咎を受けし御使いの最後の旅〜二人の御使いと二人の劉備〜
[全5ページ]
-1ページ-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 咎を受けし御使いの最後の旅〜二人の御使いと二人の劉備〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-2ページ-

 

 

 

 

 

 

 

水関防衛線、蠢く人外

 

 

 

 

 

 

 

 

-3ページ-

 

 

 一騎達が沂水関戦を完勝して一週間が経った。水関では散発的な攻撃があるものの、本格的な攻城は行われていなかった。

 

 華雄「それにしても、何やら気持ちが悪いな。予想では私辺りを挑発して来ると踏んだのだが・・・」

 

 柊「その予想が立てられるぐらい頭がよくなったんだね・・・お姉さん嬉しいよ(ヨヨヨ)」

 

 華雄「・・・馬鹿にしているだろう?」

 

 柊「馬鹿にしてないとでも?」

 

 バチバチバチバチ!!

 

 沁「何でお前らそんなに仲悪いんだよ・・・」

 

 桃香「違うよお兄ちゃん、仲が良いからあんななんだよ。」

 

 沁」「そうだったのかー」

 

 緩い攻撃の所為か将達の気もかなり緩んでしまっているが、そこは歴戦の猛者である沁が居るので大丈夫だろうというのが後ろで眺めている星の見解だった。

 

 星「それにしても・・・この大人しさは気味が悪い。何を考えている?袁紹。」

 

 霞「そうやなぁ、すぐにでも孫策辺りが華雄を挑発に来ると踏んだんやけど・・・あ、そう言えばまだ孫堅が生きてたなぁ。来るとしたらそっちなんかなぁ?」

 

 星「どちらにしろ、華雄を止めねば我等に勝機は無いだろう。」

 

 霞「そうやなぁ。」

 

 そんな事を話している矢先、虎牢関から伝令が入った。

 

 伝令兵「申し上げます。」

 

 霞「どないしたん?」

 

 伝令兵「虎牢関のケ艾様より伝令。沂水関に連合の手の者と思われる異形の集団が襲撃。被害多数出るもケ艾様ご自身が出向き殲滅。水関側も注意されたし。とのことです。」

 

 霞「なんやと!?それで被害は?」

 

 伝令兵「ケ艾隊1千は被害は軽微だったらしいのですが・・・その・・・」

 

 霞「どないしたん?」

 

 伝令兵「雷厳殿が・・・お亡くなりになりました。」

 

 霞「・・・あ、アホぬかすな。あいつはウチの隊でも腕ききで・・・一騎に預けてから実力も上がってて・・・それで・・・死んだ?あ、あいつの家族はどないすんねん・・・」

 

 その報告を聞くや否や霞は膝をつき涙を流していた。

 

 星「霞・・・今は涙を拭け。私もあ奴の祝言には同席した。酒を飲み交わし馬鹿騒ぎもした・・・だから気持ちは分かる。だからこそ今は・・・戦の事を考えるのだ。」

 

 霞「・・・・・・そう・・・やな。」

 

 霞は涙をぬぐうと立ち上がり、連合の方を睨みつけていた。

 

 霞「絶対・・・泣かしたる。」

 

 星「ああ・・・私もそのつもりだ。」

 

 二人のその誓いは伝令兵の耳にのみ届き、蒼天へと溶けていった。

 

 

 

 華雄「む?劉戯、劉備、あれは誰だと思う?」

 

 沁「ん?ありゃあ・・・赤いなぁ。」

 

 桃香「赤いねぇ・・・真赤だねぇ・・・」

 

 華雄「・・・あれは・・・孫・・・文台ぃ!!」

 

 その瞬間、空気が張り詰めたのが判った。沁はそのまま華雄の肩をつかみ落ち着かせる。

 

 沁「華雄、お前の怒りはそのまま胸に秘めておけ!その怒りのままでてったら今までの苦労が水の泡だ!」

 

 桃香「そうですよ華雄さん!月ちゃんを守るためには時間を稼がないと!!」

 

 華雄「分かって、いる!!時間を稼ぎ、我等は董卓様が、長安への、逃げる時間を、稼ぐことだと!!!」

 

 華雄は歯を噛み締め、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。その節々に怒りをにじませながら。だが、その我慢すらあざ笑うかのように孫堅の挑発が関中に響く。

 

 孫堅「我が名は孫堅、揚州が州牧袁術の客将にして、かの孫武の末裔なり!この戦にて要らぬ犠牲を出さぬために一騎打ちを所望せし者だ!!誰ぞ我と武を競わんとする者はいるか!!・・・・・・居らぬのか?華雄よ!お前はどうだ?それともお前は私には勝てないと認めるか??そうなのか・・・私としてはお前で無くてもいいのだがな。むしろ他の者が良い。張遼はどうだ?劉の旗を掲げた者は?趙の旗の者でもよいぞ!華雄よりは幾分かはマシだろうからな!!」

 

 華雄「・・・・・・・・・ぐぅ!!!!!」

 

 華雄はそれでも歯を食いしばる。唇を噛み切ったのだろうか、口角から血がたらりとたれる。

 

 孫堅「ほう・・・誰も出てこぬとは、董卓軍の将兵は臆病者と見える。これは連合の勝利は決まったも当然か?臆病者が勝利を刻むことなどありはしないのだからな!!野戦ならまだしも、関に籠り、亀の様に縮こまっていては勝てる物も勝てまい!!本当に残念だ、自ら勝利の可能性を捨てるとはな!!!貴様等の武はその程度の取るに足らない物だったと後世に語り継いでおいてやるから安心しな!!!」

 

 華雄「・・・・・・・・・がああぁああああ!!!!!!!!!ころ・・・・す・・・・殺して・・・やるうぅぅぅぅ・・・・・!!!!!」

 

 沁「華雄・・・お前そこまで・・・」

 

 華雄「駄目だ・・・董卓様の為・・・その為の・・・策・・・・・・私が・・・ぶち壊すことなど有ってはならないぃぃぃぃぃ・・・・・・!!!!!」

 

 華雄の手は強く握られ、その拳からは血が滴り落ちる。彼女にとって武とは己自身であり、それを貶されるという事は己自身を貶されるのと同義なのだ。それでも彼女は歯を食いしばる。

 

 華雄「劉北にも誓ったのだ・・・必ず如何なる挑発にも耐えると!!その為にケ艾殿に徹底的にけなして貰い、璃々にも馬鹿にしてもらいながら、耐える事を学び続けたのだ!!!この程度・・・璃々の・・・璃々の無垢な毒舌に比べたらぁぁぁァァァァァァあ!!!!!!!!!!!!!」

 

 耐え方にいささか問題があるようにも聞こえるが、聞いてる者が耳を塞ぎたくなるようなことを璃々ちゃんは華雄に発していたらしいので、そこは察して頂きたいものだ。

 

 沁「・・・終わったようだな。華雄、言い返して来い。その怒りを今度は言葉に乗せて付き返して来い。」

 

 華雄「はぁ、はぁ、はぁ。ああ・・・任せろ。」

 

 そうして、華雄は城壁から顔を出し、孫堅に返答を叫び出す。

 

 華雄「孫文台!あの時は貴様にしてやられたが、今度はそうはいかん!貴様・・・焦っているな?足並みそろわぬ連合、攻め落とせる気もせぬ関、そして何より馬鹿にしている私が守るこの関を、お前自身が落す事が出来ぬという事実に貴様は焦っているのだ!どうだ?図星だろう??悔しかったら此処まで跳んできたらどうだ??出来ぬだろう!我が武は最早董卓様の物、私自身が好き勝手振るえる物では無い!!孫文台よ、貴様は知るだろう、我が軍は貴様ら如きでは抜く事が出来ぬ!それを此処でしかとその身、その魂に刻むがいい!!!」

 

 そう言い残し、華雄は関の奥へと帰っていった。その後、すぐに矢の雨を孫堅に向けて斉射した。勿論届かない距離だが、出る気は無いから帰れという水関の返答でもあった。

 

 沁「華雄、よくやったな。」

 

 桃香「華雄さん・・・かっこよかったです!尊敬します!さすが華雄さんです!!」

 

 華雄「むぅ・・・そう褒めちぎられるとこそばゆいな。だが・・・ありがとう。」

 

 こうして、華雄は因縁の相手の挑発を耐えきり、水関はそれからひと月の間まったく微動だにせず、守りを徹底させた。そう・・・戦端が開かれてから二月目までは。

 

 

-4ページ-

 

 

 華雄「なんだ・・・あれは。」

 

 あの挑発の日から一月とちょっと、華雄は決められた場所での哨戒活動を続けていた。だが、連合の方向から感じられた違和感に目を凝らすと、何やら連合の陣営で動きがあった。

 

 華雄「・・・まさかあれは報告にあった!」

 

 華雄は確認するや否や近くに設置していた警鐘を一心不乱に叩きだす。

 

 華雄「全軍迎撃用意!敵襲、敵襲、敵襲―――!!!!!!!」

 

 カンカンカンカンカンカンカン!!!!!

 

 その音は水関の絶望の始まりだった。

 

 

 

 沁「こいつは・・・まずいな。桃香、華雄、星、霞、撤退準備だ。全力で逃げるぞ。」

 

 華雄「く・・・それしかないのか。」

 

 桃香「あれは一騎さんじゃなきゃ倒せないよ!」

 

 星「口惜しいな。だが、それしかない。ただ問題は・・・」

 

 霞「誰が殿をするか・・・やな。」

 

 柊「・・・此処は守りと言うより往なすことを考えて・・・霞、お願い。」

 

 霞「・・・分かった。一応、一騎からもろた天龍がウチにはある。それなら多少あいつ等に傷を負わせることもできるやろ。」

 

 柊の采配はこの時点で間違ってはいない。むしろ最善である。ただ、華雄にも意地があった。

 

 華雄「私も残る。」

 

 柊「何言ってんの!?それじゃあ殿を残す意味なんて無いじゃない!」

 

 華雄「・・・張遼はケ艾殿にとって決して失ってはいけない人物の一人なのだろう?私はあの方に恩がある。此処まで私が精神的に強くなれたのはあのお方のおかげだ。だから・・・頼む“柊”。」

 

 彼女が真名を呼ぶ。それは華雄自身の矜持を捨ててでも成さなければならないこと。そう彼女が判断したということだ。

 

 柊「・・・華雄。馬鹿、あんた本当に馬鹿よ。いい?霞と一緒に必ず生きて帰ってきなさい。じゃなきゃ・・・許さないんだから・・・あんたの事を後世に酷い風評で名を残してやるんだから!!」

 

 華雄「ふ、それは私の武の誇りが許さん。必ず戻ると誓おう。この名と、武と、そして・・・((戦友|とも))の為に。」

 

 こうして、水関のほとんどの将兵は虎牢関へと撤退を開始した。

 

 

 

 

 霞「・・・なあ華雄、本当は何で残ったん?」

 

 華雄「・・・馬鹿だな。それこそお前の為だ。」

 

 霞「ウチの?」

 

 華雄「ああ、言っただろう。“((戦友|とも))の為”と。」

 

 霞「・・・本当に、変わったなぁ。華雄。」

 

 華雄「ふ、それこそお前たちのおかげだ。だからこそ、生きて帰るぞ。“霞”。」

 

 霞「!?・・・・・・応、『天麟』展開。」

 

 ガァン。ザアアアアアアアアァァァァァァァァァ。

 

 霞は天龍偃月刀の柄で地面を叩くと、その柄の部分から光に照らされ鈍く光り輝く鱗状の刃が無数に空中に舞い始める。

 

 霞「・・・張遼隊、全力で“人間”の相手をせい。ウチは“人外”を相手にする。」

 

 張遼隊「「「「「応!」」」」」

 

 華雄「持ってくれよ、金剛爆斧。華雄隊、お前らも同じだ。私も人外の相手をする。」

 

 華雄隊「「「「「応!」」」」」

 

 二人「「この一戦に、我等の身命を賭す。この一戦が我等の聖戦と心得よ。全軍・・・突撃ぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!」」

 

 こうして、水関撤退戦の戦端が開かれた。

 

 

-5ページ-

 

 

 

 あとがき

 

 

 さて・・・此処でまたどこかの陣営の話と思ったか?そうではないのだよ!

 

 一刀「遂にやらかしたよな?」

 

 はい、やらかしました。

 

 一刀「モンスターとかどうするんだよ。収拾付かないよ。」

 

 走り切るつもりです。

 

 一刀「そうか・・・責任持てよ?」

 

 外史紡ぎみたいな真似はしません。

 

 一刀「それを聞けて安心した。なら・・・あれをどうにかしてやれ。」

 

 ・・・・・・・・・羽生!!俺が悪かった!!だからその禍々しく黒く染まった剣を下げてもらえませんか!?!?!?

 

 

 

 

 

 

 

 一刀「あいつも大変なんだよ。皆察してやってくれ。」

 

 華琳「貴方もね?」

 

 一刀「最後に皆に言っておく・・・これが持てる男の業だ。」

 

 

 

説明
怒涛の三連投
それではお楽しみください。・・・・・・・・・あとがきを?
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
2131 1645 15
コメント
黒鉄刃さん<勿論出番は考えてますよ?実際まだ半分も終わってない・・予定ですし? 一刀「あくまで予定なんだな?」 後ろの羽生が怖いんだもん仕方ないじゃない。(ユウヤ)
人外が相手ならサーヴァント夫婦も出すのかな?(黒鉄 刃)
M.N.F.さん<展開されるのは鬼斬柳桜(黒)だ。あれは肉体は切れないが・・・精神をズタボロにするんだよ。だからね・・・だから羽生、その剣をしまってくれって言ってるだろう!?やめ、いや、うにゃああああああああああああああああああ!!!!!(ユウヤ)
あとがきにて炸裂する羽生マジック・・・((((;゚Д゚))))(M.N.F.)
タグ
恋姫†無双 咎旅 

ユウヤさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。


携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com