恋姫英雄譚 鎮魂の修羅14
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一刀「(はぁ・・・・・まったく、本当にどうなってるんだ、この世界は)」

 

菖蒲に呼ばれ、黄巾党討伐会議に出席している一刀は果てしない憂鬱感に陥っていた

 

なにせ天幕に入っている歴史の偉人達が全て女性になり代わっている有様で、男は自分一人だけなのだ

 

これでは自分一人だけが余りに浮いていて、場違いな存在の様に思えてくる

 

傾「全員揃ったようだな、自己紹介をさせてもらう・・・・・余は何進、王朝の大将軍を務めるものである」

 

楼杏「私は皇甫嵩、官軍の将軍です」

 

風鈴「私は蘆植と申します、同じく将軍兼軍師です」

 

と、そんなこんなで一同が自己紹介をしていく中で一刀の順番が回ってくる

 

一刀「公孫賛の家臣が一人、北郷一刀です」

 

ざわざわざわざわ

 

そして、場がざわめきだす

 

傾「ほほう、貴公か、帝というものがありながら天を名乗っている不届き者は」

 

白蓮「ちょっと待って下さい、何進大将軍!!誤解があるようですから今ここでそれを晴らします!!」

 

傾「ほほう、言ってみろ」

 

白蓮「はっ!一刀は確かに天の御遣いを名乗っておりますが、それは半ば周りがそう言っているだけで、本人は天を語る気など毛頭ないのです!」

 

傾「ならば明確に否定すればいいではないか、自らは天の御遣いではないと」

 

白蓮「確かにそうですが、もうすでに大陸中に一刀の噂は広まってしまっています!民達も一刀の事を天の御遣いとして崇拝しています!今更否定したところで完全に手遅れなんです!」

 

傾「そんな事は関係ない、お前の手でその男を殺せばいいだけの事、そうすれば天の御遣いなどというものはまやかしでしかなかったと民達も気付くだろう」

 

白蓮「ですが、一刀のおかげで幽州が発展しているのは紛れもない事実なのです!!」

 

傾「公孫賛、余はそんな事を聞いているのではない、お前も漢王朝の忠臣である身なら、帝以外が天を名乗る事など決して許しはしないはず、なのにどうしてお前はそれを許す?これは王朝に対する反逆行為に等しいぞ」

 

白蓮「そんな・・・・・」

 

無茶苦茶な理屈だが、これが王朝の実態なのである

 

一刀がどれほどこの国に利益を齎そうが、天を名乗っている時点ですでに邪魔者でしかないのである

 

桃香「ちょっと待って下さい!!そんなのおかしいです!!一刀さんが天子様や王朝に何かしたって言うんですか!!?」

 

傾「お前は・・・・・劉備といったか?」

 

桃香「はい、中山靖王劉勝が末裔、劉玄徳です!!」

 

傾「ほほう、かの景帝様が第九子の・・・・・その証はあるのか?」

 

桃香「はい、これがその証です!!」

 

自身の家に古くから伝わると伝えられる剣、靖王伝家を差し出す桃香

 

傾「ふむ、確かにそん所そこらの剣とは違うが・・・・・この剣、本当にお主のものである証拠はあるのか?」

 

桃香「え?」

 

傾「この剣を持っているだけで劉勝様が末裔と言われてもな・・・・ならばこの剣を持っていれば誰でもそう名乗れるという事になってしまう、たとえお主じゃなくても、お主の家の誰かが盗んだ可能性も捨てきれんのだからな」

 

桃香「・・・・・それは」

 

理屈で言えば傾の言う事は正論である

 

桃香も確かな自信と根拠があって、自身が劉勝の末裔と言えているわけではないのだ

 

傾「確かにお主がかの劉勝様の末裔である可能性は捨てきれん、しかし偽物であった場合それ相応の覚悟を持ってもらわねばな」

 

桃香「・・・・・・・・・・」

 

余りに筋の通った理屈に桃香は黙り込むしかなかった

 

鶸「お恐れながら何進閣下!!具申をお許しください!!」

 

傾「お前は確か、葵の次女だったな」

 

鶸「はい、涼州当主、馬騰が次女、馬鉄です!」

 

蒼「蒼は、三女の馬休です」

 

傾「許そう、述べよ」

 

鶸「はっ!私達は、馬騰から天の御遣いが王朝に害をなす存在なら殺せと仰せつかってます!しかし、害が無い場合は暫くの間監視しろと命を受けました!ですから勝手に殺されたら困るのです!」

 

蒼「うん、蒼達の仕事を取っちゃ駄目ですよ〜」

 

鶸「それに、いままでずっと一刀さんを見て来ましたが、王朝に害をなすどころか、むしろこの上なく有益な事をしてくれています!」

 

蒼「蒼も一刀さんを見て来ましたけど、一刀さんは王朝に反旗を翻す素振りなんてこれっぽっちも見せていません!」

 

鶸「もし一刀さんを殺して、それが原因で王朝の税収が落ちてしまったら、将軍はどのように責任を取るおつもりですか!?」

 

傾「どうやらお主達は、余の話を聞いていなかったようじゃな、その男が王朝にどれほど利益を齎そうと齎さなかろうと関係ない、たとえ周りが勝手にそう呼んでいようが帝を差し置いて天を名乗っている時点ですでに反逆者なのだ」

 

鶸「そんな・・・・・」

 

傾「涼州当主も地に落ちたものだ、自ら不逞の輩が天を名乗る事を許すなど、この大陸でも三本の指に入る漢王朝の忠臣が聞いて呆れる・・・・・そっちこそこの御遣いと結託し王朝を転覆させようと画策しているのではるまいな?」

 

鶸「そんな事・・・・・」

 

蒼「滅茶苦茶だよ、そんなの・・・・・」

 

傾「袁尚もそう思うであろう?」

 

麗羽「え、ええその通りですわ!どこの馬の骨とも分からない輩が天を名乗るなど片腹大激痛ですわ!お〜〜〜っほっほっほっほっほ!」

 

傾「よしよし、お前は身分というものを弁えている、褒めてつかわそう♪」

 

麗羽「お〜〜〜っほっほっほっほ、ほ・・・・・」

 

普段壮大な態度を取っている麗羽も階級や地位という壁は越えられない

 

400年に渡り続いた漢王朝だが、長く続いた分だけその威光に溺れやすく、ただ単に王朝の権威を誇示したいだけの権力欲だけが増大する形骸化した政権に成り下がってしまっているのだ

 

これでは、黄巾党という反乱分子が出て来たところで文句は言えないであろう

 

しかし

 

一刀「・・・・・言いたい事はそれだけですか?何進大将軍」

 

傾「・・・・・何?」

 

いきなり高圧的な態度を取ってきた一刀に傾の眉間に皺が寄る

 

周りの者達も会議の天幕にいきなり張り詰める空気に背筋を強張らせる

 

一刀「貴方の事は聞いていますよ、大将軍という権威を盾に洛中で好き勝手な事をしているみたいですね、おまけに政務や軍務には殆ど手を付けていない、職務怠慢や権力乱用、おまけに分かっていながら宦官達の愚行をここまで黙認している・・・・・帝の地位を脅かしているのは果たしてどちらなんでしょうね?」

 

傾「黙れ!!!貴様如きに言われずとも、近い内に宦官共は殲滅してやる!!!天を汚す不届き者が、余の名誉を不遜とするな!!!」

 

一刀「ならば、何故その腰の剣で今すぐ俺を斬って捨てないんですか?」

 

傾「っ!!??」

 

一刀「白蓮や桃香や馬騰さんの事を反逆者呼ばわりする前に、まず自分自身が漢王朝の忠臣としての行動を示すべきではないんですか?・・・・・俺は逃げも隠れもしませんよ、何だったら今ここで掛かってきても構わないんですよ」

 

「・・・・・・・・・・」

 

一同は一刀の言動に度肝を抜く、これは完全に王朝に対する挑発行為である

 

炎蓮「(くくくく♪こりゃ気に入ったぜ♪)」

 

楼杏「(傾様を相手にここまで強気になれるなんて、なんて人なの)」

 

この二人だけは一刀の行いに感心していた

 

傾「・・・・・っくくく♪」

 

一刀「・・・・・?」

 

傾「くくくく、は〜〜〜〜っはっはっはっはっはっは♪♪♪」

 

そして、いきなり盛大に笑い出す傾

 

傾「ふふふふ♪・・・・・余に向かってここまでの態度を取った男はお主が初めてだ♪褒めてつかわそう♪」

 

一刀「別に、俺はすぐにでもこんな馬鹿げた闘争を終わらせて無駄な犠牲者を一人でも多く無くしたいだけです」

 

傾「分かった分かった♪・・・・・いつか味わってみたいものよのう、その体?」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

まるで美味しそうなご馳走でも見る目で、傾は怪しい笑みを浮かべた

 

一刀は、その獲物を見つめるような視線を綺麗に流すのだった

 

傾「長引かせてすまなかったな、会議を始めよう♪」

 

「・・・・・っはぁ〜〜〜〜〜〜〜〜」

 

そして、無限とも思える一触即発の状況がようやく終わり、ここにいる殆どの者が長い溜息を吐く

 

なにせ、下手をすればこちらが漢王朝を敵に回してしまうところだったのだ、そうなればもはや黄巾党討伐どころではなくなってしまう

 

よく大将軍の方が矛を収めたと思う

 

風鈴「(これが、天の御遣い、一刀君・・・・)」

 

麗春「(ほぉ、大将軍を引かせるとはな・・・・・)」

 

蓮華「(・・・・・・・・・・)」

 

そして、この三人は大将軍を相手に一歩も引かなかった一刀に尊敬の念を抱いていた

 

傾「それでは、黄巾党殲滅の作戦だが・・・・・蘆植将軍、その智謀を見せてみよ!!」

 

風鈴「・・・・・分かりました」

 

おもいっきり丸投げの傾と、それに呆れた様子の風鈴

 

まるで今の漢王朝を象徴しているような二人である

 

風鈴「では、作戦なんですが・・・・・皆さん好きに行動してください」

 

「!!!??」

 

これは作戦会議のはずなのに、作戦会議そのものを否定する様な言動がいきなり出て来た

 

桃香「ええええ〜〜〜!!?風鈴先生!!?」

 

白蓮「そんな適当な事言わないで下さいよ!!」

 

風鈴「適当なんかじゃないよ、この状況で一番の策なんだから♪」

 

白蓮「と、いうと?」

 

風鈴「これだけの諸侯の軍がお互いに連携して動く事は不可能です、それぞれの軍にはそれぞれの個性、癖があります、それらが無理に連携を取ろうとすれば逆にお互いの足を引っ張ってしまいます、もちろん黄巾党を倒す目的は同じですから、お互いに協力する事もあります、そこは現場判断で臨機応変に行動するのが一番です」

 

「・・・・・・・・・・」

 

理屈としては筋が通っているが、どうにも納得できない一同であった

 

麗羽「素晴らしい作戦ですわ♪流石は蘆植将軍、考える事も将軍級ですわ〜♪」

 

と、一人だけ賞賛の嵐を送る馬鹿がいた

 

傾「ふむ、勉学を教えていただけあって、なかなかに智謀に長けた者であるようだ・・・・・作戦はこれで決定だ!!各々励め!!!」

 

と、勝手に決定し傾は楼杏と風鈴と共に天幕を出て行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楼杏「・・・・・それにしても傾様、よくお引きになられましたね、普段の傾様では考えられませんよ」

 

傾「あいつが天幕に入って来た時から感じていた、こいつは只者じゃないと」

 

風鈴「はい、私も一刀君と会っていましたけど、まったく底が読めませんでした」

 

傾「はっきり言って、勝てる気がしなかった・・・・・やれば確実に負けるな」

 

彼女も王朝の大将軍を務める以上それなりの武を持っている

 

その武が、一刀との争いを避けろと警戒信号を鳴らしてきたのだ

 

傾「あ奴は味方に回しておいた方がいい、敵に回すには余りに分が悪過ぎる・・・・・そう判断したまでだ」

 

楼杏「傾様にそこまで言わせるなんて・・・・・」

 

風鈴「やっぱり一刀君は、桃香ちゃんを超える逸材ですね♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白蓮「一刀ぉ・・・・・お前なりに機転を利かせてくれたんだろうが、もうあんな事は止めてくれよぉ、心の臓が壊れるかと思ったぞ・・・・・」

 

菖蒲「そうです、緊張で死んでしまいそうでした・・・・・」

 

一刀「すまないな」

 

星「私は、なかなかに面白かったですぞ♪」

 

桃香「ありがとぉ〜、一刀さん〜、助けてくれてぇ〜〜・・・・・」

 

愛紗「一刀様には、感謝してもしきれません」

 

鈴々「流石お兄ちゃんなのだ♪」

 

鶸「私からもお礼を言わせてください、お母様の名誉を守ってくれて本当にありがとうございます♪」

 

蒼「一刀さん、ありがと〜♪」

 

桃香「・・・・・それにしても、風鈴先生ももうちょっと気の利いた作戦を立てられないのかな〜?」

 

白蓮「ああ、教え子の私達がこんな事を言っちゃ拙いんだろうが、あれは大雑把過ぎるぞ・・・・・」

 

一刀「いや、あの人の慧眼は確かさ」

 

桃香「え?そうなの?」

 

一刀「これだけの諸侯の軍をいっぺんに統率できる人間なんていないだろうし、無理に編成すれば混乱して仲間割れの原因を自ら作ってしまうだけだ」

 

白蓮「まぁ、理屈としては合っているんだろうが・・・・・」

 

一刀「それに、こちらとしては願ったり叶ったりな作戦だしな」

 

星「それは、どういう意味ですかな?」

 

一刀「実はな・・・・・」

 

言葉の続きを言おうとした時

 

炎蓮「よう、北郷♪」

 

白蓮「いっ!!?孫堅!!?」

 

星「っ!!?」

 

菖蒲「っ!!?」

 

いきなり後ろから気さくに声をかけてくる炎蓮に二人は身構える

 

炎蓮「おいおい、そう警戒すんなって、取って食ったりしねーよ♪」

 

一刀「どうしたんですか?」

 

炎蓮「いやな、お前の根性が気に入ったんだ♪形骸化したとはいえ漢王朝の大将軍相手にあれだけの啖呵を切れる奴はそうは居ないぜ♪」

 

一刀「それはどうも・・・・・で、そんな賛辞の言葉を言う為に来たんじゃないんでしょ、本題を話したらどうですか?」

 

炎蓮「お、流石流石♪こっちの意図を見事に読んでくるな♪んじゃ小細工は無しで単刀直入に言おう・・・・・北郷一刀!!俺の配下になれ!!」

 

白蓮「んなっ!!!?」

 

桃香「ええええ!!!?」

 

鶸「いきなり何を!!!?」

 

炎蓮「お前みたいな豪胆な男は今だかつて見たことが無いぜ♪俺がお前の才能を完全に生かせる場所をくれてやるよ♪」

 

一刀「孫堅さんは、俺のどんな才能をかってくれているんですか?」

 

炎蓮「全てさ、幽州を短期間で発展させた政治力、民の信頼を集めるに長けた求心力、天の御遣いの名声、特に・・・・・お前の持っている技がな♪」

 

一刀「技・・・・・まさか、北郷流無刀術の事を言っているんですか?」

 

炎蓮「そう、その長ったらしい名前の武術よ♪あれはなかなかにいいぜ、戦場で使えばお前は俺を超える大陸一の大英雄になれるかもしれないぜ♪だからよ「断る!!!」・・・・・」

 

一刀「北郷流無刀術は、ただの人殺しの技、野蛮この上ない術だ!!こんな人を殺すしか能のない術なんて、無い方がいいんだ!!」

 

炎蓮「見当違いな事を言ってるな、今の時代はそういった術が何より必要なんだぜ、こんな殺伐とした時代に人を一人も殺さずに何かを成そうという方が無理無茶無謀だぜ」

 

一刀「孫堅さん、その殺伐とした時代を作ろうとしているのは、誰なんですか?」

 

炎蓮「そりゃ・・・・・・・・・・俺みたいな奴だな」

 

一刀「分かってるじゃないですか、だったらあなたが何もせず大人しくしていれば、そういった殺伐とした時代は来ないんです」

 

炎蓮「理屈としては筋が通っているな・・・・・だがな北郷、たとえ俺が立たなくても必ず他の誰かが乱を引き起こすぞ、お前はそれら全てを防ごうとか言いだすのか?」

 

一刀「防いでみせる!!そのための策が、俺の中にはある、だから孫堅さん、俺はあなたの配下にはなれない!!」

 

朱里「・・・・・・・・・・」

 

雛里「・・・・・・・・・・」

 

炎蓮「面白れえ!!その策とやらを見せてもらおうじゃないか!!お前がどこまで足掻けるか見ものだぜ!!」

 

そして、ケラケラと笑いながら炎蓮はその場を立ち去って行った

 

星「まったく、無礼な人だ」

 

菖蒲「ええ、あのお方の武勇は大変有名ですけど、性格が余りに粗悪だと聞いています」

 

白蓮「だがあの人は、この大陸一と言ってもいいくらいの大英雄だからな、それはもう否定できない」

 

一刀「・・・・・英雄なんて、この世の何処にも居ない」

 

白蓮「一刀?」

 

一刀「なんでもない・・・・・それより、桃香は自分の軍は大丈夫なのか?」

 

桃香「ああそうだった!!それじゃあ一刀さん、一緒に黄巾党をこらしめちゃおうね♪」

 

愛紗「失礼します」

 

鈴々「お兄ちゃん、また後でなのだ♪」

 

そう言って、桃香達は自陣へ戻っていった

 

一刀「さっきの話に戻る・・・・・黄巾党の討伐なんだけど、俺の単独行動を許して欲しいんだ」

 

白蓮「なに!!?それはどういう事だ!!?」

 

菖蒲「いったい、何をしようというのですか!!?」

 

一刀「それは・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、自軍に戻る桃香達

 

 

 

美花「お疲れ様です、御主人様」

 

雫「どうでした、会議は」

 

桃香「それがね、かくかくしかじかで・・・・・」

 

美花「あらあらまあまあ」

 

雫「作戦とは言えませんが、理にかなっているといえばかなってますね・・・・・それと朱里、雛里!天の御遣い様には会えましたか!?」

 

今回雫は、軍の編成担当だったので会議には出席出来なかったため、一刀の情報を少しだけでも聞いておきたかった

 

朱里「あ、うん・・・・・会えたよ」

 

雛里「直接お話は出来なかったけど、お姿を見る事は出来たよ」

 

桃香「やっぱり凄いね一刀さんって、孫堅さんが来た時、私怖くて動けなかったよぉ〜〜・・・・・」

 

愛紗「ええ、あの孫堅を目の前にしてもなんら動じませんでした」

 

鈴々「やっぱり、お兄ちゃんの胆力は本物なのだ♪」

 

朱里「・・・・・そうでしょうか?私は、そうは思えません」

 

愛紗「?・・・・・それはどういう事だ?」

 

朱里「確かにあの大英雄、孫堅さんを目の前にしても一歩も引かなった事は驚くべき事です・・・・・しかし、あのお方は戦により犠牲が出る事を余りに恐れ過ぎている節があります」

 

鈴々「にゃ?何が言いたいのだ?」

 

雛里「噂によりますと、そして桃香様達のお話を聞いていますと、あのお方は一度も、ただの一人もその手で人を殺めた事が無いと聞いています、戦場という極限の状況でこれを成してきた事は凄まじい事と言えましょう・・・・・しかしこれは即ち、一度それが崩れればそれまでの強さが嘘だったように崩れ去ってしまう可能性があるという事、これはあまりに危ないんです」

 

朱里「一度乱世の世になれば、敵味方問わず多くの犠牲者が出ます、おそらく、あのお方はそういった犠牲を乗り越え、その先を歩む事は出来ないでしょう・・・・・あのお方の成そうとしている事は、ただの一つも失敗が許されない、まさに今にも千切れてしまいそうな細い糸の上を渡り歩いている事と同じ、自分に課している枷が余りに多過ぎます、とても賢い世渡りの仕方とは言えません」

 

雛里「孫堅さんの言っていたように幽州を短期間であそこまで発展させた政治力や知識は目を見張るものがあるのは否定しません、ですが頭の良さと賢さは別物です、あの人は頑な過ぎるのです」

 

愛紗「・・・・・確かに、あのお方は人を殺す事を異常なまでに嫌う節がある」

 

鈴々「うん、どんな賊でも絶対に殺さなかったし、それで危ない目にも何度か会っているのだ・・・・・」

 

美花「朱里ちゃんと雛里ちゃんの言う通り一刀様は、頭が固過ぎるんでしょうね・・・・・そこがまた素敵なんですが♪」

 

桃香「でもでも、一刀さんのやっている事は、正しい事だと思うよ・・・・・」

 

朱里「桃香様!世の中は、是非で動いているのではありません!」

 

雛里「はい、正しい事が常に正解とは限らないのです、どうかお察し下さい」

 

桃香「・・・・・・・・・・」

 

雫「(天の御遣い様・・・・・直接会って話を聞いてみたいです)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

粋怜「ちょっと大殿!!何処に行っていたのよ!!?」

 

祭「なんの告知も無しにいきなり消えては現れるのは止めて下され!!」

 

またもや行方不明になった炎蓮を捜索していた一同は疲れた顔をしていた

 

炎蓮「悪りぃ悪りぃ♪あの御遣いに会って来たんだよ♪」

 

雪蓮「またなの?なんだかやけにあの子の事を気にかけてるけど、どうしたの?」

 

炎蓮「ああ、俺の軍に入らないかって誘ってきた♪」

 

冥琳「なっ!!!?正気ですか、大殿様!!!?」

 

梨晏「いくらなんでも合いませんよ、あの人は!!」

 

粋怜「ああ、言動の一つ一つがいちいち私達の目指しているものと相反している!!あいつが来たところで邪魔にしかならないわ!!」

 

穏「そうですね〜、あれは余りに極端な平和主義者ですよ〜・・・・・」

 

炎蓮「お前らの言いたいことも分かる、だがあいつの力は魅力的だと思わないか?」

 

冥琳「実力が抜きん出ていても、根本が異なり過ぎています!!」

 

雪蓮「確かにね、彼の力は本物でしょうけど、向かっている方向が正反対なのよ、それくらい母様も分かるでしょ?」

 

炎蓮「まぁな、あいつにもはっきり断られてしまったしな」

 

粋怜「あ奴の思想ではそう答えて当然でしょ・・・・・第一、あのままではこの時代を生き残れはしないわ、もしあいつが変われば話は別でしょうけと」

 

炎蓮「お?変われば受け入れるのか?」

 

粋怜「・・・・・それはまぁ、あの子の能力は魅力的である事は否定しないし」

 

梨晏「うん、あの性格さえ何とかなれば、私も彼と仲良くできると思うよ」

 

雪蓮「そうね、母様を助けてもらっているんだし、根は良い子ではあるんだろうし、考えてあげてもいいわよ」

 

炎蓮「よ〜〜〜し♪その時にはよろしく頼むぜ♪」

 

祭「まったく、堅殿にも困ったものだ・・・・・」

 

蓮華「・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

傾「よし、全軍散開!!!黄巾の奴らを根絶やしにせよ!!!」

 

楼杏「全軍前進!!!」

 

風鈴「ではでは皆さん、行きますよ♪」

 

そして、官軍及び各諸侯は東へ進路を取る

 

凪「あれ?公孫賛様、一刀様は何処にいるのですか?」

 

桃香「あ、本当だ、一刀さんがいないね」

 

十文字の牙門旗はここにあるのに、肝心の一刀が何処にもいない事に違和感を覚える二人

 

白蓮「ん・・・・・ああ、一刀は・・・・・」

 

菖蒲「一刀様は、別行動を取られています」

 

星「うむ・・・・・まったく、こういった時のあのお方は本当に頭が固くて困る・・・・・」

 

桃香「?・・・・・何があったの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

影和「うわぁ〜〜〜〜〜♪速い速い♪こんな速い馬初めてぇ〜〜〜〜〜♪」

 

ムニュウウウウウウウ

 

一刀「(おい〜〜〜〜、押し付けてくるなぁ〜〜〜〜!!!)////////////」

 

現在、一刀は影和と共に馬に乗り黄巾党本陣へ急いでいた

 

後ろから影和にしがみ付かれる一刀は手綱を操るのに苦労していた

 

外套を被っていて分かり辛いが、かなりの果実の持ち主なので、背中に魅惑の感触が伝わってくる

 

これほどの体には、それ相応の栄養摂取が約束されなければ育たないはずである

 

これまで見てきた武将達も大抵が豊満な果実を持っていたし、本当に皆が皆王朝の圧政に苦しんでいるのか怪しいものである

 

影和「本当に速いですね♪この馬の名前はなんて言うんですか♪」

 

一刀「ん、ああ、北斗だ!」

 

そう、一刀は旅の途中で買った黒馬に北斗と名付けていた

 

しかし、そんな名前とは裏腹に北斗の体格はそこら辺の馬と大差はない

 

なのに、なぜそこまでの早さを発揮できるのか

 

これは、一刀が北斗に氣を送り速さと持久力の底上げをしているからだ

 

北斗の体からは山吹色の氣が溢れ、その黒い体を照らしだし光沢を見せる

 

最高速度を維持したまま流れるように安定した速さで疾風の如く駆け抜ける北斗

 

影和「北斗ちゃん・・・・・よ〜〜〜〜し、北斗ちゃ〜〜〜〜ん♪も〜〜〜〜っと早く行ってみよ〜〜〜〜〜♪」

 

北斗「ヒヒ〜〜〜〜〜〜〜ン♪♪」

 

どうやら北斗は大の女の子好きのようだ

 

影和が応援すると更に加速する

 

ムニュウウウウウウウ

 

一刀「(だから押し付けるなぁ〜〜〜〜!!!操氣術をミスりそうだぁ〜〜〜〜〜〜!!!)//////////」

 

北斗の速さを維持しているのは一刀なのに後ろからいちいち茶々を入れられては集中出来ない

 

手綱を握っている間中、一刀は気が気でなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも、Seigouです

 

中途半端なんですがここで一旦投稿とさせていただきます

 

この後の展開を考えているんですが、どうしてもしっくりくるストーリーが思い浮かばないんです

 

自分は小説を書く時は計画的にではなく、その場の想像に任せて、思い付いた事をそのまま書くタイプです

 

アイデアが溢れてくる間は流れるように書けるんですが、詰まってしまうとストーリーも詰まってしまうというデメリットがあります

 

投稿が遅れている時は、主にこういった事が原因なんですよね

 

物語全体の構図は出来上がっているのですが、中身の繋ぎが思い付かなくそのまま放置してしまう状態

 

そして、暫く経ったら思い付きまた書き始めると

 

もちろんそれだけが原因ではないのでしょうが、自分の場合は主にそれです

 

さて、久しぶりの鎮魂の修羅ですが、次はどっちを投稿するのかはっきりは言えません

 

先ほども申し上げた通り、ちょっと詰まり気味ですので繋ぎが思い付いたら投稿という形を取らせて頂こうと思います

 

では・・・・・待て!!!次回!!!

説明
難色の修羅
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コメント
どんな政策や対策をしても地震や台風などの自然災害は起きてしまいます。まさに予想外、想定内の連続。一刀でもそれは防げない(戦記好きな視聴者)
↓桃香がまさにそうですよね。自分の理想と言動や行動の間にある矛盾に気付いてしまったら、途端に引き籠りになる可能性が大。それを周囲がとにかく「桃香に気付かせない、桃香を傷付けない」ように過剰なフォローをする。だからますます気付いた時のダメージが大きくなる……朱里と雛里はそこには気が付かないんだな。眩しすぎて。(Jack Tlam)
桃花を王にする朱里と雛里、人の観察するのいいけど基本的に他人事だよな。身内にも似たようなのいるくせに(笑(佳奈すけ)
取り敢えず孫呉軍が一々上から目線でウザい、、、命救われといて何様なん?(noel)
『空気』を読むヤツが誰もいないな。 少しは、自重する事を覚えろよ。 人の意思つーもんを無視するな!(劉邦柾棟)
貧しいのにデカ乳って・・・確かに怪しく感じるよな〜; 今回も面白かったです次回も待ってます!(スターダスト)
もし乱世を止められなかったら、一刀は心折れるでしょうね。命を背負うとはどういうことか、その答えを出せない限り。……いえ、仮に乱世にならなかったとしても、災害救助の時に命の選択を迫られたら、命を背負う覚悟のない一刀は意外とあっさり折れそうです。(h995)
こんな考えの一刀君は、壊れずに乱世を乗り越えるor乱世を起こさなくすることが出来るのでしょうか?とても心配です。ではでは、続き楽しみに待ってます。(一丸)
一刀の結末が生であっても死であっても、己が決意を魅せていくのであればこの外史を見続けられます・・・なのでゆっくりでも大丈夫ですよ(本郷 刃)
一刀がどこまでその考えを貫けるのか気になりますな〜生き残れるのか?^^;(nao)
……朱里や雛里はちゃんと一刀の弱点に気が付いたか。人道的見地に立てば正しいことをしている一刀だが、この時代の一般常識からすれば「何言ってんだ?」って言われかねない。価値観がそもそも違う世界で育ったからと言えばまあわかるけど、少なくとも人が死ぬことは受け入れなければ、この先はやっていけないぞ……自分が殺さなくてもいいからさ。(Jack Tlam)
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