真・恋姫無双 三人の天の御遣い 第二章『三??†無双』 其の六十六 璃々B
[全8ページ]
-1ページ-

第二章  『三??†無双』 其の六十六 璃々B

 

 

本編(前編)

本城 医務室                 (時報:桂花八人目 妊娠三ヶ月)

【璃々turn】

 

お母さんが寝台で産まれたばかりの紅葉を抱いている。

 わたしも牡丹を抱いて寝台の横にあるお見舞い用の椅子に座っていた。

 お母さんに抱かれて時々モゾモゾと動く紅葉………わたしの十六歳年下の妹で、牡丹の二ヶ月下の叔母。

 紅葉が産まれる前から散々話題にはしていたけど、こうして目の当たりにするとねねお姉ちゃんの気持ちが少し分かった気がする。

 まあ、わたしとねねお姉ちゃんは根本的な部分で違うから、その気持ちの捉え方が正反対みたいだけど。

 

「ほら、牡丹♪あなたの叔母で、妹の紅葉だよ♪」

 

 牡丹を紅葉に向かせるけど、牡丹はちょっと見ただけですぐにわたしのおっぱいに顔を埋めてニギニギとおっぱいを揉み始めた。

 

「あらら、妹よりも食欲ですか、お前は♪」

 

 赤ん坊だから当たり前なんだけど、なんか動きが可愛くってそんな事を言ってしまう。

 

「璃々、お母さんも紅葉におっぱいをあげるわ♪」

「え?別に紅葉は泣いてないし、生まれてからしばらくは体内の栄養で大丈夫なんでしょ?牡丹の時は丸一日空けたよ?」

「あれは璃々が出産前に食べ過ぎて、牡丹に栄養が行き過ぎた所為でしょ♪そんな事より、お母さんはあなたと並んで赤ちゃんにおっぱいを飲ませるのが夢だったのよ♪」

 

 お母さんってば目をキラキラさせて…………まあ、いいけど………。

 

「ご主人さまたちが居たから叶った夢だよね………って、主人さまたちが居なかったらそんな夢を見ないか♪」

「そうね………ご主人さまたちに出会う事が無ければ、あなたの妹を産みたいなんて思わなかったでしょうね……………尤もご主人さまたちが居なかったら、あの時この房陵の土になっていたわね♪」

 

 お母さんは明るく言ってるけど、心の中ではあの時に戦死した人達の事を悼んでいるのが伝わってきた。

 わたしは本当に小さかったけど、あの時の記憶は鮮明に覚えてる。

 お母さんに背負われたまま、迫って来る?族軍に怯えて森や山を馬で駆け抜けた。

 傷つき、血と土で汚れ、疲れきった兵士達。

 桔梗さんも焔耶お姉ちゃんも口では強気な事を言って鼓舞していたけど、疲れて心が折れそうになっていた。

 庶人を逃がす為に囮りとして?族軍を引き付け、この房陵に立て篭った。

 翠お姉ちゃんと蒲公英お姉ちゃんが流れ着いた時は少し盛り返したけど、やっぱり敵を追い返すまでは行かなかった。

 お母さんの言う通り、緑のご主人さまが援軍を率いて来てくれなければ、わたしはお母さんと一緒にここで自害していたんだろうな…………ぎゃあっ!

 

「いだだだだ!こら!牡丹!今あげるから乳首引っ張らないでっ!!」

 

 ホント食い意地張ってるんだから!この子はっ!!

 

「あらあら♪璃々、そういう事はご主人さまたちとしなさいね。あ!その時はお母さんも呼んでね♪」

「それどころじゃ無いってばっ!」

 

 胸をはだけてあげると牡丹が不機嫌そうにしながらも乳首に吸い付いてきた。

 お母さんも胸をはだけて紅葉を抱き上げ、乳首を口に含ませる。

 紅葉は乳首を吸っておっぱいを飲み始めた。

 そういえばご主人さまたちに教えてもらったけど、生まれたばかりの赤ん坊が乳首を咥えて吸っておっぱいを飲むのは反射行動だっていってたっけ。

 ええと、哺乳反射だったかな?

 ご主人さまたちの場合は『捕乳反射』だな♪

 一度掴んだらなかなか離してくれないもんね。

 

「うふふ♪紅葉、たくさん飲んで璃々お姉ちゃんみたいに強くていい子に育ってね♪」

 

 わたしとお母さんはそれからしばらく黙って赤ん坊におっぱいを飲ませた。

 窓から入ってくる日差しと風が夏の終わりと秋の到来を告げている。

 遠くから聞こえてくる子供達の遊ぶ声がとても楽しげで、昔の記憶にある戦場だった房陵とここが同じ場所だと考えると不思議な気持ちになってくる。

 この場所だけが特別なんじゃないんだ………この大陸は何百年も前から戦に明け暮れていた。

 むしろ戦火や暴動、盗賊の襲撃を経験してない街や邑を探す方が難しいんじゃないかな。

 この平和な時間はお母さんやお姉ちゃん達、そしてご主人さまたちが戦って手に入れた戦果だ。

 お母さんの夢を叶えてあげるのは、この平和を与えてくれたお母さんへの感謝。

 そしてこの平和を守るのがわたしの役目。

 牡丹や紅葉や他の子達が第一線で戦える様になった時、何事も無く引き継いでもらえる様に。

 

 穏やかな静寂の中に軽い足音が二つ混ざり、近付いて来る。

 ((崔莉|ちぇり))と((露柴|ろぜ))ね…………紅葉の生まれたのが嬉しくて飛び出してったのが、やっと戻って来た。

 

「「ただいまあ♪あっ!紅葉ちゃんおっぱいのんでる!」」

 

「あんた達どこ行ってたのよ。飛び出したっきり戻って来ないで。」

「「お城のひとたちに紅葉ちゃんが生まれたのおしえてたの♪」」

 

 この子達なりに紅葉が生まれた喜びを表現してたんだから良しとしますか。

 

「「牡丹ちゃんが生まれたときも紅葉ちゃんとおんなじくらいだったのに、こんなに大きくなってたんだね♪」」

 

 牡丹と紅葉を見比べて目を丸くしていた。

 聖刀ちゃんと柊ちゃんが生まれてから毎月妹が生まれる状況っていうのが、物心が付いてから初めてだもんね。新鮮なんだろうな♪

 

 この子達もそろそろ鍛えてあげないといけない頃だけど、今日の所はこうして母娘揃ってこの幸せな時間を満喫しよう♪

 

 

-2ページ-

 

 

翌朝

本城 後宮談話室

【璃々turn】

 

 昨晩はお母さんを医務室付きのメイド隊の子にお願いして、わたしは崔莉と露柴を連れて部屋に戻った。

 お母さんも大変だと思うけど、こっちも朝は戦の様な忙しさだ。

 生後二ヶ月の牡丹の世話をしながら崔莉と露柴を起こして学園に行かせる準備をしなくちゃいけない。

 朝食の支度は現在後宮暮らしをしているお姉ちゃん達がしてくれているのでかなりましだけど。

 着替えの終わった崔莉と露柴を連れ、牡丹をおんぶ紐で背負って談話室に行くと、蜀館から焔耶お姉ちゃんと桔梗さん、焔香ちゃんと竜胆ちゃんが来ていた。

 

「おはよー♪崔莉ちゃん♪露柴ちゃん♪」

「おっはよー♪崔莉おねえちゃん♪露柴おねえちゃん♪」

「「おっはよう♪竜胆ちゃん♪焔香ちゃん♪」」

 

 ちびっ子達はお互いを見付けると駆け寄ってキャッキャとはしゃぎだした。

 

「おはよう、璃々♪」

「お早う、璃々。お、牡丹は今朝も元気だな♪」

「おはようございます、焔耶お姉ちゃん♪桔梗さん♪昨日はお母さんのお見舞いありがとうございました。」

 

 親しき仲にも礼儀有り。わたしはお二人に頭をさげてお礼を言った。

 桔梗さんと焔耶お姉ちゃんはわたしの事を生まれた時から知っている人。

 血は繋がってないけど、肉親みたいな存在だ。

 

「水臭い事を言うな、璃々。紫苑はワタシにとって姉の様な人だからな♪そしてお前はワタシの妹だ。そうだろ♪」

「焔耶。紫苑が姉で、その娘の璃々が妹とは変ではないか?紫苑を叔母と言うなら解からんでもないが♪」

「桔梗さま………ワタシもまだ死にたくはないので………」

「はっはっはっ♪普段は強気なおぬしも紫苑には頭が上がらんのぅ♪しかし、紫苑が姉ならわしも姉だろうな♪」

「桔梗さまはワタシにとって母親ですよ…………そして…」

「ん?そして?」

「父親でもあります♪」

 

 焔耶お姉ちゃんがイタズラっぽく笑って言うと、桔梗さんも大声で笑いだした。

 

「あーーーーっはっはっはっはっはっ♪確かにわしは父親みたいなモノだったな♪思い返せば貴様には喧嘩と戦の仕方ばかり教えてばかりおったわ♪」

 

 今のやり取り………わたしが子供の頃を思い出すと、ホント焔耶お姉ちゃん変わったなぁ。

 やっぱりご主人さまたちの愛が焔耶お姉ちゃんを女にしたって事だよね♪

 

「所で二人共、今朝は何かこっちに用事?」

「ん?ああ、後宮で何かをするって訳では無いが、今日の調練で小規模な演習を組み込もうと思ってな。了解をいただくのと愛紗達との連携の相談をしに来たんだ。」

「昨夜遅くに思いついてな。朝議まで待つよりここに来た方が桃香様方三王も揃っておるし手っ取り早いじゃろう♪」

 

 そう言えば………桔梗さんの言う通り、三王は揃ってるし三国の筆頭武官も居る。軍事に関してはここで話した方が早いか。

 丞相室は事後報告で大変だろうけど…………。

 

「演習かぁ………わたしも参加したいなぁ………」

「おいおい、昨日紅葉が生まれたばかりだ。紫苑に付いていた方がいいだろう。」

「う〜ん………昨日さ、お母さんと一緒に居る時に昔の房陵の戦いを思い出して………何か居ても立ってもいられない気分なんだよね。身体を動かしたくてしょうがないって言うか♪」

「璃々も骨の髄まで武人だな。いったい誰に似たのやら………」

「焔耶、お主がそれを言うか?っと、わしも焔耶の事を言えんか♪あーーーっはっはっはっ♪」

 

 骨の髄までか…………焔耶お姉ちゃんに言われると説得力有るなぁ。

 

「なんだ?朝から豪快な笑い声が聞こえると思えば桔梗ではないか。昨夜は深酒で朝食の仕込みを忘れてタカリに来たか?」

「おうおう、その通りよ♪お館様の子種を頂けねば甘露に身を委ねるしか我が身を慰める術が無いでな♪極上の((乾酒|かんちゅう))を開けてやったわ♪つまみはお主から貰ったメンマでな♪」

「くっ…………う、羨ましくなんかないんだからね!」

「星お姉ちゃん。口調がおかしいよ………」

 

 お酒が呑めないからって妙な絡み方するから返り討ちに遭うんだよ。

 あれ?星お姉ちゃんが来たって事は………あ、螢ちゃんはちびっ子の輪に混ざってるね。

 

「酒の話は冗談だ♪昨夜は焔耶と今日の調練について話しをしてな、つい熱くなって仕込みをし損なった♪」

「結局タカリに来たのではないか。」

「まあそう言うな♪今日の調練で小規模な演習をしたいと思ってな。その連携についてお主と話しをしておきたかったというのも有る。」

「それは私だけではなかろう。…………ふむ、確かにここで話した方が手っ取り早いか。」

 

 星お姉ちゃんが腕を組んで何か考え始めた。

 何か試したい新しい戦術でも有るのかな?

 

「ねえ、星お姉ちゃん。わたしも演習に参加したいんだけど、ご主人さまたちに反対されると思うから味方になってよ。」

「うん?璃々も参加したいのか?紫苑に付いていなくて良いのか?」

「昔の房陵の戦いを思い出して血が逸るのだそうだ。武人としてその気持ちは分かるだろう?」

「成程…………」

 

 星お姉ちゃんの顔が無邪気な笑顔になっていく…………これは戦術じゃなく、新しい遊びを思い付いた顔だ…………。

 

 

「その演習、華蝶連者が相手をするというのはどうだ♪」

 

 

「ええっ!?」

 

 華蝶連者が軍を相手に演習なんて今までした事無いのに…………でも、面白そう♪

 

「華蝶連者が相手か…………昔の決着が着いていないからな。いい機会だ♪」

「ふむ。わしも昔から仮面を付けたお主とは勝負してみたかった。受けて立とうではないか♪」

 

 焔耶お姉ちゃんと桔梗さんの喧嘩師魂に火が点いたな♪

 わたしも久しぶりに二人と全力の勝負がしたいし♪

 

「あれ?桔梗と焔耶じゃんか。朝から何か有ったのか?」

 

 今度は翠お姉ちゃんが中庭の方から疾ちゃんと現れた。

 朝の走り込みをしてたみたい。

 

「また頭から説明せんといかんのか?流石に面倒臭くなって来たわい………」

「何だよ!人の顔みていきなり面倒臭いって!」

「翠、お前華蝶連者に意趣返しをしたいと思わないか♪」

「は?焔耶、お前何言って………」

 

 翠お姉ちゃんはわたしと星お姉ちゃんを見て、直ぐに武人の顔になった。

 星お姉ちゃんの笑顔に野生の勘で全てを悟ったみたいだ。

 

「おもしれぇ♪やってやろうじゃん♪」

 

 

「はいはい!話しは聞いていたわよ。」

 

 

 厨房の方から華琳お姉ちゃんと秋蘭お姉ちゃん、流琉お姉ちゃん、季衣お姉ちゃんがエプロン姿で出てきた。

 

「折角だから華蝶連者対武将全員でおやんなさい♪その方が全力を出せるでしょう、星♪」

「武将全員ですか♪これは骨が折れますな♪」

 

 星お姉ちゃんは全然そんな事思ってないんだろうな。

 わたしが足を引っ張らない様にしなくちゃ。

 

「おはようございまーーす♪」

「おはよう、みんな♪…………どうしたんだ?えらく氣が満ちているが………」

 

 そして二刃の明るい声と駕医先生の雰囲気を察した声が聞こえた。

 

「ええとぉ…………………ねえ、璃々。何が有ったの?」

 

 二刃も雰囲気を察したみたいで、挨拶した時の笑顔がそのまま引きつっていた。

 

 

-3ページ-

 

 

おまけ壱

『北郷二刃奮闘記』其の三十一

リクエスト:華蝶連者         5票

 

房都近郊 演習場

【二刃turn】

 

 何だか知らない内に華蝶連者vs武将全員の演習が間もなく始まろうとしている。

 あたしと駕医さんは救護班という事で駆り出された。

 

「「「俺たちの知らない内に、何でこんな事になったんだ?」」」

「あたしに聞かれても困るわよ。それよりも兄さんたち、紫苑さんに付いていてあげた方が良かったんじゃないの?」

「「「いや、俺たちもそう言ったんだけど、紫苑に璃々の戦い方を観て来て欲しいって言われてさ。」」」

 

 紫苑さんもやっぱり武将なんだなぁ。

 璃々がどれだけ強くてなってるか気になるんだ。

 

「「「俺たちはまだいいけど、丞相室は大騒ぎだったぞ。予定されてた朱里の視察を急遽キャンセルする羽目になっちまったし。」」」

「キャンセル!?普通は代理を出さない!?」

「「「普通ならな。今日はそれだけ緊急事態だって事だ。お前も仮面の戦士なら解るだろ。仮面を装備したらどれだけパワーアップするか。」」」

「それは分かるけど………みんな仲間なんだし、演習なんだから本気は出さないでしょ?」

「「「お前は華蝶連者の事を言ってるみたいだが、本気を出してないのは雪蓮や愛紗だって同じだ。赤壁の時も演習だから本気を出していないんだぞ。」」」

「あれで本気じゃ無かったの!?」

 

 兵士の人達を一振りで蹴散らすし、気迫で大気が震えて大波が起きて船がグラグラ揺れてたのに?

 

「「「二刃。武将の本当の本気ってのは相手を『殺す』事だ。普段の演習ならそこまでしないし、実力伯仲なら尚の事、手加減出来ないから相手を殺してしまい兼ねない。だけど今回、雪蓮達はそのリミッターを完全に外せる相手に挑むんだ。そして相手をする華蝶連者もその気で来られればそれなりの対応をする事になる。死人は出さないだろうが怪我人続出は間違い無いだろうな………」」」

 

「そんな!妊婦さんがたくさん居るのに危険すぎるじゃないっ!!」

 

「「「俺たちや丞相室の人間が先に話しを聞いてたら絶対に止めたさ…………でも、華琳が先に了承しちまったからな。ここで止めたら一度燃え上がった春蘭の…武将達の闘気がどんな形で周りに被害をもたらすか………」」」

 

 やっぱり一番の心配は春蘭さんか………春蘭さんもそうだけど、あたしの知らない本当の武将としてのお義姉さん達の姿…………兄さんたちや丞相室のお義姉さん達が対処法はこれしかないと思ったから渋々了承したのね…………こうなったら、あたしと駕医さんで被害を最小限にするように気張らないと!

 

「「「だから頼むぞ、駕医!二刃!」」」

「ああ!任せてくれ、一刀!!」

「全力を尽くすよっ!」

 

 あたしと駕医さんは閲覧席から演習場に走り、既に整列しているお義姉さん達の最後尾に陣取る。

 そしてお義姉さん達を見渡すと、これから始まる戦いを前にしたお義姉さん達の気迫に背筋が震えた。

 蜀からは愛紗さん、鈴々さん、翠さん、桔梗さん、焔耶さん、蒲公英さん、阿猫さん、猪々子さん、炙叉さん。

 曹魏からは春蘭さん、秋蘭さん、霞さん、季衣さん、流琉さん、凪さん、真桜さん、沙和さん、雲雀さん、豹牙さん。

 孫呉からは雪蓮さん、小蓮さん、思春さん、明命さん、祭さん。

 そして兄さんたちの親衛隊の牛輔さん達……………あ〜、明らかに無理矢理引っ張り出されたって感じだなぁ…………。

 演習って話しだったのに、兵の人達は全員見学になってる。

 

「((兵|つわもの))達よ!よく聞け!これより我ら将は修羅となる!貴様等は修羅の戦いをしかとその眼に焼き付けよ!」

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!』

 

 愛紗さんの声に観客の様になっている兵士の人達から歓声が上がる。

 けど、その歓声をかき消す様に笑い声が聞こえて来た。

 

「はーーーーっはっはっはっはっはっは♪はーーーーっはっはっはっはっはっは♪」

 

 その声は星さん…いや、星華蝶の笑い声!

 でもその姿がどこにも見えない。

 完全な更地で身を隠す場所が無い。それはいつもの様に登場するべき高い場所も無いという事だ。

 お義姉さん達はその姿を求め、油断なく気配を探っている。

 

「何処を見ている!我らは上だっ!!」

 

 上………つまりそれは…………空からだった。

 七つの影が円陣の様に輪となって上空から落ちてくるのが見えた。

 

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!

 

 あっという間に地表へ到達した影は激しい音と土煙を上げた。

 いつもは火薬使っている演出を、今回は自らを砲弾に見立てて行ったのだ。

 いや、ひとりだけ遅れて降りてくる人が居る。

 立ち込める土煙の上空から、大きな羽毛扇を翼の様に背中に広げて朱華蝶がフワリと地に降り立った。

 朱華蝶の背後の土煙から影が飛び出しポーズを決める!

 

「天知る!」

「神知る!」

「我知る!」

「子知る!」

「悪の蓮花の咲くところ!」

「正義の華蝶の姿あり!」

「煌めく知謀!朱華蝶!」

「今日は楽しみ♪……恋華蝶♪」

「艶めく踊り子ぉ!貂華蝶!」

「恋の預言者!巫女華蝶!」

「運命の戦士!星華蝶!」

「溢れる勇気!黄華蝶!」

「正義の味方!仮面白馬!」

 

「華蝶の連者と白馬の仮面!」

「七人揃って!」

 

「……ただいま…」

 

「「「「「「参上っ!!」」」」」」

「…さんじょう♪」

 

 登場の仕方もいつもより気合いが入ってる。

 この間の桂林での戦いより気迫を感じるわ。

 

「来たな、星華蝶!これまで散々コケにしてくれた恨み、晴らさせて貰うっ!」

「待てよ愛紗!それはあたしだって同じだ!抜け駆けなんてズルいぞ!」

「ねえ、愛紗。翠お姉さま。星華蝶さまが星姉さまだって忘れてない?」

 

「「え?」」

 

 あ〜………仮面の力の影響を強く受ける人が居るってこういう事なのね。

 

「だ、大丈夫だ、蒲公英…………しかし、本当に星なのか?こうして対峙すると益々違う人間だと思えるのだが………」

「だよなぁ………なんて完璧な変装だよ。」

 

 愛紗さんと翠さんの呟きに納得して唸る人と、呆れて目が点になっている人。

 完全に反応が二つに分かれていた。

 

「焔耶!貴様は大丈夫だろうなっ!」

「大丈夫です!…………正直に言うと一瞬惑わされました。ですが璃々を見て正気に戻りました!」

「ほう♪お前が璃々を妹と呼んだ絆の強さかも知れんのう♪さて、璃々がどれだけ成長したか、確かめてやろうか♪」

「はい、桔梗さま♪」

 

 桔梗さんも焔耶さんもあたしのお母さんみたいな事言ってるなぁ。

 お母さんも道場に立つと鬼なんだよねぇ…………胸は対極だけど。

 でも焔耶さん格好いいなあ。長髪を風になびかせるキリっとした美人。

 あんな女っぽい人がゴツイ金棒を振り回すギャップに萌えるわ♪

 昔はベリーショートだったって璃々が言ってたっけ。

 今度その頃の写真見せてもらおう♪

 

「シャオ!思春!明命!あんた達も大丈夫でしょうね!?」

「……………え〜と………」

「申し訳ありません、雪蓮様。完全に別人に見えます。」

「黄華蝶と仮面白馬は……………璃々ちゃんと白蓮さんの面影が有る様な………」

「…………………祭…………この子達をお願い………」

「はああぁぁ……………全員仮面を付けとるだけじゃろうが!貂蝉と卑弥呼なんぞどう見間違えると言うんじゃっ!?」

 

 どんな風に見えてるかスゴく気になるなあ…………。

 

「姐さんはどないです?」

「ウチは大丈夫や。恋に付き合ってもろて特訓したお陰でな♪」

「特訓したんかい………まあ、ええわ。沙和、凪、季衣はどないや?」

「真桜ちゃん。沙和の眼鏡汚れたり傷が付いてたりしてない?」

「桂林の時は問題無かったんだが………今日は氣が完全に別人で………」

「ボクも………白蓮と璃々は何となく似てるかな〜って感じ。」

「何でそんな風に見えるか、私はそっちの方が不思議だよ、季衣………」

「そう言うな、流琉。一刀たちや炙叉の話では、そう見える者にはどうしようもない事だそうだ。霞の様に特訓して慣れるしか無いのだろう。で、姉者はどうなんだ?」

 

「別に相手が誰であろうと関係ないだろう?演習なのだから全力でぶっ飛ばすのみっ!!」

 

 春蘭さんはやっぱり春蘭さんだった………。

 別の場所では炙叉さん、鈴々さん、阿猫さん、猪々子さんが言葉を交わしてる。

 

「鈴々と阿猫も霞と一緒に特訓したんでしょ?どんな感じ?」

「鈴々は……………………にゃはは♪別人にしか思えないのだ♪」

「問題無い。むしろ向こうの氣がここまで違って感じるなら、別人と考えて当たらねば遅れを取るだろうな。もしかしたらみんな本能で感じ取り、自然に対処しているんじゃないか?」

「そっかあ♪あたいもむねむね団で対決してる時は正体に気づかなかったんだよなあ♪あたいの野生の勘が本能的にそうさせてたって事か♪」

 

「「「猪々子、お前の場合は違うだろ!」」のだ!」

 

 猪々子さん楽しそうだなぁ。あのポジティブ思考は見習いたいわ。

 あ、雲雀さんと豹牙さんがあたしに気付いてこっちに来る。

 

「「二刃さま♪華陀先生♪お二人も参戦されるのですか?」」

「俺達は救護班さ♪」

「『見捨てない人』は仮面の戦士って言っても人を救うのが本分だから、怪我や病気や心を治す事に特化してるんだよ♪駕医さんなら戦っても強いけど、あたしじゃ全然ダメダメでしょ♪」

「………は、はあ……」

「………なんと言いますか………」

 

 うん♪あたしは駕医さんと一緒に人助けをして行くの………そしていつか赤ちゃんをもうけて………きゃー♪

 

「(なあ、豹牙。二刃さまが婚礼の時や桂林で見せたあの強さ………もしかして自覚が無いのだろうか?)」

「(うむ、有り得るな………本人は陛下たちを殴るときの兄弟喧嘩程度と思っている様だ。仮面を着けた時の破壊力は凪さまに匹敵するのに………)」

 

「あっと!妄想の世界に旅立ってしまった!………あれ?どうかしました?」

「「いいえ、別に♪」」

「あ、雲雀さんと豹牙さんの旦那さん達も参加してますけど、一緒に戦わないんですか?」

「それは無理ですよ♪私達は曹魏の一員として参加してますから。」

「出来ればやってみたいですけどね♪」

 

 やっぱりそんな単純じゃないんだ………素人が口を出す事じゃ無かったな。

 

「この魏武の大剣の相手は誰だああああああっ!今日こそその仮面の下を拝んでくれるっ!!」

 

 ええと…………………春蘭さん………根本的な部分で分かってないよ………。

 秋蘭さんはその後ろで楽しんでるし。

 

「わたしでいいかな?」

 

 璃々っ!?いくら何でも春蘭さんの相手は無茶じゃないの!?

 

「何ぃ!?華蝶仮面で貴様は一番下っぱでは…………………………え?」

 

 春蘭さんが怒鳴りだした所で璃々が仮面を外した。

 

「確かに一番下っぱだけど春蘭お姉ちゃんに手合わせして欲しいな♪」

「……………なあ、璃々。」

「なに?春蘭お姉ちゃん?」

 

「今、ここに居た華蝶仮面はどこに行った?目を離して無いはずなんだが…………そういえば璃々。お前はいつ現れたのだ?」

 

 璃々がまた仮面を着けた。

 

「うおっ!璃々が消えて華蝶仮面が現れたっ!?」

 

 璃々が仮面を外した。

 

「また華蝶仮面が消えて璃々がっ!!」

 

 仮面を着けた。

「華蝶仮面!」

 外した。

「璃々!」

 着けた。「華蝶仮面!」外した。「璃々!」

 着けた。「華蝶仮面!」外した。「璃々!」着けた。「華蝶仮面!」外した。「璃々!」着けた。「華蝶仮面!」外した。「璃々!」着けた。「華蝶仮面!」外した。「璃々!」着けた。「華蝶仮面!」外した。「璃々!」

 

「璃々っ!!春蘭さんで遊ぶの止めなさいよっ!!」

 

「いやあ♪なんか春蘭お姉ちゃんが可愛くって♪」

 

 何やってんのよ、まったく!秋蘭さんに怒られる……………秋蘭さん?

 

「ああ♪…………姉者は可愛いなぁ?」

 

 萌えてるし…………。

 

「ボク…………急に華蝶連者が星ちゃん達に見える様になったよ…………」

「私も……………何で今まで別人に見えていたんだろうな………」

「沙和もなのぉ…………」

「……………ウチの特訓って何やったん?」

 

 意外な効果が…………まさか狙ってやったんじゃないよね?

 

「さあ!始めようか!春蘭お姉ちゃん♪」

「すまん、璃々。姉者が知恵熱を出して倒れた。」

 

 秋蘭さんが、倒れた春蘭さんを支えていてた。

 その後ろから黒い服の影が飛び出して…。

 

「それじゃあワタシが春蘭の代わりをしてやろう!」

 

 焔耶さん!そう言えばさっき璃々の強さを確かめるって言ってたっけ。

 桔梗さんも焔耶さんの後ろで豪天砲を杖の様に突き立てて仁王立ちしてる。

 

「すまんが璃々の相手は譲ってもらうぞ、霞。」

「別に構わへんて♪焔耶と桔梗が負けた後で、ウチがきっちり先輩の強さっちゅうヤツを教えたるわ♪」

「ちょっと待たんか!焔耶が負けるのはまだしも、わしが璃々に負けると言うのかっ!?」

「いや、言うといてなんやけど、もうちょい焔耶を立てたりぃや。」

「霞、貴様程の猛者が仮面を着けた璃々の強さを見誤っておるのか?」

「そら解かっとるて!今の璃々は普段の恋並や。そやから桔梗、年寄りの冷や水は止めとき!」

「いやぁ、璃々や二刃ちゃんから見たら霞姐さんもそう変わらんで?」

 

「「真桜!人を年寄り扱いすんなっ!」するでないわっ!!」

 

 ええと………………皆さん素敵なオネエサンだと思いますヨ……………。

 

 

「星!今まではよくも私達を謀ってくれた物だな♪」

「謀るとは人聞きが悪い。正体を隠すのは華蝶仮面の宿命なのだ。禁を犯してまで正体を明かしておるのだぞ。感謝して欲しいくらいだ。」

 

 あ!愛紗さんと星華蝶がもう戦い始めてる!

 

「因みに愛紗よ。過去に三回同じ台詞を言っているのを覚えているか?」

「はあ!?何を言っているんだ、貴様はっ!?」

 

 愛紗さんの岩をも砕く連撃を、星華蝶が優雅に躱しながら言葉を交わしていた。

 

「主たちに言われてお主には三度正体を明かしているのだ!その度に同じ事を言いおって!貴様の頭は麗羽並か!?」

「なっ………そんな………」

 

 愛紗さんの動きが完全に止まった!

 

「隙ありっ!!」

「ぐあああああああああああああああああああああっ!!」

 

 愛紗さんは星華蝶の一撃を喰らって宙に舞う。

 あたしと駕医さんはすかさず治療の為に駆け寄った!

 

「愛紗さん!大丈夫ですか!?」

「怪我は!………軽い打ち身だけか♪流石、星だ。加減を心得ている♪」

「私の…………頭が麗羽並だと…………」

 

 愛紗さんの目が死んでる……………心の傷は深そうだなあ………………。

 

「さあ、次は誰だ!?翠!お前か!?」

「おうさ!やってやるぜ♪あたしは愛紗みたいにはいかないからな!今までおちょくられた借りを返してやるぜっ!」

 

 翠さんが銀閃を構えて氣を高め始めた。

 

「翠姉さまもその台詞言うの三回目だよ?」

 

 あ………高めた氣が霧散しちゃった…………。

 

ボコ!

 

 龍牙の柄で殴られて翠さんが気絶…………大怪我しないのはいいんだけど、精神的に復帰するのに時間掛かりそうな攻撃は止めて欲しいよ…………。

 

 

「恋!私と明命、二人同時の連撃について来られるか!?」

「問題ない…………思いっきり遊ぼう♪」

 

 思春さんと明命さんが恋華蝶に挑んだ!

 うわっ!三人の姿が突然消えた!?

 

「二刃、目で追うな。氣を感じ取るんだ。」

「は、はい!駕医さん。」

 

 駕医さんのアドバイスに従って三人の氣を探る。

 居た!凄っ!なんてスピードなの!?でも全然攻撃してない……違う!これはフェイントの応酬をしてるんだ!

 思春さんと明命さんの氣はかなり緊迫してるけど、恋華蝶の氣は…何て言うか、ウキウキしてる。

 分かってはいたけど、これは時間の問題かな?

 

 

「インテリ!貴様どういうつもりだっ!」

「朱華蝶様に挑みたければこの私を倒してからにするのですね。」

 

 インテリさん!?朱華蝶を庇う様にして牛輔さん、波才さん、宋謙さんの前に二刀流で立ちはだかっている。もしかして朱華蝶が幻術で操って……………。

 

「はわわ!?」

 

 朱華蝶も戸惑ってるから違うみたい………。

 

「インテリ!これは演習だぞ!私情を挟むな!」

「何を言っているんですか!どうせ貴方達の事だから『朱華蝶様なら痛い思いをしないで脱落できる』とか考えていたのでしょうっ!!」

 

「「「ギクッ!」」」

 

図星なんだ……………菫花さん達にバレたら怒られるのに…………。

 

 

「仮面白馬!私と手合わせ願える?」

「え?炙叉、相手してくれるのか?」

「そりゃ鍛練だもの。何でそんな事言うのよ。」

「いや…………また忘れられてひとりだけ見学する羽目になるんじゃないかと思って………」

「私が白蓮を無視する訳無いじゃない♪赤壁じゃ裏方だったから思いっ切りやらせて貰うわよ♪」

「炙叉………あ、ありがとうな………」

 

仮面白馬の仮面の下に光る物が………。

 

「炙叉の次は私の相手をして貰うぞ♪」

「阿猫!」

「先を越されたのだ!?その次、鈴々っ!」

「鈴々!」

「その次はあたいな♪」

「猪々子!」

 

五人は手を固く握り合い、笑顔に涙を浮かべている………いい話だなあ………。

 

「あ、ところで白蓮さま。聞きたい事があんだけどさ。」

「今の私は仮面白馬…………まあ、いいか。何だ、猪々子?」

「いや、うちの虎々なんだけど。あたいの娘のくせして好き嫌い言うんだよ。」

「まだ二歳十ヶ月だろ。好き嫌いは言うって。」

「そうなのか?爛々は何でも食べるのだ。」

「猪々子の料理が不味いだけじゃないの?」

「チャチャ入れんなよ、炙叉!斗詩の料理でも嫌がるんだよ!」

「もしかしてニンジンか?」

「ん?もしかして阿猫んトコもか?」

「ああ、?莓が嫌がるので、我が家の料理にはニンジンを一切使わないぞ。」

「「「どんだけ過保護なんだよっ!」」」

「ニンジンは茹でると臭みが抜けて甘くなるのだ♪」

 

あれ?…………………普通の主婦の井戸端会議になってない?

 

 

「貂蝉!いえ、貂華蝶!わたしと手合わせしてもらうわよ!!」

「あぁ〜ら、雪蓮ちゃん燃えてるわねぇ〜ん♪とっても輝いていてイイオンナっぷりよ♪」

「ふふ♪ありがとう♪」

 

 雪蓮さん!貂華蝶に挑むの!?

 スゴい!正面から対峙できるなんて!!

 

「南海覇王っ!!狂乱裂破あああああっ!!!」

 

 いきなり必殺技!?

 

「うっふうううううううううぅぅっぅうぅぅぅううん♪」

 

 貂華蝶が連続攻撃を全て見切って躱してる!……………けど……なんかクネクネ動いてきもちわるい………。

ちょっと視線をずらすと巫女華蝶が二人同時に相手をしていた。あれはっ!

 

「行くぞ!弟者!」

「応!兄者!」

 

 呂曠さんと呂翔さんが同時に巫女華蝶へ大金鎚を振り下ろした!

 

「ぬっふうううううううぅぅぅぅううぅぅぅううううううん♪」

 

 う、うそお!巫女華蝶が両手の小指だけで大金鎚を受け止めちゃった!!

 

「「巫女華蝶様!お覚悟!!」」

 

 そこに雲雀さんと豹牙さんが槍を構えて突撃していく!

 なんだ♪結局旦那さんと一緒に戦うんじゃない♪

 

「ほい。」

 

 巫女華蝶が軽く腕を動かすと、大金鎚を支えた小指を中心に呂曠さんと呂翔さんが回転したっ!

 

「「どひいいいいいいいいいいいいっ!!」」

「ええっ!?」

「ちょっ!!」

 

 呂曠さんと呂翔さんが雲雀さんと豹牙さんに激突して、四人はもつれ合い倒されてしまった。

 

「がっはっはっはっはっ♪夫婦仲良くそこで寝ているがいい♪」

 

「あ、あんた!こんな時にどこ触って!アァン♪」

「ば、ばか!兵も見ている…ンフゥ!」

「ち、違う!武器の柄が変に組み合わさって身動きが取れないんだ!」

「豹牙!そんなに動いたら!ら、らめぇぇ!!」

 

 こ、子供達が居なくて良かった…………。

 

「雲雀!豹牙!自分らにはまだ早かったみたいやなぁ♪卑弥呼!次はウチの相手してもらうでえ♪」

 

 関西弁!だけどこの声は……………真桜さんっ!!

 その手には巨大なドリルの槍を握っていた!

 

「卑弥呼………見事な螺旋力や!あないなモン見せられたらウチの螺旋魂に火が点いてもうたで!見よ!この新しい螺旋槍をっ!!」

 

「むむっ!それは二重螺旋かっ!!」

 

「さすがやな♪一発で見抜くとは♪過去の天下一品武道会で愛紗に片手で止められた螺旋槍。そやけどウチの魂の回転までは止められへん!改良に改良を重ねた螺旋槍・改!その名も『轟転槍』やっ!!」

 

「見事なり!李典曼成!いやさ、真桜よ!お主の螺旋魂がビンビン伝わって来るわ♪なればこの巫女華蝶も螺旋魂で応えようではないかっ!!」

 

 真桜さんと巫女華蝶から噴き上がる氣が渦を巻いて竜巻みたいにっ!

 

「みんなの力を二重螺旋に乗せて!ウチは天辺まで掘り進むんやああああああぁぁぁあああぁぁ!!天衝!轟転撃いいいぃぃぃいっ!!」

 

「((寵求|ちょうきゅう))!((羽桜|はおう))っ!」

 

『みんなっ!地面に伏せて目を閉じてっ!!』

 

 突然吉祥さんの声が頭に直接聞こえて来た!

 その事に疑問を感じるよりも早く、あたしと駕医さんは地面に伏せる!

 

 

「((殿|でん))・((洩|えい))・((弾|だん))っ!!」

 

 

「ぎょわおええええええぇぇぇええええええぇぇぇえええ!!」

 

 途轍もない氣の奔流に吹き飛ばされそうになるのに耐え、真桜さんの悲鳴を目を閉じた暗闇の中で聞いた。

 台風の様な氣の嵐が治まり、目を開けて立ち上がり周りを見ると、お義姉さん達の何人かと兵士の人達が泡を吹いて気絶していた。

 

「「「中止っ!演習は中止だっ!!救護班!駕医!二刃!急げっ!!動ける者は救護班に協力しろっ!!」」」

 

 兄さんたちの声にあたしは我に返った。

 

「二刃!やるぞっ!」

「はい!駕医さんっ!」

 

 あたしと駕医さんは最初に真桜さんに駆け寄った。

 真桜さんの氣が一番危険な状態にあると判断したからだ。

 

「真桜さん!しっかりしてっ!」

「二刃!金鍼を使うぞ!」

「わかった!はああああああああああああっ!」

 

 真桜さんが呼吸をしていない!

 あたしは氣を高めて駕医さんのサポート準備に入った。

 

「はああああああああああああっ!」

 

 輝き出した金鍼を持つ駕医さんの手に、あたしの手を重ねる。

 

「我が金鍼に二人の力っ!

 ((拉|ひし))ぎ吹き込み((邏|めぐ))り賦すっ!

 俺達の全ての勇気!

 この一撃に全てを賭けるっ!!

 

 もっと輝けええぇぇええっ!!」

 

 あたしは呼吸を合わせて金鍼に氣を送り込む!

 

「「((拉吹邏賦|ラブラブ))・((五斗米道|ゴットヴェイド))オオオオオオオオオオオっ!!

 げ・ん・き・に・なれぇぇえええぇぇぇぇぇぇっ!!!」」

 

 真桜さんの心臓近くにいる病魔目がけて金鍼を打ち込み、完全に消し去った!

 

「がはあっ!げほっ!げほっ!」

 

 息を吹き返した真桜さんが咳き込んで涙目になっている。

 

「ふう、もう大丈夫だ♪」

「真桜さん!あたしが分かりますか!?」

「うぇっぷ……二刃ちゃん……駕医センセ……おおきに………あ?、なんやお花畑やけど卑弥呼の顔したちっこいのが飛び交う天国の様な地獄の夢見たわ………」

 

 確かに地獄だろうな…………。

 と、その時巫女華蝶がやって来て、仮面を外して真桜さんに頭を下げた。

 

「すまん、真桜………お主の気概に感動して手加減を忘れてしまった。」

 

「ええって♪あの卑弥呼を本気にさせたんや。武人として誇りに思うで♪まあ、ウチとしては二度とやりたくないけどな♪」

「ふふふ♪お主、本当にいい女になったな♪心から敬意を表しよう♪」

 

 真桜さんと卑弥呼さんは固い握手を交わした。

 

「二刃!まだ倒れてる人は大勢居る!急ぐぞ!」

「はい!駕医さん!」

 

 お義姉さん達で倒れた人は華蝶連者が介抱していた。

 朱華蝶があたし達を振り返って笑顔で頷いたので、あちらは任せて大丈夫なのね

 それじゃあ兵士の人達を………。

 

「ぎゃあああああああああああああっ!!」

 

 えっ!?兵士の人達の人垣の中から悲鳴が……。

 

「わたしが人工呼吸をしてあげるわよぉ〜〜〜〜ん?むちゅうううぅぅぅう♪」

「ほげげぼくぇrちゅいお!」

 

「むむっ!貂蝉!貴様ひとりで何と羨ましい事を!!私の責任なのだから私がやってやろうではないかっ!!むちゅうううぅぅぅう?」

 

『ぎょわあああああああああああああああああああああああああああああっ!!』

 

「はっはっはっ♪みんな息を吹き返して、元気に走り回ってるじゃないか♪流石、貂蝉と卑弥呼だ♪」

「………………駕医さん………むしろ状況が悪化してるんだけど…………」

 

 

 この後、駕医さんとあたしは永眠しかけた人達を何人も蘇生する事となった…………。

 

 

-4ページ-

 

 

本編(後編)

本城 後宮大露天風呂

【璃々turn】

 

「真桜お姉ちゃん。本当に大丈夫?」

 

 卑弥呼の起こした騒動が落ち着いた所で、三王から真桜お姉ちゃんに今回の殊勲賞が与えられた。

 その賞品のひとつとして、先日完成したばかりの後宮大露天風呂で他の人より先に入浴しているのだ。

 他にもわたしを入れた華蝶連者(仮面白馬含む)と二刃。

 そしてお母さんと子供達も一緒だ。

 わたしは牡丹を抱いて真桜お姉ちゃんの傍に寄って話しかけた。

 

「もう完全に大丈夫や♪おおきにな、璃々♪しっかし、あの技の事は聞いとってよかったで。知らんかったら今頃死んどったわ♪」

 

 真桜お姉ちゃんは三歳になったばかりの真?ちゃんを膝の上に乗せて寛いでいる。

 その横では二刃が笑顔を引きつらせていた。

 

「いや、真桜さん、半分死んでましたから………あれ?今の話しだと真桜さんは卑弥呼さんのあの技を初めて見たんですよね?璃々はいつ見たの?」

「うん、十年前に一度だけね。場所もこの房陵で。」

「あ、五胡を撃退した技ってあれだったんだ。」

 

 わたしの横でお母さんが紅葉を抱いて懐かしそうに空を見上げて呟く。

 崔莉と露柴が更にその横で遊んでいた。

 

「貂蝉と卑弥呼があの技で突破口を開いてくれたお陰で反撃が出来たのよ♪でも、あの頃の璃々は今の崔莉と露柴より小さかったのに、よく覚えていたわね♪」

「いや、紫苑姐さん。アレは一度見たら忘れんやろ。むしろ子供の頃に見たら一生夢に見てうなされるで。」

「わたしはあの時、城壁の上から見たんだよね。桔梗さんの轟天砲を初めて見た時以上の衝撃だったなあ♪」

「あれは見た目がゴツイ上に派手な音しよるからな♪春蘭さまに音がうるさい言われて不採用にされてしもた。」

「あ、轟天砲ってやっぱり真桜さんが作った武器だったんですね。」

 

 あれ?二刃は知らなかったんだ。

 

「そや♪ウチが華琳さまに仕える様になったばっかりの頃にこさえたんや♪あのまま御蔵入りすんのもなんやと思って武器商人に売ったんやけど、桔梗姐さんが使うてるの見てたまげたわ。まさか漢中にまで流れ行くと思わんかった。」

 

「なんだ?わしの名が聞こえたが、妙な事を紫苑に吹き込んではおらんだろうな。」

「桔梗さま、そんなヒガミっぽい事を言ってると歳の所為だと言われますよ。」

 

 桔梗さんと焔耶お姉ちゃんが竜胆ちゃんと焔香ちゃんの手を引き、お湯を掻き分けてやって来た。

 脱衣場の方が賑やかになって来たから、みんな撤収作業が終わったんだ。

 

「あなたの轟天砲の話しをしていたのよ。妙な事って今日の演習で何か有ったのかしら♪」

「轟天砲か♪真桜には感謝しているぞ♪まるでわしに誂えた様な、実にわしの好みに合った武器だからのう♪後で整備に出すから宜しく頼むぞ、真桜♪」

「毎度あり〜♪」

「桔梗、そうやって話しを誤魔化す所を見ると何か有ったのね。焔耶ちゃん、何が有ったの?」

「璃々を相手に苦戦したんですよ♪まあ、ワタシもですけどね♪」

 

「こら紫苑!焔耶!人聞きの悪い事を言うな!これから話そうと思っていたわっ!」

 

 桔梗さんは怒鳴った後でわたしの顔を見て嬉しそうに笑った。

 

「璃々、強くなったのう♪仮面を着けてではあるが、こうも翻弄されるとは思わなかったぞ♪仮面なしでも焔耶といい勝負が出来るのではないか?」

「仮面を着けてない時はまだまだだよ。もっと稽古をつけてよね桔梗さん、焔耶おねえちゃん♪」

「聞いたか、焔耶よ。卑弥呼の技を喰らって気絶する誰かさんとは大違いだ♪」

「いや、アレを真正面から見て何ともない桔梗さまの方がおかしいですよ!」

 

「あの!昔の房陵の戦いの話しを聞かせてもらっていいですか!?」

 

 二刃ったら、口喧嘩を止めるつもりで言ったんだろうけど、こんなの桔梗さんと焔耶お姉ちゃんのいつものコミュニケーションなんだけどな。

 

「二刃様のご要望であれば♪おお、そうだ♪」

 

 桔梗さんは脱衣場に向かって声を上げた。

 

「翠!蒲公英!お主らこっちへ来い!昔話に花を咲かせようではないか♪」

 

『あぁ?昔話?』

『たんぽぽも卑弥呼のあの技みたら昔を思い出しちゃったよ♪』

 

 お風呂場だから声が反響してるけど、二人がこっちに向かって来るのは分かった。

 

「二刃様があの時の戦いの話しをご所望だ。早うせい♪」

 

『二刃お姉ちゃんそっちに居るの♪』

『媽媽!早く行こうよ♪』

『うわっ!こら、疾!引っ張るな!!』

『ひまわり!慌てると転ぶよ!』

 

 翠お姉ちゃんと蒲公英お姉ちゃん。

 桔梗さんと焔耶お姉ちゃん。

 そしてお母さんとわたし。

 十年前にこの房陵で苦しい戦いをしていたのに、今はこうして子供達と一緒に楽しくお風呂に入っている。

 改めて考えるとこの幸せがとても愛おしくてしょうがない♪

 

 あれ?二刃ったら膝を抱えて顔をお湯につけてるけど…………あ、ここに集まってるのみんな胸が……………翠お姉ちゃんと蒲公英お姉ちゃんまで呼ぶ事になって墓穴掘ったとか考えてるな、これは……………。

 

 

 

-5ページ-

 

 

おまけ弐

『聖刀くんの日常』其の三十

リクエスト:聖刀・祉狼・昴の探検隊 10票

 

61)北郷聖刀 真名:輝琳  七歳

華佗 真名:駕医(がい) 息子⇒華?(かふ) 真名:祉狼(しろう)四歳

インテリ⇒寇封(劉封) 嫁⇒孟達 真名:太白(たいはく)息子⇒孟興 真名:昴(こう)四歳

 

本城 曹魏館

【聖刀turn】

 

 ぼくの住んでいるお城はとても広い。

 あまりに広いのでぼくみたいな子供が行ける所はここまでといった感じに制限されている。

 この曹魏館でさえ入ってはいけない部屋がある。

 

「祉狼、昴ちゃん、その先に行っちゃダメだよ。」

「「え〜?なんで〜?」」

 

 外は雨が降っていて遊ぶ事が出来ないので、館の中で遊べる場所を探している内にそれ自体が遊びになってしまっていた。

 ちょっとした探検みたいな物かな?

 

「その先はお化けが出るんだ。」

「「ええっ!オバケ!?」」

 

 二人が驚き怖がっているので、ぼくはちょっとしたイタズラ心でわざと恐ろしげな言い方で説明した。

 

「そうだよ………この奥の部屋からは、時々『あぁあ』とか『うぅう』って唸り声や悲鳴が聞こえて来るんだ………」

 

 ぼくは聞いた事無いけど、眞琳お姉ちゃん達は聞いた事が有るって言ってた。

 妹の柊と茉莉花、恵蘭も聞いたって言ってたっけ。

 桂花媽媽や秋蘭媽媽を探してる時だったかな?

 

「こ、こわいよぉおにいちゃん…」

「は、はやくあっちいこぅ…」

 

 怖がる祉狼と昴ちゃんがぼくの手を握って引っ張った。

 不意の事だったのでぼくはよろけて廊下の壁に背中を預ける。

 だけど、ぼくを支えてくれると思ったその壁が扉の様に動いて、ぼくは後ろに向かって倒れてしまった。

 ぼくの手を握っていた二人も一緒に。

 しかも倒れた先は床が滑り台みたいになっていて、ぼくたちは三人揃って滑り落ちていく。

 

「うわあああああああん!」

「きゃあああああああ!」

 

 悲鳴を上げる二人を抱える様に守ると直ぐにボスンという衝撃が来た。

 これって…………布団?

 

「おにいちゃん……まっくらだよぅ………」

「ここどこぉ………」

「大丈夫だよ、少しすれば目が慣れて見える様になるからね♪」

 

 祉狼と昴ちゃんを安心させる為に優しく言ってあげる。

 見える様になるって言うのも嘘では無く、上の方に明り取りの窓が有って完全な暗闇じゃないのが解ったからだ。

 あの窓も無かったら完全にアウトだったな。

 元居た場所は二階だったけど、落ちた感じからここは地下だ。

 あの窓は多分地面の近くになると思うんだけど、曹魏館にそんな窓有ったかな?

 

「あ♪おにいちゃんがいったとおりみえてきた♪」

「おにいちゃんのふくがしろいからいちばんよくみえるね♪」

「あ、本当だ。天の御遣いの衣にはこんな意味が有ったんだ。」

 

 父上たちは昔、戦の最中もずっとこの服を着てたって言ってたけど、夜襲を受けたら狙われちゃうよ………それを解った上で着てたって事は父上たちは狙われても退ける自信が有ったんだろうな。

(作者注:それしか着る物を持ってなかったからです。)

 

「でもおかしいな?ここは曹魏館の中なのに氣灯が無いなんて………あ、代わりに燭台が置いてある。火を点ける道具は………マッチが有った♪良かった、火打石だったら火を点けるの大変だったよ♪」

 

 ぼくはマッチを擦って燭台を灯した。

 

「わあ♪ここベッドだったんだ♪」

「まるいベッドってはじめてみたぁ♪」

 

 二人は面白がってベッドで飛び跳ねている。

 怖さを忘れてくれているならそのままにしておこう。

 明るくなってこの部屋を確認してみると、ベッドが有るから寝室なのかな?

 家具は箪笥と引き出しのたくさんある机みたいな台がひとつだけだ。

 扉はふたつ。尤もひとつはぼくらが出て来た所で、扉と言うよりもただの蓋って言った方が合ってる様な小さい物だった。

 

「おにいちゃん♪このたんすにはいってるふく、びょういんのとおんなじのあるよ♪」

「祉狼、勝手に開けたらダメだよ。」

「ほかにもめいどさんのやみずぎみたいの………あ♪うさぎさんのみみ♪」

 

 もう、しょうがないなぁ。

 

「おにいちゃん、これなあに?」

 

 昴ちゃんは引き出しを開けて、中から棍棒みたいな物を出していた。

 

「何だろう?ぼくも初めて見るな………」

「わあ!うごいたあ!」

 

 昴ちゃんはビックリしてベッドの上に放り投げると、それは生き物みたいにウネウネ動いていた。

 

「これは…………絡繰りだよ♪きっと昴ちゃんみたいにイタズラする人をビックリさせるオモチャだよ♪」

「う〜〜〜!」

 

 昴ちゃんは顔を真っ赤にして目に涙を浮かべていた。

 

「これに懲りたらイタズラしちゃダメだよ♪ほら、祉狼も。」

「は〜い♪」

 

 元気に返事をした祉狼の頭にはうさぎの耳が付いていた。

 元に戻す様に言おうかと思ったけど、持ち主が判ったら事情を説明して謝ろうと決めてそのままにさせた。

 

「ほら、とにかくこの部屋を出て上に戻ろう。母上に頼んでおやつを貰ってあげるから。」

「おやつ♪」

「わ〜〜い♪」

 

 二人の興味をこの部屋からおやつに移らせて、ここから自主的に出る様にすのは成功だ♪

 ぼくは燭台を持って扉を開けた。

 扉の向こうにも氣灯が無いかも知れないからだ。

 扉の外は廊下になっていたけど、ぼくの予想通り氣灯が無かった。

 逆に予想外だったのは廊下が結構長い事だ。

 地下室だったら直ぐ傍に階段が在るかと思ってたんだけど、扉の正面は壁で、左右は燭台の光が届かないくらい、幅は大人が二人並んで歩けるくらいだ。

 曹魏館の地下がこんな事になってるなんて全然知らなかったよ…………。

 

「「お、おにいちゃん………」」

 

 二人がまた不安になってる!ぼくが弱気になっちゃ駄目だ!

 

「大丈夫!必ず戻れるからね♪」

 

 じっとしていてもしょうがない!館の構造から割り出した方位は間違えてない筈だ。

 問題は曹魏館の中央と外縁のどちらに階段が設置されているか。

 一階の中央部分には下り階段は無い。となると、在るのは一階でぼくが入ってはいけないと言われている場所という事になる。

 外縁という事は左だ。

 

「それじゃあ向こうに行くよ♪」

 

 念の為、扉に目印になる傷を付けてぼくは二人を連れて廊下の奥を目指す。

 少し進むと先の壁に扉が見えた。

 ここに階段が在ってくれるといいんだけど。

 扉に鍵は掛かっていないので開けてみると、そこには………。

 

「かずとおじちゃんだ♪」

「むかえにきてくれたの♪」

 

 二人は喜んで飛びついたけど、それは父上そっくりの人形だった。

 扉の中はとても狭くて、その人形が椅子に座った状態で置いてあるだけだ。

 

「「かずとおじちゃん?……………」」

 

 動かない、喋らない、おまけに冷たいとなれば流石に二人も気付いたんだろう。

 

「それは人形だよ♪ほら、二人とも先に…」

 

「「かずとおじちゃんがにんぎょうになっちゃったあああああああっ!うええええぇぇぇええええっ!」」

 

 二人とも大声で泣き出しちゃったよ………結構父上の事好きだったんだ。

 いや、それよりも、二人を泣き止まさないと!

 

「大丈夫だよ、祉狼♪昴ちゃん♪それは本物の父上じゃ無いから♪」

 

 言っては聴かせるけど、一度泣き出すと感情が落ち着くまで自分でもどうしようもないんだよね。

 ぼくは二人を抱きしめて落ち着くのを待つ事にした。

 母上や媽媽達、お姉ちゃん達がぼくにしてくれたみたいに。

 

「あれぇ?なんで聖刀ちゃん達がここに居るの!?」

 

 その声は璃々媽媽だった!

 

 

 

 璃々媽媽のお陰でぼく達は地下から出る事が出来た。

 事情を話すと璃々媽媽も解かってくれて、母上や二刃叔母さんに説明してくれた。

 

「大変だったわね。お腹すいたでしょう。三人ともたくさん食べなさい♪」

 

 母上がおやつを用意してくれて、祉狼と昴ちゃんはニコニコしながら食べ始めた。

 泣いたから余計にお腹がすいたんだろうな♪

 ぼくも母上の作ったチョコレートケーキをフォークで切って口にする。

 そんなぼく達の横で貂蝉と卑弥呼が目に涙を溜めて見守ってくれていた。

 

「聖刀ちゅわん!ピンチになったらわたし達を呼んでって言ったじゃないの!」

「そうだぞ、聖刀ちゃんよ!私達なら一瞬で助け出したであろうっ!!」

 

「う〜ん………あそこで呼んでたらどうやって来たのかな?」

 

「それは当然。」

「天井をぶち破って。」

 

 うん。呼ばなくて正解だった。

 

「あれくらいはピンチじゃないよ♪あの程度で貂蝉と卑弥呼を呼んでたら強くなれないよね♪」

 

「ああ〜ん♪頼もしいわぁ〜ん♪」

「うむ!その若さでその心意気!実に見事であるっ!!…………しかし、もうちょ〜〜〜っとだけ、私達を頼ってくれても良いのではないかのう………」

 

 貂蝉と卑弥呼には本当に頼る時が来るかも知れない。

 でも、それまでは自分で出来る事は自分でしないとね♪

 

「あ、そうだ。母上、あの地下室は…」

「内緒よ♪聖刀が大人になったら教えてあげる♪」

 

 母上は笑ってるけど……………これ以上は訊いちゃ駄目って事なんだろうな。

 

 

 

-6ページ-

 

 

おまけ参

リクエスト:親子鍛錬(三王編)    18票

 

1)華琳の長女 曹沖(そうちゅう) 眞琳(まりん)九歳

2)桃香の長女 劉禅(りゅうぜん) 香斗(かと)九歳

3)蓮華の長女 孫登(そんとう) 蓮紅(れんほん)九歳

61)華琳の長男 北郷聖刀(まさと) 輝琳(きりん)二歳七ヶ月

84)蓮華の次女 孫慮(そんりょ) 蓮火(れんふぉ)一歳七ヶ月

87)桃香の次女 劉永(りゅうえい) 桃花(とうふぁ)一歳七ヶ月

 

本城 蜀館                   (時報:桂花 十人目 妊娠六ヶ月)

【桃香turn】

 

 太った!

 

 と、いう訳で朝の走り込みをする事にしました。

 ご主人さま風に言うと『じょぎんぐ』です!

 『ぶるま』を履いて『てぃいしゃつ』を着て!

 

「いざっ……………」

 

 寒い…………やっぱり『じゃあじ』も着ないとね。

 うんうん。真冬だもんね。風邪を引いたら意味が無いし。

 

「へくちっ!」

 

 う〜〜〜、ちょっと冷えちゃった……………少し炬燵で温まってからにしよう!

 

「はあぁ〜〜〜?天国だねぇ〜〜〜?」

 

「媽媽ぁ、準備できた?……………」

「あ、香斗ちゃん♪もうちょっと待っててねぇ〜♪あとすこしだけ………………」

 

「媽媽!寝ちゃダメだよぉ!華琳媽媽と蓮華媽媽と眞琳ちゃんと蓮紅ちゃんが待ってるし、桃花ちゃんをメイド隊のお姉ちゃんにお願いしたんだから!」

 

「はっ!そうだった!急いで行かなきゃっ!」

 

 炬燵を抜け出して中庭に向かって駆け足!

 う〜ん、炬燵は人を駄目にする悪魔の道具だね!

 

「あれ!?香斗ちゃん!?その格好で寒くないの!?」

 

 香斗ちゃんは『ぶるま』と『てぃいしゃつ』姿だった。

 

「うん♪平気だよ♪」

 

 ……………………………これが若さか…………。

 

 

 

 急いで中庭に行くと香斗ちゃんの言った通り華琳さん達が既に来ていた。

 しかも全員『ぶるま』と『てぃいしゃつ』…………。

 

「お、おはようございます!お、遅くなりました!」

「はいはい♪おはよう、桃香♪こうなるだろう事は予想済みよ♪」

「おはよう、桃香。もう息が上がってるけど、大丈夫?」

「は、あははは………じゅ、準備運動ですよ♪……………はふぅ…」

 

 これから『じょぎんぐ』するんだからガンバらなきゃ!

 

「華琳媽媽♪蓮華媽媽♪おはようございます♪」

「おはよう、香斗♪」

「おはよう♪今日も香斗は良い子ね♪」

「「おはよう、香斗ちゃん♪」」

「おはよう♪眞琳ちゃん♪蓮紅ちゃん♪」

 

 もうすぐ冬至なのに、わたしだけ着込んでるなんて………わたしが変なのかなぁ………。

 

「あの……華琳さんも蓮華さんも寒くないんですか?」

「この程度なら問題ないわね。」

「私も……ねえ、桃香は幽州の出よね?向こうはもっと寒いでしょう?」

「はあ………そうなんですけど…………」

 

 これは深く考えちゃダメだ!きっと体を鍛えれば『ぶるま』と『てぃいしゃつ』で過ごせる様になるんだ!…………………って、蓮華さん!胴回り細っ!!

 

「(華琳さん!蓮華さんの体型って反則だと思いませんか!?)」

「(私からすると貴女も充分反則なのだけど………まあ、言わんとする事は解るわ。)」

 

「ど、どうしたの?二人とも突然………」

「蓮華さん、胴回りっていくつですか?」

「え、ええと………●●●だけど………」

「何ですって!私と殆ど変わらないじゃない!」

 

 聞かない方が良かったかも………。

 

「こ、これは腰回りを小さくしようとした結果で!胴回りが細くなった所為で余計に目立って困ってるのよ!」

 

 人それぞれ悩みが有るんだなぁ………。

 

「ねえ、早く走ろうよ。朝ごはんの時間になっちゃうよ?」

「そ、そうだね、香斗ちゃん………それじゃあ走ろっか♪…………」

 

 後で蓮華さんがどんな事をしてたか教えてもらわなきゃ!

 

 

 

【蓮華turn】

 

 桃香が運動不足だって言うので華琳と一緒に考えて、一刀たちから昔教えてもらった『じょぎんぐ』というのを始める事にしたのだけど、朝にこうして子供と一緒に城内を軽く走るのは良いものね♪

 順路は城の中だけで、先ずは中庭から正門前の広場へ行って、そこから孫呉館、曹魏館、蜀館の外側を回り再び中庭に戻って終了。

 桃香と香斗が慣れたら、後宮の方にも足を伸ばしたいわ♪。

 

「ねえ、蓮華。こうしてこの服を着ていると、昔を思い出さない♪」

「大喬と小喬が来たばかりの頃ね。ふふ♪懐かしいわ♪」

「お母様、それっていつ頃ですか?」

 

 蓮紅が私の横に並んで訊いてきた。

 

「あなたが生まれる二年前だったかしら?あの頃は丞相室のみんながとても忙しくてね、運動不足の解消と軍師も自分の身を守れる様にしようってお父様たちが計画したのよ♪」

「それって、冥琳媽媽も!?」

「冥琳はあの頃病気を患っていてね、駕医の治療を受けていて激しい運動は出来なかったわ。」

「今はあんなに強いのに!?病弱だった冥琳媽媽って想像できない………」

「あら?その口振りだと蓮紅は冥琳にまだ勝てた事が無いのね。」

「それはそうでしょう!?冥琳媽媽は強いんだから!」

「う〜ん………どんな風に強いのかしら?」

「え!?どんな風に?」

 

 確かに今の蓮紅では力も技も、そして戦術も敵わないでしょうね。

 だからと言って、そこで諦めてしまっては駄目。

 足掻いて、藻掻いて、考えて。

 血を吐く想いで己を鍛えて欲しい。

 

「…………冥琳媽媽と手合わせしてると象棋を指してるみたいな気がしてくる時があるの………誘導されてるみたいな………」

「ほら♪考えたら分かったでしょう♪もっと相手をよく見て、何を考えているのか想像してみなさい。冥琳から一本取れたらご褒美をあげるわよ♪」

 

「うん♪頑張る♪」

 

 厳しいばかりでは辛いものね♪

 

「「「ようし♪そういう事なら??たちが協力してやるぞお♪」」」

 

「へ?一刀たち!?いつの間にっ!?」

 

 後ろを振り返ると一刀たちが三人揃って最後尾を走っていた。

 

「そろそろ現れると思っていたわ。」

「華琳!?一刀たちに教えたの!?」

「いいえ♪ブルマ姿で走れば釣れると予想しただけよ♪」

 

 ………実際に釣れているし…………。

 

 

 

【華琳turn】

 

「三人とも来たのなら丁度いいわ。一人ずつ相手をして頂戴♪」

「「「良し来た♪」」」

 

 緑一刀は桃香と香斗の所に、赤一刀は蓮華と蓮紅の所に、そして私と眞琳の所に紫一刀が寄り添う様に並走する。

 

「了解しといて何だけど、どうして揃って朝の鍛錬を始めたんだ?」

「桃香が太ったって言い出したから、いい機会だと思ったのよ♪」

「でも、桃香に合わせたら華琳と蓮華は準備運動で終わっちゃうだろ。」

「ええ、だから私達は桃香と香斗の走り込みの終わった後が本格的な鍛錬の開始よ。」

「まあ、そうだろうな……………で、何でブルマ?」

「さっきの蓮華との会話を聞いていたのでしょ?貴方たちを呼ぶ為よ♪」

「…………………いや……それは嬉しいけど、二刃がブルマの話しをしたよな?」

「あら?折角貴方たちの為に履いてあげたのに、もう私のブルマ姿は飽きてしまったのかしら?」

 

「そんな事は有りませんっ!!」

 

「それに眞琳のブルマ姿も可愛いでしょう♪」

「もちろんだっ!!可愛いぞ、眞琳♪」

「ありがとう、??♪」

 

 ふふ♪眞琳も朝から一刀と一緒に居られて嬉しそうね♪

 

「まあ、ブルマの話しは置いといて、こうして三人の王とその姫が揃って走っている姿を城内の者に見せるのも目的のひとつよ。三国の仲が磐石である事、その将来も明るい事。城内の者が安心と希望を持てば、城下にもそれは伝わるでしょう♪そこに貴方たちが加わっていれば効果は上がるわ♪」

 

 一刀の緩んでいた顔が引き締まった。

 

「華琳はいつも俺たちの考えの至らない事を助けてくれるな。感謝してるよ♪」

「それじゃあ、そのご褒美に今日は一日私達と付き合って貰えるかしら?」

「はは♪了解した♪さっき蓮紅の鍛錬に協力するって言ったしな。眞琳の鍛錬も??が付き合おう♪」

「眞琳、??たちから一本取る毎に、ひとつお願いを聞いてあげるわよ♪」

「ホント!?ようし、??!本気で行くからね♪」

「はっはっはっ♪どーーんと来い♪」

「それじゃあ赤一刀と緑一刀にも伝えて頂戴ね♪」

「ああ♪お〜い、赤!緑!ちょっと話しが有る!」

 

 紫一刀が離れた隙に、眞琳に耳打ちをする。

 

「(眞琳、??たちはこうやって手綱を握るのよ。貴女もいつか結婚するのだから、旦那の御し方を覚えておきなさい♪)」

「(はい、媽媽…………でも、??たち可哀想じゃない?)」

「(基本は??たちが喜ぶ事をするのよ♪)」

 

 私と眞琳は話し合っている一刀たち三人を見てクスリと笑った。

 

 

 

 走り込みが終わった後、聖刀、蓮火、桃花を加えて朝食を食べ、それから武器を使った鍛錬を始めた。

 結果、眞琳は一刀たちから九回お願いを叶えて貰う権利を得た。

 

 

 

-7ページ-

 

 

おまけ肆

『娘からの質問〜??をどうして好きになったの?(璃々・牡丹)』

 

63)璃々の長女 黄慮(こうりょ) 牡丹(ぼたん)七歳

 

本城 城壁

【璃々turn】

 

 今日は気が向いたので牡丹と一緒に城壁までやって来た。

 ここから見える景色は毎年少しずつ変わって行く。

 遠くの山脈が変わる事は無いけど、城壁の傍はわたしが子供の頃に比べて大きく変わった。

 例えばあの家が立ち並ぶ場所は、三年前は畑だった。

 その畑になる前はただの原っぱだった。

 あの辺は荒地で、あっちは林が有った。

 人が増えて、家が増えて。

 それに合わせて城壁も外側に第二城壁、第三城壁が築かれた。

 城壁の外は田畑と牧草地帯。

 城の中から漢水に続く川は運河として整備され、田畑には用水路が縦横に走っている。

 

 のどかな風景。それが今の房都…………房陵だ。

 

 その景色を眺めながら、わたしと牡丹はお弁当を広げていた。

 だけど牡丹はおにぎりを手に持ったままでまだ食べていない。

 

「どうしたの、牡丹?」

「………あのね、お兄ちゃんの事だけど………」

「聖刀ちゃんの事?」

「牡丹はお兄ちゃんのお嫁さんになれるんだよね?」

「ええ、そうよ♪眞琳ちゃんが華琳媽媽に頼んでそうしてもらったのよ♪」

「でも、最近のお兄ちゃん………大きいお姉ちゃん達や新しく学園に来たお姉ちゃん達や祉狼ちゃん、昴ちゃんとばっかり一緒にいて、牡丹や柊ちゃん達と一緒に遊んでくれない………」

 

 あ〜…………聖刀ちゃんも忙しい身だから………風紀委員長をさせるの早かったのかなぁ。

 ご主人さまたちは三人居るけど、聖刀ちゃんはひとりだからねぇ………。

 

「牡丹は聖刀ちゃんの事、好き?」

「大好きだよ!そんなの当たり前だよっ!!」

 

 おっと、即答力説来ました!

 あ、おにぎりが悲惨なことに…………。

 

「だったら落ち込んだり遠慮なんかしないで、もっとガンガン言い寄りなさい♪わたしも紫苑お母さんも??たちにそうして来たんだから♪」

「そんな事したらお兄ちゃんに嫌われない?」

「聖刀ちゃんが誰かを嫌うのって想像出来ないんだけど……………まあ、悪い子になったら嫌われるかもね。」

「悪い子になんかならないもんっ!」

「うんうん♪いい返事ね♪それじゃあひとつアドバイスをあげましょう♪牡丹が聖刀ちゃんの手伝いをしてあげなさい。」

 

 わたしの言葉の意味が分からなかったみたいで、牡丹はキョトンとしていた。

 

「お兄ちゃんのお手伝い?」

「そう♪聖刀ちゃんは風紀委員長でしょ?牡丹も風紀委員になれば一緒に居られる時間が増えるわよ♪それに祉狼ちゃんと昴ちゃんとも遊んであげなさい。そうすればあの三人だけで遊んでいる時も自然に一緒に居られる様になるから♪」

 

 牡丹の顔が輝く様な笑顔になった。

 

「うん♪わかった♪そうだ!紅葉ちゃんをさそって一緒に風紀委員に入るね♪崔莉お姉ちゃんと露柴お姉ちゃんに負けないんだから♪」

 

 崔莉と露柴か………牡丹と紅葉も双子みたいに育ったから対抗意識があるのかしら?

 

「ほら、悩みが解決したのならお弁当を食べましょう♪まずはその潰したおにぎりをちゃんと食べなさい。」

「え?…………あはは♪ごめんなさい♪あむっ!」

 

 お米を育ててくれた人の事を考えれば一粒だって無駄には出来ない!

 おにぎりを作ったわたしの愛情は握り潰されたけど…………。

 

「ねえ、媽媽♪媽媽は??たちの事をいつから好きになったの?」

「いつからって、初めて出会った時からよ♪」

「え〜?でも媽媽が??たちに初めて会ったのって今の牡丹より小さかったんでしょ?」

「そうだけどね、緑??を初めて見た時は凄く格好良かったのよ♪場所も丁度ここなの♪」

「えっ!?ここっ!?」

 

 牡丹が慌てて周りを見回し出した。

 

「ほら、ここだけ城壁が古いでしょ♪これは緑??がこの房陵に初めてやって来た時の記念に残してあるの。」

「へえ〜、そうだったんだぁ〜………」

「あの時はこのお城がもっと小さくて、敵に囲まれて負ける寸前だった。そんな時に緑??が桃香媽媽達を連れて援軍に駆け付けてくれたの♪あの真っ白い??の服がキラキラ輝いて、本当に頼もしかったなあ♪」

「うわあ♪??格好いい♪」

「敵を撃退した後で緑??と初めて言葉を交わした時にね、緑??はわたしの頭を撫でながら涙を流して無事だった事を喜んでくれたわ♪あの時からわたしはご主人さまの奥さんになるって決めていたの♪」

「媽媽、スゴくステキ!牡丹も媽媽みたいに頑張る!」

 

「ええ!牡丹も媽媽の子なら、聖刀ちゃんにどこまでもついて行きなさいっ!!」

 

「はい!媽媽♪」

 

 

 どんなに時が経って、この城壁の周囲の風景が変わっても。

 あの山脈と同じにわたしの気持ちは変わらない。

 あの日、ご主人さまに救ってもらった命は、ご主人さまたちの為に使うと決めたから。

 

 

 

-8ページ-

 

 

あとがき

 

 

『本編』&『北郷二刃奮闘記』

今回も間に挟む形でお送りいたしました。

璃々と焔耶の関係を再考するのをメインにしたかったのですが、二人だけで話すシーンをもっと入れれば良かったと反省しております。

 

卑弥呼の『寵求羽桜・殿洩弾』は貂蝉に打ち出されていないので移動速度が遅くなっています。

その所為で精神的な破壊力が増していますwww

 

そして遂に出ました。拉吹邏賦・五斗米道!

キング・オブ・ハートは飛んで行きません、念の為w

 

 

『聖刀くんの日常』

幼い子供の探検なので身近でちょっとしたダンジョン(?)

あの部屋は何の為に在って、どういう目的で使われているのか?

何故璃々があそこに居たのか?

謎は深まるばかりですwww

 

 

『おまけ参:親子鍛錬(三王編)』

伏字の部分は孫呉の国家機密という事で検閲が…………。

 

『女を磨く鍛錬』の筈が華琳の策で『男を尻に敷く鍛錬』になってしまいましたw

 

 

『おまけ肆:娘からの質問〜??をどうして好きになったの?(璃々・牡丹)』

本編の『結』ですが聖刀の話とも連動しています。

そろそろ聖刀の妹達を出していきたいと思います♪

 

 

《次回のお話》

 

次回は

☆桂花B        23票

 

【北郷二刃奮闘記】

二刃の妊娠       5票

【聖刀くんの日常】

聖刀くんの騎乗訓練   6票

【おまけ参】

恋姫†酒場放浪記   14票

【おまけ肆】

娘からの質問〜??をどうして好きになったの?(桂花・金桂&妹達)

【おまけ伍・おまけ陸】

(アイデアが閃いたら書きますw)

 

《現在の得票数》

冥琳A        22票

二喬A        22票

鈴々B        21票

紫苑B        19票

真桜A&凪A&沙和A(三羽烏)

           19票

麗羽A&斗詩A&猪々子A(三バカ)+白蓮

           18票

華琳C        13票

炙叉A        10票

音々音B       10票

音々B        10票

雪蓮B&蓮華B&小蓮B11票

ニャン蛮族B      8票

風A          6票

桔梗A         6票

明命A&亞莎A     5票

華雄A         4票

季衣B&流琉B     4票

張三姉妹A       3票

祭A          3票

春蘭A&秋蘭B     3票

思春B         1票

璃々C         1票

 

【北郷二刃奮闘記】

三バカ         4票

白蓮          4票

王様ゲーム       4票

三羽烏A        3票

軍師―ズ        2票

ニャン蛮族       1票

明命          1票

 

【聖刀くんの日常】

聖刀くんの性教育〜漢女にならないために〜

                4票

黄乱A             4票

聖刀と祉狼と昴の初めてのお使い 4票

聖刀と貧乳党          3票

聖刀さま?親衛隊A        1票

五胡とオマケ          1票

 

 

【おまけ参】

親子鍛錬(脳筋編)           19票

いい大人になるための漢女☆講座〜ご主人様編〜 13票

眞琳の金桂達いじり              11票

一刀の執事喫茶                 8票

「女装喫茶」へようこそ             7票

魔法少女華琳                  7票

操船訓練                    6票

歳の差姉妹誕生〜娘夫婦に中てられて〜(月両親・華琳両親)※聖刀と同い年

                        6票

性者が閨にやってくる              1票

大喬小喬?天気予報               1票

 

【おまけ肆】

愛紗                      1票

※『娘からの質問〜??をどうして好きになったの? 』は基本的には本編と連動になります。

 

 

リクエスト参戦順番→冥琳A 風A 凪A 沙和A 炙叉A 桂花B 真桜A 二喬A 紫苑B 鈴々B 華琳C 思春B 音々音B 音々B 三バカA 華雄A 祭A 小蓮B ニャン蛮族B 桔梗A 張三姉妹A 明命A&亞莎A 蓮華B 雪蓮B 季衣B&流琉B 璃々C

 

おまけ壱リクエスト参戦順番→ニャン蛮族 三羽烏A 三バカ 白蓮 二刃の妊娠 王様ゲーム 軍師―ズ 明命

 

おまけ弐リクエスト参戦順番→黄乱A 聖刀さま?親衛隊A 聖刀くんの性教育〜漢女にならないために〜 聖刀くんの騎乗訓練 聖刀と貧乳党 五胡とオマケ

 

おまけ参リクエスト参戦順番→親子鍛錬(三王編)(脳筋編) いい大人になるための漢女☆講座〜ご主人様編〜 「女装喫茶」へようこそ 眞琳の金桂達いじり 恋姫†酒場放浪記 操船訓練 一刀の執事喫茶 魔法少女華琳 歳の差姉妹誕生〜娘夫婦に中てられて〜(月両親・華琳両親) 性者が閨にやってくる 大喬小喬?天気予報

 

おまけ肆リクエスト参戦順番→愛紗

 

 

【子供達一覧】

1)華琳の長女 曹沖(そうちゅう) 眞琳(まりん)

2)桃香の長女 劉禅(りゅうぜん) 香斗(かと)

3)蓮華の長女 孫登(そんとう) 蓮紅(れんほん)

4)思春の長女 甘述(かんじゅつ) 烈夏(れっか)

5)愛紗の長女 関平(かんぺい) 愛羅(あいら)

6)風の長女 程武(ていぶ) 嵐(らん)

7)桂花の長女 荀ツ(じゅんうん)金桂(きんけい)

8)雪蓮の長女 孫紹(そんしょう) 冰蓮(ぴんれん)

9)冥琳の長女 周循(しゅうじゅん) 冥龍(めいろん)

10)祭の長女 黄柄(こうへい) 宴(えん)

11)恋の長女 呂刃(りょじん) 恋々(れんれん)

12)紫苑の次女 ?仁(こうじん) 露柴(ろぜ)

13)紫苑の三女 ?信(こうしん) 崔莉(ちぇり)

14)蒲公英の長女 馬援(ばえん) 向日葵(ひまわり)

15)翠の長女 馬秋(ばしゅう) 疾(しつ)

16)麗羽の長女 袁譚(えんたん) 揚羽(あげは)

17)桔梗の長女 厳逹(げんたつ) 竜胆(りんどう)

18)凪の長女 楽?(がくりん) 濤(なみ)

19)七乃の長女 張路(ちょうろ) 八?(やや)

20)天和の長女 張甲(ちょうこう) 九蓮(ちゅうれん)

21)地和の長女 張大(ちょうだい) 四喜(すーしー)

22)人和の長女 張吉(ちょうきつ) 一色(いーそー)

23)炙叉の長女 迷当(めいとう) 直(なお)

24)白蓮の長女 公孫続(こうそんしょく) 白煌(ぱいふぁん)

25)秋蘭の長女 夏侯衡(かこうこう) 鈴蘭(すずらん)

26)月の長女 董擢(とうてき) 春姫(るな)

27)美以の長女 孟節(もうせつ) 花鬘(かまん)

28)トラの長女 ベンガル

29)ミケの長女 マンクス

30)シャムの長女 ペルシャ

31)桂花の次女 荀?(じゅんぐ) 銀桂(ぎんけい)

32)朱里の長女 諸葛瞻(しょかつせん)龍里(るり)

33)雛里の長女 ?宏(ほうこう)藍里(あいり)

34)詠の長女 賈穆(かぼく) 訓(くん) 

35)焔耶の長女 魏覚(ぎがく) 焔香(えんか)

36)春蘭の長女 夏侯充(かこうじゅう) 光琳(こうりん)

37)星の長女 趙統(ちょうとう) 螢(けい)

38)大喬の長女 喬櫂(きょうかい) 愛(あい)

39)小喬の長女 喬順(きょうじゅん) 華(か)

40)亞莎の長女 呂j(りょそう) 茜(ちぇん)

41)明命の長女 周邵(しゅうしょう) 藍華(らんふぁ)

42)華雄(阿猫)の長女 華剛(かごう) ?莓(しゅうめい)

43)桂花の三女 荀?(じゅんしん) 丹桂(たんけい)

44)霞の長女 張虎(ちょうこ) 雰(ふぇん)

45)沙和の長女 于圭(うけい) 紗那(さな)

46)斗詩の長女 顔教(がんきょう) 升謌(しょうか)

47)真桜の長女 李禎(りてい) 真?(ましん)

48)桂花の四女 荀(じゅんぎ) 連翹(れんぎょう)

49)猪々子の長女 文?(ぶんかい) 虎々(ふーふー)

50)稟の長女  郭奕(かくえき) 貞(てい)

51)穏の長女  陸延(りくえん) 毬(ちう)

52)鈴々の長女 張苞(ちょうほう) 爛々(らんらん)

53)流琉の長女 典満(てんまん) 枦炉(ろろ)

54)桂花の五女 荀粲(じゅんさん) 黄梅(おうめい)

55)小蓮の長女 孫仁(そんじん) 蕾蓮(らいれん)

56)音々音の長女 陳守(ちんじゅ) 音音(ねおん)

57)季衣の長女 許儀(きょぎ) 華衣(かい)

58)美羽の長女 袁燿(えんよう) 優羽(ゆう)

59)桂花の六女 荀淑(じゅんしゅく) 來羅(らいら)

60)音々の次女 陳修(ちんしゅう) 音肆(おとよ)

61)華琳の長男 北郷聖刀(まさと) 輝琳(きりん)

62)桂花の七女 荀倹(じゅんけん) 柊(しゅう)

63)璃々の長女 黄慮(こうりょ) 牡丹(ぼたん)

64)思春の次女 甘?(かんかい) 燃秋(ぜんしゅう)

65)紫苑の四女 黄薛(こうせつ) 紅葉(もみじ)

66)管輅の長女 管辰(かんしん) 辯天(べんてん)

67)鈴々の次女 張紹(ちょうしょう) 龍々(ろんろん)

68)美以の次女 孟鉄(もうてつ) 仁亜(にあ)

69)トラの次女 キジ

70)ミケの次女 タマ

71)シャムの次女 ソマリ

72)星の次女  趙広(ちょうこう) 迦具夜(かぐや)

73)愛紗の次女 関興(かんこう) 愛絽(あいろ)

74)雪蓮の次女 孫静(そんせい) 水蓮(しゅいれん)

75)翠の次女  馬承(ばしょう) 駿(じゅん)

76)恋の次女  呂空(りょくう) 恋々恋(れみ)

77)音々音の次女 陳蕃(ちんはん) 韵(いん)

78)音々の三女 陳嶺(ちんれい) 唯音(いおん)

79)小蓮の次女 孫翊(そんよく) 美蓮(めいれん)

80)桂花の八女 荀靖(じゅんせい) 茉莉花(まりふぁ)

81)秋蘭の次女 夏侯覇(かこうは) 恵蘭(けいらん)

82)月の次女 董旻(とうびん) 有明(ゆうみん)

83)詠の次女 賈訪(かほう) 探(たん)

84)蓮華の次女 孫慮(そんりょ) 蓮火(れんふぉ)

85)季衣の次女 許定(きょてい) 春季(ちゅんりぃ)

86)流琉の次女 典堂(てんどう) 騾螺(らら)

87)桃香の次女 劉永(りゅうえい) 桃花(とうふぁ)

B)桂花の九女 荀Z(じゅんとう) 寿丹(じゅたん)

C)桂花の十女 荀爽(じゅんそう) 秦翹(しんぎょう)

D)桂花の十一女 荀粛(じゅんしゅく) 金鐘(きんしょう)

E)桂花の十二女 荀?(じゅんふ) 橄欖(かんらん)

 

【その他のオリジナル設定】

華佗 真名:駕医(がい) 息子⇒華?(かふ) 真名:祉狼(しろう)

陳越(音々音の母) 真名:音々(おとね)

インテリ⇒寇封(劉封) 嫁⇒孟達 真名:太白(たいはく)息子⇒孟興 真名:昴(こう) 

追っかけ⇒波才 嫁⇒楊阜 真名:門風(めんふぉん)娘⇒楊豹 真名:和了(ほうら)

尻好き⇒宋謙 嫁⇒張承 真名:真珠(しんじゅ)娘⇒張休 真名:珊瑚(さんご) 

董の兄ぃ⇒牛輔 嫁⇒申耽 真名:菫花(きんふぁ) 娘⇒申儀 真名:朔(さく) 

兄者⇒呂曠 嫁⇒徐晃 真名:雲雀(ひばり)娘⇒徐蓋 真名:朱雀(すざく) 

弟者⇒呂翔 嫁⇒張? 真名:豹牙(ひょうが)娘⇒張雄 真名:白虎(びゃっこ)

黄乱 真名:明兎(みんと)

馬良 真名:鷲羽(わしゅう)

馬謖 真名:耶麻(やま)

荀攸 真名:素英(そえい)

魯粛 真名:命佐(めいさ)

董雅(月の父) 董陽(月の母) 真名:日(りい)

曹嵩(華琳の父) 曹静(華琳の母) 真名:蝶琳(ちょうりん)

喬玄(大喬と小喬の母) 真名:玄(げん)

劉玄(桃香の母) 真名:桜香(おうか)

 

匈奴:呼廚泉(こちゅうせん) 蘿蔔(すずしろ)

鮮卑:軻比能(がびのう) 菘(すずな)

?:千万(せんまん) 芹(せり)

羯:石周(せきしゅう) 薺(なずな)

烏丸:阿羅槃(あらばん) 小鬼田平子(こおにたびらこ)

 

華雄 真名:阿猫(あまお)

高順 真名:杉(すぎ)

徐庶 真名:康福(こうふく)

黄月英 真名:雛菊(ひなぎく)

陳震 真名:菫玲(すみれ)

伊籍 真名:早苗(さなえ)

 

引き続き、皆様からのリクエストを募集しております。

1・メインヒロインとなるキャラをご応募下さい。

2・『北郷二刃奮闘記』で二刃と絡むキャラを募集しています。

 例:「二刃視点で貧乳党」  という感じでお願いします。

3・『聖刀くんの日常』で聖刀と絡むキャラを募集しています。

 例:「聖刀視点で三羽烏」  という感じでお願いします。

4・おまけ参でのメインとなる子供達を募集しています。

 シチュエーションのリクエストも大歓迎です。

以上の四点にリクエストの集計(TINAMI、Pixiv双方の合計)を振り分けますので、

よろしくお願いいたします。

今まで通り、リクエストに制限は決めてありません。

何回でも、一度に何人でもご応募いただいて大丈夫です。

 

ご意見、ご感想、ご指摘などもご座いましたら是非コメントをお寄せ下さい。

誤字脱字は雷起の反省を促す為、修正後も抜粋して晒しますw

 

 

 

 

 

説明
得票数30 璃々Bのお話です。
おまけ壱 『北郷二刃奮闘記』其の三十一 リクエスト:華蝶連者 5票
おまけ弐 『聖刀くんの日常』其の三十 リクエスト:聖刀・祉狼・昴の探検隊 10票
おまけ参 リクエスト:親子鍛錬(三王編)   18票
おまけ肆 リクエスト:娘からの質問〜??をどうして好きになったの?(璃々・牡丹)
となります。


引き続き、皆様からのリクエストも募集しております。
1・メインヒロインとなるキャラをご応募下さい。
2・『北郷二刃奮闘記』で二刃と絡むキャラを募集してます。
 例:「二刃視点で貧乳党」  という感じでお願いします。
3・『聖刀くんの日常』で聖刀と絡むキャラを募集してます。
 例:「聖刀視点で三羽烏」  という感じでお願いします。
4・おまけ参でのメインとなる子供達を募集しています。
 シチュエーションのリクエストも大歓迎です。
以上の四点にリクエストの集計(TINAMI、Pixiv双方の合計)を振り分けますので、
よろしくお願いいたします。
今まで通り、リクエストに制限は決めてありません。
何回でも、一度に何人でもご応募いただいて大丈夫です。

ご意見、ご感想、ご指摘などもご座いましたら是非コメントをお寄せ下さい。
誤字脱字は雷起の反省を促す為、修正後も抜粋して晒しますw

総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
2846 2277 10
コメント
殴って退場さん>【4】紫苑の艶っぽさを手に入れられたら完璧ですね。リクは【1】紫苑B、雪蓮&蓮華B&小蓮A、三バカ+白蓮A、桔梗A、春蘭A&秋蘭B【2】王様ゲーム【3】聖刀と祉狼と昴の初めてのお使い【4】親子鍛錬、一刀の執事喫茶、魔法少女華琳、歳の差姉妹誕生、大喬小喬の天気予報。それぞれ1票頂きました___φ(。_。*)カキカキ(雷起)
殴って退場さん>ありがとうございます。戦乱の思い出が有りこの想いを胸にしている。眞琳達、そして二刃との違いも自分で再確認する事が出来ました。【1】貂蝉と卑弥呼の人工呼吸は罰ゲームではなく『刑』ですよね…。【2】いたしている最中に飛び込んでしまった場合は、どうやって誤魔化たでしょうねw【3】完全に掌握されている一刀さんw(雷起)
神木ヒカリさん>仮面白馬もそれなりに強い筈ですが、まともに勝負の着く場面が思い浮かびませんw対戦相手に関係なく、全て引き分けになってしまいそうw 聖刀は正にハーレム王ですね。  リクはいつものと、聖刀と祉狼と昴の初めてのお使い、聖刀と貧乳党、おまけは眞琳による金桂達いじり。それぞれ1票頂きました___φ(。_。*)カキカキ(雷起)
【4】璃々も立派に成長して、色んな意味で紫苑の後継者になれるだろうな。リクは【1】紫苑B、雪蓮&蓮華B&小蓮A、三バカ+白蓮A、桔梗A、春蘭A&秋蘭B【2】王様ゲーム【3】聖刀と祉狼と昴の初めてのお使い【4】親子鍛錬、一刀の執事喫茶、魔法少女華琳、歳の差姉妹誕生、大喬小喬の天気予報でよろしくお願いします (殴って退場)
今回は読み応えタップリの回でした。璃々の色んな想いが出ていましたね。【1】春蘭と愛紗の場面は笑ってしまいましたが、貂蝉と卑弥呼の人工呼吸は死んでも受けたくないな…。【2】聖刀も凄いところに辿りついたなw。これがまだ夜でなくて良かったww。【3】華琳の読み的中、見事な一刀ホイホイww。(殴って退場)
白馬仮面が何勝したのか気になる。さらに誰に勝ったのかも気になる。 おまけ肆、そっか聖刀は一人で一刀以上の人数の嫁を相手にすることになるのか、大変だな。 リクはいつものと、聖刀と祉狼と昴の初めてのお使い、聖刀と貧乳党、おまけは眞琳による金桂達をいじりをお願いします。(神木ヒカリ)
タグ
恋姫†無双 真・恋姫†無双 萌将伝 恋姫†英雄譚 ?? 北郷一刀 北郷二刃 北郷聖刀 璃々 華蝶連者 

雷起さんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。


携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com