらもここからはそれなりに距離があるが……」

「距離的にはノルド高原のほうがいくらか近かったはずだ。今回はこちらに行ってみないか?」

マキアスが行き先に考え込んでいるとリィンが提案した。

 

「ガイウスの故郷か……いいかもしれないね。」

「ああ、異論はないぞ。メンフィル帝国領と同様外国だから、ある意味内戦とは無縁かもしれないしな。」

「もしかしたらケルディックの時のように、案外早く合流できるかもしれませんわね。」

「どうだろ……大尉は何か情報を掴んでたりしない?」

行き先について仲間達が明かるい表情をしている中、フィーは真剣な表情でクレア大尉に尋ねた。

 

「いえ、鉄道憲兵隊もさすがに手が回っていない場所です。ただ、あちらには帝国軍の精鋭である”第三機甲師団”が駐屯していました。ノルティア領邦軍との間で戦闘が起こっている可能性は高いかもしれません。」

「確かに……警戒は怠れないだろうな。どうする、それでも行くか?」

「はい、どちらにしろ危険を避けては通れません。何より、そこに”Z組”の仲間がいる――――躊躇う理由はないでしょう。」

「リィン……そうだな。」

「うん、他のみんなにもリィンの無事を伝えてあげたいしね。」

「リスクを負うには十分の理由。」

「お兄様が行く所は例え火の中、水の中であろうとついていく所存です。」

「じゃ、行き先はノルド方面で決まりね。いつでも”精霊の道”を開く準備はできてるわ。とっとと同行者を選んでちょうだい。」

そしてリィンは同行者にセレーネ、エリオット、クレア大尉を選んだ。

 

「―――それじゃあ、行って来る。郷のことはよろしく頼んだぞ。」

「ああ、こっちのことは僕達に任せてくれ。」

「ん。何かあっても、わたし達が絶対に何とかする。」

「遊撃士の名に賭けて郷の守りは万全に固めさせてもらうさ。そっちも気を付けてな。」

「はい……!なんとかみんなと合流して絶対に無事に帰ってきます!」

「わたくし達のことはどうか心配なさらずに、マキアスさん達は郷の防衛に集中してください。」

郷に残る仲間達に声をかけられたエリオットとセレーネはそれぞれ決意の表情で答えて仲間達を見つめた。

 

「では、出発しましょう。ノルド高原は広大です。気を引き締めていきましょう。」

「それじゃあよろしく頼む、セリーヌ。」

「了解したわ。―――ヴァリマール、準備はいい?”精霊の道”を開くわよ!行き先は北東―――ノルド高原!」

「承知した―――残存スル霊力ヲ展開―――”精霊の道”ヲ起動スル―――」

そしてリィン達はトヴァル達に見送られ、ヴァリマールの”精霊の道”によって”ノルド高原”に向かった。

 

説明
第337話
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コメント
本郷 刃様 何気にノルド高原篇はオリジナルの話もありますので楽しみにお待ちくださいww THIS様&kelvin様 期待にそえるかどうかわかりませんが少なくとも原作より凄いですww (sorano)
“彼女”との再会編ですか……原作よりも色んな意味で“激しい”再会になりそうです。(kelvin)
ついにリィンにとってある意味嫁と言える彼女との再会か・・・。原作を超えるようないちゃつきを期待しておりますWW(THIS)
ノルド高原編に入りますか、こちらも原作との差異を楽しみにしております(本郷 刃)
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