真・恋姫無双 別たれし御遣い 第三十八話
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〜司馬懿視点〜

周瑜と程普は絶句している 無理もない

自分達の利用していた名声が完全に我等に奪われたのだ

しかも自分達が『天の御遣い』の名声を高めていただけに反動も大きい

おまけに、自分達の元に居る北郷鞘華の存在意義も危うくなるかもしれない

まだ領土が完全に安定しない上、孫呉は元々豪族の集合体

内部分裂の危険性もある

内憂外患 それも特別強力な物だ

 

「伺いたいが、それは北郷・・様も承知なのか?」

「承知している

 陛下は人間的に聡明で、女性として見目麗しい御方

 男が断る訳が無かろう

 それ以前に陛下がお決めになった事に、異議を唱えられる訳が無かろう」

劉協が決めたのは嘘だが(そもそも結婚が現時点では嘘)それは問題では無い

「一度、北郷様 御本人に会って話をさせて頂きたい」

「それは出来ぬ

 北郷様は帝の婚約者

 その立場の御方に一領主の家臣がおいそれと会える訳が無かろう」

周瑜は何も言えずに、唇を噛んでいる

「貴公も納得したなら急ぎ帰還されるが良かろう

 そして事の仔細を孫策に伝えるのが役目ではないかな?」

周瑜と程普は苦渋の表情で立ち上がる

「承知いたした

 此度はこれにて失礼する」

立ち去ろうとする周瑜達に

「そうそう、孫策に伝えて欲しい

 陛下と北郷様の婚儀には孫呉の重臣を招待するよう言上しておく

 皆で列席なさるが良い、とな」

止めの言葉を投げつけて置く

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周瑜と程普が出て行った後、姉様達がやって来る

「周瑜のあの顔、陰で見ていたけど笑いを堪えるのが大変だったよ〜」

琥珀が大笑いしている

 

「それで、次はどうするの?」

瑠璃姉様の問いに

「決まっています

 孫呉に攻め入ります

 大義名分は陛下の婚儀を妨害した、とでもしますか

 まあ言掛かりですが」

私の言葉に全員が驚愕の表情をする

「ちょっと、無理よ

 私達の兵力は総数で8万

 その程度の戦力でどうするの?」

碧(司馬孚の真名)が食ってかかって来るが

「孫呉は赤壁の戦いで消耗が大きい

 曹操の軍を取り込んだと云え、曹操軍も消耗が大きかったから、孫呉の兵の総数は10万程度

 私達が攻めるのは荊州 しかし洛陽東部や内乱に備えなければならない

 荊州に配置できるのは精々、5〜6万程度の筈」

私の説明に

「それでも洛陽を空に出来ない事を考えると出せる兵は5万程度

 同数か少ない兵力しかないよ」

琥珀が反論するが

「涼州連合と劉備を勅命で動かすわ

 涼州連合は帝の臣を自他共に認める者達

 ならば勅命には逆らわない

 劉備は漢王朝復興を旗印にしている

 本心はどうであれ、勅命に従わなければ自分達の言ってきた事が嘘となり、信を失う

 ついでに、我等が負ければ孫呉に滅ぼされるか、吸収されるか

 劉備の未来はそれしかない ならば動く事は間違い無い

 荊州の北から我等と涼州の連合軍

 西から劉備軍

 これを同時に凌ぐ事が孫呉に出来るかしら?」

孫呉はこれで荊州を失う

その後は内部分裂で自滅か、我等に削られ滅ぶか

もう打つ手は無いでしょう

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〜一刀視点〜

今日は中庭の様な所で陛下と話している

陛下と話す時は最初は謁見の間だったが、暫くすると場所を色々と変える様になった

側近は渋い顔をしていたが、陛下の意向には”一応”逆らえない

話をするようになって20日もしたころには、話す時には側近を遠ざけるようになった

「一刀の話は私にとって一番の楽しみ

 それを邪魔されたくありません」

と陛下に言われ、側近は尚も渋い顔をしたが、陛下の以下略

 

「そうですか 天の国は平和な所なのですね」

この日、陛下が呟いた

「一刀、この国を平和にするにはどうすれば良いと思いますか?」

陛下の表情がいつも違い、真剣な眼差しで訊いて来た

そして陛下から驚愕の構想を聞かされた

涼州連合を含めた漢、劉備の蜀、そして孫呉

この3勢力で均衡を保ち、戦乱を終結させる

まさか「天下三分の計」を陛下が考えていたとは

 

「問題が3つありますね

 一つ目は今となっては孫呉の勢力が大きすぎます」

「孫呉が荊州を手放せば、何とかなります

 孫呉が大陸の半分を治めていても、残り半分を2勢力が持っている

 これなら3勢力とも戦を仕掛けられません」

俺の一つ目の指摘は解決

「二つ目は実現したとしても、それを継続できるか です」

「貴男と劉備が了承すれば、解決する方法が有ります

 今は内緒にしておきましょう」

陛下が悪戯を思いついたような笑みで答えた

何なんだ?

「3つ目は司馬一族を何とかしないと」

「その機会が近い内に訪れます

 その時は頼みます

 私と共に平和な世を造る為に」

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〜あとがき〜

 

司馬懿の策の全貌が明らかになりました

 

劉協の思惑も明らかになりました

実現には駒不足でしたが、一刀の出現で動き始めました

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

 

説明
司馬懿の策、劉協の思惑
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コメント
冥琳が赤壁で流した噂に、荊州侵攻における蓮華の大失態が未だ隠蔽され、当人も全く処罰されていないという事実。……これらを司馬懿が上手く使えば、孫呉は戦うどころかまともに兵を集める事すらできずに自滅させられそうです。(h995)
皇帝が天下三分の計を考えているとは協力して司馬一族を内部からどうにかするのか?(nao)
タグ
真・恋姫無双 北郷一刀 司馬懿 劉協 

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