英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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〜アルゼイド子爵邸〜

 

「―――ご無沙汰しております。オーレリア伯爵閣下。そてと……ウォレス男爵閣下でしたか。」

「フフ、なに。近くに立ち寄ったものでな。久々にそなたの顔でも見てみたいと思ったのだよ。―――それに我が師とも久闊を叙したかったのもある。」

「それは……」

軍装の女性―――オーレリア将軍の言葉を聞いたラウラは言葉を濁し

「ハハ……名高き”光の剣匠”に一度お会いしてみたかったが。その息女殿にお会いできただけでも良しとしておこうか。」

「……恐縮です。」

オーレリア将軍の傍にいる褐色肌の男性―――ウォレス准将の言葉にラウラは目を伏せて答えた。

 

一方その様子をリィン達は別の部屋の扉の隙間から見守っていた。

「あ、あれは……」

「知ってるの、リィン?」

「しかし、あちらの彼は……」

「オーレリア将軍にウォレス准将……領邦軍きっての英雄と言われている”武将”ですわね。」

「ええっ!?お、女の人が将軍!?しかもあの女の人、見た所かなり若いわよね??」

「……お二方とも相当な腕前ですね……」

「ええ……(あの二人が領邦軍の”黄金の羅刹”と”黒旋風”か……)」

シャロンの説明を聞いたエステルは驚き、エイドスの言葉に頷いたヨシュアは真剣な表情で二人を見つめていた。

 

「ええ―――どちらも武の世界では知らない人間がいない程です。背の高い男性はウォレス准将―――通称”黒旋風”。比類なき槍術を振るう若き豪傑として知られている。聞いた話では……ノルドの血を引いているとか。」

「なるほど、それで……」

「背も高いのもそうなのかしら……?」

リィンの説明を聞いたエマとアリサはガイウスとウォレス准将を見比べ

「以前、父や長老から聞いたことがある。250年前の獅子戦役でドライケルス帝に協力したノルドの戦士のうち……そのまま帝国で生きることを決意したものがいたと。」

「ああ、多分その子孫に当たるんだろう。そして―――」

ガイウスの説明に頷いたリィンは真剣な表情でオーレリア将軍を見つめた。

 

「オーレリア将軍……通称―――”黄金の羅刹”。伯爵家の当主にして女性ながらラマール領邦軍の総司令を務める人物……信じ難いことに――”アルゼイド流”と”ヴァンダール流”の二大流派を修めているらしい。」

「ヴァンダール流というと……皇族の守護者としても有名な。」

「た、たしかゼクス中将も修めてるって話だけど……」

「後はミュラーさんもそうよね?」

「うん……だけど彼女の方がミュラーさんより確実に上だろうね。」

「それは……凄まじいな。」

「……どちらも貴族連合の顔とも言える存在ですわね。ふふ、どうしてこの中立地帯へいらっしゃったのでしょう?」

「ええ……何らかの理由があると思うのですが……」

リィンの説明に仲間達が驚いている中、シャロンとエイドスはそれぞれ二人を警戒していた。

 

「―――立ち話もなんでしょう。父の執務室にお通しいたします。クラウス、お茶の用意を。」

「ああ、気遣いは無用だ。この場に子爵閣下がいらっしゃらないというのが何よりの答えであろうからな。」

「それは……如何なる意味でしょうか?」

オーレリア将軍の言葉を聞いて驚いたラウラは真剣な表情で問いかけた。

 

「なに―――先日トリスタに”紅き翼”が現れたのを咎めようってんじゃない。」

「……っ……」

「ただまあ、誰とやり合うかは見極めておきたかったからな。今のところは中立―――しかし場合によっては自らの信じる”正義”をもって容赦なく剣を振るうって所か。」

「フフ、先走るな准将。まずは正規軍の猛者たち―――”紅毛”と”隻眼”を引きずり出す事から始めよう。ルーファス卿にだけ手柄を上げ続けられるのは癪だからな。」

「ハハ、そうですな。」

「……………………」

膨大な闘気を纏って不敵な笑みを浮かべて会話をする二人に恐れている自分を見せないかのようにラウラは二人の闘気に耐えながら身体を微動だにさせず、静かな表情で二人を見つめていた。

 

「フフ……できればそなたにもいずれ我が麾下にて剣を振るってもらいたいものだ、そなたの剣筋、精進次第では私をも凌ぐだろうからな。」

「―――身に余るお言葉。ですが、いまだ未熟者ゆえ、先の見通しも立っておらぬ身。せめて父から一本取れるようになってから声をかけて頂けると。」

「うむ、愉しみにしている。それでは准将―――これにて失礼するとしようか。」

「ええ、そうですな。―――そちらにいる面々もできれば紹介して欲しかったが。」

ウォレス准将が視線を向けた先―――客室の一室にいるリィン達は驚いた。

 

「ハハ、嬲るな准将。まあ、その若き気当たり達とその中にいるこの私をも超えると思われる気当たりを持つ者―――今は覚えておくだけとしよう。」

「承知。」

「……お構いもできず失礼いたしました。クラウス、お見送りを。」

「ハッ、それでは―――」

ラウラに指示をされたクラウスは玄関を開け、玄関に近づいたオーレリア将軍はクラウスに声をかけた。

 

「フフ―――師範代。折角だからそなたと久々に手合わせしてから帰るかな?」

「いやいや、この老骨では将軍方のお相手などとても。」

「ハハ、そう言いながらアンタ、全然隙がないじゃないか。」

クラウスに一声かけた二人が子爵邸から出て行くとラウラは崩れ落ち

「ラウラ……!」

それを見たリィン達はラウラに駆け寄った。

 

「フフ……みっともない所を見せたな。正直―――両人とも凄まじい眼力と気当たりだった。」

「ああ……こちらにも伝わってきたよ。」

「私達のことも……完全に気付いていましたね。」

「……アタシなんて毛が逆立っちゃったんだけど。」

「次元が違う……そんな気がしたかも。」

「多分、俺の父をも上回るかもしれない……」

「ひょっとしたら父さんともまともに戦えるかも……」

「確かにあの二人ならそうかもしれないね……」

「自らの”力”を試す為に”戦”を望む”獣”…………そんな風にも感じました。」

リィン達が話し合っている中、エステルの感想を聞いたヨシュアも重々しい様子を纏って頷き、エイドスは静かな表情で呟いた。

 

「それだけ貴族連合の層も厚いということでしょう。アルバレアのルーファス様といい、油断できる相手ではありませんわね。」

「ええ……ですが―――それでも俺達は前に進まなくちゃならない。俺達も出発しよう。ユーシスと再会するために。その上で、どんな道を選んで誰と対立する事になるのか―――それから決めればいい。」

シャロンの言葉に頷いたリィンは決意の表情で仲間達を見回した。

 

「フフ、そうだな。」

「行きましょう―――”翡翠の都”バリアハートへ。」

レグラムを発つ事を決めたリィン達はクラウスに見送られ、レグラム内でバリアハートへ行く準備を整え始めた。

 

説明
第364話
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コメント
kelvin様 もしかしたら噂されている閃Vにでるのかも? 本郷 刃様 すいません、戦闘シーン書こうにもあの二人、どういうクラフト使うのとかわかりませんから書けません(汗) K'様 だって仕方ないですもの。あの二人の戦っているシーンは機甲兵に乗っている時でしかもちょびっとですし(sorano)
この2人の最後をカットするなんてもったいない。(K')
この2人に相対するのがメルキア四元帥ですからね、戦闘が楽しみでなりませんw(本郷 刃)
オーレリア将軍とウォレス准将…敵役相当の二人が出てきて、これはボスフラグ!?→ボスの出番なし…いや、リィンらが規格外の連中相手に戦ってるのを見ると流石に劣りますが……せめて騎神戦だけでも戦いたかった……!(kelvin)
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