~少年が望んだ世界と力~
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前書き

 

ARXー7アーバレスト「今年ラストです!」

 

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三人称Side

月曜日

PM0:34

日付が変わった深夜の住宅街を人程の身長をしたロボット、キャプテン達が歩いている。

歩いていたキャプテン達が八神家に到着するとキャプテンが合鍵を使ってドアを開けて家に入って行く。

 

八神家

キャプテン達がリビングに入るとソファにシャマルとシグナム、ヴィータが、床にザフィーラが座っていた。

 

「お帰り、キャプテン、皆」

 

「ただいま」

 

キャプテン達が帰ってくるとシャマルが迎え、キャプテンはシャマルにただいまと返す。

 

「もう身体は大丈夫なのか?」

 

「ああ、一応はな。まだ少しばかり痛むところはあるが心配はいらねぇぜ姉御」

 

「心配をさせて申し訳ない」

 

キャプテン達を心配していたシグナムが身体の具合を尋ねるとまだ本調子ではないが問題ないことを張飛が元気よく答え、心配させてしまったことにゼロが謝る。

 

「ザッパー達はどうした?」

 

「ザッパーザク、グラップラーグフ、デストロイヤードムは今日は向こうに泊まるそうだ」

 

「夏候惇と夏侯淵も同様だ」

 

「尚香も同じく」

 

ザッパーザク達の姿が見えないことに気づきザフィーラがキャプテンに尋ねるとザッパー達はキャプテン達が修理を行っていた場所で泊まっているとキャプテンが答えると夏候惇と夏侯淵、尚香も同じく泊まっていることを曹操と孫権が言う。

 

「なあキャプテン、ガンイーグルとガンチョッパーは?あいつら結構やられただろ?」

 

「ガンイーグルとガンチョッパー2号機、4号機、6号機は今日の昼頃には修理が終わる予定になっている。命に別条はないから大丈夫だ」

 

「そっか。ならいいけど・・・」

 

戦闘でνガンダムとリ・ガズィによってかなりのダメージを負わされたガンイーグルとガンチョッパーを心配したヴィータがキャプテンに尋ね、ガンイーグルとガンチョッパーの修理完了予定と命に別状がないとキャプテンに聞いたヴィータは少しは安心したようだがまだ少し心配そうな表情をしている。

 

「シャマル、今回の蒐集で闇の書はどれ程ページが埋まった?」

 

「ちょっと待ってね」

 

キャプテンに蒐集具合を尋ねられたシャマルは両手を前に出すと闇の書が転移して現れ、シャマルは掴んで自分の膝の上に置いて闇の書を開く。

 

「あの中でウィザードって呼ばれてた人だけしか蒐集出来なかったけど、魔力は25ページ分、この前の白い子よりも稼げたわ」

 

「やったな」

 

「あいつ、そんなに凄かったのか」

 

「ええ。でもね、蒐集した魔法を見たんだけど全く見たことがない魔法式なの」

 

シャマルの報告を聞いて劉備は喜び、ヴィータはウィザードがそれ程の魔力を持っていることに驚いている。

ヴィータの言葉に頷くとシャマルはウィザードから蒐集した魔法が見たことがないと言って闇の書の向きを変えてヴィータ達に見せる。

 

「なんだよこの魔法・・・」

 

闇の書に書かれている魔法を見てヴィータは驚きの表情を見せる。

そこに書かれている魔法の種類、方式はこれまで長い時を過ごしたヴィータ達でさえ見たことがないからだ。

 

「我らの古代ベルカでも管理局やあの白い魔導士のようなミッドチルダとも異なるな」

 

「ええ。それと蒐集をして1つ気になることがあったの」

 

「なんだシャマル?」

 

「最初は魔法の種類が沢山あったにも関わらず5ページ程しか埋まらなかった。でも・・・」

 

「これは・・・」

 

魔法式を見たザフィーラが自分達が使っている古代ベルカ式、なのはや管理局員が使用しているミッド式とは異なる魔法式であることを言うとシャマルは頷き、蒐集したことで気づいたことを伝える。

シグナムが尋ねるとシャマルは闇の書をシグナムに渡し、渡されたシグナムはページを一枚一枚捲って内容を見る。

するとあることに気づき、目を細めた。

 

「そう。ここからの9ページ、そしてここから最後までのページは1つずつの魔法だけで埋まってるわ」

 

「マジかよ」

 

「たった2つの魔法でそこまで力があるのか」

 

「一体どんな魔法なんだ?」

 

「9ページ分のは『ドラゴン』。11ページ分のには『インフィニティ』って書かれてるわ。でもどういう魔法なのかまでは解からない」

 

「ドラゴンにインフィニティ」

 

「ドラゴンはまだ理解出来なくはないがインフィニティとはどういうことなのだ?」

 

「インフィニティ、『無限』か・・・」

 

シグナムが気づくとシャマルは頷き、シグナムから闇の書を受け取るとウィザードから蒐集したページの6ページ目を開いて指を指して9ページ分進み、その次のページから最後のページまでがそれぞれ1つの魔法だけで埋まっていることを皆に告げる。

その事実にヴィータは驚きの表情を見せ、ザフィーラはまだ冷静な声ではあるがこちらも驚いた様子だ。

それだけの力を持つ魔法がどういう物なのか気になったシグナムがシャマルに尋ねるとどういう魔法なのかは把握出来ていないが名称がそれぞれ「ドラゴン」と「インフィニティ」であることをシャマルは答える。

それを聞いた劉備がドラゴンとインフィニティの名称を繰り返す様に呟き、ドラゴンは多少なりと理解出来るがインフィニティの意味が分からず疑問であることゼロが口に出すとインフィニティの意味が無限であることをキャプテンが言い、それがどのような効果を生み出すのかキャプテンは考え出す。

 

「何はともあれ、今回の蒐集は大きい」

 

「ああ」

 

「これではやてを早く助けられる」

 

ドラゴンとインフィニティの能力は分からないが今回の蒐集の結果大きかったことをシグナムが言うとザフィーラは頷き、はやてを速く助けることが出来るとゼロは安心している。

 

「にしてもシャマル、今日は危ないところだったな」

 

「え?なんのこと?」

 

張飛の突然の言葉を理解出来ず、シャマルは張飛に聞き返す。

 

「あたしらが駆けつけなきゃあの紫色の鬼みたいのにやられてたぜ?」

 

「うむ!」

 

「あの仮面ライダー、前回とは全く異なるタイプのガンダムを呼び出し、姿を変えていた」

 

「あ!そうよ!」

 

理解出来ていないシャマルにヴィータが響鬼のことだと言うと爆熱丸は頷き、キャプテンがこれまでの戦闘でまだ見ていなかった機体の召喚と変身をしていたことについて指摘した直後、シャマルは何かを思い出してソファから立ち上がる。

 

「ど、どうしたんだよシャマル!?」

 

「急に立ち上がってどうしたというのだ?」

 

いきなり立ち上がったシャマルに張飛と関羽が戸惑う。

 

「皆どうして私が止めようとしたのに響鬼さんを攻撃したの!?」

 

「響鬼?」

 

「誰だその者は?」

 

シャマルから「響鬼」という聞き覚えのない名前を言われて孫権と爆熱丸が首を傾げる

 

「あの鬼みたいな仮面ライダーのこと!」

 

「ほう。あの者、あの姿で仮面ライダーだったのか」

 

「あんなの見たことねぇぞ」

 

鬼のような姿をしていた人物が響鬼で仮面ライダーであることをシャマルが教えると爆熱丸は響鬼が仮面ライダーに分類されていたとは思っていなかったようで僅かながら驚き、これまでG5、フェニックスと仮面ライダーと直接戦ったヴィータはこれまで見たことがなかったと指摘する。

 

「しかしシャマル殿、何故に敵の名を?」

 

「私が襲われた時に響鬼さんが名乗ってくれたのよ」

 

「襲う敵に名を名乗るとは、その響鬼とやらも武士なのだな」

 

「武士とは少し違うな」

 

「その響鬼ってのになってたやつはキャプテンが戦っていたのと同じやつだった」

 

「あの姿を色々変え、銃から兵を呼び出した奴か?」

 

「ああ。どういう原理だのかはまだ解かっていないが」

 

何故シャマルが見知らぬ相手である響鬼の名前を知っていたのか関羽がシャマルに尋ねると響鬼自身が教えてくれたとすぐに答える。

それを聞いた曹操は敵に名を名乗った響鬼もまた武士だと思ったようだが、シグナムが若干否定する。

後から参戦した劉備達は知らないためその理由をシグナムの代わりにヴィータが答えた。

響鬼に変身していたのはキャプテンと戦っていたのと同一人物であることを告げると孫権がすぐにフェニックスのことかと尋ねると実際に戦っていたキャプテンが頷き返す。

 

「しかもあいつの加勢に来た連中、なんだよあの大きさ!」

 

「車両がロボットになっていた。前回の白と黒の女子型ロボットと同系統のロボットなのかもしれない」

 

「それより、どうして皆響鬼さんに攻撃したの!」

 

ヴィータが次に挙げたのは最後に現れたファイヤーコンボイ達トランスフォーマーのことだ。

車両からロボットに変形していることからキャプテンは前回の戦闘時に会った光竜と闇竜と同じロボットだと考えているとさっきの質問に答えてもらえず別の話になりつつなっているためシャマルは話を戻すようにまた皆に何故響鬼を攻撃したのかを若干怒りながら尋ねる。

 

「な、何怒ってんだよシャマル!」

 

「私達はあの仮面ライダーに襲われていたシャマルを助けようと」

 

助けたにも関わらずシャマルが怒っていることに理解出来ず、ヴィータとゼロが戸惑う。

 

「だから!あれは皆の誤解なの!」

 

「誤解だと?」

 

「どういう事だ?」

 

シャマルが誤解だと言うと何が誤解なのか解からないためシグナムとザフィーラが尋ねる。

 

「私を襲ったのは響鬼さんじゃなく、他の怪物だったの!その怪物から私を守ってくれたのは響鬼さんなの!」

 

『・・・・・は?』

 

シャマルを襲ったのは響鬼ではなく、逆に響鬼がシャマルを助けた。

それを聞いてシャマルを除く全員が固まってしまう。

 

「ま、待てよシャマル。冗談だよな?」

 

「冗談じゃないわよ!」

 

「ちょっと待ってくれ。1つ確認したんだが、シグナム達はどうやってシャマルが襲われていることを知ったんだ?」

 

ヴィータが戸惑い気味でシャマルに確認をするがシャマルは冗談でないと伝える。

少々興奮気味のシャマルを劉備が止めに入り、シグナム達にシャマルが襲われていたのをどのように知ったのか尋ねる。

 

「シャマルが襲われていたのを知ったのはあの場所に来た時だ」

 

「なんで姉御達はそこに行ったんだよ?」

 

「あの時、アタシとザフィーラが散歩してたらよ海沿いででっかい蟹がいたんだよ!」

 

「蟹?」

 

「おう」

 

シャマルが襲われていたのを知ったのはあの場所に来た時だとシグナムが言うと今度は張飛がシグナムに何故あの場所に行ったのか尋ねる。

その問いにシグナムではなくヴィータが答え、巨大な蟹がいたこと言われ劉備が聞き返すとヴィータは頷く。

 

「ヴィータから知らせを受けて私はキャプテン達を連れて現地でヴィータとザフィーラと合流をした」

 

「シグナム達と合流して戦おうとした時に急に太鼓の音がしてよ。よく分からなかったから辺りを警戒してて太鼓の音が止んだと思ったら凄い爆発の音がして、出て行ったらそのでっかい蟹がもういなくなってたんだよ。隠れてるのかと思って上から確認しようとしたら蟹がいた近くでシャマルがその響鬼って奴に襲われてて・・・ん?」

 

シグナムとヴィータが説明をしているとヴィータがあることに気づく。

 

「海沿いに出た巨大な蟹。そいつが突然消え、そいつがいた場所の近くにシャマルと響鬼とやらがいた・・・」

 

「響鬼に襲われたのではなく助けてもらったと言うシャマルの証言、つじつまが合わないこともない。我々も最初から見ていた訳でもないに加え、第一にシャマルが我々に嘘の証言をする必要はない」

 

シグナムとヴィータの説明を聞いて曹操が事態の流れを簡単に整理し、それにシャマルの証言を加えるとつじつまが合うことをキャプテンが告げる。

 

「ということは・・・」

 

「我々の・・・勘違い・・・だったのか?」

 

「そう!」

 

自分達が本当に勘違いしていたことが判り、爆熱丸とゼロが互いに顔を向け合っているとシャマルが大きく頷く。

 

ヴィータ「そ、それならなんであの時に言ってくれなかったんだ?」

 

「言おうとしてたけどその度に皆が言わせてくれなかったし聞いてくれなかったじゃない!」

 

「そ、そうだったか?」

 

「確かにそうだった」

 

ヴィータはシャマルに何故その時に言わなかったのかを尋ねるとそれを言おうとする度に言わせてくれなかったとシャマルが説明する。

その時のことを覚えていないためヴィータがシグナム達を向いて尋ねるとキャプテンが事実であったと言うと全員の視線がキャプテンに集中する。

 

ザフィーラ「本当かキャプテン?」

 

キャプテン「うむ。最初にシャマルが何か言いかけていた時に爆熱丸がシャマルに叫んだため中断され、劉備達と教官が増援に来た時にも何か言おうとしていたが教官によって又しても中断されていた」

 

「そう!その時よ!・・・と言うかキャプテン、知ってたのなら何で聞いてくれなかったの?」

 

ザフィーラがキャプテンに尋ねるとキャプテンは頷いて、シャマルが勘違いであることを説明しようとしていたが結局出来なかった時を詳しく説明する。

キャプテンが聞いてくれていたことにシャマルは喜ぶが、すぐに実は聞いていたのに何故聞いてくれなかったのかをキャプテンに問う。

 

「あの時は相手が戦闘体勢に入っていたため応戦するしかなかった。すまない」

 

「そ、そうだよシャマル!あいつが戦おうとしてたからあたしらは!」

 

あの時はシャマルに事情を聞こうにはあの場の雰囲気的にフェニックスが戦闘体勢を取っていたため応戦したことをシャマルに説明して謝るとそれを聞いてヴィータがシャマルに抗議する。

 

「確かにそうね。・・・でも、先に攻撃したのは誰だったかしら?」

 

「・・・すまん。私だ」

 

「その次に攻撃したのは?」

 

「・・・・・俺だ」

 

「最後に攻撃したのは?」

 

「・・・はい」

 

シャマルに見られているシグナムは気まずそうに答える。

次にシャマルは次に攻撃をしたのは誰かと聞きながら視線をシグナムからザフィーラに変えるとザフィーラは小さく答える。

そして最後に攻撃したのは誰かと聞きながらシャマルはザフィーラからヴィータに視線を変え、自分に視線を向けられたヴィータは小さく手を挙げる。

 

「確か、シグナム達の攻撃の後、皆で彼を包囲したな」

 

「敵に囲まれたのなら戦うしかあるまいな・・・」

 

「つまり彼の行為は正当防衛・・・と言うことになるな」

 

「まじかよ・・・」

 

劉備、曹操、キャプテンの言葉を聞いて、ヴィータは僅かながらショックを受けている。

 

「まあ結果としては思い掛けない収穫はあったけど今後は気を付けてね」

 

「わ、分かったよ」

 

「ああ」

 

「心得た」

 

「了解だシャマル」

 

「女性の頼みを断るのは騎士の恥。気を付けよう」

 

「おう」

 

「分かった」

 

「おうよ」

 

「うむ」

 

「肝に銘じよう」

 

「分かったよ」

 

色々あったが闇の書の蒐集が進めんだため良しとするが今後は注意するようにシャマルが皆に言うとヴィータ、シグナム、ザフィーラ、キャプテン、ゼロ、爆熱丸、劉備、張飛、関羽、曹操、孫権は頷いて返事を返す。

 

(・・・それにしてもあの響鬼、フェニックスに変身していた人の名前、確か「野田健悟」って・・・)

 

皆に注意した後、シャマルはあることを考える。

何故か皆にはまだ話していないが響鬼が自身の姿の名称と共に名乗った本名に気がかりなことがあったのだ。

 

(どうして、はやてちゃんとすずかちゃんのお友達の子と同じ名前だったのかしら?)

 

その名前は主であるはやてとその友達のすずかの友達である健悟と同じ名前だったからだ。

大人と子供、明らかに別人であるはずだが名前どころか苗字まで一緒なのはどういうことなのかとシャマルを悩ませる。

 

 

月曜日

PM 5:00

海鳴市 野田家 健悟自室

 

ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ

 

「ん・・・」

 

まだ朝日が差し込んでいない12月の朝、昨晩にセットしていた目覚まし時計のアラーム音で目を覚ます。

 

「ふぁああ〜。・・・痛っ!」

 

目を覚ました俺は目覚まし時計のアラームを止め、欠伸をして頭をかこうとした時、手がおでこに当たって痛みが走る。

一昨日リンディ提督が風呂場で投げた物が当たった時に出来たタンコブだ。

昨日よりは痛みはだいぶ引いたがまだ少しだけ残っている。

 

「おはようございますマスター」

 

「おうアポロン」

 

俺が起きるとアポロンが挨拶をしてきたので俺も挨拶を朝の挨拶を返す。

 

「まだおでこが痛みますか?」

 

「ああ、まぁ少しな」

 

アポロンに痛みがあるか聞かれた俺は正直にまだあると答え、ベッドから降りて日課の朝のランニングをするためにトレーニングウェアを取り出すためクローゼットに向かい、扉を開ける。

 

「しかしまぁ、解からんなぁ」

 

「彼らのことですか?」

 

「ああ。あのSDガンダム、劉備、関羽、張飛、曹操、夏候惇、夏侯淵、孫権、孫尚香が何故この世界にいるのか」

 

俺はクローゼットの中からトレーニングウェアを取り出しながら一昨日から考えていたが理解出来なかった疑問を呟く。

それを聞き取ったアポロンにその疑問の内容が一昨日戦ったSDガンダム、劉備達であること察して尋ねてくると俺は頷く。

 

「ネオトピア、ラクロア、天宮と多次元世界と関わりがあるキャプテン達はまだ理解出来る。だが劉備達の世界、三国はそういったのとは無縁のはず。なのに何故」

 

「当事者である劉備達から話を聞けない以上、現段階では不明としか言えませんね」

 

「俺がこの世界に来たせいでもあるんだろうしあまり言えた立場ではないが、とらハが混じり、本来の物語の出来事と異なった出来事の発生、そして存在するはずがないSDガンダム達。・・・・・一体どうなってるんだろうな。この世界は・・・」

 

「そうですね」

 

自分で言ったように俺がこの世界に来た影響なのか、このなのはの世界はイレギュラーばかり起こっている。

現状もだがこの先の出来事にも何かしらのイレギュラーが発生することを考えると心配になる。

 

「そしてもう1つの疑問が闇の書だ。何故あれがウィザードの魔力を蒐集出来たんだ」

 

俺のもう1つの疑問であったこと、それは闇の書のことだ。

確かにウィザードは魔法が使える魔法使いではあるがこの世界の、なのはの世界とでは魔力を生み出す機関が違うはず。

故にリンカーコアを持たないウィザードは蒐集されることはないはずだった。

なのに何故闇の書がウィザードの魔力の蒐集出来たのか・・・。

 

「なあアポロン。闇の書は本来、魔導士もしくは生物のリンカーコアから魔力を蒐集する代物だったと思うだが、合ってるよな?」

 

「イエス・マスター。今回のウィザードの魔力が蒐集された原因は不明です。ウィザードが蒐集されたとなるとマジレンジャーを当面召喚するのは危険と判断。彼らも蒐集されてしまいます」

 

「逆に言えばマジレンジャーを使って闇の書の覚醒を早めるという手段もあるが?」

 

「それも少し考えましたが後々のことを考えると危ない気がします」

 

「やっぱり?」

 

俺はアポロンに闇の書の本来の機能について俺が覚えている内容で合っているか尋ねるとアポロンからの回答はイエスだった。

今回のウィザードのことがあったためアポロンは魔法使いであるマジレンジャーの使用を控えるよう提案を出してきた。

それとは逆に俺は冗談半分でマジレンジャーの魔力も蒐集させて完成を早めようと提案を出してみる。

アポロンは多少検討したみたいだが後々のことを考えると危険だと指摘され断念する。

そんなやり取りを行いながら着替えた俺は部屋を出て階段を下り、玄関でランニングシューズを履いてランニングをするために外に出る。

 

PM7:00

いつもの時間に家に走り帰った俺は水分補給をしようとリビングの扉を開ける。

 

「ん?」

 

「あ、おはよう〜健悟君」

 

「あら健悟君、おはよう」

 

「おはようございます」

 

リビングに入るとリンディ提督とエイミィさんがキッチンで朝食を作っていた。

俺を見てリンディ提督とエイミィさんが挨拶をしてくれたので俺も2人に挨拶を返す。

 

「朝早くから何処行って・・・ってその恰好からするとランニング?」

 

「ええ。日課ですので」

 

「えらいね〜。ご苦労様」

 

「ありがとうございます」

 

エイミィさんがランニングをしていたのかと聞いてきたので俺は額から汗が流れてきたので首に掛けていたタオルで軽く顔を拭きながらそうだと答えるとエイミィさんが労いの言葉をかけてくれたのでお礼を言って冷蔵庫から500oのスポーツ飲料を取り出し、蓋を開けて喉の渇きを潤す。

 

「あの、健悟君」

 

「はい?」

 

スポーツ飲料を飲んでいる最中にリンディ提督が声をかけてきたので飲むのを止めてリンディ提督の方を向く。

 

「えっと、おでこは大丈夫?本当にごめんなさいね。私・・・」

 

「ああ、構いませんよ。俺も注意が足りませんでしたし。今後はお互いに気を付けましょう」

 

「・・・ありがとう」

 

一昨日のことを未だに気にして申し訳なさそうな表情をしているリンディ提督。

リンディ提督は見た目が若いからあんな不安、申し訳なさそうな表情されたら許さないなんて言えないよ俺は。

実際に本人は気にしてるし。

そんなリンディ提督に俺は笑顔で大丈夫、そして今後は互いに気を付けようと伝えるとそれを聞いたリンディ提督は不安な表情が消え、微笑みながら俺にありがとうっとお礼を言ってくれる。

 

「じゃあ俺、シャワー浴びて来ます」

 

「ええ」

 

「はいはーい」

 

走って汗をかいたためシャワーを浴びようとスポーツ飲料を冷蔵庫に戻し、リビングを出て風呂場に向かう。

 

「・・・お」

 

「・・・む」

 

廊下に出ると階段から降りてくるクロノと出会った。

 

「「・・・・・」」

 

俺とクロノは立ち尽くしたまま無言で互いを見る。

 

「・・・おはよう」

 

「・・・おう、おはよう」

 

先に沈黙を破って挨拶してきたのはクロノの方で、挨拶をされたので俺も挨拶を返して風呂場に歩を進める。

 

「1つ確認したいことがある」

 

「なんだよ?」

 

風呂場に向かおうとした時、クロノに尋ねられて俺はまた足を止めてクロノの方を見る。

 

「あれは本当に事故だったのか?」

 

「疑ってるのか?」

 

「・・・」

 

クロノから尋ねられたことは一昨日のリンディ提督との風呂場でのトラブルのことだった。

一昨日に俺とリンディ提督が事故だと説明したがまだ疑っているようだ。

 

「あの時、リンディ提督が入ってることは本当知らなかった。だからあれは本当に事故だ」

 

「・・・分かった、信じるよ。・・・あと」

 

「うん?」

 

俺はクロノを真っ直ぐ見ながら正直に知らなかったと伝えるとクロノは信じてくれたようだ。

俺を信じてくれた後、続けてクロノが何か俺の聞こうとしているが俺から視線を外し、中々質問をしてこない。

 

「・・・母さんが投げた物が当たった額は大丈夫なのか?」

 

クロノが俺の身体を心配をしての質問をしてきて俺は少しだけ驚いた。

クロノの顔を見ると何処か気まずそうな表情をしている。

事故とはいえ自分の母親が投げた物が当たり、怪我・・・と言ってもタンコブ程度だが、それを負わせて申し訳なく思っているんだろう。

結構クロノとは言い争っているが根は真面目な奴だからな。

親子揃って心配性だ。

 

「まだ少しコブになってるが大丈夫だ。お前達と戦った時のほうがよっぽど痛い」

 

「・・・ふっ、そうか」

 

俺が皮肉を加えて大丈夫だと伝えるとクロノは僅かに笑ってリビングに入っていく。

 

「やれやれ」

 

そんなクロノを見て俺も僅かに笑うとシャワーを浴びるために風呂場に入る。

 

10分後

 

「ふぅ」

 

「あ、おはよう健悟」

 

「ん?」

 

シャワーを浴び、風呂場から出てリビングに向かう途中でさっきのクロノのように階段から既に制服に着替えているフェイトが降りてきた。

 

「おはようフェイト。もう制服着てるのか?」

 

「そうだけど健悟はまだ着ないの?」

 

「俺は登校する5分前に着替えるんだよ」

 

「そうなんだ。・・・ところでその・・・どうかな?」

 

「ん?」

 

フェイトにどうかなっと言われて俺は首を傾げる。

何がどうなのかよく解からないからだ。

フェイトはモジモジしながらたまに制服のスカートを摘まんだりする。

 

「・・・ああ。似合ってるぞ、制服姿」

 

「ほ、本当?・・・ありがとう!」

 

フェイトが何を求めてるのか40秒程かけてようやく理解出来た俺はフェイトの制服姿を褒めるとフェイトは嬉しそうに笑う。

 

「さ、早く朝飯食べよう」

 

「うん!」

 

嬉しそうにしているフェイトに声を掛けて、朝食を採るためにリビングに入っていく。

 

PM7:40

 

「2人とも、忘れ物はない?」

 

「ええ、大丈夫ですよ」

 

「はい。大丈夫ですリンディ提督」

 

普段は登校するのはこの時間ではないのだがフェイトの先生との挨拶などもあると思うので早めに登校することになった。

玄関で靴を履き、見送りをしてくれているリンディ提督が俺とフェイトに忘れ物はないか訊いてきたのでないことを伝える。

 

「それではいってきます」

 

「いってきます!」

 

「はい。いってらっしゃい♪」

 

リンディ提督に見送られて、俺とフェイトは学校に登校する。

 

三人称Side

並行世界

とあるビル 会議室

 

「おのれフェニックスぅううううううう!!」

 

一昨日に送った魔化魍が撃破されてまたしても作戦が失敗したため壮年の男が悔しさのあまり叫んでいる。

 

「おいおい大将、悔しいのは理解できるが一々叫ぶなよ。見苦しいぜ?」

 

「まあ無理もないんじゃねぇのミスタ・ガウルン?毎度毎度刺客を送り込んでいるのにも関わらず返り討ちにあってこっちの思い通りにならないんだからさ」

 

「・・・・・んんっ!失礼した」

 

その行動の見苦しさに見かねガウルンが壮年の男に叫ぶなと注意をする。

ガウルンに言われた壮年の男に今日も10円の棒駄菓子を銜えた男が壮年の男の悔しさに共感し、僅かながらのフォローをする。

ガウルンと棒駄菓子を銜えた男の後、ようやく落ち着いた壮年の男は軽く咳払いをするといつもの席に座る。

 

「さて、会議を始めよう」

 

「それで、次はどのようにしますか?」

 

壮年の男が会議を始めるとさっそくアズラエルが壮年の男に次の行動をどうするか尋ねる。

 

「これまでの作戦がどれも失敗している以上、もう形振りを構ってはいられん。多少の犠牲を払ってでもあの男には早めに消えてもらう必要がある」

 

「形振り構わないとは具合的にどうするつもりだ?」

 

「奴が通っている学校と住む町を襲撃する」

 

壮年の男がどのような行動をするのかとバスクが尋ねると健悟が通っている学校と海鳴市を襲撃することを告げると一瞬ではあるがその会議室にいた全員が固まった。

 

「こりゃまた大胆なことをするな。ま、俺は嫌いじゃねぇけどな」

 

「だが、それは誰が実行するのだ?」

 

「既に話は通してある。・・・そうだな?」

 

「勿論ですよ〜。こちらの準備は整っております」

 

壮年の男の発言にガウルンがニヤけながら言い、ツバロフは誰が行動をするのかを壮年の男に聞く。

ツバロフに聞かれた壮年の男は予め打ち合わせしていた全身が機械の男に声を掛けると椅子に座っていた全身が機械の男が立ち上がる。

 

「成程。こいつで町を襲わせるのか。となると学校を襲撃するのは・・・」

 

「それは俺達の役目だ」

 

全身が機械の男を見て駄菓子を銜えた男が納得し次に学校を襲う役の相手を模索しようとすると緑色の布が掛けてある椅子に座っ青年が自分だという。

 

「ほほぉう。こういうチョイスできたのか」

 

「彼らのほうが潜入はしやすいだろうからな」

 

「それに怪人を生み出すのも簡単そうだよな?なにせ学校だから人は大勢いるぜ?」

 

「そうだね。僕たちも色々な意味で楽しみだよ」

 

「その学校とやらにどんな欲望を持った人間がいるのかがな」

 

ガウルンが学校を襲撃するの担当人物を見て再びニヤけ顔をすると壮年の男がその青年達が適切だと言いと駄菓子を銜えた男が緑の布が掛かった椅子に座っている青年の方を見ながら学校に大勢の人がいると言うと今度はその男の隣に黄色の布が掛けてある椅子に座っているん別の青年が笑みを浮かべながら答えると緑と黄色の布が掛けてある椅子に座っている青年2人が立ち上がり扉に向かって歩き出すと全身が機械の男も立ち上がって扉に向かって歩いていくと3人は会議室を後にする。

 

「これだけの敵をお前はどうやって凌ぐかな?野田健悟、仮面ライダーフェニックス!」

 

会議室を出ていった3人を見届けた壮年の男は顔をニヤつかせて健悟の名とフェニックスの名を叫ぶ。

 

 

PM8:10 海鳴市 私立聖祥大附属小学校

 

「じゃあ俺は先に教室に行ってるからな。先生の名前は覚えてるな?」

 

「うん、大丈夫だよ」

 

「そうか。後でな」

 

「うん!」

 

いつもより早く学校に着いた俺はフェイトを連れて職員室前まで案内をし、先生の名前を憶えているか確認を取った後、フェイトと別れ、先に教室に向かう。

 

 

PM8:30 教室

 

「さて皆さん、実は先週急に決まったんですが今日から新しいお友達がこのクラスにやってきます」

 

朝のホームルームを始める前に先生がクラスの皆に転校生が来ることを伝える。

既に分かっている俺となのは、すずか、アリサは少し顔がニヤけている。

 

「海外からの留学生さんです。フェイトさん、どうぞ」

 

「し、失礼します」

 

先生に入っていいと言われて教室の扉を開いてフェイトが入室するとクラスの皆がざわつく。

 

「えっと、フェイト・テスタロッサといいます。よろしくお願いします」

 

フェイトが自己紹介をして頭を下げるとクラスから拍手が送られた。

顔を上げてちょっと緊張気味の表情でクラスメイトを見ていると最初になのはを見つけ、安心したような表情になった。

またクラスメイトを見て俺を見つけると俺の方をジッと見ている。

そんなフェイトに軽く笑って俺は頷くとフェイトはいつもの笑顔になった。

 

「それじゃあフェイトさん、フェイトさんの席は野田君の隣だから何か解からないことがあったら野田君に聞いてね?」

 

「あ、はい!」

 

「野田君もフェイトさんが困っていたら教えてあげてね?」

 

「はい、分かりました」

 

「よろしくね健悟」

 

「おう。こっちこそな」

 

俺を見て微笑みながら声を掛けたフェイトに俺は返事を返すとフェイトは席についた。

 

「はい!ではホームルームを始めます」

 

フェイトが席につくと先生は今日の朝のホームルームを始めた。

 

PM9:40 休み時間

ホームルームの後の一時限目が終了した休み時間、俺が転校して来た時と同じ、いやそれ以上にフェイトはクラスの皆に囲まれて質問攻めにあっていた。

やはり海外からの留学生というだけあって皆興味津々のようだ。

あの質問攻めはキツイぞ〜。

 

「フェイトちゃん、人気者」

 

「でもこれはちょっと大変かも」

 

「質問されてる側はちょっとのレベルじゃないぞ?俺の時とは違ってフェイトの場合は留学だから海外の学校がどんなのなのか皆気になるんだろう」

 

「はぁ・・・。しょうがないなぁ」

 

フェイトの人気っぷりにすずかは多少ながら驚き、なのはは質問攻めにあっているフェイトを見て心配している。

だが経験者としてはあれは大変のレベルはちょっとではないことをフェイトの様子を見ながら伝える。

皆から質問攻めにあって少し戸惑っているフェイトを見かねてアリサが溜め息を吐いて、フェイトを囲んでいる皆の所に歩き出す。

 

「はいはーい!転入初日の留学生をそんなに皆でわやくちゃにしないの」

 

「アリサ・・・」

 

アリサが近づきながら手を2回程叩きながら近づくと皆がアリサに注目し、フェイトは自分に助け舟を出してくれたアリサの名を呟いた。

 

「それに質問は順番に。フェイト困ってるでしょ?」

 

「はい!じゃあ俺の質問から!」

 

「はい、いいわよ」

 

フェイトが困っているため順番に質問するようにアリサが言うと最初に男子の1人が手を挙げるとアリサは質問することを許可する。

普段俺となのはとすずかのグループでも指揮というか皆を纏めているため、アリサのリーダーシップが発揮される。

自分から進んで出来ることは本当に凄いと思う。

アリサに感心していた時に俺はあることをふと思い出した。

俺が転校してきて質問攻めにあっていた時、フェイトのようにアリサが皆を纏めてくれた記憶がないことに・・・。

・・・まぁ別に気にしてないけど。

 

PM11:18 グラウンド

今日の3限目は体育の授業で、現在グラウンドでドッジボールをしている。

俺のいるコートではなのはとフェイトが同じチームになり、反対側のコートにアリサとすずかがいて敵となってしまった。

 

「喰らいなさい健悟ぉ!」

 

向かい側のコートからアリサが叫びながら俺を狙ってボールを投げてきた!

 

「ほっ。狙い撃つぜぇ!」

 

「よし!ワンバウンドするぞ・・・っいて!」

 

アリサ自身の勢いとボールのスピードはそこそこあるが小3で俺に対抗するには全てにおいて不足している。

アリサが投げたボールを軽々とキャッチした俺はすぐに相手コートに向かって投げ返す。

俺がターゲットにしたのはアリサとすずか以外のクラスメイト、俺が投げたボールが地面に当たりバウンドすると思った男子生徒は痛がる。

 

ピッ!

 

「はい、アウトです!」

 

「え?・・・え?」

 

男子生徒が痛がるとホイッスルの音が響き、先生が男子生徒にアウトを告げる。

アウトを告げられた男子生徒はまだ把握しきれておらず混乱している。

男子生徒がワンバウンドすると思っていた俺が投げたボールは地面にバウンドする程の低さに見えていたのだろうが実際は地面とボールには5pの間がありワンバウンドはしていない。

事実、横から見ていた先生からはバウンドしていないのが把握できているためアウトの判定をしている。

それに加え、ボールも足にギリギリ当たるように投げたため男子生徒はボールが自分の足の真横を通り過ぎると思い込み回避運動を取っていなかった。

何はともあれ、敵を1人撃破した。

 

「凄い。あんなギリギリを狙うなんて」

 

「ああんもうっ!健悟!いい加減アウトになりなさいよ!」

 

「無茶言うなよ」

 

俺の狙撃っと言っていいのだろうか、それにすずかは感心し、アリサは俺に怒っている。

実はアリサはさっきからずっと俺ばかりを狙っている。

今さっきので10回目ぐらいの攻撃だったがそれらを全て回避、受け止めてアウトにならないためアリサは俺にアウトになれと怒っているが正直無茶苦茶なこと言ってくれる。

 

「それ!」

 

「きゃッ!」

 

俺が僅かにアリサに気を取られている際に向こうのコートのまた別の男子生徒がボールを投げてきた。

だがそのボールは俺ではなくなのはに向かっている。

受け止めようとしたがなのはは、ボールのキャッチに失敗、ボールが高く上がる。

なのはをアウトにさせまいとフェイトが高くジャンプしてボールを確保。

普通の小学生そんなに跳ばないから!

 

「ファイヤ!」

 

空中で相手コートに向かってボールを投げるフェイト。

ターゲットは敵のエースであるすずかか。

フェイトから放たれるスピードのあるボール、普通だったらこれでアウトになる確率は十分に高い。

・・・普通ならな。

外見に似合わず運動神経がいいすずかは、ほんの僅かに後ろに跳ぶと流れるようにボールを確保した。

すぐに空中に目を向けるとフェイトが驚いた表情をしている。

そりゃあそうなるよな。

ボールを確保したすずか反撃、投げたボールが唖然としていたフェイトに命中した。

あ!

フェイトのやつ目回してる!

しょうがない!

そう思った俺はクラスメイトの男子に向かって走り出す。

 

「すまん!」

 

「へ?うわっ!」

 

クラスメイトの男子に一言謝った後、男子の目の前で跳躍、そしてその男子の背中を踏み台にして更に高く跳び上がる。

ちなみに跳んだ際に最低限のマナーとして靴は脱いで背中を踏んだので相手は汚れてはいない。

 

「ほっ!」

 

クラスメイトを踏み台にして跳んだ俺は落下してくるフェイトを空中でキャッチ、フェイトの落下による力によって俺も落下する。

 

「・・・?あ!け、健悟!?」

 

「よう」

 

俺が空中でフェイトをキャッチすると目を回していたフェイトは目を覚まし、俺を見て驚いている。

俺は軽く返事を返してフェイトを抱きかかえたまま地面に着地した。

 

「あんま無茶すんなよ?」

 

「う、うん。ごめん。ありがとう///」

 

「おう。さて、残念だがアウトだから外野に移動な?」

 

「分かった」

 

フェイトを地面に降ろすとフェイトは恥ずかしかったのか顔を僅かに赤くして駆け足で外野に向かう。

一安心すると周囲から視線を感じたので周囲を見渡す。

先生を含む全員が俺の方をジッと見ている。

男子は全員が睨みすずかとアリサも何故か睨んでる。

 

「おい野田!」

 

「ん?」

 

名前を呼ばれて振り返ると俺が踏み台にした男子生徒が怒っている。

 

「お前、俺を踏み台にしたな!」

 

「ああ、悪かった。もうしないから今回は許してくれ」

 

「・・・ちぇっ!」

 

踏み台にしたことを一応悪いとは思ったので謝ったが男子生徒は舌打ちをして俺から離れる。

 

「・・・はぁ」

 

男子生徒の態度に俺は脱いだ靴を履き直しながら小さく溜め息を漏らす。

 

「はーい。それじゃあ続きをしましょうか」

 

『はーい!』

 

先生が言うと皆が返事を返し、止まっていたドッジボールの再開される。

スタートは相手チームの外野からだ。

 

「えいッ!」

 

「おっと!」

 

外野から投げられたボールを俺が踏み台にした男子生徒が取ったのを確認すると俺は正面、相手コートの方を向いた。

俺が正面を向いた直後、後ろから視線と敵意を感じた。

今ボールを持っている踏み台にした男子生徒の方向からだ。

 

「ああっと手が滑ったぁ!」

 

「・・・はぁ」

 

後ろでボールを取った男子生徒の声が聞こえてるとこっちに物体が向かって来ているのを感じ取った。

恐らく踏み台にした仕返しのつもりだろうけど解かりやすくてまた溜め息が出る。

体を捻って右腕を後ろに伸ばして、後ろを振り向かずに飛んできたボールを右手で止める。

 

『!?』

 

「パスするのはいいけど。普通に渡せよ」

 

男子生徒が投げた威力もスピードも俺にしてみれば貧弱なボールを掴んで、首を右に捻り後ろを見ると男子生徒は目を見開いて驚いている。

周囲を軽く見ると他のクラスの連中も同じだ。

 

「野田君すごーい!」

 

「いくぜ」

 

背中を向けたままボールを見ずに取ったことになのはが感心している。

ボールを掴んだ俺は軽く走って助走をつける。

 

「ショット!」

 

助走をつけた俺は右手からサイドスイングでボールを投げる。

投げたボールは、すずかに真正面から向かって行く。

 

「!!・・・っ!」

 

自分に投げられたせいかすずかは驚いた表情をしたがすぐに表情を変えて捕球の体勢を取る。

・・・しかし。

 

「え!?」

 

「曲がった!?」

 

すずかに向かっていっていたボールは、すずかが取ろうとした手前で左斜めに曲がった。

投げる際に右手首のスナップを効かせて、他にも色々工夫をして投げた野球の球種でいう高速スライダーだ。

 

「うわっ!」

 

「油断大敵だぞ」

 

俺が投げた高速スライダーがすずかの横にいた男子に当たりアウトとなる。

完全に無防備だったのでアウトになった男子に俺は油断大敵だと告げた。

 

「な、なんだよ今の・・・」

 

「野田君、あんなの投げれるんだぁ」

 

「どうやったら投げられるんだ?」

 

俺の高速スライダーを見てクラスメイト全員がざわつきだす。

 

「はーい皆さん!そろそろチャイムがなるので今日の体育はここまでにしましょう!」

 

『はーい!』

 

皆がざわつき出した直後、授業終了のチャイムが近づいてきたので先生が授業の終わりを告げると体育の授業が終了した。

 

 

三人称Side

私立聖祥大附属小学校 グラウンド 手洗い場

体育の授業が終了すると数人の男子が外の手洗い場に集まり、手や顔を洗っている。

 

「先に戻ってるぞ?」

 

「おう」

 

友人に一声掛けて数名の男子が教室に先に戻っていくと手洗い場には男子生徒が1人だけ残っている。

先程のドッジボールの時に健悟に踏み台にされた男子生徒だ。

 

「くっそ!ムカつくぜ野田の奴!」

 

友人達が先に戻り1人になると男子生徒は健悟に踏み台にされたことを思い出し、イラつきながら手洗い場を右足で蹴って怒りをぶつける。

 

「絶対あいつを見返してやる!「おい」・・・ん?」

 

イラついていると後ろから声を掛けられ男子生徒は後ろを振り返る。

そこには教職員とは明らかに違う3人の男性がいた。

 

「おじさん達、誰?」

 

見知らぬ人に男子生徒は尋ねると緑色のジャケットを着たオールバックの青年が近づいてくる。

 

「お前、野田って奴がムカつくのか?」

 

「な、何?なんなの?」

 

近づいてきた青年は男子生徒の前で立ち止まり、男子生徒に尋ねる。

男子生徒の方は近づいてきた青年に不安を感じ始める。

そして青年の身体に変化が起こる。

青年の姿が緑色の虫のような姿の怪人に変わった。

 

「ひっ!」

 

目の前の男がいきなり怪人に変わると男子生徒は恐怖でその場で座り込んでしまった。

男子生徒が怯えて座り込むと緑の怪人は1枚の銀のメダルを取り出す。

 

「その欲望、解放しろ」

 

怪人が男子生徒の額に銀のメダル「セルメダル」を近づけると男子生徒の額に硬貨口が出現し、怪人はそこにセルメダルを入れた。

すると男子生徒の腹部が光を放つとそこからミイラのような怪人が現れた。

 

「う、うわああああああ!!」

 

自分の身体から怪人が現れたのを見て男子生徒はあまりの恐怖についに逃げ出した。

逃げたした男子生徒に見向きもしなくなった緑の怪人は更に数枚のセルメダルを取りだす。

 

「ふん!」

 

緑の怪人は取り出したセルメダル全てを半分に割ってしまう。

半分に割れたセルメダルを前に投げ捨てばら撒くと半分に割れたセルメダルからさっきとは包帯の巻かれている面積が狭い怪人が現れた。

 

私立聖祥大附属小学校 男子トイレ

 

「いてて。まだ痛む」

 

健悟の高速スライダーを受けた男子生徒がトイレを済まし洗面台で手を洗っているとまだ痛みが残っているボールが当たった右脇腹を擦る。

 

「僕にも野田君みたいな力があればなぁ」

 

男子生徒は出しっぱなしにしていた水を蛇口を閉めて止め、鏡の前で溜め息を吐く。

 

私立聖祥大附属小学校 上空

 

「見ツケタ」

 

学校の男子トイレの窓の外、上空から男子トイレにいる男子生徒を見ている者がいる。

玉に乗りピエロのような姿をした女だ。

女はある紫色の物体を出現させる。

その物体は知的生命体に寄生する「ゾンダーメタル」だ。

 

「忌マワシキG、カインノ遺産、抹殺、抹殺」

 

ゾンダーメタルを出現させた女はまだ男子トイレの洗面台で落ち込んでいる男子生徒に向かって放った。

 

 

 

-3ページ-

 

後書き

 

ARXー7アーバレスト「さあ、2014年、ギリギリ最後の話の更新が出来ます!」

 

健悟「ほんとギリギリすぎだろ」

 

アポロン「本当です」

 

ARXー7アーバレスト 「まあまあ投稿出来ただけいいじゃない」

 

健悟「開き直るなよ」

 

アポロン「しかし本当に2014年の最後に投稿出来たのはよかったです」

 

健悟「確かに。色々言いたいことはあるがまずは読者の皆様に一言だな」

 

ARXー7アーバレスト「そうだね。え〜、この小説を読んで頂いてる読者の皆様、2014年もこの小説を読んで下さってありがとうございました。来年で小説投稿3年、にじファン時代を加えると4年目を迎える『〜少年が望んだ世界と力〜』。最初の頃は『読んでくれる人はあまりいなんだろうな』っとか、『読んでくれてる人があまりに少なかったら書くのを止めて消そう』っとか思っていました。しかし今では多くの読者の方に読んで頂き、ここまで続くとは正直思っていませんでした。『面白かったよ』『続き楽しみにしてます』『応援しています』そんな多くのメッセージを頂いて今も続きを書き続けています。これも全て読者の皆様のおかげです。本当に私一人ではここまで続くことはありませんでした。ありがとうございます。そして来年度、2015年もいつ完結するかは不明であり、基本月1投稿ではありますがこの小説『〜少年が望んだ世界と力〜』をよろしくお願い致します」

 

健悟・アポロン「「お願い致します!」」

 

ARXー7アーバレスト「はい。え〜ちょっと前回、前々回のね。後書きで話せなかったことがあったので話したと思っていましたけども今年はもうこの辺でお開きとさせて頂きたいと思います」

 

健悟「しょうがないな。来年の次の話では話せよ?」

 

ARXー7アーバレスト「了解です!」

 

アポロン「では次回予告をしましょう」

 

ARXー7アーバレスト「OK!ではBGMはこちらだ!」

 

BGM「Anything Goes!」

 

健悟「お、今回はオーズか」

 

アポロン「仮面ライダーでの次回予告は久々な気がしますね」

 

ARXー7アーバレスト「確かにね。では次回『〜少年が望んだ世界と力〜』は!」

 

健悟「あれはヤミー。人の欲望から生まれた怪人だ」

 

ヤミー「ムカつく!ムカつくぅ!!」

 

アリサ「また私達にライダーシステムを貸しなさい!」

 

緑の怪人「ようやく見つけたぞ。俺のコアメダル」

 

すずか「皆お願い!健悟君を助けて!健悟君を守って!」

 

機械の男「いけませんねぇ〜」

 

『第五十一話 スクールパニック』

 

ARXー7アーバレスト「はいOK!」

 

健悟「さてさて、次回は来年のいつになるんだろうな」

 

アポロン「速めにお願いしますよ?読者も待っていますので」

 

ARXー7アーバレスト「頑張るよ!それでは皆様、本当にありがとうございました!」

 

ARXー7アーバレスト・健悟・アポロン「「「良いお年を!!」」」

説明
第五十話 スクールライフ
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コメント
あけおめーことよろー(スネーク)
来年も楽しみに待ってますよ。(秀介)
良いお年を〜。(デーモン赤ペン改めジェームず)
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