快傑ネコシエーター23
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111、銀のリトルワールド

 

「キャー可愛い、雅さんこんな趣味があったの。」

美猫の寝言の言い訳から雅の猫又人形作りが銀に発覚してしまった。

美猫も寝言の内容が内容だけに言い訳によっては折檻確実の所を何とか許してもらえた。

銀は当然美猫猫又人形が気に入った、妖子化け狐人形、銀自身の17歳ver猫又人形も

全て気に入った、当然猫のミニチュアぬいぐるみも全て気に入ったので

雅の書斎に自由に立ち入って鑑賞することを条件に美猫の寝言での暴言を

聞かなかったことにしたのであった。

意外なことに銀25歳verの猫又人形制作要望は出なかった。

むしろ銀17歳ver猫又人形で十分満足していた。

銀は時間がたつのも忘れて雅の作った猫又人形に見入っていた、そしていつしか居眠りを

はじめた。

珍しいこともあるものだと雅は銀の背中にガウンを掛けて寝かしておいた。

キジコが銀の膝の上に乗って居眠りを始めた。

美猫はそっと銀の様子を窺がったがよく眠っている様なのでそのまま雅のいる居間に行った。

 

「銀さん、銀さん、起きて、起きて。」

銀はがキジコに起こされて目覚めると水色の着物を着ていた。キジコもなんだか少し

大きくメルヘン調だった。

「銀さん、銀さん、やっと起きたみたい。」

キジコがいつもと違って人の言葉を話していた。

銀は自分の姿が猫又だったがなんだか可愛くデフォルメされている様だった。

でもナイスバディなので満足だった。

「雅さんのエッチ。」

「えへへ。」

銀は慧快の木彫に通じるところを感じ雅はかなり自分に気があること実感してつい

顔がにやけてしまうのだった。

キジコは銀の一連の行動の意味が分からなかった。

「銀さんどうしてそんなに嬉しそうなの。」

「キジコちゃん好きな人の愛情を感じるからよ。」

「銀ねぇ、何にやけているの変だよ。」

美猫が不思議そうな顔をしていた。

「美猫ちょっとこっちにいらっしゃい。」

「なに、銀ねぇ。」

銀は美猫を力一杯抱きしめた。

「わぁ、銀ねぇそんなに力一杯抱きしめたら痛いよ。」

「妖子ちゃんもいらっしゃい。」

「え〜い。」

妖子も美猫同様に抱きしめて愛でて銀は幸せいっぱいであった。

「この世界に雅さんがいないのが残念ね。」

「銀さんはよくばりですね。」

妖子は呆れた様に言った。

「雅さんはこの世界の創造主ですからいらっしゃいませんよ。」

「こういう時自分の代理とか自分人形を作ってハーレムにするのが男の子の夢でしょ。」

銀は当たり前の様に欲望の赴くままにいった。

「雅さんは優しくて繊細でたとえ相手が人形でも傷つくようなことはしないのです。」

妖子は銀を諭すように言った。

「それにここには半人半獣の女の子とねこさんしかいないんだよ。」

美猫が辺りを見渡す様に言った。

「えっなんで。」

銀は驚いて言った。

「みやちゃん普通の女の子は恥ずかしいから作れないんだって。」

「あたしたちは運よく選ばれたみたいなものなんだ。」

「ここは欲望に満ちた世界ではなくてもっと真の美を追求しようとしたけれど

みやちゃんが照れてファンタジーみたいにデフォルメを施した癒しの世界なんだ。」

「ここは癒しの世界だから銀ねぇも心の底から癒されるといいと思うよ。」

美猫が静かに語った。

「なるほど癒しの世界か、だからここは心地がいいのね。」

「美猫え〜い。」

銀はまた美猫に抱き着いた。

「銀ねぇ、放せぇ。」

「美猫、暴れないで、大人しくして、あなたの自慢の黒髪を撫でるだけだから。」

「銀ねぇ、恥かしいよ。」

「妖子ちゃんもこっちにいらっしゃい、一緒に美猫の黒髪を撫でましょう。」

妖子も銀に言われるままに美猫の黒髪を梳くように撫でていた。

「とても心地いいです、撫で心地のいい髪です。」

そのうち美猫は気持ちいいのか眠ってしまった。

妖子もスースーと寝息を立てて眠ってしまった。

いつの間にか銀の膝の上にキジコが眠っていた。

銀はキジコを撫でているうちにだんだん眠くなってきた。

そのうち銀も眠ってしまい、はっとして目を覚ますと夢だった。

気が付くと膝の上にはキジコがスースーと寝息を立てていた。

目の前の人形たちはみんな自分の方を心配そうに見つめていた。

背中に雅のガウンが掛けてあった。

思わず雅を抱きしめて濃厚なキスの雨を降らしたい衝動に駆られたがそこはぐっと堪えた。

再び目の前の人形たちを見つめてみた。

美猫猫又人形なんかは照れて目を逸らしそうでとても可愛かった。

妖子化け狐人形は少しはにかんでるようでとても愛おしかった。

しかし銀(17歳ver)の猫又人形はそんな自分に厳しい視線を投げかけるようで

自制を促しているように見えた。

「もうちょっと自分に優しくしてほしいなあ、テヘ。」

 

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112、妖子のリトルワールド

 

「銀さん。」

妖子は呼びかけた、ここのところ雅の書斎にこもっていることが多くなにをしているの

かはわからなかった。

「あら、この人形私かしら。」

雅の書斎で居眠りをしている銀の前に妖子の化け狐人形がはにかんでいた。

他にも美猫猫又人形、銀17歳ver猫又人形や猫のミニチュアぬいぐるみが並んでいた。

妖子はあとで雅に聞いてみることにした。

銀がとても気持ちよさそうに眠っていた。

翌日、妖子は思い切って雅と美猫に雅の書斎の人形について聞いてみた。

「ついに全員にばれちゃったなぁ。」

「別にみやちゃん恥ずかしがることことないよ立派な趣味なんだから自信を持ちなよ。」

妖子は改めて雅の作った人形を見せてもらうことになった。

「わぁ〜可愛い、これ美猫さんですよね。」

妖子は美猫猫又人形に見入っていた。

「興味があるようならここにきて人形を眺めていっていいよ。」

「銀ねぇなんか最近ここに入り浸って癒されて帰っていくぐらいだから。」

「いいんですか、ありがとうございます。」

キジコのミニチュアぬいぐるみの黒い瞳に吸い込まれそうなくらい引き付けられた。

「雅さんすごいです、こんなに可愛くデフォルメして、私がこんなに可愛くなっている。」

妖子は頬を赤らめた。

妖子の化け狐人形がとても自分をモデルにしたとは思えないくらい清楚で可愛らしかった

眺めているだけで時間を忘れてしまいそうだった。

いつの間にか膝の上にキジコが乗って居眠りをしていた。

妖子はキジコを撫でているうちにだんだんと眠くなってきて居眠りを始めた。

雅は妖子が居眠りをしているのを見て疲れがたまっているのかなと思いそのまま寝かして

おくことにした。

雅は妖子の背中にガウンを掛けてそっと書斎を出て行った。

 

「妖子ちゃん、妖子ちゃん、起きて、起きて。」

妖子がキジコに起こされて目覚めると桜色の着物を着ていた。キジコもなんだか少し

大きくメルヘン調だった。

「妖子ちゃん、妖子ちゃん、やっと起きたみたい。」

キジコがいつもと違って人の言葉を話していた。

妖子は自分の姿が化け狐だったがなんだか可愛くデフォルメされている様だった。

妖子は自分が雅の作った人形の姿であることに驚いた。

体形もスレンダーで自分の理想の体形だった。

「雅さん感謝いたします。」

「妖子ちゃん、おはよう。」

美猫が夢にまで見た猫又人形の姿で現れた。

「美猫さん、おはようございます。」

妖子は美猫に思い切り抱き着いた、ここには撫子はいないので妖子の独占であった。

「妖子ちゃんいきなりハグは過激な愛情表現だよ。」

「ごめんなさい、うれしくてつい過激な愛情表現をしてしまうのです。」

「まぁ、妖子ちゃん情がが篤いのね。」

銀は当然銀17歳ver猫又人形の姿であった。

「私は当然銀さんのことも大好きですよ。」

. 妖子は銀にも思い切り抱き着いた。

「まぁ、なんて情熱的な娘なんでしょう。」

「だってここは夢の世界じゃないですか、だったら思い切り好き放題にしなかったら

勿体無いですよ。」

「私は美猫さんのことが大好きです。」

「私は銀さんのことも大好きです。」

「この気持ちに偽りはありません。」

「さらにこの世界の創造主の雅さんも大好きです。」

「キジコちゃんも大好きです。」

「最長老さん、猫駅長、大和さん黒猫verも大好きでこの世界の住人全てが大好きです。」

「妖子ちゃんはこの世界の全てが大好きなんだ。」

「妖子ちゃんは優しいね。」

「この世界の住人もすべて妖子ちゃんが大好きなんだよ。」

「でも私は実は嫉妬深いのです、ここには撫子さんがいないことを喜んでしまう

悪い子なんです。」

「この世界には半人半獣の女の子とねこさんしかいないのをいいことに愛情を独占して

いるのです。」

「夢の世界なんだからそんなことは気にせず、愛を独占して思い切り心を癒やして

いかないと勿体無いよ」

「それもそうですね、私思い切り欲張りになりますよ。」

と美猫と銀に抱き着いて深く愛情を示した。

 

「妖子ちゃんどんな夢見てるのかしらとても嬉しそうな顔をしているわね。」

雅の書斎に雅の人形を見に来た銀は先客の妖子の寝顔を見るだけで癒されていた。

 

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113、リトルワールド舞台裏

 

このところ雅は自分の作った人形たちが夢の中に出てきて、自分の体の改修のリクエスト

をするという変な夢を見る様になっていた。

さらに半人半獣以外の女の子が自分の人形を作れと急かす不思議な夢も見る様になった。

そこで普通の女の子の人形を作ろうと思ったが恥ずかしくてとても作れないのであった。

候補を何人かあげてみた。

まず、紀美とエリカは構想すら思い浮かばず作成対象から外れた。

撫子は大和警部補に怒られそうなので作成保留だった。

最後に残ったのがさつきだった。

たださつき人形を作ると美猫人形が虐めそうな気がしたが何とか構想をまとめてみた。

とりあえず頭の部分が出来たところで美猫が書斎に入って来た。

「みやちゃん、それさつきなの、ちょっと貸して、えいっ。」

美猫はさつき人形の頭を蹴ってキジコとサッカーを始めた。

「ネコ、おまえひどいなぁ、せっかく、普通の女の子人形を作ろうとしたのに。」

「さつきのくせに生意気だよ。」

「こら、こら、ぐしゃぐしゃになっちゃったじゃないか、今頃さつきちゃんが頭痛に

悩ませられていたら、ネコのせいだぞ。」

「せめて普通の女の子なら撫子ちゃんから作ればいいのに。」

「なんかやっさんに怒られそうだからなぁ。」

「大和さん黒猫verがいるからちゃんと娘さんの安全を守るから大丈夫じゃないかな。」

「じゃ次は撫子ちゃんを作るとして、とりあえずさつきちゃんを完成させないと。」

「でもみやちゃん、事務のおばさんに創作意欲が湧かなかったところは評価できるかな。」

「あ、紀美さんのことすっかり忘れていた。」

「そうか、それ以前の問題か。」

「でも、紀美さんか、デフォルメがかなり難しそうだなぁ。」

「みやちゃん、もしかして作るの、無理だと思うよ。」

「ネコ、お前滅茶苦茶言うなぁ。」

「例えば、温水プールに行ったメンバなんか作れないかなと思ったんだ。」

「温水プールに撫子ちゃんはいなかったと思うけど。」

「そうだっけ、じゃ後、誰が行ったんだっけ。」

「あ、思い出した、エリカさん。」

「あ、それ無理可愛く作る自信が無い。」

「みやちゃん酷いよ、エリカさんって源さんや大和さんと同じ扱いなんだ。」

「いやネコはっきり言うが、あれを可愛くデフォルメするのは源さんより難易度高いぞ。」

「源さん以上の難易度なの。」

「エリカを女性として認識したのはあの温水プールが初めてだがどう料理しても可愛く

しようがないだろう。」

「強いて可愛くするというのであれば首から上だけ使って首から下はフィクションにする

しかないだろうなぁ。」

「みやちゃん酷いよ可哀想すぎる扱いだよ。」

「じゃ、ネコあの筋肉ダルマをどうやって可愛くデフォルメしろっていうんだ、無理だよ。」

「みやちゃんの人形より源さんの恐怖の張子の素材に向いているとでも言いたいの。」

「あっ、ネコそれ言いえて妙。」

「エリカの顔をデフォルメするのは何とか可能だから首だけ作るというのがギリギリの

ところ、妥協可能かな。」

「まぁ、紀美さんがなんとか作れるめどが立てばエリカも何とか形には出来るかも。」

「首から下は共通素体で何とか乗り切ると。」

「みやちゃん、思い切りやる気が無いよう。」

「むしろ本人から作成依頼が無かった銀さん25歳ver猫又のほうに制作意欲が湧くと

言う物だよ。」

「不思議だよね、銀ねぇ25歳verの猫又にこだわりが無くて17歳verで満足して

いるんだよね。」

「でも難易度は高いけど依頼があれば何とか頑張れる題材なんだよなぁ。」

「それ本当ですか、雅さん私なら難易度が高くても頑張れるって。」

「わぁ、銀さん何時から居たんですか。」

「源さんの恐怖の張子の素材辺りからですけど。」

「紀美ちゃんとエリカさんを共通素体で乗り切るって、面白いからぜひ作ってください。」

「銀ねぇ、どうしてそんな創作意欲の湧かないものを勧めるの。」

「だって、おもちゃとして面白いじゃない。」

「わぁ、何気なく酷い発言している。」

「やはり人形遊びは女の子の遊びの王道です、そんな面白いものは私が欲しいです。」

「では今後の人形作成予定は、さつきちゃん、撫子ちゃんを完成させたら、つぎは

私の25歳verの猫又人形を念入りに愛情を込めて作ってください、取材には何時でも

協力しますよ。」

「銀ねぇ、どうして今まで制作依頼とかしなかったの。」

「雅さんに無理強いはしたくなかったし、雅さんの愛情がたっぷり込められた17歳ver

を既に作って貰っていたからそれで満足していたんです、雅さんが難易度が高くても

頑張れるって言ってくれたのがとても嬉しくてお願いすることにしたんですよ。」

銀は満面の笑顔で雅にプレッシャーを掛けていた。

 

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114、圏外

 

向かいのマンションで本人たちに大変失礼な会話が盛り上がっていたころ、カオス

な品揃えの古着屋でちょっとしたニアミスが起きていた。

普段着を買いに来た紀美と少し女の子らしい服を買いに来たエリカであった。

「乳眼鏡。」

「脳味噌筋肉。」

お互いの第一声がこれであった。

いきなり不穏な空気に包まれたカオスな古着屋の猫店長の最長老は向かいのマンションに

避難していった。

そのあとお互い罵り合うのも無意味なことと静かに自分の目的の商品を探していた。

ぎっくり腰で病院から退院してきたばかりの店主の親父さんは居眠りをしていて

店内の一触即発の危険な状態に気づいて居なかった。

自分の目的の商品を見付け会計に向かう紀美に対して、なかなか自分の気に入ったもの

が見つけられないエリカは少々イラついていた。

向かいのマンションの雅を呼び出したかったが、そんなことをすれば紀美に馬鹿にされ

そうだったので我慢した。

紀美は店主の親父さんが居眠りをしていたので目を覚ますのを待っていた。

エリカは紀美がさっさと立ち去れば雅を呼び出して服探しを手伝ってもらおうと思って

いた。

紀美が店主の親父の前にずっと張り付いていたので雅を呼び出せなかった。

やっと店主の親父さんが目を覚ましたので紀美は会計が終わり、帰るかと思ったらまだ

店内をうろつき何かを探していた。

エリカはイラつきながらも服を探していた、なんか女の子向けのような服しかし

ウェストが太目でなんかバランスがおかしい服だった、タグを見ると男性用であった。

女装用男性向けの衣装であった。

なんでこんなものがと怒り出しそうだったが下手に騒ぐと紀美に馬鹿にされるので

ひたすら我慢していた。

仕方なく、男女兼用のスポーツウェアを何着か見繕って買って帰ることにした。

エリカは店主の親父さんの元へ行きさっさと買い物を済ませたが紀美がいなくなるのを

待って雅を呼び出したかった。

紀美はまだなんか探していた。

実は紀美はエリカの居なくなるのを待って雅を呼び出そうと考えていた。

エリカがなかなか帰らないので店の中で探し物をしているふりをして店の中で時間を

潰していた。

お互い、相手をけん制して動けなくなっていたのであった。

時間は刻々と過ぎていった。

 

カオスな古着屋の最長老はさつき人形の頭で遊んでいたキジコと美猫に

カオスな古着屋が危険な状態であることを知らせた。

「みやちゃん、大変だよ向かいの古着屋で紀美さんとエリカさんがニアミスして危険な

状態だって、最長老が教えてくれたよ。」

銀は雅の携帯電話の電源をoffにした。

「これで大丈夫危険なことには巻き込まれないと。」

「あ、銀ねぇ酷いなぁ〜。」

「ネコ、いい加減さつきちゃん人形の頭で遊ぶのは止めないか。」

「せっかく髪型を整えたのにまたぐしゃぐしゃになっちゃったじゃないか。」

雅はさつき人形の髪を丁寧に整えていた。

銀は雅の手先の器用さを眺めて感心していた。

既にコンビニの制服も裁縫済みで素体も出来上がっていた。

「丘の上のお嬢様学校の制服じゃないんだ。」

「なにもわざわざ「ゴメンネ!」吸血鬼を再現しなくてもいいだろ。」

「撫子ちゃんと同じ制服の方が楽かと思ったんだ。」

「だったら眼鏡を掛けた暴力少女も再現しようか、ネコ。」

「あっ、ひどいよみやちゃん。」

 

1階のコンビニでは時々原因不明の頭痛に襲われるさつきが鎮痛剤を飲んで勤務していた。

「最近、時々急に変な頭痛がするんだよ。」

「なんだろこの変な頭痛はいきなり美猫ちゃんに殴られた時のような変な痛みだよ。」

 

カオスな古着屋では相変わらず不毛なにらみ合いが続いていた。

お互い相手が早く帰らないかと気をもんでいた。

相手が店から出たら雅の携帯に電話を掛けようと考えていた。

雅の携帯電話の電源が切られているとも知らずに。

にらみ合いは4時間続き、意地の張り合いだけでカオスな古着屋に不穏な空気を

齎していた。

紀美が諦めてカオスな古着屋から猫街横丁の奥の市内電車の西北町の駅の方に向かって

いった。

エリカが雅の携帯電話に掛けるとメッセージが出て電源が入っていないか、電波の

届かない所にいますと表示され今までの不毛な睨み合いが全くの無駄であったこと

を悟った。

 

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115、さつきのリトルワールド

 

「変な頭痛もするし風邪でも引いたのかな、今日は薬を飲んで早く寝よう。」

さつきはここ1週間変な頭痛に悩まされていた、まるで美猫に殴られたり、蹴られたり

された様な変な痛みであった。

「さつきちゃん、さつきちゃん、起きて、起きて。」

さつきがキジコに起こされて目覚めるとコンビニの制服を着ていた。キジコもなんだか

少し大きくメルヘン調だった。

「さつきちゃん、さつきちゃん、やっと起きたみたい。」

キジコがいつもと違って人の言葉を話していた。

さつきは自分の姿がコンビニ店員だったがなんだか可愛くデフォルメされた

人形の様だった。

なんだか自分の頭が凸凹しているような感じだった。

「なんだか、理不尽な暴力を受けたみたいだよ。」

目の前のキジコが目を逸らした。

その時さつきは突然後頭部に重い衝撃を受けそのまま前に倒れた。

「一体、なんで私がこんな目に遭わなきゃならないの酷いよ、酷過ぎるよ。」

さつきが振り返ると赤い着物を着た猫又の美猫だった。

「美猫ちゃん、いったい私が何をしたのよ、なんの恨みがあるのよ。」

「牛タン弁当の恨みだ、反抗するなんてさつきのくせに生意気だ。」

「一体何時の話よ美猫ちゃんお釣りがくるくらい散々仕返ししたくせに。」

「半人半獣でもないくせにこの世界にいること自体気に入らない。」

「いくら美猫ちゃんでも理不尽すぎるよ。」

「ほう、あたしと戦うというのか面白い、今までの恨み纏めて晴らしてやる。」

さつきは魔眼が使えるかどうか試してみたかったが使えないことにしておいた方が

いいようなので使えないふりをしていた。

さつきは美猫に徹底的にぼこぼこに念入りに袋叩きにされた。

大の字になって完全にのびているさつきを介抱するものがいた。

撫子であった。

「な、撫子ちゃんありがとう。」

「この世界では人間は私たち2人きりなんですよ。」

「でもみんな優しいからとても心が癒されます。」

「美猫さんももう気が晴れたでしょうからさつきさんに乱暴なことはしませんよ。」

ただ美猫にやられっぱなしなのは癪なので何か仕返しを考えていた。

もしこの世界で美猫に魔眼が利けばお釣りがくるくらいの仕返しが出来るので誰か

試しに魔眼を掛けて見たかったが撫子、妖子には絶対に使いたくなかった。

銀(17歳ver)しかいなかったが掛からなかった時の危険さは美猫以上だった。

一か八か美猫に魔眼を掛けてみて失敗したらまた袋叩きに遭えばいいかと開き直った。

 

「美猫ちゃん、美猫ちゃん。」

「なんか用なの、さつき。」

「あらためて、今までのこと謝ろうと思って。」

「ふん、殊勝な心がけじゃないか。」

「美猫ちゃん本当に今までごめんね。」

ここでさつきは最強の力で魔眼を発動させた。

「美猫ちゃん、起きていますか?」

「・・・」

反応がなかった。

「あなたのなまえは。」

「竜造寺美猫。」

「年齢は。」

「16歳。」

「スリーサイズは。」

「73・55・79。」

「よっしゃあ、完全復活。」

「や〜い、や〜い、美猫の貧乳、ど貧乳、つるぺた、洗濯板、抉れ胸、平地胸。」

美猫の唇の端がぴくっと動いたように見えた、さつきは心配になって

美猫の目をじっと見てみた、瞳孔が開いているのを確認して安心した。

もう一度同じ質問を繰り返してみた。

「美猫ちゃん、起きていますか?」

「・・・」

反応がなかった。

「あなたのなまえは。」

「竜造寺美猫。」

「年齢は。」

「16歳。」

「スリーサイズは。」

「73・55・79。」

さつきは心配になって美猫の目をじっと見てみた、

瞳孔が開いているのを確認して安心した。

「や〜い、や〜い、美猫の貧乳、ど貧乳、つるぺた、洗濯板、抉れ胸、平地胸。」

やっぱり、美猫の唇の端がぴくっと動いたように見えた、

さつきは心配になって美猫の目をじっと見てみた、

瞳孔が開いているのを確認して安心した。

もう一度同じ質問を繰り返してみた。

「美猫ちゃん、起きていますか?」

「・・・」

反応がなかった。

「あなたのなまえは。」

「竜造寺美猫。」

「年齢は。」

「16歳。」

「スリーサイズは。」

「73・55・79。」

「や〜い、や〜い、美猫の貧乳、ど貧乳、つるぺた、洗濯板、抉れ胸、平地胸。」

「美猫の貧乳大魔王、乳貧乏、大絶壁、まな板。」

やっぱり、美猫の唇の端がぴくっと動いたように見えた、

さつきは心配になって美猫の目をじっと見てみた。

瞳孔が閉じて猫目になっていた。

美猫の全身が震えていた、どうやら怒りを我慢しているようだ。

美猫の形相が段々と般若の様になっていった。

「美猫ちゃん、起きていますか?」

「さつき、覚悟はできているか。」

「美猫ちゃん、何時から催眠術がとけていたのかなぁ。」

「初めから掛かってないよ。」

今度はさつきの全身が震えだした。

「ひぎゃ〜。」

さつきは全力で走って逃げだした。

足が重く何かが絡まっているような感覚だった。

それでもひたすら走った、走っているうちにこれは夢だと思い、夢なら覚めてと願った。

 

さつきは目を覚ました、どうやら夢だったようだ、ホッとして力が抜けた。

しかし目の前に美猫が般若の形相でさつきの肩を掴み睨んでいた。

美猫は怒りを抑えて静かに言った。

「さつき、いくら寝言でも言って良いことと悪いことぐらい分るよな、昨日具合が悪い

からって早く家に帰ったというから心配して様子を見に来たら、あたしの一番気にして

いることを繰り返し何回もいいやがって。」

さつきは顔が青ざめ、ぶるぶると震えだした。

 

説明
111、銀のリトルワールド
112、妖子のリトルワールド
113、リトルワールド舞台裏
114、圏外
115、さつきのリトルワールド
あらすじ世界観は快傑ネコシエーター参照
キャラクター紹介一部エピソード裏設定は快傑ネコシエーター2参照
魔力の強弱は快傑ネコシエーター3参照
キャラクター紹介一部エピソード裏設定2は快傑ネコシエーター4参照
キャラクター紹介一部エピソード裏設定3は快傑ネコシエーター5参照
キャラクター紹介一部エピソード裏設定4は快傑ネコシエーター6参照
キャラクター紹介一部エピソード裏設定5は快傑ネコシエーター8参照
キャラクター紹介一部エピソード裏設定6は快傑ネコシエーター9参照
キャラクター紹介一部エピソード裏設定7は快傑ネコシエーター10参照
キャラクター紹介一部エピソード裏設定8は快傑ネコシエーター11参照


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