咎を受けし御使いの最後の旅〜二人の御使いと二人の劉備〜
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 咎を受けし御使いの最後の旅〜二人の御使いと二人の劉備〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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沂水関迎撃殲滅戦

 

 

 

 

 

 

 

 

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 城壁に佇むのは漆黒の外套を身にまとわせた一人の男性。その傍らには白を基調とした服を纏った九本の尾を持つ一人の女性。

 

 藍「“一刀様”結界は敵の攻撃がやむ一瞬だけ解きます。“纏ってから往かなくて良いのですか?”」

 

 一刀「問題無い。あんな奴等に本気にならんでもいい。」

 

 一刀はその問い『愚問だな』と言わんばかりに言い返す。

 

 藍「では・・・よい暇つぶしでありますように。」

 

 一刀「・・・残念だがそんな心やさしい状態じゃあないな。あいつ等には殺しても殺したりないぐらいの憎しみしかない。」

 

 藍「・・・そうですね、私も参戦できないのが残念でありませんから。」

 

 一刀の怒りに呼応する様に、藍も怒気をにじませる。

 

 一刀「往ってくる。」

 

 藍「往ってらっしゃいませ、一刀様。」

 

 その瞬間、結界に人の大きさの穴があき、そこから一刀は飛び出していった。

 

 

 

 一刀「まずは一当て・・・オ・ルラク・ラ・ラック・ライラック。闇の精霊97柱、深淵の淵より来りて敵を撃て。『魔法の射手・闇の97矢』!!!」

 

 一刀の周囲から黒い球体が出現して、敵の密集地帯に次々と着弾して行く。

 

 一刀「まだ終わらん・・・光呑み込む一滴の闇、我が手に宿りて敵を喰らえ。『瞑き閃光』!!」

 

 今度は一刀の掌から一筋の黒い閃光が放たれ、敵に着弾した。刹那、その場所はまるで何かに呑み込まれたかのように黒く染まり、敵を消滅させていた。一騎はそのまま闇の射手を併用した魔法で敵を殲滅し続けた。そんな中・・・

 

 一刀「・・・ん?あそこで動いてるのはなんだ?」

 

 一刀は敵の違和感に気付き、ふわりと宙に浮くと移動を開始した。

 

 一刀「ああ、もう、うざい!消えろよ、ゴミどもが!」

 

 その行く手を人外は阻む、まるで何かを守るように。

 

 一刀「何か居るのか?ならば・・・」

 

 一刀はそのまま空高く舞い上がると、呪文詠賞を開始した。

 

 一刀「オ・ルラク・ラ・ラック・ライラック。契約に従い、我に従え、氷の女王。来たれ、とこしえのやみ、えいえんのひょうが。『こおるせかい』!!」

 

 その呪文により大小問わず、敵は足元から凍りついて身動きが取れなくなっていく。

 

 一刀「これで終わりと思うな。全ての命ある者に等しき死を。其は、安らぎ也。砕けやがれ(パチン)『おわるせかい』」

 

 バギャァアアアアアン!!

 

 異常なまでの大氷原はそんな音と共に人外を巻き込みながら砕け散っていった。

 

 一刀「そこか・・・」

 

 司馬懿「ひ・・・ば・・・化け物・・・」

 

 一刀「どっちが・・・終わりにしよう。」

 

 司馬懿「そ、そうは問屋が卸しやがらないです!!!」

 

 一刀が司馬懿を始末しようと構えると同時に司馬懿は懐から手のひら大の球体を取りだし、地面に叩きつけた。

 

 司馬懿「真桜印の煙だま『辛』を喰らえ!そして逃げる!!」

 

 一刀「逃すか!げほ・・・辛!?痛!?!?げほげほ!!な・・・めるなよ、小娘ぇぇぇぇぇ!『氷爆』!!!」

 

 ゴウ!

 

 一刀は無詠唱呪文を使ってその煙を吹き飛ばすがそこにはもう司馬懿の姿が無かった。

 

 一刀「あの((女|アマ))、真桜印って言いやがったな。だとしたらこいつ等は曹操軍の手の者って事になる・・・クソが!」

 

 そのまま一刀は残りの奴等に向きなおし、懐から一枚のカードを取りだした。

 

 一刀「状況の変更を確認した。お前らにかまってられなくなったからさっさと死んでくれ。座標固定型変質スペカ『恋符』」

 

 一刀はそのままそのカードを弾き、空中で回転させた。目の前に来たそれに一刀は手で銃の形をとると叫んだ。

 

 一刀「マスタアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァ、スパアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァク!!!!!!!!!!」

 

 ドォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!

 

 そのスペカは本来極太レーザーを発射するスペカだが、一刀の改良により極大の光子球体を発現させるスペカに変えているのだ。正しく“ボム”にふさわしい形である。

 

 一刀「ふざけんな・・・クソが・・・」

 

 一刀はそう呟くと沂水関に戻っていった。

 

 

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 一騎「ただいま」

 

 藍「おかえりなさい、“一騎様”。」

 

 一刀「一騎・・・お前。」

 

 凪「あれは・・・なんなのですか?」

 

 孫策「・・・嘘・・・」

 

 一騎の力に藍以外が驚愕の目で一騎を見ていた。

 

 一騎「まずは兵の動揺からだな。董卓軍の勇士諸君、君等は目にした。この俺、ケ艾士載の闇を。俺がこの力を使えば大陸を牛耳るのは容易いだろう、だがそれは力での圧政でしかない。妖術師と後ろ指さされ、多くの民に受け入れられる事は無かったろう。故に俺はこの力を、人ならざる者の力を使ってこなかった。だが、今回は別だ。奴等は人では無い。ならばこの力は抑える必要はないだろう。皆が俺をどう思おうと構わない、俺はこの力を得て後悔はしていない、なぜならばこれは愛する者を守るために得た力だからだ。だからこそ此処に誓おう。俺は人の戦にはこの力を使わない事を。それは人である事への矜持である。俺が人で居続けるためには必要である故に!董卓軍の勇士諸君、この事を世に広めたくば好きにするがいい。そんな風評ですら俺を立ち止まらせることも、殺す事も出来はしない。俺はただ愛する女の為に生き抜くと決めたからだ。それだけでも分かってもらいたい。愛する女の為に人を捨てた、愚かな男の願いだ。」

 

 一騎はそのまま頭を下げ、兵達に諸々含めて謝罪した。力のこと、人では無いこと、自分の我がままの為であること、そんな事を含めて。

 

 ケ艾隊兵A「一騎様、俺達はもとより一騎様の生きざまを信じて此処に居ます。」

 

 ケ艾隊兵B「そうです隊長!俺達は貴方を誇りに思います!!」

 

 一騎「皆・・・」

 

 董卓兵A「俺は正直ケ艾様が怖いです。ですが・・・それ以上にケ艾様を誇りに思います。」

 

 董卓兵B「ケ艾様、顔を上げてください。貴方は俺達の命の恩人です。ご安心を、此処に居る兵は貴方の事をそんな風に見る奴等はいやしません!」

 

 一騎「ああ・・・ありがとう。皆。」

 

 一騎はそのまま他の3人に向き直ると頭を下げた。

 

 一騎「すまない、黙っていて。」

 

 凪「え!?い、いや。頭を上げてください隊長。私は・・・その・・・こほん、しっかりと見届けさせていただきました。隊長の“闇”を。正直、及川達の纏っている物とは正反対です。言うなればあいつ等の闇は洞窟などに有る暗き闇、隊長は星空輝く夜の闇です。天と地の差があります!」

 

 一刀「・・・すげえよ、一騎。俺はあんなの背負って生きれるほど今は強くねえよ。本当に俺はお前に出会えてラッキーだと思ったぜ。」

 

 孫策「いや、そもそも私に謝られても困るって言うか・・・そう、説明!説明してよね。一刀が二人いる理由とか!それでチャラ・・・ってのもオカシイけど!」

 

 一騎「・・・そうか・・・そうだな。よし、各兵は持ち場に戻れ、治療などはこの八雲藍に任せる。その負傷は人による物では無いのなら、治療も人の力以外の物で直しても問題無いだろう。藍、頼むよ。」

 

 藍「お任せください。さ、皆さん私が一瞬でその傷を尚して差し上げます。順番に並んでくださいね。」

 

 一騎の命令で藍はその場から離れ兵の治療に向かっていった。そのまま一騎は孫策の方に向き直り、状況の説明をし始めた。

 

 

 

 

 孫策「・・・そっか・・・じゃあ、私の知ってる一刀は居ないんだ。」

 

 一騎「ああ・・・俺自体がイレギュラー・・・異常者なんだ。」

 

 孫策「あ〜あ、私の勘も鈍ったなぁ・・・」

 

 一騎「いや、その勘は当たらずも遠からずだぞ?だって・・・北郷一刀なら此処に二人いるんだからな。」

 

 孫策「・・・あはははははは!そっか、そうよね。確かに。」

 

 一騎「それで・・・君は北郷一刀に会う為だけに連合を抜けて来た・・・で良いんだね?」

 

 孫策「うん。そう言う事。」

 

 一騎はそのまま頭を抱えてしまった。

 

 一騎「本当に君は・・・自由奔放と言うか。孫呉独立は如何したんだ?」

 

 孫策「それはもういいのよ。」

 

 一騎「もういい?」

 

 孫策はそのまま自分の心中を語って聞かせてくれた。

 

 孫策「私のいた所ではね、孫呉独立は成っているの。確かに私は志半ばで暗殺されちゃったし・・・心残りが無いって言えば嘘になる。でもね・・・一番の心残りは一刀と別れちゃったこと。それが一番の心残り。もしも一刀と一緒に居られるんなら、私は魏でも蜀でも、ましてや袁家だろうと、降ってやるわ。」

 

 一騎「君はそこまで・・・」

 

 孫策「ま、それも母さんが生きてるから言えることだけどね!」

 

 一騎「・・・はぁ、感動して損した気分だよ。」

 

 孫策「それでさ・・・私は、このまま捕まった方がいいのかな?」

 

 一騎「いや、このまま一緒に来な。それが君の望みなんだろう?」

 

 孫策「いいの?」

 

 一騎「ああ。ようこそ、ケ艾旅団へ。」

 

 こうして一騎は孫策と言うもう一人の記憶持ちを仲間にする事に成功した。

 

 孫策「あ、それと私の真名は雪蓮よ。よろしくね。」

 

 一騎「ああ、分かったよ雪蓮。俺の事は一騎で頼む。説明した通り、この外史の本当の天の御使いは劉北だからな。」

 

 雪蓮「分かったわ!それにしても一刀が二人とか・・・面白いかも!今度二人で閨の・・・」

 

 一騎「却下。そんなイケない子は俺の鍛錬に付き合わせるぞ?」

 

 雪蓮「なんだろう、それは死ねるって私の勘が警鐘を鳴らしているんだけど・・・」

 

 一騎「さすがは江東の小覇王、良い勘してる。」

 

 雪蓮「どんなことさせられるの!?」

 

 すぐになじむ雪蓮に苦笑しながら一刀、凪に雪蓮を改めて紹介して虎牢関へと帰る事になった。

 

 一騎「藍はこの場に残ってくれ。魔物が出たら君が直接戦い、人の軍勢なら君が指揮をとり皆が戦う。こう言う形でやってくれ。」

 

 藍「はい。分かりました。」

 

 沂水関守備隊「「「「「ご武運を!!!!」」」」」

 

 一騎「ああ!」

 

 こうして、一騎達は虎牢関へと帰還した。この間13時間の出来事であった。

 

 

 

 

 沂水関迎撃殲滅戦、戦線報告。

 

 

 味方、沂水関守備隊総勢3千、内生存1千2百。

 

 敵、総勢8千。内訳、ゴブリン5千(ゴブリン3千、ゴブリンアーチャー1千5百、ゴブリンリーダー5百、)、コボルト1千、オーガ5百、トロル5百、リザードマン1千。以上全数完全消滅。消滅者ケ艾士載。決まり手『マスタースパーク二式』

 

 この記録は沂水関の兵の心の中に記憶され、公式では連合の非道な策により兵に損害が出たが、ケ艾士載の機転によりなんとか被害を抑えられたことになった。

 

 

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 あとがき(その頃の月と詠)

 

 

 

 月「ねえ、詠ちゃん。聞いていい?」

 

 詠「何?」

 

 月「詠ちゃんは一刀さんを好きなの?」

 

 詠「・・・・・・・・・はぁ?」

 

 月「だって、詠ちゃん・・・何時も。」

 

 詠「ちょっと待って、月勘違いしてる。私は一刀はどうとも思ってない。」

 

 月「え?だって、この前だって寝所で一刀さんの名前を呼びながらもぞもぞ・・・」

 

 詠「わー!わー!わー!!!!!何覗いてんの!?月、そこまで馬鹿なの!?大体一刀じゃないし、一騎だし!!!・・・・あ。」

 

 月「・・・あ、そうだったんだね。そっか、確かに一騎さんもカッコいいもんね?優しいし、現実見てるし、頭いいし、もう完璧って言っても良いし・・・」

 

 詠「///////////////」

 

 月「でも・・・年上だよ?」

 

 詠「そ、それが何よ!ゆ、月だって・・・童顔好きじゃない!」

 

 月「へぅ!?詠ちゃんそれ言っちゃう?それ行っちゃったら一騎さんも年の割に幼顔だよね!」

 

 詠「か、一刀ほどじゃないわよ!大体女の子ってだけで鼻の下伸ばす一刀の何処がいいのよ!ただのエロスじゃない!」

 

 月「一刀さんはそのエロスが良いんだよ!」

 

 詠「月が変態思考だったことに今度は驚きよ!?」

 

 月「一騎さんはどうなの!?」

 

 詠「一騎はそこまでエロスじゃないわよ!?」

 

 月「同一人物って一騎さん言ってたじゃない!」

 

 詠「それでも人生経験が違うわよ!良いじゃない大人の魅力よ!」

 

 月「詠ちゃんがオジサン好きだったのが私は驚きだよ!?」

 

 二人「「はぁ、はぁ、はぁ。」」

 

 詠「結論は・・・二人とも男の趣味が特殊って事ね。」

 

 月「そ、そうだね・・・でも・・・」

 

 二人「「何時手を出してくれるんだろうなぁ・・・はぁ。」」

 

 なんともはや・・・これはこれは。一刀と一騎モゲロ!!!!!!

 

説明
ははは、続けていくぞ〜〜〜〜!!!
では本編どうぞ
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タグ
恋姫†無双 咎旅 一刀 

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