魔導師シャ・ノワール 闇の書偏 第四十一話 ヴォルケンリッター
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夕食の後、お風呂に入ってからゆったりと遊んで(主に、はやてを弄って)から

気が付くと大分、時間が過ぎていた。子供は既に眠りについていてもいい時間で。

二人ではやての部屋のベッドに入る。ちなみに俺は他のところで寝ようとしたが。

はやてに「そうしたらお泊りの意味が無い」と言われ。仕方がなく一緒のベッドに入った。

 

心身的に疲れていた俺はベットに入るとすぐに瞼が重くなるが。

はやてはというと夜更かしに慣れているのか。興奮して眠れないのか。

本を読みながら俺をぬいぐるみのように抱きしめて読書をしている。

 

ちなみにさっきとは逆の位置といえばいいのか。俺がはやての胸に押し付けられていた。

 

 

「いい加減、眠いんだが?」

 

「うん?そのまま寝てもええよ。女の胸で眠れるなんて男としては天国やろ?」

 

「アホ、十年経ってから言ってろ」

 

 

ペッたんこの胸で欲情するほど人間をやめてはいない。違う意味では人をやめているが

 

会話もほどほどに二人で過ごしていると。ふと、俺の過去の秘密をはやてに話すとどうなるかと考えるてしまう。怖がられ、嫌われるだろうか?それが普通だ。なのは達が変なだけだ。

 

いや、案外。このはやても受け入れてくれそうな気がする。

だけど、いまはそれを伝えるのはやめよう。ゆっくりと俺がいなくても笑って過ごせる人達ができてからでもいいだろう。俺が今居なくなったら、こいつはまた一人になってしまう。

いい傾向と言ってもいいのだろうが。こっちに来てからというもの人に興味を持ちすぎる。

だが、こういう考えが付きまとう辺り、自分の過去からは逃げられないと言われているようだ。

 

「ああ、わかっているさ・・・」

 

「ん?どないしたん?」

 

「いや、なんでもない」

 

そう、いまは魔導師ということも犯罪者で人殺しだったことも伏せておこう。

もしかすると語らずにはやての前から姿を消した方がいいかもしれない。

 

「さてと、流石にもう寝よう。もう零時だぞ子供じゃなくても寝る時間だ」

 

起きていると不要なことまで考えてしまう。時間も子供ならとっくに寝ている時間だ。

 

「んー。抱きしめて頭撫でてくれたら考えてもええかな?」

 

「そっか。お安い御よう・・・?」

 

突然、部屋が揺れ始める。

 

《ビリビリッ》

 

なんだ?この禍々しい魔力の波動は?

 

この部屋を中心に黒に近い紫色の魔力が浮かび上がり。

 

スタンドのランプしか明かりの無い薄暗い部屋の本棚から突然、辞書ほどの本が飛び出してくる。

その本は鎖によって四方が結ばれ。まるで禁書。

紫色に光りつつ鎖が千切れ。中のページが目にも止まらない速さで動き。突然閉じる。

 

「えっ!?」

 

「クローシュ!クロータル!」

『クロータル!』

 

バリアジャケットを一瞬で展開し。驚いているはやてを庇うように抱きしめて、

左手を本に向けながら魔法を発動する。俺とはやてを中心にドーム上に半円形の防御障壁が張られた。

 

「えっ!?えっ?な、なにがどうなって・・・」

「大丈夫だ。ぜったい守ってやる!」

「う、うん・・・」

 

そうしている内に本から音声が流れてくる。

 

『封印を解除します....起動』

 

 

音声と共にはやての胸元から光が洗われて中に浮ぶ。

 

「リンカーコア!?」

 

「あ、ああ・・・」

 

そして大きな魔方陣が現れ、部屋は虹色の光に包まれた。のだが...

 

 

 

光が止んだ部屋には四人の人間が膝を付いて居た。

 

「闇の書の起動確認しました」

 

「我ら闇の書の収集を行ない。主を守る守護騎士にてございます」

 

「夜天の主の下に集い者」

 

「ヴォルケンリッター。何なりとご命令を」

 

 

 

 

「なんだお前ら?」

 

 

黒いインナーに身を包んだ4人。

言葉を告げた頭から人物を言うと紫色の凛々しいポニーテールのお姉さん。

次に、金髪のセミロングのお姉さん。

その次は、青の短髪に筋肉モリモリマッチョマンのお兄さん。そこまでは、まだいいとして獣の耳と尻尾が生えている使い魔か?

その次はというと赤毛の、はやてよりやや小さな子供。

 

 

 

そして、はやてはというと俺の腕の中で怯えている。

 

「貴様、我らの主になにをした?」

 

なにをしたもなにも。なにかしたのはお前らだと言いたくはあったが言葉を飲み込んだ。

 

「事と次第によっては許しませんよ」

 

「フンッ」

 

「ぶっ潰す」

 

なんだか血の気の多い人たちのようだ。それに主って?

 

 

「そう殺気と立てるな。話し合いは可能なのだろう?」

 

「「「・・・」」」

 

四人の内の三人がポニーテールのお姉さんに僅かに視線を向ける。

どうやら、あいつがヘッドらしい。

 

「可能だ。ただし、我らの主に危害を加えないのならな」

 

「そうか。なら、まず聞きたいが主とはなんだ?」

 

「我ら闇の書の主だ」

 

「闇の書・・・」

 

さっき浮んだ妙な本か・・・。そして、主と言えばこの場の人間で考えられるのは・・・。

 

「はやて・・・なんか分からんが従者ができたっぽいぞ」

 

「ふ・・え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから夜通しに渡ってはやてと俺はヴォルケンリッターと名乗る彼等から説明受けることになった。

 

はやては魔法と言う存在を知らないのもあって。理解できていないところも多いようだったが。

 

大まかには理解したようで。寝不足であろう明け方にのんびりとした答えを打ち出した。

 

 

「そっか〜。つまり闇の書の主としてみんなの衣食住、面倒みなあかんいうことや」

 

「おい」

 

「なんや?」

 

「あまりに簡単に捉えすぎていないか?」

 

説明されたヴォルケンリッターと闇の書などの話を聞く限り。

 

リンカーコアから魔力を闇の書に収集すれば。途方も無い力が手に入るという危険な話だった。

 

恐らくは闇の書もロストロギアの産物だろう。そんな物がこの家に。そしてこの世界にあるとは。

 

 

「そうかな〜?でも、収集?やったっけ?それは人に迷惑を掛けるものやし。わたしは別に欲しいものもあらへんからな〜。それよりもわたしが聞きたい事はノワールくんにあるんやで?」

 

「そうか・・・」

 

 

やはり俺に来るよな。目の前に行き成りバリアジャケットの姿になりバリアを張って。

そして、現れた彼等に気負う事無く対処した。普通の子供のやることではない。

 

 

「俺は実は、魔導師だったんだ」

 

「うんうん♪それでそれで?」

 

 

目をキラキラとさせてはやてが見つめてくるがその期待を裏切るような話を俺は続けた。

 

過去行った悪事。この世界で暮らしている経緯などすべて。

 

その出来事を話していく内にヴォルケンリッターの4人の視線は鋭いものとなり。

 

はやても自分が思っていたような物語とは明らかに違う暗い話に

最後のほうでは俯いてしまっていた。

 

「騙しているような真似をしてしまってすまなかった。いつかは打ち明けようと思っていたんだ。いや、黙って消えていたかもしれない・・・。その時にはもう、俺なんかがいなくても笑って遊べる友達がはやてに居てさ。気にも掛けられないように離れるつもりだった。正直な、はやてを見てると放って措け無くて、俺みたいな奴で悪いとは思ってたんだけど。傍に居てやりたくてさ・・・」

 

そこまで話すとはやては徐に俺の前に移動して。思いっきり手を振り上げた

 

《パシィン!》

 

「・・・」

 

容赦の無い平手打ちが俺の左頬に命中した。

まあ、当然の結果か・・・もう、顔も見たくない筈だ。

人殺しの胸で抱かれ。血で汚れた手で頭を撫でられれば誰でも嫌だろう。

 

「わたしが怒ってる理由・・・わかる?」

 

「俺が騙して「ちがう」・・・」

 

「わたしが怒ってるのは勝手に居なくなろうと決めていた事や」

 

「・・・はやて?」

 

「辛い過去やし。簡単に人に言えないのも分かる。でも、わたしを友達やって言ってくれてわたしすごく嬉しかった・・・」

 

「・・・」

 

はやての言葉に俺はなにも言えずに。じんわりと熱を持ち始めた左頬が妙に熱い

 

「それやのに友達に何も言わずに消えるやって?ふざけるんやないッ!

 ノワールくんに取ってわたしってそんな軽い存在なん!?」

 

「それは・・・」

 

違うと続けたかったが、言葉が続かない。

 

「わたしに取ってノワールくんは大切な人や。そりゃ過去に悪いことも沢山したって言うのは聞いた。

 でも、それは自分で進んでやったことやないやろ!?生きるために仕方がなくやったことやないん!?

 わたしはそんな所為で悪さをした人が悪い人やと思わへん!」

 

「お前も・・・俺の家族と似たようなこと言うんだな」

 

「過去は変えられへん。それに、ノワールくんがその話してる時泣きそうな顔してた・・・。

 今も罪に苦しんでるんやろ?顔見たら分かるわ」

 

「・・・」

 

どうして、こうも俺の周りには・・・・。

 

「だから、勝手に居なくなるのも許さへん。友達をやめるなんて持っての他や」

 

「はやて・・・」

 

「ノワールくんこそ。わたしに甘えてもいいんやよ?」

 

そういうと、はやては俺の手を引っ張り。車椅子に座っている自分の方へと俺を引き寄せて抱きしめ始めた。

 

「辛いことや悲しいこと。わたしなんかで良かったら打ち明けてくれたらええ。

 わたしも同じように辛いことや悲しいこと。もちろん我が侭も言うと思うけど、そこは男の甲斐性で受け止めてな?」

 

「ああ・・・ごめんな。はやて」

 

 

そうされるがままにはやてに抱きしめられた後。はやてとで出かけることになったのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はやて?すごく目立ってる・・・」

「う、うん・・・シグナム達あの姿やからな〜」

 

車椅子を押して歩く少し後ろをヴォルケンリッターの4人が歩いて付いてくる。

 

ムキムキマッチョのザフィーラというアルフと似た使い魔には耳を隠して貰っているが。

正直言って、春先とは言え・・・黒いインナーに似た姿の4人組はかなり目立つ。

 

最初は、はやてと二人で服を買いに行く予定だったのだが

 

あの3人のリーダーしている。シグナムが反対してきて。

俺と主(はやて)を二人っきりにはできないと言い放って来た。

 

目立つだろうが仕方がなく。青い服のお兄さんやおじさんにお世話にならないように早足で服やへと向った。

 

「ま、まあ荷物持ちが多いから一気に買えるし。それにまず一着づつ買って着せればそれほど目だたんやろ」

 

「まあ、それもそうか。にしても・・・」

 

ジッと俺とはやてを見つめてくる4人。その目は冷たく顔は無表情に近い。

 

それを見ていると昔の自分を見ているかのような気分になる。

 

団長が言っていた嫌いな目というのはこういう事か・・・。

 

まあ、今はそれより。

 

「あいつらどうするんだ?」

 

「どうするもこうするも。わたしの家族になってもらおうって思ってるで?」

 

「は?」

 

あんな危ない目をした奴ら4人を?

 

「正気か?」

 

「いたって正気や〜。衣食住、面倒みなアカンってそれはもう家族やろ?」

 

「家族か・・・」

 

俺も高町家に貰われた子供だ。

家主が小さな女の子の家に4人も家族が増えたらいろいろ大変だと思うが

多分、こいつ・・・はやてなら何とかやっていけるだろう。

 

不思議と上手くやっていく気がする。

 

「ノワールくんもこの子らが安心して暮らして行けるように手伝ってな?」

 

そうか・・・憶測の域だろうが、はやてもこの4人が俺と同じような闇を抱えていると気づいているらしい。

あの目をしている人間が普通の暮らしをしていたとは思えない。

 

「ああ、わかった。馬鹿なことしてたら叱ってやるよ」

 

「うん、ありがとうな」

 

 

そして、慌しい誕生日の日は終わりを告げ。それから数日、八神家の家族となった4人が事件を起こさないか気が気でない為。毎日のように八神家に通う日々が続いたある日、事件は起こった....

 

 

 

 

 

 

 

 

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こんにちは。安定亀更新の作者です。

 

ついにでましたヴォルケンリッター!ああ、ほんとにやっと出ました。

 

数話先の展開の繋ぎとか、組み合わせ、ボリュームなどを考えながら執筆していたらいつの間にか4月でしたよ。まあ、相変わらず仕事が忙しいのが原因なんですけどね。

 

 

 

次回、体を張る主人公に乞うご期待ッ!!?

 

 

 

※読んでくれてありがとうございます!感想などなどはお気軽に!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※誤字脱字などの指摘もどんどんお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※また誤字脱字や妙な言い回しなど見つけ次第修正しますが特に物語りに大きな影響が無い限り報告等は致しませんのであしからず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
神様などに一切会わずに特典もなくリリカルなのはの世界へ転生した主人公。原作知識を持っていた筈が生まれ育った厳しい環境の為にそのことを忘れてしまい。知らず知らずの内に原作に介入してしまう、そんな魔導師の物語です。 ※物語初頭などはシリアス成分が多めですが物語が進むにつれて皆無に近くなります。 ※またハーレム要素及び男の娘などの要素も含みます。さらにチートなどはありません。 初めて読む方はプロローグからお願いします。
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