外史に舞い降りるは紅き悪魔 3
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「最前線に皇甫崇が?」

「はい。さきほど、何進からの使者からの連絡で、皇甫崇と馬騰の軍が最前線。我々と孫堅、それと天水の董卓の軍が中曲、何進と劉備、それに袁家の軍が最後列に決まったと・・・」

 

私は桂花の報告を聞きながら考えた。

 

(あの、野心のない皇甫崇が最前・・・?何進が最後列にいる以上、決定権はあちらにあったはず、ということは・・・)

 

「あの皇甫崇が自ら最前線を望むとはね。一体何を考えているのかしら?」

「・・・華琳様?どうしました?」

「いいえ、なんでもないわ。ちょっと知り合いが変わったことをしたから驚いただけよ」

「はぁ・・・」

「それよりも、例の三人をいかに迅速に捕縛するかを考えてちょうだい。我が覇道には欠かせないのだから・・・」

 

桂花にそう答えながらも、私はどこかそわそわしていたと思う。

じゃなきゃ、こんなことを見落とすはずがなかったのだから・・・。

 

あの時、あの男を注視した軍が中曲、あの男を見れる位置に配置された事に・・・。

 

 

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「詠ちゃん、私達は前に出なくていいの?」

「ええ、何進が言うには私達は中曲だって。まあ、山を囲うのに中曲もなにもあったものではないけどね」

 

私の質問に詠ちゃんは肩をすくめて言いました。

あまり、私を前に出したくないという詠ちゃんに従い、普段は詠ちゃんが董卓を名乗っています。

一応、格好としては太守としての格好ですけどね。

 

「ま、うちとしてはいい事だらけよ。いつもどおり霞の騎馬隊に攪乱してもらって、華雄と恋に突っ込んでもらう。それだけよ」

 

詠ちゃんはこともなげにそういいます。

皆さんも私のためにといつも前で頑張ってくれます。

 

「月もいつもどおり、後ろででーんと構えていればいいのよ」

「わたしがでーんとしても、あんまり似合わない気もするけど・・・」

「・・・可愛いからいいのよ!」

 

詠ちゃんに思わず突っ込みをしたら、詠ちゃん顔真っ赤にしてます。可愛いです。

 

「それにしても、意外ね」

 

すると、詠ちゃんが突然そんなことを言いました。

 

「どうしたの?」

「ん?ほら、皇甫崇将軍いたでしょ?」

「うん、それがどうかしたの?」

 

皇甫崇将軍は、私を知っている数少ない人です。まあ、何進さんも知っていると思いますけど。

今の禁軍の将軍にしては、あまり権力などに執着していないという言い方は悪いですけど珍しい方です。

私も何度か会話したことがありますが、ゆったりと物事を考えているという印象を受けました。

 

「それがね。彼女の軍が馬騰と一緒に最前線に配置されてるのよ」

「・・・それがどうかしたの?」

「あの皇甫崇よ?野心の欠片もないような彼女が、なんで最前にいるのかしら?何進は後局にいるみたいだし、彼女が望んだとしか思えない」

 

そういわれてみれば不思議ですね。

手柄を求めたりするような方ではなかったと思うのですが・・・。

 

「妙な男を雇ったみたいだし、何考えてるのかしら・・・」

「?詠ちゃん、誰のことを言っているの?」

「そういえば言ってなかったわね。さっきの軍議の時にね、皇甫崇の後ろに一組の男女がいたのよ」

「男女?」

「そう。皇甫崇は自分の護衛って言ってたけど、女の子のほうはともかく。男の方が妙だったのよね」

「変だったの?」

「というか、周りの空気がね・・・。あの恋が会議中に注目してたから」

「恋さんが!」

 

恋さんは『飛将軍』と言われるほどの武力を持つけれど、見た目は可愛らしい女の子です。

普段はすごい無口で、会議だと目をつぶっていることが多いです。座ってれば寝ていることも多いですし。

そんな恋さんが注目したなんて・・・。

 

「お強いのでしょうか・・・?」

「わからないわ。他の陣営も見てた限りでは彼のことを知らなかったみたいだったし・・・」

 

詠ちゃんがそういって顔を曇らせました。

 

「大丈夫だよ。今は味方なんだから、折角だし頼ればいいんだよ」

「・・・そうね。最前だし、頑張ってもらわないとね」

 

私が詠ちゃんの肩を抱いたら、詠ちゃんも立ち直ってくれました。

こんなことしか出来ない私でも、友達が悩む姿は見たくありませんから・・・。

 

 

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「さて、俺の我侭とはいえさすがに不殺は無理だろうな・・・」

 

ダンテは剣を眺めつつそういった。

現在、ダンテは流琉と共に最前線の兵士たちの前に立っている。

名目上は一緒に最前に来ている楼杏の護衛だが、兵士たちからしたら完全に自分たちの隊長と副隊長と思っている。

 

「・・・」

「まあ、今回は悪人って分かってるしな・・・。そこまで罪悪感があるってわけでもないが。そもそも、ここの人間でもないのに、罪悪感も何もないって話か・・・」

 

ダンテの独白に答えるのは誰もいなかった。

 

「・・・そろそろ来ます。行けますか?」

「ああ。こんな茶番、さっさと終わらせねぇとな」

 

ダンテはいつもどおりの不敵な笑みを浮かべると前方へと歩き出した。

 

「・・・なんだかんだ言っても優しい方ですね。だから周りもついていくのでしょうけど」

 

楼杏はそういうとダンテたちが抜けた分の護衛について周りと相談し始めた。

 

 

「さて、流琉。見たい武器とかあるか?」

「どうしたんですか?」

 

流琉の隣に立ってダンテが聞いた。

 

「ほら、旅の中で色々見せただろ。どうせ面白くもない戦闘なら、少しでも楽しくいかないとやってられねえよ」

「そうですね・・・。あ!」

「あったか?」

「はい!あの色々と変形してた武器が見たいです!」

「パンドラか、中々いいチョイスだ」

 

ダンテは流琉の言葉を聞くと、どこからともなく表面に髑髏のマークが入っているトランクを出した。

 

「ちょいす?」

「いい選択ってことだ。ま、流琉の反応を思い返せば、きっと他のやつらもぶったまげるだろ」

「あれは誰でも驚きますよ・・・」

 

ダンテの言葉に流琉は苦笑した。

 

「さてと。緊張も解れたか?」

「・・・はい。全部じゃないですけど」

「そりゃそうだ。全部取れたら逆にまずい。けどな、必要以上の緊張は力を阻害するからな」

 

そういってダンテは流琉の頭をなでた。

 

「安心しろ、村で言ったろ?俺が守ってやるからってよ」

「・・・はい!でも、私もダンテさんを守りますからね!」

「それだけ言えれば上出来だ」

 

そして二人は前を向いてその時を待った。

 

 

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やがて、自軍左方に展開していた馬騰軍が得意とする騎馬隊で突撃を敢行した。

それに伴い、皇甫崇軍を前進を開始する。

 

「・・・見知らぬ世界で、こんな戦争に巻き込まれるなんてな」

 

ダンテは呟いた。

 

「ま、あんたらの都合も知らずにってやつだが・・・」

 

その目は前方に迫る黄色い軍勢に向けられていた。

 

「こっちにも都合がある・・・。なら、やることは一つだよな・・・!」

 

そして、現代の距離にしておよそ3キロメートル程になった時。

 

「Let's start the party!!」

 

ダンテはそう叫ぶといきなり上空へ跳んだ。

同時に、

 

「全隊!必ず生きて帰りましょう!突撃ー!!」

 

あらかじめ聞いていた流琉が後ろを率いて突撃を開始した。

 

「まずは挨拶だ。受け取れ!」

 

ダンテはそういうと後ろ手に持っていたトランクを展開した。

流された魔力に反応し、トランク即ちパンドラは変形。

ダンテの周囲を囲うように姿を変え、外殻から円形の筒がいくつも出現した。

そして、その中に座るようにしていたダンテが持っていたレバーを押し込みボタンを押すと、いっせいに何かを射出した。

射出されたそれは、煙を吐き出しながら流琉達の頭上を通り過ぎ、そしてあっけにとられる黄巾党達のまさにど真ん中にバラけるように着弾、爆発を引き起こした。

『PF594 アーギュメント』と呼ばれるこの形態はまさに多数を打ち砕くのに適していた。

 

「な、なんだありゃあ!」

「れ、人公将軍!前方からも突っ込んできてます!」

 

いきなり見たこともない攻撃により、混乱を極める黄巾党に押し込むように皇甫崇軍が突撃。

数の上では勝っていても所詮は賊の集まり。しかも混乱中とあっては訓練を重ねた軍の相手ではなかった。

 

「そ、そんな馬鹿な・・・くそっ!こんなときにあやつらがいれば・・・!」

「人公将軍、張曼成ですね?」

「誰だ!?」

 

山から下りて陣頭指揮を取っていた人公将軍、張曼成は混乱を収めようと躍起になっていた所に突然名を呼ばれ振り向いた。

 

「皇甫崇軍所属、典韋です。あなたの首を頂戴いたします」

 

流琉は落ち着いていた。

しかし、張曼成は相手が子供の、しかも子供であると気づいてその『自分を相手にしていて緊張していない』という事実に気づけなかった。

 

「貴様が禁軍だと?冗談も休み休みにい」

 

言葉が終わらぬうちに、張曼成は流琉の巨大なヨーヨーにつぶされて命を絶っていた。

 

「・・・人和さんを名乗って死ねるのですから、本望でしょう」

 

流琉はそういうと、隊員たちに頼み首を取るとその場を後にして進軍していった。

 

 

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一方のダンテはというと、パンドラを収納し現在は一人山中へと侵入していた。

ダンテの身体能力を持ってすれば、木々を跳び渡ることで見張りを欺くことなど容易だった。

 

「さて・・・。天公将軍の波才と地公将軍の趙弘とやらは・・・」

 

と移動しつつ暗記するように唱えていたダンテは、山中に立つ砦を見つけた。

 

「なるほど。ここに篭ってる訳か・・・」

 

そして巨大な門の前に降り立った。

周囲を見渡しても見張りはいない。中にはいくつもの人の気配がある。

 

「見張りがいないなら楽だな・・・」

 

そういうとダンテは眼前に手を翳した。

すると、光が集まりやがて一本の刀が形を成した。

 

「さてと・・・。こういう時はお邪魔しますって言うんだったか?」

 

と言いながら、刀・・・閻魔刀を構えた。

そして、一閃。

勢いで反転し、門に背中を向けて静かに納刀。

チンッという涼やかな音がわずかに聞こえた刹那、轟音とともに門がずれた。

そしてそのままゆっくりと倒れていく。

 

その倒壊による轟音は当然砦内部にも聞こえているわけで。

 

「何事だ!?」

「も、門が!何者かによって破壊されました!」

 

地公将軍たる趙弘はその知らせを聞いて「信じられん・・・」と呟いた。

そもそもこの砦は自分達の時間稼ぎ用に作らせたものであり、たとえ諸侯が団結したとて簡単には打ち破られるとは思ってもみなかったのだ。

さらに、

 

「れ、人公将軍が討ち取られた模様!禁軍が山へと進軍してきております!」

「ほ、報告!山の一部分から火の手が!か、火計かと思われます!」

 

次々と入ってくる凶報に趙弘はパニックに陥ってしまった。

そもそも、小心者である彼に地公将軍などという役目は荷が重過ぎたというのもあるが。

 

「き、貴様ら!さっさと侵入者どもを討ち取らんか!ここさえ守りきれればまだ耐えられる!」

 

と天公将軍を名乗る張角、もとい波才が部屋へと入ってきて一喝した。

地和に取られてしまったとはいえ、彼もまた太平要術の書を扱えた者。その一喝に趙弘も部下も頭をガンと殴られたようなショックを受けた。

 

「は、はっ!」

 

部下はそれにより直ちに落ち着きを取り戻し、迎撃へと向かっていった。

 

「あ、兄貴・・・」

「うろたえるな。肝心なものについてはすでに暗記済み。ここまで来れる様な兵は我が配下へと下ってもらい、一気に攻めに転じればよい。たとえ、帝が直々に来たとしてもこの術には抗えんよ」

「で、でもよう・・・。張曼成が討ち取られたって・・・」

「仕方あるまい。禁軍も腑抜けばかりではなかったと言うことだ。それに、あやつは頭が足りなかったからな。これを機に新たに我らの言いなりになる者を人公将軍へと立てればよいのさ」

 

そういって波才は邪悪な笑みを浮かべた。

 

しかし、砦内から聞こえる悲鳴がいつまでたっても止まない。それどころか徐々に接近してきていることに二人は気がついた。

 

「なぜ討ち取れんのだ!」

「そりゃ、まともな訓練もしてないようなやつにやられるほど、弱いつもり無ぇしな」

「誰だ!」

 

波才の近衛兵に対する怒鳴り声に答える声が一つ。部屋の入り口に全員が振り向いた。

そこには、誰もが見慣れない形をした長剣を携えた影が立っていた。

 

「・・・貴様が、たった一人でここに来たとかいう」

「ダンテってんだ。ま、よろしくはしねえがな」

 

波才の問いにダンテは大仰に一礼して答えた。

 

「あ、兄貴・・・」

「落ち着け。あの様子ではすぐには斬りかかってはこまい」

 

趙弘は、その物怖じしない波才の態度に落ち着きを取り戻した。

 

「一応聞くが、貴様はどこの軍のものだ?」

「悪いが答えらんねえな。こっちにも事情って物がある」

 

ダンテは波才の質問にそっけなく応じた。

 

「逆に聞きてぇんだが、あんたらが天公将軍と地公将軍でいいのか?」

「いかにも。我々がそうだが」

 

ダンテの問いに波才は威厳たっぷりに答えた。

 

「そうか・・・」

 

ダンテはハァとため息をつきつつその答えを聞いて首を振った。

 

「何か気になることでもあるのか?」

「いや、これ以上探すのが面倒だっただけだ」

 

波才はその様子に疑問を抱いたが、ダンテはそっけなくそう答えた。

 

「・・・我々は君のようなものを待っていた」

「あ?」

 

突然の波才の言葉にダンテは怪訝そうな顔をした。

 

「聞き慣れぬ名からして、君は異国の者だろう。だが、ここに参加していることからもすでにこの国の現状については君も知っていよう?」

「・・・・・・・・・」

「政治は腐敗し、役人は私利私欲のためににのみ腐心している。すでに、この国は限界なのだよ」

「・・・かもな」

 

ダンテが同意したことで波才は自分の術にかかり始めていると確信した。

話術を用いて、自らの支配下に置くという術を得意とする波才の目論見は続いた。

 

「ゆえに我々は立ち上がったのだ。すでに、各地で蜂起は始まっている。これを鎮圧出来ぬ官軍を見ても結果は明らかだ」

「・・・ほう」

「悲しいことに、我等の同志である人公将軍がすでに討たれてしまったことは聞いている。だが、ここまで一人で来れる君のようなものが仲間になってくれれば、官軍に致命的な打撃を与えられる!ここでやつらを壊滅させることが出来れば、民も望む黄天の世に出来るのだ!」

「・・・・・・・・・」

 

語っているうちに高揚してきたのか、波才の口調も激しくなってきた。

 

「さあ!力を貸してくれ!共に立ち上がろうではないか!」

「・・・(スッ)」

 

波才が芝居がかった様子で手を伸ばすと、ダンテは剣を下ろして波才の方へ歩き始めた。

 

「(あ、兄貴・・・!)」

「(どうやら上手くかかりきったらしいな。念入りに力を込めた甲斐があったと言うものだ)」

 

二人は小さな声でそう話した。

やがて、二人の前で立ち止まると。

 

 

ヒュンッ

 

 

ドサッ

 

 

「・・・えっ」

 

風切音と共に、何かが落ちた。

音がした方を波才が見れば。

 

「あ、あに・・・」

 

そう言いかけて落ちていた趙弘の首が転がっていた。

 

「ひ、ひぃぃいいい!!??」

 

それを目の前の男が行ったということが分かると同時に、波才は逃げた。

いや、逃げようとした。

 

「・・・悪いな」

 

しかし、ダンテの謝罪を聞くことは無かった。

なぜなら、振り向こうとした瞬間、その勢いで波才の首が飛んだからである。

ダンテは、一瞬にして二人の首をまとめて斬り飛ばしていたのである。

 

ダンテの元居た世界において、彼の兄が好んで使った居合。

極めたものが使うそのあまりに速い斬撃は、斬られたものが斬られたことに気づかずそのままくっついてしまうとまで言われる。

ダンテは、見よう見まねだがそれをやってのけたのだった。

 

「・・・俺には世界がどうとかは関係無ぇ。友が求めてきたことに答える、それだけだ」

 

そういうと、ダンテは二つの首を持ってきていた桶に入れて去っていった。

 

 

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「・・・!典韋様!敵の様子が!!」

「進撃を止めてください!」

 

流琉の部下がいち早く気づいたことにより、現在皇甫崇軍は進撃を中断していた。

見れば、黄巾の大部分が突然混乱したかのように右往左往し始めていた。

 

「・・・どうやら、ダンテさんが残る二人を倒したようですね」

 

流琉はそう呟くと、

 

「全軍、敵に武装解除を求めてください。素直に従ったものには手を出さないように。歯向かうならば変わらずにお願いします!」

 

と指示を出した。

皆、それを迅速かつ忠実に行ったため、その場に居た黄巾党員の実に6割、数にしておよそ3万人を吸収することに成功したのだった。

 

「・・・ふぅ。後は楼杏さんにお任せしましょう。皆さんもお疲れ様でした」

 

そういって流琉達は速やかに撤収していった。

 

 

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「何じゃと!?そなたが!?」

「はい。今回の乱の首謀者である張三兄弟。我が隊で討ち取りました」

 

突然の敵の混乱により、一気呵成に攻め寄った連合軍が見たのは自分達が包囲していた首謀者が立てこもっていたとされる山中の砦が燃え上がる光景だった。

 

せめて、功を挙げんと各軍の将による少数精鋭での突撃も虚しく、特に砦は最早原型をとどめぬほどに焼け崩れていた。

これでは、中に誰がいようとも骨も残るまいと言うことで皆が撤収、総括を行う軍議の冒頭に皇甫崇がこういったのである。

 

「首謀者を討ち取った」と・・・。

 

「どのように?」

 

放心してしまった何進の代わりに、曹操が詰問した。

彼女としては、首謀者の本当の姿を知っているわけだからそう易々と功を独り占めされても困るので、詰問口調になるのも致し方ないといえばそうかもしれない。

 

「我が軍は最前だったが故に、いち早く山へと取り付くことが出来ました。麓付近で人公将軍を名乗る男を討伐し、そのまま山内部へと押し入りました。砦の門を先行させた密偵により開かせ、そのまま突撃。ろくな戦闘体制をとっていなかった地公将軍と天公将軍を名乗った者達を捕縛しようとしましたが、激しい抵抗にあったためにやむなく討ち取りました。本当は帝のおわす洛陽まで引きずりたかったのですが」

 

皇甫崇は淡々とそう答えた。

 

「なるほど・・・、ならその首は?」

「ここに持ってこさせてます」

 

皇甫崇が手を二回叩くと、皇甫崇の兵士が二人で一つの首桶を持ちながら六人入ってきた。

諸侯の囲む卓の上に置かせると兵たちはそのまま出て行った。

 

「こちらになります。まあ、書状のような化け物でもなんでもないただの男ですが。とはいえ、誰も本当の正体を知っているわけでもなし。まして、正体を知っていて黙っているような帝に仇なすようなことをする候がいるとは思えませんからね。本人達の自己申告を元に処断しました」

 

曹操が確認していると皇甫崇がそんなことを言った。

 

「それはそうじゃの。わらわ達に黙っていると言うことは天子様を騙すことと同意じゃしのう!」

 

何進は立ち直ったかと思えば皇甫崇の言葉に頷いていた。

 

「・・・(ギリッ」

 

曹操はその様子を見て気がつき、表には出さぬように歯を食いしばった。

この戦は全て、皇甫崇の策の元に踊らされていただけだ、という事に・・・。

しかし、それは勘違いだったとすぐに気づかされることになる。

 

「しかし、それならば皇甫崇には褒美をやらねばならんのう。何か望みはあるか?」

「それならば二つ。此度の戦において我が軍が捕らえた者たちを、我が軍への増員としてください。そして、それにかかる費用を禁軍から出していただけると良いのですが」

「ふむ、数は?」

「三万ですね」

 

その数を聞いて、反応したのは曹操、孫堅、董卓の代理としてきていた賈駆、そして劉備軍の軍師として同行していた諸葛亮だった。

 

「・・・(やられたっ!)」

「へぇ・・・」

 

特に曹操の内心たるや最早嵐のごとき様相を呈していた。

逆に孫堅は感心したように頷いていた。

残る二人は顔を青くしていた。

 

「となると、そなたの軍は・・・」

「七万と五千ですね。あなたの八万には届かないけれど」

「ならばよかろう!支給などについては追って知らせよう。後で書状を認めるゆえ使いを出そう」

「ありがとうございます」

 

一礼する皇甫崇の表情は、わずかにだが微笑っていた。

 

 

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「・・・で?」

「まあ、こちらの思惑通りになりました。まあ、気づいた方もいたようですが」

「気づかせたんだろう?」

「さあ?私は危険を呼び寄せるようなことは好きではないですけど」

「よく言うぜ・・・」

 

軍議も解散し、自陣の天幕に戻ってそんなことをダンテと言い合った。

 

「しばらくはダンテさん達も仕事が増えましたね」

「全くだぜ・・・。俺は週休6日がモットーだってのに」

「なんですかそれ?」

「俺のいたところでは、7日で一周するようになっててな。俺はそのうち6日は休むことにしてたんだよ」

「そんなことでよく生きてけましたね」

「少なくともここよりは平和だったぜ」

 

くだらないことを言い合っている二人を、流琉はダンテのひざの上に座って笑いながら聞いていた。

ダンテがたまに流琉を髪を弄ると、擽ったそうにするものの嫌がるわけでもなくされるがままになっていた。

 

「失礼します!今、お時間はありますでしょうか?」

 

と、外で哨戒をしている兵士から声がかかった。

 

「どうかしましたか?」

「董卓と名乗る人物がこちらに来ております。面会を希望しているようですが?」

「そうですか・・・。いいですよ。こちらへ連れてきてください」

「はっ!」

 

楼杏がそういうと兵士はどこかへと去っていった。

 

「お客さんですね。先ほど反応された内のお一人かと」

「へぇ・・・」

「でも、おそらくご本人ではないと思いますよ」

「どういう意味だ?」

 

流琉をひざから下ろし、立ち上がる楼杏に続こうとしたダンテが不思議そうに聞き返した。

 

「軍師ちゃんが相当な心配性で、普段は軍師ちゃんが董卓を名乗ってるんです。この事を知っているのは私も含めてかなり少ないはずですよ」

「なるほどな。ちなみに見分けは?」

「もちろんすぐに分かります。董卓といった子が眼鏡をしていたら軍師ちゃんです。髪の色がダンテさんのそれよりもう少し青みがかっているようでしたらご本人かと」

「了解した」

 

頷くと流琉を立たせて三人は到着を待った。

 

 

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「お久しぶりですね。皇甫崇さん」

「あら?真名を預けたはずでしたけれど、呼んではいただけないので?」

「・・・そうでしたね。では、楼杏さん」

「ええ、お久しぶりです。月さん」

 

楼杏は向かい合う女性と社交辞令にしては暖かい挨拶をした。

いくらこちらの世情に疎いダンテといっても、真名というものがどれほど大切なのかというのは理解していたために、この二人が少なくとも友人関係であるのだろうという推測は出来ていた。

 

「いきなりの訪問で申し訳ないことをしました」

「いえいえ、今日はよくお客様がいらっしゃってましたから。それに、なんとなくですけど来るような気もしていましたし」

「相変わらずのようね」

「そちらも健康そうで何よりです。詠さん」

 

隣で楼杏に声をかけた女性が例の『軍師ちゃん』だろうとダンテは思った。

目元や言葉の端々からかなりの強気な女性なのだろうと思い、ダンテはがっくりとうなだれた。

元々女運に恵まれないダンテが、こちらで最初に出会った女が流琉であったことがむしろかなりの幸運だったのだろうと今更ながら思い返してダンテは心内で流琉に非常に感謝していた。

そして、軍師の纏う空気のせいもあってか主たる彼女の雰囲気は益々もって儚く思えたダンテだった。

だが、時折意見を述べていたりする様子からただのお人形ではないのだろうとも確信した。

 

「・・・?」

 

その時、ダンテは自らに向けられる二つの視線に気づいた。

 

(一つは興味・・・、もう一つは、なんだこりゃ?)

 

分析していても首を傾げざるを得ない結果しか分からなかったダンテは諦めてそちらのほうへと向いた。

それは、楼杏に向かい合う二人の女性の更に後ろに立つ女性達からだった。

 

興味を向けている方は大きな胸にさらしを巻き、その上に羽織のような物を羽織っている傍から見たら痴女と言われてもおかしくないような格好をしていた。

だが、その手に握る巨大な偃月刀はダンテの見立てでも確実に使いこなせるだろうと思わせるだけの身のこなしと空気を纏っていた。

 

(こっちはこっちで面倒そうだが・・・)

 

ダンテはそう思いつつもう一人のほうを見た。

紅い髪に二本の触角のような癖毛がある。

全身に青い刺青のようなものがあり、体つきはまさにナイスバディとも言うべきだった。

これがただの女であったなら、「baby year!」とでも言ってそのまま寝台上の格闘技にでも持ち込んだかもしれなかった。

だが、その纏う空気は隣の痴女以上に重かった。

非常に眠たげに目をこすってはいるが、時折こちらを見る目は見た者に死を連想させる。

ダンテですら、わずかに自制しなければ身じろぎしたかもしれなかった。

 

(・・・異質、か)

 

だが、それ以上にダンテは彼女から孤独を感じた。

自分も異質な存在だからか、経験からなのか。

彼女の本質をダンテは本能的に捉えられた。

 

「・・・ダンテさん?」

 

ふと声をかけられたことに気づき、楼杏を見ると

 

「どうかしましたか?先ほどから反応が無かったので・・・」

「・・・ああ、すまない。さっきの戦闘でちょっと疲れたかもな」

 

楼杏の心配を誤魔化す様に手を振りつつ答えるダンテ。

 

「それで?どうかしたのか?」

「いえ、彼女達が貴方達のことを知りたいと言うので自己紹介してもらおうかと」

 

確かにこちらをじっと見つめる二人の姿(と後ろの二人)があった。

 

「典韋と言います」

「・・・ダンテだ」

 

二人は簡単にそう答えた。

ちなみに流琉は楼杏をはさんでダンテの反対側にいる。

 

「私は董卓といいます。よろしくお願いしますね」

「・・・賈駆よ」

 

董卓はやんわりと笑顔で、そして賈駆はぶっきらぼうにそういって自己紹介した。

 

「霞さんたちもお願いできますか?」

「ええんか?ほな、うちは張遼いうんよ。よろしゅうな」

 

董卓の言葉でまず痴女の方がそういった。

 

「・・・りょ、ほーせん」

 

次いで、例の少女がそういった事でなぜか、董卓側が動揺していた。

 

「・・・?」

「(あの子は普段は滅多に自分から言葉を発したりしないんです。私も初めて見ましたから)」

 

ダンテがそれを怪訝そうに見ていると楼杏が小声でそう教えてくれた。

 

「・・・それで?わざわざただの護衛の自己紹介までして、何かあったのか?」

 

ダンテはわざと声を出して楼杏に聞いた。

 

「・・・(キッ)」

 

賈駆の方はすぐに気づいたのか、わずかに睨みつけてきている。

 

「・・・実は聞きたい事と、お願い事があって来ました」

「月!?」

 

ところが、董卓がそういったことに賈駆が驚きも露に叫んだ。

 

「詠ちゃん。見てのとおりだよ。あの人に隠し事なんて出来そうに無いよ」

「でも、これを知られたらどんな目に合うか!しかも、あんな得体の知れない・・・!」

「おいおい、お願いする側の態度じゃねえだろ」

 

二人の会話を聞いていてダンテは呆れるようにいった。

 

「まあまあ。抑えてください。此方ではどちらかと言えば女尊男卑の傾向が強いですから・・・。あなたも上層部の方々が女性ばかりだと気づいていたでしょう?」

「・・・まあな」

 

楼杏の言葉にダンテは不満げに相槌を打った。

 

「お願いが何かは分かりませんが、とりあえずそちらの聞きたい事とは何でしょう?」

 

そして仕切りなおすように楼杏が聞くと、賈駆が前に出た。

 

「質問は二つよ。一つは敗残兵を吸収して何をしようとしてるのか。もう一つがあの男の正体よ」

 

と言った。

 

「・・・随分と不躾だな」

「何よ。身分は此方のほうが上なのだから当然よ?それとも、それくらいも分からないのかしら?」

 

ダンテの呟きに敏感に反応した賈駆が噛み付くように言った。

 

「身分だ?俺はこの国の人間じゃねえ。そんなやつに身分だ何だってのが通じるとでも?」

「くっ!」

 

ダンテの切り替えしが意外だったのか、賈駆は歯噛みしてしまった。

 

「まあまあ。すみませんね。そういう事で彼はここの人間じゃありません。失礼は私がお詫びいたします」

 

そういって楼杏が頭を下げた。

 

「さて、ご質問に関してですが。第二の方はなぜまた?私が護衛を雇った事がそれほど不思議でしたか?」

「・・・恋が気になるっていうから」

 

楼杏の言葉に賈駆は振り向きつつそういった。

 

「呂布殿が?」

「・・・」

 

しかし楼杏の言葉に反応もせず、呂布はじっとダンテを見ていた。

 

「・・・黙って見つめられてもな」

 

ダンテがそう零した時。

 

「・・・お前、にんげん?」

 

呂布の言葉で全員の動きが止まった。

 

 

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「・・・それはどういう意味だ?」

 

ダンテは内心の驚愕など億尾にも出さず問うた。

 

「・・・気配」

「気配?」

「・・・お前の氣、ただの氣じゃない」

「それを言ったら、お前もじゃないか?」

「・・・そう」

「なら、お前は人間じゃないのか?」

「・・・わからない」

「分からない?」

「・・・恋はおやをしらない。気がついたらじぃが居た。だからわからない」

「・・・」

 

二人の会話に余人が入る隙は無かった。

そしてダンテは、この目の前の少女が、自分に匹敵するほどの異質である、とはっきり認識した。

 

「・・・董卓って言ったか?」

「はい」

 

ダンテの突然の質問に、董卓はすぐに反応した。

 

「あんたらのお願いってのは何だ?」

「ちょっと!何であんたが」

「悪いが黙ってくれ。俺は董卓に聞いてるんだ」

「・・・!!」

 

一瞬だけ放ったダンテの威圧に、賈駆は黙るしかなかった。

 

「・・・さる宦官の方より、都への召集がかかったのです。ですが、あまり良い噂を聞かないものですから、禁軍内で力をお貸ししてもらおうと思い、ここに来ました。私には楼杏さんしか思いつかなかったので」

「つまり、何らかの行動の際に尻拭いをしてほしいってわけか?」

「そうではありません。ただ力を貸してほしいだけです。それに何をするつもりもありません。私は、天子様にお仕えする事のみ尽力するつもりですから」

「・・・」

 

董卓は目をそらすことなくダンテにそう答えた。

 

「・・・張遼」

「お、うちは覚えててくれたん?」

「呂布の事をどう思ってる?」

「恋?いつか越えるべき壁やと思っとるよ。けど、普段はそんな事あらへん。フッツーの女の子しとんで」

「怖いとか思った事は?」

「あんたの想像通り、初めて手合わせしたときはマジで死ぬ思うたよ。けど、少なくとも味方としては怖いと思った事は無いで」

「・・・信頼、してるんだな」

「もちろん!」

 

ニカッと笑って張遼は言った。

 

「・・・楼杏」

「なんでしょう?」

「俺はこいつらを信用できると思う。だから、洛陽に戻ったら話したいことがある。その時、さっきの二つ目の質問に答える」

 

そう言うとダンテは、

 

「流琉、ここは任せた。ちょっと外へ出る」

 

と言い残し、天幕を出て行った。

 

-11ページ-

 

「・・・とのことですので、我々は貴女方に協力は惜しみませんよ」

「!!いいんですか?」

「ええ。彼の信頼が得られるということは、私が信用していいということです」

 

楼杏はそういうと董卓に手を差し出した。

 

「頑張りましょうね」

「・・・はい。よろしくお願いします」

 

董卓―月も微笑んでその手を握り、二人は握手するのだった。

 

 

「さて、となると一つ目の質問にも答えねばなりませんか」

 

楼杏が思い出したように言った。

 

「そうね。答えてくれるとありがたいわね」

 

ダンテに気圧されていた詠が気を取り直して言った。

 

「まあ、単純な戦力増強です。ただ、やり過ぎると何進殿の不興を買ってしまうので、適度に彼女の規模を超えない程度にしておきたかったのもあります。今回はちょうどよい人数でしたから良かったですわ」

 

楼杏は笑いながらそういった。

 

「ちょっと待って。元から戦力を狙ってたの?」

「ええ。程度の低い茶番に付き合っていられるほど、私たちも暇ではありませんからね」

「・・・確かに。けど、どうやって張角達の正体を知ったのよ」

 

詠の疑問に楼杏はふふっと微笑んだ。

 

「都に着いたら、お話しますわ」

 

 

-12ページ-

 

「・・・で、どうだったのかしら?」

「はい。10日ほど前から密偵の帰還率がかなり下がっています。江東は元々少なかったのですが、それ以上に都周辺からの帰還率が・・・」

 

私は自陣で早々と撤収作業をしつつ、桂花にある報告をさせていた。

 

「10日・・・」

「申し訳ありません。それについて原因を探らせてはいるのですが、報告が行軍に間に合わなかったのと・・・」

 

そこで珍しくあの子が言いよどんだ。

 

「何?はっきりと言いなさい」

「・・・放った密偵は12名。帰還したのが1名、その者もこちらに帰ってすぐに息を引き取りました」

 

私はその報告に衝撃を受けた。

江東の孫堅の所の密偵には劣るものの、うちの密偵もそこらの諸侯には引けをとらないと自負していた。

それがあっさりと撃退され、あまつさえ帰還も出来ないとなると・・・。

 

「しかもその場に居た秋蘭の見立てでは、最後の一人もわざと逃がされ、道中、あわよくば我々の所で死ぬように加減されていた可能性があるそうです」

「!!?」

 

都の軍隊なんてそれほど精強とは聞いていない。

だけど・・・。

 

「皇甫崇の所か・・・」

「おそらく。以前はそれほど名を聞いているわけではないので、あの男が関係している可能性が高いです」

 

春蘭や香風があれほど警戒する兵士を一手に纏め上げ、そして個人でも呂布が警戒するほどの戦闘力を誇る男、ダンテと言ったかしら。

 

「・・・欲しいわね、あの男」

「華琳様!?」

 

桂花が素っ頓狂な声を上げた。

 

「おかしいことでも言ったかしら?」

「で、ですが!男なんて・・・!」

「確かに男ね。けど、その男に我が軍以上の兵士を作り上げる能力があるのよ?それに個人の力も尋常ではないようだし。手に入れない理由があって?」

「くっ・・・!」

 

まあ、男嫌いのこの子にいきなり言った私の失策かもしれないわね。

 

「まあ、今すぐともいかないでしょう。我が覇道は始まったばかりなのだから」

 

そう言って笑うと、桂花ったら私をポーッとした顔で見つめて頷いたわ。

これは今晩は虐めがいがありそうね。

 

-13ページ-

 

「それは本当なのか?」

「はい。あの男がかなりの高さに跳躍した後に、なにやら見慣れぬものを展開、そこから発射された何かが敵陣で炸裂していたと・・・」

 

孫堅は自陣で周泰率いる密偵の報告を受けていた。

 

「はっはっは!そうか。どうやら皇甫崇の目的は達成されたようだ。というか、俺達全員があいつに嵌められたんだな」

「どういうことよ」

 

孫堅が一人納得していると、孫策が疑問の声を上げた。

 

「簡単さ。最前に皇甫崇、真ん中に俺ら、曹操、董卓だったか?じゃあ、この真ん中の三軍に共通するのは?」

「はっ?いきなり何を言って・・・」

「・・・分かりました。そういうことですか」

 

と、隣で聞いていた周瑜がそういった。

 

「どういうこと?」

「これは軍議に出てなければ分からんかもな。今の三軍の共通点は、軍議の時ダンテを特に注視した者が居るということだ」

「・・・ああ。そういうこと」

「そうだ。つまり、皇甫崇はそれを逆手に取ったのさ。俺達をダンテに注目させるために多分何進を唆したのか。それでその三軍が集結したのさ。おそらく、馬騰が最前に来ることも織り込み済みだっただろうよ」

「・・・待ってください。皇甫崇はそれほど才のある人物とは聞いてませんが」

 

と、黙って聞いていた孫権が言葉を発した。

 

「これは勘だが、あいつはおそらくとんでもない傑物だ」

「ふむ、大殿がそこまで言われるのも珍しいですな」

 

黄蓋がそういった。

 

「よく考えればおかしいんだがな。もしあいつが言われるとおりの愚物なら、なぜあいつはあれほど禁軍の中核に居られる?しかも一度も大きな失態をしたと聞いていない」

「・・・あ」

「・・・つまり、彼女は実力を隠していると?」

「だろうな。何より、冷汗は隠せていなかったがそれだけで俺の覇気に耐えた。これだけでも驚嘆すべきだがな」

 

そういって孫堅は見るものをぞっとさせるような笑みを浮かべた。

 

「眠れる鳶がついに風を得た・・・。鷹と成りてあいつは何を望むのだろうな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

-14ページ-

 

 あとがき

 

いやあ、孫堅って書きやすいですね。

こう謀略を使いこなす軍師な子より前線で暴れてくれる子の方が単純というか、難しいことを考えずにすむので・・・。

 

とまあ感想はさておき、今回はお得意の超展開でございましたw

まあ、整合性に関しては端から投げ飛ばしてるのでいいとして、徐々に流琉ちゃんが凶悪な性能になりつつある件。

いや、あれだけ素直な子がダンテに師事したら、素直に吸収してああなると思いませんか!?(逆ギレ

 

ちなみに、現時点で楼杏軍45000人(ダンテ、流琉率いる)は原作において精強といわれる魏軍が最も強くなっている状態だとして、90000人相手でもあっさり勝てます。

個人の戦闘力はそれほどでもないですが、横との連携がずば抜けており、春蘭でも10人に囲まれたらそう簡単には抜けられないと思います。

今回更に30000人を足しましたが、後はお察しくださいw

ちなみに、禁軍としては楼杏は第二位の地位にいます。

無論、一番は何進です。

 

 

史実だと董卓と皇甫崇って仲悪いらしいですね。

でも、あの月と(この外史オリジナルの)楼杏なら仲良くやれるだろうということで一つ。

理由付けも一応筋を通すつもりで書きました。

 

そして人材コレクターである華琳は大方の予想通り彼を欲し、孫堅は楼杏の台頭に心躍らせる。

なにより、流琉は可愛い(確信)

 

 

というわけで、次もお楽しみに!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
DMC4×恋姫の続きです。

更新が長引いてすいませんでした・・・。
リアルでのごたごたがようやくひと段落。
ひっそりと続きを書いていきたいと思います。
なお、今回はいつもよりも文量多めなので長いの苦手!という方はお気をつけください。

もう一つのほうも鋭意製作中なのでしばらくお待ちください。




英雄譚1発売しましたねー。
とりあえず私一押しの雛里ちゃんが可愛すぎて死にそうですw
一刀まじ爆発しろ!
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コメント
>へたれさん 油断させてしまってすみません^^;(morikyou)
くっ油断した悔しいぜ!(へたれ)
>木枯らしさん 私操作のダンテだとオーメンよりもよく使う技だったりw 変形→一斉掃射は男のロマンですから!(morikyou)
パンドラ使ってるじゃないですかー!やだー!(木枯らし)
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真・恋姫無双 ダンテ DMC 流琉    華雄 楼杏 張三姉妹 

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