真・恋姫無双 別たれし御遣い 第十三話
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〜雪蓮視点〜

何なの、今の斬撃は!?

防げなかった、見えなかった、反応できなかった

私の勘さえも上回る速さだった

その斬撃を放たれたんだから私は真っ二つになっていた

そう、本来ならば

現実は、私は傷一つなく、驚異の斬撃を放った彼は地に倒れていた

その理由は彼の背中に刺さった矢

これが私の命を救った事になる

 

「やったぞ、内通者をこの胡軫が討ち取ったぞ〜!」

北郷が私に突っ込んで来た時、あの男が北郷に矢を射た

その矢を受けた為、北郷の踏み込みが一歩及ばず斬撃は空を斬った

「済まない、月、詠

 守れなかった・・・」

そう言って彼は地に倒れた

 

「一刀さん、しっかりして下さい!

 貴方が必要なんです、死なないで下さい!」

北郷の配下と思われる女性が駆け寄って北郷に必死に呼びかけている

「北郷は内通者の汚名を着せられていたようですね」

いつの間にか私の後ろに氷雨が来ていた

「実際には濡れ衣だったのは間違いありません

 そんな話は誰も聞いていませんから

 董卓軍の敗因はそんな事ではありません

 最初から勝ち目が殆どなかった上に、華雄等の暴走で水関、虎牢関があっさり落ちたのですから

 でも、あの胡軫という者は全てを北郷に責任転嫁して討った

 そんな所ですね」

氷雨の説明を聞き終わると

「北郷の手当ては私達が引き受けるわ」

私は北郷に縋りついている女性に語り掛けた

「明命、急いでこの娘と一緒に洛陽に行きなさい

 そして、董卓と賈?を保護しなさい

 ついでに董卓達は自害した、と云う風に見える工作をしてきて

 その後は二人を連合にばれないように私達の陣に連れてきなさい

 貴方にも手伝ってもらうわ 私達の誰も董卓達の顔を知らないんだから

 何としてもこの戦闘が終わる前に保護しなさい!」

「了解しました」

「私は徐庶です、一刀さんの手当てをお願いします」

この娘が氷雨に経験さえ積めば冥琳に匹敵すると言わしめた徐庶だったの

徐庶は涙を拭いて、明命と共に洛陽に行った

「氷雨、貴方は北郷を私達の陣へ連れて行って、手当てを」

そう言って私は近くに倒れていた騎兵の外套を北郷に被せる

これで北郷と分からないでしょう この場に居た者以外は

あ、あと一つやっておかないと

「梨晏、あの胡軫と云う奴 始末しといて」

「心得た」

梨晏の弓で胡軫は絶命した これで完璧ね

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〜一刀視点〜

目が覚めたら、俺は後ろ手に縛られ天幕の中に横たわっていた

状況が把握できない

何とか起き上がろうとしたら背中に激痛が走り、再び横たわる

「あ、目が覚めたんですか」

ブロンドの髪の女性が入って来た

年は俺や静里と同じ位か少し下かな

目が大きく、その所為で童顔なのかもしれない

多少背が低め、身体の起伏はそこそこかな

「なにか失礼な事を考えていませんか?」

「いえ、そんな事は有りません」

気迫に押されて、つい敬語になってしまった

じろじろ見すぎたかな 女性相手に失礼だから気をつけよう

「ところで、現在の状況と自己紹介をお願いしたい

 俺の名は・・・」

「知っています 北郷一刀さん

 私は諸葛謹 孫呉の軍師見習いです」

そう云えば諸葛謹は呉に仕えていたっけ

もう女性なのは驚かないぞ

「現在の状況を説明する前に貴方は私達の主 孫策様達と戦っていた事を覚えていますか?

 その戦いで貴方は味方である胡軫と云う物の矢を背中に受けて現在まで意識を失っていました

 今は戦闘は終結に向かっています

 洛陽に連合軍が既に入り始めていますから」

「静里・・徐庶や他の将達は?」

「呂布と陳宮は包囲を一点突破して少数の兵と共に逃亡

 張遼は曹操が捕えた模様です

 静里・・あ 真名は許して貰っています

 彼女は私達の将 周泰と共に董卓達の保護に向かいました」

え、孫策は俺の提案を拒否しなかったか?

俺がそう考えていたら

「貴方の提案を拒否はしていませんでした

 賛同していなかっただけです

 そこへ貴方が最後に見せた斬撃、これを見て孫策様は貴方の実力を孫呉に取り込みたいと考えたのでしょう

 元々、そう云った提案はしていたのですが、実際に見て確信したのでしょう

 貴方が私達にとってかけがえの無い存在になると」

懇切丁寧な説明で状況は把握できた

でも、この人 心読み過ぎじゃないか?

「貴方が解り易過ぎるんです」

また読まれた〜

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「それで、今は御昼過ぎですが空腹ではありませんか?」

確かに言われてみれば、空腹だった

腹がクウ〜と鳴ったのを聞いて

「訊くまでもありませんでしたね」

と言って、持って来た椀からレンゲ(?)で粥の様な物を掬って

「はい、食べて下さい

 あ、自分で食べるからほどいてくれ、は無しです

 貴方はまだ捕虜の扱いなんですから」

考えの先手を打たれて、口を開けて食べさせてもらう

可愛い娘にして貰うのは嬉しいけど、すごく照れくさい

 

「私が苦労している時に、女性に食事を食べさせてもらい、鼻の下を伸ばしているなんて・・・

 嬉しいですか〜 一刀さん〜」

食べさせてもらっている最中に、静里が天幕に入って来た

顔は笑っているが目が笑っていない

おまけに背中に黒い何かが出ているみたいだ 凄く怖い

「静里の言う通りね 僕達が必死な時に女とイチャついているなんて」

「詠ちゃん〜、そんな事言っちゃだめだよ」

「徐庶も妬・か・な・い・の」

詠、月、孫策も入って来た

「この後は静里がする?」

諸葛謹が静里に椀を渡そうとする

「しません!」

静里はかなり、お冠の様だった

 

「さて、北郷一刀 貴方の提案通り董卓と賈?を保護したわ

 これで文句は無いでしょう?」

「ああ、後は二人を粗略に扱わないでくれれば良い」

「ならば、貴方も約束を守ってくれるわね?」

「約束は守るよ 孫策に仕えよう」

こうして俺は孫策の配下になった

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〜あとがき〜

 

”あの事態”は胡軫の一刀暗殺未遂でした

かなり伏線を張ったせいですが、これも読んでいた方が居ましたね

 

一刀は孫呉に着きました

これは予想してた方は居るのでしょうか?

氷雨が一刀と静里を味方にするべきと進言するのが伏線でしたが

 

氷雨の容姿の説明が有りました

朱里を大きくしたような感じです 背も胸も

かと言って一般より大きい訳ではありません 背も胸も

遺伝子は時として残酷です

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
反董卓連合終結
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コメント
胡軫はもうちょっと嬲り殺しな描写だとスッキリしたな(スネーク)
胡軫はゴミですな〜死んで自業自得だし^^;一刀は呉か〜魏とは敵対しますな〜(nao)
桂花のほくそ笑む顔が容易に想像できますね。傍から見れば、「密かに孫家に内通していた一刀だったが、それを敵に見破られて排除されかかるものの内通相手に保護された」という風にも見えますし、そうする事で鞘花はともかく華琳からは一刀への興味を無くす事ができる筈ですから。(h995)
最悪だ……死ななかったから良いが、な。(Jack Tlam)
タグ
真・恋姫無双 北郷一刀 雪蓮 静里 氷雨 

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