真・恋姫†無双 裏√SG 第18話
[全7ページ]
-1ページ-

 

 

 

 

 

修行(そこに一応愛はある)

 

 

 

 

 

強くなろう。そう決めた私こと凪紗が、まず最初に頼ったのが自分の家族だった。

うちの家族は父さんや母さんを筆頭に文武に長けたものばかりなのだ

 

 

 

魔術を駆使し、あらゆる物を出現させ、あらゆる武器を自在に操る父さん

 

素手での戦闘に特化し、中でも氣を活用した戦闘術に秀でている母さん

 

どんなに遠くにあるものでも、そのど真ん中を確実に射抜く秋蘭さん

 

秋蘭さんに負けず劣らずの命中率と、速射が得意な秋菜姉さん

 

荒いようで洗練された剣術で敵を押し込み圧倒する雪蓮さん

 

両手に持ったトンファーと言葉で翻弄する蓮鏡姉さん

 

大陸最速を誇るスピードと棒術で敵の背後を常にとる悠里さん

 

母譲りの脚力を活かした足技で敵を踏みつける悠香

 

いつもどこに仕込んでいるのかわからないが、いつの間にか取り出した巨大なヨーヨーで敵を吹き飛ばす流琉さん

 

重い大剣を使っているにも関わらず、動きがとても軽やかで速い猪々子さん

 

型などなく、感覚で戦うからこそ次が読めない、かつて最強の飛将軍と呼ばれた恋姉さん

 

ナイフ一本であらゆるものを豆腐のように切り刻む咲夜さん

 

陸戦において彼女の前に立てるものは居ないとまで唄われた咲希姉さん

 

そして、実はうちでいろん意味で最強と言われている魔法使い、月姉さん

 

 

 

これだけ列挙したところで、うちの戦闘力が多少異常であると再認識してしまう。

唯一、詠姉さんは非戦闘員だが、詠姉さんはかつて軍師として活躍していたと聞いているので、やはりおかしいのだろう。とても、一介の料理店がもつ保有戦力とは思えない

 

だが、今の私にとって、これほど恵まれた環境もない。

幼い頃より鍛えられていたが、今一度、自己を見直し、より高みへと向かう時なのだろう

 

 

-2ページ-

 

 

 

夏侯親子の場合

 

 

 

最初に稽古に付き合ってくれたのは、仕事では上司でもある秋蘭さん、秋菜姉さんの二人だ。二人は揃って弓の手入れをしている

 

秋蘭「うむ、たまにはこうして体を動かすのも悪くないだろう」

 

秋菜「確かに、母上が弓を持つ姿も、ずいぶん久しぶりに見ます」

 

かつて秋蘭さんは武将だったが、現在はどちらかと言うと文官で、デスクワークが主になっている。それでも、肉体は衰える事なく引き締まっているので、鍛錬を怠る事はないようだ

 

秋菜「さて、準備はいいか、凪紗?」

 

秋菜姉さんに問われ、私は頷いた。それと同時に拳を構える

 

秋蘭「しっかり神経を研ぎ澄ませるんだぞ。でなければ、私の矢がお前を射抜く」

 

秋蘭さんに言われた通り、目の前に集中し始める

 

だけど、それは既に遅かった

 

秋蘭さんから放たれた矢は、既に私の眼前に迫って来ていたのだ

 

凪紗「!?」

 

私は慌ててその矢を掴む。直前で掴めたことに少し安堵したが、その先には複数の矢を放たんとする秋菜姉さんの姿があった

 

秋菜「その程度でいちいち隙を作るな。やられるぞ」

 

僅かな動きで放たれた矢は、確実に私の急所を狙いに来ていた。私はこれを避けると、即座に2本目が避けた先に飛んで来ていた。私はこれを手甲で弾き、何とか体勢を整えた

 

必中の矢と、早撃ち。一本目で隙を作り、その僅かな隙を瞬時に突く。これが、この親子の連携だった

 

秋蘭「ふむ、流石に凪の娘だけあって、あれを捌けるか」

 

秋菜「まぁ、あれくらいは捌けて当然ですね」

 

その後も矢が嵐のように飛んできました

 

 

 

 

張親子の場合

 

 

 

 

秋蘭さん、秋菜姉さんとの訓練を終え、食事を取り終えた私は、再び訓練場に行き、訓練に励む事にした。次の相手は…

 

悠里「よっ!ほっ!うーん!絶好調!」

 

悠香「とーぅ!張り切っちゃうよー!」

 

悠里さんと悠香の親子だ。二人はピョンピョン飛び跳ね、準備運動をしている

 

悠里「あたしはそこまで強くないから、お手柔らかに頼むよ!」

 

悠香「ふふーん!少しとは言え、凪紗ちゃんの姉であるあたしが、凪紗ちゃんを鍛えてあげるよ!」

 

悠香とは歳は一緒だが、数日程向こうの方が早く生まれている。私は東家の中で末っ子なのだ

 

悠里「よーし、じゃあ行くよー!」

 

凪紗「はい!」

 

悠香「よーいどん!」

 

悠香の掛け声と共に、先ほどまで正面にいた二人の姿が、一瞬で消えた

 

悠里「こっちこっち!」

 

背後から声が聞こえ、振り向くが、そこには誰もいなかった

 

悠香「こっちだよー!」

 

次は左方から声が聞こえた。だが、やはりそちらを向いても、誰もいない

 

声に惑わされるな。自分の感覚を信じて、相手を捉えなければいけない

 

私は目を閉じ、氣を集中させる。周囲に氣を張り、網を張る。そして私のすぐ後ろに陣取った者へ…

 

凪紗「取った!」

 

私は裏拳を繰り広げる。背後に居たのは悠里さんだった。悠里さんは一瞬驚くも、すぐに微笑み、私の裏拳を少し下がって回避した

 

悠里「おー!流石凪ちゃんの子!だけどまだまだ速さが足りないね!」

 

凪紗「クッ!」

 

これが大陸最速。全く当たる気がしない

 

悠香「凪紗ちゃ?ん!しっかり受け身を取ってね!」

 

悠里さんが私の裏拳を躱したその直後、悠香が私に肉薄し、私の横腹目掛けて蹴りを放とうとしていた。私は咄嗟に腕で防御姿勢を取るが…

 

凪紗「悠香!?しまっ!」

 

悠香「発射!」

 

悠香の蹴りが私の腕に当たったと同時に、腕にとんでもない圧力が掛かり、そこから暴風が噴射した。私はその空力に抗えず、吹き飛ばされてしまった

 

悠香の能力は空気の噴射。

悠香が放つ蹴りが当たると、そこから空気が噴射され、問答無用で敵を吹っ飛ばすという、防御不能の厄介な技。悠香の攻撃は、受けるのではなく躱すものというのが、うちの家での共通認識だ

 

悠里「うはー、我が娘ながら、とんでもないなー」

 

悠香「やべっ、凪紗ちゃん、飛ばし過ぎちゃった」

 

しばらくの間、空を飛びました

 

 

 

-3ページ-

 

 

 

孫親子の場合

 

 

 

日付けは変わり、業務を終えた後、私は早速訓練場に行き、訓練に励む事にした。

今日の相手は…

 

雪蓮「さーて、運動不足の解消の為にも、頑張んないとね」

 

蓮鏡「凪紗、妹だからって手加減しないわよ!」

 

雪蓮さんと蓮鏡姉さんの二人だ。それぞれ剣とトンファーを構えている

 

雪蓮「私はみんなみたいに突出した能力があるわけじゃないから、せめて打ち合って、凪紗の悪い所をどんどん指摘していくわ」

 

私としても、そちらの方が有難い。短所を消していくと言う事は、そのまま成長に繋がるのだから

 

蓮鏡「そう考えると、私達って結構地味?まぁ、いっか。行くわよ!

『母様が本気になる!』」

 

凪紗「え!?ちょっと!?」

 

最初から他人任せかつ、言霊によって雪蓮さんを強化した蓮鏡姉さんは、それはそれは楽しそうに笑っていた

 

雪蓮「んー!いい気分ね!しっかり構えなさい、凪紗!張り切っちゃうから!」

 

凪紗「は、はい!」

 

返事をした途端、大陸トップクラスの猛攻が私を襲った

 

 

 

-4ページ-

 

 

 

猪々子さん、流琉さんの場合

 

 

 

さらに日が経ち、今日の相手は猪々子さんと流琉さんが付き合ってくれる事になった。

今回はいつもの訓練場ではなく、許昌から少し出た所にある山の中で行う事にした。

というのも…

 

猪々子「つっても、あたい達って教えるほどの技量はねーからなぁ」

 

流琉「そうですね。戦闘においては、力だけが自慢ってだけだし」

 

この二人、流石力自慢と言うだけあり、準備運動と称してさっきからボコボコと岩を砕いたり、地面に穴を開けているのだ。これを街中や城内でやると…まぁ大変な事になる。主に修繕費が

 

猪々子「うし!準備運動終わり!せっかくあたいら二人が相手になるんだ、体力はつけてやるさ!」

 

流琉「というか、嫌でも体力はつくと思うよ。だから、しっかり防いでね」

 

二人はそれぞれ巨大な武器を構えて、邪気の無い笑みを私に向けてくれた。その笑顔に、優しさに応えてあげたい。あげたいのだが…

 

凪紗「はい…」

 

武器の重さとか、力強さとか、全然優しくありません…

 

 

 

 

母さん、咲夜さんの場合

 

 

 

 

流琉さんと猪々子さんによるぶつかり稽古を終え、お昼休憩を挟んだ後、次に訓練相手になってくれたのは…

 

咲夜「そう言えば、結構付き合いは長いのに、凪とこうして組む事はなかったな」

 

凪「そうですね。こちらとしても良い経験になります」

 

母さんと咲夜さんの二人だ。

先ほどのぶつかり稽古によるダメージは抜け切っていないにも関わらずこの二人だ。

今日を乗り切れる気がしない…

 

咲夜「あ、さっきまで猪々子と流琉の相手をしていたからって、手を抜くつもりはないから」

 

凪「そうですね。これが戦場なら、どんなに疲れている状態でも、敵を相手にしなければいけないし、敵は待ってくれない。全力で、倒す気で来るんだ」

 

そして死刑宣告まで受けてしまった

 

凪紗「は、はい…」

 

私は若干心が折れながらも、しっかりと拳を構えた。咲夜さんは流石のドS振りだ。

母さんも相変わらず厳しい。いや、こんな事を思う私の精神が弱いだけなのだろう。

きっと二人は、それを叩き直してくれるのだ。うん、そうに違いない!

 

咲夜「そーらそーら!もっと上手く捌かないと、この後下着姿で街に帰る事になるぜー!」

 

凪「氣を溜めるのが遅いぞ!それに効率も悪過ぎる。それだけの量を使っているのに、威力が大した事ないぞ!」

 

実はこの二人、楽しんでいないだろうか?

ていうか、防ぎきれない!手数が違い過ぎっ……

 

 

 

-5ページ-

 

 

 

恋さんの場合

 

 

 

前回の訓練は酷かった。ほとんど意識がない。自分がどうやって家に帰ってこれたのかもわからない

 

さて、今日の訓練相手は恋さんだ。

この大陸において、戦ってはいけない相手が5人いる。そのうちの一人が恋さんだ。

かつての飛将軍としての実力は今なお衰えを知らず、それどころか洗練されていると聞く

 

恋「教えるのは苦手。だから、感じて」

 

口数は少なく、だがしっかり伝えてくる。そして、戟を構えると同時に溢れ出る威圧感。

隙は全くと言っていいほどない。『未来予測』の能力を持ってしても、その未来が多岐に渡り過ぎて確実な未来が見えない。圧倒的な天賦の才

 

恋「っ!」

 

軽く戟が振るわれる。ただそれだけで、周囲に衝撃波が発生する。そんな攻撃を受ければ受けるほど、精神がゴリゴリ削られていく。勝とうという気力を削がれていく。そしていつしか、心が折れる

 

こんな人に訓練をつけてもらえる事に感謝しなければならない。確かに、教えてもらうということはなかったが、得るものは間違いなくあった。感覚で戦う恋さんだからこそ、私の弱点を察し、そこを狙って打ってくる。後は、私がそれをどう捌くかだけ

 

凪紗「ッ!?だが、捌ききってみせる!」

 

その後、私が倒れるまで付き合ってもらった

 

 

 

 

父さんの場合

 

 

 

 

忙しい時間の中、父さんがようやく時間を作れたようだったので、私は訓練に付き合ってくれるようお願いした

 

一家の大黒柱である父さん。

私達東の武術は父さんが有している技術をベースにしており、そこから自己流に派生している。例えば、悠香なら足技、私なら関節技のように。故に、父さんとの訓練が一番理想的なのだが、やはり忙しいようで、なかなか時間が取れなかった。今日はせっかく相手をしてくれるのだ。しっかり教えてもらおう

 

零士「せっかくの娘との時間を訓練に…いや、これも凪紗ちゃんの為か」

 

……後で、肩でも揉んでおこう

 

零士「それにしても、今さら僕が相手をしたところで、みんな程強くはないんだけどなぁ」

 

そんな事を呟くが、父さん自身も、この大陸で戦ってはいけない一人である。

それは、父さんが何でもありだからだ

 

凪紗「今日は、私と魔術を駆使して戦って欲しいのです!」

 

確かに父さんは、純粋な白兵戦をさせれば、恋さんや咲夜さん、きっと今では母さんにも勝てないだろう。だが、今日はそんな白兵戦をしてもらうつもりはない。私は、より高みへと登らなければいけないのだ

 

零士「魔術で?うーん…まぁ、いいけど。となると、僕はかなり姑息だよ」

 

自分で言うなよと言いたいが、私はそれでも構わないと頷く。すると父さんは、困った様に笑い、そして指をパチンと鳴らした。私は身内だから、今の行動の意味がわかる。父さんは既に魔術を発動させ、何かを仕込んだ

 

零士「さて、ならやろうか。凪紗ちゃん、どこからでも打って来ていい」

 

父さんに言われ、私は拳を構えて距離を詰めようとする。だが、詰めようと一歩前に出たところで、父さんが口を開いた

 

零士「凪紗ちゃん、そんなに迂闊に、前に出てよかったの?」

 

その言葉にハッとなる。ここは既に父さんのフィールドなのだ。何かを仕込んでいたのも間違いない。なのに私は、そんな事を失念したまま前に出た。次の一歩がなかなか踏み出せない。というか、自分がここから動いていいのかもわからない

 

堪らず私は『未来予測』を展開させる。するとどうだろう。前に出ても、右に出ても、左に出ても、後ろに下がっても、私が落とし穴にハマる未来しか見えなかった

 

凪紗「あの、父さん、これ…」

 

零士「ん?どうしたの?ほら、早く来なよ。あぁそうか、君は未来がある程度視えるもんね。見ちゃったか。なら僕もその先をさらに見越して…」

 

父さんは確かに姑息なのかもしれない

 

 

 

-6ページ-

 

 

 

咲希姉さんの場合

 

 

 

とうとうこの日が来た。今日はあの咲希姉さんとの訓練だ

 

咲希「………」

 

咲希姉さんは目を瞑り、吹く風を?で感じ、穏やかな表情で立っていた。

穏やかな表情、なのに、私は先ほどから、体の震えが止まらなかった

 

陸戦最強の咲希姉さん。

その強さは、恋さんと華雄さんの二人掛かりじゃないと抑えられない程。

力も、技術も、速さも、そのどれを取っても最強と呼ぶに相応しい能力。

それは、彼女の立ち振る舞いから滲み出るほど。

そして、滲み出ている彼女の黒い氣が、敵を恐怖で震え上がらせる

 

恋さんや華雄さんは、武将としての、武力において敵を圧倒し、勝つ気力を削いで行く。

だが咲希姉さんは違う。彼女は、武将でもなんでもない、暴力で敵を圧倒し、恐怖を植え付け、負けるという感情で溢れさせる。咲希姉さんには、勝てない

 

咲希「どうした、凪紗?」

 

凪紗「っ!?」

 

咲希姉さんはとても楽しそうに、私に問いかけてくる。笑顔だった。笑顔の筈だった。

ただ、その笑顔が、歪んで見えた。その笑顔が、さらに私に恐怖を植え付けてくる

 

凪紗「い、いえ!なんでもありません!それでは、よろしくお願いします!」

 

拳を構える。震える手足を何とか抑えようと気を張る。普段はとても優しい実の姉。

生まれた時から日常を過ごしていた姉に、心の底から恐怖している。

逆に考えれば、それだけ姉さんも本気だと言うことだ。

本気で私を相手にしているからこそ、私は咲希姉さんに恐怖する

 

咲希「あぁ、どこからでも来い」

 

手招きするように、顎をクイっと上げる。私は頷き、咲希姉さんを見た

 

隙なんて、全くなかった

 

どう攻めても、返される『未来』が視えた

 

『未来予測』を使わなくても視える未来

 

次元が違い過ぎる

 

それでも私は、咲希姉さんに技を掛けた

 

咲希姉さんの右腕を取り、抱き着き、地面に組み伏そうと力を込める

 

倒れない

 

どれだけ力を込めても、咲希姉さんは体勢を崩す事はなく、腕に絡みついた私を見て笑った

 

それならと、私は腕を固めようと、関節技を極めようとする

 

本来ならありえない方向に腕を曲げようと力を込める

 

曲がらない

 

極まらない

 

どれだけ力を込めても、微動だにしない

 

咲希「動きは悪くないんだが、いかんせんパワー不足だ。それくらいの力なら、ジワジワやるんじゃなくて、一瞬で極めなきゃいけない。たった一瞬に力を込めなきゃいけない。それだけで、凪紗なら骨の一つや二つ、簡単に折ることができる」

 

姉さんは私に腕を固められながら、楽しそうに説明してくれた。

私はその言葉に、耳を傾け、関心し、気を緩めてしまう

 

それが失敗だった

 

咲希「こら凪紗、訓練だからって気を抜くな」

 

優しく諭すような声音。だけど抱き着いていた腕が急に動き、私はそのまま地面に叩きつけられた。どんでもない衝撃が、私の全身に響き渡り、一瞬だけ意識が飛んでしまった

 

咲希「ほら、立ち上がれ凪紗。まだまだ始まったばかりだぞ」

 

咲希姉さんは優しいが、やはり親子なのか、容赦はなかった

 

 

 

-7ページ-

 

 

 

月さんの場合

 

 

 

月「私なんかが相手で、訓練になるのかな?」

 

順々に、家族に稽古をつけてもらってきたが、今日でようやく一巡しようとしていた。

その最後の相手が、お食事処【晋】の現料理長、月さんだ。

ここまで来るのに、私は何度死にかけたのだろう…

 

それはさておき、月さんは巷では、三国の嫁にしたい女性ナンバー1だったり、女神だと呼ばれている、完璧超人と名高い素敵な人だ

 

だが家では、恐らく一番怒らせてはいけない人ナンバー1と呼ばれている

 

それは、月さんの能力が、恐らく最強なんじゃないかと謳われているから

 

凪紗「いえ、これも経験になりますし、自分はまだ、氣弾を上手く扱えないので」

 

月「そっかぁ、なら、飛んだ方が良いのかな?」

 

そう言って、月さんの体が徐々に浮き上がり、私の頭上に飛び立った

 

私や家族からしたら、月さんが飛ぶくらい、なんてことない光景だが、やはり一般人からしたらおかしいのだろう。現在私達は城にある訓練場を使っているが、そこにいた新兵達が目を見開いていた。自分の見ている光景が信じられないのか、目を何度も擦り、月さんを見ている

 

月「あはは、目立っちゃったかな?」

 

凪紗「構いません。いずれは見られるのですから」

 

月さんが飛ぶ。それはここ許昌では常識であり名物なのだ。だが、誰も彼女を悪く、怪物などと言わない。むしろ、本物の天使だと言うものもいるくらいだ。彼女の優しさ、美貌がそう思わせているのだろう

 

月「そっか、なら、まずは軽い準備運動から」

 

月さんはそう言い、指を私に向けてくる。その指先から、閃光が走った

 

私は光ったと同時に横に飛んで回避する。先ほどまで私が立っていた地面が抉れていた

 

月「どんどん行くね」

 

月さんの手に炎の弾が凝縮され、それを私に向けて飛ばしてくる。先ほどの稲妻程の速度は無いが、爆発範囲が桁違いだ。避けたのに、その余波で体勢を崩される。さらに崩れた所を、今度は水の槍が私を貫く。刺さった訳じゃないが、その水圧に押されて吹き飛ばされた

 

凪紗「じ、準備運動って何でしたっけ!?」

 

月「えー、私はまだ、軽い運動のつもりだよー。それよりも凪紗ちゃん、ちゃんと反撃しないと、もっと辛くなるよ?」

 

小首を傾げて言う月さんは本当に可愛いと思う。思うけど…

 

凪紗「いったいどのタイミングで撃てと!?」

 

さっきから避けてばかりで、反撃ができない。というか、避け続けないと、風の刃で私の服が細切れにされそうだった…

 

 

 

月さんとの訓練が終わると、恐らく訓練を観ていたであろう魏延将軍が声を掛けてくれた。

挨拶しなきゃいけない。それはわかっているが、先ほどまでの鬼のような訓練に、私は立てずにいた

 

焔耶「お、お前、大丈夫か?なんか雷とか火柱とか見えた気がしたけど…

ここの訓練はいつもあんな異常なのか?」

 

月さんとの訓練は異常らしい。私は幼少の頃より見てきたから、よくわからない

 

月「焔耶さんもやってみますか?」

 

焔耶「わ、ワタシはいい!というよりやりたくない!

いくらワタシでも、大陸で戦ってはいけない一人とやり合う気はない!」

 

あの勇猛と名高い魏延将軍ですら、月さんとは戦いたくないらしい。

それはそうだろう。勝つ手段がないのだ。何故なら飛んでいるから。

氣弾を撃てるものや弓の得意なものなら善戦できるかもしれないが、月さんはそのさらに上を行って雷を落としたり、炎で包み込んだりする

 

凪紗「確かに、そう考えると、普通じゃない…」

 

そして私は、意識を手放した

 

これでようやく一巡。既に心が折れそうだったが、頑張らないと…

 

 

 

頑張らないといけないかなぁ……

 

 

 

説明
こんにちは
Second Generations日常編? 凪紗視点
なんでもアリな修行話
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
1062 948 6
コメント
ここの月さんもちょいちょいおかしいよね?w(B.Field)
咲希姉さん強すぎですww(ohatiyo)
タグ
真・恋姫†無双 オリキャラ 楽? 

桐生キラさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。


携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com