英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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〜シュバルツァー男爵邸〜

 

「へ……」

「騎士?」

(とても綺麗な方ですわね……)

(あ、ああ……あのクレア大尉すら見劣りするほどだぞ……?)

(……しかもあの騎士、滅茶苦茶強いね。サラやシャロンも軽く越えているクラス。)

(そうですわね……わたくしどころか、レーヴェ様でも正直厳しいと思われる相手ですわ。)

女性騎士の登場にエリオットとセリーヌは呆け、セレーネとマキアスは小声で会話し、フィーとシャロンは真剣な表情で女性騎士を見つめ

「あ、貴女はシグルーン副将軍閣下!?どうして閣下ほどの方がこちらに……」

「ほえ?リィンはその騎士の人、知っているの?」

「おい、リィン!まさかその名前って、以前話していた……!」

驚いているリィンの言葉を聞いたミリアムは首を傾げ、ある事を察したトヴァルは信じられない表情で女性騎士を見つめた。

 

「―――お初にお目にかかります。リフィア皇女殿下親衛隊副長にしてカドール伯爵の妻、シグルーン・カドール中将と申します。以後お見知り置きを。」

するとその時女性騎士―――シグルーンは会釈をして可憐な微笑みを浮かべ

「ええっ!?ちゅ、”中将”……!?」

「と、父さんやあのゼクス中将と同じ階級で貴族の人……!?」

「しかもリフィア殿下の親衛隊の副長を務める方ですか……それ程の人物が一体何故ユミルに?もしやメンフィル帝国からの派遣する防衛部隊が到着したのですか?」

自己紹介でシグルーンの階級を知ったアリサとエリオットは驚き、クレア大尉は真剣な表情でシグルーンに尋ねた。

 

「いえ、残念ながら防衛部隊の到着はもう少し先になります。私(わたくし)が本日こちらに参上したのはシュバルツァー卿が目を覚まされた件を知った殿下の代わりにお見舞いに参ったのです。」

「そうでしたか………シュバルツァー男爵家の当主、テオ・シュバルツァーと申します。何のおもてなしもできず、このような姿でのご挨拶となり、誠に申し訳ありません。」

シグルーンの話を聞いたシュバルツァー男爵はシグルーンに視線を向けた。

 

「私の事はどうかお気になさらず、今は御身の御身体の回復に務めて下さい。―――シュバルツァー卿。此の度は誠に申し訳ございませんでした。私達―――メンフィル帝国の判断が甘かったせいで、ユミルの民達に命の危機に陥らせ、御身や奥様が危害を加えられた挙句大切なご息女まで拐かされてしまいました。お忙しいリフィア殿下に代わり、謝罪を申し上げます。―――申し訳ございませんでした。殿下も時間ができた際、自ら謝罪に参ると仰っていましたので、その時に殿下が改めて御身に謝罪をなさるでしょう。」

シグルーンはシュバルツァー男爵を見つめて頭を深く下げた。

「……私の事はどうかお気になさらないで下さい。このような事になってしまったのは全て私の不徳の致すところですから、メンフィル帝国やリフィア殿下の責任ではございません。お手数ですがリフィア殿下達にもそうお伝えください。」

「お気遣いありがとうございます。それと誘拐されたエリスさんの件についてですが、エレボニア帝国各地に散っている諜報部隊からの報告によると監禁場所の候補が絞れ、数日以内にはエリスさんの監禁場所を確定できそうとの事ですので、監禁場所がわかり次第我らメンフィル帝国軍がエリスさんの救出の為の具体的な作戦を立て、必ずやエリスさんを奪還致しますのでどうかご安心を。」

「な……っ!?」

「オ、オイオイオイ……!?諜報部隊が活動し始めてまだ1週間くらいしか経っていないのに、もう候補まで絞れているのかよ!?」

「ほえ〜……ボク達情報局でもそんなに早く見つけられないと思うよ?相変わらずメンフィルって凄いね〜。」

シグルーンの答えを聞き、メンフィル帝国の諜報部隊の予想以上の速さの動きにクレア大尉とトヴァルは信じられない表情をし、ミリアムは呆け

「どこですか!?エリスはどこに監禁されているのですか!?」

リィンは血相を変えてシグルーンに詰め寄って尋ねた。

 

「兄様。シグルーン様の説明をちゃんと聞いていましたか?まだ”候補”ですから、エリスの監禁場所はわかっていませんよ?」

「あ…………早とちりをして、閣下に失礼をしてしまい誠に申し訳ございません。」

しかしエリゼに指摘されるとすぐに頭を冷やしてシグルーンから距離を取って頭を下げ

「フフ、心から大切にされている”家族”であるエリスさんが誘拐された事によって、彼女の身を心配して焦っている貴方の気持ちも十分理解しておりますので、どうかお気になさらず。」

「……寛大なお心遣いありがとうございます。」

優しげな微笑みを浮かべるシグルーンの答えを聞き、会釈をした。

 

「シュバルツァー卿、ルシア夫人。我らメンフィル帝国、必ずや卑劣にして愚かなるエレボニア帝国の魔の手からエリスさんを無事救い出し、シュバルツァー家の元にお返ししますので大変申し訳ないのですがもう少しだけ、ご辛抱をお願いします。」

(”卑劣にして愚かなるエレボニア帝国の魔の手から”って…………)

(い、幾ら何でも言い過ぎだよ……)

(悪いのは全部貴族連合なんだぞ……!?)

(……シグルーン中将閣下――――メンフィル帝国の言い分は何一つ間違っていません。”エレボニア帝国がメンフィル帝国領を襲撃し”、エリスさんを誘拐したのは”事実”なのですから……)

男爵夫妻に敬礼をするシグルーンの口から出たエレボニア帝国に対する棘のある言葉を聞いたアリサやエリオットは不安そうな表情をし、マキアスは唇を噛みしめてそれぞれ小声で会話し、クレア大尉は辛そうな表情で3人に答え

「……よろしくお願いします。」

シグルーンに敬礼をされたルシア夫人はアリサ達に視線を向けて複雑そうな表情をした後すぐに気を取り直して頭を深く下げ

「どうかよろしくお願いする。そしてリィンと”Z組”の諸君。できれば……皇女殿下を……」

シュバルツァー男爵は頷いた後再び眠り始めた。

 

「あ……」

「眠っちゃったみたい。」

「まだ、完全に体力が戻っていないようですから。郷の皆さんに顔を出せるのはもう少し先になるでしょうね。」

「そうですか……」

「父様……」

ルシア夫人の話を聞いたリィンとエリゼは残念そうな表情でシュバルツァー男爵を見つめた。

 

「まあ、仕方ないだろうな。」

「わたくしも色々とお手伝いさせていただきますわ。メイドとして、力になれることはいくらでもありそうですし。」

「ふふ、ありがとうございます。とにかく皆さん、明日一日はしっかりと体を休めるのですよ。」

「……ええ、わかりました。」

「どうか奥様も無理をなさらないでください。」

「フフ、ありがとうございます。エリゼとシグルーン中将閣下も泊まっていかれますか?」

アリサの言葉に微笑んだルシア夫人はエリゼ達に視線を向けて尋ねた。

 

「いえ、父様の状況を確かめる為に来ただけですので、私達はこれからまた本国に戻り、それぞれの職務に戻らなければなりませんので今夜はこれで失礼します。」

ルシア夫人の問いかけにエリゼは静かな表情で答え

「……シグルーン中将閣下。一つだけご質問があるのですがよろしいでしょうか?」

「クレア?何を聞くのー??」

シグルーンを見つめて尋ねるクレア大尉の様子を見たミリアムは首を傾げた。

 

「失礼ですが貴女は何者ですか?見た所プリネ皇女達が通われている学院のクラスメイトや教官の方には見えませんが。」

「ハッ。ご挨拶が遅れて申し訳ございません。エレボニア帝国軍鉄道憲兵隊大尉クレア・リーヴェルトと申します。現在は様々な事情によってこちらに滞在させて頂いており、ユミルの防衛を手伝わさせて頂いています。」

シグルーンに尋ねられたクレア大尉は敬礼をして自己紹介をした。

 

「そうですか、ユミルの防衛を手伝って頂いている事に関しましてはメンフィル帝国を代表し、感謝致します。それで私に聞きたい事とは何でしょうか?」

「…………単刀直入に聞きます。メンフィル帝国はエレボニア帝国との開戦を決定したのでしょうか?トヴァルさんから中将閣下の事を少々お聞きしました。中将閣下はメンフィル帝国軍の中でも相当高い地位についている事に加えて”伯爵”の爵位をお持ちであるとお聞きしていますので、そう言った政(まつりごと)の情報にも詳しいかと愚考しています。」

「あ…………」

「………………」

シグルーンへの質問にリィンは呆け、セレーネは不安そうな表情で仲間達と共にその様子を見守っていた。

 

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と言う訳で以前話に出て来たメンフィル陣営のオリキャラの一人が登場です!なお、前にも書いたと思いますがFEシリーズの”シグルーン”とほぼ同じ姿だと思って下さい。違うのは人間ではなく異種族の混血児という設定や魔術を扱える事くらいだと思います。ちなみに私は暁を何周してもシグルーンはレギュラーメンバーに入れてました。何故かって?それは歴代ペガサスナイト達の中でも美人すぎるから!(オイッ!)それとメンフィル帝国の諜報部隊が何故そんなに優秀なのかはこっそり捕まえた領邦軍の兵士を拷問したり、諜報部隊に所属する睡魔達が領邦軍の兵士の上官達を”睡魔ならではの方法”で籠絡して、情報を手に入れているからですww実際エウシュリーの作品にも睡魔……というか”あの魔術”を使ったスパイ行為とかそれなりに見かけたと思いますww

説明
第353話
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コメント
本郷 刃様 それに関しては次回です K’様 復帰は確実に原作より早いですwwその代わりエレボニア帝国側は犠牲者が滅茶苦茶出ますが(黒笑)(sorano)
冥色でも睡魔による霍乱行為とかありましたね。しかしエリス(原作ではエリゼ)の復帰は原作よりも早いと見ていいんですかね?(K')
やはりシグルーンでしたか、クレアの問いかけにどう答えるのかが気になります・・・(本郷 刃)
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