リリカル東方恋姫外伝 ネギま編 第五話 『責任もって面倒をみるのも一苦労』
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「―――以上が、前回の状況の報告とブレイド・H・フェイクドールの伝言です」

 

 メガロンメセンブリアの会議室で、ブレイドの交戦と伝言を報告するスモーキー。

 会議室にいる議員たちは、報告を聞き終えると怒りを顔に表していた。

 

「おのれ、悪の魔法使いめが、われ等を舐め腐っりおって〜!」

「今すぐに帝国に乗り込み、ブレイドとそいつに加担する帝国共に正義の鉄槌を!」

「だが、帝国に進行するにはブレイドを作りおった帝国首都を覆う超弩級結界をどうにかしなくては帝国にいくことは無理だぞ」

「たしかに…。あの結界は、われ等が保有する戦艦の4分の一の戦力を投入してもびくともしなかったしな」

「ただでさへ、帝国はブレイドの知識と技術により多くの科学技術と兵器を所有した先進国となっている。正面にぶつかれば質量差と技術差でわれ等が不利だぞ?」

「それだけではない。ブレイドはわれ等正義の魔法使いが恐れていた魔法世界、旧世界の二大世界をまたにかける最悪最強の海賊集団、八宝菜と協定を結んでおる。帝国と八宝菜の戦力の数は連合より一枚上の計算だ」

「フン、科学などわれら魔法の力には及ばん。魔法こそ最強なのだ」

「八宝菜など正義の魔法使いの敵ではないわ!そいつらまとめて討伐してくれるわ!」

 

 攻めるか待つか、言い訳と責任のなすりつけで議員たちの口論が飛び交い、スモーキーはうんざりした顔で耳の穴をほじくっていた。組織の上層部はほとんどが魔法が最高という魔法主義者が多く、なんでも魔法で解決しようとする。現状をあまり理解しない脳筋で戦略など考えていないため、スモーキーや戦場で働く兵士たちは苦労していた。

 

「そもそも、貴様がブレイドを逃がすからいけないのだスモーキー准将!」

「しかも、連合、オスティアの戦力の要である黄昏の姫君をブレイドに奪われよって!もしも、黄昏の姫が帝国に加担したらどうするきだ!」

「この失態を落とし前をどうつける気だ貴様!」

 

 責任のなりつけに、スモーキーまで飛び火を浴びられる。おおかた、基地襲撃と姫御子の誘拐などすべての責任を押し付ける魂胆だろう。権力者の腹の中を知るスモーキーは彼らの態度に反吐がでしょうになったが、顔に出さす、口で出すことにした。

 

「奴に逃がしたことは文句も否定もしねぇ。だがな、たかが餓鬼一人が誘拐されてギャギャーおびえるあんたらに反省する気は微塵もねぇよ」

「き、貴様〜!」

「その言葉、正義の魔法使いである侮辱と判断していいのだな?」

「正義のくそも、悪の魔法使いの禁術で弄られた俺と、権力と地位に執着している俺らがまともな正義だと思ったことなんて一度もない。もっとも、俺の背中の正義はあんたらのための正義じゃないけどな」

「ぐぅう、正義とかけはなれた思考に暴言。やはりおぬしは失敗作だ!今すぐ研究所に送り返して処分してやる!」

 

 スモーキーの態度に激怒する議員たち。研究所とはスモーキーが煙人間になった研究機関である。だが、その場所はスモーキーは知らない。連合のトップシークレットのため、志願者たちには教えられていないのだ。処分するというのはもちろんサンプルとして解剖だろう。もっとも、スモーキーにとっては処分は怖くなかった。むしろ好機であった。なにせ、スモーキーはその研究所を調べることが力を手に入れること同時にもう一つの目的であった。

 このまま研究所に輸送されることを望むのだが、一人の老人が議員たちに活をいれた。

 

「いいかげんにしろ!今回の会議は准将の処分ではくブレイドの対策のはずだろうが!!」

「マクギル元老院議員…」

 

 老人の名はマクギル元老院議員。連合の議員の古株であった。

 

「たくっ、功をあせりおって…。おぬしらは攻める、討伐するしか脳が無いのか?」

「だが、基地襲撃と黄昏の姫誘拐でブレイドがいかに危険かわかったはずです!」

「悪の魔法使い認定した以上、このまま奴の逃したら正義の魔法使いの義務とプライドがゆるしません!」

「正義の魔法使いのプライドと義務は結構。だが、プライドのために連合を危機にさらして、国としての義務を放棄してどうする気だ?相手は一国を軽く落とせることができるブレイドとその手下たち。そして、世界最強の海賊共だぞ。力任せにぶつかれば民間人や国が被害に合うだけじゃて」

「なら、どうするのですか?」

「そうじゃな…。いっそのこと協定するか帝国と」

 

 マクギル元老院議員の言葉に議員たちは目を丸くする。なにせ今は戦争中なのに敵国とあっさり協定を結ぶなど普通考えられない。

 

「そもそも、ブレイドは連合に滅びか協定かの二つの選択を言った。つまり、協定したけばすればいいが、プライドの高い連合が帝国と協定はしないという確信があったんだろう。ならば、その裏をかいてやり、協定を結べばやつの鼻を明かすことができるだろうって」

「しかし、敵国である帝国が協定に答えるはずがありません!ましてや悪の魔法使いと海賊を雇ってる雇い主ですよ!」

「たしかに協定は難しいが、やってみる価値がある。今や帝国はブレイドの知恵により先進国となってる。そんな国と協定を結べば最新の技術などが流通し、国に利益になることはまちがいない。さらに、帝国と帝国の王を味方につければ、ブレイドと八宝菜を一網打尽することができる。国王も核を使う悪の魔法使いであり海賊と友達危険人物をそばに置くほど、危険なマネを続けることなんてできないって。わしらが協力すればブレイドと手を切るだろうに。黄昏の姫御子の奪還はその後にすればよい」

 

 この提案に議員たちは考える。魔法主義者たちや正義馬鹿は反対の態度であったが、地位と利益が権力者たちはその案に賛成する考えであった。

 スモーキーは胡散臭く古だぬきを見る目でマクギル元老院議員を睨んだ。すると、マクギル元老院議員はつぎにスモーキーの処遇をも決めた。

 

「准将の処遇については、一ヶ月の減棒だ。なにせ、ブレイドを相手に生き残ったは彼と彼の部下だけだ。ブレイド対策には彼の力が必要だ。それに、おぬしには多額の出費を投資してるし、役立ってくれないと困る」

「けっ、本音はそっちか。けど、おまえらにいわれなくてもブレイドは俺が捕まえる。おまえらの大義名分で俺の邪魔をするなよ」

「貴様、なんという口答えを!!」

「よいよい。ふむ、それには絶対とは言えぬが、心得ておこう。おぬしが先に捕まえることができるのならな」

「ふっ、話はそれだけなら、俺は帰るぞ」

 

 そういって、出入り口のドアに手をかけると、マクギル元老院議員がスモーキーに声をかけた。

 

「スモーキー准将、最後に聞いてもいいか?」

「…手短くな」

「黄昏の姫御子…アスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシアは人であったか?」

「…人もくそも、ただの餓鬼だ。人肌が恋しくてたまらない普通の小さな餓鬼だったよ」

「・・・・・・・・・そうか…」

 

 安心したような顔になるマクギル元老院議員。議員たちは?マークを浮かべる。

 スモーキーは議員たちに背中をみせながら会議室から出て行った

 

 

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 スモーキーは渡り廊下にある、喫煙所で葉巻を吸おうとしたが、喫煙所には先客がいた。

 

「お勤めご苦労様です。スモーキー准将殿」

「…茶化しにきやがったのか、青キジ?」

 

 もじゃもじゃの髪にアイマスクをつけた長身の男性。彼は連合は保有する最大戦力である三大大将の一人、クザン。別名青キジ。また、スモーキーとは知り居合いで、訓練生時代の先輩であり、スモーキーと同じ悪魔の能力者である。もちろん、能力は原作と同じ。

 

「茶化すのなにも、俺はただ老人たちの介護で疲れた旧友を励ましに来ただけだぜ。あと、これは差し入れのスーパーゲル状デロドロンドリンク。今旧世界で流行ってるゲテモノジュースでな、マニアの間で有名なんだと。飲む?」

「そんな、得体の知らない液体なんか飲むかっ。用事がないなら帰れ!」

 

 ゲテモノジュースを拒むスモーキーは葉巻に火をつけて葉巻を吸う。青キジは「あらそう…」と言ってスーパーゲル状デロドロンドリンクを一口飲み、無言でゴミ箱に捨てた。まずかったのだろう。二人の間に無言の空間が続くと、青キジが口を開く。

 

「姫御子はほんと自分の意思でブレイドについていったのか?」

「・・・・・・たぶん。魅力とか使ったか知らないが、俺の目にはあの餓鬼がブレイドに懐いてったのはたしかだ」

「そうかぁ…まぁ、ブレイドの大将が例の組織と繋がっていないならいいんだけど」

 

 例の組織という単語にスモーキーが反応する。が、スモーキーが今聞きたいのはそこではなかった。

 

「青キジ。てめぇ何企んでいる?」

「企むって何が?」

「俺はお前に言われて、わざと紅い翼に黄昏の姫御子の監禁場所を教えた。そのとき俺は旧友の再開ついでにやったが、後から考えればおまえの行動はおかしかった。なんで組織のトップであるお前が情報を流すまねをしたか」

「そりゃーもちろん、かわいい姫御子がさびしくないように、顔見知りの紅い翼に合えるように計らっただけですよ?」

「うそつけ、幼女や少女に甘いロリコンみたいな顔と声したおまえでも連合の大将してる身なら個人的な感情に 流されるわけがねぇ。そもそも、あの襲撃事件は出来過ぎだ。姫が基地に滞在してるときに紅い翼が基地に来たこと。そして、ブレイドが襲撃したこと。偶然にしてはおかしすぎだろう?」

「偶然ってこわいものだねぇ〜。でも、所詮は偶然でしょう?」

「偶然だったろうな。誰かが情報操作して茶番をしかけなかったらな」

「・・・・どいういうことですかね?」

「おまえの筋書きはこうだ。まず、紅い翼の移動を把握し、次どこへ滞在するか推測。そこに、姫を置き、俺が紅い翼にその姫の居場所を教える。姫と知り合いだった紅い翼は姫に会いに行こうとする。そのとき、ブレイドが食いつきそうな情報を流し誘導、基地に襲撃させる。そして、俺か赤い翼がブレイドと交戦。もしも、姫に身に危険がおよぶと、お人よしの紅い翼は姫の安全のために姫を自分たちで保護しようとする。そして、姫は組織の手から逃れることなる。それがおまえの目的だろう」

「うまい話だねぇ〜けど、確証や証拠もなければ、おまえの想像だ」

「たしかに、これは俺の想像だ。確証がねぇよ。けど、証拠ならある。おまえがブレイドに情報を流した仲介人どもは俺の部下が見張ってるんだ。取調室でな」

 

 取調べで流した偽の情報の内容にはあきれたが、それで釣れるブレイドこと一刀にスモーキーがあきれ果てたのは余談であった。

 

「・・・・・・・なら、なんで乗ったんだ?」

「フッ、あのときはただのついでだ。あんまり考えていなかっただけだ。だが、後から思えばいい機会だとおもったんだ。国や正義のために人生を奪われた餓鬼を開放するのに…。こんな血まみれの正義は俺たち大人だけが背負えばいい」

「…そんなことあたりまえだ。こんな文字、子供には重過ぎるし、子供に背負わせる義務や権利なんてもとからねぇよ」

 

 二人が背負ってる二文字の単語。それにはどれほどの意味と重みがあるのかわかっていた。それゆえに無視できなかった。その文字で苦しみ人生を決められた子供たちやすべてを奪われた小さな姫が。

 葉巻の灰ガラを灰入れに落とし、葉巻を咥えながら青キジの前を通ろうとするスモーキーに、青キジが忠告する。

 

「スモーキー。気をつけろ。おまえに力を与えた奴らはこの戦争の根源だ。やつらは何処にもいる。敵にも見方にも、組織にも」

「ご忠告どうも。もっとも俺にとっては俺と俺が認めた奴以外を敵だ。もちろんテメェもな」

 

 信じられるの己だけ。それがスモーキーの信念であった。

 自分の敵は容赦なく捕まえ、倒し、殺す。たとえ組織、上司、仲間であれ。

 だが、絶対に倒すベキ敵は心の中で決まっていた。

 

「そして、千の武器、ブレイド。奴こそが俺の目標であり最大の敵だっ」

 

 彼と戦い、そして、彼を逃がしたことにスモーキーは中である情熱が生まれた。運命の出会いというはキモいが、彼の中で灰色の人生で宿命という赤い炎が燃えていた。ブレイド・H・フェイクドールを倒し逮捕するという信念が。

 スモーキーはぎらぎらと鈍く光る眼をしながら、その場を後にした。喫煙所に残された青キジはスモーキーの背中を見つめる。彼は変わった。ブレイドという存在と出会って。青キジはそう思った。

 

「ありゃまぁ、あれは完璧に千の武器にほれちゃってるわ。このままだと寝取られちゃうぞ…――ガトウ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 廊下の角に隠れていたガトウが出てきた。さきほどの話を立ち聞きしたらしい。

 

「クザンさん。あなたはこの戦争をどこかまで知っているのですか…?」

「さぁ、どこまででしょうか…」

「とぼけてないで答えてください。もしかしったら戦争を止める手立てになるかもしれませんよ!」

「…戦争を止めるか…残念だがコレはそんなレベルじゃないんだ。もっと大きな。神話か伝説級なヤマなんだよ」

「それはいったい…!?」

「そんあもん、自分たちの足で調べろ馬鹿っ。なんでも先輩が後輩に教えるくえるなんて大間違いだ」

 

 その言葉にガトウは黙る。訓練時代の青キジの性格を知ってるため、それ以上の質問は無理だろうとあきらめた。すると、青キジはガトウに今教えられることは教えてあげた。

 

「けど、今言えることはある。このヤマを解決するにはテメェら紅い翼と…ブレイド・H・フェイクドールが必要だ」

「ソレはどういう…」

「時期にわかるさっ。うんじゃ、俺はこの辺で…、後ろに隠れてる姫様もがんばれよ」

 

 手を振りながら立ち去る青キジ。立ち去ると、ガトウが隠れていた廊下の角から女性が出てきた。

 彼女は青キジが言った姫であった。

 

「連合の最大戦力である三大大将、その一人青キジのクザン…。まったく読めない奴だ。むかしからあんな感じなのか?」

「えぇ、訓練生時代、あの人のせいでひどい目にあいました…」

 

 頭を指で掻くガトウ。彼の訓練生時代、青キジの行動には相棒や同期と一緒に驚かされ疲労したことが多かった。おもに青キジのフリーダムと面倒な後始末で。

 青春が脳裏によぎっていると、会議を終えたマクギル元老院議員がやってきた。

 

「おまたせしました、姫様」

「手数をかけてすまないなマクギル元老院議員よ。会議はどうなった?」

「反論する奴がおりますが、協定の方向に傾いてます。ですが、無罪のモノの生贄に終戦にするなど、心が痛みましたよ」

「無罪か…有害な核兵器や人体実験する奴など、わたしには連合の膿とかわらんとおもえるが?」

「真実というのは本人の心しかありません。会ってもいない者を咎め決め付けるのは感心しませんなぁ」

「むぅ、すまない」

「その真実についてはウチのリーダーが知っていますし、一度会って話してはどうですか。あいつらもそろそろ着いてる頃でしょうし」

「そうか、ならいこうか。おぬしがいう紅い翼とやらを会いに」

 

 

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 そのころ、紅い翼と、あたらしい仲間であるリズはガトウに言われたとおり待合場所でガトウたちを待っていた。

 

「なんだよ、ガトウの奴。わざわざ本国まで呼び出しやがって」

「なにか重要な話でないですか?」

 

 呼び出されたことに疑問に思う、ナギと詠春。ナギの言葉にリズはある推測を立てた。

 

「あれじゃない?ナギたちがバカスカ連合の備品とか基地とか壊したから損害賠償金を払えっていう話をするために呼び出したんじゃないの?」

「それはありえるのぉ…;」

「いや、あれは戦闘とか修行で勝手に壊れただけで、武器倉庫の火薬に千の雷で引火して大火事になったことは俺のせいじゃねぇぞ?」

「そうそう、試し切りで基地を真っ二つにしたけど、あれはあくまで事故だ」

「俺だって、昼寝でねぼけて上に浮かんでた戦艦にラカンインパクトを撃って撃沈しちゃったのは事故だぞ」

「どうみてもあなたたちが悪いです!!」

 

 事故と言い張るナギと遮那とラカンに詠春がツッコミを入れた。ちなみのその件はキョウスケが情報操作したので事故として扱っている

 次にリーファはあることを推測した。

 

「うんじゃぁ、アルとキョウスケが連合の(萌える容姿が小さい子兼女性限定で)兵士や上司に手を出したとことが上層部にばれたとか?」

「失礼な。俺はそこまで餓えてない。容姿が可憐な少女だった将軍を食事を誘っただけだ。そのあとホテルにつれこんだが、上層部のお父様に見つかって蜂の巣にされが…」

「私もです。魔法で悩んでいたいたいけな少年兵士に魔法を教えていただけです。まぁ、そのあとで倉庫に連れ込もうとしたら、その子の女教官に阻止されましたがね…」

「いっぺん簀巻きにして東京湾に沈めますよ、色欲ブラザーズ!!」

 

 下心丸出しのブラザーにチンピラのように脅す詠春。なお、その少女将軍と女教官は二人のファンであったことは本人たちは知らなかったことである。

 

「はぁ、まったくあなたちはこう問題を起こしたばっかりおこすんでしょうか…。けど事故や未遂ならたぶん大丈夫でしょう。出費と偽って連合の資金を勝手に使うなんてことがなければいいんです。もっとも、わたしたちがそんなせこいことしませんけど…」

 

 笑えない冗談を言う詠春。しかし、詠春以外のメンバーが一斉に首を横に向けていた。

 

「…もしかして、やっちゃったのですか?」

「すまん。カタログで最新式の杖がカッコよくって連合の金で買った」

「俺もジャンプ買うのに小銭が足りなくて連合の金使った」

「私も、高級店のバイキングコースの料金が高くつい…」

「わしは食い逃げしてきた店からのツケで…」

「新刊の同人誌と限定フィギアを買うために…」

「ホステスの女たちとママへのプレゼント代で…」

「めずらしい古本が高値で売ってたので…」

「新作の衣服が売ってたから…」

 

 組織の資金を横領したナギたちに詠春は貧血をおこしそうになった。常識側であるリーファまでも共犯であったことはショックであったが、さらっと犯罪に手を染めている仲間たちに言葉を失う。これはもはや軍事裁判ものであり、よければ懲役、悪ければ死刑である。

 不安を抱える詠春にナギが肩を叩く。

 

「安心しろ。もしもバレたら帝国に高飛びすればいいだけだ。そうすればブレイドと勝負できるし、姫子ちゃんにあえるから一石三鳥だ」

 

 親指で立てでいい顔で提案する。このとき、詠春の神経が切れた。

 

「紅い翼なんかやめてやるぅぅうううううううううううう!!!」

「詠春が壊れたぁあああああ!?!?」

 

 ストレスを含めた怒りが爆発し刀を振り回して暴れる詠春。ナギたちは詠春のそばから逃げ、なんでキレてるのか疑問に思うが、「あんたのせいでしょう」とリズとリーファがツッコミを入れる。もっともあんたらも言える立場でないだろう。

 

「なにさわいでいるんだおまえら?」

 

 ガトウが詠春が暴れてることに?マークを浮かべてやってくると、詠春はガトウは一直線でガトウの両腕をつかんで頼み込む。

 

「ガトウ!ワタシは悪くありません!すべてナギたちが悪いんです!!連合の備品とか基地とか壊したり、連合のお偉いさんたちの娘に手を出したらい、連合の資金を勝手につかって帝国に高飛びするなんてわたしは関係ありませんから!おねがいですから無期懲役とか処刑はやめて!わたしの帰りをまつ婚約者がいるんです!婚約者が未亡人だけにしたいないんです〜!おねげぇします〜!!」

 

 涙を流してガトウにすがる詠春。彼の行動にガトウは困惑する。

 

「おぉー、あの詠春がめっちゃ取り乱してるわー。レアだなぁー」

「人というものは、窮地に落ちるとキャラが壊れるものですねー」

 

 その様子をナギとアルが観望する。あんたらが原因なのに。ちなみ、その他はキョウスケを中心に高飛びの算段を立てていた。へんなところでチームプレーが発揮する赤い翼であった。

 

「何言ってるのかわからないが落ち着け。そもそもおまえたちを呼び出したのは協力者にあってほしかっただけだ」

「協力者?もしかしてマクドナルド元老院議員か?」

「マクドナルドじゃなくてマクギルだよ。おぬし、ワザとまちがえてねぇ?」

 

 マクドナル――ではなくマクギル元老院議員が訂正し、ナギに言った。

 

「だが、協力者はわしちゃう。主賓はあちらのお方だ」

 

 フードをかぶった女性が階段を上がってナギたちに近寄った。

 

「ウェスペルタティア王国・・・アリカ王女」

 

 マクギル元老院議員が代わりに姫をナギたちに紹介する。フードをかぶっているが、綺麗な金髪と凛とした輪郭、そしてアスナと同じオッドアイという美女である。その美貌に姫といわれて納得し、その美しさにリズとリーファの女性陣が「きれい…」とつぶやく。そんななか、ナギはアリカをジト目で見つめ、彼女のそばに近づいてきた。ナギの態度にアリカは疑問に思った。

 

「な、なんじゃ…?」

「うーん…。よし、リズ、リーファ、うんで遮那、ちょっと来って並んでくれないか?」

「なにする気よ、馬鹿ナギ?」

「ろくでもないことだと思うなぁー」

「右に同じく」

 

 とりあえずナギの従い、アリカと横列に並ぶ三人。

 その列はあることの順列であった。

 

「これぞ、特盛と大中小だ!!」

 

 リーファ、リズ、アリカ、遮那。この順は(一名違うが)彼女たちのある大きさの差であった。

 

「見事な、配列!ありがとうございます!」

「がっははははうまいじゃないか!ざぶとん一枚〜!」

 

 ナギのボケにキョウスケは感謝し、ラカンは大笑いする。もちろんアルは微笑んで笑いをこらえていた。そのほかの男性陣(おもに詠春とガトウとタカミチ)は顔を青くしており、並ばされた女性陣+男の娘はこの横列がどいうものなのか、数秒で理解した。

 その後、頬をビンタされ、頭を大槌で殴られ、体中刀で斬られまくった、頬に真っ赤な紅葉と頭の大きなコブを作って、体中切り傷だらけのボロボロになったナギ。

 なお、自分の胸をたしかめアリカに「気にするな…」と遮那が励ましたのだったが、逆効果であったらしくアリカに「無礼者…!」といわれビンタされた(叩かれた本人は逆切れはしなかった)。ちなみにラカンとキョウスケについてはリーファとリズがどこかへ連れて行ったためどうなったかは恋する乙女しか知らない。

 

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 ヘラス帝国首都。その地下には巨大な地下研究所があった。

 武装錬金アンダーグラウンドサーチライト。本来は避難壕なのだが、一刀は即席研究所として使用していた。

 その一室の資料室である部屋で、一刀がアスナの面倒を見ていた。面倒というよりも教鞭をとっていた。

 

「世界、理とはすべて箱という入れ物に入ってこそ成立するもの……魔法も例外でなく魔方陣という円の器があってこそ術が成立する。…ゆえに円こそがすべての基礎であり箱庭である…」

「そうだ。そして俺たちの体という器も円だ。自分の体を巡回する血流を感じるか?血の流れ、気の流れ、神経…それらを溶け出して器をひとつの円として精神で感じ、形作れ」

 

 リラックスをしながら自身の肉体を集中するアスナ。呼吸、空気が肌に触る感覚、血が心臓や内臓に駆けずり回って動かしてる鼓動、全身の筋肉と神経が自分が立っていると脳に告げ、脳がそれらを情報として処理している。それらがアスナの感覚で固体から液体に変わるように、ドロドロに溶け出してひとつの輪、円となった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・なんとなくわかった…」

「よし、器ができたら次に中身を考えろ。感じてる円はお前の領土であり枠だ。その中はアスナの自由だ。基礎の知識とイメージで形をつくれ。そうすればおまえだけの物や現象、国が創造できる」

「私だけの物…現象…国…イメージ…基礎の知識と法則で…土台を作る…」

 

 アスナの円の中が、まるで国を作るような大型の土台が建築されていく。材料はこの世の法則の理とそれを立証するための知識。基礎が完成されえば、粘土を貼り付けるように土台をコーティング。イメージで形を作る。するとアスナの円の中には国ができ、幾何学模様のような立派なアスナだけの陣が出来上がった。

 そして、

 

「・・・・・・・・・・・練成…」

 

 机に置かれた羽を怪我した鷹を両手で触ったとたん、赤白い電流が飛び散り、鷹の羽の怪我が感知していた。

 その出来栄えに一刀はアスナをほめた。

 

「やっぱすごいなーアスナは。等価交換を理解したらすぐに、1=1の法則を変える法則をみつけて非等価交換の物質増殖をやってのけて…いや〜天才はすごいなーあこがれちゃうな^^」

「カズトの教えがよかったから…できたこと・・・・・・それにカズトがあつめた本…むずかしいけどどれもおもしろくって・・・・・ためになった」

「あっはは、ありがとう。義妹が優秀だと兄としてうれしいよ♪」

 

 さかのぼること、アスナを誘拐した翌日。アスナをヘラスにつれてきた一刀であったが、その後アスナをどうするかあまり考えていなかった。テオや仲間たち(王族貴族はあぶないためナイショ)に相談したが、ほとんどの者が一刀の養女として保護して、自分たちが母親代わりになるという話になってしまった。結果、権力と一刀と付き合いが長いテオがアスナの母親代わりになるという横暴でほかを黙らせて決定させた。そのため仲間たち(おもに鈴)は悔し涙を流した。けれど、アスナは「カズトが父親になるのはいや…」と言い出し、結果、一刀の義理妹してテオたちを中心として保護することになった。なお、一刀は別に父親代わりでもよかったのだが、アスナにその理由を聞いてたら、カズトを独占させれるという(一刀には)わけのわからない理由であった。そのため(一刀大好き)テオたちはアスナにおねいちゃんと呼ばせようよするが、惨敗。なぜかスカイだけは「スカイおねいちゃん」とよび、スカイは照れ隠しをして内心喜んだ(そのため痛い視線が数日続いた)。

 で、基本はスカイがアスナのために教鞭をとるのだが、ときより一刀がアスナに錬金術や技術を教えていた。

 なんでも、一刀が使っている技や技術に興味をもったらしく、一刀が所持していた本や研究資料など一刀に頼んで読んでもらいほとんどの本を読破。さらに独学で錬金術、とくに生命系の錬丹術の初段を習得し、演習で怪我をして兵士の怪我を錬丹術で(陣を使って)治療したのだ。このアスナの学習能力と吸収力に一刀は驚き、アスナがその知識と力を間違えないように教育と修行をさせ、一刀はもっている知識と研磨した技術でアスナに伝授していた。もっとも長年習得した技術と知識が簡単に習得されるアスナに内心くやしがったのは複雑な気持ちであった。

 

「ここに居ったか、カズト」

「勉強中に失礼するぞー」

 

 出入り口からテオとスカイが入ってきた。すると、アスナが治療した鷹をもってスカイに見せた

 

「見て…私が直したの…鷹・・・・」

「おぉ、凛々しい鷹だな〜・・・・けど、どこを直したかわかんねー?」

「むむ、旧世界で古代技術の分野する錬金術、錬丹術はすごいが、使うおぬしらはふたりにはおどろかされてばっかりじゃな」

「あっははは、すごいのは俺じゃなくアスナだよ。俺は努力で取得したけどアスナはまぎれもなく天才だ。乾いたスポンジみたいに俺の技術をほとんど吸収したあげく、独学で新しい方法を発見して習得しているんだ。このままいくとキメラや怪人まで作れそうで怖いよ…」

「キメラはともかく、怪人はやめてほしいのぉ〜…」

「ウチは悪の秘密結社じゃないからな」

「安心して・・・・・・カズトに禁忌は犯さないでって約束されたから非人道的なことはやらない。・・・・けど…怪人が中身がどうなっているか調べたいけど…ね」

 

 にっこりと冷たく笑うアスナに一刀たちは顔を青くした。一刀がアスナに驚いたのは才能だけでなく彼女の貪欲な知識欲もあった。一刀の影響なのかわからないが、興味があればとことん調べて習得するという性格で、たとえ、禁忌であれ非人道的あれ、一度決めたことは最後まで遣り通すという執念があった。その知識欲でアスナの現在の力量は錬丹術は上位クラスになり、等価交換の無視まで出来るようになった。このままいけば、間違いなく死者蘇生までやってのけると、一刀は確信していた。

 

「ところで、俺になんか用事でもあるのか?」

「そうじゃった。じつはあの馬鹿二人が城下の街中で暴れておると苦情が来てな、止めに行ってほしいのじゃ」

「えぇ〜なんで俺が…」

「あいつらを保護したのはあんただろう?責任者として止めて来い」

「ハァ、わかったよ。うんじゃ今日の授業はここまでだアスナ。あとは自習で本でも読んでなさい。ただし、実験は駄目だからな」

「うん…わかった…」

 

 そして、一刀はテレポートで地上の城下へ転移した。

 

 

 

 

 城下の街中で二人の男が暴れていた。

 屋根上を飛びながら、一人は真っ赤な籠手で相手を殴りつけ、もう一人は剣を投影させ、剣を複製しガードと同時に斬りかかった。

 

「だれが馬鹿筋肉だ?もういっかいいいやがれパイナップル頭!」

「記憶力がない奴を筋肉男を馬鹿といってなにが悪い。それと誰がパイナップル頭だ!このプロテイン中毒者!!」

 

 両者は屋根の上に着地して距離をとり罵倒する。険悪らしいのだが、見た感じ子供の喧嘩のようであった。

 

「やっぱり、テメェは気にくわねぇぜ。行くぜ、ドライグ!」

『へいへい、了解、相棒』

「フッ、パワー馬鹿の特典など、王道特典である無限の剣製のまえでは無力だ!」

 

 片方は赤い籠手の甲の翠の宝玉が光り『BOOST!』と男性が叫んだような音が何度も鳴り、自身の力を倍増させた。

 片方は夫婦剣の干将・莫耶を複製せさせ、さらに剣を強化すると、二刀の刀身が羽のような巨大な刃となる。

 

「「うぉおおおおおおおお!!!」」

 

 同時に屋根上を蹴ると空高くジャンプし、相手を殴り、斬りかかろうと…

 

「ジャイルグラビティション!!」

「「ぎゃぁあああああああ!?!?」」

 

 する前に、一刀の重力操作で地面に墜落した。

 

「まったくっ、街中で騒いだ挙句必殺技使おうとしやがって。城下の人のことを考えろよ。近所迷惑だろう」

『いや、おまえも技使ってるじゃん…』

「ヴ、動けねぇ・・・・」

「不覚・・・・・」

 

 ドライグが一刀にツッコミをいれる。二人は重力の重さで地面にめり込んで動けなくなった。

 この二人は、転生者であった。

 ドライグ…赤龍帝の籠手の特典を持つリトルバスターズの井ノ原真人の容姿の男性はマサト・アルマー。

 無限の剣製の特典を持つリトルバスターズの宮沢謙吾の容姿の男性は宮崎剣呉。

 とある理由で、一刀と一緒に帝国に所属していた。

 

「で、今日はなにが原因なんだ?長谷川さん」

『だれが長谷長川さんだ!?…まぁ、今回は相棒とパイナップルが昼飯を食ってたときに豆腐で絹ごしと木綿、どちらがうまいかで討論になって、喧嘩沙汰になっちまったんだよ。いつものことだな』

「つっか、なんで俺よりもドライグに聞くんだよ・・・・・・」

「いいかげん、この重力をとめてほしいのだが・・・・・・・・」

 

 紙のようにペラペラにプレスされそうになるマサトと剣呉。

 一刀は技を解除し二人は重力から開放させると、説教をはじめた。

 

「おまえらが喧嘩するのは勝手だが、この国では一様俺の客将としての扱っているんだからおとなしくしてくれよ。国で騒ぎを起こされると俺やテオまで迷惑かかるんだから・・・」

「むぅ、命の恩人にそれを言われると反論できん。善処する…」

「そうだ、反省しろよ胴着野郎」

「お前もだキモ筋肉」

「誰がキモ筋肉だ!俺の筋肉は芸術ある美の筋肉だ!!」

 

 にらみ合うマサトと剣呉。売り言葉に買い言葉だが、この二人は容姿同様に喧嘩しやすかった。

 

「ジャイルグラビティション(怒)」

「「ぐっわああああああああ!?!?」」

 

 一刀はもう一度、物理的に黙らせた。

 

「はぁ、なんで、こいつらを保護しちゃったんだろう俺・・・・・」

 

 後悔は数日前に遡る。

 

 

-5ページ-

 

 

「ほれほれ、つかまえてみるのじゃ〜」

「まって…」

「アスナ〜テオ〜あまり遠くにいっちゃーだめだぞー」

 

 アスナを誘拐して数日後。一刀はテオとアスナを仲良くさせるために気分展開に帝国付近の森に遊びに行っていた。

 二人は鬼ごっこをして、逃げるテオを鬼役のアスナがトテトテと足取りで追いかける。まるで姉妹のように仲良のよいテオとアスナはそのまま森の中へと遠くまで走っていった。

 一方、一刀は二人が森の中へ入り見えなくなると、シートの上に寝転がって昼ねをはじめた。横にはディーブが作ってくれたサンドイッチが入ったピクニックバスケットがあった。テオとアスナが帰ってきたら昼飯として食べる予定で、楽しみにしていると・・・・

 

ドッカーン!!

 

 一刀がいた場所に雷やらビームやら大量の剣や槍が飛んできてミサイルが落ちたように一刀のいた場所が爆発。あたりは爆発の煙で覆われた。

 

「にっひっひっひひ!どうだ本物の主人公の力は!」

「所詮はモブ野郎の種馬が俺たち主人公には勝てないんだよ」

「ヒロインは俺たちが可愛がってやるから、安心しとけ」

「そのうち恋姫のキャラも俺たちのハーレムにしてやるぜ、た・ね・う・ま・くん。ぎゃっははははは!!」

 

 木の陰から大勢のクズ転生者が現れた。軽くて100。さきほどの爆発は彼らの仕業だった。

 下品な笑い声を上げて、一刀は死んだと思ったらしい。だが、

 

「なんだ、転生者はキョウスケたちだけじゃなく、古典的なクズもいたのか」

「「「「なっ!?」」」」

 

 煙が晴れると、そこには、絶界でクズ転生者たちの攻撃を拒絶・遮断した五体満足の一刀がいた。もちろん、弁当も(テオとアスナのために)守ったので無事だった。

 

「絶界だと!?そんな技で俺のチートを防いだのか!?」

「なんで、そんな真似ができるんだよ!?ほんとに恋姫の北郷一刀なのか!?」

「だが、所詮は種馬野郎だ!俺たちみたいなチート主人公の敵じゃないぜ!」

「そうだ!ヒロインたちは、おまえみたいなチンコ野郎より、俺たち主人公のモンだ!食らえエクス――」

 

 クズ転生者の一人が攻撃しようとしたとき、一刀はバスケットを転送させて城に置いてきた四次元棺に収納。瞬時に結界を解除し瞬歩で移動して、そのクズ転生者の顔面に蹴りをいれた。

 

「げっぶ!?」

「大技を待つほど、戦場は甘くはないぞ」

「このモブ野郎がっ!王の財宝!!」

「刺し穿つ死棘の槍ゲイ・ボルク!」

 

 金髪でオッドアイのクズ転生者が赤い槍と大量の剣を飛ばすも

 

「マグティック・ワールド・【クズ転生者】」

「「「「ぎゃっぁああああ!?!?」」」」

 

 一刀は周りにいたクズ転生者たちを磁力で集めて壁にした。因果逆転のゲイ・ボルクと宝具大量投射の王の財宝により、盾にされたクズ転生者たちは貫通し蜂の巣にされぐちゃぐやの肉塊となるも、その後ろにいたはずの一刀の姿がなかった。

 すると、ゲイ・ボルクを放ったクズ転生者が気配を感じるてふりむくと、一刀にアイアンクローで頭をつかまれて持ち上げられた。

 

「どれほど能力がチートでも戦い方はゲームや漫画みたいにいかないもんだ」

「ちょっ、たんま――」

「第四波動っ」

 

 ゼロ距離からの熱線により、断末魔や悲鳴をあげることなく、後ろにいたクズ転生者たちを巻き込んで、全員消し炭となった。しかし、王の財宝の特典をもったクズ転生者が残っており、クズ転生者は死の恐怖で一刀におびえていた。

 

「ひっ!?来るな人殺し!」

「元死人に言われる筋合いはないな。それに…ロストされる覚悟もない奴が人をロストさせるな!!」

 

 世界をゲームと勘違いしているクズ転生者に容赦をしない一刀。止めを刺そうとした瞬間、上から殺意を感じ後ろに飛ぶと、先ほどいた場所にドリルのような剣が飛来してきた。

 クズ転生者のまえに二人の男がクズ転生者を守るように降り立った。この二人こそがマサトと剣呉であり、一刀との始めての出会いであった。

 

「こいつはら…?」

「ふっはははは!!形勢逆転だ!こいつは大天使がくれた特別製の転生者だ!能力はもちろんこと戦闘力も俺たち上で。俺の命令に従うように設定されている!おまえみたいなモブ野郎には絶対勝てねーぞ!どうだまいったかっ!」

 

 先ほどと違って自信満々になるクズ転生者。

 

「別におまえの力じゃないし、それ三下がやられれる台詞だぞ…;」

「うるせい!すべては俺がルールだ!やっちまえ!」

「「・・・・・・っ!」」

 

 二人はクズ転生者で無言で従い、一刀に襲い掛かった。

 一刀は回避を中心によけ続け二人を観察する。

 

「謙吾に似た転生者は無限の剣製なのがわかるけど、真人に似た転生者の特典はなんだ?あの赤い籠手は俺の記憶にはないし…。なんか竜の気が感じれば対神の力も感じる…?」

 

 このとき、一刀はハイスクールD×Dの世界に行っていないため、神滅具の赤龍帝の籠手を知らなかった。

 

「なにやってんだポンコツ!さっさとモブ野郎を捕まえろ!!」

 

 クズ転生者が苛立ちながら叫ぶと、マサトと剣呉はスピードを上げて、一刀を捕まえようとする。

 

「やっぱり、二人は操られているのか…っ!?」

 

 先ほどから瞳に光がなく、人形のように動くマサトと剣呉の状態を察した一刀。

 操られている相手なので、クズ転生者同様に倒すことができないため、手が出せない。どうにか動きを止めようと考えるがその隙に二人に挟まれてしまい、二人にがっちりとホールされてしまった。

 

「離れろ!俺はそっちの趣味は無いし、美魚みたいな女が喜ぶだけだ!」

 

 男二人に挟まれて、身動きがどれない一刀。絵的にも腐女子が喜ぶ絵であった。

 

「死ね種馬ッ。天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!!」

 

 クズ転生者が乖離剣エアを振るい、天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)をマサトと剣呉ごと一刀に放った。

 

「プッハハハハハ!この俺様に逆らうからだ種馬!さぁ、邪魔なモブ野郎は殺した。次は俺のハーレムに近づくモブ野郎を殺して、俺だけの世界を作るぞ!」

 

 このときだけ勝利を確信したクズ転生者であったが、天地乖離す開闢の星で空間を切断したはずの場所には――、

 

「仲間もろとも殺すなんてどの世界でも三下の考えることは同じだな」

 

 またもや無傷の一刀がいた。彼の足元には拳骨で頭にコブを作ってのびていたマサトと剣呉が倒れていた。

 

「嘘だろう…なんで乖離剣エアを食らって生きてんだよ!?最強の特典でチートなんだぞ!!」

「悪いがそのチートはモノホンの時にすでに攻略済みだ。たしかに天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)は最上級のチート攻撃だが、本質、物理的に考えればその攻撃は空間切断。なら切断された空間を壊せればいいだけだのこと。こんな風になっ!」

 

 何もない空間を叩くと、その空間にガラスのような亀裂が一刀の周りを覆うように生じて、その範囲だけ空間が空間でないモノへと変化した。

 天地乖離す開闢の星の空間切断されるまえに、あえて切断する空間はさらに破壊して、擬似的に空間がない非空間を作った。原理的には全て遠き理想郷(アヴァロン)に似ており、空間切断の攻撃でも空間ではない非空間には無効であった。

 

「なっ、ならっ壊す前に連続で天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)をぶち込めがいいだけだ!!」

「フンッ、なんど天地乖離す開闢の星を放とうが同じくごとだ。それに、アイツの天地乖離す開闢の星はそんな程度じゃない!!」

「うるせぇええ!!」

 

 頭に血が上り、何度も天地乖離す開闢の星を放つも、一刀の空間破壊によりすべて無効化された。

 一刀は無表情で、無数の天地乖離す開闢の星にむかって十八番の技を放った。

 

「バオウ・ザケルガ」

 

バォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

 召還されたバオウは顎を開いて、天地乖離す開闢の星で切断された空間ごと喰らいつき、疑義的な時空層を噛み砕いた。

 無敵であったはずの天地乖離す開闢の星が、バオウに、それもシンで強化されたものではない初期のバオウに負けたことに、クズ転生者はありえないという顔で驚愕し、天地乖離す開闢の星を噛み砕き空へと消えていったバオウを見上げながら腰が抜けておびえていた。

 そのクズ転生者に、一刀が一歩近づく。

 

「まっ、まって!命だけは助けてくれー!」

 

 腰が抜けて歩けず、尻を引きずりながら一刀から離れようとするクズ転生者。

 もはや戦意喪失で、一刀を倒す手立てがなく、命乞いをする。

 その時、

 

「なんじゃ、今の轟音は?」

「カズト…?」

 

 鬼ごっこしていたテオとアスナが騒ぎを聞きつけて、クズ転生者の後ろの茂みから出てきた。

 クズ転生者は天の助けと思い、アスナとテオの手を引っ張って、自分の身に寄せて王の財宝から剣を取り出し、二人の首筋に刃を当てた。

 

「近づくな!近づいたらこいつらを殺すぞ!」

「なんじゃ!?これはどうなっておるのじゃ!」

「・・・・・・・・・・・・・捕まった…?」

「テオ!?アスナ!?」

 

 古典的な三下の人質。状況がわかっていないテオは驚き、アスナは無表情で自分たちが人質にされているこを把握した。

 

「おまえ、自分を主人公と言ってたわりに下種な真似しやがって。はずかしくないのか?」

「うるせい!おまえみたいなモブ野郎のせいでこうなったんだ!リセットだ!リッセトしてもういちど俺の物語を始めてやる!」

 

 いまだに今いる(幻想だが)世界を作り物とと勘違いし、やり直しができると思っているクズ転生者は叫ぶ。

 その態度とキチガイに、アスナとテオを助けた後どうやって地獄をあわせるか一刀が考えていると、クズ転生者に捕まっているアスナはひそかに手を合わせて、背伸びとして指さきをクズ転生者の顎につけた。

 

「ん?なんだ?俺に気があるか?やっぱりヒロインは見る目がちがうねぇー」

 

 この状況で、下種な笑みを浮かべるクズ転生者だったが、次の瞬間に地獄をみた。

 

「・・・・・・分解・・・・」

 

 バチッと赤黒い電流が飛び、人体分解の術により、クズ転生者の顔の一部が分解され、肉を削られたような激痛がクズ転生者に襲った。

 

「ぎゃっぁああああああ!?顔がぁあああああああ!顔が痛いよぉおおおおおお!?!?」

 

 突如の激痛に驚き悲鳴を上げ、顔を両手で押さえるクズ転生者。その隙にアスナとテオは一刀の元に走って逃げた。

 

「くっそぉおおおお!なんだよ今のは!なんでアスナが錬金術使えるんだよ!こんなのありえねぇーよ!こんなのネギまじゃない!バクだ!バグってる!全部おまえのせいだぁ、種馬っ!」

 

 原作と違うことに一刀に八つ当たりするクズ転生者だが、一刀はクズ転生者が今起こっている現象にすこし驚いていた。

 

「バグよりもおまえのほうがバクッてんぞ。自分の体を確かてみろ」

「はぁ?どういこt――ってなんじゃこれりゃっぁあああああ!?」

 

 クズ転生者が首を下にして見下げて自分の体を確認し驚き叫んだ。なぜなら、

 

「俺の体が元の姿にもどってる!?特典でもらったイケメンの容姿が現世のキモデブの容姿にもどってる!?」

 

 金髪でオッドアイのイケメンの美青年(笑)が同人誌とかでヒロインを寝取るキモいデブへといつもまにか変わっていた。彼の口ぶりからして、それが生前の容姿なのだろう。

 

「しかもほかの能力まで無なくなってる!?なんでだ!?まさか、アスナの完全魔法無効化能力!?あれは特典まで無効かするのか!?」

 

 容姿だけでなく特典の能力まで消えたらしい。人質で王の財宝で出した剣も消え、王の財宝を発動使用するができなかった。

 転生者の特典が消えたことに、一刀は疑問に思った。アスナの完全魔法無効化はレベル的にいえば、幻想殺しと同等だが、本人の能力まで消去する力はなかったはずだ。神からのもらい物である特典であれ同じこと。

 ならばアスナの人体破壊の副作用なのかといえば、ないだろう。ならば、アスナにはほかの能力があるかと一刀が考えアスナを見つめるが、アスナは「なに?」と首を傾げていた。本人も知らないらしい。

 

「よくも僕ちんのハーレム計画を…イケメンの容姿を消しやがって・・・・殺してやるうううう!!」

 

 素が出たクズ転生者…もといキモデブは一刀たちに襲い掛かるが、

 

「俺がいうのはなんだが、他人にもらった特典で自分を変えられる思うな愚か者っ」

「あと、外側より中身で勝負しろよな。もっとも、てめぇ見たいなゲスは臭くて誰も好かれねーけど」

 

 キモデブの肩を後ろで気絶していたマサトと剣呉が掴み、キモデブを止めた。

 

「お、おまえらいつのまに洗脳が…」

「殴られたときか、貴様が転生者でなくなったときかはしらんが、おまえら転生者に従うという命令はもう解けた」

「俺たちを使って好き勝手やったみたいだな?覚悟できてるよな?」

 

 ニヤリと笑みを浮かべるマサトと剣呉に、キモデブは滝のように汗を流した。

 

「「扱き使った借りだぁあああ!」」

「げっふぅうううううううう!?!?」

 

 二人はアッパーでキモデブを殴り飛ばす。

 キモデブは空中浮遊し、そのまま地面に墜落。歯が砕け口から血を流して地面にへばりつくと、目の前に一刀が見下ろす形で立っていた。

 

「おねがい・・・・助けて…」

「…いいよ。助けてやる」

 

 死の恐怖でいっぱいのキモデブに一刀は手をさし伸ばした。

 菩薩のように微笑む一刀にキモデブは安心し、一刀の手を掴み・・・・・・

 

「だから安心して輪廻の輪に戻れ・・・・――炎神の息吹」

 

 地獄へと落とされた。

 

「ぎゃっぁああああああああああ!?!?」

 

 業火に焼かれ苦しむキモデブ。焼かれ、呼吸ができず生き地獄を味わいながら、消し炭となった。

 三下で下種には無慈悲な一刀に、マサトは若干引き、剣呉は因果応報という理由で納得しうなずく。テオは一刀のアスナを見せないようにアスナの目を手で隠した。

 冷たい目でキモデブを消し炭にした一刀は、すぐさまいつもの表情にもどり、マサトと剣呉に質問をする。

 

「さて、どういう事情なのか説明してくれるか?」

「・・・・・・いいだろう。俺もいまの現状を知りたいしな…」

「だな。けどその前に、なんか飯食わせてくれ。腹減って死にそうだ〜」

 

 おなかをすかせたマサトに場の空気が和らいぎ、一刀は収納したピクニックバスケットと転送させ、五人で囲みサンドイッチを食べながら、事情と状況を整理した。

 剣呉とマサトは生前からのマブタチで、もう一人のリーダー的な友人と三人一緒にオタク活動をしていた。だがリーダー的だった友人が、アイドルを助けたときに死に、その後、死んだ友人の分まで楽しく生きようとしたが、友人が助けたアイドル(事件のときにアドレス交換した)から電話で、ある組織のボンボンがアイドルたち調教し、ハーレムを作ろうとして、それで捕まってしまい助けて、という、メッセージが届き、二人はアイドルを助けるために組織に乗り込んでアイドルたちを救助し組織を壊滅させた。しかし、代償が重く大怪我をおってしまい、その怪我が元で死亡してしまった。そのとき、英的な行いが最上クラスの神の目にとまり、二人は別々の世界へと転生することになった。そして転生先で楽しき平和に暮らしていたのだが、あるとき、二人がいた世界が突如として崩壊、なにがおきたのかわからず混乱していると、二人の前に神々しい光を放つ三対の翼をもつ天使が現れた。天使は自らを大天使だと名乗り、生きたくば自分の配下になれといいだす。が、二人は大天使が胡散臭く信じられず拒否した。すると、大天使は二人の頭を掴み、言葉を放つが二人はそこからの記憶がなく、いつのまにか大天使の配下であるクズ転生者の操り人形にされ、別世界の主人公や転生者たちと戦うはめになった。

 しかし、一刀がおかげで洗脳は解けて今や自由の身になったのだ。

 

「なるほど…なら、この世界にクズ転生者を送り込んだのはその大天使が原因・・・・いや、大天使と名乗った何者かだな」

「どういう意味だ?」

「本来、神や神の眷属たちは私欲で世界に関与をすること禁止しているんだ。関与できるのはせいぜい上位が都合的な理由で転生者などの方法で世界に関与しているか、三下が私欲や遊びで転生者を駒として世界に放り込むの二つだ。後者ならクズ転生者がいることに理由がつくけど、おまえらは上位、それも最上位の神族に転生させてもらったんだろう?縦社会である神の世界で、上司の転生者を洗脳して使うなんてことは、上司の仕事を邪魔するのと同じで犯罪だ。それも神の使いで天使、たとえ大天使でも、神に逆らうことなんてマズしないさ」

「なら、俺たちを洗脳した大天使(笑)はなにものなんだよ?」

「うーん、それについては俺にもわからないなー。推測できることは神と対となる魔王類か魔族、もしくは堕天、邪神類だと思うけど・・・・情報が少ないからこれ以上はなんとも言えないな」

「どっちにしろ、悪い奴があんなクズ野郎を使って世界をめちゃくちゃにするんなら俺たちが止めればいいだけだぜ!」

 

 マサトの言葉に一刀と剣呉はうなずく。マサトと剣呉は洗脳した大天使?が許せず怒りに燃えており、一刀も別世界で命を弄び世界をめちゃくちゃにするクズ神やクズ転生者たちとは何度も会ったため、彼らの横暴にぶち切れそうになったことがあるので、二人と同意見であった。

 しかし、

 

「ところで、二人はこれからどうするか考えがあるのか?」

「「ぜんぜん無いっ」」

 

 計画がなく、ましては情報も皆無に親しく、やることがなかった。また、剣呉とマサトはクズ転生者にこの世界に連れらてきたため行く場所がなかった。

 一刀はアスナを横で話をある程度理解したテオに協力してもらおうと考え声をかけた。

 

「テオ…」

「わかっておる。おぬしのことだし見捨てないだろうて。こやつらはおぬしの客将として父上には妾が言い聞かせておこう」

「サンキュー♪」

「いいのか?初対面なのに、そこまで手厚くしてくれて?」

「見たところ先ほどのデブの仲間ではないことはたしかだし、悪い奴でもないじゃろうに。それに初対面でもいい男はいい奴であるのは妾はよく知っておるしな♪」

 

 一刀との初会があったため、不安がなく協力的なテオ。そんな彼女に一刀はいい奥さんになりそうだと思う。

 剣呉とマサトは一刀の膝の上でサンドイッチを食べているアスナが追ったため、三人が親子なのかと勘違いしそうになったが、ネギまの原作知識をもっていので誤解しなかった。テオ的には誤解されてほしかったが。

 

「あと、客将ならカズトと一緒に戦場に出向かねばいかないがそれでよいか?」

「彼は俺たちの命の恩人だ。恩を返すため彼に尽くそう」

「戦争は嫌いだが、強い奴と戦うのは好きだぜ」

 

 テオの条件に二人は納得する。二人はネギまを知っているため、現代の魔法国の事情は大体察しており、主人公級のナギと紅い翼と敵対したほうがおもしろうそうだったため、条件を飲んだ。が、

 

「あと、部屋は足りぬからおぬしらは一部屋で暮らしてもらうぞ」

「「それだけは勘弁!」」

 

 そこだけは拒否する二人。生前からの友人同士だが基本は仲が悪く、リーダー的な友人が仲介人をやっていたため、彼がいなければすぐに喧嘩腰になってしまうのだ。だが、

 

「ちなみに、部屋以外だったらなんでも叶えてやるぞ。カズトのおかげで国は潤っておるしな。好きなものを買ってあげるし、給料は数千万単位で、三食付で週に休みが三回、有給は最大三年じゃ!」

「「工場長ばんざーい!!」」

 

 敏腕のテオを胴上げをする剣呉とマサト。一刀と関わってから世渡り上手になってきたテオ。一刀はこれから楽しくなりそうだと思いながらアスナのツインテールをいじる(感覚があるのか、サンドイッチを食べてるアスナが嬉しそうであった)。

 こうして、剣呉とマサトは一刀の客将として帝国で働くこととなった。

 だが、このとき一刀は後悔した。なぜなら二人は原作同様に仲が悪く、喧嘩しやすかった。しかも、喧嘩に特典を使うため周りや町まで被害がおき、食器や家具などの器物破損から、建築や町の破壊まで、もはやどこぞの妖精のギルト並みにめちゃくちゃにするのだ(そして、一刀が復興して、二人が破壊するという無限ループになっている)。

 

「で、連帯責任で俺まで咎められて、始末書のかかされるんだよなぁ〜…。いっそのこと紅い翼に押し付けるか?あっちにはキョウスケもいるし」

『おまえの苦労は俺もよくわかるけど、そろそろ重力を止めてくれない?相棒たちがマジでやばい』

 

 顔面が地面に埋もれて酸素が取り込めない馬鹿二人。

 その後、一刀は剣呉とマサトで町の修理した(錬金術ですぐに直せた)。なお、修理中にまた喧嘩をしたらバオウで粛清させた。

 

 

-6ページ-

 

 

 そんな世界を空間の狭間で見つめる者たちがいた。正確には三柱である。

 

「はわわ、これは困りました!?」

「あぁ、まさか、わたしらが誤って送ってしまった者たちがいる世界にあやつがいるとは・・・」

「早々に対処せねばおかんじゃが、ワシらは世界に関与できん。あやつらにまかせるしかないじゃろうって」

 

 三人はそれぞれ、キョウスケ、遮那、リーファを転生させえた神と天使であり、上から幼女天使、おっぱい女神、駄神であった。三人は誤って別世界に送ってしまったキョウスケを探していると同じく、その世界に送った者たちと出会い、三人はキョウスケたちをこれからどうするか監視していたが、その世界に大量のクズ転生者が乱入し、また、その黒幕を存在をみつけた困っていた。

 

「だが、問題はそれだけじゃないぞ。あやつはクズ転生者を使うだけでなく、ほかの転生者を洗脳してクズ転生者の奴隷として使っておる。もし、このことが転生させた上位クラスに知られれば、大戦争になるぞ!」

「最終審判級の戦争は間違いないとおもいます…」

「しかし、ワシら行ったって、あやつに勝てるのか?あやつはかつて犯罪神の片腕。力はあちらが上じゃ」

「ならこのまま見てろというのか!?」

「チートを持つキョウスケさんたちでもあの人?には勝つことは無理ですよ!」

 

 へたれの駄神に、異議を唱えるおっぱい女神と幼女天使。彼らがいうアレとは、剣呉とマサトを潜入した者であり、神族にとっては敵意している者であった。しかしも、そいつは三人よりも強く、チートの能力をもつ転生者でも真正面で太刀打ちができないほどの存在であった。

 

「あんまり人を見くびらないでほしいものね、小さな天使様♪」

 

 空間から気配がなく一人の女性が現れた。その女性はもちろん管路である。

 

「おぬしは管理者の管路…おぬしのお気に入りを心配しにきたのか?」

「心配?うふふふ、元から心配なんてしていませんよ?なにせ、彼はあの人の弟分。心配なんて無駄なのよ…」

 

 管路の脳裏に銀色の侍が浮かぶ。彼の存在で一刀の安否が馬鹿らしく思えるほどになってしまい、あたりまえだと思うようになっていた。その事情を知らないおっぱい女神たちは、現実的に言う。

 

「言っている意味がわからんが、おぬしのお気に入りがどれほど強かろうと、相手は現実の神々や魔王を超えるほどの元天使。さすがにそやつでも無理だろう?」

「そうですよ!相手はいくども世界を滅ぼし弄んだ犯罪神の片腕ですよ!勝てるはずが――」

「自称世界をすべる神が無理だといってあきらめたことを、誰が成し遂げたとおもいで?」

 

 幼女天使の言葉を管路が一言で黙らせた。過去、現在の神話や物語において神ができなかったこと成し遂げたのはすべて神より劣る人間であった。

 

「そもそも、私は別に彼だけは特別で、彼がいれば解決できると思っていないわ。それはあの人も同じこと。けどねぇ、彼を慕い、彼と共に戦ってくえる仲間がいれば話を別よ。窮地というのは一人でなくPTで乗り越えるものなのよ」

 

 一刀だけではない、すべての物語で人々は力を合わせて、または自分と他者がいたからこそ、人は窮地を乗り越えているのだ。

 

「なにより、世界は彼を、彼らを見方にしている。なんせ、世界が呼んだ救世主たちよ。簡単は負けるはずはないわ。あなたたちだって、彼らを誤って送ったのが偶然だと思ってないはずでしょう?」

「「「・・・・・・・・・・・」」」

 

 黙りこむ三人。管路の言うとおり、ここまで都合よく、別々の者たち転生させた世界が一緒で、なおかつ一刀などのイレギュラーや、クズ転生者に黒幕がいるなど偶然にしては出来過ぎていた。これも世界という意思があえて偶然として呼んだのだと、三人は考えていた。けれど、黒幕は強大だ。力を合わせても勝てるかどうかは不安であった。だからこそ、管路は助っ人を呼んだのだ。

 

「それに、こちらだって強力な見方がついているしね♪」

 

 管路の頭上から緑を中心としたドレスとシンプルの装飾を身に着けた深緑の長髪の神々しい女性が降りてきた。

 

「はじめまして、三柱の神族さま。私は犯罪神対策部に所属する護天神・ヒルヴァニックと申します」

 

 微笑みながお辞儀をして返事をするヒルヴァニック。三人はその名前に驚いた。

 

「護天神・ヒルヴァニック!?あのスサノウと互角以上の神格と地位をもつ神界で五本の指に入る世界守護神の一柱ではないか!?」

「なぜ、あなたのような最上位の神が神と敵意している世界サイドの管理者と一緒にいるのですか!?」

「はわわわわ!?」

「そんなにおびえないでください幼い天使さま。そもそもアレは私の担当です。私が赴くのはあたりまえでしょう?あと、管理者である管路とはちょっとした知り合いなので、これまでの事情は彼女から聞きました」

 

 実は管路が所属する管理者と神々が住み仕事をする神界とは仲が悪かった。管理者は正史や外史などを管理する存在で、神々や魔の者たちは世界に住む命や世界の規律を管理するだけの存在。似ていいるが違っており、管理者はあくまで世界でありその世界の物語が重要であり、そこに住まう命には二の次であった。逆に神々はその世界に住み命を管理し、魂などを世界に循環させているが、世界などただの容れもという考えがあり、世界を軽んじている傾向があるため、思考の違いで二つの存在は互いに敵意していた。

 そのためヒルヴァニックが管理者である管路と知り合いであったことに三人は驚た。なお、どこで知り合ったのかは管路しか知らず、駄神が「どこへ知り合ったのですか?」と聞くがヒルヴァニックは微笑みながらにらみつけて黙らせた。どうやらプライバシーの問題があるらしい。

 気を取り直して、おっぱい女神が質問した。

 

「では、あなた様がアレを対応するのですか?」

「残念ながら、今の私には世界に行って力を行使する直接的な協力の権限はありません。せいぜい、アレの存在を転生者たちに伝えるなどのサポートしかできません」

 

 最上神でもある彼女だが、最上神のため神界の規律を破ることができないのだ。

 

「ですが、私は管路と同じ、この一件は彼らに託したいと考えています。確証はありませんが、彼らこそがアレの野望を砕いてくれる戦士であり、正しい世界を壊す混沌者だと私はそう信じています!(きっと、先頭に立つ彼の魂が圧倒的な絶望をも仲間と乗り越えたあの人の銀色の魂を継いでいるからでしょうか・・・・だからこそ、信じてしまうのですねぇ)」

 

 横で管路が微笑みながらヒルヴァニックは一刀たちがいるネギまの世界を紅い瞳で見つめるヒルヴァニック。

 そして、画面が変紅い翼の場面に変わり、ナギを大槌で折檻するリズに視点を移した。

 

「未来の鍵は貴女です。彩光翔の聖鎚の仕手よ」

 

 いまだ目覚めていない鍵とその主にヒルヴァニックはその世界には届かないが言葉を発した。

 

 

 

 

 

 

 ちなみに、幼女天使とおっぱい女神と駄神はモブキャラなので再登場はない。

 

「「「えぇええええええっ!?」」」

 

 

 

つづく

 

-7ページ-

 

 

オリキャラ紹介

 

 

 

 

・マサト・アルマー

 

種族:転生者

 

性別:男

 

好き:筋肉、プロティン、メイド

 

嫌い:筋肉低下、剣呉(ライバルとして)

 

容姿:リトルバスターズの真人で、服装はスパロボのアクセル。

 

性格:憎めない筋肉馬鹿

 

一人称:俺

 

セリフ:「俺の筋肉がおまえを倒せてうなりあげる!」「この筋肉はただの肉じゃねー。仲間を守るためのモンだ!!」「筋肉キンニクー♪」

 

特典:赤龍帝の籠手(禁手&覇龍可能。現在一刀補正で別のものへと進化中)、身体限界突破

 

詳細:生前は剣呉ともうひとりの親友(誰かは言わないで)と三人でオタク活動して楽しく生きていた。その後、親友が死に、アイドルたちを調教しようとしたボンボンと悪の組織を剣呉と二人で組織を壊滅させ、アイドルたちを救い出すが怪我が原因で死亡する。その行いに最上級の神に認めらそれぞれ別の世界(自分はマジ恋)に転生したが、犯罪神の片腕といわれた者(黒幕)に剣呉ともども洗脳されクズ転生者の操り人形にされてしまった。一刀のおかげで洗脳がとけ恩を返しと、黒幕を倒すために一刀と協力する。剣呉とは親友でありライバルなので、いつも喧嘩をしてたがい競っている。

 特典である赤龍帝の籠手であるドライグとは仲が良いがドライグ本人はマサトの筋肉馬鹿と剣呉の喧嘩に頭痛の種になっていた(が、原作での乳ネタより筋肉ネタのほうが若干マシ)。一刀と出会ってからはさらに身体を鍛えており、その影響か赤龍帝の籠手が原作とは別のものへと進化しそうになっていた(もっとも本人たちはこのことに気づいていない)。

 

 

・宮崎剣呉

 

種族:転生者

 

性別:男

 

好き:剣道、巫女、オーダーメイドでオリジナルのジャケットを作るのに凝っている

 

嫌い:マサト(ライバルとして)

 

容姿:リトルバスターズの謙吾で服装はフェイトの赤アーチャー(ただし私服は剣道着)

 

性格:知性的な冷静剣士(アホ)

 

一人称:俺

 

セリフ:「茶番だな」「お前らと出会わなかった人生など考えてはいなかれば運命ではない。むしろこれは必然だ」

 

特典:無限の剣製、能力限界突破

 

詳細:生前はマサトともうひとりの親友(誰かは言わないで)と三人でオタク活動して楽しく生きていた。その後、親友が死に、アイドルたちを調教しようとしたボンボンと悪の組織をマサトと二人で組織を壊滅させ、アイドルたちを救い出すが怪我が原因で死亡する。その行いに最上級の神に認めらそれぞれ別の世界(自分はまどか・マギカ)に転生したが、犯罪神の片腕といわれた者(黒幕)にマサトともども洗脳されクズ転生者の操り人形にされてしまった。一刀のおかげで洗脳がとけ恩を返しと、黒幕を倒すために一刀と協力する。マサトとは親友でありライバルなので、いつも喧嘩をして互いを競っている。

 一刀とは巫女の話で仲良くなり、ある意味で同士となった。また、マサトと違って冷静で自分の非を認めて反省するなど、大人の態様ができる。最近ではオリジナルジャケットを作るのが趣味で、一刀はいつ彼がアホになるか不安になっていた。

 

・青キジ(クザン)

 

種族:人、ヒエヒエ人間

 

性別:男

 

好き:一様だらけきった正義、最近だが旧世界の珍味に興味を持つ

 

嫌い:腐った正義など

 

容姿:原作同様

 

性格:原作同様、つかみどころない中年

 

一人称:俺

 

セリフ:「えーと…アレだ…何だ…―-忘れたもういいや」「ドデケェ山になる」「これが連合の対象の力よ…!!」

 

能力:原作同様にあらゆるものを凍らす

 

詳細:連合軍で三人しかいない大将の一人で普段は青キジと呼ばれている。ガトウとスモーキーの訓練時代の先輩で、彼らに多く面倒ごとを押し付けて、自身はだらけていた。その反面、つかみどころがなく冷静沈着で、他者より一歩前に進んでおり、対局を見極めている。一刀や紅い翼と同じく戦争の裏で活動している組織の情報を掴んでいるが、どこまで知っているのかは誰にも教えてはいない。

 原作と同様に凍らす能力をもつ。

 

 

・護天神ヒルヴァニック

 

種族:守護神

 

性別:女

 

好き:ジャンプ、銀魂のさk---秘密です

 

嫌い:秘密です

 

容姿:深緑の長髪に紅い瞳、白の布地で金の装飾と防具を身につけたワルキューレ風の女性(胸当てをつけているが、巨乳)。

 

性格:おしとやかだが、どこかうっかりしそうな守護神

 

一人称:私

 

セリフ:「そこまでです!」「私は信じています…彼らがやってくると」「私だってあこがれる人くらいいます!」

 

能力:具体的にスサノウと殴り合いで勝てるほど

 

詳細:犯罪神対策部に所属している神界で五本の指に入る守護神。犯罪神の片腕である黒幕を捕まえる(もしくは倒す)ため知り合いであった管路と協力する。管路とは一刀が銀魂の世界に行ってたときに、その世界の狭間でストーカー紛いのことをやってたところ管路に見つかってしまい、それ以来いろいろあって知り合う仲になった。

 

 

説明
今回はネギまで重要なキャラや、新キャラが登場。

そして、裏でうごめく者はいったい?
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恋姫 ネギま 北郷一刀 転生者複数 版権キャラはオリ化+オリ設定 クロスオーバー 

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