真・恋姫無双 雌雄の御遣い 第四十三話
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〜一刀視点〜

赤壁で孫呉と合流した

「一刀、待ってたわ」

雪蓮が抱き着いてくる

「雪蓮、場を弁えろ」

冥琳の呆れたような声に、雪蓮が従い離れる

「あれ、蓮華 どうしたの?」

雪蓮が、ややうつむき加減で、何やらぶつぶつ言いながら、黒い気配を出している蓮華の事を訊いてきた

「ああ、実は婚礼の儀を始める直前に曹操軍の進軍情報が入ってね

 それで、婚礼の儀が順延になってしまったんだ

 で、進軍の間 ずっとこんな状態なんだ」

俺が説明すると

「じゃあ、二人はまだ婚礼を挙げていないんだ

 だったら、曹操に一つだけ感謝しないとね

 この戦いで彼女を破れば後顧の憂いが無くなる

 そうなれば蓮華の婚礼の儀に参列出来るんだから」

雪蓮の前向きな発言に過度な緊張感が抜ける

 

「それで、其方の兵力を教えてくれる?」

雪蓮の質問に

「大和の兵 15万

 劉埼陣営の兵 5万

 総勢20万だ」

「私達は20万

 併せてで40万か 彼方の丁度半数ね」

そこへ冥琳が言葉を挟む

「ならば、大軍に最も有効な手立てを取るしかないな

 静里、諸葛亮、何か考えは有るか?」

話し合いに参加している静里と朱里に話を振る

「ええ、ですが何処に間諜がいるか分からないこの場所で口に出す事は出来ません

 だから、それぞれ手に書いて見せ合いましょう」

この静里の提案に冥琳も朱里も従いそれぞれが掌に一文字書いて見せ合う

三人とも同じ文字「火」と書かれていた

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「ところで、一刀の所 将が足らないんじゃないの?

 鞘華がいないし、それに大和には呂布が降ったって云う話も聞いてるわよ」

雪蓮が今気づいたかのように訊いてくる

鞘華がいない事にもっと早く気付けよ、と突っ込みたくなるのを堪えて

「鞘華や呂布達はこの戦いに参加しないよ

 だから、此処にはいない」

俺の言葉に雪蓮は何かを感じたらしく

「ふ〜ん、ま いいわ」

と納得してくれた

 

「何をごちゃごちゃと意味のないことをいつまでも話している!」

突如、祭さんがやって来た

「そんな所で話し合っても机上の空論にすぎん

 戦は所詮、その場の判断でするものだ」

この祭さんの言葉に冥琳が

「黙れ!

 此処は君主達が軍師達と策を話し合う場 一介の武官風情が口を出していい場では無い!」

と反論すると完全に両者とも喧嘩腰になった

「なんだと たかが武官風情だと」

「そうだ お前達は我ら軍師が立てた策に黙って従っておればよいのだ」

「黙って聞いておれば図に乗りおって

 机上の空論しか立てられず、後ろで震えておるしか出来ぬ軍師風情が偉そうなことをぬかすでない!」

「軍師風情だと その暴言聞き捨てならん

 この場で切って捨ててやる!」

冥琳が刀を抜いた時点で頃合いと判断して、俺が止めに入ると祭さんが

「引っ込んでおれ!

 我が妻 可愛さに大事な戦に大きな戦力を連れて来ない腰抜けの出る幕では無い!」

俺に矛先が向いてきた

「我ら軍師だけでなく、同盟先の君主にまで暴言を吐くとはな

 雪蓮、最早庇いだては無用だぞ!」

そこで、やっと雪蓮が口を開いた

「二人共、それまで!

 祭、貴方は冥琳のみならず一刀にまで暴言を吐いた

 その罰として百杖打ちすえを言い渡す

 そしてこの戦では後方支援を命ずる

 異論は認めない 以上だ」

祭さんが更に何か言おうとしたが、他の兵に連れて行かれた

そして、その夜蔡さんが曹操軍の方向へ脱走したとの報せが入った

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〜華琳視点〜

「黄蓋が脱走?」

私が稟の報告に驚いていると

「黄蓋が曹操様に謁見を申し出ております」

との報せが入った

 

「貴方が黄蓋ね

 私に会いに来た要件を聞きましょう」

「儂は今まで粉骨砕身 呉に仕えて来た

 だが今の呉は儂が望んだ呉では無く、周瑜のような若造が大きな顔をしてのさばるありさまじゃ

 そのような呉はもはや呉では無い

 ならば、儂の手で引導を渡してやりたい そう思ったまで」

黄蓋の言葉は間諜の持って来た周瑜との諍いの報せと符号させて矛盾は無い

安易に信用する訳にはいかないが、無碍に斬り捨てれば臆病者との誹りを受けかねない

「分かったわ 貴女をこの戦の最前線に配置する

 貴方の想いを果たしなさい」

「感謝する で、最初の進言をしよう

 見た所、曹操の軍は船に慣れておらずに多くの兵が船酔いになっているもよう

 ならば、船同士を鎖でつなげば揺れが少なく、船酔いも抑えられようぞ」

桂花に意見を求めると

「一理あります ただそれだと船の機動力が犠牲になります」

「大軍で押し包めば良いまで

 船酔いの兵がまともに戦えると思っておるのか」

桂花の反論を黄蓋が封じ込めたので、黄蓋の意見を採用して船団を繋ぐ作業を始める

この判断が吉と出るか、凶と出るか

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〜一刀視点〜

祭さんが曹操軍に投降したとの報を聞いた

愛紗達は大騒ぎだが、俺と静里は落ち着いていた

「静里は分かっているんだな」

「はい、おそらく朱里も気付いているでしょう」

俺は朱里に劉埼陣営に説明をしてくれるよう伝令を出して、大和の将を集める

徹底的に人払いをさせた上で、皆に今回の件の説明をする

 

「動きが有った時に迅速に対応できるように準備をしておくぞ

 全員、気を抜くな!」

「御意!」

 

そして、夜半過ぎに曹操軍の陣から火の手が上がった

赤壁の戦いが始まった

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〜あとがき〜

 

今回は赤壁の戦いの前振りです

次回が本格的な戦いになります

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

説明
赤壁の戦い開戦
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コメント
何か孫呉からそこはかとなく危険な香りが漂ってきてるが……雪蓮、鞘華関係で何か企んでないか?さて、苦肉計の実行に際して一刀は何か手を打っているのでしょうか。三国志の山場ですし、どうなるか楽しみですね。(Jack Tlam)
ぬう、やはり祭さんは死んでまうのか?一刀が何か対策をうっていればいいが^^;(nao)
タグ
真・恋姫無双 北郷一刀 華琳 雪蓮 黄蓋 

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