孤高の御遣い 北郷流無刀術阿修羅伝 君の真名を呼ぶ 14
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左慈「・・・・・なるほど、事情は分かった、だが次にそんな重要な事を報告しなかったら、たとえお前でもタダでは済まさんぞ!! 」

 

于吉「はい、申し訳ありませんでした・・・・・」

 

泰山の神殿に戻って来た二人、左慈は全身に重傷を負い力を治癒に回すので精一杯でとても動ける状態ではなく、于吉は申し訳なさそうに俯いていた

 

左慈「今は体中がいかれているから何ともならんが、本来なら殴り倒している所だ!!ぐううう・・・・・」

 

怒るのも当然である、あの時もし雷刀までも相手にしていれば、更に酷い事になっていたのは明白なのであるから

 

今回は只単に運が良かっただけである、もし雷刀が敵対関係にあったらと思うとぞっとする

 

左慈「だが、お前のおかげで窮地を脱することが出来たのも事実だからな、今回は大目に見てやる・・・・・」

 

于吉「ありがとうございます・・・・・」

 

雷刀の事を説明し終えて、頭を下げると同時にほっと胸を撫で下ろす于吉だった

 

左慈「それにしても、お前は一体何を呼び出したんだ?北郷と裏の北郷は、相当に驚いた顔をしていたみたいだぞ」

 

于吉「何を呼び出したのかは私にも分かりません、私は只、あの二人が心の中に描く最も強き存在を具現化しただけですからね、具現化した瞬間にこちらに攻撃される恐れもありましたが、どうやら賭けに勝ったようですね」

 

左慈「という事は、あいつは・・・・・」

 

于吉「ええ、あの存在は近い内に消えます・・・・・しかし、10日はこの外史に留まっていられるでしょうね」

 

左慈「10日か、なら放っておいても何も問題は無い、たった10日では何も出来る事は無いからな・・・・・だが、暫くお前に動いてもらうぞ、俺はこの有様だからな・・・・・」

 

于吉「はい、このような状況になってしまったのは私の責任でありますから、喜んで引き受けます」

 

左慈「北郷の様子はどうだ?」

 

于吉「また見失ってしまったようです、千里眼で探索していますが、何処へ行ったのやら・・・・・」

 

目を瞑り、精神を集中させて荊州を黙視していく于吉だったが、一刀と雷刀の姿は何処にもなかった

 

その時

 

???「ほっほっほ、大分苦戦しておる様じゃの♪」

 

またもや柱の裏側から声が聞こえてくる

 

左慈「・・・・・またか、いい加減俺達の前から失せろ!」

 

于吉「待って下さい、左慈」

 

左慈「于吉!こいつらの協力を仰ぐなら、お前でも殺すぞ!」

 

于吉「左慈、もはや意地を張っている場合ではありません、このままでは何時まで経っても我々は自由になれはしません」

 

左慈「・・・・・・・・・・」

 

于吉「ここは、多少妥協してでも、彼らの協力を得るべきです」

 

左慈「〜〜〜〜〜っ!・・・・・だが、後でどれだけ無茶苦茶な要求をされるか・・・・・」

 

???「ほっほっほ♪何か勘違いしているようじゃの、別にワシらはお主らに何かを要求したい訳ではないし、何かをして欲しいわけでもないぞ♪」

 

左慈「なんだと!?」

 

???「こちらはお主らを憂いて、無償で手を貸してやろうと言っているんじゃ、自分達の力でやろうというその姿勢は褒められるが、少しくらい外部の協力があっても罰は当たらんと思うのじゃが?」

 

于吉「左慈、これは破格の申し出だと思うのですが・・・・・」

 

左慈「・・・・・分かった、だが今暫く待て、こっちもまだ全てを出し切った訳ではない、それまではお前らの手は借りん」

 

???「ほっほっほ♪それもよかろう、朗報を期待しておるぞ♪」

 

そして、謎の人物の気配は消えていった

 

于吉「・・・・・左慈、せっかく無償でしてくれると言っていますのに」

 

左慈「駄目だ!やはりあんな腹黒い奴らは信用出来ん!タダでやってくれるなど、そんな慈善団体的な事をする奴らだと思うか!?」

 

于吉「・・・・・・・・・・」

 

左慈「必ず裏がある・・・・・下手をしたら、丸々取り込まれるぞ!」

 

于吉「・・・・・分かりました、自分達で出来る事は自分達でやるべきですからね」

 

左慈「俺の傷が癒えるまでは頼むぞ」

 

于吉「心得ております、愛しき左慈♪」

 

于吉「殺すぞ!!気色悪い!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雷刀「・・・・・ぐぅ、くうぅぅぅ!」

 

刀誠に吹っ飛ばされた雷刀は目を覚ました

 

雷刀「いかん、気を失っていたか・・・・・俺は・・・・・そうだ、あのくそじじいに吹っ飛ばされたのか・・・・・」

 

意識を覚醒させ、自身が置かれている状況を確認する

 

どうやら木の太枝にくの字に引っかかっているようで、体のあちこちに痛みが走る

 

雷刀「くそ、あのくそじじいめ、一体何処まで飛ばしやがったんだ・・・・・」

 

体中に走る痛みに耐えながら、木から下り、その木に背を預けた

 

雷刀「はぁ〜〜〜〜・・・・・しかし、一体どうなっているんだ?北郷一族はこの外史とかいう世界に呪われてでもいるのか?あの阿呆に俺、おまけにくそじじいまで来るなんて、どうかしているぞ・・・・・」

 

ここまでのイレギュラーが出て来てしまえば、もはや歴史の修繕など出来るはずがない

 

この先に来るはずの400年に渡る乱世を潰してしまっただけでも致命的なのに、この上祖父まで介入してくるとなると手が付けられない

 

雷刀「まったく、どうすりゃいいってんだ・・・・・それにしても、ここは何処だ?」

 

自身がどこに飛ばされたのか分からず、途方に暮れる雷刀

 

その時

 

父親「走れ走れ!!」

 

母親「言われなくてもそうしてるわよ!!」

 

雷刀「ん?」

 

木の影から覗きこむと、そこには胸に赤ん坊を抱いた母親と、その護衛として剣を帯刀している父親が走っている様子が見えた

 

どうやら何かに追われているらしく、相当に焦っているようだ

 

父親「この巴西(はせい)は、治安が良いって言っていたのに、どうしてこうなるんだ!!?」

 

母親「無駄口叩いてないで走って!!」

 

雷刀「(巴西、という事は益州か・・・・・あのくそじじいめ、そんな所まで飛ばしやがったのか)」

 

「おおっとぉ!!ここから先は通行止めだぜ!!」

 

「大人しく身ぐるみ全部置いていきな!!それとそっちの美人さんは俺らの肉便器だぁ♪」

 

どうやら賊は馬持ちのようだ、4本足で挑まれれば縮地法でも体得していない限り逃げられっこない

 

父親「くっ!うおおおおおおお!!!!」

 

間髪入れずに剣で斬りかかる父親だったが

 

「おっとぉ!!」

 

ガキイイン!!

 

父親「あっ!!?」

 

しかし、新たに馬を駆った賊が現れ、その剣は槍によって弾かれる

 

どうやら賊は3人で全員騎乗しているようだ

 

父親「た、頼む、妻と子は見逃してくれ!!俺はどうなっても構わない!!」

 

「おおそうかい♪妻も子も渡して私も貴方方の奴隷になりますだってよぉ♪」

 

父親「なっ!!!??」

 

「そうかいそうかい♪俺達の為にそこまで身を粉にして働いてくれるのかぁ♪ありがとよ♪」

 

「赤ん坊は売り飛ばして、女は犯して、てめーは死ぬまでこき使ってやるよ」

 

父親「くっ!!この外道が!!!」

 

雷刀「(ったく、嫌な時代だぜ、野盗が闊歩できるなんて・・・・・まぁ、これも人類が成長し発展していく為には必要な事、あんた達の犠牲は忘れないぜ、アーメン)」

 

父親「うおおおおおおおおおお!!!!」

 

賊「どらあああああ!!!!」

 

ドゴンッ!!

 

父親「がはあっ!!!」

 

母親「あなた!!」

 

僅かな抵抗を試みるも、馬の馬力に勝てる訳も無く体当たりで吹っ飛ばされてしまった

 

雷刀「(俺には関係ない・・・・・俺はあの阿呆とは違う、これ以上の歴史改ざんは御免だ)」

 

父親「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

「てめー!!しつこいぞ!!」

 

「頭、どうすんですかい!!?」

 

「もう面倒臭え!!全員殺しちまえ!!身包み剥いでとんずらだ!!」

 

父親「ぐううう・・・・・」

 

母親「あなた、あなたああああああ!!!」

 

雷刀「(恨むなよ、お前達がどうなろうとこれは歴史の必然、時の流れにおける運命だ)」

 

「まずは野郎からだ、どんな悲鳴を聞かせてくれるか楽しみだぜ♪」

 

馬上から槍を構え父親に突き付ける

 

父親「うぐうう・・・・・すまない、守ってやれなくて・・・・・」

 

母親「あなたああああああ!!!!誰か助けてええええええええええ!!!!」

 

雷刀「・・・・・っ!」

 

「へっへっへっへ♪テメーの血はどんな色だぁ♪・・・・・って、ん?」

 

「ブルルル!ブルン!!」

 

「お、おいコラ!!どうしたんだ!!?」

 

いきなり、賊達の乗っている馬達が震え出し挙動不審に陥る

 

「おい、大人しくしろ!!言うことを聞け!!」

 

「ま、待て!!何かに怯えているぞ!!」

 

「ブルルン!!ヒヒーーーーーーーン!!!!」

 

「うわあっ!!!!」

 

いきなり暴れ出した馬は騎乗者を振り落とした

 

「いって〜〜〜・・・・・ちくしょう、いったいどうしたって・・・・・な、なんだこりゃあ・・・・・」

 

ブヲヲヲヲヲヲヲ

 

辺りを見てみると木々や草叢の間から黒い影の様な物体が這い出してきた

 

「か、頭ぁ!!なんですか、これ!!?」

 

「知るか!!俺だってこんなもの初めて見るぞ!!」

 

ブヲヲヲヲヲヲヲヲ!!

 

そして、その影は形を形成していき、数匹の大蛇となる

 

「うわあああああああああ!!!!何なんだこいつはあああああああ!!!!??」

 

「来るな、来るなあああああああああああ!!!!」

 

「ば、化け物か!!!!?」

 

「ヒヒーーーーーーーーン!!!!」

 

その見るも悍ましい大蛇の姿に賊と馬達は完全に混乱状態に陥る

 

父親&母親「「(ガタガタガタ、ブルブルブル)」」

 

父親と母親もその大蛇を見て、お互いに抱き合い震え上がっていた

 

「くそっ!!!これでもくらえ!!!!」

 

賊の頭がその大蛇に槍を突き立てるが

 

ボキッ!!

 

「なっ!!!??」

 

その槍は、大蛇の口に咥え取られ折られてしまった

 

ブヲヲヲヲヲヲヲヲヲ!!!

 

そして、更に大蛇の数が増えていく

 

「に、逃げろおおおおおおおおおお!!!!」

 

「ま、待ってくれ頭あああああああ!!!!」

 

「置いてかないでくれええええええ!!!!」

 

そして、賊達は我先にと逃げ出していった

 

母親「ああ、あなたぁ・・・・・」

 

父親「お、おまえぇ・・・・・」

 

自分達はこのまま、この得体のしれない大蛇に食われてしまうんだと覚悟する二人だったが

 

フシュウウウウウウウ・・・・・

 

父親「・・・・・あ」

 

母親「・・・・・え?」

 

しかし、その大蛇達はまるで水に浮かべたパン粉のように拡散し、消えていった

 

父親「・・・・・いったい、何だったんだ?」

 

母親「ええ、何が起こったの?・・・・・」

 

今起こった事象が理解できず、途方に暮れる父親と母親の姿があった

 

雷刀「(まったく、俺も焼きが回ったか・・・・・これで完全にあの阿呆と同等の共犯者になっちまったぜ)」

 

邪気を使って大蛇を形成し賊を追い払った雷刀は、眉間に指を沿え遣る瀬無い気持ちになっていた

 

父親「・・・・・きっとこれは、神様がお前達は死んではならないと、お力添えをして下さったに違いない♪」

 

母親「そうよ、これは神様のお導きよ♪」

 

雷刀「(はっ、何言ってんだか・・・・・だがこの時代では、そういった感覚に陥るのも無理はないか)」

 

母親「では、神様のお膳立てを得る事が出来きたことですし、この陳寿を劉備様のお役に立つ立派な子に育てましょう、あなた♪」

 

父親「ああ、お前はきっと人々が尊敬してやまない立派な人間になるぞ、承祚よ♪」

 

雷刀「!!!!???」

 

この名を聞いて、雷刀は度肝を抜かされる

 

父親「お前は志高い、立派な武人になるんだぞ♪」

 

母親「何言っているのよ、この子は女の子よ♪文官として育てて立派な殿方に貰って頂かないと♪」

 

父親「俺の様な、か♪」

 

母親「何を馬鹿な事を、さっき賊に一太刀も入れられなかったくせに」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

父親「うっ、それを言うな・・・・・それより、ここは危ない、劉備様の居らっしゃる成都の方が安全だろう」

 

母親「そうね、この子が伸び伸びと育つ為にも、もっと安全な場所で暮らさなくちゃ」

 

そして、その親子は成都へと立ち去った

 

雷刀「・・・・・・・・・・」

 

去っていく親子の後姿を見送りながら雷刀は唖然としていた

 

陳寿承祚、後の蜀漢の皇帝となる劉禅と、晋の初代皇帝となる司馬炎に仕えた官僚、三国志演義の元となる、三国志の著者である

 

だが一つ引っかかる、史実では陳寿は劉禅よりも後に生まれている、まだ劉禅が生まれてもいないのに、何故に先に生まれているのか

 

しかし、この矛盾だらけの世界ではそういったことも起こりうると思えば納得はいく

 

同姓同名の別人という事も考えられるが、もし本当にあの赤ん坊が陳寿本人であれば、これは由々しき事態である

 

周りを見ても、鬱葱と茂る森林があるだけで人っ子一人おらず、あの親子が助かる要素など何一つないのは明白である、もし自分が助けていなければあの親子は確実に死んでいた

 

そうなっていれば、陳寿は歴史の表舞台に出る事は無く後の三国志演義も生まれてこないという事になってしまう

 

という事は、一刀がこの世界に来て山賊狩りとして百万の命を奪った事も、その罪の意識のあまり自分が生まれてきた事も、北郷刀誠がこの世界に来たのも、全ては偶然でも神が与えた一時の戯れでもなく、必然だったという事になってしまう

 

雷刀「あ・・・・・あははは・・・・・あ〜〜〜っはっはっはっはっは♪♪は〜〜〜っはっはっはっはっはっは♪♪♪」

 

額を抑え声高々に狂ったように笑い出す雷刀

 

これが笑わずにいられるか、今まで散々一刀を亡き者にしようとしていた自分が馬鹿みたいに思えてくる

 

雷刀「ふふふふふ♪・・・・・これを、運命(さだめ)というのか・・・・・ならば、それに従うしかないだろう」

 

そして、その瞳に力を宿し、拳を握り締め雷刀は歩き出すのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「・・・・・これで良し、先生、終わりました♪」

 

とある荊州山奥の川辺で薄紫色の長髪の少女が衣服の洗濯をしていた

 

???「それは好きかな好きかな♪こちらも良き山菜と薬草が取れましたよ♪」

 

???「わぁ〜〜、沢山取れましたね♪」

 

???「好きかな好きかな♪これで暫くは、困りませんね♪」

 

川辺では、薄紫色の長髪の女の子が洗濯物を洗い終え、その後ろに籠一杯に山菜を詰め込んだ長髪の白銀髪の女性が佇んでいた

 

???「では、これにて帰りましょうか♪」

 

???「はい、明日のお勉強の準備もしないといけませんし♪」

 

そして、洗濯物を桶に入れ薄紫髪の少女は帰途に付こうとする

 

???「あら、あれは・・・・・」

 

???「?・・・・・どうかされましたか?」

 

その時、白銀髪の女性が川上から何かが流れて来るのに気付いた

 

???「あれって・・・・・あ!!人ですよ!!」

 

???「あらあら、それは大変です」

 

???「お助けしますか!?」

 

???「もちろんです♪世の為人の為が水鏡女学院の教えの道なのですから♪」

 

???「はい!」

 

そして、薄紫髪の少女はその人物を川から引き揚げた

 

???「あ、男の人です」

 

???「まあまあ、これはこれは♪なかなかの殿方ですね♪////////」

 

眠るように気絶した青年は端正な顔立ちで、その右頬に刻まれた十字傷が品格を醸し出させるが

 

???「あら、この殿方は・・・・・」

 

その青年を見てこの女性は何か引っかかりを感じていた

 

???「え?お知り合いの方ですか?」

 

???「いいえ、ただ・・・・・前に手紙で・・・・・」

 

???「手紙、ですか?・・・・・」

 

???「・・・・・それより、この殿方を連れて帰りましょう」

 

???「えっ!!?いいんですか!!?」

 

???「好きかな好きかな♪これも女学院の教えです♪」

 

???「でも、水鏡女学院は男子禁制ですよ!!男の人を連れて行ったら校則違反になってしまうのでは!!?それにこの人がどんな人か分かりませんよ、もしかしたらとんでもない悪人かもしれませんし!!」

 

???「渚さん、それよりも大事な事があります、これは私の勘ですが、この殿方はきっとそんな人ではありません・・・・・それに、私の中の何かがこの殿方を助けなければと強く訴えているのです」

 

渚「先生・・・・・分かりました、先生がそこまで言うなら・・・・・」

 

そして、渚はその青年を担ぎ上げようとするが

 

渚「うっ!?結構重いです・・・・・」

 

体格に似合わないその重量に渚は四苦八苦する

 

趨凜「あらあら、なかなかに逞しい殿方みたいですね♪・・・・・仕方ありません、一緒に連れていきましょう♪」

 

そして、二人は協力して青年を連れて行こうとするが、本来10分とかからない道程を30分かけて行く事となってしまったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時雨「・・・・・どうぞ、おじい様」

 

あの後、刀誠は天角の城に招かれ、天角が秘蔵している最高級のお茶を出されていた

 

刀誠「おお、これはすまんの、世話を掛けるわい♪」

 

時雨「いいえ、旦那様のおじい様ですのでこれくらいの事は当然です」

 

刀誠「ほっ、旦那様と来たか♪あ奴も未熟者のくせにこれだけの美女を揃えて悠々自適な生活をしおって、羨ましいにも程があるわい♪」

 

時雨「そんな、そんな事ありません!!」

 

村長「そうですじゃ!!一刀殿が未熟者などと言い出してしまったら、ここにいる者は一体どうなるというのですじゃ!!?」

 

華琳「そうね・・・・・今の言は取り下げていただけませんか、おじい様・・・・・」

 

雪蓮「ええ、いくら一刀のおじいさんでも許せないものがあるわね」

 

桃香「はい・・・・・どうか今の言葉は撤回していただけませんか?・・・・・」

 

刀誠「お主達がどう思っておるかは関係ない、一刀の祖父であるワシにとって、一刀はいつまで経ってもケツの青いひよっこじゃ、現に一刀と裏の一刀は先ほどワシに手も足も出んかったしのう♪」

 

「・・・・・・・・・・」

 

刀誠「まぁ、一刀の奴もこの世界に来てあ奴なりに頑張ってきたみたいじゃしの、流石に及第点くらいはつけてやっても良いかの♪」

 

そう言いながら、刀誠はお茶を飲み干した

 

時雨「あ、御代りをどうぞ」

 

刀誠「おお、すまんすまん♪煩わせてすまんのう♪」

 

紫苑「・・・・・それにしても、素敵なおじい様ですわね♪/////////」

 

桔梗「ああ、明るく裏表がない、ワシも将来こんな御仁になりたいものよ♪///////」

 

祭「一刀も年を取ると、こんな聡明な老体になるのかのう♪///////」

 

華琳「・・・・・それではおじい様、幾つか我々の質問に答えていただけますか?」

 

刀誠「ん、良いぞ♪ワシが知っている事であれば可能な限り答えてやろう♪一刀がいくつまで寝小便をしていたか、いつ歯が抜けたか、北郷流免許皆伝をいつ与えたか、全て答えてやろう♪」

 

状況が許せばそういった事も聞きたいが、今はそんな悠長な質問をしている場合ではない

 

しかし、それでも空気を読まない人間は必ずいる

 

鈴々「はいは〜〜〜い、質問なのだ〜〜〜♪おじいちゃん、今いくつなのだ♪」

 

愛紗「ちょっ!!?鈴々!!?」

 

桃香「鈴々ちゃん!!?」

 

白蓮「おいおい、今する質問なのかよ!!?」

 

璃々「璃々も聞きたかったよ〜、何歳なの〜?」

 

紫苑「こら、璃々!」

 

刀誠「おお、86じゃ♪まだまだいけるぞい♪」

 

雪蓮「は、86ですって!!!?」

 

時雨「そんな、とてもそんなお年には見えません・・・・・」

 

村長「し、信じられないですじゃ・・・・・」

 

この時代の天命を軽く超えた数字に一同は度肝を抜かされる

 

刀誠「別に珍しくも無いぞ、ワシと一刀が生きていた時代では、100を超えてもまだ生きている者などザラにおるわい」

 

桃香「ええええええええ!!!!??」

 

杏奈「そんな事・・・・・それでは、天の民は皆龍族なんですか!!?」

 

刀誠「龍族?・・・・・おお、お主とそこの龍の娘っ子の事か・・・・・それは違うぞい、ワシらの時代では長生きできる環境と条件が整っておるだけじゃ、そのような特別な血など誰も持っておらん」

 

龍奈「あ、そうなんだ・・・・・びっくりしたぁ、一刀もこいつと同じ龍族の末裔かと思っちゃった」

 

刀誠「しかし、ワシら北郷家は少し違うかのう・・・・・」

 

季衣「え?それってどういう事、じいちゃん」

 

刀誠「寿命は関係ないのじゃが、北郷の血を受け継いだ者は皆、氣を扱う事に長けた者が多いのじゃ、どうやらワシらの家はそういう血筋のようじゃのう」

 

雪蓮「・・・・・という事は、一刀の子は皆♪」

 

春蘭「ああ、私達の血と交われば、相当な氣の使い手が生まれる事になるぞ♪」

 

霞「そりゃ凄いわ♪今から楽しみやで〜♪」

 

刀誠「ただし、それ相応の教育を施さねばならんぞ、氣を扱う者の心得や己を律する術を叩き込まねば、育つのは只の破壊神じゃ」

 

小蓮「・・・・・そうだね、その通りだよ」

 

秋蘭「ああ、でなければ一刀と同じような者をまた生み出す事になってしまう」

 

凪「皆さん、今はそんな事を聞く時ではないでしょう!!!」

 

蓮華「そうよ、一刀が死んでしまうかもしれないのに、どうしてそんな事が聞けるの!!!?」

 

雫「そうです、一刀様が死んでしまわれては、子供どころの話ではありません!!!今の状況を分かっているのですか!!!?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

流石に不謹慎だったかと、質問をした者達は猛省した

 

華琳「それでは、今度こそ真面目な質問です・・・・・おじい様は、どうしてこの世界に来たのですか?」

 

刀誠「う〜〜〜〜む、難しい質問じゃわい・・・・・ワシもどうしてここに自分がおるのか分からんしの」

 

愛紗「は?それはどういうことなのですか?」

 

管輅「それについては、私達が説明した方が早いわね」

 

貂蝉「そうねん、おじい様も自分の状況を理解した方がいいでしょうし」

 

卑弥呼「ああ、私達の自己紹介も中途半端になってしまっておるしの」

 

焔耶「そういやそうだ!まだお前らが何者か聞いていなかったぞ!」

 

零「そうね、ご主人様の事を私達と同じくご主人様と呼んでいるというのは、どういう事なの?」

 

貂蝉「う〜〜〜〜ん、話すと長くなっちゃうけどね〜〜〜〜ん・・・・・」

 

華琳「構わないわ、今更どんな事実が出てきても大抵の事では狼狽えない自信があるわ」

 

卑弥呼「なれば話そう、私達とご主人様の関係について、私達がどうしてこの世界に来たかを」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貂蝉「・・・・・・・・・・というわけなのよ」

 

雪蓮「・・・・・とても信じられないわね」

 

雫「はい、この世界とは違う同じ世界が無数にあって、その分だけ一刀様が存在しているなんて」

 

貂蝉「別の外史の徐庶ちゃんも、ご主人様に仕えられて幸せそうだったわよん♪」

 

雫「・・・・・・・・・・」

 

貂蝉「私達は、これらの世界を管理している存在なのよ、そしてこれらの世界の事を私達は外史と呼んでいるわ」

 

零「世界を管理している存在ですって?」

 

卑弥呼「簡潔に話せば、私達は左慈と于吉と同職の者と言っていいわい」

 

華琳「なんですって!!?」

 

桃香「それじゃあ、皆さんはご主人様の敵なんですか!?」

 

管輅「確かに私達はあの二人と同等の存在と言っていい、ただし思考までは共有していないわ」

 

冥琳「それは、どういう意味なのだ!?」

 

貂蝉「私達は外史肯定派の管理者であって、左慈ちゃん達は外史否定派の管理者、自分達の意思に従ってそれらの世界の破壊活動を行っているのよ、見境無しにね・・・・・」

 

卑弥呼「私達も必要とあらばそういった事もするが、左慈達の様な無差別な外史の破壊などせん」

 

管輅「そういった無数にある外史の管理と剪定が私達の役目なの、左慈達のようなやり方は管理者の枠を外れた行い、正史に悪影響を与えるものよ・・・・・私達は、それを止める為にこの世界に来たという事よ」

 

貂蝉「外史を破壊する為には、その外史に置いて重要な核となるご主人様を亡き者にするのが絶対必須条件なのよ・・・・・左慈ちゃんと于吉ちゃんが死に物狂いでご主人様を殺そうとする理由はそれよ」

 

菖蒲「・・・・・なんだか、話が飛躍し過ぎていて付いていけません」

 

刀誠「なるほどのう、無数に存在する並行世界か・・・・・」

 

星「なんと!御じじ殿は今の話を理解できたと申すのか!?」

 

刀誠「ワシらの時代にはそういった概念や理論が存在するからのう、全てとまではいかんが大まかには理解できるわい」

 

冥琳「それは凄い、貴殿達の世界は一体どこまで進んでいるというのだ・・・・・」

 

菖蒲「・・・・・では、管輅さん達は私達の、一刀様の味方という解釈でよろしいのですか?」

 

管輅「ええ、間違いないわ」

 

貂蝉「ご主人様の為なら、貂蝉ちゃん頑張っちゃううん♪」

 

卑弥呼「ご主人様とは長い付き合いだからのう、私もご主人様の為に身骨を叩くとしよう、がはは♪」

 

雫「では、三国の力を全て結集し左慈と于吉を討ちます!!」

 

零「ええ、おじい様も協力してください!!一緒にご主人様を苦しめる輩を討ちましょう!!」

 

刀誠「それは断る」

 

「!!!!???」

 

玉座の間にいる誰しもがこの言葉を信じることができなかった

 

雫「な、何故ですか!!?一刀様は、刀誠様のお孫様なのでしょう!!?」

 

蓮華「そうです、自分の孫が危機に瀕している時に何もしないなんて、それが祖父のやる事なんですか!!?」

 

刀誠「あ奴は自分の思考、信念に従って力を行使した、それによって起きた事象、起こりうる事は全てあ奴自身の責任、自分でケツを拭いてこその筋というものじゃ、都合が悪くなればワシに縋る様なウンコたれに育てた覚えなど無い・・・・・そして、それはお主らにも言える事、自分の尻も自分で拭けん様な女子に一刀を任せる事など出来ん」

 

「・・・・・・・・・・」

 

刀誠「このままでは、お主達は未来永劫一刀を救う事など出来はせん、あれだけの罪の意識に囚われている人間を救える女子がおるとは思えんがのう」

 

「・・・・・・・・・・」

 

龍奈「それじゃあおじいちゃん、私に全部任せて♪私が絶対一刀を幸せにして見せるから♪」

 

刀誠「ふむ、まぁ確かに、この中で一番マシなのは龍の娘っ子かもしれんのう♪」

 

「!!!!???」

 

龍奈「でしょでしょ♪なにせ一刀言っていたもん、今まで本気で女の子を抱いた事なんてなかったって♪氣を使いながら攻めてくる一刀って、すっごく逞しくて素敵だったわぁ???/////////」

 

霞「な、なんやて!!!??」

 

雪蓮「貴方まさか・・・・・一人で一刀の相手をしていたの!!?」

 

雫「そんな、私達だって一刀様を一人で相手にする事なんて出来ないのに////////」

 

嵐「ああ、最低でも5人は必要だ//////////」

 

菖蒲「一人で一刀様の相手をしたら、絶対に絶頂き狂いにされてしまいます//////////」

 

恋「(コク)・・・・・無理//////////」

 

零「おまけに氣を使ったですって!!?あんた大丈夫なの!!?」

 

龍奈「確かに、私も一刀の攻めに腰が抜けそうになった事が何回もあったからね、人間があんなの味わっちゃったら壊されちゃうのは目に見えているわね??/////////」

 

冥琳「そうか・・・・・我々がいない間に一刀を慰めてくれた事を礼を言う、ありがとう」

 

龍奈「・・・・・ふ〜〜〜〜ん、少しは礼儀というものを分かっているみたいね」

 

桔梗「しかし拙いのう、このままではヴリトラにお館様を独占されてしまいそうだわい・・・・・」

 

葵「なら、俺達もお前に負けないくらいの力と体を手に入れればいいという事だ?」

 

恋「(コク)・・・・・絶対負けない」

 

龍奈「はあ?一刀をあんな目に合わせたくせに、今更一緒に暮らしたいだなんて都合の良い事を言い出すわけ?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

「・・・・・・・・・・」

 

貂蝉「・・・・・龍奈ちゃん、そこまでにしてあげなさい」

 

卑弥呼「うむ、あればかりは何をどう足掻こうと防ぐ事は出来なかったのだからな」

 

管輅「そうね、龍族の貴方は別にしても、この世界の住人は管理者の術に対して対抗する術を一切持たないし、この子達を責める事は出来ないわ」

 

龍奈「そんなもの言い訳でしかないわ!!防ぐ術が無かったとしても、左慈と于吉が敵だと気付く要素はいくらでもあったはずよ!!なのにこいつらときたら、それを全部無視して一刀に敵対心丸出ししてあそこまで追い詰めて、それでよくも一刀と一緒に暮らしたいだなんて平気で言えるわね!!」

 

「・・・・・・・・・・」

 

余りに正論過ぎるために一同は何も言えなかった

 

刀誠「うむ、至極尤もじゃな・・・・・じゃが、事はお主一人でどうにか出来るものでは無いという事は分かっておるじゃろう」

 

龍奈「・・・・・それは」

 

刀誠「その否定派の管理者とやらは、一刀を殺すまで追ってくるのは目に見えておる、お主一人で一刀の身柄を守り切れるなどと思うておるわけではないじゃろうな?」

 

龍奈「・・・・・・・・・・」

 

刀誠「ワシが一刀にしてやれる事は、あ奴に喝を入れてやる事くらいじゃ・・・・・そして、お主達にもな」

 

流琉「それは、どういう意味なんですか?おじい様」

 

刀誠「ワシは、一刀と雷刀を探す手伝いは一切せん、ワシがお主達にしてやれるのは精々稽古くらいじゃ、それ以外はしてやれん」

 

蓮華「そんな・・・・・お願いですおじい様!!!どうかご協力ください!!!どうか一刀を助けてあげて下さい!!!」

 

穏「れ、蓮華様・・・・・」

 

亞莎「蓮華様・・・・・」

 

まるで皆を代表して、皆の本音と気持ちを刀誠にぶつける蓮華であったが

 

刀誠「ならぬ、たとえ孫であろうとも・・・・・いや、孫だからこそ自分で起こした事の不始末は自分で取らせる、それが北郷家の仕来りじゃ」

 

蓮華「そこを何とかお願いします!!!一刀はこれまで謂れ無き理不尽に永遠と晒されてきたんです!!!どうかそこも考えてあげてください!!!」

 

刀誠「くどい、理不尽などこの世の誰もが晒されるもの、自分だけが特別扱されるなど断じてあってはならぬ、お主達も今回の件で一刀に嫌悪されたとしてもそれはそれ、これまでお主達がやって来た事と比べれば軽いものじゃ」

 

蓮華「お願いします、ぐすっ・・・・・お願いします・・・・・一刀に嫌われる事になったら、私はもう死ぬしかないんです・・・・・今でさえ死にたくてしょうがないのに・・・・・」

 

百合「・・・・・蓮華様ぁ」

 

思春「蓮華様・・・・・」

 

一刀の事を思うあまり、蓮華は大粒の涙を流していた

 

刀誠「・・・・・これ程の別嬪さんに、しかもこれだけの数に慕われておるなど、一刀も罪作りな奴よのう・・・・・しかし、お主達がどれだけ一刀の事を慕っておろうが、一刀本人にその気がなければ何もならん」

 

明命「そんな事ありません!!私達が記憶を取り戻した事を知れば、きっと一刀様は戻ってきてくださいます!!」

 

刀誠「たとえお主達が記憶を取り戻したことを知ったとしても一刀は戻っては来ん、今のあ奴は死に場所を探し求めるだけの歩く屍に過ぎぬ、お主達が死に物狂いで探そうとも必ず逃げるじゃろう、それくらいあ奴は自分の死を望んでおる・・・・・まぁワシの事もあるし、自ら自害する可能性は無いと今のところは断言しておいてやろう」

 

「・・・・・・・・・・」

 

刀誠「それに、仮に戻ってきたとしても、これまでの生活を取り戻せるとはとても思えん、このままではあ奴は重過ぎる罪の意識の余り、狂い死にしてしまうのは目に見えておる・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

刀誠「一刀を救いたいというお主達の気持ちが真なれば、まずお主達自身が変わらねばならぬ、これまでお主達は一刀に頼りきりな節があったみたいじゃしのう」

 

冥琳「・・・・・ええ、その通りです、もはや一刀に苦労は掛けられません」

 

雫「はい、今回の件が終わりましたら、一刀様には隠居していただきます」

 

桂花「ええ、あいつの仕事は全て私達が引き継ぐわ」

 

桃香「うん、もうご主人様には頼れないよ・・・・・」

 

雪蓮「そうね・・・・・おじい様、この忠久をお返しします」

 

恋「恋も、ご主人様の剣、返す」

 

刀誠「おお、忠久と金剛刀か、久方ぶりに見たぞ♪一刀に託して以来じゃったからのう♪」

 

華琳「託したですって?」

 

刀誠「おお、これは北郷家が代々伝えてきた北郷家当主の証じゃからのう♪一刀には近いうちに北郷家当主の座を明け渡して21代目になってもらうはずだったのじゃが・・・・・こともあろうに一刀の阿呆め、この二振りを蔵の奥にしまってしまいおって」

 

霞「な、なんでや!?なんでこないに凄い剣をしまってまうんや!?」

 

純夏「ええ、これは使わない手はないのに!」

 

刀誠「まぁの、ワシと一刀の暮らしていた時代ではこのような武器はもはや必要とされておらんからのう・・・・・一刀の奴もああいった性格じゃし、これを次の世代に伝える気は毛頭無かったみたいじゃからのう」

 

雪蓮「・・・・・いずれにせよ、これはお返します」

 

恋「(コク)・・・・・はい」

 

そして、忠久と金剛刀を刀誠に渡そうとする雪蓮と恋だったが

 

刀誠「・・・・・すまんが、それを受け取ることはできん」

 

雪蓮「え!?どうして!?」

 

恋「・・・・・?」

 

刀誠「それは、お主達自身の手で一刀に渡すのじゃ、それがお主達が一刀にしてやる最低限の責任じゃ」

 

恋「・・・・・でも」

 

雪蓮「ええ、私達が一刀の剣を持っている資格なんて・・・・・」

 

刀誠「なればこそじゃ、お主達がそこまで一刀にした事を悔やんでおるのなら、自身の手でこれを返し、謝罪の言葉を伝えるのじゃ」

 

雪蓮「・・・・・そうね、それくらいしないと孫呉の王の名が廃るわ」

 

恋「(コク)・・・・・分かった」

 

そして、雪蓮と恋は陸奥守忠久と龍滅金剛刀を装備し直した

 

麗羽「それでは、一刀さんのおじい様には部屋をご用意いたしますわ」

 

音々音「そうですな、一刀のおじいさんでもありますし、これから一緒に住む事になりますし」

 

刀誠「残念じゃが、それは無理じゃのう」

 

猪々子「え、なんでだよ」

 

貂蝉「そうよ皆、それは無理なのよ・・・・・」

 

斗詩「だから、どうしてなんですか!?」

 

管輅「今この場にいる北郷一刀の祖父は、実体ではないのよ」

 

零「な、なんですって!!?」

 

貂蝉「このご主人様のおじい様は、于吉ちゃんがご主人様と裏のご主人様の記憶から実体化させた幻影にすぎないのよ、ただし幻影と言っても質量はあるし生身のそれと大差ないから飲食と就寝は出来るし必要ね・・・・・でも、いずれ消えてしまうわね・・・・・」

 

卑弥呼「ああ、于吉も相当力を使って実体化させたようだが、もって10日かのう・・・・・」

 

菖蒲「そんな・・・・・それでは、一刀様も実態ではないというのですか!!?」

 

管輅「いいえ、北郷一刀はこの外史における重要な根源の一つですからね、彼の体は生身のそれよ」

 

貂蝉「ただし、このおじい様はそうはいかないわ、于吉ちゃんの道術によって半ば無理矢理この外史に呼ばれたもの・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

刀誠「そういう事じゃ、10日間だけ世話になるが一方的な世話は受けん、居候の身である以上ワシも出来うる事はするわい・・・・・それと、管理者の方々、龍の娘っ子よ、少々いいかのう?」

 

卑弥呼「む、なんだ?」

 

龍奈「どうしたの?おじいちゃん」

 

刀誠「お主達と話がある、付いて来てくれるかのう?」

 

貂蝉「わぁ〜〜〜〜お♪ご主人様のおじい様なら、貂蝉ちゃん一肌も二肌も脱いじゃう〜〜〜ん♪////////」

 

刀誠「安心せい、お主が想像している事は何一つない、少々お主達とだけ話がしたいだけじゃ」

 

管輅「・・・・・分かったわ」

 

龍奈「う、うん・・・・・」

 

そして、刀誠は、龍奈と管理者達と共に玉座の間を後にしたのだった

 

月「・・・・・ご主人様のおじい様、皆さんと何を話すんだろう」

 

詠「想像もつかないわ、一刀と雷刀を簡単に倒せる化け物の話なんて・・・・・」

 

春蘭「ああ、稽古の時間が楽しみだぁ♪」

 

凪「はい、きっと想像も出来ないほどお強いに違いありません♪」

 

朱里「おじい様の事もありますが、私達は私達でやらなければならない事があります!!」

 

雛里「はい、大至急、ご主人様の捜索をしなければなりません」

 

冥琳「そうだ、やることはいくらでもあるぞ!!!今すぐに荊州にばら撒いた一刀の手配書を回収するぞ!!!」

 

雫「はい!!記憶が戻ったのは私達だけのはずです!!それに一刀様を捕らえた事は既に触れで知らせていますので、口実は付けられます!!」

 

華琳「そうね、三国の兵全てを使ってでも全て回収するわよ!!!」

 

桂花「そ、そんな!!?全てなんて無茶です、華琳様!!」

 

華琳「無茶でも何でもやるのよ!!!」

 

稟「その通りです!!!刀誠殿も仰っていたではありませんか、自分で責任を取れもしない者に一刀殿を任せる事など出来ないと!!!」

 

風「はい〜、おじいさんに認めてもらわなければ、風達はお兄さんの傍に居る資格など無いというのは分かっているでしょ〜」

 

徐栄「よし、俺達も行くぞ!!張済!!」

 

張済「おう、北郷隊全ての能力を使って回収して見せるぜ!!」

 

沙和「沙和も手伝うの〜〜!!」

 

真桜「ウチも気張るで〜〜!!」

 

葵「よっしゃ!!俺達も行くぞ!!」

 

翠「ああ、涼州の騎馬隊全てを使ってでも回収してやる!!」

 

蒲公英「うん!!おじい様の言う通り、自分のお尻は自分で拭いてこそだよ!!」

 

聖「そうだ!!一刀の旗を立てなきゃ!!撤去してそのままだったでしょ!!?」

 

詠「そうでした!!!嵐、菖蒲、今すぐに十文字の御旗を、私達の希望の旗を天角に掲げるのよ!!!」

 

嵐「分かった!!!」

 

菖蒲「燃やさなくて良かった・・・・・ぐすっ・・・・・本当に良かったです・・・・・」

 

雫「きっと、きっと見つけて見せます!!待っていて下さい、一刀様!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刀誠「・・・・・よし、ここで良かろう」

 

天角中庭の東屋にて、刀誠と管理者達は椅子に腰かけ、辺りに誰もいない事を確認し話を始めた

 

龍奈「それで何を話すの?おじいちゃん」

 

刀誠「うむ、他でもない一刀の事じゃ・・・・・お主達は、一刀が今何処におるのか気付いておるのか?」

 

龍奈「気付いていたら、真っ先に飛んで行ってるわよ」

 

卑弥呼「残念ながら、私と貂蝉は知らぬ」

 

貂蝉「ええ、私達は千里眼を持っていないから・・・・・管輅ちゃんは持っているから知っているわね」

 

管輅「ええ、見当は付いているわ」

 

龍奈「え!!?本当に!!?」

 

刀誠「ほほう、それは便利じゃのう、お主達は何故持っておらぬのだ?」

 

卑弥呼「管理者にも分業やら得意としているものはあるのだ・・・・・例えば私と貂蝉は、道術は不得手だが体技を究め向かい来る敵を薙ぎ倒し、それにより外史の剪定を行うタイプの管理者だ」

 

貂蝉「管輅ちゃんはその逆、道術を究めどちらかというとそんな私達をサポートするタイプの管理者ね、だからそういった特殊技能を幾つも持っているのよ」

 

管輅「たまにどちらとも出来る管理者もいるけど、そこまでの領域に到達するには長い年月がかかるわね」

 

刀誠「なるほどのう、これは釘を刺しておかねばならんな」

 

龍奈「え!?釘を刺すって何!?」

 

刀誠「うむ・・・・・この龍の娘っ子に、あの娘達に一刀の居場所を伝えないでもらいたいのじゃ」

 

龍奈「そんなおじいちゃん!!!?一刀を一人にしちゃいけないの!!!一刀は私と一緒に居ないといけないの!!!」

 

貂蝉「・・・・・言うと思ったわ」

 

卑弥呼「獅子は子を谷底に落とすというが、お主の場合はいささか度が過ぎておるのではないか?」

 

管輅「そうね・・・・・貴方、それでも北郷一刀の祖父なの?」

 

刀誠「これくらいの難局を覆せぬようでは一刀もあの娘達もそれまでということじゃ、どちらにせよ、このままでは双方共に不幸になるだけじゃしのう・・・・・一刀は己を許さねば、あの娘達は己を律せねば、この先決して幸せになる事は無い・・・・・」

 

龍奈「それは・・・・・」

 

管輅「・・・・・そうね、その通りだわ」

 

貂蝉「なんだかんだ言って、おじい様もご主人様の事が心配なのねん♪」

 

卑弥呼「うむ、恥ずかしがらずに素直にご主人様の事が気にかかると言えばいいものを、がははは♪」

 

刀誠「何を言っておる、心配など一っ欠片もしておりゃせん♪」

 

卑弥呼「は?」

 

貂蝉「へ?」

 

龍奈「え?」

 

刀誠「あ奴は、ワシが精魂込めて鍛え上げてやったのじゃぞ、まだまだ未熟な所があるが、それでもワシの孫には違いない、これくらいの事など一人で軽く乗り切るわい♪」

 

管輅「そうだといいわね・・・・・ただし、本当に必要な場合は私達も会いにいかないといけなくなってしまうから、その辺は了承しなさい」

 

刀誠「構わん、そっちの職務にまで口を出せるほどワシも偉くはないしの」

 

そんなたわいもないような感じで会話をする刀誠と管理者だったが

 

華佗「話の邪魔をしてすまない、刀誠さん、俺もあんたに話があるんだが、いいか?」

 

その時、東屋の階段を駆け上がり、華佗が話の間に割って入って来た

 

貂蝉「あ〜〜〜ら、華佗ちゃん構わないわよぉ♪ちょうど一区切りついたところだからぁ♪」

 

卑弥呼「おお、ダーリンよ♪戯れに来てくれたのか♪/////////」

 

華佗「いや、他でもない一刀の事で来たんだ・・・・・」

 

貂蝉「そういう事ねん・・・・・」

 

卑弥呼「事は、ご主人様の寿命についてだな」

 

華佗「なに!!?知っているのか!!?」

 

管輅「私達は外史の管理者ですもの、それくらい見抜けないようではそのようなものは務まらないわ」

 

龍奈「私も、一刀の寿命が短い事は知っているわ・・・・・」

 

華佗「なら、あんた達も話に加わっても問題はないだろう・・・・・刀誠さんは、知っているんですね、一刀が余命五年だということを・・・・・」

 

刀誠「ああ・・・・・ワシの見立てでは、あ奴はおそらく3年も生きられんじゃろう」

 

華佗「・・・・・刀誠さんの力で、何とかなりませんか?」

 

刀誠「どうにもならんのう・・・・・回天丹田、それは北郷流三大禁忌が一つ、本来ならかなり弱めに時間も一瞬のうちに済ませるのが本来の使い方じゃ、それをあ奴は限界まで氣を高め時間も無視しおまけに幾度も使うておる・・・・・寿命が削れるのも自明の理というものじゃ」

 

華佗「・・・・・貂蝉や卑弥呼や管輅、ヴリトラでもなんとかならないのか?」

 

貂蝉「私達じゃどうにもならないわね・・・・・」

 

卑弥呼「うむ、仮になんとか出来たとしても、このご老体がそれを許さんだろうし、何よりご主人様本人が許さんだろう」

 

管輅「ええ、北郷一刀が自分を許さない限りは、たとえ寿命を引き延ばしたとしても、罪の意識に苛まれる時間が長くなるだけよ」

 

龍奈「龍族にも寿命を引き延ばす術はないわ、だから私は一刀と少しでも一緒に居たいんだけど・・・・・」

 

刀誠「そうじゃのう・・・・・あ奴は、たとえ悩みがあっても、決して人には話さん、全て一人で抱え込む・・・・・そういう類の人間じゃ」

 

華佗「・・・・・・・・・・」

 

刀誠「まぁ、あ奴は昔からしっかりしておったからのう、殆んどの問題は自分一人で解決することが出来たし、その能力があった・・・・・しかし、今回ばかりはそれが完全に裏目に出てしまったようじゃな」

 

華佗「・・・・・刀誠さんは、一刀に喝を入れると言っていたが、具体的にどうするんだ?」

 

刀誠「そうよな・・・・・あ奴とはいずれもう一度拳を交える事になるじゃろう、その時にあ奴がワシを倒すことが出来るくらいの、曇りの無い拳を手に入れ物事を見定める力を手に入れられていれば、あるいはこの先を生きる道筋が照らされるやもしれん」

 

華佗「だが、一刀は僅かな時間であんたに倒されてしまったし・・・・・」

 

刀誠「安心せい、あ奴の力量は既にワシを超えておる」

 

華佗「な、なんだって!?だって一刀はあんたに・・・・・」

 

刀誠「それは、時期と条件が噛み合わなかっただけにすぎん、あ奴の精神は今はかなり不安定なうえに、体中の損傷、特に背中の傷が痛手になっておる、あれでは本来の力の五分も出せん、だからワシは一刀と雷刀、あ奴らを同時に相手に出来たのじゃ」

 

華佗「ということは、一刀が万全の状態であれば・・・・・」

 

刀誠「うむ、まずワシは勝てぬ」

 

華佗「なら、次にあんたと一刀が戦えば・・・・・」

 

刀誠「一刀の回復ぶりにもよるが、ワシが一刀に勝つことはもはやないじゃろう」

 

華佗「・・・・・あんたは、孫の為に命を投げ出すつもりなのか?」

 

刀誠「そんなはずあるまい、ワシも老いたとはいえ北郷流宗家を務めた人間じゃ、そう簡単にこの御霊取らせる気は無いわい♪」

 

華佗「ならよかった・・・・・ただでさえ百万人以上の人を殺してしまっているのに、その上祖父殺しなんて・・・・・あいつには、もうこれ以上何かを背負ってほしくない」

 

刀誠「・・・・・一刀の親友がお主で良かったわい」

 

華佗「よしてくれ、俺だって一刀を追い詰めてしまった一人なんだ、一刀には少しでも幸せになって欲しいと思うのは当然の事だ」

 

刀誠「そうか、あ奴も幸せじゃのう・・・・・ワシがあ奴にしてやれる事は限られておる、何せワシは十日しかこっちに居られんらしいからのう、後の事は頼みますぞ、華佗殿」

 

華佗「任せて下さい、一刀とも誓っているんです、あいつの生き様をしっかり見届けてやると」

 

刀誠「本当に、あ奴は幸せ者じゃ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「(・・・・・・・・・・・・ここは)」

 

目を覚まし、最初に見たのは見知らぬ天井

 

一刀「(俺は確か・・・・・そうだ、じいちゃんに吹き飛ばされて、川に落ちて・・・・・そこから記憶がないな・・・・・)」

 

周りを見渡してみると、見知らぬ寝台、見知らぬ部屋、開け放たれた扉からは光が差し込み、広々とした中庭が見える

 

まるで日本庭園の様なそれに思わず息を飲む、まさに療養にはもってこいの環境であろう

 

一刀「いつつつ!・・・・・あの妖怪じじいめ・・・・・突っ込んだのが川だったか良かったけど、これがもし岩肌だったらシャレにならないぞ・・・・・って、これは・・・・・」

 

自分の体を見てみると、全身を包帯で巻かれ、その包帯から漢方の匂いがしてくる

 

一刀「(・・・・・なるほど、薬草か)」

 

どうやら手当をしてくれたのは相当に薬草に詳しい人であるようだ

 

包帯の中にそのまま入れず、磨り潰し粘着状にして入れる事によって効果をより高めている

 

一刀も旅をしていた時、こういった薬草を煎じて飲んだりしていたので華佗も脱帽するほど、この国の薬草には詳しかった

 

一刀「(・・・・・しかしどうなっているんだ・・・・・なんでじいちゃんまで来るんだよ)」

 

おそらく今頃は、天角に居候しお茶を片手に彼女達に自分の事を吹き込んでいるに違いない

 

自分の過去を知っていることもあり、左慈や于吉より圧倒的にたちが悪い

 

しかし一つ引っかかる、かつて管輅が言っていた事が正しければ、自分が前にいた世界は他の自分がこうだったら良かった、という思念によって植えつけられた記憶でしかないはず

 

という事は、北郷刀誠という祖父は存在せず、その祖父がこの世界に来て自分と戦うなんて事は実現しないはずである

 

一刀「(どうやら、まだ俺の知らない秘密があるみたいだな・・・・・でも・・・・・)」

 

そう、今更天角に戻り全てを確かめたとしても、それでどうなるというものでもない

 

しかし、あの祖父の事を放っておくなど論外である

 

一刀「(どうすればいいっていうんだよ・・・・・)」

 

むやみに死ぬことも出来なくなった一刀は、この先どんな行動をとれば良いのか分からなくなってしまった

 

その時

 

渚「あ、先生!!起きました、あの人が起きました!!」

 

見知らぬ薄紫色の髪の女性が部屋に入って来たかと思うと、慌てて出ていき誰かを呼びに行った

 

趨凜「それは好きかな好きかな♪」

 

すると今度は、穏やかな声と共にかなりの細目で白銀髪の女性が入ってくる

 

薄紫色の女の子は、扉の後ろに隠れ少しだけ震えていた

 

趨凜「お加減はいかがですか?見知らぬ殿方様♪」

 

一刀「・・・・・手当てをしてくれたのは、貴方ですか?それとも後ろの人ですか?」

 

趨凜「手当をしたのは私です、体が汚れていましたので、あの子と協力して少々清めてから手当てをさせていただきました」

 

一刀「ありがとうございます」

 

趨凜「いえいえ、私も久方ぶりに目の保養をさせていただきましたので、お相子です♪///////」

 

一刀「?・・・・・目の保養?」

 

趨凜「うふふふ♪こちらの話です♪/////」

 

渚「〜〜〜〜〜〜〜っ!//////////」

 

銀髪の女性は、口元に手を沿え頬を少しだけ赤らめ、薄紫髪の女の子は恥ずかしそうに顔を真っ赤にしていた

 

つまりはそういう事であろう

 

趨凜「ほら渚さん、そんな所で隠れていては失礼ですよ」

 

渚「あ、はい・・・・・失礼します//////////」

 

優しい声で呼びかけられ、おぼつかない足取りでその女の子は部屋に入って来た

 

今にも転びそうで危なっかしい

 

一刀「自分は、北郷一刀といいます、助けて頂いてありがとうございます」

 

趨凜「・・・・・・・・・・」

 

一刀「・・・・・あの、どうかしましたか?」

 

渚「趨凜先生?」

 

細目過ぎてよく分からないが、どうやら驚いているようだ

 

渚も普段からの付き合いであるので趨凜の雰囲気が一変した事は理解した

 

趨凜「ああ、すみません、ボーとしていました・・・・・私は、司馬徽、字を徳操と申します、周りは水鏡と呼んでいます♪」

 

一刀「水鏡!!?それじゃあ雫の・・・・・あ」

 

つい口を滑らせてしまった

 

渚「え!?雫さんを知っているんですか!?」

 

一刀「い、いや、知っているというか・・・・・徐庶元直といえば天角の筆頭軍師として有名だから・・・・・」

 

なんとか誤魔化そうとするが、真名を呼んでしまった時点で手遅れだった

 

趨凜「うふふふ♪もう遅いですよ、元直さんの真名を呼んだ時点で貴方は彼女とそういう関係だという事を暴露したも同然です♪」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

どうやら誤魔化しきれないようだ、ついつい滑らせてしまったこの口が憎たらしい

 

渚「貴方はいったい誰なんですか?どうして徐庶さんの真名を・・・・・」

 

趨凜「渚さん、いけませんよ、まずは自分の名を名乗らないと」

 

渚「あ、そうですね、すみません・・・・・私は、向朗、字が巨達です」

 

一刀「え!!?」

 

渚「ど、どうされたんですか!?」

 

一刀「い、いや、なんでもない・・・・・と言う事は、ここはかの有名な水鏡女学院なんですか?」

 

趨凜「ここが水鏡女学院である事は否定しませんが、貴方はまだ私達の質問に答えていませんよ」

 

渚「はい、雫さんと貴方はどういった関係なんですか?」

 

一刀「それは・・・・・・・・・・ごめんなさい、言えません」

 

渚「そんな!雫さんは先生の生徒で、私の友達なんです!話してくれてもいいのではないですか!?」

 

趨凜「・・・・・どうしても、言えないのですか?」

 

一刀「・・・・・申し訳ありません」

 

猫背になり項垂れる一刀は、聞かないでくれという雰囲気を醸し出していた

 

趨凜「分かりました、無理には聞きません・・・・・それでは一刀さん、私の事は趨凜と呼んで下さい♪」

 

渚「え!!?そんな先生!!いきなり真名を預けるなんてどうかしています!!」

 

趨凜「そうかもしれませんね・・・・・しかし、元直さんの真名を知っている事、そしてなにより、このお方の紳士さに心が動きました、よって私はこのお方に真名を許します」

 

渚「先生・・・・・」

 

趨凜「渚さんは、どうですか?」

 

渚「・・・・・もう少しだけ待って下さい、まだ覚悟が足りません//////」

 

趨凜「そうですね、貴方はおそらく殿方に真名を預けた事は、親くらいでしょうし」

 

渚「はい・・・・・すみません//////」

 

趨凜「好きかな好きかな♪少しずつでいいんですよ♪」

 

一刀「でも、本当にいいんですか?雫と知り合いだというだけで簡単に預けてしまって」

 

趨凜「先ほども言いましたように、私は貴方の紳士さに心動かされました、呼んでいただいて結構です♪」

 

一刀「分かりました・・・・・自分は、北郷一刀、字と真名がありませんので北郷か一刀と呼んで下さい、趨凜さん」

 

趨凜「・・・・・やはりですか」

 

渚「え?なにがですか?」

 

趨凜「いいえ、なんでもありませんよ♪次は渚さんの番ですよ♪」

 

渚「わ、私は、今のところは巨達と呼んで下さい、そ、そっちの方が気が楽です//////」

 

一刀「分かったよ、巨達」

 

渚「〜〜〜〜〜〜〜っ!////////////」

 

字を呼ばれた途端に渚は慌てたように部屋を出て行ってしまった

 

一刀「あ、え!?どうしたんですか!?自分、何かしたんですか!?」

 

趨凜「気にしないで下さい♪あの子はとても人見知りですので、おまけにこんな立派な殿方とお話しするなんてここ数年無かったはずですし♪」

 

一刀「え!?数年って!?」

 

趨凜「この女学院は、かなりの山奥に居を構えていますからね、おまけにここは基本男子禁制ですから♪」

 

一刀「な!!?それじゃあ自分が居たら拙いんじゃ!!?」

 

趨凜「そこは、一刀さんが怪我人という事で好しです♪学院長権限です♪」

 

こうして、様々な疑問が渦巻く中で一刀は水鏡女学院に厄介になる事になった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも、Seigouです

 

ここで、皆さんにご相談があります、前々からこの阿修羅伝の事を北郷伝の外伝と言ってしまっていましたが、北郷伝の話の中の、話数で言えば54話と55話の間の語られなかったお話なので、外伝という表現は相応しくないのではないか、という事に気付いたのです

 

この場合どういった表現が一番正しいのでしょうか?ご意見を頂けると嬉しいです

 

 

 

 

 

 

さて、今回登場した新たなキャラ、司馬徽徳操こと趨凜(スウリン)と、向朗巨達こと渚(ナギサ)

 

まずは趨凜の見た目なんですが、一騎当千の趙雲さんだと思って下さい

 

文章でも言っていますが、いつも眠っているのではないかと勘違いされてしまうくらいの細目で、通り名は水鏡先生と、眠りの水鏡

 

滅多に目を開ける事は無く、その瞳を見た人は数えるほどしかいないと言われているとても神秘的な人

 

体系も趙雲さんと同じく極上の女体をそのまま具現化したかような美女

 

性格は凄く御淑やかで、口癖は『好(よ)きかな、好(よ)きかな』、しかし怒らせると三国の王でも涙目になるくらい怖い

 

朱里と雛里、そして雫の先生だけあって、軍略、政略の他、この時代の中国に存在するあらゆる学問を究めた超絶頭脳の持ち主であるが、性に対しても貪欲であらゆる房中術をマスターしている生粋の妖女

 

しかし、それにも拘らず未だに一人身

 

それは何故かというと、その独特過ぎる人柄と高性能過ぎる能力ゆえにどんな男でも彼女の尻に敷かれてしまうので、誰も寄り付かなくなってしまった

 

何時まで経っても結婚できない事を憂い、俗世との繋がりを殆ど絶ち、水鏡女学院という私塾を開き今に至る

 

 

 

 

 

 

渚の見た目は、カミカゼエクスプローラーの景浦智

 

こちらも趨凜に負けず劣らずのムチムチボイン

 

朱里、雛里、雫とは旧知の仲で、女学院で共に学んでいた時は、いつも一緒にいて相当に仲が良く、3人に引けを取らない頭脳を持っている

 

しかし、極度の気弱で知らない人とは殆ど話せず、外の世界にはほとんど出た事が無い

 

そんな性格故に、乱世に飛び出すことが出来ず、志を持って飛び出した勇気ある朱里達を羨ましがる引き籠りの世間知らず

 

そんな彼女も、生活する為には働かねばならず、趨凜の手伝いをしながら細々と暮らしている

 

唯一の趣味である趨凜秘蔵の艶本を読みながらそのはちきれんばかりの悩ましい体を持て余しながら日々を過ごし、いつか男性経験もしてみたいという願望を密かに抱いている

 

とこんな感じです

 

またこんなエロい設定のキャラ出しやがってSeigou、どう考えても肌馬直行じゃねーか!!、と思う人が大半を占めている事でしょう

 

彼女達と一刀がどんな関係になるかは今後の展開次第です、という訳で・・・・・待て、次回!!!

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コメント
その間のお話になるんですね…個々の北郷は他の外史に比べて不幸すぎませんかね…(救いがないとは言ってない)(はこざき(仮))
孤高の御遣い 北郷流無刀術阿修羅伝 君の真名を呼ぶ 15 続きまだですか (ているず)
続きをお願いします。(yuuki)
そういえば馬休は男性として登場してましたね。残念です。でも朱里の妹は触れられてないので期待してもいいですよね。続きを楽しみにしています。(yuuki)
yuukiさんへ、残念ながらこの外史では大喬と小喬、鶸と蒼の出番はありません、大喬と小喬はすでに死んでしまっていますし、馬休と馬鉄は英雄譚発売予告前という事もありすでに男性キャラとして登場してしまっていますので(Seigou)
ついでに翠の妹二人も登場とかもありかも。でも水鏡さん一刀が自己紹介した時、やはりって言ってる。もしかして…于吉の術かからないで英雄王の一刀の事覚えてるのか?(yuuki)
一刀の言い方から察するにやっぱ皆が記憶戻ったのに気づいてないな。まあ当然だが。これは確かに探しても逃げるだろう。そうして逃げてるうちにまた肌馬増やすんだろうこの種馬は。自分としては朱里の妹登場で諸葛三姉妹そろい踏みとか、実は流行病で死んだって孫堅の嘘で江東から病にかかる前に逃がされてた大喬、小喬登場とか希望。(yuuki)
あと二つの内一つは雷刀との戦いで雷刀が使ってた千刀戮功だろうから、残りの一つこそタイトル通りの無刀術の最強奥義なんだろうな。(yuuki)
あと二つあるのかよ、回天丹田だけでも化物だというのに…新しいキャラ登場か…種馬めぇぇぇ(怨嗟の声)(スネーク)
三大禁忌の残りの二つも寿命縮むんだろうなぁ〜なら一刀が使う機会はなさそうだな〜^^;(nao)
祖父として孫を救いたい気持ち、北郷の一族として助けられない気持ち、刀誠はその狭間にいることがわかります。NINJA GAIDEN3における、忍者として斬るべき存在と人間として守るべき存在、二つの葛藤の中で戦ったリュウ・ハヤブサを連想しました。(麒麟)
本編を一刀の本伝である“伝記”という意味だとすれば、本伝に載っていない補助となる物語に当たると思いますので意味的には外伝でもあっていますのでそのままでもいいかと・・・これからの一刀と雷刀の動きが気になります(本郷 刃)
ジジィ・・・「三大」って、あと二つなんだよ!?あれレベルにヤバい技ってなんだよ!?!?っていうか春蘭とか「稽古」って単語で切り替え早すぎじゃね!?!?(心は永遠の中学二年生)
そういう事なら「幕間(まくあい)」という文字を入れてみてはどうでしょうか。「幕間」とは演劇における一つの幕が終わって次の幕が始まるまでの間という意味ですので、例を挙げると「幕間活劇」あるいは「幕間秘伝」といったところでしょうか?(h995)
IFの物語なんですから外伝でもいいと思いますよ? (Eire)
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