IS レギオン 16話
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 さて、リムパック演習も後半戦に入り、今回は、参加国全ての艦艇及び航空機をすべて使い、立体的な共同戦術行動演習であった。

 参加艦艇は、ざっと合わせても大小500隻を超えており、現時点での21世紀最大最強の艦隊編成であった。内容は、航空母艦大小合わせて30隻以上、巡洋艦35隻以上、駆逐艦・フリゲート・コルペット200隻以上、補給艦、工作艦、強襲揚陸艦などもそれぞれ36隻以上、航空機1,000機以上と言う史上最大であり、ある士官が、『海が2分、船が8分。空が4分、航空機6分だ!』という名言も生まれた程であった。

 またこの規模の艦隊と航空機の編隊飛行は、リアルタイムで世界中のテレビ、ラジオなどの情報媒体によって個人や団体などに発信されていった。

 

 リムパック海域 

 

リムパック艦隊総指揮艦  合衆国海軍所属 ジョージ・F・ケナン級「ヘンリー・A・キッシンジャー」

 

 「素晴らしいじゃないか!これこそ、地球最強艦隊だ!しかも、その総指揮は我が合衆国だ」

と『ヘンリー・A・キッシンジャー』の艦橋の艦長席に座る合衆国海軍第1艦隊司令官であるマーカス・フィンレイ太平洋艦隊司令長官兼太平洋方面最高司令官が声高々に唾を飛ばしながら叫んでいた。それを聞いていた。『ヘンリー・A・キッシンジャー』の艦長であるジョージ・オールストン海軍大将も同意したよう頷いた後に、

「ええ、此れだけの多国籍艦隊が我が国の領海にいるだけでも素晴らしい事ですが、少しだけ不満ですな」

「不満かね。これだけの艦隊を指揮できるというのに」

とマーカスがジョージに聞いた。

「ええ、EU海軍、オセアニア海軍はともかく、アジアや中東、アフリカ、南アメリカの艦艇が堂々と出しゃばって参加しているのがどうしても不満なのですよ。しかもそれぞれの艦隊には、空母も参加しているのですよ。本当なら、空母の保有は、白人の物だったはず、それが、色付き人種共も当然のように持ち始めて...」

「そろそろ、その悪口を止めた方が良いぞ。他の職員に聞こえるぞ(まあ、儂も同意するが...)、そろそろ演習の本番だ。切り替えろよ」

「はっ、此れよりリムパック演習国際合同立体戦術機動演習を開始します!全参加艦艇にメール送信せよ『これより、演習を開始すると』」

「了解しました。一斉メール送信開始!」

と通信用国際コードを打ち込んだ後にプロテクトさせた暗号メールが情報統制官の手によって参加艦艇すべて同時に送信された。

 

 新アジア連合国家連邦所属 日本国海上自衛隊艦隊 旗艦 じゅんよう型航空機搭載護衛艦 『ひよう』

 

 「艦長、総指揮艦からのメール受信。『これより、演習を開始すると』との事です」

「了解した。これより我が艦隊は国際演習に参加する。最大規模の多国籍艦隊が参加する今回の演習にいい結果を残してほしいと新アジア連合国家連邦の参加艦艇全艦に訓辞せよ」

と日本艦隊総司令官である安藤宗二郎(あんどう そうじろう)が『ひよう』艦長である鳴海 孝之(なるみ たかゆき)中将に伝えた。

 

 各国艦隊がそれぞれに事前に伝えてあった演習項目に向けて粛々と艦隊を動かして行っている頃、演習海域の水面下でも各国の隠密情報収集の為の各国の潜水艦が静かにしかし、それぞれの任務に向けて熱く諜報・潜水艦戦を繰り広げようとしていた。

 

 それを邪魔しようとする悪魔に魂を売った紅い女騎士が向かっている事も知らずに。

 

 ハワイ諸島沖 リムパック訓練海域より南に100キロ地点上空

 

 とても澄んだ青く美しい海と白い雲が望みながら一機の航空機が飛んでいた。

その航空機は合衆国海軍所属のヘンリー・A・キッシンジャー所属のE-19だった。

 

『此方、スワローアイ、現海域に付近に所属不明の航空機及び船舶は確認できず。この空域に待機する。以上』

『了解。交信終わる』

と何時もの様に定期交信を終えた後、E-19の搭乗員の観測員の一人であるジェームズ・A・パディントンが隣で観測中であったロジャー・マードックに話しかけた。

「なあ、ロジャー。俺たち暇だよなあ、いつもいつも代わり映え無い画面を見続けるなんて暇だよな」

「おいパティ、おしゃべりが過ぎるぞ、そんな暇があったら、ちゃんと画面見てろよ.うちの上司に怒られるぞ、おれも怒られるなんて御免だぜ」

「おいおい、今頃うちの上司さんは今頃、新人ミネルヴァ・リデルにお熱をあげているぜ。どうやら、可愛い子ちゃんだから、優しく手解きしてるぜ」

と愚痴を言いながら椅子を近付けながらロジャー・マードックに喋り続けた。すると、

「おい、誰が、誰を御熱をあげているんだ?」

ジェームズ・A・パディントンの後ろの方で冷たい声が聞こえ、ジェームズ・A・パディントンが恐る恐る後ろを振り返ると、憤怒の表情をしたこの機の空中観測情報室の観測長であるシャサ・ノバルティスがジェームズ・A・パディントンの耳元でドスの利いた囁き声で、

「後で覚えていろよ」

と言った後にその場から離れた。ジェームズ・A・パディントンは、一気に全身から冷や汗を浴びる気持ちになると共に任せられている画面に真剣に向き合った。

 

 暫くジェームズ・A・パディントンが、画面を見ながら監視を続けていると、画面に出ている対空レーダー画面の下に未確認の小型飛翔体らしき影が映り込んだ。ジェームズ・A・パディントンは、ロジャー・マードックに確認してみる。

「ロジャー、南から国籍不明の飛翔体があるんだが、確認できるか?」

「南?ああ、確認した。多分鳥だろ」

「馬鹿いえ、今の監視モード高速機用走査モードだ。ありえんだろ」

と反論した。するとシャサ・ノバルティスが近付き

「なんだ又口喧嘩か、いいかげんにしろ」

「いえ、今私の監視画面に未確認の飛翔体が確認されたので

「なに?誤認とかじゃないだろうな」

「はい、誤認もしくは、電離層などの影響とかではありません。見てください、高速で北の海域に向けて進行中速度およそM0.9程で進行中です」

「よし、分かった。至急ハワイ諸島司令部及びリムパック艦隊に報告。『此方、此方、スワローアイ、緊急事態発生。現海域に付近に所属不明の航空機らしき高速飛翔体確認。速度約M0.9で北上して模様。速やかに警戒せよ。繰り返す、スワローアイ、緊急事態発生。現海域に付近に所属不明の航空機らしき高速飛翔体確認。速度約M0.9で北上して模様。速やかに警戒せよ。以上』

という至急電がこの機の持つ最大限の出力でハワイ及びリムパック艦隊に向けられて発信させられた。

 

 その至急電は、ハワイ周辺の全ての『霧の艦隊』にも傍受され、速やかに『霧の艦隊』が警戒モードに入った。また、織斑家の長男である一夏もその通信を自身が傍受し、前にハワイ諸島沖の無人島の事件があった為、その件を踏まえ『プライベート・レギオン』及び『フィーチャー・レギオン』を生産し射出した後に、自らも「少し出掛けます」と言う書置きの後に、レギオン化しもしもの為にジャミングを施し、現場海域に飛翔した。

 

 ハワイ諸島オアフ島第13空軍:ハワイ州 ヒッカム空軍基地-太平洋空軍 (PACAF),太平洋軍統合情報部本部

 

 E-19からの連絡が受けた情報室では、蜂をつついた騒ぎになった。情報室長であるウィルバー・ガーランドは、速やかに新たな命令を出した。

 

 「速やかに現場空域を調べさせろ。SR -91及びRQ-9Ver.2を現場空域に送って情報を送れ」

とエイミ・クロックスに命令した。

「了解。速やかに空軍基地に連絡します。また、リムパック演習中の本国海軍にも連絡しますか?」

「ああ、よろしく頼む」

その情報は、直ちにヘンリー・A・キッシンジャーに送られた。

 

 ハワイ諸島沖 リムパック演習海域 アメリカ海軍リムパック艦隊旗艦『ヘンリー・A・キッシンジャー』CIC

 

「艦長、ハワイ諸島オアフ島第13空軍から機密メッセージが届きました。先程、我が艦所属の『スワローアイ』から我がリムパック艦隊に向け、高速で接近中の未確認飛翔体 コードネーム『UFO-1(Unidentified Flying Object-1(アンアイデンティファイド・フライング・オブジェクト1)』を速やかに調査し、捕獲もしくは、撃破せよ」

との事です。

「了解した。全リムパック演習参加艦艇に連絡。『緊急事態が発生した為に、速やかに演習を中断し、帰還せよ。なお、我がアメリカ艦隊は、速やかに集結後、独自行動に移る。なお、我が国以外の同行は認められない。出来なければ、我が艦隊は、その艦もしくは艦隊を束縛し、鹵獲する』以上の事を速やかに全リムパック演習参加艦艇連絡せよ。また、速やかに我が艦隊空母所属航空団を緊急発進せよ。急げ!」

 

 その通信を受けた各国のリムパック艦隊は、困惑しながらも、独自に行動に移った。ただ、最初はの行動は各国艦隊ともにハワイ及び本国の駐在武官及び海軍長官など楡圓楽をした後に、小規模艦隊の場合は、距離を離れつつも密かに追尾行動を取った。また中規模以上の艦隊の空母配備の場合は、速やかに空中管制機、早期警戒機などを飛ばし、情報収集をし始めた。また、水面下の各国の潜水艦は、無音潜行をしながらも、アメリカ艦隊に付かず離れずの行動を採って行った。

 場所と時間を少し戻し、ハワイ諸島オアフ島第13空軍:ハワイ州 ヒッカム空軍基地

 

「室長、SR -91及びRQ-9Ver.2発進します。なお、それぞれコールサイン『ブラックチェイサー1』『ヴェロキ1』です」

「了解。『ブラックチェイサー1』『ヴェロキ1』のリアルタイム画像をメイン画面に映せ」

 

 リアルタイムで『ブラックチェイサー1』『ヴェロキ1』それぞれに装備された高性能光学カメラ映像が統合情報部本部内の大型スクリーンに映し出せれた。

「目標までおよそ5キロ、ただ、目標は、空中で停止しています!」

「なに?空中で停止しているだと。未確認飛翔体はヘリか何かなのか?」

「いえ、ヘリなどではありません。M0.9で飛行するヘリコプターなど聞いたことありません」

「そうか」

 

 一方その頃、ハワイ諸島沖 リムパック演習海域 アメリカ海軍リムパック艦隊旗艦『ヘンリー・A・キッシンジャー』CIC

 

 「艦長、ハワイ諸島オアフ島第13空軍:ハワイ州 ヒッカム空軍基地からSR -91及びRQ-9Ver.2発進した模様です。こちらもRQ/A-290を1個小隊(5機)発進させますか?」

「ああ、1個小隊ではなく2個小隊送れ。また護衛としてUF/A-25も追加として1個小隊発進させよ」

「了解。直ちに現場に送ります。ただ、少し問題が」

「問題?」

「はい、我が艦隊の南方15キロにEU/南米国家連合体/中東首長国家連合/新アジア連合国家連邦/オセアニア海洋国家共同体などの艦隊が密かに追尾してますが、如何しますか?」

「ちっ、またか色付き人種共めが。無視しろ、どうせ何も出来ない筈だ」

と愚痴を言いながら、指示を出した。

 

 いよいよ、アメリカ製無人機とISの距離を少しずつ接近していった。運命の邂逅まであと少し。

 ハワイ諸島オアフ島第13空軍:ハワイ州 ヒッカム空軍基地-太平洋空軍 (PACAF),太平洋軍統合情報部本部

 

 暫くした後に、ハワイ基地所属から飛び立ったSR -91、RQ-9Ver.2及び海軍所属空母機動部隊から飛び立ったRQ/A-290、UF/A-25がハワイ沖のリムパック海域に出現した未確認飛翔体 コードネーム『UFO-1(Unidentified Flying Object-1(アンアイデンティファイド・フライング・オブジェクト1)』とアメリカ海空軍所属のそれぞれの機体に装備された高性能カメラにそれが映り込み、接敵した。

 

 その映像は、アメリカ本国の国防省にもリアルタイムで映し出された。

 

 その映像を見た殆んどの人々は、自分の目がおかしくなったのかと困惑したが、一部の人々は、前にどこかで見たような感じがすると感じていた。それは、どう考えても人型をしており、どういった理屈なのかわからないが、それが空中で浮かんでいた。また、SR -91、RQ-9Ver.2、RQ/A-290、UF/A-25がその物体の周囲を旋回しながら、赤外線、X線、放射線などを計測していった。その結果、我々と変わらない生命体がその人型のパワードスーツの様な物の中にいることが判明した。

 

 アメリカ国防省長官であるピーター・シルバーマンが、

「速やかに、此れの捕獲できなければ破壊しろ」

と命令した。

副長官であるジャネル・ヴォイトが

「了解しました。速やかに警告後に命令を受諾しますがよろしいでしょうか?」

「ああ、頼む」

「では、インプットされた警告文を指向性高性能スピーカーでそれぞれの機体から発信します」

と言った後に、ハワイ及び空母機動艦隊にそれぞれに命令を出した。そして、その命令は、当該空域にいる無人機からスピーカー音声で流れた。

 

 その命令は以下の通り

「貴機はアメリカ領空に接近しつつある。速やかに針路を変更せよ」領空侵犯の無線警告と、当該機に向けて自機の翼を振る「我に続け」の警告を見せ、「警告。貴機はアメリカ領空を侵犯している。速やかに領空から退去せよ」「警告。貴機は日本領空を侵犯している。我の指示に従え」

であった。

 

 しかしその警告を無視するかのようにまったくその場所から動こうとせずに空中で停止したままであった。その様子を本国の国防省の作戦司令室の大型モニターに投影していった。そして、幾分かの時が過ぎた後にピーター・シルバーマンが

「もういい、撃墜せよ」

と命令しようとした瞬間、それが起こった。

 

 ビー、ビー、ビー

 

と室内に警告音と共に緊急事態用の赤色灯が燈った。

 

 「どうした何があった!」

「大変です。我が国の全体の機密情報関係などにハッキングを受けました。現在復旧中ですが、未だにハッキングされ続けています。止まりません!」

と情報武官が困惑していたが、そのハッキングは、ほぼ同時進行で世界中のありとあらゆる所がハッキングを受けていった。

 

 その世界的な混乱は、次の瞬間突如として打ち破られた。

 

 

『もすもすひねもすー、愚民の皆様こんちにわー。地球一の大天才篠ノ之束ちゃんだよー。ぶいぶい』

 

といった感じだった。

 

 アメリカ本国の国防省 地下機密情報室 

 

 「なんだ、このフザケタ黄色いサルの娘は!」

と言うようにピーター・シルバーマンは怒髪天を突くように映像に移りこんだ束に怒り狂いながらも、そのふざけた格好(ウサミミが装着されたカチューシャをつけており、胸元が開いたデザインのエプロンドレスという独特のファッションセンス)をした小娘(篠ノ之束)を睨み付けた。

 

 一方その映像は、世界中のあらゆる情報媒体に侵入し発信及び受信された。ただ、一部地域の未開発部分や環境保護地域などの情報媒体が無いところには発信及び受信できなかったが、ほとんどの(一部の例外を除く)人々はその映像を見たが、その大半の人は、『何を喋っているんだこの小娘は?』と言う感じだった。(何せしゃべっている言語は純度100%の日本語だから)

 

 「ではでは、お披露目しましょう。大天才束さんが作り上げた新世代マルチフォーム・スーツ通称『IS(インフィニット・ストラトス)』でーす。どお、驚いた?ぶいぶい」

と言いながら、ハワイ沖に出現した未確認飛翔体に画面を切り替えた後に喋り続けた。

「このISは、宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツだよ。それでねえ、このスーツはねえ、凄いんだよ。それはねえ、攻撃力、防御力、機動力は非常に高い究極の機動兵器でねえ、特に防御機能は突出して優れていてねえ、シールドエネルギーによるバリアーや「絶対防御」などによってあらゆる攻撃に対処できるんだよ。すごいでしょ、ブイブイ。そのおかげでねえ、操縦者が生命の危機にさらされることはほとんどないんだよ。しかもしかも、搭乗者の生体維持機能もあるんだよ。その秘密はねえ、核となるコアと腕や脚などの部分的な装甲であるISアーマー、肩部や背部に浮遊する非固定装備(アンロックユニット)から形成されているんだよ。解ったかなあ」

と一気にしゃべり終わった。

 

 「なんだと!そうかこれを捕獲すれば我が神聖なる合衆国は更なる発展と繁栄が出来る!そして、また栄光が蘇る!黄色いサルどもや野蛮人、人間擬き(『霧の艦隊』のメンタルモデルのアメリカの蔑称)共から世界を奪い返すことが出来る。まあ、無理だとしても、破壊し、回収した後にじっくりと調査して、あの『TM計画』 進む」

と言いながら現アメリカ合衆国大統領であるジェド・バートレットがホワイト・ハウスからこの映像を見ながらほくそ笑みながら、国防省を呼び出し指示を出した。

 

 「分かりました、大統領閣下!速やかに作戦を全軍に指示します。なあに、相手はわずか一機。もしダメだとしても、あの秘密兵器『SWBM(Shock Wave Ballistic Missile)』の実験に丁度良い目標だと思われます。まあ、あの黄色いサルの小娘には過ぎた代物だと思い知らせばいいでしょう。我々からのプレゼントですよ。ハッハッハッ」

とピーター・シルバーマンは、ジェド・バートレットに答え、受話器を置いた後に、ハワイ基地全軍及びリムパック参加アメリカ海軍全軍に

 

[大特級極秘指令 オペレーション:UFO-1ダウンフォール]

 

が発令された。

 アメリカ軍によるIS鹵獲もしくは破壊である[オペレーション:UFO-1ダウンフォール]

が発令した時、ハワイ基地から無人戦闘攻撃機UF/A-25、その有人型であるF/A-25、B-91、などが続々と飛び立ち、海軍機動部隊からは、RQ/A-290、E-19、AC-19などが中型空母、大型空母群から続々とリニアカタパルトから射出されていった。

 

 「良いな、必ず鹵獲しろ!できなければ破壊しても構わん!その搭乗者の命なんてどうなっても構わん。どうせ、黄色いサル娘だ。人間様に逆らった裁きをくれてやれ!」

とマーカス・フィンレイはアメリカ海軍機動部隊旗艦『ヘンリー・A・キッシンジャー』のCICで叫んだ。

「了解直ちに、作戦機全機に命令します」

と情報統括官が答えた。

 

 「良いな、全機攻撃開始!」

と戦闘攻撃隊の総隊長が搭乗するF/A-25から部下に命令した。その瞬間全戦闘攻撃機のウェポンベイから次々と各種対空ミサイルが雨霰とISに向かって発射された。

 

 その射出されたミサイル群の弾頭部の高性能カメラがISを捉えていった。更にその多数のミサイル群の二次元映像及びカメラ映像リアルタイムで『ヘンリー・A・キッシンジャー』のCIC及び本国ホワイト・ハウス、国防省の地下機密情報室に送られた。

 

 「「チェックメイトだ、黄色いサル娘め」」

と大統領であるジェド・バートレットと国防省の地下機密情報室 室長であるジェド・バートレットがほぼ同時に呟いた。

 

「命中まで3,2,1、今」

とアンコン強襲揚陸指揮ドック型輸送艦の情報統制武官であるセレーナ・コーガンが多目的個別識別用レーダーに映りこんだミサイル群とISとの接触を確認した。その確認は、ミサイルに内蔵された高性能カメラの画像が途切れ砂嵐になった。そしてそのミサイル群の着弾と共に多数の爆発と共に空中に巨大な火球が多数現出し、煙が立ち込めていった。

 

 暫くした後に、ゆっくりと煙が収まっていった。

 

 「映像でます!」

と『ヘンリー・A・キッシンジャー』のCIC内の情報統制武官の一人であるクレア・ベネットが声をあげた。その映像はCIC内の大型モニターに映りこんだ。

 

 その映像は、米国及び米軍に驚愕の映像になった。

 

 「「「なぜだ、なぜ彼奴は無傷なんだ!」」」

とジェド・バートレットやピーター・シルバーマン、マーカス・フィンレイなどが驚愕した。

 

 そう、全弾直撃命中したはずのISに殆どダメージが無く、少しだけ煤汚れた感じだけであった。

国防省の地下機密情報室

 

 「どうなっている、なぜ、ダメージが無いんだ」

と言いながら、ピーター・シルバーマンが叫んだ。すると、隣でその映像を見ていたギュンダー・ローズマンが声を掛けた。

「すみません。前の映像ありますか?そうあの黄色いサルの小娘の喋った映像は?」

「ええ、ありますが」

とクレア・ベネットが答え、束がISの事についての説明の映像を出し、会議室のスクリーンに投影した。

 

 「多分これの影響でしょう?」

とギュンダー・ローズマンと言った後に、ピーター・シルバーマンに声を掛けた。

「どうした、何が判ったか!」

「ええ、多分これが正解でしょうこの『絶対防御』とか言うせいでしょう。しかしながらこの世には『絶対防御』という言葉はありません。多分相当数の熱量及び衝撃波等には弱い筈ですよ。多分あの兵器『SWBM(Shock Wave Ballistic Missile)』とか『テルミット・プラス』現在試作中の空間消滅弾頭『フレイヤ』ならあれを破壊できるでしょう。」

「そうか、ソレなら現在ハワイの空軍基地に『SWBM(Shock Wave Ballistic Missile)』が搬入されている。今回の演習の最終項目として、残してある筈だそれを直ちに使用するようにピーター・シルバーマンの名を出して準備ができ次第出撃させろ!その間に空海全軍に全武器無制限使用を許可しろ!」

と言った。その命令は直ちにハワイに送られ、ウィルバー・ガーランドがGOサインを出した時とほぼ同時にマーカス・フィンレイも同じ内容を受け取り「了解」とした後に、全軍を全速航行に移り各艦の火器管制システムに火が入った。

 

 一方、現場では、無人機による波状攻撃をいち早く開始されたが、相手は、撃たれる恐怖が無い様にまるで暴れ猪武者の様に真っ直ぐに突進し、手に持っている大型の両刃剣の様な物を振りかざして向かって来ているが、アメリカ製の無人機は、事前に回避行動に移り反転攻撃を仕掛けていった。

 

 「くそ、なぜ避ける武士らしく戦え」

とISを纏っている箒が毒づくが、それは無理な話だと思う。

「畜生、殆ど効いて無いじゃないか、くそ」

と戦闘攻撃隊の総隊長が呟く。そしてふと思いつき、空中管制機のE-19コードネーム『サンタクロースホーム』を呼び出し、

「此方『ムーンエンジェル隊 エンジェル1』済まないが援護を頼む!俺たちがあいつを足止めするから『ネーメズィスチーム(AC-19)』を回してくれ」

「了解。直ちに『ネーメズィスチーム(AC-19)』を送る」

その命令は上空に待機していたAC-19の各機に伝えられ、全機攻撃態勢の為に機体左側面に次々に各種大型火器がせり出し、左旋回に移った。

 

 「目標視認。全機攻撃用意。」

「全戦闘攻撃機隊に通達。チャフ及びフレア使用後、離れろ!相手に目潰し食らわせてやれ!」

「「「「「了解」」」」」

とその空域にいた全戦闘攻撃機がそれぞれの機体に装備されたチャフやフレアーを盛大にはき出し、昼間なのに昼以上に明るく照らし出した。

 

 「くそ、前が見えない。目が痛いどうなっている!?」

と箒は、ISに装備された高性能視覚認識センサーが捉え拡大表示されたチャフやフレアーなどの光による視覚情報に惑わされ、動きを止めた。

 

 「未だ、全機総攻撃(フル・ファイア)開始!」

と戦闘攻撃機隊の総隊長が言いながら、全戦闘攻撃機の全残弾と『ネーメズィスチーム』によるAC-19の持つ下は7.62ミリ上は105ミリ榴弾砲までの各種火器から飛び出す各種弾頭を土砂降り以上の圧倒的空間制圧の為に各機がそれぞれ別高度を採りながら左旋回を続けISを火器にまるで洗濯機の中にいる以上の攻撃に晒し、さらに全戦闘攻撃機の各種機銃及びミサイル上下から叩き込み、ISの行動を完全に止めた。

 

 

 そして、ISに対する徹底した包囲殲滅戦闘が終了し、全機がその場に滞空し、煙が晴れるのを待った。なぜなら、この包囲式空間殲滅戦によって生じた煙には、多数の金属片が含まれており、その影響により作戦機の持つ各種視認装置による視認及び観測が出来ず、その場に滞空し、様子を見守っていた。

 

 「どうなっている。状況を説明しろ」

とピーター・シルバーマンが声高に叫びジャネル・ヴォイトに尋ねた。

「今の所、現地の攻撃隊の持つ各種観測装置による撮影が試みていますが,どうも其の一帯に多数の金属片により、妨害がされており今現在、カメラ映像などが不能の為に全部隊にその場に待機していますが、全攻撃部隊の兵装及び機銃の残弾は、すべてゼロなので帰投させた方が世のしいと思いますが、如何しましょう?」

とピーター・シルバーマンに尋ねると、

「分かった、残弾及び燃料が足りない機体は速やかに帰投させろ。ただし、空中管制機のE-19及び対地攻撃機のAC-19部隊はその場に待機、状況によっては攻撃を続けさせろ!良いな」

「は、分かりました。伝令をすぐさま送ります」

「そういえば、今の我が艦隊の位置はどこだ?」

「は、現在、作戦海域内までおよそ10分の位置です」

「そうか。現場海域に到達したら、一言言ってくれ」

「分かりました」

 

 その現場では、少しずつ煙が晴れていき、ISの姿を視認できた。ただ、ISの本体には多数の裂傷が多々あり、左右の分離式浮遊ユニットは完全に破損しており、その後爆発とともに消失した。また、両手で握っていた大型両刃剣もその刃は所々破損しており、その破損箇所からは時々スパークしており漏電も確認された。

 

『ダメージング、ダメージング。直ちに修復の為に帰投してください。繰り返します。本機に重大な欠陥及びダメージが確認されています。直ちに帰投もしくは、装着を解除して下さい。繰り返します....』

という危険な警告音声と共に多数の赤色の警告文字画面が多数の表示がされ、頭部のヘルメット型のバイザー内部に照らし出した。それを見た箒は、

「ああ、鬱陶しいぞ、そんな事は分かっている!邪魔だ、邪魔するな、うるさい機械の分在で喚くな。」

と口汚く罵ると同時に警告音が止まり、赤画面が消え、途切れ途切れの前方の視覚が映し出せれ、その画面には、旋回しながらも多数の銃砲をこちらに向けていた航空機が多数視られた。

「くそ、正々堂々と勝負しろ!卑怯共め!」

と叫んだが、外には聞こえなかった。そして、一機の航空機目掛け、突進していった。

「死ねえ、蚊蜻蛉めが、」

と罵りながら、所々破損した両刃剣を突き出し向かって行った。

 

 「此方、『ネーメズィス3』緊急事態発生、『UFO-1』活動再開!本機に向かってきます。速やかに迎撃します。繰り返す、『UFO-1』活動再開!」

と言った瞬間、周辺のAC-19部隊から多数の銃砲撃が加えられたが、ISはその攻撃を一身に受けながらもネーメズィス3に向かってきた。

 

 「うわ嗚呼、駄目です。ぶつかります」

「くそう、全員ショック態勢用意」

と機長が腹をくくった瞬間。

 

 バシュウン、バシュウン、バシュウン

という二条の赤い光線が、ISの手前の下から伸びていった。

 

 「此方『サンタクロースホーム』より全機に通達。海域内に『霧の艦隊』らしき軽巡洋艦を確認。繰り返す、『霧の艦隊』が出現した。全機その場にて、待機せよ」

 

 

 少しだけ時を戻そう。

 

 ハワイ沖水中凡そ200メートル水域

 

『霧の艦隊』の新アジア連合国家連邦所属 改阿賀野型1番艦『常磐(ときわ)』

 

 「あーあ。暇だなぁ、何で私こんな役目を『大和さん』から引き受けたんだろう。何せ『ハワイ諸島に集まった艦艇の数がどれだけいるか探ってきてほしいの。よろしくお願いね。『常磐』さん』なんてこと引き受けたんだろう。まあ、此れが終わったら、ハワイ行っておいしい物たらふく食べよーと」

とぶつくさ言いながら、一隻の軽巡洋艦が水圧などの物理法則を無視しながら、水中を高速で疾駆していた。その艦艇から一人の和服少女が何の防水衣服などを着ていなかったが、その服や顔には一切の水滴が掛かっておらず、その艦の周辺には不思議な膜が包み込んでいた。

 

 その和服少女の特徴としては、黒髪は肩まで掛かっており其の髪を碧い髪留めを一本で止めており、その目は黒真珠の様な輝きをはなっていた。また服装は、所々に青い雫をあしらった和服で統一されていた。その少女の名は『霧の艦隊』のメンタルモデルである改阿賀野型1番艦『常磐(ときわ)』その人であった。他のメンタルモデルたちからは、『常ちゃん』やら『常磐姉さま』と上からも下からも頼りにされていた。

 

 『大和さん』から引き受けた任務を全て全うした『常磐』がハワイに向かって帰投していた時に「束による演説」が行われてその電波を傍受した常磐は、

 「この人、頭大丈夫かな?」

と心配しながらもどこか冷めた雰囲気を纏っていた。

 

 そして、頭上が妙に騒がしくなり、炸裂音や爆発音が多数聞こえていた。

 

 「なんだか、騒がしいわねえ。何氏ら、行ってみよう。『常磐』緊急浮上せよ!」

と言いながら、『常磐』が急速に海面に向かって浮上を開始し、暫くした後に、明るい水面が見え、そして、太陽が煌めき、海風が心地よい海面に飛び出した。

 「ああー。気持ちいい。やっぱり空があって、空気があって、風が吹いているのって,とても気持ちいいなあ」

と言いながら、海風に靡く黒髪を片手で軽く押さえながらも、気持ちいいと感じをしながら何処か清々しい気持ちになっていたが、突然上空に多数の炸裂音やそれが何かに防がれた衝突音が多数聞こえた。

「何かが、空で戦っている?」

と、常磐が顔を上げ、艦の持っている望遠機能を使いそれを見た。

「あのマークは米軍?それにそれを戦っているのは、確か篠ノ之束とかの言っていた『IS』とかいうものかな?一応『大和さん』とかの皆に伝えよう。『我、『霧の艦隊』の新アジア連合国家連邦所属 常磐 全『霧の艦隊』に緊急伝達。我、『IS』に遭遇せり。『IS』の情報は、直ちに全『霧の艦隊』の総力を持って調べる必要があるものとする。以上』

と言いながら、情報伝達機能をフル稼働させた。

 

 そして、一機の航空機にISが突撃しようとした時に、常磐は、

「いけない、あの機がやられる。仕方がない。主砲一番てぇ」

と艦橋の上に立ちながら命令した。

 

 ISと霧の艦隊の一艦である『常磐』が対決しそうな雰囲気であった海域のその上空15,800メートルに滞空していた小型な昆虫と甲殻類の合わせた様な物体が多数とそれとは一回り大きい昆虫と甲殻類の合わせたような物体が一つ空中で止まっていた。

 

 「何か分かったことがある?そう、分かったよ、ありがとう『プライベート・レギオン』。うん何かあったら教えてね」

と一回り大きい昆虫と甲殻類の合わせたような物体が呟く。そう、その物体こそが『織斑一夏』と分子レベルで融合を果たした、深宇宙生物である『レギオン』であった。いや、今は『サマー・マザーレギオン』と言った方が良いかも知れない。

 

また、その周辺を守る様に同行している物は、レドーム状の突起物が四方向に飛び出ている物を持つ生物は『サマー・マザーレギオン』から放出された『ソルジャー・レギオン』から派生した『プライベート・レギオン』という名であり、その特徴は、強力な電子戦及び各種偵察傍受に特化した特徴であるが、自らを守るための武器は備わっておらず、各種電子戦や妨害電波などによる攻守一体の兵装が最大の武器である。もう一つの方は、『フィーチャー・レギオン』という虎の子であった。その特徴は、長時間行動が出来、機動性、および、旋回性の機能強化に特化したタイプである。『プライベート・レギオン』には備わっていない、強力な自己攻撃兵装も備わっており、短時間で多数の自己射出用突起状の細胞片をさながら誘導ミサイルの如く撃ち出し、更に暫く時間はかかるが、マイクロ波を集束して打ち出す強力なマイクロ波シェル(母体であるマザーレギオンよりは若干威力が弱いが、戦車一両は十分に蒸発し、破壊することが出来る)を打ち出す。

 

それらの生物達を引き連れながら、空中で止まっており、プライベート・レギオンが今まで捉えた各種偵察傍受を一夏は、プライベート・レギオンを腹部に戻し、それらの情報を確認した後にまた、射出した。その後、ISと呼ばれる新型パワースーツの様な物と米軍が誇る最新鋭無人航空機群及び有人航空機群の集団戦術との戦闘を見て、一夏は、

「どうも、あのISと呼ばれる物は、集団戦法には柔く、多重同時多方向戦法にも柔いな」

という結論を出し、その場から離れようとした時に、そのISが一機の米軍の地上攻撃機に突撃して行った時に

「まずい、あの機の乗員が危ない!助けないと」

と言うのと同時にその場から急降下しようと態勢を立て直そうとした瞬間、一夏の感覚器官が危険信号を鳴らし、その場から生物達を引き連れて緊急回避した。

 

 その瞬間、今まで留まっていた空間を二条の赤い光線が通り過ぎていった。

「超圧縮粒子光線!まさか!」

と呟くと同時に自ら持つ視覚能力を最大感度にしてその光線が放たれたを見ると一隻の大型船が浮上していた。

「あれは、『霧の艦隊』の一隻。間違えない、あの特徴的な幾学画は、『霧の艦隊』しかない」

糸夏は暫く呆然と眺めていたが、ISが両手を掴んでいる中折れ状態の両刃剣を振りかざして『霧の艦隊』の一隻に向かって急降下していった。

「まずい、こうなったら、あの艦を助けよう。でも、今の状況だと、そうだ『あの手』を使おう。プライベート・レギオン達は収納、フィーチャー・レギオン達は、マイクロ波シェル用意!あと、『ハクサン』たち準備しながら『あれ』も準備しといて、お願い!」

と言いながら、一夏は高速飛翔形態のまま急降下していった。

 

 「ウソ、何で効かないのよ!参ったわねえ。こうなったら、出し惜しみなしよ!全VLS機動、弾種対空掃討レーザーミサイル及び多弾頭ミサイル。掃射、てぇ」

と言いながら、『常磐』から夥しいミサイルがISに向かって斉射された。

 

 軽巡洋艦『常磐』のVLSから放たれた多数の2種類弾頭がISに向かって追尾飛翔した。そして、一部の弾頭から更に多くの小型ミサイル弾頭に分裂し、多方向に包囲を縮めながらISに向かって行った。

 

 「くそ、邪魔をしてくれたな!許さんぞ。絶対に許さんぞ!破壊してやる!これは絶大な力を持っているんだ。あんなちゃちな船なんて破壊してやる」

と激昂しながら箒が真っ直ぐに常磐に向かって急降下していくと多数小型ミサイルが着弾し、さらに箒は怒りに燃えた。

「くそ、ただの船のくせに生意気すぎるぞ!何もせず只やられてしまえ、それ位しか出来ないくせにこの私の自慢の姉が作ってくれた物の錆と成って仕舞え!ガラクタめ」

と口汚く罵った。

 

 小型ミサイル弾幕が全弾着弾した後も勢いを止めずに真っ直ぐ急降下しながら常磐に向かってきたが、第二次対空防衛網である対空掃討レーザーミサイルが待ち構えていた。

 

 それは、弾頭部及び胴体部が別駆動で時計回りと反時計回りにそれぞれ高速回転しながら弾頭部8か所、胴体部24か所から短射程であるが高出力レーザーを高速連射し、文字通りレーザーのゲリラ豪雨を再現出来、しかも今回は手加減無しの為、文字通り豪雨を遥かに超えて、ハリケーン・カトリーナクラスの弾幕を再現した。また後部推進噴射口は逆噴射しながら最大35分以上その場に滞空できる。

 

 「くそ!あの弾幕を通り過ぎたと思ったら、今度は、レーザーの雨か!なめおって」

「ウソでしょ。あの弾幕とレーザーの豪雨を無視しながらまだ来るの!有り得ないでしょ。まあいいわ、ソレなら、取って置きを使ってあげる。全連装高角砲起動!独立機動モード後、敵目標に向けて全力掃射。あとVLS弾頭換装『振動ミサイル』用意。また、自己防衛力場『強制波動装甲』から最大出力で『クラインフィールド』を発生開始」

と常磐が常磐の艦橋の上で命令を出した。

 

 その命令通りに両舷に装備された8基の70口径8センチ連装高角砲を模した砲塔が艦体から分離し、2基一組になり合体し、常磐の周囲の空間に浮遊し、対空掃射を始めた。

 

 「くそ、忌々しい!こうなったら、切り札だ!『竜田姫(たつたひめ)』起動!」

と声高に叫ぶと、中折れ状態の両刃剣の刃部分から超高周波の振動が起きた。

「これは、私の姉が開発した超高周波振動刃「オノゴロ」だ。そしてこれが私の最終絶対戦術 『龍田姫』だ。悪しき船をこれを受けて沈んでしまえ」

と声を高々に叫び、『強制波動装甲』から発する最大出力の『クラインフィールド』にぶち当たったが、暫くするとクラインフィールドを突破した。

 

 「ウソでしょ、有り得ない。そんなまさか」

と常磐がクラインフィールドが突破された事に呆然となり、一時的に思考が停止した。

「しまった!不味い、間に合わない!」

「死ねえ。化け物め」

と箒が常磐に向かって『超高周波振動刃「オノゴロ」』を振り被った。

 

 「御免なさい。皆さんお別れです」

と、常磐が腹を決め、目を瞑った。

 

 「間に合えええ」

と何処からか声が聞こえ、ガギンという金属の衝突音が聞こえ、

「どうやら間に合ったみたいだね。大丈夫?」

と優しい声が聞こえ、常磐が目をゆっくりと開いた。

 

 

 「貴方が助けてくれたの?あなたは何者ですか?」

とゆっくりと瞼を開いた常磐は目の前に異形の生物に目をした。その生物はまるで、節足動物と甲殻類が混ざった生物であったが、常磐はその生物が私の身をまるで守ったことに安心した風な優しい目をしていた。そして、超高周波振動刃「オノゴロ」とぶつかった前脚を気にしながらも、

「我が名は『レギオン』いや『サマー・レギオン』とか言った方が良いのか?まあいい、其れよりも、大丈夫か?ええっと...」

と声に出していないが、なぜか常磐にそう聞こえた。

「『常磐』よ。正確には、改阿武隈型軽巡洋艦1番艦 常磐 よ。ええ、私は大丈夫。ありがとう、助かったわ」

「そうか、良かった。後は、任せてくれ。」

「いいえ、私も戦うわ。と言うよりも戦わせて!」

と言葉を喋れないレギオンと言葉を交わした。それが、一夏と常磐の出会いであった。

 

 「何か知らんが、また変な化け物が増えたな」

と箒は、超高周波振動刃「オノゴロ」のゆっくりとぶつかった前脚から離した。そして、一時的に距離を取ったが、再度別角度から強襲し、撫で斬りにしようと,背部一体型のスラスターを全力で吹かした。

「死ねえ、化け物どもめ!『オノゴロ』の刀の錆にしてやる『龍田姫』再度起動!最大出力!」

と言いながら、中折れ状態の両刃剣が灼熱の溶岩の様に赤く光り、少しずつ刃部分が溶解していった。

 

 「この攻撃は不味い。『ハクサンレギオン』出撃」

と一夏は、胸から腹部にあるエッグチャンバーから多数の『ハクサンレギオン』を放出させた。

 

 ハクサンレギオンとは、ソルジャーレギオン(小型レギオン)から進化発展したタイプの一つであり、一夏の身体には、無数のソルジャーレギオンと共に同じく多種多様に進化発展した個体も多数収納されている。このタイプは、主に大量の火薬やニトロを推進剤として超硬金属の杭を射出する機構(パイルバンカー)を搭載した、近接戦に特化した系列であり、対象破壊時の飛沫破片などから身を守るため、前方にブロックシールドと呼ばれる巨大な盾を標準装備しており、これは敵弾を防御するためである。ただし、スピードは遅いが爆撃やブロックシールドを使った突撃による攻撃を行う。パイルバンカーの威力も強く、局所戦や防衛戦では強みを発揮する。

 

 そして多数のハクサンレギオン達が箒が持つ両刃剣『オノゴロ』が切り裂こうとする部分に集結し、幾つもの層の密集体型を作った。そしてハクサンレギオン達は、ブロックシールドを前方に突出し頭部を引っ込めた。

 

 「「ガギン」」

 

 という重厚な金属音を辺りに響き渡らせた。

 

 「なんだと!」

と箒は驚愕の表情を作り呆然とした。なぜなら、最大出力で放った『龍田姫』が全く常磐の艦体に届かないばかりか、ハクサンレギオン達のブロックシールドに完全に受け止められ、中折れ状態だった両刃剣が柄の部分を残して完全に崩壊した。

 

 「今度はこっちの番だ!『パイルバンカー』一斉掃射!」

と言うように一夏は声にならない甲高い叫び声を出した。それに呼応するかのようにハクサンレギオン達は、腹部に装備されたパイルバンカーをISに向けて、超高速で一斉射撃した。

 

 少しだけ時間を巻き戻して

 

 「うそ、クラインフィールドがもたない、このままだと強制波動装甲すら届いてしまう!」

と常磐が焦り出したが、隣りにいるレギオン=一夏は全く焦らずに青い瞳を常磐に向け、

『大丈夫。この艦は私達が守る』

という風にすると、胸から腹部に掛けて無数の楯を持った甲殻類と節足動物が合わさった小型生物が多数出現した。

 

 『全員一斉掃射開始』

という風に一夏が声に鳴らない甲高い叫び声をあげた。その声に呼応するかのように左右甲板など様々な所で常磐の艦体全体に壁を作っていたハクサンレギオン達がISの方向に向け自身の最大兵装である『パイルバンカー』を掃射した。

 

 「なんだこれは、グウ」

と超音速で射出された。超高硬度のダイヤモンドコーティングされた杭が瞬く間にISの絶対防御壁を障子紙の様に全弾貫通し、ISの全身装甲に着弾し、そのほぼが全てが身体中のあらゆる所に貫通し、箒の皮膚や肉や骨や内臓を抉り破壊し貫通し、背部のスラスターなどを壊し、抜けていった。

 

 「体が痛い痛い痛い、腕が、足があああ」

と箒が声に鳴らない叫び声が響いた。その身体は、前身穴だらけであり、両手足は無くなっていた。そんな時に箒の頭部バイザーの裏側から声が聞こえた。

 

 「あーあ、箒ちゃん。折角束ちゃんが、箒ちゃんの為に作ったISをこんなにしちゃってえ。まあいいや、色々と情報が集まったし、もういいや。バイバイ箒ちゃん」

「何を言っているんだ。姉...」

と一方的に束が通信を切るとのを呆然とした箒が言葉を続けようとした瞬間。

 

『ピピー。IS「緋騎士」の機密保持プログラム保護のため自爆します』

と機械音がした瞬間。IS内に仕掛けられた爆薬が起動し、ISが搭乗者もろとも消滅する爆発音が響いた。

 

 

 ハワイ諸島にあるある無人島の束専用機密ラボ

 「あーあ、せっかくISを使って、世界を吃驚させようとしたのに、あの屑のせいで台無しだよ全くもお。それにしてもあの最後に出てきた生物気になるなあ。解剖したいなあ」

とグルングルンと椅子を回転しながら呟いた。

「まあいいや、次のサプライズだよ!」

と言いながらパソコンのエンターキーをポチと押した。

 

 「姉さん、大丈夫?」

と言いながら、部屋のドアを開けた一つの影が喋った。

「ああー、大丈夫だよ。箒ちゃん」

「そうよかった。私の変わりはまだ居るもの」

と箒が言いながら、パソコン類が占領している束の部屋から見渡せる巨大な水槽に先程の篠ノ之箒そっくりの少女達が大量に水槽の水の中にいた者たちを見た。そして其の傍には、試験管の様な容器が大量に並びその中一つ一つに胎児が沈んでおり、その胎児たちは、ゆっくりと胸の鼓動を響かせていた。

 

 

 ISが突然目の前で自爆したのを見て、二人は唖然とした。

「何があったの?」

と常磐が困惑したが、目の前の異形の生物を見ながら、

「ありがとう。助かったわ。色々と」

と言った後に目の前の生物を見た。

 

 一方その頃、アメリカ本国の国防省 地下機密情報室 

 

 「いったい何があったんだ、なぜあの『UFO-1』が爆発したんだ。くそ、此れであの『T計画』が出来ない。(いや、まあいい、後でその海域を封鎖し海中探索し、残骸を回収すればいい)あの人間擬きが、やったのか?」

とピーター・シルバーマンが叫んだが、隣にいたジャネル・ヴォイトが、

「分かりません。我が軍の軍事用偵察衛星のKH-20がこの海域の衛星写真を送られてきましたが、人間擬きが、乗っている船の近くに未確認生物らしき熱源を確認。これです」

「なんだこれは、まあいい、SWBMを積んだ機は今どこにいる?」

「は、コードネーム『ラグーン1』及び『ラグーン2』はもう現場空域で旋回しながら待機中です」

「わかった。なら『ラグーン1』及び『ラグーン2』に伝達し、SWBMを使用せよと送れ」

「しかしながら、それは、条約違反では」

「何が条約だ、あの人間擬きを仕留めるチャンスじゃないか!それに、もしそれで仕留めたとしても全部UFO-1のせいにすればいいだけの話じゃないか。もう一度言う『SWBMを使用せよ』と命令を送れ。そういえば、お前の故郷のお袋さん如何も体調が悪いそうじゃないか、今度また、手術するそうじゃないか。費用が掛かりそうだな」

「!!?。解りました速やかに命令を伝達します」

「そうそれでいい。それこそが我々が神から授かった力である。我々は、何者よりも強い」

という風に大げさにふるまいながらに室長用の席に座りコーヒーをゆっくりと啜った。

 

 その通信は、ハワイ上空で待機していたB-91のパイロットに伝えられ、

「了解。SWBMを使用します。3,2,1,投下」

と言った後、B-91の武器扉が開き、そこからSWBMが投下され、SWBMが暫く自由落下後に、自身に後部からパルスジェットエンジンが作動し、目標に向かい飛翔した。

 

 その頃

 

 「自分は大丈夫だ。心配ない」

という風に一夏が、常磐を見た。見つめられた常磐は焦った。

 「え、え、え。私の顔に何か付いているの?それになにこの何とも言えない感は!ああ、誰か教えて欲しい!そうだ、『あの子』なら何かわかるかも。直ぐに『あの子』に概念伝達をすれば...」

と言おうとした瞬間、常磐自身の早期危機情報システムが警報を鳴らした。その時、一夏はレギオン化のまま高速飛翔形態になり、空に上がって行った後、暫くした後に突然空が光り、強烈な衝撃が常磐に襲い掛かった。

 

 アメリカ軍の開発した新型空間制圧兵器『SWBM』は、主に特殊な燃料気化爆弾を弾頭とする弾道ミサイル。弾頭の燃料気化爆弾は燃料が水平方向に広く拡散する様に指向性を持たせてあり、水平方向数十キロに及ぶ範囲で強力な衝撃波を発生させる。グレイプニル背面に備わるサイロから発射されたSWBMは、数十秒〜数分の飛翔の後に指定座標及び高度で炸裂し、大気を瞬間的に熱膨張させ、非常に広範囲にわたり、航空機をその圧力で粉砕するが、空域制圧を目的として開発された為、大気の密度や温度の関係上、地表付近では威力が大きく減退する。この為、極低空を飛行する航空機には効果が低いという欠点がある。また山間部や渓谷等、燃料や衝撃波の拡散に対する障害物が多い環境下でも、その威力が制限される場合がある。また、現在アメリカ軍は、この技術を応用して様々な種類の兵器及びそれらを運用する兵器が開発中である。

 

 その兵器が使用されるのを早期に察知した一夏は、その破壊力は一夏もまだ未知数であったが、何か危険だと思ったが、その時にはもう体の方が思考よりも早く動いていた。

 

 「何か危険が私とあの子が危険だ。早めに何とかしないと」

と一夏は飛行形態中に思った。そして、その物体を視認した瞬間、『それ』が突然が炸裂した。

 

 その衝撃波を諸に食らった一夏は、身体の彼方此方に重度の火傷と裂傷や内臓にもダメージを食らった。

「くう、しまった。油断した。身体中が痛い。御免千冬姉、高嶺叔母さん、茂叔父ちゃん」と言いながら、一夏は意識を失った。その瞬間、急降下した。

 

 そして、急降下しながら落下したレギオンは、そのまま海面にぶつかった。

 

 その衝撃の余波を食らった常磐は、

「一体何があったの?」

と困惑しながらも、艦体を立て直した時に落下するレギオンを見つけた。

「不味いわ。このままだと海面にぶつかってしまう。全速前進機関全開!」

と艦橋で常磐が叫ぶと同時に軽巡『常磐』の機関が最大出力を出し、レギオンが落下した海面に向かった。

 

 そして、レギオン落下地点の海域に着いた常磐だが、その海面には、巨大な羽が数枚浮いていただけであった。その羽を常磐が回収した後に常磐が、

 「急速潜行!クラインフィールド展開、ソナー最大出力。あの生物を救い出して、借りを作るのはどうも癪に合わないから」

と叫んでいたが、内心『あの生物』に恋をしたこと秘密である。

 

「ソナー反応確認。近い」

と常磐の思考に反応した。そして、海中に沈降していくレギオンを速やかに沈降予想地点に先回りし、艦体の後部甲板にその身体をゆっくりとクラインフィールドを緩衝材替わりにし、その身体を横たえた。

 

 そして、『常磐』の後部甲板にその身を横たえた一夏にゆっくりと近づいていく常磐は、

「何で、こんなにボロボロになるんだ。どんな事が起きればこんな事に」

と言葉を詰まらせた。そう、今の一夏の状態は、未だにレギオン化のままであったが、その身体の彼方此方に深い切り傷や剥がれ落ちて内部の一部が露出しており、誰が見ても重傷の他ならなかった。

 

 「この生物を助けたいけど、如何すればいいの?」

と常磐が困惑した。その時、突如として、その生物が光り輝いた。そして、その身体が段々と人(一夏)の身体になった。その光景を見た常磐は一層困惑した。

「え、え、え、あの生物が光り出したと思えば、人間になった!?如何いう事?」

と困惑しながらもその人の手を取った瞬間、常磐の目の前が光り輝き意識がとんだ。

 

 常磐は、突如目の前が光り輝いたと思い、目を細めた。そして、目の前の光がゆっくりと消えていき、常磐が目を開けていった。そして目の前に広がった空間に目を開いた。

 

 「此処って、概念伝達の相互通信システムの構築型庭園!なんでただの人間がこの中にいるの!」

と常磐が吃驚とした。そして、その庭園の真ん中の洋風のあずま屋に一人の少年が倒れていた。それを見た常磐は、速やかに近付いてその少年を見た。

 「何であの子がここにいるのよ」

と言いながらも、その少年の体調を見た。

 

『被検体スキャニング開始。生体反応あり、ただし、至急に治療の必要あり。内外に深刻なダメージあり。DNA内に未確認塩基組織発見。全細胞組織体に珪素成分に近い未知の元素含有』

という結果が常磐の目の前に表示された。

「え、と言う事は、この子は正確にはもう人間ではないってこと!」

と常磐は、表示された結果に心底驚いた。

 

 「どうやったら、助けられるの?」

と困惑しながらも何か手を打った方が良いのではと、常磐が一夏に近付いていった。その時、一夏が苦しげを堪えながら、小さく途切れ途切れにか細い言葉を発した。

「はあ、はあ、少しでも体組織の栄養を補給しないと...近くに珪素がある所に連れて行ってくれ...頼む。後は、自分で何とかするから」

と言った。

 

 「え、近くに珪素がある所って何処よ」

と言いながらも、必死になって自身の情報網をフル稼働させた結果。付近の海底の地下に大量に超高純度(99.999999999999999%)の珪素が埋って居る地殻があることを突き止め、概念伝達の相互通信システムを切断し、意識を艦に戻し、急速に急角度で海底を突き進んでいった。

 

 そして、わずか数秒後にハワイの海域内で一番の深度に常磐は、艦を着底させた。

 

 

 ハワイ沖海域のある深海3000メートルの海底に着底した『常磐』は、機関を停止した。その後部甲板にいるのは一夏と常磐の二人だけだった。

「少年。着いたぞ、海底辺だよ。次は何すれば良い?教えて欲しいのだか、目を覚ましてほしいのだけど」

と常磐は、優しく一夏に語りかけたが、一夏は目を覚まさなかった。

 

 暫く、一夏を見つめていた常磐は、ふと一夏の胸から腹にかけて淡く光り輝いていたのを見た常磐は、

「何かしら此れ」

と言いながら、常磐が少しの興味と好奇心が沸き、少し緊張しながらも、一夏が着ていた服を脱がし、仰天した。

 

 「何なのよ此れ」

と言いながら、表情を強張らせ一夏の上半身を脱がしたまま少し後ずさった。なぜなら、一夏の胸から腹部にかけて、淡く光り輝いていた理由が解かったからだ。その光り輝いていた所がその一つ一つが不気味に蠢いた生物達だったからだ。

 

 そして、その怪しく光り輝きを放ちながら、胸から腹部にかけて蠢いていたその生物群が突然一夏の身体から大量に溢れ出していった。その数は瞬く間に後部甲板は元より艦体全体に広がり出した。常磐は、

「何なのよ。この生物達は!」

と困惑しながらもゆっくりと後ずさった。

 

 その生物が艦全体を覆った瞬間。一斉に常磐の方に巨大な一つ目を一斉に向けた。その生物の特徴は、胴体中央に大きな1つの眼を持ち、その両端に小さい眼が2つずつ、計5つの眼を持っており、前部にアームとドリルの様な物が装備されており、胴体は横長であった。その生物群達に襲い掛かりそうになる事を恐れた常磐は、臨戦態勢を取ったが、突如その生物群が一斉にお辞儀の様な仕草をした後、その生物群は、方向を変え、クラインフィールドを突破し、水中の猛烈な水圧が平気な風に次々と海底辺に辿り着き、次々と掘削を開始した。

 

 そして、暫くした時、『常磐』の艦体の周辺に次々と掘り起こされた土が小山の様に聳えていった。その中から続々とその生物群が這い出していき、『常盤』の後部甲板で眠っている一夏の身体に吸い込まれていき、暫くした後にまた一夏の身体から這い出して海底の掘削口の中に消えていった。

 

 そして、一夏の身体はゆっくりと時間を掛けながらも確実に癒えていった。

 

説明
感想欲しいなあ。
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コメント
ありがとうございます。余り更新出来ない可能性もありますが、頑張っていきます。(駿河)
おお……ここの束はいい感じに歪んでますね。次回も楽しみにしています。あと、御体に気を付けてください。(REGION)
描写が細かくてすごい!頑張ってください!(デビルボーイ)
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