孤高の御遣い 北郷流無刀術阿修羅伝 君の真名を呼ぶ 9
[全1ページ]

左慈「くそっ!!役に立たん奴らだ!!」

 

于吉「まさかここまでやって討ち取れないとは、どうやら我々は彼女達の力を過大評価していたようですね・・・・・」

 

いつまで経っても一刀に決定的なダメージを与えられない恋姫達に左慈と于吉はしかめっ面を隠せなかった

 

左慈「このままでは、双方共に致命傷を与えないまま終わってしまいそうだ、龍の方も戦果は全く出ていないようだからな・・・・・于吉!今すぐにでも介入して場を掻き乱して来い!」

 

于吉「まぁそう慌てる事もありません、どうやらまだ後がつかえているみたいですからね、それが終わってからでも遅くは無いでしょう、ここは一つ、彼女達には少しでも北郷の体力を削る捨て駒になっていただきましょう」

 

左慈「ちっ!じれったい!・・・・・いつになったらこんなうざったらしい管理者生活からおさらば出来るんだ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍奈「はあっ!!」

 

ガチイイイイイイイン!!!

 

葵「ぐうおっ!!!?なんつう力だ、こりゃ俺や恋以上だ・・・・・」

 

凪「うぐううううううう!!」

 

龍奈の尻尾に捕まり激しく首を締め付けられる凪

 

余りに力強い締め付けに全身の氣を総動員しても外せなかった

 

桔梗「凪を離せ!!うおおおおおおお!!!」

 

ドゴンドゴンドゴン!!!

 

龍奈「ちっ!」

 

豪天砲の弾丸を受け、その反動で凪は龍奈の尻尾から解放された

 

凪「ごほっ!!ごほっ!!・・・・・ありがとうございます、桔梗さん・・・・・はああああああああ!!!」

 

ズババババババババ!!!

 

全身から氣を迸らせ、自身の格闘術の持てる全てを使って龍奈に殴打の嵐を浴びせ掛ける凪

 

龍奈「ふんっ」

 

そんな凪の繰り出す暴風雨を龍奈はまるでそよ風の如く躱していく

 

龍奈「しっかり受けなさい、じゃないと死ぬわよ」

 

凪「え!?うわっ!!!」

 

ギャリンッ!!!

 

凪「うぐあっ!!!」

 

そして、自身の爪を鋭く尖らせ、凪に突き立てる龍奈

 

右の閻王で受けるも、まるで日本刀のような切れ味の爪は閻王を切り裂いた

 

恋「凪、離れて!!」

 

凪「うぅ・・・・・恋様・・・・・」

 

恋「ふっ!!!」

 

ブオオオオオオオオオ!!!

 

凪を庇う形で龍奈に龍滅金剛刀の斬幕を叩き込む

 

ギャインッ!!

 

龍奈「くっ!」

 

刃が自身に届きそうになり爪で受けるも一刀両断にされてしまった

 

龍奈「(やっぱりあの剣はやっかいね、私にとっては天敵だわ)」

 

無理に受ける事は止めて回避に専念する龍奈

 

龍滅金剛刀の軌道を読む事に神経を尖らせ、恋の動きに注意する

 

華佗「凪、大丈夫か!!?」

 

その隙に華佗が凪に寄り添う

 

凪「だ、大丈夫です・・・・・まだ、やれます・・・・・」

 

華佗「何を馬鹿な事を言ってるんだ!?これは骨にまで達しているぞ!?」

 

右腕から流れ出す血の量は、紛れもない深手である事の証だった

 

桔梗「くそっ!!よくも凪を!!うおおおおおお!!!」

 

ドカンドカンドカンドカン!!!

 

龍奈「うわっ!!?」

 

直接体を狙っては受けきられてしまう為、桔梗は龍奈の足元に豪天砲の弾を撃ち込む

 

衝撃により飛散した石や砂利が龍奈の視界を僅かに歪ませる

 

恋「今!」

 

葵「くらえ!!」

 

その隙を突き、恋と葵が追撃を仕掛ける

 

龍奈「ふっ!!」

 

ギャリイイイイン!!!

 

なんとか葵の戦皇刀姫を尻尾で受流し、恋の龍滅金剛刀を躱す

 

葵「くっ!もうちょいだったぜ」

 

恋「・・・・・もう少しで、届く」

 

凪「お待たせしました!!」

 

桔梗「凪!!大事無いのか!!?」

 

凪「はい、華佗さんに治してもらいましたので!!」

 

華佗「本来なら暫く安静にしていないといけないんだがな、そうも言っていられん」

 

そして、華佗に癒された凪が戦線復帰する

 

しかし

 

龍奈「ちょっと、この服は一刀から貰ったものの中で一番気に入っているものなのに」

 

先ほどの桔梗の攻撃によりチャイナ服の一部が破れてしまっていた

 

龍奈「・・・・・カチ〜〜〜ンと来ちゃったわね」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

葵「っ!!?来るぞ!!」

 

恋「っ!!!?」

 

桔梗「ぐっ!!なんという悍ましい覇気じゃ・・・・・」

 

華佗「何かしてくるぞ、気をつけろ!!」

 

凪「・・・・・・・・・・」(ぶるるるっ)

 

体をユラユラさせながら見下すように睨む龍奈の瞳が怪しく光る

 

殺気を滲ませながら近付いてくる龍奈に5人は戦慄する

 

龍奈「・・・・・っ」

 

そして、おもむろに龍奈は自身の服を脱ぎだす

 

凪「・・・・・何をしているんですか?」

 

桔梗「おいおい、自分の体の自慢でもしたいのか?」

 

恋「・・・・・?」

 

葵「へぇ、惚れ惚れする様な体だな♪」

 

華佗「龍の体の構造、調べてみたいぜ♪」

 

そして、下着も全て脱ぎすっぽんぽんになる龍奈

 

龍奈「何か勘違いしているみたいね、服が邪魔になったから脱いだだけよ、それにこれは一刀からの送りものだから破りたくないのよ」

 

そして、服と下着を綺麗に畳んで地面に置いた直後、龍奈の体から淡い光が漏れだす

 

葵「な、なんだ!!?」

 

その光が一瞬眩い閃光になり5人の目を眩ませる

 

葵「・・・・・おいおいおいおい」

 

恋「っ!!??」

 

華佗「な、なんだと・・・・・」

 

凪「あ、ああああ・・・・・」

 

桔梗「間違いない、こやつは蜀の悪龍、ヴリトラじゃ・・・・・」

 

閃光により閉じた目が再び開かれると、そこには見るも禍々しい巨大な龍がいた

 

龍奈「私をこの姿にさせた以上、五体満足で帰れるなんて思わない事ね」

 

龍の姿になっても可愛い声のままだが、それがかえって恐怖を引き立てる

 

桔梗「くっ!!悪龍め、成敗してくれる!!!」

 

龍奈「お前達にどう思われたって構わないわ、私は一刀にさえ愛されればそれでいいんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「・・・・・で、今度はそっちの番なんだろ、気の済むまで相手をしてやるよ」

 

霞達を下した一刀は、後衛の雪蓮達と向き合っていた

 

焔耶「くっ!舐めやがって!」

 

純夏「さっきと同じと思わないでよ!!」

 

春蘭「そうだ、お前の動きはもう見切った!!」

 

祭「次は後れを取らん!!」

 

悠「ようやく来たか♪待ち遠しかったぞ♪」

 

出番が来て臨戦態勢に入る5人だったが

 

雪蓮「皆、ちょっと待ってくれるかしら?」

 

冥琳「どうした、雪蓮?」

 

5人を制して前に出る雪蓮

 

雪蓮「・・・・・・・・・・」

 

何か思うところがあるのか、暫く言葉を出さぬまま一刀を見据える

 

一刀「・・・・・どうした?何か言いたいことがあるんじゃないのか?」

 

雪蓮「その前に顔を拭きなさい、人と話す時は相手の目を見て話すものよ」

 

先ほどの嵐の攻撃により目に血が入り視界を塞がれたため両目を瞑っている一刀

 

無刀術の戦闘装束の袖口で顔を拭い視力が回復した一刀は雪蓮を見る

 

一刀「・・・・・で、言いたいことは何だ?」

 

雪蓮「貴方、どういうつもりなの?貴方なら、ここにいる将全員をすぐにでも退けられるはずよ、なのにどうしてそれをしないの?」

 

一刀「言っただろ、俺は皆を傷付けたくないんだ、俺と龍奈の事は放っておいてくれればそれでいい・・・・・真名で呼んだ事をそこまで怒っているなら、俺も意地を張っていないで謝る・・・・・すまない」

 

冥琳「貴様!!今更何を言うか!!?」

 

純夏「そうよ!!散々無礼を働いておいて、虫のいい話よ!!」

 

雪蓮「いいえ、それについてはもうどうでもいいわ」

 

冥琳「な、何を言う、雪蓮!!」

 

祭「王の真名を勝手に呼ぶ事を許すなど、もっての外ですぞ!!策殿!!」

 

雪蓮「確かに何の能力も持たない虫以下の奴だったら、あたしも決して許しはしなかったでしょうけど・・・・・皆も見たでしょ、彼の実力を」

 

「・・・・・・・・・・」

 

雪蓮「あたし達をここまでコケに出来るんですもの、真名を預けるには充分過ぎる要素よ・・・・・でもね、いくら認めたからといっても罪は罪なのよ、罰しない事にはこちらの面目は丸潰れなのは、分かるわよね」

 

一刀「・・・・・・・・・・・・」

 

雪蓮「よって、貴方の願いを聞き入れる事は出来ないの、何が何でも捕まえて裁いてみせるわ」

 

一刀「・・・・・俺に課せられる刑はなんだ?」

 

雪蓮「そうね・・・・・死刑は無しにしてあげる、それだけの武をみすみす摘み取ってしまうのは惜し過ぎるしね・・・・・まぁ、最低でも強制労働は避けては通れないわね」

 

一刀「龍奈はどうなる?」

 

雪蓮「・・・・・正直、あれはどうにもならないわね、あたし達が裁けるのはあくまで人のみだし、ここで退治できるんならしたいところね」

 

一刀「そうか・・・・・ならますます雪蓮達には帰ってもらわないとな」

 

祭「なんだと!!?」

 

一刀「龍奈は俺と約束してくれた、俺を決して一人にはしないと!俺も龍奈と約束した、龍奈を決して一人にはしないと!だから皆には、俺達の住処から退場してもらう!」

 

焔耶「笑わせるな!!!勝手な事ばかり言いやがって!!!」

 

純夏「滅茶苦茶な事を言うな!!!消し炭にしてやる!!!」

 

春蘭「華琳様の真名を汚した事を悔やむがいい!!!」

 

悠「御託は良いから早くやろうぜ♪待ちくたびれちまった♪」

 

そして、それぞれの武器を構え一刀に挑み掛かろうとする4人だったが

 

「!!!??」

 

突然、眩い閃光が走り一同の目を眩ます

 

純夏「ちょっ!!?なにが起こったの!!?」

 

春蘭「恋達の所か、一体何が・・・・・ってなに!!!??」

 

閃光が晴れると、恋達の戦っている場所から巨大な龍が現れる

 

愛紗「あ、あれは!!!?」

 

鈴々「あ〜〜〜〜〜〜!!!ヴリトラなのだ!!!間違いないのだ!!!」

 

焔耶「まさか、本当に人間に化けていたなんて・・・・・」

 

一刀「龍奈、とうとう本気になっちまったのか・・・・・皆悪いけど直ぐに決めさせてもらう!」

 

悠「おいおい、そんな事言うなよ、楽しもうぜ♪」

 

一刀「ご要望には応えてあげたいが、龍奈がああなっちまったら止められるのは俺だけだ!あのまま行ったら恋や葵さんでもただでは済まない!死人が出るかもしれない以上、こっちも悠長な事言っていられない!」

 

春蘭「この期に及んでまだそんな事を言うか!!!」

 

そして、悠、純夏、焔耶、春蘭の四人が一刀に一斉に襲い掛かり、祭が援護に回る

 

思春「雪蓮様、ただ今戻りました!」

 

明命「仕掛けを施してきました!」

 

その時、別の任務中だった思春と明命が戻ってくる

 

冥琳「ご苦労だった!すぐに皆に加勢してくれ!あの人数では討ち取るには至らない!」

 

思春「はっ!」

 

明命「行ってきます!」

 

そして、思春と明命は鈴音と魂切を抜き一刀に向かっていった

 

冥琳「?・・・・・何をしているんだ、雪蓮!?」

 

しかし、雪蓮はその場を一歩も動こうとしなかった

 

予定では、雪蓮もここで参戦するはずだったのだが

 

雪蓮「冥琳、作戦変更よ」

 

冥琳「なんだ?変更とは?」

 

雪蓮「皆がやられたら、あたしが一人で彼に挑むわ」

 

冥琳「な、何を言っているんだ!!?無茶が過ぎるぞ!!」

 

雪蓮「もちろん、何も勝算が無いわけじゃないわ、あたしを信じて、冥琳」

 

冥琳「雪蓮・・・・・」

 

お互いの目を見つめ合う二人

 

その瞬間、一遍変わった空気が二人を包み込む

 

これはもしかしたら、断金の契りを交わした者同士にしか作る事の出来ないものなのかもしれない

 

冥琳「・・・・・分かった、その言葉を言った時のお前は、必ず何かをしてくれるからな」

 

雪蓮「ふふ♪よく分かってるじゃない♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狛煉「・・・・・ヒヒン」

 

森の茂みの中から心配そうに一刀の戦いを見つめる狛煉がいた

 

張済「狛煉!!ここにいたのか!!」

 

音々音「こんな所で何をしているのですか!!?この馬鹿馬は!!」

 

一同が戦いに気を取られている中で、張済と音々音は森の中を回り込み狛煉の回収に向かっていた

 

しかし

 

狛煉「ブルルル!!!ヒヒーーーーーーーーン!!!」

 

張済「お、おい!!どうしたんだ、狛煉!!」

 

音々音「おお、大人しくするのです!!」

 

まるで「馬鹿はお前達だ!!!馬鹿野郎共!!!」と言っているかのように、痛烈に威嚇してくる狛煉に二人は戸惑う

 

ガチンガチンガチン!!

 

張済「うわっ!!?いったい何があったんだ、狛煉!!」

 

音々音「ああ、危ないのです!!」

 

そして、二人に噛み付きかかる

 

音々音「どうなってるんですか、張済!!この馬はお前に懐いているんじゃなかったのですか!!?」

 

張済「私もこんな事初めてです!!本当にどうしてしまったんだ、狛煉!!」

 

狛煉「ブルン!!」

 

そして、二人を無視し狛煉は一刀の戦いを見守り続けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズガーーーーーーーーーン!!!!

 

葵「ぐううっ!!!・・・・・くそっ、ここまでの戦力差があるとはな・・・・・」

 

恋「うっ!!・・・・・凄く強い」

 

巨大な尻尾が叩き付けられ、衝撃により苦悶の表情を見せる2人

 

叩き付けられた地面は粉砕され、まともに食らえば一撃であの世行きである事を物語る

 

桔梗「おおおおおおおおおお!!!」

 

ズドンズドンズドンズドン!!!!

 

龍奈に向けて豪天砲を乱射する桔梗であったが、余りに俊敏な龍奈を捉えきれない

 

仮に当たったとしても、全て硬い鱗に跳ね返されてしまう

 

桔梗「くそっ!!そろそろ弾が尽きるぞ!!」

 

龍奈「躱さないと潰れちゃうわよ・・・・・それっ」

 

ドガーーーーーーーン!!!

 

華佗「ぐあああっ!!!・・・・・くそっ、この戦力なら勝てるとふんでいたが、甘かったな・・・・・」

 

凪「うぐあっ!!!・・・・・本当にこんな化け物に勝った人なんているのか・・・・・」

 

巨体であるくせに余りに素早い龍奈の動きに5人はついていけなかった

 

龍奈「危ないわよ」

 

ドゴーーーーーーーン!!!!

 

恋「くっ!!」

 

華佗「ぐおあっ!!!」

 

と、このようにわざわざ龍奈が攻撃宣言をしてくれているから、なんとかギリギリで躱せているのである

 

龍奈「弱いわね、5人がかりでその様なの?半年前に一刀と戦った時の方が圧倒的に歯応えがあったわよ」

 

葵「なんだと!!!?」

 

凪「あ、あの人が貴方を倒した人なんですか!!!?」

 

龍奈「あの時は、私も生理痛に苦しめられていたからね、それが無ければ結果はどうなっていたか分からないけど、それも一刀に治してもらったし、そもそもそれが無ければ一刀にも会っていなかったわけだし・・・・・今となっては、生理痛に感謝感謝よ♪」

 

華佗「生理痛だと!?あの時は、確か・・・・・」

 

桔梗「あの時、成都にこの龍がやってきて、その後・・・・・」

 

恋「・・・・・・・・・・」

 

半年前、自分達は確かにこの龍に襲われた

 

その時、誰かが一人でこの龍に立ち向かいこの龍を鎧袖一触にしてみせた

 

おまけに倒しただけでなく、龍の傷を癒し、蜀における伝説と大英雄と救世主の代名詞を決定付けた

 

しかし、その人物の姿と名前だけがどうしても思い浮かばない

 

まるで、その人物だけが思い出のアルバムから切り取られたかのような、あるいは墨汁で黒く塗り潰されてしまったような感じだ

 

あまりに不自然かつ不可解な記憶の矛盾に5人は戸惑っていた

 

龍奈「そんな事も忘れたの?やっぱりお前達に一刀の傍に居る資格は無いわね・・・・・安心しなさい、一刀は私が責任を持って幸せにしてみせるから、お前達は三国で仲良くやっていなさい、せいぜい同盟関係を崩さないようにする事ね」

 

「・・・・・・・・・・」

 

龍奈の言動は、一同の胸の内を掻き乱す

 

何とか思い出そうと躍起になるが、まるで頭の中に分厚い鋼鉄の壁でもあるようで、そこから先に進む事が叶わない

 

しかし

 

恋「・・・・・・・・・・」

 

恋だけが、龍滅金剛刀を地面に引き摺らせながら龍奈に歩み寄る

 

龍奈「あら、どうし・・・・・っ!!!?」

 

ギイイイイン!!

 

いきなり一瞬で間合いを詰めて来た恋の金剛刀の切先が龍奈の堅い鱗に掠り火花を散らす

 

凪「あ、当たった!!?」

 

葵「は、速い・・・・・」

 

龍奈「・・・・・・・・・・」

 

なんとか躱したものの、一瞬知覚出来なかった恋の動きに龍奈は驚きを隠せなかった

 

龍滅金剛刀は、龍奈の右脇の鱗を掠め切り傷を残していた

 

龍奈「・・・・・なによ、急にやる気出しちゃって、自分達が何をしたのかようやく思い出せたの?」

 

恋「(フルフル)・・・・・思い出せない・・・・・でも、恋にも分かる・・・・・絶対おかしいって・・・・・恋達は、大切な・・・・・とても大切な何かを・・・・・忘れてるって」

 

龍奈「・・・・・・・・・・」

 

恋「思い出そうとすると、頭が痛い・・・・・胸がチクチクする・・・・・ザワザワする・・・・・気分が悪い」

 

龍奈「ならとっとと帰りなさい、私と一刀の愛の営みを邪魔しないでくれるかしら?」

 

恋「(フルフル)・・・・・出来ない」

 

龍奈「ちょっと、さっきから言ってる事が支離滅裂なんですけど」

 

恋「恋も、訳が分からない・・・・・こんな事、初めて・・・・・でも、このまま帰ったら、恋は大切なものを失ってしまう・・・・・取り返せなくなる・・・・・そんな気がする・・・・・だから・・・・・」

 

そして、龍滅金剛刀を肩に担ぎ、恋は瞳を怪しく光らせる

 

恋「その為にも、お前にだけは負けられない、負けちゃいけないって恋の中の何かが叫んでる!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

龍奈「っ!!!?・・・・・さっきとは違うようね」

 

今までとは違った飛将軍が目の前に降臨し、龍奈は迎撃態勢に入る

 

葵「・・・・・へへっ、恋が頑張るって言うなら、俺が頑張らないわけにはいかないよな」

 

恋「・・・・・葵、大丈夫?」

 

葵「な〜〜〜に、恋だって似たようなものだろ?・・・・・それに・・・・・」

 

愛刀戦皇刀姫を振りかざし、言葉の続きを紡ぐ

 

葵「さっきの恋の気合いで、俺も火が付いちまった」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

艶美な笑みを浮かべ、葵の瞳も怪しく光るのだった

 

龍奈「!!!?・・・・・また厄介になって来たわね、一刀にはなるべく怪我をさせずに追い払えって言われているのに」

 

葵「そんな気遣いはもう必要ないぜ、全力で来な!!!」ゴゴゴゴゴゴゴ

 

恋「(コク)・・・・・来い」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

龍奈「そこまでご所望ならやってあげる、死んでも文句なんて言わない事ね・・・・・あ〜〜〜あ、後で一刀になんて言ったらいいのかしら?」

 

そして、場がより一層の緊張感に包まれる

 

華佗「凪、桔梗さん!!ここは危ない、離れろ!!」

 

凪「え、華佗さん!!?」

 

桔梗「華佗の言う通りじゃ!!ここを離れるぞ!!」

 

凪「しかし、桔梗さん!!」

 

桔梗「力になりたいと思う気持ちは分かるが、ワシらは足手纏いじゃ!!」

 

凪「・・・・・・・・・・」

 

華佗「ここは堪えろ、凪・・・・・悔しいだろうが、俺達の役目はここまでだ」

 

凪「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」

 

歯を食いしばり、悔しさと情けなさで押し潰されそうになる凪

 

なにせまるで役に立てなかったのである

 

この悔しさは何処から来るのであろうか

 

凪「・・・・・あ」

 

一番に思い浮かんだのは、記憶にない黒く塗り潰された人物だった

 

凪「(・・・・・私は・・・・・この人の・・・・・)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠「おりゃああああああああああああ♪♪」

 

自慢の俊足を生かし風月で一刀に襲い掛かる悠

 

一刀「ふっ!!」

 

全身に氣を纏い、縮地で悠の俊足に対抗する一刀

 

悠「うっひょ〜〜〜♪♪やっぱ良いぜ♪♪いきなりここまで体が熱くなったのは初めてかもしれないぜ♪♪」

 

一刀「そらどうも・・・・・うおっ!!?」

 

ズバーーーーーーーーーン!!!

 

悠と接敵中の一刀に春蘭の闘気の斬撃が襲ってきた

 

春蘭「ちっ、外したか・・・・・チェーーーーーストーーーーーー!!!」

 

その後も連続で斬撃を浴びせ続ける

 

しかし、一刀はそれらの斬幕を躱していく

 

一刀「(俺の事は忘れているくせに俺が教えた掛け声は覚えているのかよ)」

 

どうやら失っているのは、一刀そのものと一刀に関連したものの一部分の記憶であるようだ

 

そして、悠と連携する形で二人の忍が参戦する

 

悠「おりゃあああああああああ!!!」

 

思春「ふっ!!」

 

明命「ていやああああああああ!!!」

 

高速移動をしながら3人が同時多角攻撃を仕掛ける

 

三人とも速さに重きを置いたスタイルなので相性が良い

 

風月と魂切と鈴音の斬刃が一つの生き物のように一刀を千切りにしようと迫る

 

一刀「ふっ!!」

 

しかし、一刀はこれらの斬幕を卯の型、流歩で流れるように躱し捌いていく

 

思春「くっ!!なぜ当たらん!!?」

 

明命「はうあああああ!!!?信じられません!!!?」

 

悠「いいぞいいぞ♪♪もっとだ、もっとあたしを楽しませろ♪♪」

 

一刀「ふっ!」

 

ドカッバチッドゴッ!!

 

思春「ぐっ!!」

 

悠「うわっと!!」

 

明命「きゃあっ!!」

 

流れるように斬幕を躱しながら、一刀は一撃ずつ当身を決め連携を絶つ

 

春蘭「チチチチチェストーーーーーーーーーー!!!!」

 

蜻蛉の型からの強烈な振り降ろしで繰り出される闘気の斬撃が凄まじい速さで一刀に迫る

 

一刀「ふっ!!」

 

ズバシーーーーーーーーン!!!

 

春蘭「な!!?これも躱すのか!!?」

 

もともとこの技は、一刀の氣の斬撃を真似たものである

 

自分の技をいちいち食らっていては、北郷流の名折れというものであろう

 

そして、あっという間に春蘭は間合いを詰められる

 

春蘭「くっ!!おりゃあああああああ!!!」

 

七星餓狼に闘気を宿したまま春蘭は一刀に斬りかかる

 

バシッ!!

 

春蘭「なにっ!!?」

 

渾身の振り降ろしは白刃取りで受け止められた

 

ガキイイイイイイイン!!!

 

春蘭「んなああああ!!?馬鹿な!!?」

 

そして、白刃取りしたまま折られてしまった

 

一刀「春蘭、お前に剣の型を教えたのは誰だったんだ?」

 

春蘭「はあ!!?そんなもの・・・・・ん?」

 

必ず覚えているはずの自分の剣の師が浮かんでこず、春蘭はその場で思い出すことに躍起になってしまった

 

純夏「はあああああああ!!!燃え散らせ!!!」

 

焔耶「どっせえええええええい!!!」

 

そこに純夏の紅蓮晃と焔耶の鈍砕骨による衝撃が襲い掛かってくる

 

一刀「ふっ!!」

 

全身に波動を纏い紅く猛る炎の中に突っ込む一刀

 

純夏「え!!?自分から突っ込んだ!!?」

 

純夏の目から見れば自殺にも等しい行動

 

しかし

 

スバアアアアアアン!!!

 

純夏「うそっ!!?」

 

波動を解放し、紅蓮晃の炎を掻き消す

 

一刀「しっ!!」

 

焔耶「なにっ!!?」

 

そして、焔耶の衝撃破も難なく躱す

 

純夏「くっ!!」

 

そのまま突進してくる一刀を紅蓮槍を突き出し迎撃する純夏だったが

 

バキイイイイイン!!!

 

純夏「あ!!!?」

 

一刀の腕に絡め捕られた紅蓮槍は、圧力に耐え切れず折れてしまった

 

ドスンッ!!

 

純夏「くはあっ!!」

 

そして、腹部に掌底を叩き込まれ純夏は吹っ飛んだ

 

祭「純夏!!おのれ!!」

 

すかさず祭が援護射撃するものの

 

一刀「危ないぞ、祭!!」

 

シュバババッ!!ズドンッ!!!

 

ドゴオオオオオオオン!!!

 

祭「ぐおおおお!!!」

 

足元に一刀の雷針砲が炸裂し怯んでしまった

 

焔耶「くっ!!このっ!!!」

 

すかさず鈍砕骨を振り降ろす焔耶だったが

 

ドゴオオオオオオオン!!!

 

焔耶「ぐっ!!躱されうわっ!!!?」

 

鈍砕骨を躱されたまでは分かったが、そこから先が何が起こったのか分からない

 

焔耶「・・・・・えっ!!?なんだこれは!!?」

 

気が付くと、自分の手足は背中に布で縛られ動けない状態だった

 

そして、目の前には自分を抑えつけた一刀が右手をゆっくりと伸ばしてきた

 

焔耶「ひっ!!や、止めろ!!!誰か助け・・・・・」

 

助けたくとも皆一刀の一撃を受けまともに動けない状態だった

 

迫る右手に恐怖し焔耶は強く目を瞑るが

 

ムニュムニュムニュムニュ

 

焔耶「ひゃあああああああん???ってどこを触っているんだ、貴様!!///////」

 

一刀は、焔耶の服の中に手を突っ込み直に胸を揉みまくる

 

クリクリクリクリ

 

焔耶「ふああああああああ????そこ止めていひいいいいいいいいん????////////」

 

そして、硬くしこってきた胸の頂点を弄りまくる

 

焔耶の五体を完全に封じ全身を弄る一刀

 

サワサワサワサワ  ムニュムニュムニュムニュ  スリスリスリスリ

 

焔耶「くひいいいいいいいん????そこ弱いいいいいいいいい????/////////」

 

一刀「焔耶の体に弱くない所なんて無いだろ」

 

もともと敏感肌な焔耶に一刀は容赦なく追撃を仕掛ける

 

グニュグニュグニュグニュ!!!シュリシュリシュリシュリ!!!チュコチュコチュコチュコ!!!

 

焔耶「んひゃああああああああん?????////////」(ビクビクビクビクッ!!!)

 

成す術もなく慰み者にされてしまった焔耶は絶頂に達し力なく項垂れてしまった

 

純夏「この変態!!!痴漢!!!強姦魔!!!////////」

 

余りに目に余る一刀の変態ぶりに純夏は罵詈雑言を浴びせる

 

しかし

 

一刀「純夏も人の事言えないだろ?」

 

純夏「どういう意味よ!!?//////」

 

一刀「なにせ、毎日自分の部屋で自「わーーわーーわーー!!!」他の部屋に聞こえるくらいの声で喘い「嫌ーーきゃーー止めてーー!!!」所構わず他人の部屋でも「それ以上言わないでーーーー!!!!」・・・・・」

 

純夏「うううう〜〜〜〜〜〜〜//////////」

 

羞恥心の余り純夏はその場にへたり込んだ

 

シュバババ!!!

 

一刀「おっと」

 

突然後ろから悠の風月が襲ってくるが、一刀は余裕を持って躱した

 

悠「安心しな焔耶、純夏、あたしが後でしっかり慰めて今回の事を忘れさせてやるからな♪」

 

焔耶「いるかーーーーーー!!!////////」

 

純夏「いらーーーーーーん!!!////////」

 

思春「おのれよくもやってくれたな!!!」

 

明命「もう許しません!!!」

 

一刀「・・・・・思春、明命」

 

思春「真名で呼ぶな、無礼者が!!!」

 

明命「そうです、いい加減にしてください!!!」

 

一刀「最近どれくらい胸が大きくなった?サラシがきつくなってきてるだろう?」

 

思春「なっ!!?//////」

 

明命「はうあ!!?なんで知っているんですか!!?//////」

 

冥琳「奴の言葉に惑わされるな!!!愚か者!!!」

 

思春「っ!!」

 

明命「す、すみません!!」

 

後ろからの冥琳の叱咤で二人は気を取り直すが

 

一刀「ここ半年で思春は三寸、明命は四寸大きくなったな」

 

思春「どうしてそこまで詳しいんだ!!!?///////」

 

明命「はうああああ!誰にも言ってないはずですのに!///////」

 

具体的な数字を述べられ、しかも大正解な二人は赤面しながら一刀に突貫するが、感情が表に出てしまい動きは単調だった

 

一刀「ふっ!!」

 

ガキイイイイイイイン!!!パキイイイイイイイイン!!!

 

思春「なにっ!!!?」

 

明命「はうあああ!!!魂切が!!!」

 

そして、二人の武器はあっさり折られてしまう

 

思春「くそっ!!」

 

自らの獲物を壊されたので思春は素手で一刀に殴り掛かる

 

一刀「はっと」

 

バシッ!グイッ!

 

思春「ぐっ!うおっ!?」

 

当身を捌かれ一刀に柔術の押さえ込みで地面にうつ伏せにされてしまう思春

 

思春「うっ!!?」

 

その時、思春の頭の中でもフラッシュバックが起きる

 

思春「(な、なんだ!?以前にもこんな事が・・・・・)」

 

時間は三年ほど前、場所は建業の中庭、戦いの方式は決闘

 

何時、何処で、どの様にしてこんな事があったのかはっきり覚えている

 

しかし、決闘をした相手の姿と名前だけが思い出せない

 

思春「・・・・・・・・・・」

 

頭の中が錯乱しうつ伏せのまま思春は動けなくなってしまった

 

明命「思春殿!!?どうしたんですか!!?」

 

一刀「ふっ!!」

 

明命「はうあ!!!??」

 

いきなり一刀が自分に向かって来て当身を繰り出す

 

反射的に明命は、変わり身の術で緊急回避を敢行する

 

一刀の手に明命の服が残るが

 

一刀「そこだっ!!」

 

ガシッ!!

 

明命「うわあ!!?」

 

しかし、この術は一刀が明命に教えたものである

 

それどころか全ての忍術の基礎は一刀から伝授されたのだ

 

明命が移動する地点を完全に読み切り、サラシと褌姿となった明命の腕を掴み地面に押し倒す

 

明命「・・・・・殺してください」

 

一刀「何を言ってるんだ?俺は皆を傷付けたくないと散々言ってるだろ」

 

明命「私も武人の端くれです、敵に情けを掛けられて尚、生きていく事なんて出来ません」

 

一刀「おいおい、それじゃあ裏路地の猫達の世話は誰がするんだ?」

 

明命「はうあ!!?なんで、どうして!!?」

 

一刀「猫語はどこまで極めたんだ?猫の習性はどこまで把握できたんだ?」

 

明命「ああ・・・・・あうあああ・・・・・」

 

その時、明命の頭の中でもフラッシュバックが起こる

 

一刀「大好きな猫達ともっと一緒に遊びたいんだろ?だったらこんな所で死んでられないよな?」

 

明命「・・・・・・・・・・」

 

そして、明命も放心状態となりその場を動けなくなってしまった

 

一刀「・・・・・残るは、悠だけか」

 

悠「あたしは怒る気はないぜ、霞の言う通りここまでの実力を見せつけられれば預けないわけにはいかないからな♪あたし達は、お前の事を何て呼んだらいいんだ?」

 

一刀「呼ばなくていい、そんな事に意味はない」

 

悠「おいおいそりゃないだろ!こっちが預けているってのに!」

 

一刀「いいんだ、俺は本来この世界には存在しない人間だからな・・・・・」

 

悠「は?何言ってるんだ?」

 

一刀「それに・・・・・俺は、近い内に消える・・・・・俺に出来る事は何も無い・・・・・何も無かったんだ・・・・・」

 

悠「・・・・・・・・・・」

 

今の今まで武将達を圧倒していた者の言葉とは到底思えない

 

余りに儚く、それでいて弱弱しい一刀の姿に、悠は両腕を降ろした

 

悠「・・・・・止めだ止めだ」

 

一刀「?・・・・・悠?」

 

悠「今のあんたに勝てる気はしない、それに勝っても嬉しくもなんともない、今のあんたは空っぽだ・・・・・そんな奴に負けちまうあたし達はよほど未熟で弱いという事だ」

 

そう言葉を残し、悠は一刀に背を向け戦線離脱した

 

一刀「・・・・・残るは」

 

雪蓮「・・・・・・・・・・」

 

そして、一刀は江東の小覇王と向かい合う

 

雪蓮「流石ね、重罪人とはいえ褒めてあげる」

 

一刀「そりゃどうも・・・・・で、やるのか?」

 

雪蓮「もちろんやるわ、でもその前に・・・・・貴方、本当にあたし達の事を知っているみたいね、どういう事なの?」

 

一刀「そんな事は知らなくていい」

 

雪蓮「知らなくていいはずないじゃない!ここまであたし達の事を知っているなら、あたしもどうして貴方がそこまで知っているのか気になるわ!」

 

一刀「今更そんな事は無意味だ、俺がこの世界に来た事そのものに意味は無かったんだ・・・・・」

 

雪蓮「この世界に来たって・・・・・それじゃあ、貴方が噂の天の御遣いなの!?」

 

一刀「管輅の占いか、それも今となっては意味の無い事だったんだ・・・・・俺は、自分の個人的な理想の為に余りに多くの人間を殺し過ぎた、侍の理想を追いかけて、この世にいりもしない不幸を散々に生み出してしまった、そのなれの果てが・・・・・この様だ・・・・・」

 

雪蓮「・・・・・・・・・・」

 

一刀「今回の事も全て受け入れる、これが俺に与えられた罰なら、喜んで飲み込んでやる・・・・・ただし、そこに龍奈が巻き込まれるのなら、我慢ならない!」

 

雪蓮「・・・・・・・・・・」

 

一刀「今の俺に出来る事はただ一つ、龍奈と可能な限り一緒にいる・・・・・ただそれだけだ!」

 

雪蓮「・・・・・・・・・・」

 

これほどの男にそこまで言わせるあの龍に雪蓮は激しく嫉妬していた

 

冥琳「・・・・・雪蓮」

 

雪蓮「大丈夫よ、心配しないで・・・・・貴方の事は分かったわ、どこまでもあの龍と相思相愛みたいね・・・・・でもね」

 

そして、腰の刀、陸奥守忠久を抜き放ち一刀に向ける雪蓮

 

雪蓮「貴方の願いは叶わない、その幸せ、私が打ち壊してあげる!!」

 

陸奥守忠久の輝きと共に雪蓮は一刀に突貫した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍奈「やあああああああ!!!」

 

恋「はあああああああ!!!!」

 

葵「うおおおおおおお!!!!」

 

ドガアアアアアアアアアア!!!!!ドゴオオオオオオオオオン!!!!!ズガアアアアアアアアアアン!!!!!

 

天翔ける大龍、天下無双と涼州筆頭

 

三者の攻防は、辺りを瓦礫の山へと変えていく

 

凪「ううううう、次元が違う・・・・・」

 

桔梗「これでは首も突っ込めんな・・・・・」

 

華佗「ああ、こうして隠れているのが関の山だ・・・・・」

 

余りにレベルの違う戦いに三人はどうする事も出来なかった

 

龍奈「あ〜〜〜〜あ、私達の愛の園がこんな荒れ地に・・・・・どうしてくれんのよ?」

 

葵「知ったことか!!!」

 

恋「はああああああああ!!!」

 

ズガアアアアアアアアアアン!!!!ドゴオオオオオオオオオン!!!!

 

龍奈「まったく、龍の幸せを奪うものは三途の川という言葉を教えてあげる!すぅ〜〜〜〜〜〜・・・・・」

 

葵「・・・・・何をするつもりだ?」

 

恋「・・・・・?」

 

いきなり深く息を吸いこむ龍奈に二人は戸惑う

 

そして

 

ゴワアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

 

葵「何!!!?」

 

恋「うっ!!!?」

 

次の瞬間、辺りが紅の世界に変わる

 

葵「あちちちあちあちゃちゃちゃちゃ!!!」

 

恋「くっ!!!」

 

龍奈の口から1千度を超える炎が吐き出される

 

二人は何とかこれを躱すが、余波だけで服が焦げてしまった

 

葵「地面が・・・・・向こうもいよいよ本気ってか?」

 

その炎は地面をドロドロに溶かし、マグマの様に紅く彩る

 

まともに食らえば骨も残らないであろう威力に、葵の体から冷や汗が噴き出す

 

龍奈「一刀にはなるべく使わないようにって釘を刺されていたのに・・・・・本当に後でなんて言ったらいいのよ」

 

恋「・・・・・ふっ!!」

 

葵「あ!恋!?」

 

龍奈「っ!!?」

 

次の瞬間、恋が龍滅金剛刀を両手で持ち突貫してくる

 

完全に真っ直ぐ突っ込んできているためいい的である

 

龍奈「死ぬつもり!!?いいわ、死になさい!!」

 

いい加減龍奈も付き合い切れないので、ここで止めを刺しに行く

 

再び炎を吐き、恋を消し炭にしようとする

 

葵「恋!!!」

 

このまま突っ込めば確実にあの世行きなのは目に見えている

 

葵の目には、恋が自暴自棄になったとしか思えなかった

 

しかし

 

恋「ふっ!!!」

 

バシュウウウウウウウウン!!!

 

葵「何!!!?」

 

龍奈「え!!!?」

 

龍滅金剛刀が振るわれると、龍奈の紅い炎は見事に消滅した

 

どうやら龍滅金剛刀の力は炎にも有効のようだ

 

何が起きたのか分からず、混乱する葵と龍奈だったがその隙が致命的だった

 

恋「はっ!!」

 

ズバシッ!!

 

龍奈「うぐううううう!!!」

 

そして、初めて恋の一撃が龍奈にクリーンヒットした

 

胴体で言えば肩の部分をザックリ斬られ青い血が噴き出す

 

恋「やあああああああ!!!」

 

怯んだ龍奈に恋は容赦なく追撃を仕掛ける

 

ズバアアアアアアアアア!!!!

 

龍奈「痛いいいいいいいいいいいい!!!!」

 

龍滅金剛刀は、龍奈の鱗をいとも簡単に両断し胴体の半分近くにまで達した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪蓮「はあああああああああ!!!」

 

片手で忠久を持ち、雪蓮は一刀に斬りかかる

 

刀身からあふれる青白い光により、振るう度に白い軌跡が描かれる

 

自身の一番の愛刀が自分に牙をむいてくるなど、当初は予想もしていなかったため、少しだけなんともいえなかった

 

一刀「んっ!くっ!!?」

 

しかしそれでも、相手が一人という事もあり余裕で勝てると思っていたが、一刀は雪蓮の攻撃を捌ききれずにいた

 

一刀「ぐっ!!(どうなってるんだ!?動きを読まれている!?)」

 

それどころか、雪蓮は一刀の動きに付いて行っていた

 

子の型、分歩で分身体を作り出すも

 

雪蓮「そこっ!!」

 

一刀「うわっと!!?」

 

どれが本体か確実に見極めてくる

 

巳の型、回歩も

 

一刀「ぐおっ!!」

 

後ろに回り込んだ途端、忠久の刃が襲ってくる

 

雪蓮「舐めないでよね、伊達に貴方の動きをずっと観察していたわけじゃないわ!」

 

一刀「ははっ、流石は雪蓮だな、対応力が半端ない」

 

雪蓮「それはどうもっ!!」

 

シュババッ!!!

 

一刀「うおおっ!!?」

 

今度は忠久を両手で持ち、平突きを繰り出してくる

 

一刀「(今のは、俺の!?)」

 

自身が得意としている3段突きである

 

ただし、雪蓮の場合はまだ一の呼吸で2回までしか突けてないので二段突きである

 

それを紙一重で躱し、懐に飛び込むが

 

バシイッ!!

 

一刀「ぐっ!」

 

鞘で迎撃される

 

雪蓮「っ!」

 

キインッ

 

今度は忠久を鞘に納める

 

一刀「っ!!?(まさかっ!!?)」

 

シュバッ!!!

 

一刀「くっ!!」

 

雪蓮「あらあら、今のを躱すなんて・・・・・本当に惚れちゃいそう?/////////」

 

今のは紛れもない抜刀術である

 

その神業の如き抜刀は、一刀の首に一筋の線を刻み、血が滴り落ちる

 

一刀「(まったくどいつもこいつも、俺の事は忘れているくせに俺が教えた技はちゃっかり覚えているってか?)」

 

どうしてここまで自分に都合の悪い事ばかり起きるのか

 

あの二人の記憶操作の賜物なのだろうが、ここまで都合が悪いと逆に清々しいものだ

 

一刀「こおおおおおお・・・・・ふっ!!」

 

雪蓮「っ!!?はあっ!!!」

 

いきなり一刀は、縮地で一気に間合いを詰める

 

迎撃する為に、雪蓮は忠久を袈裟切りに振り下ろす

 

一刀「(こうなったら、忠久を破壊する以外にないか)」

 

太刀筋を見切り、白刃取りをしようとする一刀

 

雪蓮「っとお!!」

 

一刀「うおっ!!?」

 

しかし、すかさず手を引く

 

いきなり雪蓮は、太刀筋を途中で曲げてきたのだ

 

一瞬反応が遅れていれば指が無くなっていたところである

 

一刀「そう簡単に取らせてはくれないか・・・・・」

 

雪蓮「貴方の得意技は、武器破壊だったわね・・・・・そう簡単には壊させないわよ?」

 

まるで愛しいものを愛でるように忠久の側面を頬に当て、艶美な笑みを浮かべる雪蓮

 

シュバババババ!!!

 

一刀「ぐううう!!!」

 

雪蓮の動きは徐々に鋭くなり、一刀は押されっぱなしになっていく

 

愛紗「・・・・・まさか」

 

霞「嘘やろ、ウチらがあれだけ苦戦した相手に・・・・・」

 

春蘭「うぬぬぬ、雪蓮の奴め・・・・・」

 

一同は信じられなかった、ここにいる全員で挑んでも大したダメージを与えられなかった一刀に雪蓮一人が善戦している

 

一刀「(どの歩法も通用しないか・・・・・ならば)」

 

フシュッ

 

雪蓮「っ!」

 

冥琳「あ!!雪蓮!!!」

 

祭「またあれか!?」

 

寅の型、闇歩で完全に気配を絶ち雪蓮に肉薄する

 

一刀「(忠久、今まですまなかったな・・・・・お前を人斬り包丁にしてしまったのはこの俺だ・・・・・ここで眠らせてやる)」

 

自身の愛刀、陸奥守忠久を破壊する為に僅かに手に氣を集中させる

 

雪蓮「・・・・・ふっ!!!」

 

一刀「なっ!!?」

 

ズバシュッ!

 

一刀「ぐううっ!!」

 

その時、雪蓮の斬撃が一刀を捉える

 

鈴々「あ、当たったのだ!?」

 

翠「いったい、何したんだ?雪蓮のやつ・・・・・」

 

胸部の上部を横に斬られ一刀は蹲った

 

一刀「っ!・・・・・なんだ、どうして分かったんだ!?」

 

雪蓮「別に、分かったわけじゃないわ・・・・・なんとなく剣を振るったら当たっただけよ♪」

 

一刀「はっ!・・・・・相変わらず勘だけは人智を超えているな」

 

雪蓮「えっ!?それも知ってるの!?」

 

一刀「今まで殆どそれで生き延びて来たようなものだろ?・・・・・冥琳も言っていたよ、雪蓮は普段仕事をしない癖に、戦だけは天才的だってな」

 

雪蓮「・・・・・・・・・・」

 

冥琳「・・・・・・・・・・」

 

何故その事を知っているのか、まるで訳が分からない二人

 

その時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍奈「痛いいいいいいいいいいいい!!!!」

 

一刀「っ!!!?龍奈!!!?」

 

悲痛な龍奈の叫び声に一刀は瞬時に反応する

 

雪蓮「どこを見ているの!!?」

 

一刀「っ!!!」

 

シュバッ!!

 

雪蓮「っ!!?これは、天角の時の!!?」

 

酉の型、蔦歩で雪蓮の斬撃を飛んで躱す一刀

 

申の型、宛歩で着地し一刀は龍奈に向けて駆け出した

 

一刀「はあああああああ!!」

 

気合い一声で、懐から鍼を取出し走りながら氣を全開にする一刀

 

華佗「なに!!!?あれは、まさか!!!?」

 

氣を集中させた一刀の鍼からの眩い光が華佗を反応させる

 

一刀「我が身、我が鍼と一つとなり、一心同体、全力全開、必察必癒、病魔覆滅!!!」

 

龍奈「っ!!・・・・・一刀!!」

 

力強くも暖かい氣が自身に迫って来るのを感じ、龍奈は振り返る

 

一刀「元気になあれええええええええ!!!」

 

ピシャーーーーーーーーーーーーン!!!

 

そして、怪我をした龍奈の体に鍼を打ち込んだ

 

一刀「・・・・・病魔退散」

 

鍼を打ち込まれた龍奈の傷は完全に癒えていた

 

華佗「今のは・・・・・紛れもない五斗米道の輝き・・・・・」

 

自身と柊と雛罌粟にしか使えないはずの五斗米道を目の当たりにし目を皿のようにする華佗

 

しかも、今の五斗米道は自分と同等かそれ以上の技量だった

 

龍奈「ありがと〜〜一刀〜〜〜〜???やっぱり一刀は私の王子様だよ〜〜???好き好き大好き愛してるぅ〜〜〜????////////////」

 

一刀「〜〜〜〜〜〜〜っ!!////////////」

 

一瞬で人の姿に立ち戻った龍奈が一刀に抱き付き、尻尾を巻き付け、その豊満な胸を押し付け激しくキスをしてくる

 

「・・・・・・・・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

そんな一刀と龍奈のイチャラブっぷりに一同は嫉妬のオーラを醸し出していた

 

葵「おいおい、ようやく手傷を負わせることが出来たのに、またやり直しかよ」

 

恋「・・・・・厄介」

 

冥琳「もう一度戦力を分断する必要があるようだな」

 

そして、一刀と龍奈に肉薄する一同

 

背中合わせで二人は一同と向かい合った

 

一刀「っ・・・・・龍奈、付き合わせて悪かったな」

 

龍奈「どうしたの、一刀?」

 

一刀「どうやらここまでみたいだ、名残惜しいけどここを離れるぞ」

 

龍奈「え!!?それってどういう事!!?」

 

一刀「こことは違う別の新天地に行くんだ、そこで二人で暮らそう」

 

「!!!??」

 

一刀「それとも、ここじゃないとどうしても駄目か?ならもう少し粘ってみるけど・・・・・」

 

龍奈「ううん♪一刀と一緒なら私にとってどこだろうと楽園だよ♪」

 

一刀「ありがとう、俺を龍奈の背中に乗せてくれるか?」

 

龍奈「うん、いつでもどこでも一緒だよ、一刀?」

 

そして、龍奈は龍の姿になり一刀を背中に導く

 

雪蓮「っ!!?待ちなさい!!!」

 

凪「ま、待って下さい!!!」

 

愛紗「お待ち下さい!!!」

 

恋「待って!!!」

 

まるで愛しい人が去っていってしまうような感覚に陥り、手を伸ばす恋姫達

 

一刀「ごめんな、皆・・・・・これで、永遠にさよならだ・・・・・」

 

悲しそうな顔で名残惜しそうに龍奈の背に乗ろうとする一刀

 

その時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                           「それは困りますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!!??」

 

一同が振り向くと、そこには怪しげな呪符を持った于吉がいた

 

一刀「っ!!?于吉!!」

 

于吉「逃がしませんよ、北郷・・・・・貴方には何が何でもここで死んでもらいます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

卑弥呼「来おった!!!」

 

管輅「行くわよ!!」

 

貂蝉「合点承知之助よおおおおおおおおおん!!!」

 

于吉の出現を瞬時に察知し飛び出す三人だったが

 

ドゴオオオオオオオン!!!!

 

貂蝉「おぶううううううう!!!」

 

いきなり頭部から衝撃が襲い掛かり貂蝉は地面にめり込んだ

 

左慈「行かせんよ」

 

卑弥呼「貂蝉!!!うぬぬぬ、不意打ちとは卑怯な・・・・・」

 

左慈「何が卑怯だ、そんなものは弱い奴だけが言う言い訳だ」

 

卑弥呼「裏からこそこそ手を拱く事しか出来ん小心者が言う台詞ではないわ!!!」

 

左慈「それが作戦というものだろう、計画も立てずにいちいち真正面から戦うような奴は、愚か者か馬鹿正直というのだよ」

 

管輅「左慈、そこをどきなさい!!」

 

左慈「聞けん話だな、そっちこそ北郷にいろいろ置き土産を置いていきやがって、おかげでこっちはいらん苦労が絶えん」

 

管輅「それこそ、そっちの言葉で言う作戦というものではなくて?」

 

左慈「ふん、それもそうか・・・・・策では互角といったところだが、実力ではどうかな?」

 

卑弥呼「お主と勝負するのは久しいな」

 

管輅「押し通らせてもらうわよ」

 

左慈と卑弥呼は素手で構え、管輅は水晶玉を分裂させ自身の周囲に浮かせる

 

管理者同士の激闘が切って落とされた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪蓮「ちょっと于吉!!勝手な事をしないでくれる!!」

 

悠「そうだぜ、良い所で水差してんじゃねーよ!!」

 

于吉「そうもいきません、我々はどうしてもその男に消えてもらわねばならないのですから」

 

焔耶「それはどういう意味だ!!?こいつはお前達のなんなんだ!!?」

 

于吉「あなた方傀儡が知る必要はありません・・・・・北郷一刀、貴方が築き上げた楽園、この私が失楽園に変えてさしあげましょう・・・・・増!」

 

明命「はうあ!!??なんですか、この人達!!?」

 

純夏「気色悪いわね・・・・・」

 

悠「おいおい、気味悪いな・・・・・」

 

そして、于吉が持つ呪符が怪しく光ったと思ったら、何もない空間から白装束の軍団が現れる

 

于吉「行きなさい」

 

そして、于吉の命令で白装束達は一斉に一刀に襲い掛かる

 

一刀「・・・・・ふんっ!!」

 

ドガガガガガガガガガガガ!!!!

 

「「「「「ごふあああああああああああああ!!!!」」」」」

 

群がる白装束達を一刀は殴り飛ばしていく

 

全身に氣を纏い、当身や蹴りで急所を打ち抜き一撃で絶命させていく

 

鈴々「にゃにゃーーーー!!!?凄いのだーーー!!!」

 

霞「あいつ、ほんまに全然本気出してなかったんかい!!!?」

 

凪「・・・・・・・・・・」(キラキラキラキラ)

 

皆が驚いている中で凪だけは尊敬の眼差しで一刀を見つめていた

 

于吉「ふっ、これくらいで倒れない事は重々承知ですよ・・・・・ならばこれならどうでしょう、増!」

 

呪符の光が濃くなると、今度は剣などの武具を装備した白装束達が360°全方向から現れる

 

一刀「龍奈、そっちは頼む!!!」

 

龍奈「任せて!!せいっ!!!」

 

ドシャアアアアアアアア!!!!

 

巨大な尻尾を横に振り回し白装束達を薙ぎ払う

 

龍奈「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」

 

ゴアアアアアアアアアアアア!!!

 

更に、口から紅の炎を吐き白装束達を火達磨にしていく

 

一刀「ふっ!!」

 

バキンバキンバキンバキンガキャーーーーーーーーン!!!

 

襲い来る白装束達の持つ武器を素手で破壊していく

 

対武器格闘戦のスペシャリスト北郷流無刀術の真価がここで発揮される

 

ゴギャッゴギュッボキンッガキッバキバキバキ!!!

 

さらには無刀術訃の楔で骨を砕き、腸を引き裂き、関節を破壊する

 

一刀「はああああああああ、はっ!!!」

 

ドゴオオオオオオオオオオオオン!!!!!

 

「「「「「ごぎゃああああああああああああ!!!!」」」」」

 

全身の氣を右拳に集中させ巨大な衝撃破を生み出し、白装束達を吹っ飛ばす

 

翠「す、すっげぇ〜〜〜〜・・・・・」

 

思春「ああ、300人は吹き飛んだぞ・・・・・」

 

于吉「くっ!なかなかしぶといですね・・・・・では、やり方を変えてみましょうか・・・・・っ」

 

菖蒲「きゃあっ!!?」

 

愛紗「何!!!?」

 

葵「なんのつもりだ、于吉!!!?」

 

指を恋姫達に向けると、白装束達は一斉に恋姫達に向かっていった

 

于吉「あなた方は、北郷一刀の最大の弱点でもありますからね、彼を殺す為の人質となっていただきましょう」

 

向かい来る白装束達を何とか迎え撃つが、殆どの将達は自身の武器を一刀に破壊されてしまっているためまともに戦えなかった

 

雪蓮「くっ、貴様最初から・・・・・」

 

于吉「ええ、元々私達はあなた方の敵だったのですよ、ですから・・・・・」

 

一刀「うおおおおおおお!!!!」

 

于吉「なにっ!!!?」

 

山吹色の氣を身に纏う一刀

 

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!

 

「「「「「ごっはあああああああああああああ!!!!」」」」」

 

そして、恋姫達に群がる全ての白装束を見事に蹴散らした

 

雪蓮「・・・・・うそ」

 

純夏「あれだけの数を一遍に・・・・・」

 

于吉「くっ!!どこまでチートなんですか、貴方は!!・・・・・行きなさい!!」

 

「キエエエエエエエエ!!!」

 

その時、一人の白装束が剣を振りかざし、突貫してくる

 

雪蓮「っ!!?冥琳!!!!」

 

冥琳「なっ!!?」

 

気付いた時には、その刃は冥琳の胸の手前まで迫って来ていた

 

どの将も冥琳と距離が開いてしまっているため助けに入る事は出来ない

 

しかし

 

一刀「冥琳!!!」

 

回天丹田を発動し、縮地法最速歩法、筍歩で一刀が突貫する

 

そして、ギリギリのところで冥琳を抱きかかえ白装束の剣をやり過ごした

 

一刀「あいつ、とうとう本性を現したか・・・・・え?」

 

その時、お姫様抱っこをした冥琳の様子がおかしい事に気付く

 

冥琳「ああ・・・・・ああああ・・・・・」

 

回天丹田状態の一刀にお姫様抱っこされた冥琳は、目を見開き激しく動揺する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は・・・・・もう、獣なんだ・・・・・今まで散々人を斬り捨てて、これからもそうしていくんだと思う・・・・・だから俺は、冥琳からの謝儀を受け取ることはできない」

 

                             「俺の初恋の相手は・・・・・冥琳なんだ」

 

     「いいんだ・・・・・冥琳達だって生きようと必死だったんだろ、それを咎める権利なんて俺にはないさ」

 

                      「愛してるよ、冥琳」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次々と蘇っていく記憶の欠片

 

冥琳「か、一刀・・・・・私は・・・・・私達は・・・・・」

 

一刀「どうしたんだ!!?冥琳!!?」

 

腕の中で全身痙攣を起こしたように激しく震える冥琳

 

雪蓮「ちょっと、冥琳!!どうしたの!!?」

 

于吉「おやおや、思い出してしまいましたか、北郷の氣が余りに強すぎて私の道術を吹き飛ばしたようですね・・・・・致し方ありません、力の消費が激しいのでこの手は使いたくは無かったのですが、手段を選んでいる余裕はなさそうですね」

 

そして、于吉は懐から銅鏡を取り出し、その中に一刀の姿を映し出す

 

一刀「っ!!!?それは!!!?」

 

そう、それはかつて許昌の宝物庫で見た銅鏡と同種のものだった

 

于吉「どうやら覚えがあるようですね・・・・・私個人の力では確かに貴方を倒すには至らないでしょう、しかし、貴方自身の力ならどうでしょうね?・・・・・ふっ!!」

 

次の瞬間、于吉の力が注がれ銅鏡が禍々しい邪気に包まれる

 

バシユウウウウウウウウウウン!!!

 

そして、邪気が収束してきたと思うと、あの雷刀が現れる

 

思春「なっ!!!?あいつがもう一人だと!!!?」

 

焔耶「いくらなんでも反則だ!!!」

 

今の一刀と同じ姿、北郷流無刀術の戦闘装束を着て現れる雷刀に一同は動揺する

 

于吉「ふぅ〜〜〜〜〜、貴方の事は調べ尽くしていますよ・・・・・行きなさい」

 

雷刀「・・・・・っ!」

 

そして、いきなり回天丹田を発動した雷刀は一刀に襲い掛かる

 

一刀「くっ!!!」

 

冥琳「あ!!?一刀!!!」

 

冥琳を抱え込み、雷刀に背中を向ける一刀

 

背中に力を集中させ防御の体勢を取る

 

ドガアアアアアアアアアアアアアア!!!!!

 

一刀「ごはああああああ!!!!!」

 

冥琳「うわああああああ!!!!一刀おおおおおおおおおお!!!!」

 

そして、辺りに白い羽と黒い羽が舞い上がり、雷刀の凄まじい当身で一刀は冥琳ごと山の中へと叩き飛ばされてしまった

 

雪蓮「冥琳!!!メイリーーーーーーーーーーン!!!!!」

 

龍奈「一刀ーーーーーーーーーー!!!!!」

 

于吉「よくやりました、次は・・・・・」

 

雷刀「っ!!」

 

于吉「なっ!!?(まだ何も命じていないのに!!)」

 

命令も無しに雷刀は、今度は龍奈に襲い掛かる

 

龍奈「か、一刀じゃない!!?」

 

一刀に瓜二つの人物であるが、長い髪と身に纏う邪気は一刀のものでは決してありえない

 

ズガアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!

 

龍奈「あああああああああああああああああ!!!!!」

 

腹部に強烈な邪気の一撃をもろにくらい、龍奈は一刀とは反対方向へと飛ばされてしまった

 

于吉「馬鹿な、あれは私の力によって生み出されたもの、私の命令無では決して動かないはず・・・・・まぁ、結果オーライとしておきましょう」

 

元から龍奈を排除するよう命令するつもりだったのでよしとした

 

于吉「では、戻りなさ・・・・・」

 

バキイイイイイイイイイイイイイン!!!

 

于吉「なっ!!!?」

 

今度は、于吉の持っている銅鏡に当身を決め叩き割った

 

于吉「ど、どういう事ですか!!?」

 

雷刀「すまないが、まだ戻されるわけにはいかない」

 

于吉「じ、自我がある!!?」

 

雷刀「今回は退け、でないと・・・・・今度はお前を空の彼方へぶっ飛ばすぞ」

 

于吉「・・・・・分かりました」

 

雷刀「それと、俺も連れていけ、お前に聞きたい事もあるしな」

 

于吉「・・・・・好きにしてください」

 

断れば即殺されそうな凄みを感じ于吉は雷刀と共に消えていった

 

「・・・・・・・・・・」

 

余りの急展開に頭が追い付かない一同だった

 

雪蓮「はっ!!?・・・・・冥琳、冥琳を探さなくちゃ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

左慈「うおおおおおおおおおっ!!!」

 

卑弥呼「ぬっふううううううん!!!」

 

管輅「はああああああああああ!!!」

 

こちらでは左慈が二人の神仙を相手に粘っていた

 

剛腕なる卑弥呼の当身を捌き、迫り来る管輅の無数の水晶玉を躱す

 

卑弥呼「なるほど、少し前より遥かに腕は上がっているな!!」

 

管輅「私達二人を相手に出来るなんて、相当な力を付けているわね」

 

左慈「はぁ、はぁ・・・・・ふんっ!この程度か、二人係でこの様では神仙の名が泣くぞ!」

 

本当は左慈もいっぱいいっぱいなのだ、不意打ちで貂蝉を排除したから何とか闘えているのだ

 

卑弥呼「ふんっ、ハッタリだとみえみえだぞ、左慈よ!」

 

管輅「いつまでそんな態度が続くかしら?」

 

左慈「ちっ!・・・・・(早くしろ、于吉、あまり長くはもたないぞ!)」

 

流石の左慈も二人の神仙を相手にするのはきついようだ

 

間合いを測る神仙同士の内なる攻防が続いていたその時

 

ドガアアアアアアアアアアアアアア!!!!!ズガアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!

 

「!!!??」

 

いきなり凄まじい音が響き渡り振り向くと、一刀と龍奈が吹っ飛ばされている様が目に入ってきた

 

卑弥呼「なんと!!?ご主人様が!!?」

 

管輅「于吉の奴、何をしたの!!?」

 

左慈「よくやった、于吉!・・・・・じゃあな♪」

 

そして、勝ち誇った笑みを浮かべ左慈は消えていった

 

卑弥呼「くうっ、逃がしたか」

 

管輅「今回は、私達の負けね・・・・・」

 

卑弥呼「そのようだな、無念・・・・・」

 

貂蝉「ぶるわあああああああ!!!」

 

卑弥呼「おお、大丈夫か、貂蝉」

 

そして、気合い一声で上半身を地面から引き摺り出す貂蝉

 

貂蝉「酷い目に会ったわん・・・・・さっきのは左慈ちゃんね」

 

卑弥呼「うむ、貂蝉の脳天に肘鉄をかましおった」

 

貂蝉「あ!それよりご主人様はどうなったの!?」

 

卑弥呼「あれは・・・・・裏のご主人様じゃ!」

 

管輅「雷刀だったわね・・・・・」

 

貂蝉「あ、于吉ちゃんと一緒に行っちゃったわね・・・・・」

 

遠目で雷刀と于吉が何かを喋ってすぐさま消えてしまったのが見えた

 

管輅「いったい何があったのかしら?」

 

卑弥呼「于吉の奴が何かをしたようじゃな」

 

貂蝉「左慈ちゃんの方はどうしたの?」

 

管輅「退いたわ・・・・・」

 

卑弥呼「・・・・・それにしても左慈の奴、相当に力を付けておったのう」

 

管輅「ええ、彼もあの始まりの外史からあらゆる北郷一刀と戦ってきているみたいですしね」

 

貂蝉「そんな左慈ちゃんを軽くあしらっちゃうあのご主人様は、私達神仙を超えているんじゃないかしら?」

 

卑弥呼「・・・・・理屈で言えば、そうなるのう」

 

管輅「神仙も形無しね、名を返上するべきかしら・・・・・それはそうと、これからどうするの?」

 

貂蝉「そうねん、ご主人様の方は皆が追って行ってるからいいとして、問題はあの龍の娘の方ね」

 

卑弥呼「そうだな、ご主人様の恋人であることだし、放っておく事も出来んだろう」

 

管輅「それじゃあ、会いに行きましょう・・・・・あの龍族に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも、Seigouです

 

バトルが長ったらしくてすみません

 

何せ人数が多いもので、きっちり出番を考えてあげないといけないものですから

 

こういったものが好きな人にとってはお得なんでしょうけど、そうじゃない人はダレてしまい読むのを途中で止めてしまうんでしょうね

 

そうならない為にもいろいろバランスの事も考えているんですが、どうにも自分の書く戯曲は偏りがちですね

 

この回は、あの合体奥義集と同じような構図になってしまいました、自分も永遠とバトルものを書くのはきついので今後こういった事が無いようにしたいです

 

今回は、かなり気合を入れて書きましたので自分も相当に疲れました、なにせ前半と後半合わせて3万字を超えちゃってますからね、しかも後半の方が圧倒的に長いというバランスの悪さ

 

そこで楽しみにしてくださっている皆様には悪いのですが、少しの間休息を取らせていただきたいと思います

 

次の投稿は、阿修羅伝か鎮魂の修羅か分かりませんが、一か月ほど先になってしまうのは確実ですのでよろしくお願いします

 

さて、とうとう一刀の事を思い出した恋姫が現れましたが、一刀はどんな結論を出すのか・・・・・待て!!!次回!!!

説明
追憶の軌跡
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
7171 4622 43
コメント
初恋の相手である冥琳が最初に戻りましたか…なるほど、しかしこっからあちらも地獄が始まりますね…(はこざき(仮))
一刀の大切な人を、よりにもよって一刀の愛刀(盗んだ)で傷付けた恋はもう絶対に許されてはいかんでしょうな!(みぞれ寒天)
続きー(優馬左近)
阿修羅伝の方をお願いします。(yuuki)
ひろさんへ、ご指摘ありがとうございます(Seigou)
誤字がありました。明命と一刀の会話猫の修正→習性だと思われます。(ひろ)
一刀の切り札はここでも切り札かよ!! お疲れ様ですゆっくりと休んでください!(スターダスト)
ガリ眼鏡さんへ、誤字指摘ありがとうです(Seigou)
今まで読んできて散々恋姫達自業自得な事やってるから精神崩壊しても特に何も不思議じゃ無いけど、ていうか精神崩壊しなかったらお前ら本当に一刀愛してたのかって思う。でもやっと一人か。探しに来た他のみんなも元に戻るかもね。(yuuki)
後半の話で左慈が于吉になっておりましたぜ(ガリ眼鏡)
冥琳の言うことなら、まず大半の呉の連中は納得するから呉との総力戦はもう無いな。蓮華とかは納得しなそうだけど。というか冥琳でこれなら一刀に依存しきってた雫とか菖蒲とか恋とかどうなるんだろうな。(yuuki)
冥琳が思い出したか、でももう手遅れだよな〜一刀はもう戻らないだろうし^^;しかし雷刀は何を考えてるんだ?いつもなら何がなんでも一刀を殺そうとするのにふっとばしただけで引くとは・・・(nao)
冥琳大丈夫ですかね・・・心に深い傷を負うことは間違いなしですが、心配です(本郷 刃)
冥琳が思い出したか……だがこれで他の面子が思い出しても、血眼になって一刀を探し出して……もうそっとしておいてやれよ。手を差し伸べることが、必ずしも救いにはならないということを理解してほしい。それが理解出来ないなら、結局はお為ごかしで自分達が幸せでいたいだけの欺瞞に満ちた偽善者なんだって、恋姫達はそろそろ理解するべきでしょう。(Jack Tlam)
最初に冥琳が思い出したのは以外でしたが、その後の展開はとても目が当てられないものになりそうですね・・・・さて、再び雷刀君の登場ですが・・・さてはて、どうなることやら、飛ばしてすぐに一刀を殺しに行かなかったのはどうしてか?・・・ではでは、続き楽しみに待ってます。無理しないのが一番ですので、しっかりと休憩を取ってから続きは書いてください。(一丸)
劉邦さんへ、そういうわけじゃありませんよ、雷刀が初めて出てきた時には左慈も于吉もこの外史にはいませんでしたから(Seigou)
やっぱり、「雷刀」は『于吉』によって生み出された存在だったか・・・・・。(劉邦柾棟)
堕ちろ?堕ちろ?みーんな堕ちろ?(Eire)
思い出したね。で、これからは、罪に苛まれるということだね。ケケケケケケケケ。自業自得さね。英雄を殺そうとしたのですからね。闇堕ちするかもね。特に魏の連中と蜀の連中がな。(Kyogo2012)
あれ?一人思い出した?でもやっぱ「一刀†無双」に解明しようぜ?(心は永遠の中学二年生)
タグ
恋姫無双 恋姫†無双 孤高の御遣い 北郷伝 北郷一刀 ファンタジー 

Seigouさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。


携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com