真・恋姫無双 別たれし御遣い 第三十六話
[全4ページ]
-1ページ-

〜司馬懿視点〜

「瑠璃(司馬朗の真名)姉、葵(司馬懿の真名)姉、帰ったよ〜」

琥珀(司馬敏の真名)が帰還した

しかし、公の場での口の利き方は注意しないと

「琥珀、公と私の区別を弁えなさいと何度言ったら・・」

「良いじゃん、私達しかいないんだから」

全く、口の達者な妹ね

「はあ、で、土産と云う男がいると聞いたのだけど?」

「うん、連れて来な」

琥珀の命令で二人の男が入って来る

正確には一人の男と、意識の無い男を運んだ二人の兵も入って来た

「道すがら訊いたけど、こいつは「神医」華佗らしいぜ

 もう一人は北郷一刀、だろ?」

「なに?」

随分な大物二人だ

華佗は「神医」として名高い

だが、私の興味はもう一人”北郷一刀”だ

顔を確かめるが、どうやら間違い無い

間諜等に描かせた似顔絵と一致する

これは使えそうね

「琥珀、本当に良い土産を持って来てくれたわ

 皇帝陛下が手の内にある上、孫呉の「天の御遣い」が手に入った

 この二つを利用して、孫呉を叩き潰すわよ!」

私の頭の中で既に戦略は組み立てられた

「で、具体的にどうすんの?」

「琥珀に同意」

琥珀もだけど、瑠璃姉様ももうちょっと考えてよ

瑠璃姉様は長姉なんだから

「先ずは、”北郷一刀”がこの洛陽に保護されている、と噂を流すわ」

「なっ?そんな事したら孫呉から返還要求が来るわよ」

「それで良いんです 葵姉様」

そう、これが第一段

我等が天下を取る策の

-2ページ-

〜一刀視点〜

俺が目を覚ましたのは謁見の間でだった

だが、声を出すのも辛かったので反応しなかった

「皇帝陛下が手の内にある上、孫呉の「天の御遣い」が手に入った

 この二つを利用して、孫呉を叩き潰すわよ!」

この言葉で意識が完全に覚醒したが、目が覚めて無い振りをした

何より、状況を知りたい

「ほら、入れ!」

目を開けていないので分からないが、もう一人いるようだ

暫くして、隣にいる一人以外の気配が消えたのを確認して目を開ける

「一刀、目が覚めたのか!」

華佗だった

「此処は何処なんだ?」

華佗から此処が洛陽である事、司馬懿が此処を治めているらしい事を聞く

「そうか・・・」

考え込んだ俺に

「それより、大丈夫なのか?

 手当てを施したが、命に関わる怪我だったんだぞ」

華佗にそう言われて、自分の体の状況を再認識する

「華佗が手当てをしてくれたのか

 ありがとう 鞘姉だけで無く俺も華佗に命を助けられたな」

「医者が怪我人を治療するのは当たり前だ」

本当に良い医者だな

 

「これからどうするつもりだ?」

華佗が表情を引き締めて、訊いて来た

「取り敢えずは怪我から回復しないとな

 この状態では何も出来ない」

「俺がしっかり治してやる

 だが、一月は覚悟しろ

 完治した後、なまった体を元に戻さないとならないんだからな」

「華佗の指示に従うよ」

-3ページ-

〜雪蓮視点〜

赤壁の戦いから一月が過ぎた

司馬懿は私達に侵攻して来無い

それどころか許昌から撤退して、司隷に戻ってしまった

曹操はその情報に憮然としていたが

私達も赤壁の戦いでの消耗が大きく、手が出せない

そもそも司馬懿が私達に敵対するのかも分からない

 

この一月、鞘華は働きづめに働いている

休むように促したが

「動いている方が楽だから」

そう言われてしまい、何も言えなくなった

余談ながら

「雪蓮も見習え」

と冥琳に言われた とんだ藪蛇ね

 

「姉様、お呼びにより帰還しました」

蓮華が建業に帰還した

「蓮華、この建業を暫く貴女に任せるわ

 私は荊州に行くから

 司馬懿と戦う事になったら荊州から攻める事になるからね

 鞘華も私に同行する事になるわ」

洛陽に攻める事になれば水関と虎牢関のある東からより南の荊州からの方が良い

そんな時、冥琳が血相を変えて飛び込んで来た

「雪蓮、洛陽に一刀が居るとの噂が立っている!」

「それは本当なの?!」

鞘華が冥琳に食ってかかる

「まだ噂でしかない

 真偽のほどは分からん」

でも何故司馬懿が一刀を?

考えても疑問が解けない

「雪蓮、考えても埒が明かない

 此処は明命に探らせよう」

それが、最善ね

「明命よろしく」

「御意」

礼をして出て行く

 

「それにしても何で一刀が司馬懿の所に居るのかしらね

 もしかして司馬懿も私達と同じ考えで、自分達の一族に一刀の血を・・・」

「雪蓮、それ以上言うな」

と冥琳が視線で鞘華、静里、蓮華を指す

「一君、私にこれだけ心配かけといて、他の女に手を出していないわよね〜」

「一刀さん、信じてますよ でも裏切ったらどうなるかは保証しませんからね〜」

「一刀、浮気したら只じゃおかないわよ〜」

三人が黒い気配を出していた

 

〜???視点〜

「『天の御遣い』・・

 この人は私を司馬懿の傀儡から救ってくれる人になってくれないのでしょうか・・・」

私は空を見上げて呟く

-4ページ-

〜あとがき〜

 

予想はつかれたでしょうが司馬敏が連れて来たのは一刀と華佗でした

 

司馬懿の策は少しづつ明らかにしていきます

 

最後の人物は一応伏せておきます

でも殆ど言ってますよね

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
司馬懿の策謀が動き出す
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
3356 3001 16
コメント
嫉妬できるならまだまだ三人とも元気だなw(スネーク)
一刀が敵側にいる事がわかったのに心配するのはそこなんだ?wまぁ種馬だから仕方ないかw(nao)
追記.この辺りも男女の配役が逆転しているだけで、龍狼伝とほぼ同じですね。策の仕掛人が「司馬仲達」である事も含めて。(h995)
うわあ、これは拙い。天子たる皇帝と、天の御遣い。この二つを結び付けて、これ以上無い大義名分を得るのですね。華琳は別に皇帝を政治利用する気は無かったでしょうけど、だからこそ今迄孫呉の戦略が通用していたわけで……そしてそれが今、途轍もなく巨大な墓穴に。ヤバいなあ。(Jack Tlam)
あぁ成る程。今まで乱世によって別たれていた「天の子」を一つにする事で、片方の天を偽りの名を騙る者として地の底にまでつき落とす訳ですか。……苦肉の策を補完した冥琳の行動が、見事なまでにブーメランとなって返ってきますな。(h995)
タグ
真・恋姫無双 北郷一刀 北郷鞘華 雪蓮 司馬懿 

ZSANさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。


携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com